ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018FIFAワールドカップロシアグループH日本vsセネガル@エカテリンブルグアリーナ20180625

2018-06-30 23:06:01 | サッカー

サムライブルーがグループステージを突破するとともに、東京に夏がやってきました。梅雨明けです。

日本のグループステージ三戦を〆る終戦のありかたが議論を起こしました。それについては次回。今日は、今大会これまでのベストマッチといってもいいくらいの秀戦となったセネガル戦です。

日本は結果が出た前節を踏襲します。シフトは4-2-3-1。GKは川島。CBは麻也と昌子。SBは右に宏樹左に長友。CMは長谷部と岳。WGは右に元気左に乾。トップ下は真司。1トップは大迫です。

セネガルは戦いかたをアジャストします。これが試合に影響します。シフトは4-1-4-1。GKはカディム・エンディアエ。CBはサネとクリバリ。SBは右にワゲ左にサバリ。アンカーはアルフレッド・エンディアエ。IHは右にパパ・エンディアエ左にゲイェ。WGは右にサール左にマネ。1トップはニアンです。

サッカーの戦術上の優位性は、タレントの能力差に勝るものはありません。これは、サッカーに科学が入りこんでもなお、いまだに原始性を保ち続ける重要な要素のひとつです。

この試合のボールポゼッションは、日本53%に対しセネガル47%。このメルクマール上のイニシアチブはほぼイーブンと言っていいと思います。でもディテールの数値を見ると、シュート数、ショッツオンゴール、オポチュニティのすべてにおいて、セネガルが日本を倍しています。つまり攻撃力はセネガルが圧倒していたということを示しています。ところが、結果においては、ボールポゼッションが珍しく忠実で、ドロー。サッカーの奥深さというか、面白さを如実に表している試合だったと思います。

セネガルの攻撃の優位性は、いうまでもなく圧倒的なスピードです。セネガルがポーランド戦とは異なる布陣で臨んだのは、まずは攻撃力を前面に押し出そうという意図だったと思います。ご存じの通り、4-1-4-1は攻守どちらにもスムーズに片寄せることができる布陣で、先行逃げ切りを狙うセネガルにしてみれば、極めて合理的な作戦だったろうと思います。

攻撃のセネガルに対する日本という構図は、サッカーが持つ普遍的な魅力を濃厚に凝縮するものです。柔よく剛を制すは、なにも日本人のスポーツに対する好みを表わすものではありません。サッカーにおいて、万国共通のコンテンツなのだろうと思います。今大会は、戦術においては、守備に極端に偏重するチームが目立つ大会です。イラン、アイスランド、コスタリカ、スウェーデンなど、ある局面では11人全員が自陣に布陣する作戦を臆面もなく遂行していました。この作戦を否定するものではありませんし、遂行したとしても有効性を持つまでのクオリティを保つのは極めて難しいことですから、勇気と忍耐とディシプリンに感銘を受けました。でも一方で、観ていて爽快感がないものまた事実。サムライブルーのポーランド戦ラスト10分の過ごしかたに、本質的に等しいものがあります。あの選択を批判する人がブラジルーコスタリカにおけるコスタリカの闘いかたを称賛するとしたら、それは自己矛盾だと思います。

それはさておき、日本は結局、グループステージにおいては一度も守備的な作戦を施しませんでした。だからこそ、コロンビア戦の神風を呼び、セネガル戦の粘りの接戦があり、最終的なステージ突破を獲得できたのだと思います。ワールドカップというサッカーのトレンドのショーケースのような舞台で、無邪気に真っ向からアンチトレンドに挑むサムライブルーは、まさしくその名の通り、幕末の侍を彷彿させていたと思います。このような代表の姿は、称賛と批判を起こしてしかるべきだと思います。ひとつの目標を達成したからこそ、ここまでの過程で起こった問題点に目をつぶることなく、真摯に向き合うべきだと思いますし、一方で、今代表が勝ち得た成果にもまた、批判する側は真摯に向き合ってほしいと思います。

