ようやく長梅雨が明けそうで、今年も夏空が戻ってきました。

快調、なつぞらの東京編。なつぞらは、東京編に入ってもうまく帯広を混ぜていて、北海道の香りを残しながらお話が進みますね。

梅雨の合間に、なつぞらのロケ地めぐりを再開です。

今回は北茨城。ひよっこの舞台に戻ってまいりました。

今年、ひよっこ2が放送されましたから、まだまだ記憶にあたらしいですね。

なつぞら北茨城ロケ地は、なっちゃんの学生時代をめぐります。

旧初原小学校です。

それではロケ地めぐりをスタートします。「1から7は引けないので、お隣の、10の位から10借りてきます。10引く7は3。3足す1は、4ですね」「ねえ、何見てんの?」「えっ?見てないよ」「何も見てないわけないしょ」「後ろを見てただけよ」「奥原なつさん」「はい!」「この問題、分かりますか? 今の授業を聞いていたら、分かるはずですよ」「あの、答えは…。10銭です!」「せん?」「あっ、10です!」「金の計算してんじゃねえよ」「正解ですけど」「すみません」。なっちゃんと夕見子ちゃんの小学校です。

「なつは、バターと一緒に、おじいさんの夢を味わいました。そして…」「皆さん、来週はいよいよ、この学校で映画会があります」「え~! やった~!」「チャンバラだよな?先生。チャンバラだよね?」「いいえ、今度の映画は、お待ちかね、漫画映画です!」「あっ…皆さん、漫画映画見るの初めてですか? 先生も一度しか見たことないんだけど、楽しみにしてて下さいね」「はい!」「チャンバラがいいよな!」「はい。家族の人み~んな来ていいですから、そのように伝えて下さい」「はい!」「チャンバラがいい!」「はい。それでは皆さん、さようなら」「さようなら」「チャンバラ、チャンバラ…!」「ねえ、漫画映画って、どういう映画かな?」「見たことないの?」「ないよ。あるの?」「あるよ」「漫画映画って、漫画がうつってるのかな?」「絵が動くんだよ」「絵が動くのか…。そうだと思った!」「フフフ…」「フフフ…。楽しみだね」「うん」「なつは、もう一つの夢を、味わうことになるのです」。

「翌日の放課後、なつは、倉田先生と一緒に、農協に向かいました」。剛男さんが勤める音問別農協です。

「なつ!どしたんだ?」「父さん、突然ごめんなさい。こちらね、学校の倉田先生」「ああ…なつが、大変お世話になっております」「倉田です」「あっ、あの~。うちのなつが何か問題でも?」。

「あっ、違うの。倉田先生は、演劇部の顧問で、今日は、農協の問題を知りに来たの」「えっ?」。

「泰樹さんと、農協の問題は、ますます、こじれてゆくようでした。なつは、おじいちゃんのために、演劇という表現を通して、その答えを見つけようとしているのです」。

旧初原小学校から南に下って国道461号線に出ますとすぐに、旧上岡小学校があります。

おひさま、花子とアン、記憶に新しいところですとひよっこのロケ地ですね。通常は一般公開をしていないと思っていたので来る機会がなかったのですけど、現在は常時公開されているようです。

さらに南下して、国道461号線から国道118号線に入り、水郡線沿いを南下します。目指す先は、国道から逸れてとても細い道に入りますから、住民のかたの歩行者や対向車に注意しましょう。

旧西金小学校です。

なっちゃんの母校、十勝農業高校です。

「おい、ちょちょちょちょ…それで、どうやって人工呼吸やったんだ?」「はい。じゃあ…よっちゃん、手伝って」「えっ? ちょっと…どうするのよなっちゃん」「よっちゃん、ここに寝て」「寝るの?やだわ…ふしだらよ」「大丈夫、牛だから」「私が牛なのか?」「早く」「まずは、鼻にたまった、羊水を、吸って、ペッ、吐き出しました。それからこんな風に、子牛の前足をつかんで、胸を開いて、戻すようにしました。開く時には、子牛の体が… 浮くぐらい、大きくして…」「なっちゃん痛いわ!」「戻して、開いて、戻す…」「なつは、とにかく、ここで生きることに、夢中でした」。

「ここ、十勝農業高校では、ほとんどの生徒が、将来は、家業を継ぐために学んでいます。女性の仲間は少なく、貴重な存在でした。中には、お菓子屋を継ぐために、農業高校に通う、変わり者もいました」。

「女優になれ」「え…えっ?」「女優として、舞台に立て。それが、一番おじいさんのためになることだ」「どうしてですか?」「だって、お前が出ていなくてどうやっておじいさんは芝居を楽しめるんだ? え? お前が出ていなくても、おじいさんは芝居を見に来てくれるのか?」「それは…」「ほらやっぱり。出るしかないだろ」「え~…」「はあ、はあ…。あっ、何だなっちゃん来てたのかい」「おいみんな聞いてくれ。奥原が今日から、演劇部に入部した」「ええっ?」「勝農演劇部、女優第一号だ!」「おお~!」「いや…ちょっと、待って下さい! そんなの無理です!」「大丈夫だなっちゃん。みんな下手だから、ハハハ…」「そうじゃなくて!」「心配するな。高校演劇は、あんまりうまいと、お客が冷める」「もうそうじゃないんです!」「ん?」「時間がないんです」「時間?」「家の仕事をしなくてはならないし、そんな時間は作れません」「放課後の1時間だけでもいい。日曜日だけだっていい。働きながらやるのが、俺たちの演劇だ。お前の思い、じいちゃんに、響かせろ」「じいちゃんに?」「うん」。

