ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第13節FC東京vsヴァンフォーレ甲府@味スタ20170528

2017-05-29 22:55:53 | FC東京

どんよりと曇った日が続いて、いよいよ今年も梅雨を感じます。

五月最後は、青赤ダービー。とは言え、怪我人復帰の甲府はともかく、東京にはこれと言ってニュース性もなく、ひさしぶりにA代表選出ゼロのチーム状態もあいまって、日曜のイブニングマッチは集客に難があります。試合内容で払拭したいところ。You'll Never Walk Alone♪

二試合続けてはやい時間の先制を守りきれない展開で、ドロドロのくやしいドロー。

東京はシフトと布陣をアジャストします。シフトは4-2-3-1。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎と草民。WGは右に永井左に慶悟。トップ下は嘉人。1トップはウタカです。

甲府は怪我人が戻りつつあります。シフトは5-2-2-1。GKは岡。3CBは右から新里、帰ってきたキャプテン英臣。エデル・リマ。WBは右に小出左に翔平。ボランチは小椋と島川。2シャドウは右に堀米左に佑昌。1トップはウイルソンです。

試合は華やかにスタートします。

2分。最初のCK直後の宏介の右CK。東京は主力を中央やや離れたところに置いて飛び込むパターンです。主力はウタカとまるが前、モリゲと洋次郎が後ろです。甲府はゾーンとマンマークのハイブリッド。ストーンはニアに二枚。ゾーンはゴール前に四枚。マーカーはモリゲにリマ、ウタカに英臣、まるに島川。ファアにはる嘉人に佑昌です。なので洋次郎はフリー。甲府のミスです。宏介のキックモーションと同時にまるがニア、モリゲがファアに飛び込んでマーカーを引きつけます。さらに中央のウタカも動かず。その前にフリーの洋次郎が飛び込みます。宏介の狙いはまさに洋次郎。フリーでヒットした洋次郎は岡の逆を取る狙いで首を振ります。このシュートが新里にあたり、さらに岡の逆をつくことになりました。東京1-0甲府。

これまで東京得意のスクリーンはモリゲの専売でしたけど、洋次郎が加わったようです。これでCKは、モリゲと洋次郎のスクリーンを軸に、ニアに飛び込むパターンを含めてバリエーションが整ってきています。流れのなかでのゴール数が限られますから、セットプレーの可能性を高くできると期待がもてます。

さて、東京の課題は言うまでもなくここから。無得点試合は今年二試合だけ。総得点も得失点のバランスを考えるとそれほど悲観する状況ではありません。でも、ここのところ二試合続けて最小得点にとどまっていて、公式戦三連勝といつになく好調だったGWの反動がきている印象です。なので、先制したがゆえ、今日のポイントは追加点。東京は、あまりにもはやい時間帯だったこともあってか、過剰のリトリートはせず、通常モードで試合に入ります。

今日の布陣の上での特長は三点。ボランチの組み合わせとトップ下と永井です。洋次郎は相棒のキャラによって役割を変えるようです。今日は攻撃時に縦の関係を作り、草民が前、洋次郎が下がり加減に位置取ります。洋次郎は中盤の底から攻撃スイッチを押します。それから左右に長めのパスを散らします。一方、草民は前線のパスワークに絡みます。嘉人をトップ下に入れたことと関わるのだと思いますけど、中盤の構成力で支配力を高める意図だと思います。

というわけで今日は、ここまでの攻撃の基本プランを少し変えて、ショートパスによるスペースメイクが基軸だったと思います。そこにアクセントとしてロングスプリンターの永井を組み込んだのでしょう。甲府は5バックで幅のスペースカバーは盤石ですから、長短の出し入れでギャップを作る作戦だったと思います。

先制直後はこれが機能します。甲府は、ラインコントロールする最終ラインに対し中盤がプレッシングします。状況によっては、ゆえにバイタルエリアが開くことがあります。東京はここに基点を作ることができたとき、有効なアタックを観せていました。

でも東京は、ショートパスを基調としますけどポゼッションスタイルではありません。先制後、時間をおうごとに甲府に攻撃権が渡ります。もちろん東京が守備バランスを優先するビジョンの現れですけど、もっとも現状に物足りなさを感じる部分でもあります。守備加重はあくまでも目指すチーム作りの過程だと期待します。