この試合のポイントを、日本とセネガルの両面から観ていきます。まずセネガル。データが示す通り、セネガルは勝ってしかるべき試合でした。でもそれを落としてしまい、結果的にステージ敗退に繋がったのは、4-1-4-1の布陣が持つ魔力だと思います。序盤のセネガルは超攻撃的に臨みます。狙うはもちろん、長友の背後。圧倒的なスピードの優位性を根拠に、サールとパパがダイアゴナルに長友の背後のスペースに入ります。これによって長友が守備に専念することを強いられます。必然的に乾もカバーを強いられます。これにより日本の重心が下がります。セネガルが日本を押し込んだ理由は、SBを攻撃的に布陣すること。とくにワゲ。これは、日本のストロングポイントが唯一左サイドだからであり、攻撃こそ最大の防御という意図が含まれています。結局11分に、川島が弾いたボールをマネに押し込まれるかたちで先制を許しますけど、ここまではセネガルが思い描いたシナリオ通りに進みます。日本0-1セネガル。

さて、ここからが、ある意味真実のサッカーです。セネガルは、引きます。これこそ4-1-4-1の魔力です。もちろん90分通じて序盤のようなアグレッシブな攻撃サッカーが続けられるわけがないのは、人種が変わっても万国共通なのでしょう。それにしても、セネガルが極端にリトリートしたのは、セネガルのなかに、長くアフリカに欠けると言われるディシプリンに対する憧憬があったためではないかと思います。すでにヨーロッパナイズされてひさしいアフリカのチームですから、政治的またはマネジメント能力の条件が整いさえすれば、ディシプリンに基づく作戦を遂行する能力は疑うべくもありません。4-1-4-1は、IHをアンカーと並列させることで、中盤の守備に厚みを加えることができます。ただし、おもいのほか中盤三人のコンビネーションは易しくはありません。ポーランド戦で臨んだ4-4-2のほうが、真骨頂とする中盤でパスコースを消すプレスの効きがよかった印象です。その意味で、セネガルは自ら中盤の守備バランスを壊す選択をしたことになります。

この試合のポイントを日本サイドから観ると、日本の作戦が、セネガルの選択に対する見事な対抗になったことを上げることができます。日本の狙いは、言うまでもなく左サイド。長友と乾を高い位置で絡ませることです。そのためには重心を高く保つ必要があります。なので、中盤のボール保持は生命線です。この役を担ったのが真司。真司をバイタルエリアでフリーにしポストを安定させることが、対セネガルの基本的なバロメーターです。日本は、大迫と元気が右サイドでフリーランすることで、セネガルの中盤の重心を移動させます。3センターのウィークポイントはもちろんアンカーのサイド。日本は、アルフレッドの右脇スペースを巡る攻防戦を征します。

さらに、空いたサイドのスペースを使うには、卓越した二次元の俯瞰力を持ち、リズミカルかつ正確にチャンスを生み出すコンダクターも不可欠です。岳は、コロンビア戦の後半に続き、好調でした。岳は、タレント豊富な日本の中盤において、この大会で現役選手の頂点に立ったと言っていいと思います。個々のタレント能力の総和で圧倒的なセネガルに対し、日本がこの作戦を遂行することはけして簡単なことではありません。日本人の優位点とされるアジリティを作戦遂行の基軸とした、とても良い例だったと思います。乾のゴールで試合を振り出しに戻します。34分。日本1-1セネガル。

