悔しい。あんまり悔しいから今日は写真だけ(T_T)。
写真だけにしちゃうのがあまりにももったいないくらいの激闘で、客観的に観たら素晴らしい試合でしたので、気を取り直して書きます。一夜明け、悔しさが少し癒えたかたは、もしよろしければちょっとだけ冷静に、一緒に試合を振り返ってみてください。
残暑を思わせる小春日和になりました。長袖を着てたら暑いくらいでした。
すでにぼくらの焦点は2ndステージにはなく、年間順位です。4位ガンバが勝ち点2差に迫っています。ずっと上を追っかけていた今シーズンでしたけど、残り3試合というここにきて、はじめて追われる立場になりました。CSの綾というか、年間3位で追われる立場というのも妙な気分ではあります。
あまり思い出すのもアレなのですけど、1stでもGW期間中までの連勝で一気に盛り上がって、天王山として迎える首位浦和戦のつもりが、その手前で鹿島にくじかれました。今同じような状況で、山雅、広島とパーフェクトを見せて、いざ浦和と年間順位の上位決戦と意気込んでいたら、手前で湘南に邪魔されてしまいました。少しだけ不安な流れを感じながらも、選手、スタッフ、サポともに、これまでに無い感情の昂ぶりを感じつつ臨む、今日は宿敵浦和戦です。本日のYou'll Never Walk Alone♪。選手入場時のコレオグラフ。
おそらく自他ともに認める対浦和激闘譜にふさわしい激戦は、猛追もあと一歩およばず。悔しい悔しい敗戦です。
東京は河野が戻ってきました。浦和を意識した、バランス重視の今年のベストメンバーです。シフトは4-3-1-2。GKはブラダ。CBはモリゲとまる。SBは徳永と宏介。3CHは右からヨネ、秀人、羽生。トップ下は河野。今日の2トップは遼一と慶悟です。
浦和はオプションの範囲内での不動のメンバーです。シフトはおなじみ3-4-2-1。GKは周作。3CBは右から森脇、那須、槙野。ボランチは勇樹と陽介。WBは右にタカ左に宇賀神。今日の2シャドウは右に慎三左にムトゥ。今日の1トップはズィライオです。
1stステージでは1-4で敗れましたけど、点差よりも浦和ののっけからの圧力が印象に残っています。1stステージの優勝は、この先行逃げ切り策がはまったことが成功要因のような気がします。2ndステージは、とくに夏場に失速しました。恒例の浦和の失速は、選手の固定化による作戦のワンパターン化の弊害が現れたものだと思っています。浦和はこのまま、例年通りに急降下するのかと思っていました。ところが、秋口以降、復調しています。通年での総合勝ち点でも首位を争っています。なにが変わったのか。浦和を見るのはナビスコカップの新潟戦以来ですから約2ヶ月ぶり。あの時は大量失点後のスクランブルでしたから参考になりません。その前はアウェイ新潟戦で、まさに不調期でしたから、浦和の変化は今日が初見です。
浦和の基本的な闘いかたは変わりません。今さらなので詳細ははぶきます。最大の特長は攻撃時の4-1-5のシフトです。陽介をひとり中盤に残して、勇樹が最終ラインに入ります。WBが最前線まで上がります。1stステージでは、1トップ2シャドウのボール保持力を活かし、高い位置で基点を作って、WBをアタッキングサード深い位置まで上げて1on1の状況を作るパターンでした。この考え方も基本的には変わらないのですけど、WBに渡すまでのプロセスに工夫がありました。
まず、浦和は急ぎません。ミシャ初年度のように、最終ラインでボールを回し、ゆったりとしたリズムを作ります。攻撃のスイッチはワイドに開いた左右のCBが押します。ボールを回している間に、シャドウが細かくポジションを修正します。この狙いは、CBとSBの間にスペースギャップを作ることにあります。さらにWBが対峙するSBとの間合いを見て、抜け出すタイミングを計ります。この動きが一致した時、森脇もしくは槙野から、CBとSBの間を狙ったロングスルーが繰り出されます。とくに宇賀神を使う頻度が高かったと思います。浦和は左右をバランス良く使うチームですけど、あえて左を伺ったのは、モリゲの状態を意識していたと思います。
