ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第11節FC東京vs名古屋グランパス@味スタ20180428

2018-04-29 15:41:00 | FC東京

鯉のぼりも気持ちよさそうな皐月晴れ。

ゴールデンウィークがやってきました。

今年のゴールデンウィークは東京を留守にします。でもスタートはホーム味スタから。迎えますは、永井の古巣、名古屋。

長年クラブアドバイザーをしていただいていた石井義信さんがご逝去されました。ダンディで笑顔の優しい紳士でした。ありがとうございました。これからも空のうえから東京を見守ってください。You’ll Never Walk Alone♪

セットプレーにヒヤヒヤしましたけど、逃げ切りました。

東京はターンオーバーです。シフトはダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは室屋と宏介。アンカーは拳人。メイヤは右に晃太郎左に草民。トップ下は洋次郎。2トップはディエゴと永井です。

名古屋は手探り状態でしょう。日替りオーダーです。シフトは3-4-2-1。GKはランゲラック。3CBは右から菅原、ホーシャ、櫛引。WBは右に和泉左に秋山。ボランチは宮原とアーリア。2シャドウは右にガブリエル・シャビエル左に青木。1トップはジョです。

好調の2位東京に対し、7連敗中で最下位の名古屋。2017チャンピオン川崎のベースを作りあげた風間さんにして、苦労されてます。

風間名古屋は狙いがよくわからない闘いかたになっています。どうしても川崎と比較してしまうのですけど、川崎のサッカーを目指す方向だとすると、その端緒にすら及んでないようです。風間さんのサッカーといえば、ポジションレスのフレキシブルなスタイルが特長です。スモールゾーンの連鎖を基調として、スペースに人が湧くような、密度が高くかつダイナミックな闘いかたを展開します。

川崎の成功要因をあげるのは本質ではないのでやりませんけど、今の名古屋は、パスをつなぐためのスモールゾーンの連鎖がまったく足りません。まず、アタッキングサードに入る術が確立されていません。これではそもそも、ボールを保持しても攻撃権を持っているとはいえません。基本的にサイドアタックを狙っていますので、WBを基点にトライアングルを作ってSBの裏をつこうとしますけど、前に出ようとする動きができません。これではスペースにパスを出すリスクを負えませんから、積極的なチャレンジができません。

さらに、中盤の組み立てを構成するはずのシャドウがスペースを狙う動きをしません。前線にはりついていることが多く、このため前線と後方が分断されてしまいます。これでは、やはりチャレンジングなパスを出すことはできません。

川崎のストロングポイントは数的優位の作りかたでした。担うのはサイドの選手。サイドの選手も高い技術を持っているうえ、攻撃特性にも秀でてます。なのでペナルティエリア内で攻撃のさまざまな仕事を担うことができます。このフレキシブルなリソースシフトが仮装的な数的優位を生み出すのですけど、名古屋は攻守のポジションの分断で選手間の距離が開きすぎているため、WBを攻撃で使うことができません。これでは、ポゼッションスタイルのウィークポイントを逆手にとってスモールゾーンにこだわる風間改革が実現できるはずがありません。

言ってしまえば、ようするに名古屋には、憲剛もエウシーニョも悠も車屋も大島もいないということなのだけど、川崎も一日にして成らず。現有編成でできるステップを踏む必要があるのでしょう。ただ、川崎には、風間サッカーを100%表現できる憲剛がいたことも、名古屋が避けて通れない壁、だと思います。

という面では、シャビエルなのですけど、まだ怪我明けで完調ではないのか、セットプレーをはじめとするスタンディング状態はともかく、流れのなかでは個人で状況を変えるプレーを見せることはありませんでした。てか、そもそも名古屋はシャビエルにボールを集めません。不気味に思うくらいシャビエルを消してました。意図だったのかは、結局なにも起こらなかったので確認できなかったけど、単純に考えると、攻撃のタクトを振ることができるほどのコンディションには無いということなのでしょう。

今年の名古屋の売りは、ブラジル人トリオ。結果的にシャビエルのアシストでジョとホーシャが得点したので、その意味では今年の編成の狙い通りだったともいえます。でも、ジョの流れのなかでのシュートはほとんど無かったですし、ポストもモリゲが完封してました。ジョの足元の技術も確認できませんでした。今のところ、昨年J2にいる間に根付かせようとした風間サッカーを、ブラジル人を含め新加入選手が消化できず、継続進化させられていないような気がします。

さて東京は、例によって風間さんらしいソフト守備もあって、中盤の構成に苦労しません。熱量が高かった広島戦の直後だけにちょっと低調に見えたくらいだけど、さすがに広島戦のような心身とものハードワークは連戦のなかでは難しいでしょう。ターンオーバーしてきたこともあり、ちょっとローテーションの谷間のような試合と位置付けたかもしれません。

とはいえ、名古屋の攻守のポジション分断は、名古屋の低レベルな練度のせいだけではありません。東京が、今日もやっぱりディシプリンが整ったタイトな守備により、中盤を制圧したことが主要因です。今日はその一翼を草民が担いました。晃太郎と慶悟以外の選手がメイヤのスターターとして立つのは草民がはじめてです。確変した慶悟のクオリティを保つことは難仕事だと思います。さすがに今日の草民はちょっと守備加重だったかなと思います。でもシャビエルのマーカーを完璧にこなしていましたから、十分に復活といえると思います。やっぱり疲労の蓄積を気をつけないといけないコンディションにあると思うので、草民の高パフォーマンスのおかげで、メイヤのポジション争いが活性化してくれると頼もしいと思います。

今にして思えば、今日は左サイドをセットごとターンオーバーでした。宏介はフリーキッカーでもあるのでタスクがマルチだけど、宏介もまた、まずは1on1の局面の守備をしっかりというテーマだったと思います。SBの裏は名古屋の狙い処でもありますから。宏介は名古屋に有効なクロスをあげる機会を作らせなかったので、諒也とのポジション争いに名乗りあげたといっていいでしょう。そういえば広島戦も慶悟がフリーキッカーを担当していてちょっと気になりました。もしかしたら諒也が連戦の疲れを一番負担しているのかもしれませんね。

試合は、時間こそ違えど、広島戦と似たような動きかたになります。

20分。ディエゴがホーシャに倒されて得たPKを、ディエゴ自身がきっちり決めました。東京1-0名古屋。

名古屋の守備は、中盤がソフトな分、反動的に守備陣がダーティーになります。こんなところは川崎と酷似しています。ホーシャをはじめとする守備陣は、東京が、ディエゴと永井が連携して裏を狙うことをわかってますから、多少のダーティーワークを含め、タイトにこなします。それでもディエゴと永井の執拗なジャブに加え、今日も高めに置いた洋次郎の、名古屋の痛いところを狙うクレバーなスペースメイクも効いて、前半で決壊しました。

