ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

べっぴんさんロケ地の旅 -20161030 BKワンダーランド ~ようこそ”べっぴんさん”ワールドへ~-

2016-11-23 20:33:28 | 連続テレビ小説べっぴ...

明日は今シーズンの初雪が降るらしいです。通勤通学に影響がありそうですから心配です。

今日とは違って抜けるような日本晴れの大阪。

さかのぼること一か月ほど前。BK朝ドラ恒例の文化祭、BKワンダーランドに今年も参加してまいりました。

土曜日のプレミアムトークは、東京のホーム最終戦と被ってしまったので断念。日曜日のほうに参加です。

それではさっそく、べっぴんさんの世界に入ってみましょう。展示は4ブロックに分かれています。アトリウムフロアは、四つ葉のクローバーのシールが貼ってある大きなキャストのパネルと、あさや靴店をモチーフにした記念撮影とARのコーナー。T-1スタジオがメインイベントで、撮影セットの公開。T-2スタジオは作品の紹介パネルと衣装が展示してあります。

キャストのパネルです。顔が見えているのはシールを剥がしたから。オープンと同時に入ったのでまだあんまりはがれていなかったです。

エントランスでもらえるこのリーフレットにこんな感じではりつけます。

あさや靴店をモチーフにした記念撮影兼ARのコーナーです。

棚は撮影で使った小道具ではないとスタッフさんが仰っていました。でも細部の造形を見るととても良く似ているので、撮影で使ったものか、それとも同型のものなのかもしれませんね。

それでは8階に上がります。例年と同じく、NHK大阪放送会館に入ると入場カードをもらい、首からぶら下げます。エレベーターはべっぴんさんラッピングされていて、ヒカリノアトリエが流れています。

8階に上がると、右がT-1で左がT-2。

まずはT-2スタジオから見てまいりましょう。

T-2は、本来のBKワンダーランドの主旨である、NHKの放送技術に関する展示がメインです。AKの文化祭はまだその香りが残っているのですけど、BKはすっかりエンターテイメントになっていて、ちょっと寂しいです。

T-2では放送技術だけでなく工作の体験もできます。今年はべっぴんさんの塗り絵と真田丸の兜を作れました。べっぴんさんのホームページの背景に使われているこの柄は、後ほどセット見学でも重要なポイントですので、よーく覚えておいてください。

べっぴんさんの作品紹介パネルです。

衣装です。スタジオパークと神戸のべっぴんさん展ではほとんど観ることができなかったので、嬉しいです。

すみれさんのお衣装。

ゆりさんのお衣装。

潔さんのお衣装。

麻田さんのお衣装。

栄輔さんのお衣装。

大変長らくお待たせいたしました。それでは、いよいよT-1スタジオにお邪魔しましょう。いつもは右側の入り口から入るのですけど、今年はセット設営工事の関係で、中央からに入ります。BKワンダーランドのセット公開は毎年、セットの改変の時期に当たっていて、ちょうど撮影スケジュールの中間くらいです。BKワンダーランドのある土日は撮影もなく、キャスト、スタッフの皆さんもお休みされてます。T-1は半分ずつ使っていて、これまでは左半分が工事中だったので右側から入っていたのですけど、今年は逆でしたから入ったことないスペースでした。普段は公開されるセットのほうが取り壊される予定で、べっぴんさんのセットも、あさや靴店もキアリスの新店舗も、店舗内部はすでにほとんど取り壊されていました。ごちそうさんのセット公開のときは、実際に反対側で工事の音がしてリアルな想いがしたんですけど、さすがに最近は、公開時間中は休工してるんですね。

セットの全景図。公開されるセットは、いつもだいたい12月中旬くらいに放送される状態のものです。スタッフさんにお聞きすると、べっぴんさんもそのようです。ですから、今放送されているキアリスとあさや靴店がある港町商店街より、ちょっと新しくなっていると思います。

港町商店街に入る前の道。朝イチでしたのでめっちゃ空いてました。おかげで急かされることなく、ゆっくり見学することができました。

アテンドのスタッフさんは今年も法被を着てらっしゃいました。

T-1スタジオの天井。

9階のBKプラザから収録の見学ができます。現在は募集を中止しているようです。

入ってすぐ右手の建物。商店街のアーケードの外側が撮影で使われることは無いのに、ちゃんと作りこんであります。

権太堂。和菓子屋です。

お店の玄関。

看板。

ランプ。

屋根瓦。

軒先。

商店街の看板です。

お店の脇。放送では絶対に映りそうにない部分もしっかり作りこんであります。

続いて服部ベーカリー。パン屋さんです。すみれさんもパンを買ってる、綾子さんのお店ですね。

エンブレム。

二階。隣の権太堂の看板は服部ベーカリーの建屋に付いています。

二階の窓。港町神戸らしく、モダンです。戦前からこの作りでしたから、モチーフとなった戦前の神戸は、きっとお洒落な可愛らしい街だったんでしょうね。

一階の小窓の庇。

入口の電灯。

花壇。

続いては、服部ベーカリーの隣のこちら。配置が妙で、ここは商店街の通路だと思うので、本来は服部ベーカリーと並んでいるのかもしれません。

小窓があってモダンな作りなので、喫茶店の設定なのかな。

モダンな商店街の街灯。こちらも戦前から変わりません。

港町商店街のアーケードです。このアーケードは、すでに戦前からありましたね。ただ、商店街の全体の作りを観ると、公開時のセットは昭和30年代くらいの設定かなと思います。

アーケードの反対側。日本語になってますね。

アーケードに庇がついてるのは珍しい作りですね。あまり見かけないのですけど、モチーフになっているトアロードかセンター街に、当時同じようなアーケードがあったのかもしれませんね。

梯子。

柱。おそらく木にプラスチックのプレートを貼っているのだと思います。

アーケードの脇にある公衆電話ボックスです。この公衆電話ボックスはまだ登場してませんね。

電電公社は公の組織ですし、もう存在しないので実名で登場。

5号自動式ボックス青色公衆電話機!。ということは、やはり昭和30年12月以降の設定ですね。

セットの隙間から、工事中の隣のセットの様子を観ることができます。青っぽいカラーリングの建物のセットで、背景が斜面状の住宅街なので、新しい坂東家のお家かなと思います。山手の設定なのでしょう。

それでは、べっぴんさんの商店街シーンのメイン舞台にまいりましょう。公開セットの様子その1その2

一階がやない写真館で、二階が青島貿易公司になっている岬ビルヂングです。

ビルのプレート。

玄関です。

ショーケースになっている出窓。

出窓の基部。工作感があって良いですね。

ベランダの基部の飾。

看板を取り付けるプラットフォームは木です。ねじ跡がいっぱいあるので、多目的で使われるのでしょう。

側溝のふた。

二階のパイプ。排水パイプかな。

なぜかゴミ箱。

ショーケースの写真。キャストの写真ではなかったので、スタッフのプライベート写真を集めたのかな。この商店街のセットはリバーシブルで、小道具を変えればキャバレーユートピアがある通りになります。

岬ビルヂングの隣は、浮島時計店です。時子さん時久さん親子のお店ですね。

看板。

玄関。

サイドビューです。内部が作り込まれているのは、あさや靴店とキアリスだけ。あとのは、こんな感じです。

壁についてる掲示板に貼ってあった広告。

玄関の電灯。

玄関の植木。

店舗兼住居らしい、郵便受け。

玄関の下部。

出窓の下のタイル張りに見える部分は、なんとNHKのセットには珍しく手書きの板でした。こういうダミーの仕上げは観たことがないので面白いです。終戦後のセットが初めてだからでしょう。

ショーケースです。良子さんの腕時計が無事戻ってきてよかったですね。

続いて、今回のセット公開で一番びっくりする部分です。放送中のセットと大きく変わっているのはここ。バナナ問屋が中華料理屋になっています。元町、三宮っぽいですね。それにしてもバナナ問屋はどうなったのでしょう。放送中の戦後のシーンでもすでに営業してなく、お弁当屋になっていますね。