この動きでわかると思うのですけど、今の浦和の攻撃は、つまり中抜きです。陽介は言わば囮。ただ重要な役を担います。中盤を広範囲に浮遊することで、3CH、とくにヨネと羽生をひとりで中央に引きつけます。サイドエリアでSBを剥き出しにするため。浦和の静かな立ち上がりは、これらの作戦を水面下で粛々と遂行した、スパイ大作戦のような巧妙な工作でした。
東京はこれに、まんまとはめられます。今日の東京の基本的なビジョンは、自慢のロジカルな4+3+1+2の4ラインの守備網で浦和の攻撃を機能不全にし、ロースコアの心理戦に持ち込むことだったことは、我々外部から見ても明白です。浦和はそれを逆手に取り、逆に東京の守備網を機能不全にします。東京の堅守は、3CHの連動にその原点があります。浦和の中抜き作戦は、3CHを実質無意味にすることを意図していました。おそらく東京は、1stの浦和をイメージして、2シャドウが中盤に下りてくることを念頭に、両WHが機能することを想定していたと思います。浦和はあえて両シャドウを最前線に張り付かせることで、見事に東京のAプランを崩壊させます。そしてさっそく、浦和の作戦が奏功します。
11分。遼一が槙野を倒して得たリスタートから。最終ラインが自陣でゆっくりボールを回します。勇樹から槙野に入ったところで、槙野がダイレクトで一気に前線に送ります。狙いはモリゲと徳永の間。そこに宇賀神を走らせ、一気にアタッキングサードに入ります。徳永の裏をとった宇賀神が追いつきます。この時ゴール前はズィライオにモリゲとまる。遅れて陽介、ムトゥ、タカが上がっています。これに対し東京は宏介だけ。第二波が数的不利になっていました。宇賀神は深く切れ込んで、ゴールラインから、フェイドアウェイの動きでファアに流れるズィライオにロブクロスを上げます。これはブラダがパンチングで逃れますけど、これが猫パンチ状態で中途半端なクリアになります。高く上げられなかったかな。詰めていたのが陽介でした。東京0-1浦和。
浦和は、ある程度は作戦の成功を想定していたと思います。最近の浦和を見ていないので、今日の作戦が東京対策なのか基本プランなのかはわかりません。ただ、スカウティングが十分な東京をして安易にはまってしまったところを考えると、やっぱり東京対策だったのかもしれませんね。もっとも、これほどはやくゴールという成果が出るとは思っていなかったんじゃないかと思います。
ブラダは、湘南戦と同じミスでした。2点目と4点目は致し方ないとして、この1点目と3点目は、権田であればという気持ちを禁じえません。ナビスコカップのアウェイ鹿島戦を見ていないのですけど、それ以前の達也の安定感を考えると、厳しいようだけどこの大事な時期には信頼性が一番なんじゃないかと思います。おそらく東京は、浦和の作戦に多少ならず混乱していたと思います。混乱というのは言い過ぎかもしれません。アジャストの方向性を確認しようとしてた矢先の失点だったと思います。そして失点によってアジャスト仕切れない焦りも出たと思います。さらに浦和が東京の心を揺さぶります。
14分。ブラダのGKを拾った浦和が自陣からビルドアップです。森脇がハーフウェイを越えて右ライン際で高く位置取るタカに渡します。アタッキングサードに入ります。タカはそのままドリブルで深く切り込みます。カットインを狙いますけど、宏介が密着マーク。タカは上がってきた陽介に渡します。河野が気づきますけど、陽介の反応のほうが速く、ペナルティエリア手前でフリーになります。この時ペナルティエリアでは、ニアにズィライオと興梠、ファアにムトゥがいて、それぞれモリゲ、秀人、徳永が見ています。陽介にまるが寄せます。陽介は寄ってきた宇賀神に出そうとしますけど、まるのプレスに押されてボールをこぼします。これをヨネが拾おうとしますけど、届きません。イーブンボールになります。この時ファアでは、徳永がムトゥの位置を確認してからボールに視線を戻します。不運なことに、徳永が目を離したタイミングで、しかもイーブンボールがムトゥの前に転がります。ムトゥはタイミングを計ってダイレクトで巻いたコントロールショットをゴール右上隅に決めました。東京0-2浦和。
