開幕ましておめでとうございます。今シーズンもぽちごやをよろしくお願いします。
今シーズンも丹羽ちゃん推しです。
例年よりも動きが多かった今年のJリーグのウインターブレイクでした。東京はちょっと遅めで年明けから活発化して、ここにきて前線が俄然豪華になりそうです。
開幕戦はクラシコです。人気に実力がともなったチャンピオンチームは、年々チケット獲得が難しくなってめんどくさいです。俺の東京♪。You'll Never Walk Alone♪
開幕戦は激闘のなか、あっという間の90分で満足のドロー。
2019年シーズンのスターティングオーダーです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に新キャプテン慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。
王者川崎は毎年少しずつ布陣を変えてリフレッシュをはかっています。今年は懸案のトップにビッグネームを獲得です。シフトは4-2-3-1。GKはソンリョン。CBは彰悟と奈良。エウソンが抜けたSBは右にマギーニョ左に車屋。CMは守田と僚太。WGは右に悠左にアキ。トップ下は憲剛。1トップはレアンドロ・ダミアンです。
まずは2019年健太東京の印象から。基本的な闘いかたの方向性は変えていないようです。前線にパワー系とスピード系をバランスよく揃え、かつ中盤でのトランジションの支配力を高める補強の方針がそれをわかりやすく証明しています。今日は期待の新加入選手をスタートから使わなかったこともあって、いっそう昨年と同じようにみえたかもしれません。
というわけで今年の健太東京を確認するというよりかは、昨年の振り返りをした印象が強いです。ただ、今日は相手がよかったかもしれません。カウンターを作戦の軸とする東京ですけど、相手によってはボールを持たざるをえない場合がありますから。今日は、フォアチェックを基軸とした、東京本来の守備主導のカウンターサッカーがとてもよく機能しました。
圧巻は試合のリズムを90分間変えなかったことです。これが強弱をつけようとする川崎のリズムとシンクロして、川崎のゲームコントロールを狂わせる要因になりました。
今日の試合のキャスティングボードを握ったのは春を呼ぶ強風です。強い南風は、前半は東京、後半は川崎にネガティヴに影響します。この風に対するそれぞれのとらえかたの違いが試合の妙味を生みます。両チームの基本的な闘いかたを考えると、向かい風の不利は東京により強く現れます。なので東京は、前半はある程度耐えることを不可避と考えていたと思います。
一方川崎は、前半のうちに主導権を握りたかったと思います。ですから、試合開始早々から圧を高めます。ダミアンを起点とするフォアチェックから、東京に攻撃権を渡すことを避け、攻め続ける選択をします。
さてマイナーチェンジとはいえ近年にないクリティカルな補強をした川崎について。川崎に違いをもたらす最も影響力を持つポジションはSBです。なかでも右サイドは、エウソンによってSBの守備的なイメージを完全に払拭してきました。エウソンのクオリティが外見には落ちていないにも関わらずチェンジすることは、最大のリスクを伴うと思います。
現時点の状態は、とてもじゃないけど昨年のクオリティを維持することすらできていません。マギーニョはまだまだ順目のプレーしか披露できないようです。致しかたないと思います。なにしろ比較相手がエウソンですからね。今日にかぎっては、作戦の都合もあるのですけど、馬渡のほうが脅威に感じました。
一方のダミアンは、さすがに存在感があります。ブラジル人アタッカーには難しい日本のハイスピードガテン系サッカーに、ダミアンははやくも順応しているようです。シンプルにトップをターゲットするサッカーは川崎にはないテイストですから、味スタでの再会で川崎がどんな風に進化しているか、楽しみです。
川崎の連覇の要因は、変化を厭わないことだと思います。2018年はショートカウンターを取り入れることで攻撃パターンの幅を広げました。前半風上をとった川崎は、カウンターを選択してくるのだと思っていたのですけど、まずはオリジナルのポゼッションで臨みます。条件と対戦相手を無視した選択ですから、おごり以外のなにものでもありません。
川崎の可変ポジションに対し東京は、落ち着いてゾーンで対応します。抑え処は川崎の仕掛けのタイミング。川崎は、たとえ狭くても可能性のあるスペースをアタッカー全員が狙ってきます。ですから集中力を一瞬でも切ると、それがセキュリティホールになります。東京は、スペースに送る仕掛け人にボールが渡る時点でプレスをかけます。これでチャンスそのものを消します。ただしこれはゾーンを乱すリスクテイクなのですけど、今日はゾーンのバランス、つまりスペースのフォローが完璧でした。
攻めきれないとみた川崎は、いったん試合を落ち着かせて経過をみる選択をします。これに東京アタッカーがつけいります。バイタルエリアやや内側に絞った位置にたつ左右のメイヤに長めのパスをつけ、一気に加速します。とくに開幕スターターを名を連ねた建英は、ドリブルにスペースへのパスにと、縦横無尽の存在感を発揮します。建英も昨年は日本のガテン系サッカーに苦労していたのだとすると、仕掛け続けるチャレンジマインドとそれを成功させる力量をみせられるほど、クオリティが上がっているのだと思います。今年の建英は、東京の主武器足り得るでしょう。