お店の玄関ですけど、この中華料理屋は1m強ばかり前に出してあると思います。本来はここに通路があるはずですので。

玄関の透かし彫り。

お店の二階。

テラス席なのかな。

続いては、あさや靴店のお隣のバー、ユーポートです。戦前からあるのですけど、まだ話題にはなりませんね。

気になる人形。

背面はこんな感じ。

港町商店街の街路灯です。

看板。

玄関の階段。

ランプ。

船のような窓。

植木の土は鉄道模型のジオラマで使われるマットですね。

空き瓶ケース。

こんな細かいところにもギミックが。実在しない大阪のウイスキー会社のラベルです。鴨井商店だったら涙ものだったのですけど。

それでは、いよいよあさや靴店です。内部は残念ながらすでに取り壊されています。9階のBKプラザから内部の様子を観ることができますけど、家具類などはありませんでした。

看板。

屋根に枯れ葉をのっけています。

玄関の電灯。

庇の支柱。

玄関。

ショーケースです。子ども服が飾ってありましたね。

ショーケースには靴が置いてありました。ベビーショップあさやがキアリスに移転してからのあさやのショーケースは、こんな感じなのかもしれませんね。

ショーケースの出窓の下部。

あさや靴店とベビーショップあさやの回転看板。これもキアリスに移転しましたね。

閉店するとこっちが表に出ます。

それでは最後に、キアリスを見学しましょう。BKワンダーランドの時点は、まだキアリスはありませんから、BKも公開にあたって工夫したのでしょう。スタッフさんは「閉店したお店の設定です」と説明されてました。キアリスが入る前は、輸入家具の天山商会でしたね。

店舗の上部。キアリスの店舗の内部も壊されていますけど、マネキンがいくつか残っていました。

商店街の看板も黒い幕で覆われています。幕の下はキアリスのロゴが入っているのでしょうから、そりゃあ隠しますよね(^^;。

お店のほうの看板も幕で覆ってます。

屋根の内部はこのような作りです。

キアリスは商店街の角にある好立地。屋根の下部が丸っこくなっていて、おもしろい造形です。実際のファミリア1号店もトアロードとセンター街が交差する北東の角にありましたので、そのイメージをそのまま再現しているのでしょう。そういえば、あさや靴店のモデルのモトヤ靴店も、ファミリアと一つお店を挟んで隣あっていたそうです。

玄関の電灯。

庇のなか。

ショーケースです。

ショーケースの台。

ショーケースの下部です。

見学していて、この店舗がキアリスなんだと最初は気がつきませんでした。このショーケースを観ていると、たまたま隣でご覧になっていたおばあちゃんが、このレースのカーテンを見て「べっぴんさんのホームページにそっくりやね」とつぶやかれたので、あらためてよく観てみると、なんと!。まったくその通りで、ホームページの背景に使われている柄にそっくりです。

注意深く、どこかにおもしろいBKからのメッセージが潜んでないか観ているつもりですけど、おばあちゃんに感謝です。BKも丁寧にキアリスの証跡を隠したつもりでしょうけど、おばあちゃんの慧眼の敵ではなかったですね。はなさんが作ったタペストリーの柄にも似ているので、設定としてはそれをモチーフにしたことになっているのでしょう。ドラマのほうではまだ出てきていないかな。

今年のBKワンダーランドはこれにておしまいです。おばあちゃんのおかげで、とても感動的なセット見学になりました。

来月の土曜スタジオパーク、当選しますように。


第96回天皇杯4回戦FC東京vsホンダFC@味スタ20161109

2016-11-12 20:25:26 | FC東京

出逢いは風の中 恋に落ちたあの日から 気づかぬうちに心は あなたを求めてた♪

今週立冬を迎え、東京は木枯らし1号が吹きました。いよいよ冬です。

先週Jリーグの最終戦を終え、ここからは天皇杯の闘いになります。ノックアウトですから、今年はいつまで東京を観られるのか、ドキドキの日々です。

天皇杯ベスト16の相手は、唯一残っているJFL勢のホンダFCです。本日のYou'll Never Walk Alone♪

素晴らしい闘いかたを魅せたホンダに前半苦しみましたけど、後半のアジャストで180度試合をひっくり返しました。ベスト8に進出です。

東京はモリゲとまるが国際Aマッチで不在。遼一と慶悟も調整中です。シフトは4-2-3-1。GKは秋元。CBはカズと秀人。SBは拳人と室屋。ボランチは梶山と草民。WGは右に宏太左に翔哉。トップ下は広貴。1トップは相太です。

ホンダは日曜日に青森でJFLの公式戦があって中二日の強行日程です。シフトは4-4-2。布陣はラインメール青森戦と同じ。GKは清水谷。CBは鈴木と川嶋。SBは右に細貝左に中川。ボランチは土屋と栗本。メイヤは右に富田左に香川。2トップは古橋と久野です。

今日、とても印象的で感銘を受けたのは、ホンダの洗練された闘いかたです。わが国の社会人選手の雇用形態を大雑把にセグメントすると、プロ、ノンプロ、純粋アマチュアになると思います。Jリーグ発足当初は、JFLはプロとは独立した別個の頂点だったと記憶しています。それが、Jリーグにカテゴリが導入されたことでJ3の下位に位置づけられ、今はノンプロと純粋アマチュアの混在となっていて、ガラパゴスの印象はすっかり薄れています。それでも、雇用形態の区分けは厳然と残っています。ノンプロ(クラブから賃金の支払い契約があるか否かはともかく、経営母体となる親会社を持たないクラブチームに所属している選手)は、プロに準ずる選手ですから、その集合体であるクラブも、実質プロと同様の価値観を持つと思います。それは闘いかたにも現れると思います。

謎、なのは純粋アマチュアです。企業のクラブに所属する選手。ホンダをはじめ、ソニー仙台、ホンダロック、かつては佐川急便のようなチームは、プロが確立された今、いったいどんな価値観を持っていて、それをプレーでどう表現するのか。普段JFLを見ないので分かりません。天皇杯はミクスチャーが魅力ですけど、このようなかたちで純粋アマチュアに触れることができるのは、とても嬉しいことです。

結論を言うと、ホンダはおそらく、プロが存在する現状の環境のなかでは、純粋アマチュアの進化として究極の完成形ではないかと思います。その意味で、ホンダのプレーをJのカテゴリと比較することはナンセンスだと思います。今日の試合は、トッププロvsトップアマチュアという、異種格闘戦と言ったほうが相応しいと思います。

ホンダは、攻守にとてもコレクティブです。まず目を奪われるのは守備の完成度の高さ。特長は、4+4の2ラインのゾーンの連動性が非常に高いことです。基本的な守備の考え方は、ゾーンの中央を固めて相手をサイドに押し出すこと。もう一つの特長は、守備網がコンパクトで、かつ重心が非常に高いことにあります。つまり、守備の仕組みそのものは、ガラパゴスでイメージする独自進化、言い換えると企業クラブなるが故のエクスキューズがまったくなく、極めて近代的な作戦を取り入れ、実現しています。

自分の身近に社会人選手がいないので企業クラブが基本的に持つ制約がどのようなものなのか、分かりません。それから、古橋や久野のような存在がいるので、ホンダの選手がすべて本田技研に勤務しているのかもわかりません。ぼくらには浅利さんという象徴がありますけど、ぼくは浅利さんが現役当時にどのような生活をしていたのかを知りません。ノンプロのようにトレーニングで選手が揃わないようなことはさすがに企業ですから無いと思います。それでも、たとえば二部錬をするとか、トレーニング前後のアップやクーリングに時間的、あるいは技術的な制約はあるような気がします。それから評価も社員としてのものになります。それらを考えると、ホンダが今日魅せてくれたコレクティブネスを生み出すほどに、ロイヤリティ、コーチング技術、習熟時間、選手のクオリティ等の条件を高度にクリアすることは、並大抵のことではないと思います。おそらくシーズン末にまみえたという環境も、今日の、十分にお金の取れるパフォーマンスに一役かっていたことだろうと思います。