攻撃のかたちすら見せられない名古屋ですから、この先制点はかなり有効だなと思ってました。でもサッカーには、もうひとつの点の取りかたが認められているのです。

32分。シャビエルのCKのような左奥ライン際からのFK。名古屋は2本のスクリーンラインを作ります。ニア側はホーシャをエースに櫛引。ファアはジョをエースに菅原が囮です。東京は全員がペナルティエリアに入って守るハイブリッド。ニアのマーカーはモリゲと宏介。ファアはまると室屋です。シャビエルのキックモーションと同時にホーシャと菅原がニアに入ります。これで中央が空きます。この時ジョは、一度まるを押し込みながら外に逃げる動きをみせ、空いた中央に入ります。これでまるの前を取ります。シャビエルの狙いはジョ。まるはジョを離しませんけど、ジョはフィジカルで強引にまるを封じ、クロスに合わせました。東京1-1名古屋。

ことセットプレーに関しては、シャビエルの精度とジョの高さ、ホーシャのポジション取りのうまさを十分に活かせています。むしろ今の名古屋は、セットプレーに光明を見いだそうとしているんじゃないかなと思います。

セットプレーの機会を与えること自体が脅威につながるとなると、名古屋のエッジがようやく明確になり、試合展開が定まりました。なかなか難しい試合になったなと思っていたら、今日の主役がまさに主役級の仕事を果たします。

38分。草民が自陣で拳人から受けた縦パスをダイレクトで宏介へ。宏介はルックアップ。この時前線では、永井が裏に呼び込んでいました。宏介もダイレクトで、永井に答えるロングフィードを菅原の裏に送ります。これはランゲラックがカットします。このイーブンボールにチャレンジしたのは、上がってきた拳人。拳人は、ペナルティエリアに居残っていた永井が、ホーシャが戻ったおかげでオンサイドになったのを見てシルキーパス。永井は左足で合わせるだけでした。東京2-1名古屋。

点を取りたいときにちゃんと取れてるのがここまでの東京の好調を保つ要因でしょう。理由はまだわからないけど、とても心強いし、観ていてジリジリするような時間があまりなく、ホントに楽しいです。

前半は、良い流れを作って、リードしたまま終了。

後半頭から風間さんが動きます。菅原に変えて裕紀を投入します。同時にシフトをスクウェア型の4-4-2に変更します。SBは右に宮原左に和泉。裕紀はボランチに入ってアーリアと組みます。メイヤは右に青木左に秋山。

後半開始早々、追加点です。

46分。彰洋のGKから。永井のフリックは櫛引へ。永井がすぐにリロードしてチャレンジ。櫛引は裕紀にホスピタルパス。これを洋次郎が狙い、カットしたボールが永井へのスルーのかたちになります。アタッキングサードに入ります。ボールに追いついた永井はルックアップ。ディエゴがペナルティエリアに入るのを待って、シルキークロス。ディエゴは右足で合わせました。東京3-1名古屋。

これまた時間帯は異なるけど、広島戦とまったく同じ展開になりました。昨年までの東京は、ビッグネームの獲得の噂話がちょいちょい出てました。個人的には正直なところ名より実。今のぼくらに必要なのは、ビッグネームよりディエゴ・オリヴェイラです!

東京はセーフティモードに移ります。でも今日は、セーフティネットを高く設定できてました。バイタルエリアの手前のラインで名古屋をきっちり押し返せていました。なので、ファストブレイクに至る距離も十分確保できますから、名古屋にフルアタックを許しません。広島戦の課題にしっかり取り組めていました。

ところが、またもセットプレーの威力を見せつけられます。

63分。ほぼ正面のシャビエルのFK。名古屋はニアから裕紀、ジョ、ホーシャ、櫛引を横陣に並べます。マーカーはそれぞれ草民、まる、モリゲ、室屋。ホーシャは、大外からジグザグに壁を縫うように中央に入る動きをみせます。これでモリゲを振り切ります。シャビエルの狙いは、そのホーシャ。シャビエルのクロスはゴール前に入り込むホーシャにぴたりと合いました。東京3-2名古屋。

これを受け、健太さんが動きます。草民に代えて慶悟を同じく左メイヤに投入します。守備のきめ細かな安定をはかったのだと思います。

さらに健太さんが続けます。ディエゴに代えて遼一を同じくトップに投入します。いつもよりちょっと早めの退勤は、連戦のコンディションを考慮したのだと思います。そしてこれもやはり、守備の安定を意図したと思います。

直後に風間さんも動きます。秋山に代えて内田を同じく左メイヤに投入します。アジリティ系のアタッカーから、基点になってパワー勝負できる選手に切り替えて、アクセントをつけようとしたのだと思います。

後半からシフトを変えた理由はよくわかりませんでした。前半より選手とパスの循環は良くなったような印象です。ポジションのフォッサマグナは、アーリアと裕紀が中盤で役割を分担しながら広範囲に動くことで起点となり、前線の能動的なムービングを促し、ようやく埋まってきます。懸案だったバイタルエリアには、右から青木、左から秋山が細やかな動き直しをしながら入り込みます。これで前線につなげるハブができます。

パス回しが円滑になると、風間サッカーの鍵であるサイドが活きはじめます。宮原と和泉が高く位置取ることができます。二人とも技術力があるので、サイドを基点としたパスの循環がようやくできるようになりました。チームを浮上させるための直近の課題は守備力の向上だと思うけど、アンチテーゼを体現する風間さんのことですから、あくまでもスタイルの確立を優先するでしょう。エキセントリックとリアリズムのバランスを保つためには、後半の仕組みが良いような気がします。

名古屋がようやく試合を作れるようになったけど、東京守備網がジョとシャビエルを封じ続けたので、最終局面は安定したままです。そこで健太さんが動きます。永井に代えて敬真を同じくトップに投入します。これは、永井にサポーターからの万雷の拍手を浴びせさせるためだと思います。今日の主役のクランクアップはあたたかい空気につつまれました。

直後に風間さんが動きます。青木に代えて押谷を同じく右メイヤに投入します。これもドリブラーアタッカーでアクセントをつける意図でしょう。

それにしても状況を変えるだけの威力はありませんでした。このまま試合終了。東京3-2名古屋。

セレッソにいったん断ち切られた連勝ですけど、直後に三連勝です。川崎、札幌と好調な上位との対決が待つ五月に向けて、良い四月の終わりかただと思います。尻相撲眠らない街♪永井のシュワッチアーリアが挨拶に来てくれました

