ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J2リーグ第4節モンテディオ山形vsカマタマーレ讃岐@NDスタ20170319 -山形見参-

2017-03-20 14:13:47 | 加賀さん

春まだ遠い東北。

山形でございます。

山形は先週も大雪で、長い長い遠征暮らしからやっと解放されたモンテが十分なトレーニングができたのか心配です。NDソフトスタジアム山形も週末まで雪に覆われていて、スタッフとサポのみなさんが除雪されて綺麗になり、第4節にしてようやくのホーム開幕を迎えます。

加賀さんの2017シーズンを追う旅をスタートします。今年はどんなものがたりが待っているのかな。加賀さんの選手紹介CG

加賀さんのユニをゲットしました。

ホーム開幕の相手は、讃岐。J2の旅の距離感に馴染まない身としては、山形と香川の接点が思いつかないくらい香川は遠いですね。日本の広さを感じます。本日のOver the Rainbow♪。本日の山形バカンス♪

やっぱり山形はコンディションの問題があるのか、攻撃陣の不調があるも、守備の安定でなんとかドローに持ち込みました。

山形は、秀仁が怪我のために長期離脱したこともあり、今日も前線のオーダーをアジャストします。シフトは3-4-2-1。GKは児玉。3CBは右から加賀、菅沼、そして今年初スターターの竜也。ボランチは本拓と宏希。WBは右に雄斗左に利弥。2シャドウは右に瀬沼左に荒堀が初スターター。1トップは阪野です。

讃岐は布陣は比較的固定されているみたいですけど、配置は日替わりのようで面白いです。シフトは公式の表記は4-4-2だけど、たぶん5-3-2。GKは清水。3CBは右から中島、エブソン、栄直。WBは右に市村左に和正。アンカーは永田。IHは右に馬場左に大剛。2トップは仲間と徹也です。

山形はこれが初見です。DAZN観戦で予習しようと思っていたのですけど、開幕戦で心が折れました。我慢できる範囲で開幕戦を確認した限りでは、守備の安定感が際立っているのに反し、攻撃はまだ途上だと感じました。

今日もその印象は変わりません。まず守備から。山形は近年のトレンドであるゾーンではありません。守備の初動はフォアチェックです。ボールサイドのシャドウが守備時には一枚上り、阪野とともにボールをチェイスします。これは相手をサイドに追い出す意図です。サイドに追い込むとシャドウとWBとボランチが連動して網を絞ります。さながら追い込み漁のようです。ですので山形の狙いの1stプライオリティは、高い位置のトランジション、のはず。

ただしその加重はそれほど高くはないようです。実際にショートカウンターが成功するシーンはそれほど多くありませんから。むしろ山形のトランジションポイントは比較的低めに設定されていると思います。まだチームを作っている段階ですから、トランジションポイントが低いのは現状を踏まえたリアリスティックな解なのかもしれません。その意味で山形の伸び代はまだ測れません。

相手の攻撃のスピードと威力を削ぐと、横幅いっぱいに五枚配置した最終ラインによる局地戦に持ち込みます。山形の守備の安定は、5バックを担う個々の選手のクオリティの高さに所以していると思います。後述する今日の讃岐の闘いかたが、山形の最終ラインの仕組みと強度をいっそう際立たせていました。ただ、加賀と雄斗が並ぶ右サイドに比べると、馬場にシュートを打たれるシーンがいくつかありましたので、竜也と利弥のセットは幾分リスクがあったと思います。

結果的に完封できたのは、それでもやっぱり児玉の安定感が大きく貢献していました。四試合目にして初の完封ですけど、過去三戦もミニマムのロースコアです。GKとしてもチームとしても、守備に関しては十分に昇格ライン水準以上のクオリティを持っていると思います。

一方攻撃は、まだまだフィットできていないようです。ただ今日はエクスキューズがあります。体が思うように動いていない雰囲気の選手も多く、コンディションの底だったかもしれません。終盤に加賀が足をつって下がることになりますけど、他の選手も疲労があったということですから、長いキャンプをこなした上、山形に戻っても雪によるトレーニング不足の影響もあったと思います。

それでもやっぱり攻撃には課題が多く残っています。一番の課題は、ポストが安定しないことです。阪野がしっかりボールを納め、味方に落とせたときは、WBも攻撃に参加でき、シャドウと絡んで効果的な攻撃ができていました。ただでさえリトリートスタイルゆえの低重心ですから、前線で時間を作らないと攻撃に人数をかけられません。終盤に中山が入って山形の攻撃が活性化したこともあって、前線を二枚にする選択肢もあるかもしれません。

まだゴール数は少ないですけど、山形のゴールの傾向を見るとセットプレーとクロスが75%です。ですから攻撃のかたちの狙いはサイドアタック基調です。有効なサイドアタックのためにも、WBの攻め上がりを促す阪野のポストは重要なタスクです。もうひとつはWBとシャドウとの絡みです。ホントはシャドウが基点になってWBを走らせるイメージなのだと思います。今はまだ左右ともWBとシャドウのコンビネーションができているとは言えません。今日に関しては、それ以前にシャドウのボールホールドのクオリティが低く、雄斗にしろ利弥にしろ、攻撃参加しようにもし辛い状況だったと思います。

シャドウについては、もうひとつ課題があります。状況を考慮したプレー選択ができない場合があります。とくに低い位置でボールを持ったときのプレーの整理がチームとしてできていないように見えます。今日効果的だった攻撃は、荒堀が幾度か見せた裏への抜け出しでした。つまり今日はカウンターが有効だったということです。トランジションポイントが低いことからもカウンタースタイルのほうが合理的です。にも拘わらず山形は、とくに自陣でシャドウにボールが入ったとき、ビルドアップでサイドを崩そうとします。これでは中盤の守備が強い讃岐の餌食になってしまうのも必定。

カウンター以外に効果があった攻撃は、最終ラインから直接前線に当てるかたちです。この場合、阪野もバイタルエリアに下りて受けるので、比較的安定したポストができていました。加えて、ポストをロストしたとしても、その後の讃岐の攻撃を読み、中盤の高い位置でトランジションできるシーンが幾度かありました。本来はもっとイニシアチブをとった闘いかたを志向しているのだと思いますけど、目下のところは現実的でシンプルな攻撃方法をとったほうが良いような気がします。

一方讃岐は高い完成度を見せてくれました。讃岐は非常に攻撃的なスタイルだと思います。その特長はサイドにあります。攻撃に入ると、馬場と大剛が最前線のライン際に高々とはります。2トップは縦の関係で徹也が前、仲間がバイタルエリアでビルドアップに絡みます。これに市村と和正も加わり、サイドに厚みを持った人数をかけた攻撃のかたちが整います。