後半頭からシセさんが動きます。シフトを4-2-3-1に変更します。CMにはゲイェとアルフレッドが並びます。パパがトップ下に入ります。ポーランド戦の安定感を取り戻す意図だと思います。シセさんは、言動からもうかがえますけど、とてもジェントルなかたなのでしょう。この作戦変更は、サムライブルーの前半に対する敬意を表わすものだと思います。さりとて、日本のイニシアチブは変わりません。身体的な優位性が絶対的なものであれば、日本がいかに上手く闘おうとも、セネガルが流れを取り戻し、オーガナイズすることは容易です。つまり、セネガルのスピードは、疲労を含め、それほど絶対的なものではなかったということでしょう。セネガルがギアを上げようとしても、長友サイドの攻防戦で二度と優位を取り得なかったことをみると、トータルのサッカー能力では、日本がセネガルに勝っているということができると思います。ところが、このまま同点、もしくは逆転する流れを感じていた雰囲気に反し、セネガルが追加点を上げます。71分。日本1-2セネガル。

これを受け西野さんが動きます。真司に代えて圭佑を同じくトップ下に投入します。コロンビア戦同様、右サイドで攻撃のかたちを作ることで、左サイドの優位性をより顕著にする作戦です。さらに西野さんが続けます。元気に代えて岡崎を投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。右メイヤは圭佑。岡崎は大迫と並んでトップに入ります。攻撃の枚数を増やし、ゴールチャンスを呼び起こそうという作戦です。78分。これがすぐに奏功し、圭佑の同点ゴールが生まれます。右サイドで作ってからの左サイドの仕掛けから岡崎が潰れ、圭佑をアシストしました。日本2-2セネガル。西野さんの作戦がこわいほどはまりました。

残り時間は、西野さんが宇佐美を投入し、シセさんも攻撃的な選手を入れる、ガチのどつきあいになります。互いに勝ち点3が欲しい、ノーエクスキューズの状況だったからこそでもありますけど、出し惜しみなんか一切考えない、西野さんとシセさんの激突だったからこそ演出された、極上エンターテイメントだったと思います。このまま試合終了。日本2-2セネガル。

ここで勝ち点1を拾えたからこそ、グループステージ突破に繋がりました。ここで勝ち点3を得られなかったからこそ、ポーランド戦のラスト10分に繋がりました。いずれにしろ、二戦経過して負け無しの勝ち点4はとても誇らしいと思います。タレントもマネジメントも大会までのプロセスについても、日本にはまったく勝算無しと思われていたし、恥ずかしながら自分もそう思っていました。とりたてて特別なモチベ―ションアップもなく、粛々と、でもとても高度なスカウティングと作戦、そして実行能力を遂行した成果だと思います。グループステージ第三戦は、日本、セネガル、コロンビアを取り巻く結末にいろんなバリエーションが有り得る、大混戦で迎えることになりました。


半分、青い。ロケ地の旅 ―20180630 府中―

2018-06-30 20:40:57 | 連続テレビ小説半分、青い。

東京も梅雨が明けました。今年の梅雨は毎日ジメジメしてたけど、期間が例年より短かったですね。

最近は、回のたびに一気に数年が進んでいて、あれ今何年くらいなの?と思う、半分、青い。です^^。

ロケ地巡りの旅関東編。今日はとと姉ちゃん以来のご近所。府中にお邪魔します。

東京農工大学です。

農学部の府中キャンパスです。

それでは府中ロケ地巡りの旅をスタートします。ロケ地は、農学部本館の正面と、本館と1、2号館の間にある中庭です。

「西北大学の1限は、早いです。8時20分から。律君は、1限体育、自由選択で、弓道をとりました」「「あれ?」。正人君も、おつきあいで弓道。体育だけは、全ての学部が合同でやります」。律と正人が弓道の授業のあとで歩いてた道。

「でも、何で弓道なの?」「ああ。これやってみたかった。高いとこ届く」。

「律君の、心深くに、あの出会いは、宝石のように輝き続けていました」。

続いてはこちら。「律君は、今人工衛星が、宇宙空間でどういう原理でもって、その姿勢を変えているのか、という講義を受けています」。律がピアノの音を耳にした道。

「剛体の動力学、だそうです。私はさっぱり分かりません」。

「律君、ぼんやりしたものたちの、フォーカスが合ってはっきり見えてくる感じが好きです。理屈が好きです」。

「彼はやっぱり、梟町きっての秀才でした。私たちの、期待の星」。

「でも律君、ファッションも洗練されてきて、梟町の事なんか…」。

続いてはこちら。「その日、奇跡が起きて、僕は皆中した。皆中とは、4射の矢が全て的に中る事。道場では決して笑ってはいけない。私語も厳禁」「おめでとう、律君」「え…?」「久しぶり」「「待ってて」。彼女の唇がそう動いたような気がした。清だ。伊藤清。僕の…初恋の人」。律と清が再会した中庭。