今日からソフトランディングなターンオーバーをはじめましたけど、チームのクオリティをまったく下げることなく、まずはプラン通りに実行できたと思います。ルヴァン杯の調子が上がらず、バックアップのコンディションが心配なのですけど、SBとメイヤに関しては、まずはひと安心だと思います。

よりクリティカルなのはセンターラインです。ヒョンス不在は、二試合連勝ですけど失点は3。平均失点を上回っているのでやはり影響は大きいと思います。されから拳人。4節以降はリーグ戦フル出場が続いてますから、上昇気流を支えた原動力は間違いなく拳人です。適度に休ませてあげたいような気もします。

せっかくのゴールデンウィークに東京はアウェイ連戦です。難敵が続くので、しっかり勝ち点を拾って東京に戻ってきてほしいと思います。


2018J1リーグ第10節FC東京vsサンフレッチェ広島@味スタ20180425

2018-04-27 20:58:09 | FC東京

心配された雨は、昼過ぎにはあがり、蒸し暑くなりました。

本日はミッドウィーク開催。今日も平日には惜しいマッチメイクです。勝ち点差9の首位攻防戦。

そして、ぼくらにとっては、もちろん因縁深い、ヒロシ。おかえりなさいヒロシ。ヒロシには懐かしいこのうたがどんな風に届いたかしら。You’ll Never Walk Alone♪

無敗の広島を撃破です。

東京は前節で負傷したヒョンスがおやすみ。シフトはダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは室屋と諒也。アンカーは拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。トップ下は洋次郎。2トップはディエゴと永井です。

広島は少しターンオーバーです。シフトはスクウェアな4-4-2。GKは卓人。CBは水本と野上。SBは右に和田左に翔。ボランチは青山と吉野。メイヤは右に川辺左に柏。2トップはパトリックとティーラシンです。

試合はいきなり動きます。

5分。ディエゴが翔に倒されて獲得したPKを、ディエゴが自ら決めました。東京1-0広島。

さらにたたみかけます。

9分。広島の自陣からのビルドアップから。青山が下がってきた川辺にパス。川辺はダイレクトで和田に渡そうとしますけど、これを慶悟がカット。このボールが流れ、ペナルティエリアに転がります。いち早く反応したのはディエゴでした。ディエゴは卓人を引きつけ、上がってきた永井に渡します。ディエゴはこれまでペナルティエリア内でシュートを優先していましたから、ちょっと珍しい連携です。走り込んだ永井は右足インステップでコントロールショットを決めます。東京2-0広島。

試合は東京がいきなりシフトをトップに入れた、アグレッシブな姿勢を見せます。執拗に裏を狙うディエゴと永井にロングフィードを送り続けます。これは二つの意図があったと思います。ひとつは中盤を省略すること。広島の作戦の基盤は、中盤のハイプレスにあります。ロングフィードで中盤を省略することで、中盤の攻防を回避することができます。

もうひとつは、広島の好守の切り替えをディレイするために、最終ラインに守備を意識させることです。おそらく各チームの広島攻略のスタンダードになるのだと思います。結論として、東京が今年はじめて広島攻略を成し得るわけですけど、要因は割り切りと実行者のスキルにあります。ポゼッション前提が主流のJ1のなかでは、東京は、ロングスプリントを攻撃の基調とする異質なチームです。おそらくこの作戦には功罪あるのだろうけど、広島対策としてはベストマッチでした。

広島に後方を意識させることで、付加的に中盤の支配力も増します。中盤の守備力を優位性の根拠としている広島に対し、むしろ優位に立ちます。アグレッシブなハイプレスで広島のお株を奪いました。広島の選手は、ちょっと面食らったところもあったと思います。

さらに工夫があります。広島を後方に引っ張ることは、とりもなおさずバイタルエリアにスペースができることを意味します。今日ダイヤモンド型を採用したのは、このためでしょう。洋次郎をチャンスメークの軸に据えます。もちろんセーフティネットも忘れません。洋次郎が上がる分のカバーとビルドアップのルート開拓は、洋次郎に代わって晃太郎が担います。これで、攻撃的なシフトでありながらバランスの取れた布陣が完成しました。

中盤を支配できますからアタックに人数をかけることができます。ディエゴと永井がゴールを目指すだけでなく、慶悟もゴール前に顔を出せます。さらに室屋と諒也も高く位置取ることができ、広島の重心を下げます。これで、ますます中盤のイニシアチブが高まります。

東京は今日の所期の作戦が気持ち良いほどはまり、ポジティブスパイラルに入ります。東京のイニシアチブは、作戦だけの成果ではありません。選手ひとり一人の熱量が広島の選手を凌駕していました。闘うことに対する気持ちの整理とチームとしてのコンセンサスが高い次元でできていたからでしょう。

広島は、なのでほぼ沈黙しますけど、広島の闘いかたの基本は垣間見られたような気がします。それはポイチサッカーの正常進化形です。ポイチさんが組み立てたサッカーは、ワイドオープンに網を作って囲い込んだうえで、網の中をフレキシブルにして守備網を混乱させることを基調とします。ヒロシ広島は、形の上では4バックですけど、コンセプトは同じ。攻撃時にバックスが3枚なので、幾分セーフティといえるくらいです。

攻撃の優位性を生むポイントは、網の中の選手の流動性です。これを体現するのはメイヤです。なかでも柏はボールサイドでの自由をかなり許されているらしく、川辺と頻繁に同サイドにかぶります。このあたりは晃太郎の役割に似ています。柏のフリーランスに対し、川辺は基本的に右サイドに位置取ることで数的優位を作ります。

広島のボランチは縦関係です。攻撃時に青山が最終ラインの真ん中にはいるあたりが、かたちは変わってるけど広島のベーシックな闘いかたを継承する名残です。吉野は攻撃に加わり、網の中の人を担います。メイヤが作る数的優位に対し、吉野が攻守のスペースのバランスを見ている印象です。ただ吉野はターンオーバーで、結果バランサーの色が強かったのでしょう。

広島伝統の網の中の人を機能させるためには基点が重要です。以前はWBを基点にしていましたけど、ヒロシ広島はオーソドックスに前線に預けるスタイルです。なのでパトリックかティーラシンにかたち良く収まることが攻撃を有効にするか否かの基準になります。今日の東京守備陣は、タイトマークでパトリックとティーラシンの自由を徹底的に奪います。勝因のひとつはこの守備陣のがんばりにあると思います。