ホンダが中央を閉め、かつ勇敢に守備網の重心を高くすることで、東京はサイドに追いやられる上、攻撃の起点を低くせざるを得ません。ここに違和感を感じました。ホンダを称賛しましたけど、東京にとってホンダのコレクティブネスのクオリティは、回避不能なものだったのだろうか。プロとアマチュアの大きな差は、ここだろうと思います。ホンダが取り得る作戦は、JFLの対戦のなかではいざ知らず、少なくともトッププロに対するものとしては、おそらく唯一だったろうと思います。つまり、序盤から見せた闘いかたが今日のホンダのすべて。一方東京には、まだまだ懐深い作戦の幅があります。ですから、試合の様相は、ホンダの無垢なシンプルプランが東京に90分間通用するかにかかることになりました。

ホンダのアグレッシブネスに対し、東京は受けます。これは作戦だったのか、はたまた現場で自然にそうなったのか定かではありません。おそらく後者だろうと思います。遠慮や手を抜くようなことは、タブロイドや居酒屋トークではよく聞かれますけど、プロですからさすがにそのようなことはけしてありません。スカウティングは十分だったろうと思いますけど、肌感覚として体感していない相手とのマッチアップは、どこかしら違和感というか、手探りな部分があったと思います。東京がらしくなく、とくに中盤で受けに回ったのはそのような事情だったろうと思います。

このため、中盤の攻防はホンダが攻め東京が守るというかたちになります。必然的に東京はセーフティに事を運ぼうと、長いボールをホンダの背後に送る選択をします。これにより東京は重心を高めようとしますけど、ここに前半の東京の次なる問題が発露します。

今日の布陣の選択で、最大の失敗は広貴をトップ下に置いたことだったと思います。リーグ戦終盤四連勝の快進撃を支えたのは、なんと言っても翔哉です。でも、今日遼一と慶悟を失った布陣を目の当たりにすると、翔哉の特長を最大限に活かすアタッカーのセットとして、最前線に遼一、トップ下に慶悟、右WGに広貴を置く布陣がベスト、てか唯一無二だということを改めて実感します。とくに慶悟。思い返してみると、慶悟は注意深く翔哉と被らないように細心を配ったプレーをしていました。この慶悟の繊細な動きに広貴が絡むことで、広貴も翔哉と被ることを避けることができます。広貴はトップ下に入ると、トップ下らしく中央で基点になることを心がけます。結果的にこれは、翔哉との距離を必要以上に狭めることになります。また広貴は、広貴自身で局面での攻撃のアイデアを生み出せる、インテリジェンスのある選手です。ですから、プレーについても翔哉と被ってしまいます。こうして東京の攻撃は、アタッキングサードの手前でスタックします。

このことが、結果的に相太のポストも不安定にします。中央をホンダに固められても、サイドに追いやられることが東京にとって必ずしも良くないわけではありません。むしろ東京はサイドを主戦場としていますから。でも、二列目のコンビネーションが整わない状況では、アタッキングサードにビルドアップするルートを開拓できなくなります。このため相太は、中央で孤立します。

作戦通りに東京の攻撃を封じたホンダは、モードを変えます。本来のホンダの闘いかたに移行します。ホンダはおそらくコンサバティブな入りかたをしたと思います。守備網の維持を優先したので、攻撃はアタッカーを走らせるロングカウンターくらいです。でも本来のホンダの攻撃スタイルはビルドアップなのでしょう。ホンダの攻撃において最重要なキーマンは古橋でしょう。東京のポストが不安定だったこともあり、古橋のポストの安定感が鮮明でした。そもそも古橋は技術のクオリティが高い選手です。さらにポストを受けるポジショニングも秀逸です。通常のトップの選手より少し下がり加減の位置で、足元でしっかりとボールを納めます。このことが、ホンダの細貝と中川を含めたアタッカーに安心感を与えます。

一方ホンダの攻撃の特長は二点。一点目は久野のスピードです。今日のホンダは久野のスピードに作戦を一極集中します。久野は常に、カズと秀人いずれかとの1on1のマッチアップ状況を作り、その裏を狙ってスプリントを繰り返します。このクオリティが、カズと秀人をして十分にジャブ足り得るほどの威力を持っていました。スタンドから客観的に見てもいやらしく感じるほどでしたから、対面するカズと秀人は、望まず久野を意識せざるを得なかったでしょう。

このことが、バイタルエリアの守備に影響します。ホンダの攻撃におけるもう一つの特長は、おそらくホンダ最大のストロングポイントだと思います。それは両メイヤの動きです。序盤は神妙にサイドに控えていた富田と香川は、イニシアチブを握るとにわかに活気づきます。富田も香川も極端に内に絞るプレーを見せます。おそらく、古橋と栗本との距離を縮める意図だと思います。言い換えると、ホンダの攻撃の心臓部は、古橋、富田、香川、栗本のカルテットのコンビネーションでしょう。中盤のコンビネーションでビルドアップするスタイルは、オシムさんのプリンシパルに共感した日本人コーチの間で一時流行しました。それは、中盤の運動量でスペースメイクすることが前提です。ようはガテン系ブルーカラーサッカー。ホンダのそれは異なります。目立つような運動量はありません。にも拘わらず、富田、香川、栗本はフリースペースに常にいます。非常にインテリジェントなサッカーです。

とくに香川のプレーには魅了されました。正直言って、純粋アマチュアと対戦して、香川ほどクオリティの高い選手を観られるとは思ってもいませんでした。まずポジショニングが秀逸です。香川には攻撃面である程度の自由を与えているのでしょう。神出鬼没ということばがぴったりきます。時には最前線、あるいは富田と同サイドに顔を出すこともあります。つまり香川の志向は、局面での数的優位なのでしょう。ここがチャンスと見ると、持ち場を大きく逸脱してでも数的優位を作ることを優先する。これはインテリジェンスが非常に高い選手にしかできません。さらに香川には、繊細で高精度な技術があります。

富田も香川に負けず劣らず試合の流れを読めていることを感じさせるプレーを見せます。さらに栗本は三列目から、アタッカーをコントロールするスキッパーの役割ですけど、その選択とパス技術の高さに目を奪われました。彼らはいずれもプロチームの所属経験がありません。彼らが望んだことなのかわからないけど、高いクオリティを持っていても企業所属を選ぶ選択肢が、まだこの国にも残っているのかもしれませんね。引退後の長い人生を考えると、サッカー選手にこの選択肢は残り続けて欲しいと思います。

守備に重点を置いたアンカーである土屋を含め、ホンダの中盤は、それぞれが固有の個性が高精度に絡んだ、素晴らしいケミストリーを生み出していると思います。これこそが、純粋アマチュアの進化として究極の完成形たる象徴でしょう。そして、おそらく2016ホンダが目指す、究極のセクシーゴールが生まれます。

18分。室屋のクリアを自陣で鈴木が拾ったところから、実に約1分間にも渡るホンダの素晴らしい、ダイナミックな攻撃が展開されます。最初のアタックは、最終ラインにいた中川。前線の香川、中盤に下りていた古橋との縦に大きなタベーラから一気にアタッキングサードに進出します。中川のクロスは右に流れ、土屋が拾います。土屋はいったん自陣に戻します。自陣で攻撃コースを伺うホンダは、鈴木から中盤に戻った土屋を経由して細貝に渡ります。細貝はターン。攻撃スイッチを押します。細貝に翔哉が寄せてきたため、草民の脇にスペースができます。そこに香川がスルスルっと入っていきます。細貝は香川にパス。香川はどフリーでターン。この時前線では、東京は四枚揃ってます。ホンダは中央に久野右に富田の二枚だけ。4on2。それでもホンダの狙いは徹底していました。久野がCBの間から狙います。さらに富田が演出します。富田が内に絞る動きを見せたため、秀人がこれに反応。このため秀人の背後に一瞬スペースができます。久野と香川の思考がシンクロ。香川の絶妙スルーが久野に通ります。フリーでペナルティエリアに入った久野は、秋元の体勢を確認して右足で流し込みました。東京0-1ホンダ。

東京を中心に年間20試合以上スタジアムで観戦しますけど、このゴールほどセクシーで完成されたものは滅多に観られません。ナンセンスと知りつつも禁じ得ず賞賛を込めてあえて比較すると、同様な志向では、好調時の川崎や鹿島に匹敵するのではないかと思います。