「萩尾律君だよね。旋律の律と書いて、律」。

「清さん」「え?」。

「伊藤清さん。さんずいに青。清いと書いて、さや」「覚えててくれたんだ」。

「きれいな名前です。2限、授業何ですか?」「あ…日本文学史。「古今和歌集」かな、今日は」「そっか」「そっちは?」「コンピューター概論」。

「あ…」「でも別に出ても…」「でも出席取らない科目だから」。

「よかったら、コーヒー飲みません?」「はい」。

続いてはこちら。「律!ごめん。最後の最後で質問する人いて、授業長引いた」。授業おわりの清を律が待ってた講義棟の前。農学部本館です。

「あるある、そういう事」。

「一番前の座席って、こんなふうにかぶりつきで聞いてて。あっ、かぶりつきって言葉汚いね」「いや、分かりやすい」。

「その人毎回終わる鐘が鳴ると同時に、「先生!」」「その講義受けてるうちの大方の人が、「あ~」て思ってるよ」「そう」。

「こういうの憧れてた」「ん?」。

「2限の後に、図書館の前で待ち合わせとか」。

「おっ、律!」「おっ」。

「何だよ」。

「俺も大学歩くの好き」「何で?」「清が自慢だから」。

「バカ」。

府中ロケ地巡りの旅、最後はこちら。「はいもしもし。オフィスティンカーベル。あっ、うん。今、鈴愛ちゃんと…」「あ~いいいい。鈴愛、ちゃんと仕事してる?。うん、うん…。ああ…本当。分かった。じゃあ」。電話してる律を清が待ってた中庭。

「ごめん」。

「誰?」。

「うん、ちょっと友達」。

「嘘をついた訳ではなく、ちょっと流しました。律君」。

大学のキャンパスは、どこに行っても青春期で時が止まっているような気がします。作品の雰囲気もそうですけど、農工大でもノスタルジックな気分になることができました。


2018FIFAワールドカップロシアグループHコロンビアvs日本@モルドヴィアアリーナ20180619

2018-06-23 17:19:09 | サッカー

大阪北部地震で犠牲になった方々に哀悼を捧げます。徐々にライフラインが復旧しているようですけど、被災されたかたはまだまだ不自由な生活が続いていると思います。一日もはやく、普段の生活が戻りますことを願います。

 

今年の梅雨は梅雨らしくて、連日ジメジメした日が続きます。そんな不快さを吹き飛ばすように、遠くロシアの地で行われているワールドカップは、戦前の低調に反し、とても盛り上がっています。

それもこれも、わがサムライブルーの活躍でしょう。ワールドカップは、普段サッカーに興味が無い一般のかたも注目するようになりますから、Jリーグファンとしては、嬉しいようなそれでいてちょっとくすぐったいような気分になります。いずれ、サムライブルーの今大会のさらなる活躍を祈念します。

本日は初戦コロンビア戦です。前回大会で苦渋をなめた相手ですから、リベンジの機会です。そして、見事リベンジを果たしました。

注目の日本の大会スターティングオーダーは4-2-3-1。GKは川島。CBは麻也と昌子。SBは右に宏樹左に長友。CMは長谷部と岳。WGは右に元気左に乾。トップ下は真司。1トップは大迫です。