浦和の選手もスタッフもサポも、びっくりぽんだったと思います。ぼくらもびっくりぽんでした。激闘必至と思って、朝から体が震えるほどの緊張と興奮のなかにいましたから、浦和のAプランがあっさり結実するのを見て、拍子抜けというか、こんなはずじゃなかった感は否めませんでした。でも、ミステルと選手たちは、まだ余裕がありました。東京は、選手と基本作戦を完全に固定化するミシャ浦和と対極的に、相手や状況に応じて臨機応変に闘いかたを変えられるよう、これまでの日々を積み重ねてきました。その成果がこの決戦で活きます。
ぼくらはミステルのおかげで、考えるサッカーを学びました。2点のビハインドを負った直後、ミステルが冷静に動きます。シフトを4-4-2に変更します。慶悟が左メイヤに下がります。右は羽生。浦和の攻撃スイッチである森脇と槙野を意識して、サイドの守備力を高める意図だと思います。これまでも、何度も守備を安定させるためにとってきた作戦ですから、選手もぼくらも違和感なく受け取ります。ただ、マリノス戦と湘南戦で見たとおり、攻撃力に難がある作戦だということも、ぼくらは知っています。まずはもう一度チームの闘いかたの基礎を取り戻そうという考えだと思います。ところが、これもびっくりぽんなことに、この作戦変更は守備だけでなく攻撃面でも奏功します。
16分。宏介のスローインから、東京は最終ラインでボールを回し、徳永の位置を上げます。その徳永に渡して攻撃開始。この時羽生が中央から右に流れる動きを見せます。これに勇樹がつられます。中央は陽介だけ。陽介の前に秀人とヨネ。この局面で2on1の数的優位ができます。ムトゥを引きつけた徳永は内のヨネに渡します。この時前線は三枚。ニアに慶悟がいて那須が見ています。中央の遼一は森脇が見ています。河野がバイタルエリアでフリー。河野がニアに少し移動したので、那須が慶悟と河野を見る形になります。那須が河野に視線を送った瞬間、慶悟が裏を取ります。ヨネはこれを見逃しません。ヨネからのスルーを右足で受けながらターンした慶悟は、そのままペナルティエリアに入ります。寄せてきた槙野を左手一本のハンドオフで消し、そのまま右足でトラップ。姿勢を整えて周作の位置を確認し、角度の無いところから周作とポールの狭い隙間を通しました。ゴラッソ。東京1-2浦和。
ミステル東京らしいロジカルな作戦変更で成果を見ました。東京は、期待通りに安定します。浦和のロングスルーが機能しなくなります。そこで浦和はBプランに移行します。通常通り、1トップとシャドウを基点にしたビルドアップスタイルに戻します。東京の中盤が二枚になったので、狙い処がボランチの脇のバイタルエリアに変わったためです。
今日の東京の4-4-2は、失敗した2試合を教訓にしてか、重心が下がり過ぎません。工夫はメイヤの位置です。慶悟と羽生は攻撃時に高めなポジションを心がけていたようです。なので、いつものライン型ではなくボックス型です。しかも、とくに慶悟が内に絞り加減に位置取っていたので、遼一との距離感も開き過ぎません。これにより、宏介の攻撃参加も促すことができます。
両チームの攻撃面での工夫に対し、守備側がこれまた互いに慌てることなく、堅実に対処します。この試合唯一と言っていい安定した時間になりました。流れとしては、作戦の引き出しが豊富で、しかも作戦変更が早々成果をあげた東京が、追い上げムードを作りかけていましたから、ぼくらも心のなかで、同点そして逆転のシナリオを描きつつありました。その矢先、痛い痛い、ホントに痛い失点を喫します。