攻めかたも単純にサイドで崩すというわけではありません。最終的な狙いは右サイド。もともと右サイドにストロングポイントがあるのか、山形との相対性でそうなったのかはわかりません。いずれ、右サイドでシュートを打つためにお膳立てを中央と左サイドで行います。中盤ではWB同士の長い距離のサイドチェンジを行います。これは、山形の守備を左右に揺さぶることを意図しています。堅固な5バックを攻略する工夫のひとつだと思います。

讃岐はパス回しが巧みです。中心を担うのは仲間。仲間はバイタルエリアに下りて、中央で基点になる役を担います。前述の通り、山形の守備は堅いのですけど、最終ラインの強さに比べて中盤にもろさがあるような気がします。もともとゾーンではなく人が動く守りかたをしますから、横に揺さぶられたときに中盤にスペースができる傾向にあります。仲間と、仲間にパスを供給する後方の選手は、ここを狙っていました。

讃岐の守備は、中盤が安定しています。守備時は馬場と大剛が下がってフラットな3センターになります。ちょうど山形のシャドウにIHが対峙する並びです。これが山形のシャドウを基点にしたビルドアップが機能しなかった理由のような気がします。

というわけで、チームとしてのクオリティは今日は讃岐が上回りました。でも、案外讃岐は特異なチームです。今年のゴール傾向は、5ゴールがすべてセットプレー。言い換えると流れのなかでは得点できていません。これだけ試合を支配できていながら不思議なことですけど、それだけシュート力に課題があるということでしょう。今日もどフリーな状態でシュートが枠に飛ばないシーンが何度も見られました。

つまり山形は、セットプレーを中心にケアすれば良かったとも言えます。讃岐のセットプレーはやはり工夫が見られ、ゴールに全員が入る、山雅が見せるようなパターンもありました。それでもゴールを割らせなかったのですから、児玉をはじめとする山形守備陣が、繰り返しになるけど安定していることを証明していると思います。今年は割と大型の選手をそろえているのも、セットプレー対策を意識してのことかもしれません。前半はスコアレスのまま終了。

後半に入っても流れは変わりません。山形の課題がコンディションとコンビネーションだったとし、讃岐の課題がシュート精度だったとしたら、試合中にアジャストできる範囲を超えます。おそらく両チームともセットプレーに期待を持っていたと思います。今日の山形はセットプレーでも苦労していました。とくにプレースキックの精度に難があったと思います。石崎さん時代はよりセットプレー加重が高く、ゆえに必ず左右の優れたプレースキッカーがいました。竜也しかり宮阪しかり。でもセットプレー頼みは、今年山形が変質を願う由縁の、振り払いたい過去のスタイルを象徴していると思います。大きな挑戦になるかもしれないけど、時間をかけてしっかりとチームを作っていってほしいと思います。

先に動いたのは木山さんでした。利弥に代えて拓巳を右WBに投入します。雄斗が左に回ります。左右の守備の強化、とくに狙われていた左サイドをケアする意図だと思います。

木山さんがさらに左サイドに手を加えます。荒堀に代えて駿を同じく左シャドウに投入します。荒堀のコンディションというよりかは、秀仁の代役をテストする機会を作りたかったのだと思います。

同時に北野さんが動きます。大剛に代えて西を同じく左IHに投入します。これは大剛のコンディションを考慮したのだと思います。

ここでアクシデントが起きます。加賀が右足を痛めて下がります。代わって中山が入ります。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。中山は阪野と並んでトップ。駿がトップ下。右CBには拓巳、右WBには瀬沼がスライドします。加賀の怪我が無くてもこの作戦は視野にあったような気がします。これが機能します。中盤のつなぎは相変わらずおぼつかないのだけど、前線をパワフルにひっかき回す役者が加わったことで、ようやく縦への推進力が得られるようになります。

試合がややオープンになってきたことに対し、北野さんが動きます。選択はあくまでも強気に攻撃。徹也に代えて一樹を同じくトップに投入します。最前線をフレッシュにしてガチファイトに持ち込む作戦です。これで讃岐の攻撃も活性化します。自慢のセットプレーを一樹に集め、ゴールに迫ります。

加賀が下がったため最終ラインがスクランブルになりながらも、山形の守備は最後まで安定していました。反比例するように、攻撃も最後までパス回しが不安定でした。コンディションが整わない状況でミニマムな結果が得られたことを評価すべきだと思います。シーズンは長いですから、負けないことがまずは大事。しっかりと勝ち点を積み上げていってほしいと思います。このまま試合終了。山形0-0讃岐。

加賀さんの状態は、筋肉系のトラブルではなく足をつった程度のようで安心しました。なにしろフルシーズン闘うことから5年も離れていますから、思わず過負荷になってしまうこともあると思います。身体のケアに気持ちを配る加賀さんのことですから心配してないけど、辛い時間を共有した身としてはついつい怪我に過剰反応してしまいます。

5バックでプレーする加賀さんを観たことがなく、新鮮でした。そしてとても安定していました。抜かれるシーンが一度だけあったけどしっかり事後対処はできていました。対人防御能力は上がっていると思います。5バックのリトリートスタイルなのでスペースがありませんから、加賀さんらしいダイナミックな広域守備を観ることはなかったけど、局面でのスプリントはやっぱり健在で、普通では無理目な距離をあっと言う間に追いつくシーンは随所にありました。地味なプレーだけどモンテサポさんに気づいてもらえると嬉しいです。

モンテサポさんのコールの特長は、良い守備をした選手にチャントを送っていることです。その意味でディフェンダーのチャントは活躍のバロメーターでしょう。数えたわけじゃないけど、今日の守備陣のなかでは加賀さんのチャントが一番多かった気がするのは贔屓目御免。

J1とJ2のクオリティの違いは個人のボール扱いに顕著なのですけど、守備技術はもしかするとそれ以上かもしれません。スペースの消しかた、寄せのやりかた、駆け引きなど、ぼくら素人にはわからないけどクオリティの差異が現場にはあるのだと思います。見た目に分かりやすいのはコンタクトプレーです。相手が十分嫌がる程度のギリギリのコンタクトは、技術的にも戦術的にも高度な技だと思います。山形では加賀さんと本拓さんが抜きん出て光ってます。山形はJ1昇格だけでなく定着も視野にしているチームですから、加賀さんや本拓さんのプレーを範とする意味もあるのかもしれません。

過去二年は、極端なまでに攻撃を封印していましたけど、ホントは加賀さんは攻撃が好きだと思います。もともとFWですし。今日はクロスが一回、アタッキングサードに入った攻撃参加が三回ありました。うち一回は、どフリーでスルスル上がれて、シュートを打たんばかりの勢いでしたのでドキドキしました。2014年のアウェイ浦和戦を想い出しました。