ただし、ホンダにとってこの先制は、喜び半分不安半分だったろうと思います。時間があまりにもはやかったためです。作戦の幅が広い東京にとっては、それほど痛手に感じる失点ではなかったでしょう。事実、東京に焦りは感じませんでした。ベンチでも、後半のアジャストの余裕があるわけですから、むしろ冷静にホンダの闘いかたを分析することができただろうと思います。

というわけで、前半の残りは、東京は遮二無二同点を狙うことなく、言わばあえて低調を維持します。闘いかたを一定させることで、自軍の問題点とホンダの狙い、ストロングポイントとウィークポイントの交差点を確認していたのでしょう。

観察していると、今日は割と攻防のポイントが分かり易い試合です。ホンダの闘いかたが唯一で、かつシンプルだったことと、前述の通り東京も一定ペースを維持したためでしょう。ホンダに関しては、基点である古橋です。古橋のポストを不安定にすることで不協和音を生み出すことができると思います。東京は広貴のポジション。トップ下を変えることで攻撃の連動性が変化するような気がしました。前半はビハインドのまま終了。

後半頭から篠田さんが動きます。梶山に代えて諒也を左SBに投入します。室屋が右SB、拳人がボランチにそれぞれ回ります。さらに広貴と宏太のポジションを入れ替えます。ボランチを代えたのは、中盤の守備の強度を高めるためだと思います。つまり古橋対策。それから宏太が中央に資するかどうかはともかく、広貴はやはり右に置いたほうが良いという選択だと思います。

これがはまります。どちらかと言うと守備面ではなく、攻撃のアジャストが奏功します。中央の宏太が右加重のポジショニングをしたことで、翔哉の前方から中央にプレーエリアができます。さらに東京は、相太と宏太に積極的にラインの背後のスペースを狙わせます。その上で縦に速いアタックパターンに変更します。ホンダの守備網の重心が高いことに対する対策だと思います。

このことで、ホンダは後方を警戒せざるを得なくなります。こうして翔哉にスペースができます。前半は翔哉の前に常にダブルチーム、トリプルチームが敷かれていましたけど、最終ラインが後方にひっぱられることで、翔哉のケアは中盤のみで担わざるを得ません。これで翔哉が勇躍します。さらに右に移った広貴も本来のダイナミックなダイアゴナルな動きを取り戻します。こうして東京の攻撃が一気に活性化します。そして、同点ゴールが生まれます。

51分。室屋のスローインから。東京はいったん自陣に戻し、左に展開します。諒也は、下がってきた翔哉と大きなタベーラで一気にアタッキングサードに入ります。まるでホンダの先制点と同じような展開です。諒也は中央に入ってくる宏太にパス。宏太には鈴木が寄せて自由を与えません。宏太は拳人に戻します。拳人は今度は右に展開。上がっていた室屋に渡します。室屋は縦にワンプッシュしてホンダ守備網を下げます。この時ペナルティエリア内には縦に三枚。ゴール寄りから相太、広貴、翔哉。ホンダは六枚の3on6。室屋はやや遅れ気味に入ってフリーの広貴にグランダーのクロスをつけますけど、これは川嶋がカット。浮いたイーブンボールを拳人と富田が競って拳人がフリック。さらにこれを古橋よりはやく反応した草民がフリック。翔哉に渡します。この時翔哉は、鈴木と土屋と細貝のちょうど中間にいて、フリー。ボールの軌道を見ながら、おそらくゴールを確認せずに、バウンドを合わせてダイレクトで左足を合わせます。これが鈴木に当たってコースが変わり、そのままゴールに入りました。東京1-1ホンダ。

篠田さんのたった一つの作戦変更で、試合展開がガラッと変わりました。その上結果も伴いましたので、これからイニシアチブは一気に東京に傾き、以降ホンダに戻ることはありませんでした。

ここでアクシデントが起きます。もともと不安のあった広貴の足がs悲鳴を上げます。代わって天皇杯男容平が入ります。同時にシフトを4-4-2に変更します。容平は相太と並んでトップです。

容平投入は、タイミングはともかく計算のうちだったでしょう。縦に急ぐ攻撃への移行は容平投入の伏線でもあったと思います。ですので容平は違和感なく試合に入ります。容平が裏を狙うことで、ホンダの最終ラインはますます後方に引っ張られます。

前半あれほど高い連動性を見せていたホンダの守備網は、後半に入って微妙に乱れます。中央を固めてサイドに追いやる主体的な守りかたができなくなり、守らされる状況になったためでしょう。メイヤがチェックに行ってもボランチがフォローできなくなり、メイヤが孤立します。このため4+4のラインはメイヤだけ前に出るいびつなかたちになります。これは、メイヤの背後とボランチの脇にほころびを作ることになります。東京の作戦変更もさることながら、中二日で青森から帰る強行日程の疲労も少なからず影響したでしょう。たらればだけど、ベストコンディションのホンダとやってみたかったと思います。

井幡さんが動きます。古橋に代えて柴田を投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。柴田は右WG。香川がトップ下、富田が左WGにそれぞれ回ります。好調の香川を攻撃の基点に据える作戦でしょう。

井幡さんが続けます。久野に代えて大町を同じくトップに投入します。久野のコンディションを考慮したのだと思います。

この二つの作戦は、残念ながら状況打開にはつながりません。致し方ないことながら、攻撃の基点である古橋、攻撃プランの要であるスプリンターの久野が揃っていなくなり、香川をアクセントマンの役割から変更することは、実質ホンダの唯一の作戦を自ら無効にすることです。この時点で、今日の試合の流れはほぼ決定したと言っていいと思います。そして、直後に決勝点が生まれます。

80分。清水谷のGKから。諒也がフリックして前線の容平に。容平はポストを宏太に落とします。宏太はふたたび容平に戻して前線へ。容平はターンしてライン際に流れながらドリブル。柴田を引きつけて宏太にパス。宏太は細貝との1on1ではなく、中央を狙います。栗本と土屋が寄せる狭い隙間を通して翔哉に渡します。翔哉はターン、中央に移動。翔哉ゾーンですけど、鈴木と川嶋が前にいてシュートコースがありません。翔哉はキープを選択。中川をも引きつけます。この時右サイドを、長駆室屋が上がります。翔哉はトップスピードで入る室屋に丁寧にスルー。右足でワントラップした室屋はペナルティエリアに入って、トップスピードのまま、ゴールを確認してシュートモーションに入ります。清水谷が寄せてきたのを見た室屋は、冷静に右足で浮かせる、アーティスティックなループシュートを決めました。ゴラッソ。東京2-1ホンダ。

室屋はプロ初ゴール。室屋の攻守にわたるアグレッシブなサイドプレーには魅了されますけど、シュートを打てないのが気になっていました。室屋本来のプレーはまだわからないけど、シュートを打てるスタイルなのであれば、一本出たので積極性も生まれるでしょう。なにより技術があることを証明しましたから。

シュートと言えば、最近の試合でちょっと気になるのが翔哉です。いわゆる翔哉ゾーンで前を向いても、シュートアテンプトを見せなくなっています。打てないのか打たないのか分かりません。もしかすると、さすがに翔哉対策がスタンダードになって各チームに浸透してきているのかもしれません。シュートを打たなくなったことと比例して、ラストパスの精度と威力が増しています。その意味では、周りが見えるようになった分、逆にシュートの優先度が下がっているのかもしれません。

井幡さんが最後の打ち手をうちます。土屋に代えて三浦を同じくボランチに投入します。ノックアウトですから、守備力を削ってでも攻撃に特化したいということなのでしょう。

アディショナルタイムに入って、篠田さんが〆にかかります。翔哉に代えて羽生を同じく左メイヤに投入します。

結局ホンダに前半の活気は二度と戻りませんでした。このまま試合終了。東京2-1ホンダ。眠らない街♪室屋のシュワッチからWe are HONDA!