27分。浦和のGKから。最終ラインが自陣でボールを回します。勇樹が自陣から、下がってきたズィライオにグラウンダーのパスをつけ、攻撃スイッチが押されます。モリゲを引っ張り出したズィライオは、ダイレクトで左にいた宇賀神に渡します。切り替えたモリゲが宇賀神に寄せますけど、宇賀神はキープ。その間に宇賀神の左脇をムトゥが抜け出します。宇賀神はムトゥにパス。ムトゥは細かいタッチのドリブルで、モリゲが上がって開いたスペースに入ります。モリゲのスペースをカバーするためにまるが中央に寄せます。それに連動して宏介も絞ります。浦和はゴール前に慎三だけ。この時、逆サイドをタカが上がっていました。これを見たムトゥはタカにパス。タカは左足でシュートしますけど、これはまるに当たります。こぼれ球が慎三に当たってイーブンボールになります。ちょうど慎三がポストした形になります。これに先に反応したのはタカでした。タカは今度は右足を振りぬきます。東京1-3浦和。
今日のMVPはズィライオだと思います。今年は今日で8試合目の観戦になる浦和ですけど、これほど安定して力強いズィライオを見た記憶がありません。東京の守備の安定の重要な要素として、秀人、モリゲ、まるの三角形の堅さがあるのですけど、ズィライオはひとりでこの三人を受け持ちます。三角形のなかに入ってしまうと身動きができなくなってしまうのですけど、今日のズィライオは、三角形の頂点を目指し続けます。グループでの守備を機能させず、1on1の状況を作ります。それでも東京が誇る守備の要は、通常個でも十分に対応できるのですけど、今日はズィライオの細かいポジション修正とスピードと技術に手を焼きます。
このゴールが、実質今日の結果を決定したと思います。東京が、守備が安定しはじめて90分間のイメージを持てるようになった矢先の出来事ですから、ショックが大きかったです。作戦の幅が少ない浦和としても、このゴールは心強かったと思います。
この失点を受けてミステルが動きます。シフトを4-3-1-2に戻します。通常ミステルは、短絡な対処療法的な作戦を取らないのですけど、さすがに決戦ですから、点を取りにいくしかないという判断だと思います。
そしてこの時間帯から、浦和のCプランが発動します。東京がバイタルエリアを基点に、少ないタッチで縦にはやい攻撃を志向しますので、浦和はその基点をつぶしにかかります。コンタクトがはげしくなってきます。遼一に対しては、那須、槙野、勇樹が、慶悟に対しては森脇が厳しくマークします。先に述べました通り、今年ずいぶん浦和を観てますけど、これほど激しいコンタクトを見せたことは一度もありません。もしかすると浦和には、それと認める特定の相手、たとえばガンバ、鹿島、マリノスのようなチームに対してだけ発動する守備モードがあるのかもしれません。獰猛で狡猾な、チャンピオンチームが持つ強さのようなものを感じました。もちろん年間勝ち点での王者という目標があってのことでしょうし、地上波全国中継ということもあったんでしょうけど、東京を意識して東京だからこそ取らざるを得なかった究極プランだったんじゃないかと思います。
ただ、ちょっとおやっと思いました。浦和は守備加重になることなく、基本的な闘いかたのままです。相変わらずWBも左右のCBも高い位置を保ちますし、中盤はボランチ二枚のままです。つまり、もともと浦和に内在するリスクが、そのままの状態で残っています。たしかに点差が広がりましたけど、この点で光明を感じていました。スペースがあれば、攻撃のしようもあります。まだまだ何かが起こりそうな予感を感じました。前半はビハインドのまま終了。
後半頭からミステルが動きます。ミステルもスペシャルプランを用意していました。今日はびっくりぽんなことが多い試合でしたけど、これほどのびっくりぽんは、ミステルが来てからの2年間で感じたことがありません。シフトを3-3-3-1に変更します。てか、守備をフルマンマークに切り替えます。中央ズィライオに秀人、ムトゥにモリゲ、慎三にまる、宇賀神に徳永、タカに宏介、陽介に羽生をそれぞれつけます。アンカーにヨネが居てカバーマンです。なので、ヨネと羽生は縦関係です。アタッカーは、1トップに遼一を置いて、WGは右に河野左に慶悟です。大胆な作戦変更ですからプラクティカルなのか心配しましたけど、杞憂でした。最初の5分くらいちょっとバランスが乱れ加減でしたけど、すぐに安定します。もともとマンマークはシフトに依存しないのでやり易いこともあると思いますし、なにより守備能力が高いな選手が揃っている東京ですから、かつて観たことがないプランでも容易に対応できたのでしょう。いや、もしかしたら、今週のトレーニングで準備していたのかもしれませんね。