2点目が入ってから、さすがに東京は少しペースを落とします。つっかえが取れたように、変わって広島が攻撃を開始します。守備加重とはいえもともと攻撃特性が高い広島ですから、前を向けるとなると俄然息を吹き返します。広島のかたちができるようになってちょっと危ないなと思いました。それほど前述した広島の攻撃方法は整理されてますし、威力も十分です。広島はけしてメディアで言われているような守備偏重のチームではありません。優位性に根ざした確たる攻撃スタイルを持っています。あらためて、ヒロシ広島は勝てるチームとはなにかということを教えてくれたような気がします。

ヒロシ東京が勝てるチームに成り得なかった理由は、ヒロシと東京がゼロからチームを作ろうとしたためだと思います。それがヒロシ自身の想いだったのか、あるいは東京の当時の強化部の要請だったのかはわかりません。ヒロシ広島をみると、ヒロシ自身も志向が変わったような気がします。と同時に、ヒロシをして勝てるチームを作らしめる広島のチームとしての基盤の強さと厚さに凄みを感じます。前半はリードしたまま終了。

後半も、いきなり動きます。

51分。東京陣内で晃太郎が吉野にチャレンジ。イーブンボールを拳人が拾って、前方を走る洋次郎にパス。洋次郎は、自陣からルックアップ。この時前線では、ディエゴが水本と野上の間を抜け出そうとしていました。これを見逃さない洋次郎は、右足アウトでディエゴにスルーを送ります。追いついたディエゴは、ペナルティエリアに入って、冷静に右足でゴール左隅に流し込みました。東京3-0広島。

これで事実上試合は決まったかなと思いました。ここまでの東京の試合運びは満点でしたから。ところが、このゴールがヒロシ広島の獰猛性を呼び起こします。

まずヒロシが動きます。ティーラシンに代えてフェリペ・シウバを左メイヤに投入します。柏が右メイヤ、川辺がトップにそれぞれ回ります。フェリペは広島に攻撃のリズムをもたらします。前線での基点作りに苦しんでいた広島ですけど、左サイドにはるフェリペにボールを預けることで、またそのフェリペに収まることで、攻撃ルートを開拓します。

一方、東京も、受けモードに入ります。もちろん常套なのですけど、そこはかとない不安を感じました。フェリペを軸にした広島の躍動感に威力がありましたから。結果的に逃げ切るのですけど、これは東京守備陣の執念の賜物だったかもしれません。今日はキャプテン不在でしたから、守備の技術的な安定と牽引力に不安がありました。それをネガティブな結果に結びつけまいとする想いが選手たちにはあったのでしょう。

健太さんが動きます。永井に代えて遼一を同じくトップに投入します。前線の収め処を増やして重心を上げようという意図だと思います。でも広島から攻撃権を奪うまでには至りません。

状況が変わらない処でヒロシが動きます。吉野に代えて稲垣を同じくボランチに投入します。中盤の運動量を上げて支配力を高める意図です。さらに稲垣のアタッキングサードでの仕事に期待して、より攻撃特性を高める作戦でもあると思います。そして、広島の反撃がかたちになります。

60分。遼一が翔と競ったボールが流れ、フェリペのもとへ。フェリペはダイレクトで、最前線でフリーになっていた川辺に渡します。川辺はターン。攻撃スイッチが押されます。広島は、ファアをパトリック、中央を柏、ニアにフェリペが一気に縦に加速します。東京は下がり基調で、マークの確認中です。そのタイミングで、川辺はパトリックにスルーを送ります。パトリックはペナルティエリア外ですけど構わず、ダイレクトショット。これは彰洋がはじきます。こぼれ球をふたたびパトリックがシュートしますけど、まるが防ぎます。このクリアボールが、真ん中を上がってきた稲垣のもとへ。稲垣は右足ダイレクトボレーで合わせました。東京3-1広島。

失点を受け、健太さんが動きます。晃太郎に代えて草民を左メイヤに投入します。慶悟が右に回ります。中盤の運動量を回復しようという意図だと思います。

ヒロシがさらにたたみかけます。柏に代えて工藤をトップに投入します。川辺が右メイヤに下がります。アタッカーのシュート力を上げてフィニッシュの可能性を拡げる意図だと思います。

健太さんが動きます。ディエゴに代えて敬真を同じくトップに投入します。アタッカーを代えるかたちに反して、作戦は守備を意識したものだと思います。それまで流れを取り戻すためのアジャストでしたけど、ここから逃げ切りに作戦の主眼を変えます。敬真は遼一とともに、ボールホルダーへのチェックを厚くする役割です。

この割り切りが奏功します。試合展開を東京伝統の泥仕合に持ち込むことに成功しました。広島は人数をかけて東京を押し込みますけど、シュートを打てども、ほぼ全員をペナルティエリア内に閉じこもらせる東京の堅い守備網をこじ開けられません。今年は守備が洗練されていたので、ひさしぶりに泥仕合を観て懐かしくもありました。このまま試合終了。東京3-1広島。

絵に描いたような先行逃げ切りが決まりました。ロースコアを防ぎきることはあってもここまで先行を有利にしたことはこれまでの東京には無いパターンです。長距離砲を持つ身ですから、基本パターンとして先行逃げ切りもアリかもしれません。できれば、もうちょっと逃げかたを安定させたいところですけど。眠らない街♪ディエゴのシュワッチ。

無敗の首位広島を撃破です。先日の鹿島といい、今年のミッドウィーク開催はポジティブでドラマチックな試合が観られるのかもしれませんね。ワールドカップ開けのミッドウィークもこの流れが続くといいなと思います。

ヒロシノスタルジーを無事勝利で終え、首位との勝ち点差を6に縮めることができました。15連戦を好成績で折り返すことができました。鬼門のゴールデンウィークを今年はどう乗り切ってくれるのかしら?。


半分、青い。ロケ地の旅 ―20180426 連続テレビ小説「半分、青い。」展―

2018-04-26 22:57:24 | 連続テレビ小説半分、青い。

躑躅がにぎやかに咲いて、街を彩ります。

もうすぐゴールデンウィーク。

平成30年度前期連続テレビ小説「半分、青い。」がいよいよはじまりました!。

スタパの朝ドラ展示にはできるだけはやく来るようにしてるのですけど、今回は第4週になっちゃいました。半分、青い。ロケ地巡りの旅、これにてようやくスタートです。東美濃にも行ってみたいし、東京編のロケ地も楽しみ。