J1とはプレッシャーが違うのですけど、攻撃のプレーのクオリティが上がっていると思います。ひとつには視野が広くなっています。加賀さんのパスが起点で有効な攻撃ができていました。おそらくCBの位置から攻撃ルートが見えているのだと思います。アタッカーが停滞するなか、打開策を模索してそれを具現化する技術が以前より上がっているのだと思います。

ですからパスの精度も上がっています。加賀さんがパスミスをして右手でさらっと「ごめーん」ってやるのは試合中の風物詩でしたけど、今日はミス自体が一度もありませんでした。不用意なホスピタルパスもなく、ひとつ一つのパスに意図が感じられました。攻撃の技術は、浦和で培った財産なのだろうと思います。

そしてなによりも、加賀さんが当たり前のように普通に試合に出られる状況が嬉しいです。今日は大事ではなかったようで安心したけど、くれぐれも身体に気をつけて、1年間乗り切ってほしいです。


2017J1リーグ第4節FC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20170318

2017-03-20 10:47:54 | FC東京

どうやらようやく、昼間は早春っぽいかっこうで外出できるようになってきましたね。

お昼の試合だったら快適だろうに、全国放送の注目カードゆえ、ナイトマッチです。

今日はクラシコ。例年に増して気持ちが宿るのは、このかたのせい。本日のYou'll Never Walk Alone♪。ドロンパと佐藤美希さんのTMGC。TMGCってなんですか?。

昨年は天皇杯を含め三戦全敗。ただいま四連敗中の実は苦手川崎を、新加入ピチーチの揃い踏みで粉砕しました。

東京は広貴が前節の負傷で離脱。ミッドウィークのYLCのゴレアーダ快勝を受け、オーダーをアジャストしてきました。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎と拳人。メイヤは右に永井左に翔哉。2トップは嘉人と拓馬です。

川崎はポスト嘉人の最右翼として期待されているアキが怪我で離脱。川崎イズムの体現者エウシーニョも、エドゥアルドも怪我で不在。エドゥの代役舞行龍ジェームスも怪我。リーグ戦とACLを掛け持ちする、ただでさえターンオーバーでやりくりが必要ななか、満身創痍です。今日は勝利した前節と同じオーダーです。シフトは4-2-3-1。GKはチョン・ソンリョン。CBは谷口と奈良。SBは右に田坂左に車屋。ボランチは僚太とエドゥアルド・ネット。WGは右に悠左に登里。1トップは浩之です。

東京は、ミッドウィークのYLCをゴレアーダで勝利して、万博の悪夢をとりあえずお祓いできました。でもターンオーバーの仙台でしたから、評価は今日次第です。ガンバ戦で露呈した問題は様々ですけど、今年の基本プランに影響するクリティカルな課題は主に二点。中盤のハイプレスとサイドアタックをケアされた場合の対処です。

幸いにして、川崎はガンバほどのハイプレスを仕掛けてきません。これが普通だと思います。ガンバは3センターシステムの効力を最大限使ったスペシャルプランだったということです。やっぱり前節のことは忘れちゃったほうが良いですね。川崎もフォアチェックを仕掛けてきますけど、東京の守備網を押し下げるほどの威力はありません。ゆえに今日は、とくにボランチが守備に奔走させられることなく攻撃参加ができます。この時点で、今日は充分コンペティティブな状態だったと言えます。

サイドについては二つあります。守備網が下がることでSBが高い位置を取れません。このことが嘉人のフラストレーションの原因となった攻撃の厚み不足の直接的な要因です。今日は室屋も宏介も通常通り高く位置取れてました。

もう一つはサイドアタッカーです。途中で引いた広貴を含め、永井も翔哉もガンバの中盤にことごとく封じられました。とくに翔哉に対するケアの厚さが際立ちました。翔哉が吹っ飛ばされるシーンが目立ちました。もちろん翔哉だけを止めれば東京を完封できるわけではありませんけど、翔哉は象徴で、東京が攻撃モードに入る代名詞ですから、流れを絶つ効果は絶大です。

今日の布陣の注目は、広貴の代役を誰にするかでした。アジャストのポイントは二点。まずトップ下の扱いです。基本的にトップ下役の役割は変わらないのですけど、半枚上げてトップに置くことでより高い位置で基点とスペースメイクができていました。ミッドウィークの好調を踏まえ、トップができる拓馬を選択したのはそれゆえだと思います。真ん中のポジション争いは激化しそうですね。

広貴の直接的な代役は順当で翔哉です。ガンバ戦の結果を引きずらなければ良いなと思っていましたけど杞憂でした。違った意味で翔哉の強さを観た想いです。作戦としてはよりアグレッシブです。左右に異なるテイストのアタッカーを置きますので、前半の構図は明解です。川崎のポゼッションに対し、左右のウインガーが放つ矢でもって川崎の後方に脅威を与えるという作戦です。これは川崎の特性にも合っています。川崎は前線三人のコンビネーションが綾ですけど、それは三人の距離をコンパクトにできるから。それを成し得るのはウインガーが高い位置を取るからです。東京が田坂と車屋の背後を執拗に狙うのは川崎の攻守両面のキーポイントを攻略する意味がありました。

鬼木川崎が風間さんのテイストを継承する方針は周知です。でも川崎の課題は、楽しいんだけど後一歩が届かない勝負弱さの解決です。その意味で風間さんと異なるアプローチが必要なのは間違いありません。鬼木川崎にその糸口が見られたら嬉しいなと思っていました。

でも今の川崎は、昨年の川崎ですらありません。ただでさえポスト嘉人の難問がありながら、エウシーニョの離脱は実質川崎の川崎たるを奪うに等しい大打撃です。さらにACLの過密日程があって、まだその影響が出始める時期ではないけど、やがてくるリバウンドを予見した対策をしなければいけません。なので今日の川崎は、ミニマムな勝ち点も視野に、リアリスティックなサッカーをする選択肢もあったと思います。

それでも川崎はやっぱり川崎でした。まるでロマンチストの体質を変えていません。アキがもたらす科学変化を見ないと評価はできないけど、基本的には風間川崎から何も足さない何も引かないことが今年のビジョンのように受け取れました。

それでもなお、川崎に必要十分な魅力と脅威を感じるのは、攻撃のクオリティの高さです。東京は4+4のラインをコンパクトに保ちます。序盤こそ川崎のリズムに翻弄されましたけど、10分を過ぎるころには捕まえることができました。川崎はアタッカーにボールが入ると厄介なイリュージョンが始まります。ゆえに前線に入る前に止めるのが肝要。東京は、とくに拳人が通常よりはやめに圧をかけることで、川崎の中盤と前線を遮断することに成功しました。