守備がさらに安定します。この作戦の意図は、まずは浦和の特長的な攻撃の仕組みを完封しようというものだと思います。でもビハインドなので、チームの闘いかたを安定させた上は、攻撃でも効果がないといけません。そこでミステルが動きます。河野に代えて翔哉を同じく右WGに投入します。河野にはWGの特性はありませんから、繋ぎよりも独力の仕掛けを期待したのだと思います。
さらにミステルが重ねます。羽生に代えて陸を投入します。同時にシフトと布陣を変更します。シフトは3-4-1-2です。秀人を一枚上げてボランチ。ボランチは横関係に戻します。モリゲと徳永がそれぞれスライドします。陸は右WBです。トップ下には翔哉が入ります。これが機能します。前線はちょっと変則的で、遼一を真ん中に置いて、慶悟を左サイドに張らせます。そして翔哉をバイタルエリアに置きます。左加重です。明らかに慶悟と宏介に主役を託す作戦です。わかっていても止められない二人ですから、リーサルウェポンとしてこれ以上ないキャスティングです。
ただちょっと心配だったのは宏介です。湘南戦でリズムを崩していた左足が、今日もまだ精度を欠いたままでした。宏介が、いまJリーグのなかでも際立って輝くその左足の圧倒的なパフォーマンスを試合中に取り戻せるのかが、この試合の重要な鍵となりました。
浦和の守備にも変調が見えはじめます。今日の浦和は、先に述べました通り基点に対し厳しいマークで臨みます。東京が後方でボールを持つ場合には、フォアチェックを仕掛けます。中盤ではそれをさらに加速させ、二枚、三枚、時には四人でボールホルダーに寄せます。言い換えると、この浦和の初動の壁を越えると、攻撃のためのスペースが用意されているということです。東京はこれを利用します。翔哉とヨネ、秀人の縦関係でパスを繋ぎます。浦和は当然ヨネと秀人に襲いかかります。その背後を、再度翔哉と慶悟が狙います。この縦のパス交換をクイックにすることで、浦和の包囲網をくぐり抜けることに成功します。翔哉が基点になり、攻撃にリズムが生まれはじめます。
さあ一気に攻め込むぞという期待感が味スタに充満します。そんな時間帯に、結果的には決勝ゴールとなる失点を喫します。
62分。森脇の自陣のスローインをズィライオがフリックで右ライン際に落とします。そこに慎三がフリーでいました。慎三はドリブルで東京陣に入ります。カウンターです。東京はモリゲと徳永。浦和はファアにムトゥだけ。慎三はそのままドリブルでアタッキングサードに入ります。まるがマークに付きます。慎三はルックアップ。ファアではムトゥがカットインしようとしていて、徳永がケアしています。やや遅れて中央をズィライオが上がります。これは秀人が見ています。4on3。慎三はカットインからシュートを狙いますけど、秀人がカットします。右サイドにこぼれたボールに詰めたのはタカでした。慎三がつぶれてチャンスが消えたと思ったズィライオとムトゥは、タカがフォローするのを見てリセットします。オンサイドに戻ります。タカはクロスを伺いますけど、宏介がコースを消していたので、いったん陽介に戻します。陽介は中央の勇樹にパス。勇樹に翔哉が寄せますけど、勇樹はキープしてサイドチェンジ。上がってきた槙野に渡します。局面が左サイドに変わります。槙野は秀人が見ます。ニアのムトゥは陸がケア。中央ズィライオは徳永とまるがついています。浦和は慎三がバイタルエリアでフリー。東京もモリゲが一枚余っています。槙野はムトゥとのタベーラで状況を変えようとします。ムトゥが槙野のイメージの更に上をいき、中央のズィライオを使った三角形で、スペースギャップを作ろうとします。槙野のマーカーの秀人は、ボールウォッチャーになっていて槙野の動きが見えていません。ズィライオは右足ソールで槙野にジェンダーパス。フリーになった槙野は、丁寧なコントロールショットをゴール左隅に決めました。東京1-4浦和。