というわけで、半分、青い。のロケ地巡りスタートです。

スタパに入ったら、いきなりどーもくん。

朝ドラロケ地巡りのスタートは、恒例通り今回もスタジオパークでございます。

連続テレビ小説「半分、青い。」展を開催しています。6月10日までを予定していますので、お時間がおありのかたはぜひスタジオパークに足をお運びください。

第23週までの、わかった範囲ですけど主要なロケ地です。
・鈴愛と律が通う朝露高校の正門は、県立土岐商業高校です。
・ふくろう商店街は、恵那市岩村町の街並みです。
・宇太郎さんと晴さんが歩いてた小道も恵那市岩村町です。
・仙吉さんのガマガエルの道も恵那市岩村町です。
・鈴愛と律が名前の秘密を話してた飛び石のある公園も、恵那市岩村町です。
・岡田医院は、多治見市の中央クリニックです。
・鈴愛と律の小学校は、郡上市大和町の大和北小学校旧東弥分校です。
・仙吉さんの畑は、瑞浪市土岐町です。
・鈴愛がはじめて律の前で泣いた河原は、江南市の木曽川の江南緑地公園です。
・糸電話の赤い橋は、関市の鮎之瀬橋です。
・楡野家が廉子さんのお墓参りの帰りにお昼を食べてた空き地は、中津川市落合です。
・鈴愛がくじらの絵を描いていた校舎と、律がバスケットボールをしていた体育館と、菜生の弓道場は、県立加茂高校です。
・鈴愛の通学路のバス停は、瑞浪市の万尺公園です。半分、青い。のクランクインもこちら。
・鈴愛がこばやんとデートしてたのは、博物館明治村です。
・美術部のみんながスケッチしてた吊り橋は、瑞浪市の土岐川の吊り橋です。
・オフィスティンカーベルは、杉並区の民家です。
・東美濃のバスセンターは旧土浦市役所本庁舎です。
・鈴愛がはじめて東京に降り立った街並みは、ロイヤルガーデンカフェ青山です。
・鈴愛が網タイツをかけあみだと思ったのは、台東区のおかず横町です。
・律と正人がおもかげに向かって歩いたのは、西新宿のあやめ橋です。
・律と正人が犬を助けたのは、横浜市の川和北八朔橋です。
・西北大学の弓道場は、羽村市弓道場です。
・西北大学のキャンパスは、東京農工大学です。
・オフィスティンカーベルをクビになった鈴愛が歩いてたのは、札の辻橋です。
・鈴愛と正人がデートしてたのは、勝鬨橋のたもとです。
・鈴愛が律に電話していた東京駅の公衆電話は、NTT日比谷ビルだと思います。
・鈴愛が律に再会した夏虫駅は、わたらせ渓谷鐡道の沢入駅です。車両はわ89-310形。
・鈴愛の引っ越しの軽トラが走ってた道は、千葉ニュータウンです。
・鈴愛と裕子とボクテが最後に訪れたのは、ふなばし三番瀬海浜公園です。
・なんでも作るよオフィスは、世田谷ものづくり学校です。
・律の東京の職場は、品川シーズンテラスです。
・鈴愛と律が五平餅屋台で再会した川べりは、船堀の新川です。

それでは半分、青い。展を見学しましょう。

恒例通り、スタジオギャラリーがメインの展示です。

スタジオギャラリーの展示の全景はこんな感じ。

反対側から見るとこんな感じ。

ヒロイン楡野鈴愛役の永野芽郁さん。ちなみにキャストのパネル写真は、ほぼ等身大。

萩尾律役の佐藤健さん。

楡野宇太郎役の滝藤賢一さんと楡野晴役の松雪泰子さん。

楡野仙吉役の中村雅俊さん。

楡野草太役の上村海成さん。

萩尾弥一役の谷原章介さんと萩尾和子役の原田知世さん。

半分、青い。の作品紹介パネルと人物相関図。

岐阜編のキャラクター設定。

ふくろう商店街のガチャガチャ。

ちび鈴愛ちゃんの洋服。

つくし食堂の玄関。このセットは実際に撮影で使われたセットだそうです。

つくし食堂の看板。

のれん。

屋根の上のメニュー。

メニュー表。

五平餅コーナー。

店の表戸のデザイン。

床。

続いて、小道具です。

仙吉さんが鈴愛につけようとした名前。

鈴愛がノートに書いた雀。

半分、青い。の台本。

鈴愛が草太にもらった定規。

鈴愛の机の上にあるもの。

記念撮影用のボード。

ふくろう商店街の看板たち。

当時の企業広告をパロってあるのですけど、元ネタわかります?

エンディングのアイデア写真を募集中です。

Bフロアの半分、青い。の展示は、キャストさんのサインと作品の紹介パネルです。キャストさんのメッセージです。
永野芽郁さん「頑張ります!」
松雪泰子さん「楡野晴役」
滝藤賢一さん「応援よろしくお願いします」
中村雅俊さん「ヨロシク!」
風吹ジュンさん「心は流れる雲です」
上村海成さん「「半分、青い。」ぜひぜひみてください~」
佐藤健さん「がんばります。」
原田知世さん「応援してくださいね!!」
谷原章介さん「毎朝の楽しみになりますよう」
余貴美子さん「見るべし!」
矢本悠馬さん「よろしくおねがいします!」
奈緒さん「応援よろしくお願いします!!」
豊川悦司さん「半分、青い。」
井川遥さん「ひしもっちゃん 見て下さってありがとうございます♡」
清野菜名さん「見て下さい!!」
志尊淳さん「”僕って~” お楽しみに~!!」
中村倫也さん「「半分、青い。」ぜひ見てください!!」
古畑星夏さん「弓道とっても楽しかった! 筋肉痛~」
井川さんの色紙はひしもっちゃんのイラスト付きで可愛かったです。

作品の紹介パネルです。

ロケの様子。

ふくろう商店街のイメージキャラクター。

1970年代のふくろう商店街のデッサン。

1989年/90年のふくろう商店街のデッサン。

今回の半分、青い。は、キャラクター設定がしっかりしているし、シナリオに無理がありません。まったく違和感なく観ることができて、嬉しいです。ぼくは鈴愛と律と一歳違いなので、まさに同じ時代を生きてました。出てくる小ネタが懐かしくて、そんなところにも親近感がわきます。

それになにより、永野芽郁ちゃんが可愛いですね。やっぱり朝ドラは、ヒロインが毎日観たいかたじゃないとね。これから半年間、ほっこりワクワクしながら過ごしたいと思います。