コロンビアはエースがオプションスタートです。シフトは同じく4-2-3-1。GKはオスビナ。CBはダビンソン・サンチェスとムリージョ。SBは右にアリアス左にモヒカ。CMはレルマとカルロス・サンチェス。WGは右にクアドラード左にイスキエルド。トップ下はキンテーロ。1トップはファルカオです。

試合は予想もしなかったスタートとなります。いきなりの3分。ペナルティエリア内で真司を倒したカルロス・サンチェスが退場となります。

6分。プレッシャーのなか、真司自らPKを決めます。コロンビア0-1日本。

作戦変更を余儀なくされたぺケルマンさんはシフトを4-4-1に変更します。キンテーロがボランチにスライドします。

イーブンな状態はわずかに3分間のみ。今となってみれば、日本とコロンビア、それぞれの戦前のプランは知る由もありません。四年前の記憶を呼び起こしてみると、ぺケルマンさんの狙いは長友の背後を狙うという、プランとしてはナチュラルな選択でした。ただし、日本へのそして長友へのリスペクトを含んでいて、日本にイニシアチブを渡しながら、高速サイドアタック一閃で仕留めるというプランだったと記憶しています。

今年のコロンビアは、当時は怪我で不在だったエースファルカオが最前線にいますから、また少しテイストが異なるのかなと思いますけど、基本的なポリシーは変わらないでしょう。それゆえ、クアドラードとイスキエルドという、高速両ウイングを揃え、かつSBもスピードマンを据えています。

日本は、どうやら戦前にハメス欠場をスカウトできていたようです。それゆえの布陣のチョイスです。とくに真司と岳。割合は定かならずとも、いずれハメスケアのための守備の加重は減らすことができます。なので中盤のスウィープは長谷部一人で十分ケアできるという、ある種の掛けだったろうと思います。つまり、テストマッチのパラグアイ戦でテストしたプランをベースとし、ワールドカップ初戦に臨んだのだろうと思います。

日本が勝利するためにチョイスした要素は四つ。四年前と同様、イニシアチブは日本が取れる、あるいは取らせてもらえることを前提とします。ちなみに四年前の日本のボールポゼッションは61%。まず岳を中心としたパスの散らし。つぎに大迫の裏を狙う動き。そして大迫が引っ張って開けたスペースを乾が使い、フィニッシャーを担うこと。そして、この作成を成立するベースラインとして、10人全員が献身的に守備に走ること。先制に繋がるPKを取得したシーンは、両チームの思惑が凝縮しています。モヒカからファルカオへのアーリークロスを長友がクリアしたボールを、真司がシンプルにワンタッチで、大迫を走らせるイメージで前線に送ります。大迫はCBの間を抜け出し、一気にペナルティエリアに侵入していました。

四年前との相違は、中盤の重要性が増していることです。そのためコロンビアは、中盤のプレッシングを幾分高めようとしていたことでしょう。日本も前線からのリードプレスを起点とした中盤のハイプレスを基軸としていますから、前半から激しい中盤の攻防が見られたことだろうと思います。コロンビアがやろうとしていた攻撃はハメス不在でも同じで、キンテーロをフリーにし両ウイングを自在に操り、アタッキングサードでの超高速アタックで日本を後手後手に回そうというものだったと思います。その意味では、最終兵器ファルカオとスピードという明確なストロングポイントがあり、それ軸に継続し、闘いかたを整理できているコロンビアが、どうひいき目にみても優位だったことは否めません。

日本には、神風があります。右翼的な思想を意味しているのではなく、時として、勝負の局面で勝利を呼び込む運を味方にすることがある国です。もちろん、それを作戦に織り込めるほど確率は高くなく、むしろ神風が伝聞や記憶に残るほど、レアです。ただし、強烈な印象を残します。カルロス・サンチェスにして、あの場面で手を出してしまったことは、自分でも説明ができないのではないかと思います。まことにバカバカしい初歩的なミスなのだけど、やりたくてやったとは思えません。魔がさしたという、つまり神風。