もちろん痛い失点だったのですけど、東京の攻撃が機能していましたし、浦和にこれ以上の作戦の引き出しがないことは分かっていたので、期待感は失われません。以降、結局最後まで東京が攻撃権を持ち続けます。今日はあまりスタジアムでサッカーを見たことがないお客さんもいっぱいいらしてたと思います。東京と浦和のサポが醸し出す最高の雰囲気だけでなく、ここから東京が魅せたショータイムに、きっと大満足されたと思います。東京サポであるぼくらにとっては、押しきれなかった無念が痛いのですけど、広く捉えたらJリーグにとっても東京にとっても、価値のある一戦になっちゃんじゃないかと思います。
さて、ミシャが動きます。ズィライオに代えて忠成を投入します。正直に言って、別に忠成を悪く言う意図はまったくなく、ズィライオが下がってくれてホッとしました。秀人がボランチに戻ったのは、ズィライオ対策の意味もあったと思います。ズィライオが前後に動くので、中盤がヨネ一枚だと対応しきれていませんでした。秀人とモリゲでズィライオを挟み込む意図だったと思います。それでもズィライオはポストをこなしていたので、東京に攻め込まれつつも浦和がカウンターを仕掛けられていた原動力になっていました。東京のマークも非常にタイトになっていた時間帯で入った忠成はホントに難しかったと思います。
ともかくも、浦和が基点を失います。中盤のイーブンボールも東京が拾う頻度が圧倒的に高くなり、以降は、ほぼ一方的に東京が攻め続けます。そして反撃の狼煙が上がります。
74分。浦和のオフサイドで、自陣からのリスタート。最終ラインでボールを回し、じわじわと浦和陣に入っていきます。浦和は完全に自陣にリトリート。モリゲがゆっくりとドリブルで浦和陣に入ります。なんとブラダ以外全員が浦和陣です。モリゲはまるに渡します。この時左ライン際を宏介が一気に駆け上がり、タカの裏を取ります。これを見たまるが宏介にスルーを送ります。このパスはタカがカットしますけど、こぼれたボールが森脇に当たり、なんと宏介に渡ります。アタッキングサードに入ります。宏介は森脇を引きつけてから、背後を上がる慶悟にパス。森脇が反応してケア。慶悟と森脇の1on1の局面に入ります。この時ペナルティエリアでは、ニアに秀人、ファアに遼一がいます。それぞれ那須と槙野がケアしています。やや下がり目で翔哉がフリー。さらに大外に陸が上がっています。じっくりタメて時間を作った慶悟は、森脇だけでなく宇賀神も引きつけます。これで残っていた宏介がフリー。この時ゴール前では、秀人がじわじわと那須から距離を開けていました。ルックアップしてこの状況を見た宏介は秀人に合わせます。那須の頭を越えるクロスは、飛び込んだ秀人にピッタリ合いました。東京2-4浦和。
ここに来て宏介の左足が復活しました。猛攻の興奮状態のなか、集中力が高まったのかもしれません。東京のエースの復活は、この試合だけでなく今年のこれからの闘いにも好影響をもたらしてくれるような気がします。
直後に、続けざまにミシャが動きます。宇賀神に代えて梅崎を同じく左WBに投入します。さらにタカに代えて平忠を同じく右WBに投入します。
選手と闘いかたの固定化は、功罪伴うと思います。浦和は今年、ミシャモデルの純度が高まり、力強い横綱相撲を取ることができるほどに昇華しました。一方で、今日のようにミシャモデルが封じられた時に、それに抗う手段は作戦変更には無く、選手に依存します。ズィライオ、宇賀神、タカとも、コンディションを考慮した交代だと思います。梅崎をシャドウで使われると怖いなと思ってました。浦和のシャドウのなかでは異質なドリブラーですから。東京は攻撃加重になると、ドリブラーによるロングカウンターに後ろ残りの守備陣が翻弄されることが度々あります。慎三もムトゥもドリブルがありますけど、長い距離を走れるのは浦和では梅崎くらいだと思っていました。その梅崎をWB、つまりこの状況では守備のために使ってくれたことで、実質浦和のカウンターの脅威は消えたに等しいと思います。