終わってみれば、東京の完勝です。ホンダにしてみれば、やりたいサッカーを全力で実行できた分だけ、完敗感はいっそう増したと思います。それでもホンダは、個々の選手のクオリティとチームとしての完成度で、十分にプロフェッショナルの興行として魅力的な相手でした。おそらく永遠に、企業クラブとして純粋アマチュアに徹するだろうホンダは、そのプリンシパル故に清々しさと特異の魅力を持ち続けるのだと思います。いつかまた、天皇杯の場で会いまみえる日を願います。

今年はまだまだ東京を観ることができます。さあ、クリスマスイブ。あなたからMerryChristmas わたしからもMerryChristmas サンタクロース is coming to town♪。サンタ帽を用意しなきゃね。


べっぴんさんロケ地の旅 -20161106 豊郷・五個荘・近江八幡-

2016-11-08 22:38:04 | 連続テレビ小説べっぴ...

秋のべっぴんさんロケ地の旅、最終日は近江の疎開地を中心にめぐります。

滋賀ロケ地は車が便利です。でもとても狭い道を走ることが多いですので、コンパクトな車のほうが良いです。

まずやってまいりましたのは、犬上郡豊郷町の旧豊郷小学校です。

すみれちゃんと良子ちゃんと君枝ちゃんが通う女学校。

良子ちゃんと君枝ちゃんにあげる四つ葉のクローバーの刺繍をしたモンペを持って、嬉しそうにすみれちゃんが歩いてた校舎。

校舎の構造です。ロケした場所は二階と三階です。

中央の玄関を入ってすぐ右手に中央の階段がありますので、そこを上がります。

手すりにうさぎとかめのオブジェがあって可愛いです。

二階に上がってすぐ左手です。

「すみれちゃん」「おはよう、良子ちゃん」「おはよう」「おはよう」「おはよう、君ちゃん」。

「あっ。出来たよ。2人の分」「わっ、かわいい!」「クローバーやね。明日からもんぺはくのも楽しみやわ」。

「おそろい」「フフフフッ!」「すみれちゃん、ありがとう」。

続いては、手芸倶楽部の部室です。中央の階段を三階まで上がります。三階は部屋が二つあります。こちら側です。

「手芸好きのこの子たちは、3人で、手芸倶楽部を結成しています」。

「すみれちゃん、この絵、どう?」「うわ~すてき! これ、いろんな色の糸で刺繍したら、かわいいやろな」「そやけど、点数制になってから、思うように、買い物でけへんしな」「日米開戦したこのころ、さまざまな物が統制下にあり、手芸用品も新しいものが、手に入りにくくなっていました」「あるもんでせなね」「そやね」「うん」。

「信じられへん! 英語の授業がなくなるなんて…」「悦子様は、貿易のお仕事に就くのが夢でしたのにね…」「はあ~」。

「野球も、「ストライク」を「よし」、「アウト」を「それまで」って…」「何なの? それ! あきれるわ!」。

「あのね、この布と糸、家から持ってきたんやけど…」「うわっ、ええなぁ。どの色で、この花刺繍したらええやろ?」「お静かになさって! よろしいわね。手芸倶楽部の皆様方は」「何…?」「どういう事ですか?」「授業で、英語がなくなっても、チクチクお裁縫がご趣味のあなたたちには関係ないでしょっていう意味よ」「はしたない…」。

「何?」「お国が、決めた事でしょ? 勝つまでの辛抱やない。人に当たるなんて、はしたない…です」「君ちゃん…」「ふん!」「悦子様!」「君ちゃん…君ちゃん」。

女学生が行進してた校舎。

「大丈夫?」「うん」。

「あ~もう嫌になるわ! どうしてこんな事しないといけないのかしら! はあ~」。

「お国のために、戦ってらっしゃる兵隊さんのためなのよ」「あなたに言われる筋合いはないわ!」「ほんまはしたない…」「ふん!」。

「あっという間やろうね、卒業まで」「どうしたの?」「私…」「何?」。

「縁談が来てるの」「縁談?」「15も上の、おじさんなの」「15…」「それで、どんな人やの?」「優しい人よ。優しい人やけど…でも15よ。私の年で、何で15も上の人と、結婚しないといけないんよ…」「断れないの?」。

「そうよね」。

続いては、東近江市五個荘金堂町にまいました。目指すは近江商人屋敷です。近江商人屋敷の前に駐車場がありますけど、なにしろこのような道ですから、4、5台ほどのスペースですし、五個荘観光センターに駐車したほうが安心だと思います。歩いて10分もかからないです。歩いたほうが五個荘の街並みを堪能できます。

近江商人屋敷では二箇所でロケされています。まずは外村繁邸から。

邸内で近江商人屋敷共通券を求めます。アテンドのスタッフさんがいらっしゃったので、ロケのことをお伺いしてみましたら、これがとっても面白いのです。

「こんにちは。あの、こちらでべっぴんさんのロケがあったのですよね」
「はい。そちらの座敷です」。

「そうですか」
「あと、ここは外村繁邸というのですけど、お隣の外村宇兵衛邸でも撮影されましたよ」
「お!。そうなんですか」
「はい。お母さん役の菅野美穂さんが機織り工場で働く場面を覚えてますか?」
「はい」
「あれは外村宇兵衛邸です。反物の出荷を見送る場面もです」
「そうなんですか!」
「あの場面で使った機織り機は、この近くの機織り工房で実際に使ってるのもを持ち込んでました(愛知川の近江上布ではないかと思います)」
「ほほう」
「働いてる職人さんも、本物の機織り職人さんなんですよ」
「なんと!」
「撮影の日は、エキストラの職人さんが朝から衣装を着て待ってたのですけど、菅野さんが到着されたのが16時くらいで、結局まる1日かかってましたね。みんな暑い暑いって言ってました」
「いつ頃撮影されたのですか?」
「5月30日頃だったと思います」
「あ、じゃあクランクイン直後なんですね」
「ええ。そうです」
「菅野さん綺麗でしたか?」
「めっちゃ可愛かったです」
「ですよねー」。

「ここの座敷で玉音放送の場面を撮ったのですけど、後ろのほうにウチの館長が映ってるんです」
「なんと!」
「後ろの部屋に使用人が座ってるんですけど、一番右が館長ですw」
「エキストラさんは徹底して現地調達だったんですねw。えっと五個荘ロケは、芳根京子ちゃんと蓮佛美沙子さんと生瀬勝久さんと菅野美穂さんと中村玉緒さんと本田博太郎さんと曾我廼家文童さんと宮田圭子さんと三倉茉奈さんと山村紅葉さんがいらしたんですよね。坂東家ほぼフルメンバーで豪華ですねー」
「はい」
「高良健吾さんを見られなくて残念ですね」
「はい。近江八幡でもロケしたのですけど、高良さんはそちらに来てたそうですよ」
「ですよね。キャストの皆さんは、撮影してない時はどんな様子だったんですか?」
「撮影した座敷の隣が中村玉緒さんの控え室だったんです。もう、普段からあのまんまw。『(真似で)ちょっとお手洗いはどこやろか』」
「似てるww。本田博太郎さんは?」
「やっぱりあのまんまw。『(やっぱり真似で)はいごめんなさいよ』」
「それはこわいw(それにしてもものまねがお上手ですw)」
「役者さんは、現場に入る時にもう役になってるんでしょうね」
「なるほど」
「五個荘が選ばれたのは、中村玉緒さんか生瀬勝久さんかどっちか忘れたのですけど、何か地縁がおありだとかで、それが理由なんですって」。

「へー。クランクイン直後ということは、まだ芳根京子ちゃんはご存知なかったですよね」
「はい。ヒロインが発表された時も誰?って感じでしたね」
「それが今や」
「ねー。私、サインもらっちゃいました」
「それは宝物になりましたね。芳根さんの?」
「芳根さんと蓮佛さん。実は知り合いがデビーした頃から芳根さんの大ファンで、五個荘に来たよって言ったら会いたかったって大騒ぎでした。申し訳ないけど関係者以外は立ち会えないし、言えませんしね」
「それはそうです。芳根さんと蓮佛さん、可愛かったですか?」
「天使みたいでした」。