2018J1リーグ第9節清水エスパルスvsFC東京@アイスタ20180421

2018-04-21 22:09:56 | FC東京

初夏のような陽気がやってまいりました。もうすぐゴールデンウィークですね。

ミッドウィークのカップ戦をオプショナルなメンバーで過ごして、いろんな面でひと息いれた東京。

気温の上昇とともにやってきましたは、南国駿河清水。健太さんと縁深い、ちびまる子ちゃんダービーです。

日本平独特の海風に翻弄された試合をスミ1で乗り切りました。まるちゃん奪取で、連敗回避です。

東京はモリゲが戦線復帰です。シフトはスクウェア型の4-4-2です。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と諒也。ボランチは拳人と洋次郎。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと永井です。

清水は前節と同じオーダーです。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは六反。CBはファン・ソッコと二見。SBは右に立田左に松原。ボランチは河井と竹内。メイヤは右に金子左に石毛。2トップはクリスランと北川です。

今日の主役は風です。駿河湾の強い海風がホームゴール裏からアウェイ側に吹きます。前半風上を取った清水が、先行逃げ切りを狙います。

ヨンソン清水のコンセプトは、東京に似ています。シンプル・イズ・ザ・ベスト。広島時代のイメージから、守備に過剰に重点を置くサッカーを想像してましたけど、昨年はスクランブル登板でしたから、本来のヨンソンさんのサッカーにこだわらないスペシャルプランだったようです。東京と似ている部分は、4+4の2ラインを基調とし、献身的なチェイシングで中盤から後ろの守備を堅固にすることを前提としていることです。相違は攻撃。清水の攻撃はよりコレクティブで、人とボールのムービングは、もしかすると東京よりも高度にストラテジックかもしれません。

清水のゴールパターンは多彩です。ただストロングポイントになり得るかたちは、クリスランのゴール前のパワーと金子のテクニックによる独力アタックです。なので清水は、右で作って左で仕掛けるサイドアタックを攻撃の基調とします。松原からのクロスにクリスランが合わせるか、逆サイドの金子に回してペナルティエリアをかけまわすか、あるいは彼らを囮にして、北川、石毛、竹内が狙う作戦です。

アタッキングサードにボールを運ぶまでの処理は、テクニカルでパワフルです。基本はクリスランに集めて重心を上げようとしますけど、金子と石毛がバイタルエリアで受けることもできます。ちびっこメイヤコンビはビルドアップには不向きだと思っていましたけど、あにはからんや、二人とも体幹の強さを思わせます。デュークと白崎という、フィジカルにも引けをとらない選手を越えてレギュラーなのですから、ボールコントロールの技術だけではない強さを内在しているのでしょうし、実際に証明していました。

前半の清水は、ロングフィードでリズムを作る東京の逆手を取ります。ていうか、風で東京のフィードが戻されます。ピッチレベルとピッチ上空では風力に著しい差があったようです。前半の清水サイドのエリアには、見えない空気の壁のようなものがありました。彰洋をはじめとする東京の後方からのフィードはちょうど中盤あたりで失速し、落ちてきます。前半の清水には、言わば12番目のDFがいたようなものです。

地元の風を味方につけた清水の中盤は、東京のリズムを寸断します。中盤をことごとく支配しますから、流れよく攻撃に移行できます。早々、清水がイニシアチブを握ります。

東京はひたすら耐えます。けしてリトリートしたわけではありませんけど、ロングフィードが思ったよりも伸びず、ディエゴと永井に渡りませんから、必然的に無理な攻撃を自重します。むしろ清水のゴールパターンを抑えにかかります。クリスランに対しては、クリスランが休み明けのモリゲを狙ってきているのを見て、前半途中からヒョンスをマンマーク気味につけます。これでクリスランのポストと裏に抜ける動きを封じます。

金子に対しても、諒也と慶悟が集中高くスペースを消します。結局金子の有効なアタックは一度だけでした。清水の右サイドは、金子を活かすためか立田はそれほど積極的に攻撃に顔を出しません。セーフティネットなのかもしれません。

一方左サイドは、石毛と松原が交互にアタッキングサードのスペースを使い合うコンビネーションが出来ています。室屋と晃太郎は対応に苦労しただろうと思います。左サイドは、このように石毛もしくは松原の効果的なタイミングのクロスが何本かありました。それからアタッカーのフォアチェックから東京最終ラインのミスを誘発する大ピンチも数回ありました。

それでも東京は耐え忍びます。マンマーク気味につくことでクリスランを消した効果があったのかもしれません。それからペナルティエリア内の守備ブロックが堅固で、エリア内のシュートを許しません。清水は積極的にシュートを打ちますけど、ペナルティエリアに入れないためやむなく遠めから打ったシュートも目立ちました。前半はスコアレスのまま乗り切りました。

後半は、一転立場を入れ替えます。清水にとっては、先行できなかった恐怖感が甚だしかったと思います。なにしろ前半で自らが東京に見せた圧力を、そのまんま返されるわけですから。

いや、もとい。東京はそもそもロングフィードを基調とするチームですから、風上の優位性は清水の比ではありません。文字通り、倍返しです。案の定、ディエゴと永井が風に乗ります。追い風に後押しされたフィードとアタッカーは翼を広げ、前半の鬱積を一気に晴らすかのように颯爽と清水ゴールに迫ります。

つまるところ、風という不可抗力な自然要素があったとしても、試合の流れを決するのはチームの地力だということなのでしょう。たしかに清水は、洗練されたコレクティブな連携を見せましたけど、アーティスティックインプレッションの加点はありません。東京はようするにディエゴと永井の個でなんとかしているだけだろと批判されたとしても、だからなにか?。持てるもののアドバンテージとそれを最大限活かす作戦の相乗効果で清水を凌駕します。

ところがここでアクシデントが起きます。ヒョンスが負傷の影響で下がります。代わってまるが同じくCBに入ります。モリゲが復帰したと思ったらヒョンスにアクシデントとは、バイオリズムの流れの悪さを怨みかねないところですけど、まったくまるがいてくれてよかったです。まだ守備に神経を使う状況ではなかったことも幸いしました。

そして、直後にハヤブサが風に乗って、舞ます。

59分。松原のスローインから。拳人がカットして前方の永井につけようとしますけど、これを竹内がカット。ボールは逆サイドに流れます。イーブンボールを拾った立田は前方の金子につけるチャレンジ。でもこれを今後は諒也がカット。慶悟に渡ります。アタッキングサードに入り、攻撃スイッチが押されます。慶悟は中央に来た晃太郎にパス。晃太郎はダイレクトで一気に裏を狙うスルーを送ります。これがソッコと二見に間を抜けます。そこに走り込んだのは永井でした。ペナルティエリアに入ります。永井が倒れ込みながら右足で流し込んだシュートは、ころころとゴール右隅に転がりこみました。清水0-1東京。