川崎は、それでもやはりさすがです。東京が仕掛ける蜘蛛の糸大作戦をあっさり切断し、攻撃権を持ちます。きっかけは二つ。今日の川崎の生命線は憲剛です。満身創痍のなかなんとかコンペティティブな状態に引き上げるためには憲剛を作戦の中心に置かざるを得ないのでしょう。昨年のリーグMVPとはいえ一年間フルに働ける確約のない憲剛ですから過負荷は避けたいのが本音だと思います。憲剛はフニフニとスペースメイクをやり続けます。これが遮断しかけたアタックルートの確保につながります。憲剛が前を向いて仕掛けられるときが川崎のチャンスです。

もうひとつは悠と登里のポストです。悠は翔哉、登里は永井の背後のスペースを狙います。翔哉も永井もハイプレスの任を帯びていますから、後ろにスペースができやすくなります。永井の場合はそれでも広いスペースをケアする守備の技術とスピードがあるので良いのですけど、翔哉はさにあらず。それゆえ悠が楽々とバイタルエリアで基点になります。このことで田坂の攻撃参加を促し、川崎らしいサイドアタックを取り戻します。

こうして基本プランのテイストが真逆な東京と川崎の対戦らしい、陰陽がはっきりした分かりやすい試合になります。それゆえ局面のファイトも明解で、攻守の切り替えがはやいテレビ向けの面白い試合になります。ゴールこそないけど、ワクワク感があふれました。これぞクラシコ。

フォアチェックからのショートカウンターを狙う東京のタクトを振るのは、洋次郎です。ガンバには消された洋次郎でしたけど、一週間で存在感を取り戻しました。憲剛同様、洋次郎が前を向いたときは何かが起こる期待感をいだきます。

なんでもできる嘉人ですけど、嘉人がイメージするサッカーはコレクティブなサッカーのような気がします。みんなであそぶサッカー。翔哉のようなオラオラプレーは嘉人の選択肢のプライオリティの下位というか、そもそも無いようにも思えます。なので、嘉人はイメージを共有できるプレイヤーと組むほうが良いと思います。その意味で今日のスターターセットは目下のベストチョイスかもしれません。嘉人はタベーラを好みます。拓馬との相性の良さは、拓馬にもタベーラのイメージがあるからだと思います。豊富な選択肢がある今年のアタッカー陣ですから、嘉人のイメージをチームとして具現化できる組み合わせをいろいろ育てていってほしいと思います。

時間が経つのが短く感じた前半はスコアレスのまま終了。

後半から川崎に異変が起こります。浩之と悠と登里の連携が見られなくなります。前半から東京が仕掛けたコレクティブな守備が整って、クオリティが上がったのだと思います。バイタルエリアでスペースを作れなくなったことが要因です。なので憲剛の位置も次第に下がっていきます。好調時はネットをアンカーにした3センターのようなかたちになる川崎の中盤ですけど、憲剛も僚太も、仕掛けより流れを作る仕事に専心すると、必然的に中盤と前線が遮断されます。嘉人がいたらハブになることができるので、こんなところに嘉人ロスの影響が見られました。

そこで鬼木さんが動きます。浩之に代えてハイネルを投入します。悠が一枚上がってトップに入ります。ハイネルは右WG。コンビネーションではなく独力での打開力を期待したのだと思います。

この作戦変更が今日の流れを決定付け、さらに結果的に彼我の差を分けた主因だと思います。川崎がらしさを捨てたことで試合はオープンファイトに移行します。ガチでどつきあいを挑むと、本領である東京の部というもの。そもそも中盤から後ろの守備の強度にウィークポイントがある川崎ですから、バイタルエリアにスペースができるようになります。

そこで篠田さんが動きます。永井に代えてピーター・ウタカをトップに投入します。拓馬が一枚下がって右メイヤに回ります。バイタルエリアが開くので前線に軸を置くという意図だと思います。そしてなんと言っても昨年のピチーチの得点力に対する期待が一番でしょう。

オープンファイトになるとともに中盤のコンタクトが激しくなります。総体的にクリーンな試合でしたけど、拳人はひとり熱かったです。ここにもガンバ戦の反省が現れていると思います。でも拳人の熱さがちょっと心配になってきました。二枚目が出る気配がぷんぷんしてきました。

そこで篠田さんが動きます。拳人に代えて草民を同じくボランチに投入します。草民は拳人に劣らずファイターであるだけでなく、ボール扱いが上手いのとポジショニングが良いので中盤でボールロストが少なくなります。東京のパス回しがスムーズになり、前半と対照的に東京のポゼッションが上がります。

そこで鬼木さんが動きます。ネットに代えて長谷川を右WGに投入します。ハイネルはトップに入ります。憲剛がボランチに回ります。もう一度コントローラーを取り戻そうということだと思います。

ところが、一度東京に傾いた流れを食い止めるほどの効果はありません。嘉人とウタカが作る基点から繰り出されるカウンターがじわじわと威力を増してきます。そしてついに均衡が破れます。

76分。川崎のセンターライン付近のスローインから。田坂のスローインを受けた僚太に草民がプレス。さらに翔哉も加わったため僚太は田坂にホスピタル。田坂が最終ラインで仕切り直ししようとするところを嘉人が狙ってました。嘉人がカットしたボールを翔哉が拾ってドリブル。翔哉は逆サイドから寄せてきた拓馬にパス。拓馬はダイレクトで、左サイドを上がる嘉人にスルー。カウンターで一気にアタッキングサードに入ります。左奥でボールを持った嘉人はルックアップ。嘉人には奈良がつきます。この時ゴール前は田坂、憲剛、谷口の並びに対し、東京は拓馬、翔哉、ウタカの3on3。ドリブルで内に絞りつつタイミングを計った嘉人は、拓馬の飛び出しに合わせてスルーを送ります。拓馬はライン際で、ノールックのままダイレクトで折り返します。これが田坂の足に当たってコースが変わり、ソンリョンの足をはじき、ゴールに吸い込まれました。東京1-0川崎。

目に見えないイニシアチブの移動がかたちとなって現れたことで、一気に東京が優勢となります。いちどオープンファイトになってしまうとなかなか復元はできないもの。なにしろ東京の本質はエルシクロンですから。

鬼木さんが動きます。登里に代えて三好を右WGに投入します。長谷川が左に回ります。やはりオープンファイトの流れに乗ることにしたのでしょう。ドリブラーを入れることで独力での打開を意図したのだと思います。

ところが、またも鬼木さんの期待に反し、作戦変更直後に試合が動きます。

86分。東京の自陣からのクリアを奈良が頭で戻します。これを僚太がダイレクトで前方の三好に出しますけど、これを宏介が狙っていました。宏介はカットしたボールを翔哉に渡します。宏介はそのままライン際をオーバーラップ。翔哉はソールでスルーを流します。アタッキングサードに入ります。田坂の背後を取った宏介は、寄せてくる奈良を絶妙なチェンジオブペースのフェイクで抜き、ライン際から折り返します。この時ゴール前は、谷口と車屋に、ウタカ。1on2。でも奈良と対峙する前にルックアップしていた宏介は、谷口の頭上を越えるクロスをファアに送ったため、この瞬間ウタカと車屋の1on1になります。車屋の前を取ったウタカは、右足ダイレクトで合わせました。ウタカはミッドウィークのYLCに続き、今日は移籍後リーグ戦初ゴールです。東京2-0川崎。