「やっぱり。さっき機織り機は持ち込みだったって伺いましたけど、疎開した時、隣の部屋に機織り機が映ってるんです。あれも同じもの?」
「よく見てますね。あれは違います。あれも持ち込みなんですけど、NHKさんのものです。でもべっぴんさんの撮影は、だいたいここにあるものを使ってましたよ」
「そうなんですか」
「最初はNHKが持ち込むって聞いてたんですけど、ここのものを見て使うってなったんですかねー。以前、毎日放送のドラマのロケが同じ部屋であったのですけど、毎日は道具を全部持ち込んでました」
「局なのか作品なのか、いろいろ違うんですねー」
「この戸は開かないのですけど、NHKのスタッフさんが無理矢理開けて壊したんですw」
「あらま」
「でもちゃんと直してくれて綺麗になりました」。

「いっぱいお話を聞かせいただいてありがとうございます。楽しかったです」
「こちらこそ、ありがとうございました」。
現地の関係者でも撮影に立ち会うことはなかなかないですから、お話を聞ける機会は滅多にないことなのでとても貴重な時間でした。ロケハンの様子とかもっとお伺いしたかったのですけど、お客さんが来たのでお邪魔になってはと思って遠慮しました。

「お前の持ってるお得意先を本家に譲ってもらお、思うとるんや」。

「わしが自分の力で広げてきたのに、それを兄ちゃんに譲れっちゅう事ですか!?」。

「わしのためやない。傾いている坂東の家のためや」。

「五十八!」「お母ちゃん」「堪忍な。堪忍」「大丈夫や。達者でな。病気せんとってや」。

いったん、外村繁邸を出て、お隣の外村宇兵衛邸に向かいます。

玄関正面のこの奥の土間です。

「ご苦労さまです。ご苦労さまです」。はなさんが職人たちを指揮していた機織工場。

「これで、よろしいでっか?」「あっ、ここにお願いします」。はなさんが反物を運ぶ荷車を見送っていた工場の玄関。

ふたたび外村繁邸に戻ります。「よう遠いとこから来たなぁ」。

「大勢で、すんません。娘ら、孫、喜代さんを、どうかよろしくお願いします」。

「ここはお父さんの実家やからな。他人のうちやないんやから。ゆっくり過ごし」。

「ゆりさん、すみれさん。初めましてやなぁ。私はお父さんのお兄さん、長太郎の妻、節子です。息子の肇は、お国のため、出征しとります。こちらは嫁の、静子。孫の慶一や」。

「よろしくお願いします」。

「困った時に、頼れる場所があって、よかったな」。

「朕は帝国政府をして、米英支蘇四国に対し、其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり。抑々帝国臣民の康寧を図り…」。

「日本は、終戦の日を迎える事となりました」。

「紀夫君も、姉のゆりの夫、潔君も、音信不通となり、生死さえも分かりません」。

「昭和20年、8月15日、日本は、終戦を迎えました。ですが、本当に大変なのは、ここからなのでした」。

「肇…肇! よう帰ってきた…!無事でよかった!」「肇さん!」「よかった、よかった…」「お帰りなさい」「ただいま」。

続いては、湖岸道路を南から北に向かいまして、米原市の天野川河口にかかる世継橋の北側の橋のたもとを湖側に入ります。

岬の突端の印象的な二本の木があるここの右手です。

「9月には、アメリカ軍が和歌山に上陸。大阪に進駐しました」。疎開先の琵琶湖の風景。

今回のロケ地めぐりの旅、最後に訪れますは、ゆりさんが復員した潔さんに再会した田んぼでございます。近江八幡駅から西の湖園地を目指します。西の湖園地を右手に見て、こちらの焼田橋を南から北に渡ります。交通量も多くなく駐車も可能なスペースも少しあります。

近江八幡市円山町です。渡ってすぐの、ここを左に入ります。車は入れないのでご注意を。また、こちらは公共施設ではありませんので、くれぐれもご迷惑にならないようにしましょう。

疎開先の近江の田園風景

「アハハハハ!」。慣れないお百姓仕事で転んでしまったゆりさんを笑って見てた子どもたちが座っていたあぜ道。

「まだほんのちょっとしかやっとらんのに…」。

「すいません。ありがとう」。ゆりさんが喜代さんに助け起こされた田んぼ。

静子さんが立ってた田んぼ。

「お姉ちゃん…お姉ちゃん、ちょっと待って! お姉ちゃん…!  今出てって、どうするの?」。

「おいちゃん、待って~」。

「何や?」「ちょうだい!」「ああ、あるある。なんぼでもあるで! ほれほれ、ケンカすな! はい」。

「潔さん? 潔さん! 潔さん! 潔さん!」。

「ゆり!」「ただいま」。「どれだけ心配した思てんの!」「堪忍な」。

「ようやく、潔君が帰ってきました」。

琵琶湖畔や田園風景のなかをドライブしていると、そこかしこにまるで絵画のような美しい光景に出逢うことができます。毎年後期の朝ドラロケ地めぐりで滋賀に来るようになって、その魅力がわかるようになってきました。来年もまた、戻ってきたいと思います。


べっぴんさんロケ地の旅 -20161105 米原-

2016-11-06 21:28:28 | 連続テレビ小説べっぴ...

湖東にやってまいました。

もはや滋賀ロケはBK朝ドラにはなくてはならない場所になっています。純と愛より後のBK作はコンサバティブで時代ものが続いていますので、なおさらその傾向がありますね。

なんと言っても滋賀の魅力はノスタルジーなのですけど、古い武家、商家、農家が残っていて、かつ広い田園風景があるのは湖東ですから、ロケ地も湖東のほうが多いようです。湖西といえばごちそうさんの乙女が池とあさが来たの日吉大社を想い出すくらい。べっぴんさんロケ地は湖東に集中しています。なかでも今回は湖東の北から南まで幅広くロケで使われているので、湖東のノスタルジーの魅力が満載です。朝ドラロケ地ではあまり使われない湖東北部に行くということで、ついでに寄った彦根城にたまたまひこにゃんがいました。

今回のロケ地めぐりは二回にわたって湖東ロケ地をご紹介します。一回目は、べっぴんさん序盤で一番印象的な、梅田の闇市にまいりましょう。伊吹山の西側の山麓を目指します。

米原市春照付近の、伊吹山から石材を運ぶ空中のベルトコンベアラインの下を南北に伝う道を、北から南に向かいます。この右手に見える大きな煙突が目印です。道路からは右手に見えます。

こちらを右に入ります。

いっぽん道ですけど、石材を運ぶ大型トラックが出入りしますし、悪路なのでご注意ください。しばらく道なりに行くと、大きな左カーブを曲がった先に大きな荒廃した建造物が見えます。

ここを入ります。

入ると右手に巨大な壁の列が見えます。

初回の最初のシーンで君枝さんの横にちらっと文字が見えるのですけど、ここは戦時中のセメント工場の跡地のようです。

撮影場所はおおまかに四箇所。すみれさんと良子さんと君枝さんが登場する焼け跡は先ほどの戦闘機が描かれた辺りで、一番南側です。坂東家の焼け跡はオープンセットから少し東側に離れた場所です。

梅田の闇市のオープンセットはこの辺り一帯に作られたようです。

さらに、この壁沿いにも闇市のセットが作られていて、主にすみれさんが一人で歩くシーンで使われています。現地に来てみると、セットの規模の大きさにとても驚かされます。

薄っすら見えると思いますけど、少し整地した跡が見えるのが闇市セットのメインストリートでしょう。

この辺りが曽根崎に折れる交差点だと思います。

それでは、伊吹山ロケ地巡りをスタートします。「よしよしよし…。すみれお嬢様。さくらちゃん…」「大切な家はもう、そこには存在しませんでした。ですが、すみれには、守るべきさくらがいるのです」。五十八さんから神戸空襲の話を聞いて、すみれさんが訪れた神戸のお屋敷の焼け跡。