攻撃の威力では清水との違いを見せていたとは言え、結果が伴っていなかったので、これで安心しました。アタッカーのキレとパワーに好調時と遜色を感じませんけど、守備網を堅持されたときにそれを薙ぎ倒すほどの威力はまだ備わってないということかもしれません。高速アタックでノンストップクロスにディエゴが合わせるシュートパターンをここのところ見せているのが、さらなる伸び代のような気がします。

先制しても東京は闘いかたを変えません。依然、イニシアチブを握り続けます。このことが終盤に向かうにあたって試合を安定できた要因です。

そこで健太さんが動きます。永井に代えて遼一を同じくトップに投入します。永井のコンディションを考慮しつつ、試合の流れを維持する作戦です。もしかするとミッドウィークに敬真がゴールしているので、遼一に刺激を与える意図もあるのかもしれません。

同時にヨンソンさんも動きます。北川に代えてテセを同じくトップに投入します。最前線に杭になるようなターゲットマンを置く意図だと思います。

これが奏功します。前半よりもピッチレベルの風が落ち着きだしたこともあってか、攻撃権が清水に渡ります。同じころ、東京のコンディションがガタンと落ちます。拳人、慶悟、洋次郎が足を気にするようになります。急に気温が上がったので、体を冷却する夏の対処法にアジャストしきれてないのかもしれませんね。あるいは連戦の疲れがやっぱり出てきているのか。それを見逃さず機を見て敏なりな作戦をうつヨンソンさんは勝負師です。

清水はテセにボールが収まるようになったので重心を上げます。流れが来たことを受け、ヨンソンさんが仕掛けます。石毛に代えてデュークを右メイヤに投入します。金子が左に回ります。これでさらに清水の攻撃が活性化します。デュークのスピードが活き、縦への推進力となります。

そこで健太さんが動きます。足をつった慶悟に代えてマコをボランチに投入します。洋次郎が右メイヤ、晃太郎が左に回ります。小さくはありますけど、これもアクシデントへの対応に追われたかたちです。

直後にヨンソンさんも動きます。立田に代えて白崎をボランチに投入します。河井が右SBに回ります。セーフティネットをはがす、超攻撃的オーダーで一気に同点から逆転を狙うアグレッシブな作戦です。論理性の高さとチャレンジ精神を宿すヨンソンさんのサッカー志向が垣間見られた印象です。今日でいっぺんにヨンソンさんが好きになりました。

清水の勢いは、シュートアテンプトのテセをゴール前でフリーにするところまで迫りましたけど、サッカーの神様は王国には微笑まず。耐え忍ぶ東京に凱歌をうたう権利をお与えになりました。このまま試合終了。清水0-1東京。

風と神様のいたずらで、上天気の下、とてもわかりやすくエンターテイメント性に富んだ、素晴らしい試合でした。結局のところ、同じ条件で勝ち点3の東京とゼロの清水の彼我の差は、チーム力の差にほかならないのでしょう。眠らない街♪WE ARE TOKYO♪永井のシュワッチおどるポンポコリン♪

少しずつ、連戦の影響がフィジカルコンディションに現れてきていると思います。これから暑く湿気も高くなりますから、体の負担を少しでも軽減できるよう、チームも選手もケアしてほしいと思います。

怒涛の15連戦も7戦を消化しました。次節でちょうど折り返しです。ここまで4勝2敗1分。うちリーグ戦は4勝1敗。例年春先に調子を落としていることを考えると、期待以上の成績だと思います。このままのリズムを保ってほしいと願います。

次節は、いよいよヒロシ広島。あたま一つ抜けた首位を因縁深く迎えます。今回は、そんなヒロシに、騙されません。


2018J1リーグ第8節セレッソ大阪vsFC東京@ヤンスタ20180414

2018-04-15 20:04:12 | FC東京

毎年、桜が散ると日本の山里の風景がハッとするようにドラスティックに変わります。

新しい季節を迎える候に、サクラ色の大阪。登美丘高校のみなさんの楽しいダンス♪

本日はサクラの大阪、セレッソでございます。You' ll Never Walk Alone♪

互いにコンディションを意識した渋い展開は、痛恨のワンミスで勝ち点を逃しました。

東京はディエゴが半休です。シフトはダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBは今日もヒョンスとまる。SBは室屋と諒也。アンカーは拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。トップ下は洋次郎。今日の2トップは永井と敬真です。

セレッソはACLがあってほぼ毎試合がターンオーバーです。シフトは4-2-3-1。GKはキム・ジンヒョン。CBはヨニッチと木本。SBは右に陸左に丸橋。ボランチは蛍と西本。WGは右に宏太左にトシ。トップ下は曜一朗。1トップは健勇です。

3位と4位の楽しみな上位対決は、過密日程の影響を受けてしまいます。東京は、結果論ですけどここまで上位チームとの対戦は仙台のみ。ある意味対戦スケジュールに恵まれています。今日はついに実力のあるチームとの対戦です。

連戦も五戦目ともなるとそろそろコンディションの負担が出てくると思います。東京はずっとほぼベストメンバーできてましたから心配でした。計画的にコントロールすることほどの余裕は、実力、編成ともにありませんからいたしかたないと思います。今日はディエゴがオプションスタートです。展開によっては願わくば全休させたいところ。

一方セレッソも、ACLでひと足はやく開幕しているうえ、長距離移動もあり、かつ蛍、健勇、ジンヒョンとA代表メンバーもいて、バイオリズムは下降傾向にあるでしょう。東京、セレッソともベストな状態で対戦してほしかったけど、これもリーグ戦のあやですね。

というわけで両チームとも超コンサバティブな選択をします。4+4の守備網をコンパクトにたたみ、かつ低めに設定します。FWのファーストチェイスも控えめです。必然的に攻撃はパスを主体としたゆっくりとしたリズムに成らざるを得ず、東京が得意とする超高速オープンブローは繰り出せません。

ディエゴに代わって敬真が入りました。ディエゴの役割を永井が担うか敬真が担うかそれとも分散するかが注目でした。おそらく、そのいずれでもなかったと思います。永井の役割はいつもどおりです。なので敬真が基点になりますけど、ディエゴとの違いはフリースペースを探して基点になること。ディエゴはあえてDFのいるところでポストを受けます。これにより守備網のバランスを崩すこたが狙いです。敬真の場合は、よりコレクティブで、パスを主体として円滑に攻撃サイクルが回ることを意図しています。

ディエゴと永井の絶妙なコンビネーションを基準にみてしまいますから、どうしても敬真と永井はまだ、高速でフレキシブルな試合の流れのなかでお互いのプレー選択の特徴をつかめていないように見えます。でもターンオーバーは必要ですから、新しい組み合わせのチャレンジは歓迎ですし、どんどんトライしてほしいと思います。