宏介が復活のきっかけをつかんだのではないかと思います。今日もビルドアップのミスがありましたので本調子ではなく心配でした。セットプレーも翔哉に委ねることがありましたし。でも二点目のアシストはさすがでした。

篠田さんが〆にかかります。翔哉に代えて徳永を同じく左メイヤに投入します。中盤の守備の強度を高める意図です。

そしてついに、ついについに、そのときが訪れます。

後半アディショナルタイム+2分。彰洋からのパスを受けた宏介は、自陣から前線をルックアップ。この時前線ではウタカが奈良と谷口の間を抜けようとしています。宏介はウタカにスーパーロングフィード。これは奈良がカットしますけど、こぼれたボールを拾ったのは嘉人でした。さあ、長らくお待ちしてました。大久保嘉人ショータイムのはじまりです。ジリジリと奈良をひきつけた嘉人は、タイミングを見てウタカにパス。ウタカはダイレクトで嘉人にタベーラ。嘉人は見事に奈良と谷口の裏を取ります。ソンリョンと一騎打ち。寄せてきたソンリョンを左足フェイクでかわしますけど体勢が乱れます。それでも嘉人は絶妙なボディバランスでシュート姿勢を作ります。地味だけどさすがのプレー。あとはゴールに流し込むだけ。東京3-0川崎。

持っている男の一蹴は、味スタを完全な青と赤のパラダイスに変えました。笑顔と感動の幸せな空気が満ちるなか、このまま試合終了。東京3-0川崎。眠らない街♪

なんだかんだあった試合でしたけど、最後に全部嘉人が持っていっちゃいました。いろんな意味で、主役が似合う男前ですね。あらためて嘉人が来てくれたことに感謝です。

連敗しないことは優勝に向けて欠くことができないミッションです。今日はそれを遂行しただけでなく、極上エンターテイメントに仕立ててくれました。川崎にエクスキューズがたっぷりあったとは言え、東京はシーズン序盤の良い流れ作ることができたと思います。

モリゲと彰洋と洋次郎を送り出す二週間の中断で、さらに完成度を高めてほしいと思います。


べっぴんさんロケ地の旅 -20170312 連続テレビ小説「べっぴんさん」セット公開-

2017-03-18 14:31:18 | 連続テレビ小説べっぴ...

平成28年度後期連続テレビ小説べっぴんさんも、いよいよクライマックス。

毎期、この時期に感じるサウダージを、さみしくも楽しくも迎えます。

NHK大阪放送局でございます。

恒例BKのどーもくんあそび。どっぴんさん。

いよいよ、べっぴんさんロケ地めぐりもフィナーレでございます。

本日は、『「べっぴんさん」ようこそセット公開へ』に参りまいた。

会場と同時に参りましたら、すでにこの列。この日は最初だけで15分もしたら空いてました。

会場の全景。

 

アオゾラカットと新年度からのキャスターの紹介パネルです。

セットの変遷の紹介パネルとキャストさんへの応援メッセージのボードです。

港町商店街のセットの変遷を見てみましょう。

昭和9年。

昭和23年。

昭和34年。

昭和44年。

キャストさんへの応援メッセージのボード。

それではセットをめぐりましょう

まずは港町商店街のあさや側の入り口の全景です。

権太堂側の入り口の全景です。

中華料理屋側の入り口の壁です。

レンガ壁のなかはこんな感じ。

番地の標式です。

あさや。レリビィになっても看板はかわらないのですね。

あさやの玄関。

レリビィ仕様のデザイン。

レリビィはメキシカンがベースなのかしら。

港町商店街の店舗は、BKワンダーランドで拝見したときと基本的に変わらないので簡単に。浮島時計店から。

浮島時計店の背面です。

セットでは散髪屋ということになっていたようです。途中で設定が変わったのかな。もしかしてアオゾラカットと関係が?。

ショーケースの中が変わってました。

続いてBAR YOUR PORTです。結局ここはものがたりに登場しなかったので変わっていません。

BAR YOUR PORTの背面。

やない写真館です。ここも変わっていません。

やない写真館の背面です。

服部ベーカリーも変わっていません。

服部ベーカリーの背面。

パン屋側の入り口のアーケード。

最後の緑色の公衆電話、1982年導入のカード式公衆電話機です。ISDN対応の公衆電話の登場は1991年ですから、べっぴんさんのフィナーレの舞台は1980年代後半なんだということがわかります。てっきりべっぴんさんは阪神・淡路大震災を描くのかと思っていたのですけど、どうやらその前でおわるようです。

権太堂です。ここも変わっていません。

続いて、キアリスです。

看板。BKワンダーランドの時はカバーがかけてありました。

玄関。

神戸市水道局の標識。

玄関の踏み台。

ショーケースの基部。

屋根。

屋根の背面。

商店街の看板。

ショーケースがにぎやかで楽しいです。

キアリスのリス。

子ども服。

万博をフィーチャーしたおもちゃでしょう。

生地。

次はレリビィの店内です。

郵便受け。

良子ちゃんのお衣装。

龍ちゃんのお衣装。

二階部分も枠だけ作ってあります。

 

入口付近。

二階に上がる階段側。

テーブルセット。

ストーブ。

テレビ。

カウンター。

ピンク電話。

謎のエスニックな置物。

あさや時代から置いてある靴と写真が飾ってあります。

厨房に入ります。

勝二さんのお衣装と台所。

下ごしらえのテーブル。

ガスの取り回しはこんな感じ。

換気扇。

流しとコンロ。

食器棚。

ビールとジュースのクーラーケース。

厨房の天井。公開されるセットで天上がはめてあるのは珍しいです。

カウンター側の調理台。

天上の物置。

レリビィの背面。

最後に、すみれちゃんと明美さんと良子ちゃんと君枝ちゃんが生み出してきた、そしてさくらちゃん達が受け継いだ、キアリスの想い出がつまった商品を観ていきましょう。

キアリスをはじめた頃に、すみれちゃんと良子ちゃんと君枝ちゃんがそれぞれの子どもたちのために作った子ども服。

自作するお母さんたちのために作った型紙。

陶器工場で作ってもらった食器セット。

リスがデザインされた包装紙。

赤ちゃんのために縫い目が外側に出ている肌着。

大急で目玉商品として限定販売したお弁当箱セット。

お弁当箱セットの広告ポスター。

映画の元になった明美さんのキアリスガイド。

大急にアプローチするきっかけになったカード。

さくらちゃんや健ちゃんたちが入社試験で描いたデザインスケッチ。

大急で目玉商品として販売した肌着セットと健ちゃんがデザインしたカレンダー。

さくらちゃんがデザインしたエプロン。

キアリスが大急一階のエントランスのデコレーションを担当したとき、明美さんがコウノトリにこっそり仕込んでいた人形。

キアリス四人娘。

これにて、べっぴんさんロケ地めぐりはおしまいです。

半年間ありがとうございました。べっぴんさんは穏やかなときが流れる、とても優しい素敵な作品でした。キャストとスタッフとファンのみなさんに、べっぴんさんのようなやさしい時が訪れますように。


べっぴんさんロケ地の旅 -20170311 六甲アイランド-

2017-03-16 21:26:17 | 連続テレビ小説べっぴ...