ただし、サッカーにおいては、数的優位はかならずしも結果優位をもたらしません。統計を見たことはないのですけど、おそらく数的優位側が勝利する比率のほうが圧倒的に高いと思います。でも、一定数、数的不利側が勝利することもあることも、これまた事実。これは割と論理的に説明できます。まず、守備システムが崩壊するほどの退場、つまり三人以上の退場でもない限り、守備網に影響はありません。ただし守備網の安定を前提とするリトリートシステムを持ち合わせている場合に限ります。退場があったとしてもセキュリティホールに直結するわけではありませんから、数的優位側にとってみれば、むしろ引いた相手に苦労を強いられることになる場合があります。

次に攻撃。これも運動総量とスピードのある選手が前線に揃っている場合に限りますけど、攻撃の絶対人数が少なくなることによって、一人が使えるスペースがむしろ増えます。数的優位側が攻撃加重になりがちですから、この状況は起こりやすくなります。さらに、スペースメイクをしないと攻撃が機能しませんから、攻撃方法が整理され、コンセンサスができます。ようするに、コロンビアはこの条件がすべて整っていました。少なくともハメス・ロドリゲスを投入するまでは。守備においては、もともと4+4の2ラインをベースとしたゾーンディフェンスを基本プランとしていますから、リトリートはお手のもの。攻撃においても、両サイドを形成する四人はいずれも超高速のスピードマンです。攻撃のタクトを振るコンダクターも中央にいます。そして、最前線には世界最高のゴールハンターが控えています。

コロンビアは、数的不利を優位に変えるプロセスを、安定したデシプリンに基づき遂行します。超高速サイドアタック基調のカウンターを使うことで、中盤の攻防を回避することに成功します。これにより日本は、数的優位にもかかわらずトランジションポイントを奪われ、むしろイニシアチブをコロンビアに渡してしまう状況に陥ります。これを誘引したのはコロンビアの作戦だけではありません。日本にも要因があります。それはパス回しの質です。日本は定石通り、ボールを回してコロンビアを揺さぶる作戦を取ります。でも、残念ながらそこに縦が含まれていません。いたずらに横に回すのみ。本来は、アタッカーのスペースメイクでバイタルエリアを支配することで、パス回しに前後左右のバリエーションを作ります。日本は、縦へのチャレンジを失念していました。おそらく大迫が裏を狙うのに真司がフォローを重視していたことと、元気と乾がサイドにはっていたこと。加えて中盤から前線に顔を出す選手がいなかったことが原因だと思います。日本は、リズムができないまま無理矢理サイドアタックをしかけるパスをウイングに送ろうとしてコロンビアにボールを奪われます。この自滅に近いポゼッションを繰り返すうちに、コロンビアに高速カウンターを狙われるようになり、デフレスパイラルに陥っていきます。

これを受け、ぺケルマンさんが動きます。クアドラードに代えてバリオスをボランチに投入します。キンテーロが右メイヤに回ります。片翼を失うリスクテイクをしつつも、攻撃のマネジメントができるキンテーロを前線に置く意図だと思います。これが奏功したのかはわかりませんけど、同点ゴールが生まれます。

39分。キンテーロが、ファルカオが得たFKを直接ゴロで決めました。コロンビア1-1日本。

もちろんファルカオに対する長谷部のプレーはアピールの余地が多いにあると思いますけど、アタッキングサードでファルカオに思うようなプレーをさせる状況を作ったのは日本自身ですから、試合運びという意味で、再考を必要とする良い機会になったと思います。結果的には。前半はイーブンのまま終了。

後半に入り、さっそく西野さんが動きます。後方から、裏に走る大迫に積極的なロングフィードを送るようになります。おそらくは、苦肉の策であり、他に有効な策もなかったことだと思います。当初からフィードの基点を担っていた岳だけでなく、後方の選手がみなフィードを出すようになったことでそれが伺えます。麻也や昌子からのフィードは、むしろコロンビアの恰好の餌食になりかねないシーンもありました。一方、岳から散らせる場合は真逆で、極めて有効な攻撃を形成できるようになります。結局、岳の攻撃力が、コロンビアをして数的不利を思い出させることになり、日本の重心が上がることで、イニシアチブを奪還することに成功します。