「昭和30(1955)年7月」「2、2、3、4」「5、6、7、8」「3、2、3、4」「5、6、7、8」。

「なつは、十勝農業高校演劇部に参加することになりました。演劇部といっても、勝農では、完全に体育会系で、その練習は、予想外にハードなものでした」。

「何よあんたら?」「何だ君たち、一年生だろ」「門倉さんがお呼びです」「門倉…?門倉ってあの?」「え…どの?」。

ちょっと小学校を離れて、隣接する諏訪神社です。

「それは、バンカラな校風を誇る、勝農において、番長と呼ばれている、3年生でした」「お前らはもう行っていい」「失礼します」。

「あなたは、農業科の門倉努さんよね?」「あの~何でしょうか?」「演劇部に、入ったそうじゃねえか」「あっ、はい!」「おめえに聞いてんじゃねえ!」「あっ、私はまだ…」「お前にも聞いてねえ」「もう一人は?どうなんだよ」「それがあんたに関係あるんですか?」「おい…!」「なっちゃん…」。

「女を入れていいと思ってんのか?」「はい? ダメなの?」「おめえに聞いてんだ演劇部」「ああ、あの… 僕じゃなくて倉田先生が…」「いいのかって聞いてんだよ!」「ダメなのかって聞いてんのさ!」「あ?」。

「女が演劇をやってはダメなんですか?」「農業高校がナメられんだろうが」「誰にナメられるんですか?」「そりゃ…世間様にだ!」「世間様って、あんたは何様ですか?」「なっちゃん!」。

「この人は、熊とサケを取合って、勝ったって伝説がある人だよ」「だからって敬語使う必要ないしょ。同級生なんだから」「おめえら、この学校何しに入った? 演劇なんて、人前で抱き合ったりすんだろ!」「やらしい… そんなこと想像してんだ。う~わっ」。

「あっ…おめえら、FFJの精神はあんのか!?」「あるわよ!」。

「FFJの意味を言ってみれ!」「フューチャー・ファーマース・オブ・ジャパン!我々は日本学校農業クラブの一員です!」。

「斉唱~!そ~れ!」「♪みのる稲穂に富士と鳩愛と平和を表した旗はみどりの風に鳴る土にとりくむ若人の意気と熱とがもりあげた♪」。

「ちなみにこれは、校歌ではありません。全国の農業高校生が全員所属する農業クラブの歌です」「♪エフエフジェイわれらの誇り♪」。

「あ~い!」「あ~い!」。

「あ~い!」「あ~い!」「よし!」。

西金小学校に戻ります。「天陽君!」「やあ!」。

「久しぶり」。

「久しぶり」。

「5、6、7、8」「2、2、3、4」。

「5、6、7、8」「3、2、3、4」。

「5、6、7、8」。

「横!1、2、3、4」。

「5、6、7、8。ハハハ…」。

「5、6、7、8。ハハハ…」。

「何で裏方も走んのさ…」。

「おめえら! 走んならシャキッと走れ!」「男らしい…」。

「私にとって、村人は家族です。血はつながっていなくても…みんなが、私にとって、大事な家族なんです。その家族がもし、争いごとに巻き込まれて、命を落とすようなことになったら、私はその悲しみに耐えられない…。だから、私が家族を守るんです」「なつは、初めて、自分の感情を使って、芝居をしました。なつよ、下手でも、伝わるものは、あったぞ」。

「僕には、門倉さんのような貫禄は出せないので…門倉さんがやった方が、いいと思います」「高木…困ったやつだ」「そうか。まあ、お前には来年もある。次は頑張れ」「はい」「よし」「おい、俺たちにとっては、最後の夏だ。今、頑張るしかねえぞ!」「よし!」「やるべ。先生やるべ!」「何か番長、やっぱり、すげえな」「どっからやるべ?」「一回静かにしろ、一回静かにしろ」「よし」「やる気は分かった」「余計な人まで目覚めちゃったわ」。

「そして、天陽君の中でも、何かが動き出したようです」。

「次!」「こうして、なつたちの演劇は、終わったのです」「次!」。

「したけどもったいねえな、大作だったのにな」「背景だけ取っておいたってしょうがないべ」「何日もかけて描き上げたのに、消えちゃうんだね」「それはみんなの舞台もおんなじだべさ」「そだね」「じゃあ2年生、来年頼んだぞ」。

「勝農演劇部は、地区大会で負けました。誰も口にはしなかったけど、あの歌が、敗因ではないかと思います」。

「俺たちは、試合に負けて、勝負に勝ったんだよな?」「え?あんたがそれ言うのかい?」。

「おい奥原!」「えっ?」。

「俺は…この舞台が成功したら、言うべと思ってたんだ」「何さ?」「言っていいか?」「どうぞ」。

「奥原!言うぞ」。

「どうぞ」。

「卒業したら、俺の…嫁になってくれ! 答えはもちろん、今すぐじゃなくていい。いつか…そのうち…気が向いたら…」。

「ごめんなさい。それは、できない」。

「即答だったね」「団長… 舞台は決して、成功してねえべよ」「そだな…それじゃしかたない。よし分かった! 今のはきっぱり忘れてくれや!」「うん、男らしい」。

「よし!ハッ…忘れた!ハハハハハ…。あ~!あ~!」「団長! 」。

「追わないのが思いやりだわ」「ごめんね番長…。だけど、びっくりした~」「私もです。私も、きっぱり忘れます」。

「なつ!私の、嫁になってくれ~!」「よっちゃん、やめてよ!」「番長かわいそうだべ」「ちょっと…」。

長かった梅雨が明けて、ようやく夏空がやってきましたね。なっちゃんの季節到来です。そんな折、帯広から嬉しい告知が届いています。なつぞらロケ地が続々と公開されています。次回は、そんな帯広に戻りたいと思います。