「戦争…終わったんやね」「ええ」。

「紀夫さんは、潔さんは…。絶対に帰ってくる!」「本当に大変なのは、ここからなのです。それでもすみれは、母として、前に進んでゆくのです」。

「辺り一面…焼け野原やった。家も…家も焼けてしもうて…。何も…無くなってしまった」。

「今から、70年ほど前、戦後の日本は、全てがゼロからの出発でした。物のない時代…神戸の焼け跡で…ある思いを抱いた、女性たちがいました」。べっぴんさんの初回のオープニングシーンで、君枝さんが立ちすくんでいた焼け跡の街。

おなじく初回のオープニングシーンで、明美さんが途方にくれていた焼け跡の街。

「全部焼けて…。野上の…。野上のお義父さんが…」「野上がどないしたんや? どないしたんや?」「亡くなってました」。ゆりさんが状況を見に来た焼けた大阪の街。

梅田の闇市。

「一方…」「ゆり~!」「はい!」「今日はぎょうさん仕入れたで」。

「闇市では、どこからともなく流れてきた、たくさんの物が、公定価格の何倍もの値段で、取り引きされていました」。

「おねえちゃん、品物見たろか?」「え?」。想い出のつまったものを売ろうとしたすみれさんが決心しかねてウロウロしていた闇市。

「品物よ。何や、売りに来たんやろ? 出し惜しみすんなや。ちょっと見せてみぃ」「ごめんなさい。やっぱりいいです!」。

「何様や、お前は…」。

「これ…売りたいんやけど、どうすればええやろ?」「これ、お父様に買ってもろた洋服やね」「そう」。

「わしが現金に換えてきたる」。「お願いします」。

「でもな、厳しい事言うようやけど、これからはタケノコやってても、先はない。着るもんを一枚一枚脱いで売っていく。タケノコみたいやろ?しまいには丸裸や」「そやけど…」「働くしかない。すみれちゃんも、自分の手ぇで仕事して、自分の足で生きるんや。昔のように、こじょうちゃんのままではおられへんねんで」。

「生まれてくる、エイミーさんの赤ちゃんのために、懸命におしめを縫ったすみれですが…」「紀夫さん…。えっ…」「大丈夫ですか!?」「腹減った…」。

「ゆり。毛布は需要あるでぇ。最低300円で値つけてや」「安う仕入れたのに、そんなの高すぎるわ」。

「待てコラ!」「どかんかい!」「ハッハッハ! どんくさいやつや」。

「ゆり! おい、大丈夫か?」「もう嫌や。ここはめちゃくちゃや…。それにこんな事、坂東営業部の商売やない」「かつての顧客を回って、坂東営業部をもう一度やりますって宣言する。そうしてまた、協力してくれるところを見つけて、販路を確保する。それまでは泥水すすってでも頑張るんや! 分かるやろ?」「うん。分かるわ…。でも…」。

「どんなにつらい思いをしても… 笑顔に、変える力をくれる人が、前に進む力となってくれる人が、勇気をくれる人たちがいる。それが、人生の宝なのですよ」「ごめんね。私は大丈夫や」「頑張れ、すみれ」。

「お父さん、ただいま戻りました!」「よくぞ無事で…。よかったよかった…」。

「キャッ…」「向こうで一緒に一服しようや。うん?」「イヤッ…イヤッ、イヤ~! 誰か~! キャ~ッ! 誰か~! やめて! やめてよ!」「どけどけ! おい!」「やりおったな!」「逃げろ!」。

「潔さん!」「どないしたんや!」「栄輔さんが!」。

「あの~すいません。ここに行きたいんですけど。どこか分かりますか?」「分からへんな。この辺も焼けてしもうたし。すまんな」。

「あっちやから」「あっちやな」「ありがとうございます」「気ぃ付けてな」。

すみれさんが腕時計を手掛かりに良子さんを探し歩いてた闇市。

「ゆり。わしが留守にしとる間、栄輔がおるからな。栄輔、くれぐれもゆりの事頼むで」「大丈夫や。安心してや」「うん。じゃあ、行ってきます」「おう、気ぃ付けて」「おう!」「あんまりやわ! 何で私を置いてくの?」「ゆり…」「私たちは同志やないの? 2人で一緒にお父様たちが作った会社を立て直すんやなかったの!?」「ゆくゆくは、ゆりにも手伝ってもらいたい思うてる。そやけど今は…」「今が一番苦しい時やない! 苦しい時に一緒にやらないなんて、意味がないわ!」「待っとってくれ」。

「またやわ…」「ああ、ねえさん、逃げて」「あっ!」「ねえさん!」「イタッ!」「おい! お前何してんねん!」「この時代を生きた人々は、皆、戦争で、人生が大きく変わりました。だからこそ… だからこそ、未来を切り開こうとする力が、生まれたのです。よい方に、よい方にと、願っているのです」。

「ほんまに、ありがとう。2人のおかげよ」「楽しかったわ、久々に」「私も」「お礼に、おいしいお茶、ごちそうする。ええ店があるから」「おいしいお茶? どこにあるの?」「あさや! フフフッ!」。エイミーさんに子ども用のドレスをプレゼントしたすみれさんと良子さんと君枝さんが歩いてた闇市。

「そのころ、私たちのもう一人の娘は…」「サツや!」。根本のさしがねで潔さんが警察につかまった闇市。

「栄輔、逃げろ!」。

「えっ、どないした?」「ゆり!」「何なんや、お前ら!」「離せ! 離さんかい!」「潔さん!」「潔君が、突然警察に逮捕され、ゆりは闇市に一人、取り残されてしまったのです」「何で…?」。

「大事な娘が、こないなとこにおるやなんてって…思うてますよね」「そんな事思うてない」。

「栄輔、どうした?」「ちょっと留守にしとる間に…」。

「ゆりはね、強う見えても、ここいうところで、自分を貫けへんところがあるの。最後の最後、そこが心配」「ほんまに行かせるんですか?」「ああ」私たちの娘、ゆりを、すみれを、よろしくお願いします」「任しとけ」。

「何や?」「根本さんですよね?」「そうや」。

「私は、野上ゆりといいます。あの…私、不思議でたまらないんですけど。どうして闇市の場所代を、あなたが取るんですか? 地主でも大家さんでもありませんよね」「こら、アホ。何抜かしとんねん」おい、玉井。声が、小そうてよう聞こえへんわ!」。

「この辺はな、むか~し昔からな、この根本さんが仕切っとんねん。ヘヘッ」「それなら、見直して下さい!」「ハハハッ。アホか。何の権利があって言うとんねん。そんな調子乗っとったらお前…」「おい、玉井。やめとけ。かわいそうに…。ねえちゃん、震えとるやないか」。

「ゆり。もう、ええやろ。今日は、これで失礼します」。

「やり過ぎてしもたかな…。世の中を知る事が、大事やと思うたんやけど。間違うたかなぁ」「間違うてたか、そうやなかったか、分かるのは、まだまだ先の事と違いますか?。旦那様は、背中で見せてやってたらええんです」「背中か…」。

「へえ。それにしても、あの環境で育ってきたゆりお嬢様が、何でこんな所で… 不憫で、不憫で、涙が出てきます」「泣くな」「それにしても…闇市に、ほとんどおなごなんていてないじゃないですか! こんな治安の悪い所に、何でゆりお嬢様がおらないかんのですか! ウッウッウッ…」「そうか…」「泣くな。わしが泣かしとるみたいやないか」「ほっていかんといて…旦那様~!」。

「他人の幸せを、羨んではいけないといいます。それが友なら、なおさらです。分かっているのに… すみれの心はチクリと、痛くなったのでした」。

「ちょっとよろしいやろか? そちらさんがやってらっしゃる事は、日本の未来のためにはならんちゅう事は分かってはりますよね?」「日本の未来? 何を大層な…。恥かしないんか」「人が集まるとこは、誰かが仕切らんと、秩序っちゅうもんが守られんのじゃ」。

「仕切り方が違うんと違いますやろか? 結局は、場銭やいうても、自分らが潤うための金を弱いもんから吸い上げてるだけや」「それが我々の生きる道や」。

「それが、日本の未来にはならんと言うてますねや」「未来って何や!? 何もないやないか。あんたかて会社取られたっていう話や。それでよう未来なんて、語れるなぁ」。

「それでも、何かを信じて、生きなあかん」「教えてもらおうか。何かて、何や?」。

「それは…自分で作るんです」「きれい事はやめや! 何もない中で、何を作るいうんや!」「自分一人やったら無理です。そやからいうて、人から奪うんは違う! みんな、聞いてくれ。この闇市で、生き残るためには、未来のためには、まず、手と手を、取り合う事が一番大事な事や!」「手と手を…? 何を言うてるんや?  わしらただ搾取されてるだけや!」。