試合は最終盤に入ります。ショータイムは残り10分あまり。フィナーレの時間に入ります。2点差。ガンバとの勝ち点差を考えると、最低でもドローまでは辿りつきたいところです。ミステルが動きます。徳永に代えて容平をトップに投入します。同時にシフトを4-4-2に戻します。浦和のカウンターの脅威がゼロになったので、フルマンマークの必要が無くなりました。形の上では4-4-2と表現しますけど、徳永と宏介が上がりっぱなしですから2-2-4-2に等しいです。東京の猛攻に、味スタのテンションがマックスになります。恥ずかしいのですけど、自分は感動のあまり泣きながら観てました。そしてまた一歩、浦和を追い上げます。
84分。宏介の右CK。浦和はゾーンとマンマークのハイブリッドです。モリゲには槙野、遼一には那須、秀人には勇樹、容平には慎三。まるには忠成、慶悟には森脇がつきます。ストーンはニアに平忠と陽介。宏介はキックモーションに入ろうとして、一度止めます。浦和の動きに何か感じるものがあったのかもしれません。ちなみにこの時は、ニアに秀人が流れ、その背後からモリゲが飛び込み、逆に遼一は中央にステイするパターンでした。もしかしたらモリゲをターゲットにしていたのかもしれません。槙野のマークがしっかりしていたので、それを嫌ったのかもしれません。この時、ニアに飛び込んだ秀人が、そのまま反時計回りにゴール前を一周します。勇樹がそれにずっとついています。宏介が二度目にキックモーションに入った時、この秀人の動きを確認したモリゲが、あえて秀人の前を横切るような動きでゴール前に寄せます。このモリゲの動きがスクリーンプレーのようになり、勇樹が秀人を見失います。秀人は一人、ニアに姿を現します。宏介が合わせたのは、秀人でした。勇樹が必死に体勢を崩そうと寄せます。宏介のクロスに先に触ったのは周作でした。でも交錯する極限の局面で、さしものの周作も触るのがせいいっぱい。こぼれたボールは、秀人の執念が呼び込み、秀人がギリギリで右足を伸ばして押し込みました。東京3-4浦和。
ここから先は、浦和はもう、手段を選ばず、正も邪もなく、体をはって必死の守りで耐えます。ムトゥまでも、レフリーの判断の許容する範囲内でのチャージを見せます。チーム全体で守り切る強い意志を感じました。東京も、遼一を中心に体を張ります。意地とフィジカルのぶつかり合いは、時間との勝負になります。考えてもせんないことですけど、もう少し時間があれば押し切れたかもしれませんね。
激闘譜にふさわしい激戦となった最終盤は、結局浦和に軍配が上がりました。このまま試合終了。東京3-4浦和。選手を勇気づけるYou'll Never Walk Alone♪。
これで、ポポさん以来はじまった浦和との抗争は、1勝3敗4分、16得点20失点になりました。今年ゴレアーダを喫したのは浦和戦だけ。しかも2試合とも。年間最小失点もマリノスに抜かれてしまいました。守備を最重要視して結果を出してきたミステル東京をして、何かを狂わせる力を浦和は持っているのかもしれません。いずれにしろ、点の取り合いになると分が悪いことは身にしみてわかりました。
試合後は悔しさと疲労で放心状態になり、しばらく立ち上がれませんでした。味スタの丸い夕空を、ぼーと眺めてました。時間が経って客観的に振り返ると、とっても面白かったです。ワクワクしました。知的好奇心も湧きましたし、やっぱり強い相手との試合は良いものだなと思いました。
とは言えガンバです。これを書いている時点では、ちょうど仙台vsガンバがはじまったばかりです。今回ばかりは他力だけど、仙台を絶大に応援します。どうか引き分け以上をお願いします。
いよいよリーグ戦は後2試合になりました。次のホームは最終戦。2ndステージ優勝争いやらCS出場権争いやらで気づきませんでしたけど、今年もサウダージな季節がやってきます。でもいまはそんな気持ちは置いておいて、なにがなんでも、外野になんと言われようとも、CSに出たいです。下克上したいです。よね?。