いかんせん、風下ながらも試合の主導権を導くことに成功した東京が得点できなかったのは、やっぱり風のいたずらか。タイミングのよいロングカウンターをディエゴに発動しても、肝心のディエゴに合わないアタックが何度かありました。この昨年からの課題は今年もまだ続いているようです。なんとなくディエゴの発動が遅いようにみえますけど、駆け引きをしているなかでのことですから、そうではないのかもしれません。今日に関してはもっと無条件にスペースを狙ってよかったと思います。
川崎の拙攻と風のいたずらで、前半はイニシアチブを握りながらもスコアレスのまま終了。
後半から、東京も川崎も作戦を変えます。まず東京は、当然のことながら風上の利点を最大に活かします。SBの位置をぐんと上げて、いきなり総攻撃モードで入ります。川崎がアドバンテージを活かせず失敗したのを受け、早々に物理的な主導権を確保しようという意図でしょう。
これは成功しますけど、それに勝る川崎の選択が意外でした。風下にもかかわらずカウンターを選択します。いまさら感がありながらも、この作戦が後半のオープンな試合展開を生み出します。東京が攻めては川崎も対抗する、シーソーゲームの様相を呈します。
意図通りにオープンファイトを作り出せた鬼木さんが動きます。マギーニョに代えて馬渡を同じく右SBに投入します。ポゼッションの基点としての役割が求められる川崎のSBには、直線基調の広島のウインガーは合わないと思ったのですけど、2019川崎の変化の方向性は、まさに広島のようなサイドアタックのテイストを組み込むことなのでしょう。カウンター基調の作戦のなかで、直線的で迷いのないドリブルやフリーランをみせる馬渡がジャストフィットします。このため、どつきあいのイニシアチブは川崎に渡ります。
健太さんはどうするかなと思っていたのですけど、チョイスしたのはどつきあいを続けることでした。謙佑に代えて田川を同じくトップに投入します。カウンターの要素を維持するコンディションアップの作戦です。ひとつにはシーズンインの試合で受けの姿勢を取ることを嫌ったのでしょう。もうひとつはもちろん新戦力のテスト。田川も、さらに最終盤に出るサンホも、ごりごり系のスピードアタッカーの片鱗をみせてくれました。カウンターを仕掛ける体勢の川崎守備陣に脅威を与える仕掛けを再三みせてくれます。
阻んだのは奈良を軸とした川崎伝統のダーティーディフェンスです。これは川崎の余裕を完全に剥ぎとった証拠です。
ただ、今日輝きをみせた建英もディエゴも田川もサンホも、スコアを残さないと評価は確定しません。今年のエース争いははじまったばかり。ジャエルも含めてハイレベルな競争をしてほしいと思います。
来月にはACLもはじまる川崎が先にターンオーバーです。鬼木さんが動きます。ダミアンに代えてまなを左WGに投入します。アキが右、悠がトップにそれぞれ回ります。ダミアンは東京にシュートチャンスを封じられましたけど、得意だと想像する空中戦は風は阻んだので割引いてみなければならないでしょう。パワーはやっぱり圧倒的ですし、なにより献身的に守備に走る姿に本物を感じました。
左右ともドリブラーが揃った川崎のごりごり迫る攻撃は、これもこれまでの川崎にはなかったものです。今年は桁違いの攻撃力を手にいれそうです。ちょっとだけ、はやめに当たっておいてよかったなと思いました。
健太さんも動きます。建英に代えて晃太郎を同じく右メイヤに投入します。あくまでも闘いかたを変えず、コンディションアップと競争を起こすことを狙った作戦でしょう。トップ同様、とくに右メイヤは競争がもっとも激しいポジションになりそうです。だれが結果を残して出てくるのか、楽しみです。
鬼木さんが最後のカードを切ります。憲剛に代えて知念を投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。鬼木さんにしてみれば、強風という不可抗力のなかでも、コンディションの浪費を抑えつつ試合をコントロールする難しい運用をしっかり実行できたのですから、負けさえしなければ及第点だったでしょう。最終盤を迎えて、ちょっとだけ勝ち点3への意欲をみせて、フィニッシャーを増やしてみようという作戦だと思います。
健太さんも最後のカードです。ディエゴに代えてサンホを同じくトップに投入します。今日の交代はすべて同じ意図。
互いにオープンファイトを望んだ結果は、局面の攻防でヒートアップする、開幕戦にして肉弾戦のエンターテイメントでした。どちらも最終局面での守備力が優ったため、アタッカーは消化不良だったかもしれませんね。このまま試合終了。川崎0-0東京。初ゴールは次節へおあずけ。
心身ともに素晴らしいコンディションでシーズンインしてくれました。既存戦力はよいリフレッシュができて、モチベーションが十分なことが伺えます。新戦力も、アルトゥールが入らなかったことが心配だけど、最低限のフィットをしてくれているようです。優勝をリアルな目標に、長いシーズンを闘う準備は万全だと思います。
同じスコアレスでも、ゴールが入っていればさらに満足なのですけど、それは次節におあずけ。今年はどんなパターンでだれがスコアを重ねるのか、昨年より充実した編成のなか、ポジティブでハイレベルな競争をみせてほしいと思います。
まだ冬の気配が残る二月の寒いデーゲームも、はじまってみるとそこはかとなく春を感じました。来週から弥生。今年は桜の開花がはやいそうですから、毎週Jリーグを追っているうちにきっとあっという間に春でしょう。次節は自分にとって未踏の平塚です。