ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

戦火の馬(War Horse)

2012-03-05 22:37:23 | 映画

戦火の馬を観ました。

スピルバーグ作品と聞き、にわかに興味がわいたので。

例によって前知識なしで観ましたので後で知ったのですけど、同名の児童文学が原作なんだそうですね。どうりで物語がロマンチックで、オムニバスのように構成されている説話のひとつ一つが比較的ライトな演出なわけです。児童向けですから必要以上のドラマチックさは必要ないですし、飽きないように小気味よく話が進行しないといけません。映画も子供が観て楽しむことを想定している作りだと思いました。もちろん、大人が観ても楽しいです。

ストーリーは、ジョーイという名のサラブレッドが辿る数奇な運命を描いています。舞台は第一次世界大戦直前のイングランド・デヴォン州から始まります。ある牧場で産まれたサラブレッドの子馬は、馬体が美しい、鹿毛の素質豊かな子。いまでこそ競走馬としての地位を築いているサラブレッドですけど、当時は貴族階級の乗馬用くらいの用途で、一般的には農耕馬のほうが調法されてました。そんな時代なんですけど、この子馬があまりにも美しいので、農耕馬を求めにオークションにきた小作農のテッド・ナラコットが、自分の地主との競りに勝ち、オーナーになります。家に連れて帰ると、案の定奥さんのローズに怒られます。息子のアルバード(アルビィ)が調教することを条件に、なんとか飼っていいことになりました。アルヴィは子馬にジョーイという名前をつけます。ジョーイはうまれつき賢く、またアルヴィの努力のかいがあって、素直ないい馬に育ちます。石だらけの荒れた土地を、アルヴィとジョーイの努力で立派な畑に生まれ変わらせることができました。だけど、嵐のせいで収穫ができなかったテッドは、経済的な理由でジョーイを手放さざるを得ません。ジョーイに黙って。オークションで買ったときと同じ値段で騎兵隊のニコルズ大尉に売ります。こうしてジョーイの放浪の旅が始まります。ニコルズ大尉から、ドイツ軍の少年兵ギュンターとミヒャエルの兄弟、フランスで農家を営むおじいちゃんと二人暮らしのエミリーと渡り、ふたたびドイツ軍に徴収され、馬の世話係ブラントのもとに。ドイツ軍の敗戦による混乱のなか前線に取り残され、逃げる途中で有刺鉄線に絡まり、戦場のど真ん中で身動きができなくなるジョーイ。そんなジョーイを間に挟み対峙する英国とドイツの両軍から、ジョーイを助けるべく兵士がひとりずつジョーイのもとへ向かい、協力してジョーイを助けます。生死をかけた戦場に、つかぬま訪れた平和。ジョーイが、争いより大切ななにかを教えてくれるような気がします。交渉のすえ英国兵の手に渡ったジョーイは、野戦病院でアルヴィと感動の再会をします。戦争が終わって、ジョーイはアルヴィの意に反しオークションにかけられることになります。アルヴィは、戦友や上官から好意のカンパを得てオークションに臨みますけど、そこに現れたエミリーのおじいちゃんに競り負けます。ところが、おじいちゃんがアルヴィとジョーイの関係を知り、アルヴィに馬を譲ります。こうしてジョーイはふたたび懐かしいイングランドのナラコット毛家に戻り、アルヴィと暮らせることになりましたとさ。

映像がとても美しいです。ノスタルジックな風合いで、どこか浮き世離れしたロマンチックな物語の世界観がよく出ています。イングランドの田園風景にぴったりです。

それから、音楽はジョン・ウィリアムス。スピルバーグといえばこの人ですよ。物語をとおして素敵な音楽が流れ、ミュージカルのようです。

キャスティングは無名の役者さんが多いようですね。そういえばスピルバーグ監督は、あまりスターを使わないですね。だけど、スーパーエイトのときもそうでしたけど、無名ながらしっかりした役者さんを起用していて、みんなすごく印象に残るんです。スターを使うことで、そこに注目が集まるばかり、脚本や演出そのものの良さが薄れてしまうことを避けているのかもしれませんね。それからこの作品は、基本的にヨーロッパの俳優を起用しているそうです。英語の響きが心地いいんです。これもロマンチックな物語を演出することに一役買ってますね。

まず何といってもジョーイですね。CGを使っているのかいないのかわかりませんけど、表情がとっても豊かなんです。ジョーイに感情移入してしまいます。かっこいいし、可愛い。

アルバートを演じたジェレミー・アーヴィンは、青年期の爽やかさと優しさ、ナイーブさと意志の強さを好演しました。優しさあふれる表情にやられます。アルヴィのパパとママも素敵です。

物語の進行上、ドイツ軍が悪役になるのは仕方ないのですけど、そんななかにあっても、ジョーイに関わるドイツ兵はみんな、馬に対する愛情にあふれています。エミリー役のセリーヌ・バケンズも可愛い。スピルバーグ作品は、可愛い少女が出てくるので好きw。

加えて、ガチョウのハロルドが楽しいです。物語の序盤に笑いを提供してくれます。

スピルバーグ監督の作品らしく、無駄がなくクオリティが高いです。鑑賞後に、映画を観たーって気持ちにさせてくれます。映画はたまに観に行くというひとにとって、期待を外すことがないですね。それでいて、けして平凡な作品というわけでもありません。とくに5、60年代の映画が好きなひとにとっては、どこか懐かしい雰囲気を感じながら楽しめるかもしれません。

子供から年配のかたまで、幅広いかたにオススメできる好作だと思います。