さて、日本にリズムを奪われたぺケルマンさんが動きます。キンテーロに代えてハメス・ロドリゲスを同じく右メイヤに投入します。ここにおいてのエースの投入は、結果から見ると謎です。ハメスのコンディションは上がっておらず、数的不利側の攻撃に必要な条件である、運動総量とスピードが欠落することになります。それでもハメスを使ったのは、勝ち点3を得られなかった場合のエクスキューズなのか、二戦目以降のハメスのコンディションアップに向けた調整だったのか。

ただし、日本もコンディションを落とします。とくに真司が消えます。真司はバイタルエリア中央でボールを受けようとしますけど、アジリティが落ちた影響か、ボールを呼び込めません。これによって、再び日本のポゼッションが機能不全になっていきます。そこで西野さんが動きます。真司に代えて圭佑を同じくトップ下に投入します。圭佑はバイタルエリアの右寄りに固定し、ボールを受けます。これにより、ボールの納まり処ができます。元気と宏樹の攻撃参加が安定するようになることで、右サイドが活性化します。これを起因として、再度日本がイニシアチブを取ります。

ぺケルマンさんも動きます。イスキエルドに代えてバッカを右メイヤに投入します。ハメスが左に回ります。圭佑が作るサイドではなく、逆サイドを狙う意図です。これはやはり、長友の背後にターゲットを定める作戦だと思います。両チームが相四つでファイティングポーズを取る、アウトボックスのどつきあいは、はやばや西野さんに軍配が上がります。

73分。圭佑の左CKを、ひと際高く跳んだ大迫が合わせました。コロンビア1-2日本。

これを受け、西野さんが動きます。岳に代えて蛍を同じくボランチに投入します。それでもやっぱりフリーにすると怖いハメスのケアでもあり、チーム全体のリスクコントロールの意図、ようするにクローザー投入だと思います。

さらに西野さんが〆ます。大迫に代えて岡崎を同じくトップに投入します。前半から献身的に攻守に走り回っていた大迫のコンディションを考慮して、前線の運動量をリフレッシュする意図だと思います。

ハメスとバッカにゴールに迫られる大ピンチもあり、ワールドカップの日本戦らしいハラハラドキドキの時間となりましたけど、無事西野さんの思惑通りに逃げ切りました。このまま試合終了。コロンビア1-2日本。

日本にとっては、カルロス・サンチェスが退場したことと、苦肉の策であるロングボール大作戦がなぜか奏功するという、二つの大きな神風によって、グループ最強のコロンビアを撃破しました。アジア勢が南米勢に初めて勝った快挙なのだそうです。運もさることながら、選手たちが地味なオペレーションを高いディシプリンと意欲で遂行したからこそ、運を引き寄せ、結果に結びつけることができたのだと思います。

正直、大会前のゴタゴタやテストマッチの成績で、あまり期待されていなかったサムライブルーでしたけど、初戦の金星で一気に国内の雰囲気が上がりました。これでバイッドさんおよびバイッドさん信者の残念は消えることでしょう。とはいえまだ一勝しただけ。まさかまさかのグループステージ突破に向け、奇跡を起こしてほしいと思います。次は実質的にグループ最強なのではないかと思う、セネガルです。


半分、青い。ロケ地の旅 ―20180603 横浜・三田・浅草・西新宿―

2018-06-03 22:57:18 | 連続テレビ小説半分、青い。

西日本は梅雨入りしたようです。東京も来週あたりかしら。

半分、青い。楽しいですね。鈴愛の他意のない、純心な天然キャラに毎日癒されます。

本格的に東京編がはじまってから、通例と同じく大規模なロケはなくなってセット中心になったけど、それでもところどころに新鮮なロケをはさんでくれます。ワールドカップ中断期間中でもあり、陽気に誘われ、ふと思い立っての関東ロケ地巡りです。