どうやら、長かった冬がおわり、ようやく少しずつ、西のほうから春の気配がやってきています。

べっぴんさんもついにフィナーレの月を迎えました。ガンバ戦に絡め、BKの恒例ファイナルイベントとともに、最後のロケ地めぐりに参ります。

残念ながらぼくは参加が叶いませんけど、今度の三連休は、神戸ハーバーランドのスペースシアターで、「NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」展 ~ジャズ喫茶「ヨーソロー」セット展示~」が開催されます。セット公開がNHKのスタジオを飛び出すのはとてもレアなことです。お近くのかたはぜひ。

それから、最終回放送日の4月1日に開催される「連続テレビ小説「べっぴんさん」 The FINAL ~みんなで見よう最終回~」は、今週金曜日まで募集中です。

大阪に四年暮らしておきながら、たぶんはじめての六甲ライナー。

ゆらてやってまいりましたは、アイランドセンターです。

アイランドセンター駅を降りてすぐ左手に円盤のようなユニークな建物が見えます。

神戸ファッション美術館です。

一階のエントランスホールで、ファミリアの子ども服と神戸の女子高の制服が展示してありました。

ファミリアの子ども服とグッズ。

神戸の女子高の制服。

たぶん、甲南女子大学の学生さんの作品です。

それではお待たせいたしました。べっぴんさんロケ地めぐり六甲アイランド編をはじめます。ロケの舞台は二階です。「そしてついに…」。

「次は、21世紀を生きる、世界の子供たちです。ネクスト アップ ザ チルドレン…」。1970年の大阪万博のフィナーレを飾る、AISとキアリスがコラボしたファッションショーの会場です。

「スマ~イル! 頑張れ~ 行ってらっしゃい!」。

キアリスの衣装を着た子供達が風船を手に登場した舞台。

「潔さん、あの人…。あの、エイスの看板の前…」。

「すごいなぁ」。

「古門さん」「この万博を境に、日本は変わる」「どう変わるんですか?」。

「進歩するんだよ。より早く、より多く、より便利に。全てにおいて、効率よくだ。前進する事に、恐怖を覚える者もいるだろう。だが私は違う。日本を進歩させる為に、一役買うのが、私の役目だと思っている。まあ、大変、おこがましいがね。ハッハッハッハ…」。

「栄輔君、久しぶりやねぇ」「ゆりさん、お元気そうで」「栄輔君、すごかったよ。ねえ? 潔さん」「ああ、ほんまや」「ありがとうございます。すみれさん達のおかげですわ」。

「根本さん…」「ご立派になられて…。おうわさは、伺ってますよ。玉井。どうしとる?」「あんたにだけは心配されとうないわ」「わしの所で、真面目に働いとります」。

「そうか…。梅田の闇市は、あんたらのおかげで立派な商店街になった。わしも、そろそろ引退や。ハハッ…」「長い事、ご苦労さまでした」「おおきに」「あんたの出番は、終わりっちゅうこっちゃ」「おい、玉井」「こいつは、嗅覚が優れた男や。金のにおいのする所にはいつの間にかおる」「要らん事言わんでええねん。老いぼれが」「行くで。そしたら、また。行くで」。

「はぁ…彼らだけやない。今の日本は、何かこう…、人の手から、離れていくような…。はぁ…何やろなぁ…。ただの老いぼれの、漠たる不安やな」。

「わしらの根っこにはいつも、あの闇市の風景があります。だからこそ焦らず、1歩1歩、歩んでこられたと、思うてます」。

「あとは、頼んだで」。

「あんなに、物がなくて…ただ、生きる事に、精一杯やったのにね…」「あぁ…」。

「21世紀の世界に向かって歩み続けていく、大勢の子供達。この子供達が大人になった時、万国博の体験は、どのように生かされるのでしょうか。3月から始まった万博は、大盛況のうちに、その幕を閉じます。人類の進歩と調和。道のりは遠くとも、その理想の炎は、人々の心の中で、永遠に燃え続けていく事でしょう」。

続いてやってまいりましたは、大阪市中央区備後町。輸出繊維会館でございます。

こちらは、キアリスの新本社社屋のエントランスのシーンで使われました。残念ながら入ることはできず。

これにてべっぴんさんの本格的なロケ地めぐりはおしまいです。最後は、BKのイベントの模様をお届けします。


2017J1リーグ第3節ガンバ大阪vsFC東京@吹スタ20170311

2017-03-14 00:32:30 | FC東京

あの日から6年。今日は、ぼくたち日本に住むものにとって、忘れてはならない特別な日です。

ゆかれたかたも今を生きるかたも、すべてのひとに安らぎが訪れますように、こころから祈ります。いまなお、苦しみと悲しみに戦われているかたに希望が訪れますように。

今日は、今年初の長い遠征。大阪でございます。今年は三回関西に訪れる理由ができました。まず、ガンバ。本日のYou'll Never Walk Alone♪

ニュースタイルのガンバに面食らったかたちで完敗です。

東京は三戦続けて同じオーダーです。シフトは4-2-3-1。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎と拳人。WGは右に広貴左に永井。トップ下は慶悟。1トップは嘉人です。

ガンバも前節と同じオーダーです。シフトは2017健太ガンバが取り組むニュースタイル、3-1-4-2。GKは東口。3CBは右から三浦、ファビオ、キム・ジョンヤ。アンカーはヤット。WBは右に初瀬左に藤春。IHは右に秋左に今野。2トップは長沢とアデミウソンです。

ガンバは今日が初見です。健太さん以前を含め、これまで観たことがないリニューアルガンバを観ることができました。なので、ガンバの基本的な狙いを確認するまで時間がかかりました。

去年までのガンバは、優勝した2013年と2014年をモデルに、マイナーチェンジを施してきました。チーム作りの発想の起点は守備で、4+4の2ラインをコンパクトに保つゾーンがベースです。成績が良いときは守備のコンセンサスが取れていて、逆に低迷するときは攻撃加重を志向するあまりチームとして守備の整理ができていなかった印象があります。ゆえにガンバは案外御し易いチームで、その攻撃力ゆえ勝つのは難しくとも、つまんない地味な試合にはなりません。