イニシアチブが甲府に渡ると、必然的に東京の重心は下がります。そこで、今日のシフトのウィークポイントが露見します。ウタカ、慶悟、永井が高い位置でトランジションできた場合、カウンター要員が不足します。嘉人が中盤の組み立てに入るためです。当然カウンターの威力は減衰します。守備加重の闘いかたは、言うまでもなく相手にカウンターを意識付けすることが前提です。この時点でビルドアップするには重心が下がり過ぎていましたから、2トップにしても良かったかもしれません。

甲府はサイドに基点を作って、スペースメイクの連鎖で攻撃の状況を作っていきます。ウイルソンが、とくに左サイドに流れます。このウイルソンの位置で基点を作れたときは有効なアタックができます。ここに、頻繁にポジションを入れ替える高アジリティな堀米と佑昌が絡み、攻撃特性のある小出と翔平をフリーにできれば有効なクロスをゴール前に供給できると思います。

ただし、ビルドアップの攻撃パターンは少しばかりぼんやりとしていて、およそゴールの香りはしません。それよりも、あらゆる状況でゴールの可能性を作りだす泥臭さが甲府の信条でしょう。ロマンチストを象徴するような達磨さんが甲府でどんなサッカーをするのか楽しみにしていたのですけど、甲府という地は、ロマンチストのなかにあるリアリストの本質を呼び起こす力を持っているのでしょう。想えばヒロシしかり。

甲府が掘り起こす攻撃のリアルは、守備にあります。甲府はけしてフォアチェックを前提とする守備スタイルではありません。でも東京が最終ラインでボールを回すときは例外。執拗にボールホルダーを追います。そしてダメ元の執念が前半終了間際に東京に襲いかかります。

44分。草民のモリゲへのバックパスが大きく逸れます。そこに走り込んでいたのは堀米でした。堀米は彰洋をかわして無人のゴールに流し込みました。東京1-1甲府。

守備加重モードに入ると守りきれない最近の課題が今日も起きてしまいました。前半は同点で終了。

後半あたまから篠田さんが動きます。永井に代えて拓馬を左WGに投入します。慶悟が右に回ります。狙いは二つ。ひとつは、甲府の五枚の最終ラインに対しサイドでのロングスプリントによるスペースメイクが有効でなかったので、フルビルドアップスタイルに変更したことです。スモールゾーンのスペースメイクのクオリティを一段上げるイメージです。

もうひとつは、ウタカと絡む選手を置くこと。トップ下に入った嘉人は、嘉人が活きないときの典型を再現するかのように、中盤に沈みます。なのでウタカが孤立します。拓馬にはシャドウストライカーのような役割を期待したのだと思います。これが機能して、カウンターのかたちをようやく見せられるようになります。

東京に流れがきそうになったことを受けて、達磨さんが動きます。島川に代えて兵働を同じくボランチに投入します。これも狙いは二つ。中盤のオーガナイズ力を上げること。それからなんと言ってもセットプレーのプレースキッカーとしての期待です。

達磨さんが続けます。堀米に代えてドゥドゥをトップに投入します。ウイルソンが右シャドウに回ります。状況が振り出しに戻ったことと、東京がイニシアチブを取りに来たので、甲府のもうひとつの攻撃パターンであるロングカウンターの可能性を感じたのだと思います。ドゥドゥを前面に押し出すことで、スピードのあるウイルソンを消す効果を狙ったのでしょう。前線に供給するカウンターの発動機能は、既に兵働を据えていますから盤石。ここから、東京がボールを持って攻め、甲府が受けてカウンターを狙うかたちが延々続きます。

篠田さんが動きます。慶悟に代えて翔哉を左WGに投入します。拓馬が右に回ります。もはや、翔哉の役割はドリブラーシューターではなくパス回しの一翼だと言っていいでしょう。

皮肉なことに、この時間帯あたりから、甲府は勝ち点1も視野にリトリートします。5+3の守備網を固めます。そして東京のパスミスが目立つようになります。

それでも草民や嘉人やウタカにビッグチャンスがあって、決まっていれば結果は違っていたでしょう。なので決定力に課題を見ることもできるのですけど、今日は、あえてアイロニーを込めていうなら、中途半端に勝たなくて良かったと思います。勝っても内容にモヤモヤしたと思います。結果が伴わなかったからこそ、気付く課題もあるのだと思います。