川和町駅です。

3番出口に向かいます。

グリーンライン沿いに中山方向に向かいます。この交差点を渡ります。

ここを右です。

川和北八朔橋です。

それでは、半分、青い。関東ロケ地巡りをはじめます。「律君は、中学にあがってもその神童ぶりは揺らがず、東海地方の一番の難関といわれる、私立男子校、海藤高校を受験します。卒業生が現役で、東大に何十人も入るような、日本でも屈指の高校。しかし律君、余裕で受かるはずでした」。律と正人が車にひかれた犬を見つけた橋。

「が、受験日当日、思わぬ事に遭遇します。海藤高校まであと20分というところで律君は、あるものを、発見します」「それは、布がかけられていて、でも、じっと見ていると、ピクッと動いた気がしました」「そう、車にはねられた犬が、二度はねされないように、道路から脇に持ってきて置かれていました」。

「助けて下さい!誰か!誰か! 助けて下さい!」。

「誰一人立ち止まりません」。

「律君は、あっ、誰かではなく、助けるのは俺なのだ、と思い当たりました」「そのワンちゃんは、律君の受験を犠牲にして、一命を取り留め、捜していた飼い主にも、再会出来ました」。

「俺、北海道なんだけど、名古屋の海藤高校ってとこ、受けたの。叔父がそこ出てて、勧められて」「うん」。

「でも、受験の日の朝さあ…。犬がひかれて、その犬、道端まで運んだんだ。二度はねされないように」「でも、俺、その犬、病院に連れてってやる事、できなかったんだ。しなかったんだ」。

「だって、受験始まっちゃうし。いや、引き返しても、みたんだよ。そしたら、もう犬、いなくて。死んじゃったよねえ…きっと。俺は、自分の受験と引き換えに、犬の命を…」。

「あの時の事思うと、まだ、罪悪感っての? ここんとこ苦しくって。だから、俺、いまだに猫飼えても、犬、飼えないの」。

続いては東京三田の跨線橋、札の辻橋です。

「荷物は後から送りますから。とにかく今日すぐにここもって事なんで」。オフィスティンカーベルをクビになった鈴愛がとぼとぼ歩いてた橋。

「短い間でしたが、お世話になりました」。

「どうしよう…」。

続いては浅草橋。鳥越町のおかず横町です。

「おねえさんの網タイツを見ても、美しいカケアミに見え」。鈴愛が買い出しに来てた商店街。

「ちょ…何よ、この子!」。

「あっ、ごめんなさい」。

今回のロケ地巡りの旅、最後は西新宿。中野坂上駅を降りて、山手通りを南に下ります。最初の横断歩道を渡ります。

渡ったところにあるこの路地を左に入ります。

まっすぐ進むと小さな橋に出ます。あやめ橋です。

「いやさあ、俺ビックリしたよ。山の手線って次々電車来るじゃない? エレベータ―かと思ったよ」。律と正人がおもかげに向かって歩いてた橋。

「ハハハッ。俺さあ、北海道じゃない?」「うん」「北海道ってさ、信号縦なんだよ」「えっ、嘘」「いやほら、雪多いからさ、横に広いと雪で隠れちゃう訳さ。だから縦。上から赤、黄色、青」「何かそれかっこいいな。ロンドンみたい」「日本のロンドンと呼んでよ。こっち」。

「東京慣れた?」「慣れね~!」「慣れね~」。

「フフフフフッ。あっ、そこね、右。昼にスパゲッティ食べたらさ、うまかったのよ」「へえ」「ナポ~リタン」「おっ、いいね」。

まだまだ東京編ははじまったばかり。半分、青い。は、通例になく、岐阜と東京が同時進行で進みます。新しい岐阜ロケ地も楽しみだけど、東京編もいっぱいロケがあるといいなと思います。電車で行けるロケ地巡りも楽しいですから。