セレッソはそもそもスローな攻撃に長けたチームですから、前半の展開は願ったりだったかもしれません。代表遠征以来、健勇の調子が上がっていなかったけど、おやすみをとってコンディションを整えています。東京がメンバーを固定しているのに対し、セレッソは毎試合スターターを変えています。これは昨年からトライしているようですからユンさんの基本的な考えなのだろうと思います。例えば今日はU-23を主戦場とする西村をスターターで起用しました。互いに様子を伺う難しい展開にもかかわらずセレッソの守備網は、西村を含め安定していましたから、ターンオーバーのクオリティの高さを証明していたと思います。地味だけどユンセレッソの凄みを実感しました。

セレッソのスローアタックの特徴はオープンワイドであることです。サイドアタックを好むユンさんのスタイルの表れだと思います。攻撃に転じると両WGが開き、ピッチの横幅いっぱいを使った布陣を取ります。WGが基点となり、SBを絡めて数的優位を使うか、もしくは自らがペナルティエリアにむかって仕掛けることもできます。WGは選手層も厚く、もっともターンオーバーしているポジションのようです。今日のセットですと、宏太は陸とのコンビネーションを重視し、トシは独力突破を狙っていたようです。

健勇も技術を活かして足元でポストを受けるタイプです。なのでバイタルエリアに下がって基点になります。一方、曜一朗はつるべの動きのように、健勇が下がると前に出ます。逆パターンもあり、この二人とサイド、それに蛍を加えたコンビネーションをペナルティエリアで作られるかがセレッソの信条です。

東京はセレッソのペナルティエリアへの進入を許しません。セレッソのサイドの展開も、曜一朗や健勇の中央の仕掛けに対しても、ペナルティエリアへの進入を防ぎます。今日は、少なくとも前半のファーストミッションは、セレッソの攻撃の自由を奪うことだったと思いますので、予定通りの進行だったと思います。

前半30分を過ぎると、両チームの思惑が完璧にシンクロナイズドします。互いにロングフィードを蹴り合う、高射砲の応酬になります。とにかくコンディションのこともあり、互いに現在の好調に対するリスペクトもあり、前半はこのままで良いという判断でしょう。願い通り、前半はスコアレスのまま終了。

さて、先に仕掛けたのは健太さんでした。後半頭から動きます。敬真に代えてディエゴが午後出社です。さらに晃太郎と慶悟を左右入れ替えます。前半を観て、よくて一点差勝負、あるいはスコアレスドローもあり得るかなと思っていたので、勝負は終盤だと思ってましたから、後半開始早々の健太さんの仕掛けにはびっくりしました。カードは後出しのほうが有利ですから。でも健太さんは守備の安定を見て逃げ切れると感じ、イニシアチブを取りにいったのかもしれません。案の定、サッカーがガラッと変わります。

結果的にこの勝負は裏目に出ます。アウェイでもあり、場合によっては勝ち点1を取りにいく選択も、終わってみればありだったかなと思います。でも、まだチームを作っている過程であり、4連勝と調子が上向いてますから、勢いを加速させる可能性を選んだのでしょう。現場で観ているぼくらもそれを願いましたし。

東京はディエゴを軸に積極的な仕掛けを見せます。ディエゴが前に出てひっぱるので、後方もフィードのターゲットが明確になります。加えて永井もディエゴとの距離感を意識できるようになります。東京がセレッソゴールに迫ります。

チームが受けに回ったのをみて、ユンさんが動きます。二枚同時代えです。曜一朗に代えてヤン・ドンヒョンをトップに投入します。西本に代えて山村を同じくボランチに投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。

ドンヒョンは曜一朗のコンディションを考慮したのだと思います。それに前線のターゲットマンを固定して、後方からの押し上げの基点とするとともに、健勇によりフィニッシュを意識させる意図だと思います。山村は中盤の安定を図ったのだと思います。

それでも東京の攻勢は変わらず、もしかすると先制できるかもと期待していた矢先、アクシデントから失点します。

74分。ジンヒョンのGKをドンヒョンが洋次郎と競り、前方にフリック。これは長く流れてセーフティゾーンに落ちますけど、処理を彰洋とヒョンスがお見合いします。それでも彰洋が拾おうとしますけど、ボールが雨に濡れていてファンブルします。そこにトシが詰めてました。セレッソ1-0東京。

直後に健太さんが動きます。諒也に代えて宏介を同じく左SBに投入します。宏介に関しては、諒也のコンディションというよりか、左SBのポジション争いをくすぐる意図だと思います。クリティカルな局面で、セットプレーを含めて大きな期待を込められたわけですから、宏介が意地をおぼえないわけがありません。

さらに健太さんが続けます。慶悟に代えて建英を同じく右メイヤに投入します。建英は、慶悟のコンディションがいちばんの理由でしょう。慶悟が下がって目に見えて攻守ともバランスが崩れましたから。それでも建英にプレー機会を与えることは大事なことだし、チームを救うゴールが期待される絶好の状況でもありましたから。

この交代による効果よりも、先制したことによるセレッソの蘇生のほうが影響が強く、セレッソがイニシアチブを握ります。東京の攻勢をひっぱったのはディエゴですけど、それを支えたのは中盤の支配力です。このため受け身に回っていたセレッソでしたけど、先制により逆に中盤をコントロールできるようになります。

チームの安定をみて、ユンさんが動きます。トシに代えてキヨを同じく左WGに投入します。トシのコンディションを考慮しつつ、ワールドカップを控えるキヨの試合感回復を図る作戦だと思います。

反転攻勢に出たい東京でしたけど、今日はチームのブースターは一段のみでした。ブーストが効いている間にゴールできなかったことが悔やまれます。このまま試合終了。セレッソ1-0東京。

まだシーズン序盤ですから、さまざまな可能性を試すことは良いチャレンジだと思います。今年はターンオーバーがやはり重要であり、また時として勝ち点をコツコツと拾うことも必要なのだと再認識できました。モリゲ不在のリスクはあまり感じず守備はほぼ盤石でしたから、もったいない結果ではあります。

急務の課題は攻撃です。現状ではスターターセットのクオリティが抜きん出てます。今日のようにスターターの誰かが抜けた場合のオプションを積極的に探るチャレンジは歓迎です。その機会を与えられた選手は、役割を意識しつつしっかり頑張ってほしいと思います。

さいわいなことに次のミッドウィークはカップ戦です。コンディションを整える必要のある主力をやすませ、次の週末に向け、準備してほしいと思います。