健太さんとしては、ガンバがヤットのチームである限り基本的なスタイルは変えられないと思っていると思います。でも常に変化の刺激は必要ですし、ヤットはともかくチーム内の循環はコレステロールをためないようにしないといけないので、毎年なにがしかのテーマに取り組んできたのだと思います。

その意味では、今年のガンバもその延長線上にあることは間違いないと思います。でもマイナーチェンジというにはあまりにも変化の幅が大きく、リニューアルと言っても過言ではないでしょう。かたちの上では、近年のガンバはおろかJで観たことがない3バックにして3センターという、特異なスタイルを取ります。2017ガンバとかけて3センターととくそのこころは。

理由は四つあると思います。ひとつ目は昨年失敗した試合を支配する闘いかたに、それでもやっぱりチャレンジしたいということでしょう。ふたつ目は今日は怪我で不在ですけど、井手口の成長で中盤の厚みができたことです。三つ目はアデミウソンの扱いかた。アデは攻撃系タスクであればなんでもできるマルチロールな選手です。それゆえアデをもっとも有効に使えるポジションが見え辛いところがあります。アデ問題に対する健太さんの答えは、正解を導きました。アデを最前線に使いつつ、長沢を軸にすることでアデを衛星として振る舞わせることができます。これで、神出鬼没でありながら八面六臂な、存在感溢れる極上エンターテイナーとしてのガンバアデミウソンが完成しました。四つ目はレギュラークラスのウィンガーを一気に二人失ったことです。浩之と晃太郎。サイドを独力で支配できる選手を失ったため、組織的に崩すことに方向転換する必要があったのだと思います。

こうしてガンバは選手の距離感を狭めた、とてもタイトな密度の高い闘いかたを目指すことになりました。作戦で目立つことが三つあります。まず、中盤の守備が非常にタイトです。このシフトだと中盤は、ヤット、井手口、今野、秋のなかでひとり溢れることになります。健太さんにしてみれば嬉しい悲鳴でしょう。今野が水を得た魚のごとく復活しています。今野と秋が東京の起点に素早く圧をかけたことが東京に機能不全をもたらした最大の要因です。

ガンバは、東京対策を意図してか基本プランなのかはいざ知らず、結果的に東京を封じることに成功しました。東京はこの二戦を縦に急ぐ攻撃に徹することで結果を得ました。ガンバはその心臓部である起点、すなわち中盤からプレーの猶予を奪います。今野と秋がこれを担います。ご存知のとおりこの作戦は、プレスを突破されるとカウンターを浴びるリスクを伴います。それに備えるためにアンカーを置いているのでしょう。また、犬ポジのクオリティを保つことがガンバの安定感を生み出しますけど、今野にしろ秋にしろ、ポジションの役割を明確にすることが二人がこのチームでいきる道、あるいは意味のようなものを与えたのだと思います。

ガンバのIHは攻撃色がとても強いポジションです。攻撃権を持つと今野と秋は最前線に顔を出します。そこでポストを担います。二人とも強度が高くボールを持てる選手であり、なおかつトランジションがあってもその場ですぐに犬役に切り替えられる、攻守のマルチロールですから、この難しく特異なポジションをこなすためにうってつけです。

このように、ガンバの攻撃は、前線で人数をかけることができます。さらに選手の距離が短いので攻守の切り替えをはやくかつスムーズにできます。ここにガンバ伝統のウィンガーの攻撃参加が加わります。藤春も初瀬も積極的に高い位置をとります。中央で基点ができるので、ウィンガーはアタッキングサードでの仕事に専念することができます。こうして今日のガンバにうねるような勢いが成立することになりました。

東京は今日は完全に機能不全に陥りました。もちろん東京自身の作戦も影響したと思います。でもそれ以上にガンバの攻守の作戦が東京対策にはまったことが最大の要因だろうと思います。東京は過去二戦と異なり、ボールをつないで崩す攻撃を試みようとします。裏を狙う長いパスはほとんどありませんでした。サッカーの結果は相対的なものですので、ホントに東京がスタイルを変えようとしたのかはわかりません。おそらくやっぱり、ガンバのプランが東京を圧倒的に凌駕したと理解したほうが妥当でしょう。

つまりガンバには、東京のカウンター対策もあったと思います。守備時に5+3の2ラインになります。5バックにすることがセーフティネットになっていて、裏を狙われるコースを封じます。さらに、東京の攻撃の基本プランであるサイドも同時に封じることができます。中盤を三人にしている理由のひとつには、サイドのケアを厚くする意図もあると思います。

なので東京は、起点と基点と力点のすべてをもがれることになりました。そりゃ機能不全になろうというものです。もちろんガンバの作戦を上回ることができるクオリティに今の東京が立っているのであれば、東京をふがいなしと批判して然るべきだと思います。今日は、なんというか、リニューアルガンバにびっくりしちゃったんじゃないかと思います。あのガンバが犬ポジを採用し、かつものすごく高いクオリティを見せたので、面食らったと見たほうが自然だと思います。

ガンバの凄みがもうひとつ。それは攻撃パターンの多彩さです。今野と秋を基点にしたサイドアタックを基調とします。これに長沢とアデが絡んで、密度の高いスペースを小気味良いパスの連鎖で打開します。

ところがそれだけではありません。東京がラインを上げ裏のリスクテイクをしているシーンでは、長沢とアデが虎視眈々とスペースを狙っていて、後方もそれがわかっています。とくにアデの個性は、たったひとりにして一騎当千の脅威を与えます。ぼくらに例えるなら、よっちやカボレやムリキのワクワク感といえばわかり易いでしょう。いやそれ以上。アデにはカウンター要員に不可欠なスピードのみならず、多彩なボール扱いとプレーアイデアが加わります。アデを観るだけで試合の満足感を得ることができます。対戦相手の個性は、東京を応援し続ける動機に成り得るとぼくは信じます。そして、アデが魅せます。

22分。ガンバ陣右サイドでの、広貴と室屋のアタックを藤春がカット。東京は守備網を敷くためにリセットします。藤春からボールを受けた今野はヤットに渡します。ヤットは前線をルックアップ。このとき前線では、アデが裏に抜けようとしていました。ヤットはアデにロングフィードを送ります。アデは寄せてきたまるを、絶妙なボディワークでかわし、抜け出します。アデは彰洋の位置を見て、ゴール右隅に流し込みました。ゴラッソ。ガンバ1-0東京。

この先制ゴールは、アデを乗せたという意味で今日の流れを決定するターニングポイントになりました。以降、ガンバは執拗に長距離砲アデを繰り出し、東京の守備にジャブの効果を与えます。とくにSBとボランチが守備に意識を割かざるおえないため、必然的に攻撃が散発に終わります。やがてアタッキングサードにすら入れないほど、前半の残りの東京は混乱していました。