「これまではそやったかもしれん。しかし、わしが言うてんのはこれからの事や。まず、必要なんは安全や。ここを変えていくためには、誰もが、安心して買い物に来れるような、健全な発展を、目指さなあかんと思う。買い物は、女がするもんや。女が、堂々と来れるように、健全な市場にせな、未来はない! 今日明日をどう生きるか。何を食うか。今はそれだけでいっぱいいっぱいやろ。それでも、1年後、5年後も、わしらは生きとる。10年後、20年後は、今の子供らが、30年後、40年後は、孫の世代が生きとるんや。そんな子らが…そんな子らが生きる未来を作るんは、今を生きるわしらなんや!」「旦那様…」。

「ここにいる自分を、今の自分を、仮の自分や思て、生きてても何も変わらへん。あなたが、ここのリーダーです!」。

撮影はたしか7、8月だったと思います。主に真冬のシーンを撮影されていたので大変だったでしょう。それにしても、あらためてセットの規模の大きさには驚きました。それよりも、セットの名残りのようなものが一切見当たらないことにびっくりしました。そもそも瓦礫だらけですから適当にしても良さそうなのに、セット作りもさることながら、撤収も見事です。続いては、今回の旅の最後に、疎開時代のロケ地を巡ります。


べっぴんさんロケ地の旅 -20161104 神戸大学-

2016-11-04 20:53:05 | 連続テレビ小説べっぴ...

今週二度目の神戸は、六甲山の山登りです。

神戸大学でございます。

六甲台第1キャンパスです。阪急六甲駅もしくはJR六甲道駅から神戸市バス36系統に乗って、神大正門前で下車すると目の前です。

正門を入って正面の激坂階段をえんやこら登ります。

ロケは、ヒストリカルなこのエリアで撮影されました。

国立大学法人ですからキャンパスはオープンですけど、平日に見学する場合はくれぐれも研究、授業、運営のお邪魔にならないように気をつけましょう。

ロケ地は二か所。まずは階段を上がってすぐにある、六甲台本館です。

「すみれが愛する神戸は、海を望む場所に、さまざまな人々が暮らす、異国情緒あふれる、美しい街です」。

「刺繍がうまくなりたい。そう思っていたすみれは… 靴が、針と糸でどう縫い上げられているのか、どうしても知りたくて… 潔君と、大冒険の旅へ、出発する事となったのです」。

「大丈夫やで。わしがおるから」「よ~し、行こう」。


 
「すまんかったなぁ。靴作るとこ、見せられんで」。六甲台本館の西側の側面です。

「ううん」。

「労働条件を~見直せ~!」「見直せ~!」「賃金を~上げろ~!」「上げろ~!」「さあ~行くぞ~!」「オ~!」「労働条件を~見直せ~!」「見直せ~!」「賃金を~上げろ~!」「上げろ~!」。

「イタッ!」「あっ、こじょうちゃん!」「どないしたんや? 大丈夫か? ええ服着てるのう。どこの子や?」。

「昭和17年、神戸の街は、初めて空襲を受けました。戦争のさなか、すみれたちの生活も、変化を余儀なくされていました」。

「君ちゃん、君ちゃん」「君ちゃん、大丈夫か?」「君枝ちゃんは、生まれつき体が弱いのです」。

「大丈夫」「ゆっくりでええよ」。

「その頃、五十八さんは神戸にいました」。

「ありがとう」。明美さんを探すために神戸中をまわろうとするすみれさんを、英輔さんがバイクで送っていた病院の入り口。六甲台本館の東側の側面です。

「いつでも、言うてや」。

「ありがとう」。

続いては、六甲台本館のもう一段坂上にある兼松記念館です。

ロケ地は、正面から入って右側の廊下の突き当りです。

「明美さん。ああ…。やっと会えた」。明美さんが勤める病院です。

「お仕事中に、ごめんなさい。お願いがあるんです。明美さんの言うように、このご時世に、ぜいたく品が売れると思うてた自分は甘いと思う。そやから、私、必要とされてるものを、必要としてる人のために、作りたい思うてます。何がええか、ずっと考えてて…。赤ちゃんが、ほんまに気持ちよく過ごせるものがええんやないか思て…。それで、明美さんがいつか、作ってたおしめ…。作り方、教えてもらえないでしょうか?」。

「もちろん、お礼はします」。

「嫌や。あんた、ほんまお嬢さんなんやな。苦労した事ないからそんな風に思えるんや。ほんまに甘いわ」。

「やっと再会できたというのに、その距離は遠すぎたようです」。

「ちょっと待って下さい。明美さん。私が思うてる事、間違ってますか?」「あんた、うちのお母ちゃん、知ってる?」「はい。マツさんですよね、小さい頃に、やさしくしてもらったのよく覚えてます」「強い人で、泣き顔なんて見せへん人やったのに。あんたんところに、みんなで行った時に…」。

「何でお母ちゃんをこんな悲しい思いさせなあかんのやろうてずっと考えてた。何でか分かるか? 貧乏やからや。貧乏やから、バカにされて、泥棒扱いされて、悔しい思いして…。うちは負けとうない思いだけで、必死に勉強してきた。お金のためにこの仕事就いたのに…。楽させてやりたいと思うてたのに…。あんたの家をクビになってから、もっと酷な仕事しかのうて…。お母ちゃんは死んだんや。あんたのせいとは思わへん。けど、あんたたちのせいや思うてしまうんや。一緒になんて無理や」。

「明美さん…」「それに、材料もあらへん。外国のおしめいうんは、肌触りがようて、柔らかくて、水をよう吸う生地があらへんと…。そんなん簡単には手に入らんやろ」。

「明美さん」。

「何?」。

「これ…外国で使う、おしめの生地で、間違いないです?」「そうやけど、どないしたん?」。

「知り合いが、手に入れてくれたんです。明美さんも、使うて下さい」「闇市に持っていけば売れるやろ」。

「いいんです。これは、明美さんへの、お礼なんやから。こないだ、明美さんに言われた事やけど…。今、振り返って、自分でも、世間知らずで無知やったと思う。知らないうちに、傷つけてしまって…。ごめんなさい。でも…今の私は、あの頃とは違うんです。私は、娘と生き抜くために、何でもしないと…」「ほんで? おしめを必要としとる人はおるんか?」「作り方だけ教えるわ。勘違いせんときや。これのお礼や」。

「明美さん」。

「何?」「あれから、マクレガーさんの所に、赤ちゃんのドレスを作って届けたんです」「へえ…」。

「ものすごく…それはもう、ものすごく、喜んでくれました」「そら、よかったな」。

「ちょっと待って下さい。これ…お礼です。昔、私を、あさやさんに連れてってくれたでしょ? あの時、あさやさんに教えてもらったんです。使う人の事を考えて作る事が、どれだけ、すてきな事か。使う人が、笑顔になってくれる事が、どれだけ、うれしい事か。大人になった今、明美さんのおかげで、あの時と、おんなじ思いを味わえた。ありがとうございました」。

「院長! あの…どういう事ですか?」「もともとここにおった、医者や看護婦が、外地から、戻ってくる事になったんです。だから、何人かに、辞めてもらわなあかんのです」「何で私なんですか? 私は、頑張ってきました。納得できません」「君は、独り身やろ? 君は若いし、一人やったら、何とかなるんやないかなあ」。

「何でやろか…。何でうちが…」。

深いくっきりした青空に白亜の建物が映えて、とても綺麗でした。学生時代を大阪で過ごしたのですけど、神大は天空のキャンパスということもあり来たことがありませんでした。ロケ地めぐりがまた、縁を結んでくれました。

まだ神戸編は一箇所残っていますけど、それはいずれまた。次回は滋賀に向かいます。