さらにやけっつらに蜂のごとくアクシデントが起きます。広貴が足を痛め下がります。代わって翔哉が左WGに入ります。永井が右に回ります。今日の広貴は空回りせざるおえない状況でしたから、アクシデントとはいえ翔哉は打開策にもなり得るかなと期待しました。一方で、攻撃の散発に一層拍車がかかるリスクも内在する不安もありました。

この後は、東京がアクシデント対策と後半に向けたアジャストのため、コンサバティブモードに入ります。ガンバもまだ仕留める時間ではないとふんだのかこれに付き合い、静かにときを刻みます。前半はビハインドのまま終了。

後半から東京が反撃を試みます。ガンバの勢いを削ぐべく、前線のプレッシングの圧力を高めます。さらに、永井を一枚上げてシフトを4-4-2に変更します。攻撃時には翔哉がなかにしぼって基点になろうとします。慶悟は右サイドでスペースメイクをし続け、室屋を引っ張りあげるきっかけになろうとします。

でもこれも今日のガンバには通用しません。それどころかガンバも作戦変更を施し、それが効きます。ガンバはロングカウンターに徹します。今度は左右のウィンガーを走らせるかたちです。藤春と初瀬は、アタッキングサードに入るとシンプルなクロスを中央に返します。中央では、長沢とアデに加えて逆サイドからも飛び込んできます。カウンターなので基点はわずか一箇所にもかかわらず、ゴール前に人数をかけられるガンバの高速アタックは、シンプルさゆえ今年の武器になりそうな気がします。そしてさっそく作戦が奏功します。

53分。東京の自陣のパス回しから。慶悟から拳人へのパスは、前線からの犬追いでガンバのコントロール下になっていました。このパスをヤットに狙われます。ヤットがカットしたボールは今野に渡ります。今野はダイレクトでアデへ。アデは今野に返します。今野はここでホールド。藤春の攻め上がりを待ちます。アタッキングサードに入った藤春に今野からパスが入ります。東京は守備網再構築中。藤春はルックアップ。このときゴール前は長沢のみに対しモリゲ、まる、洋次郎、宏介がいます。藤春は実質長沢とまるの1on1になるように上から落ちてくるクロスを送ります。このクロスは抜け、宏介がクリアします。ところがこのクリアが内に返すスルーのようになります。このミスが致命的でした。宏介のパスは秋に渡ります。秋のシュートはクロスバーに当たって跳ね返りますけど、つめたまるに当たってゴールに吸い込まれました。ガンバ2-0東京。

これを受け、篠田さんが動きます。慶悟に代えて徳永を右SBに投入します。室屋がひとつ上がって右メイヤです。この時間はとくに藤春に手を焼いていたので、まずは右サイドの安定を意図したのだと思います。それから室屋の守備負担を減らしてアタッキングサードでの仕事の機会を増やしたかったのでしょう。攻撃の人数、とくにサイドの厚みの不足が今日の最大の問題でしたから、期待できる作戦だと思いました。

さらに篠田さんが動きます。永井に代えて遼一を同じくトップに投入します。基点を明確にする意図だと思います。これが奏功します。遼一と嘉人は縦関係になります。嘉人がバイタルエリアに下がって攻撃の組み立てに加わります。ガンバの圧力のために基点が作れなかった東京ですけど、1on1で粘れる嘉人が基点になることで、ようやく守備網を突破する機会を作れるようになりました。

バイタルエリアで、相変わらずガンバ守備陣のハードコンタクトにアタッカーが吹っ飛ばされるシーンが続き、正直しんどいなと思っていましたけど、基点の嘉人、チャンスメーカーの室屋の配置変更によってガンバゴールに迫ることができるようになります。この良い流れのなかで室屋がPKを獲得します。

判定の正否はどうでも良いのですけど、結果的にはガンバに二つの効果をもたらします。ひとつは、それまでも今日は当たっていた東口に火がついて神域に入ります。むかし藤ヶ谷が神がかった試合を思い出しました。もうひとつは心理戦です。ガンバのことなので意識していないと思うけど、その場の雰囲気は、勝利への執着の強さでガンバが東京を大きく上回っていることを表象していたと思います。PKをミスしたのが、時間をおうごとにフラストレーションの表現が増えていた嘉人だったということも東京にとってマイナス要素を助長したことでしょう。

ようやく健太さんが動きます。試合を〆にかかります。初瀬に代えてオ・ジェソクを同じく右WBに投入します。右サイドの安定化のためだと思います。

直後、三度ガンバのカウンターが火を吹きます。

85分。センターライン付近の洋次郎から宏介へのホスピタルパスから。ジェソクと秋に狙われます。ここがポイントでした。宏介はこれまたホスピタルを洋次郎に戻しますけど洋次郎がコントロールミス。秋が拾います。ターンした秋はルックアップ。このとき前線では、アデがフリーで抜け出ようとしていました。秋はアデにスルー。アタッキングサードに入ります。追いついたアデは勢いのままダイレクトで折り返します。中央上がってきたジェソクと長沢には合いませんでしたけど、戻りながらカットしようとした拳人の足に当たりゴールに吸い込まれました。ガンバ3-0東京。

盤石の健太さんが動きます。アデミウソンに代えて高木を同じくトップに投入します。アデのコンディションと高木の出場機会を考慮したのだと思います。

最後に健太さんが整えます。秋に代えて淳吾を同じく右IHに投入します。これも秋のコンディションと淳吾の出場機会を考慮したのでしょう。

東京はガンバのカウンターと神東口の前になす術なく、このまま試合終了。ガンバ3-0東京。

今年初の完敗でした。思い切り負け惜しみを言うと、完敗なればこそ案外スッキリします。ガンバのリニューアルには観ている立場でも混乱しました。それ以上に今日のガンバの出来は、年間を通じても上位にランキングされるほどのクオリティだったと思います。ガンバは本質的にこんなに敬虔なガテン系のチームカラーではありませんから。まぁ、間が悪かったというところでしょう。滅多に観られない良いものを見ました。

年間通じて6、7敗が優勝争いのラインですから、初敗戦ははやいかなと思うけど、はやめに課題をあきらかにできる利点もあると思います。今の東京は、基点とサイドを消されると案外あっさり封じられることがわかりました。まずは、ハードプレスへの対応が望まれますね。それから宏介の攻守の不調がちょっと気になります。出場機会が無かったブランクがまだ残っているのかもしれません。がんばってほしいです。

さあ、次節は嘉人の日。いまだ嘉人にゴールが無いのが心配だけど、ここまでの三戦はクラシコのためにあったんだと、次の土曜日に実感したいですね。