篠田さんが動きます。ウタカに代えて遼一を同じくトップに投入します。ウタカは1トップで孤立したこともあってかポストが不安定でした。遼一の粘り強いポストと対比すると顕著です。お願いがあるとすれば、攻撃のかたちが定まらない状況で、闘いかたと布陣を安易に変えないでほしいです。いかんせん、前線のタレントを潤沢に持ってますから試したくなるでしょうし、試すことを期待されることもあるでしょう。でも今はまず、今年の基本セットを粘り強く作っていくことが先決。その中心はまぎれもなく遼一だと思います。

同時に達磨さんが動きます。翔平に代えて復帰した涼平を右CBに投入します。新里が右WBに回ります。守備の安定を優先した選択だと思います。それに涼平を実戦になじませる配慮もあったのでしょう。

結局、東京は押し切れずパスミスを重ね、甲府もカウンターのキレがなく、このまま試合終了。東京1-1甲府。

失点はミスだからしかたがないと思います。この程度のことは、実際に失点するかどうかはともかく、優勝するチームでも年に一回はあることです。むしろ、攻撃。篠田さんは理屈ではわりだせない勝負運を持っているけど、攻守ともロジカルなチーム作りではまだ完成形を見せてくれていません。

昨年は、翔哉と心中するチーム作りと割り切り、成功しました。いま、選択肢が豊富なことがむしろ迷いのみなもとなのかもしれませんね。もう一度、東京のスタイルは何かを、シンプルに見つめてほしいと思います。

愛するチームの成績が週明けのはたらく気力に影響することは、サッカーファンの世界共通の特権と嘯く、マゾヒズム。元気ですか?。


2017J1リーグ第12節ヴィッセル神戸vsFC東京@ノエスタ20170519

2017-05-21 20:21:27 | FC東京

GWが過ぎ、花々が華やぎながらも、なんとなく梅雨を感じる季節です。

本日は神戸。べっぴんさんでお世話になったのが、はやもう過ぎし日々。

今年の神戸はサウダージがより濃く。秀人と千真との再会です。

今日ばかりは、監督の作戦力の違いを見せつけられつつ、モチベーションの高い神戸をいなし、ドローです。

東京は前節の敗戦を受け、布陣をアジャストします。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎と草民。メイヤは右に永井左に慶悟。2トップは遼一と嘉人です。

神戸はほぼ前節と同じメンバーです。シフトは4-1-4-1。GKはキム・スンギュ。CBは岩波と伊野波。SBは右に峻希左にわたる。アンカーは秀人。IHは右にニウトン左に松下。WGは右に中坂左に晃太朗。1トップは千真です。

試合は、理想的なかたちではじまります。

今年のネルシーニョ神戸は、これまでと少しテイストを変えています。ネルシーニョさんは、チームを作る段階では、攻撃を補完する守備に重点を置く傾向があります。神戸もしかり。タイトなコンタクトによるフォアチェックで中盤の優位性を確保して、ショートカウンターからのはやい攻撃を志向します。それで、ある程度チームができると、新しいフェーズに入ります。より支配率を高めます。ボールを保持する時間を増やし、プロアクティブに試合をコントロールします。

どのチームでも、監督でも、このビジョンを持つわけですけど、ネルシーニョさんの凄さはリアリストなところだと思います。すなわち、ネルシーニョさんは己が目指すサッカーを、状況に応じていとも簡単に捨て去ります。Jにあまたの監督が過去現在いますけど、自らのサッカースタイルをネルシーニョさんほど柔軟に変化できるかたは観たことがありません。ゆえに、ネルシーニョさんのチームはおもしろく、かつ勝てるのだと思います。

想えば、柏時代のテーマはビトーリア。ようするに勝利こそがネルシーニョさんの唯一絶対の目的なのです。そのためのアプローチをややこしくせず、目の前の試合を勝つ手段をさまざまな抽斗から選択しているのでしょう。言い換えると、それを実現できる編成と修練、そしてディシプリンが、ネルシーニョサッカーの前提ということです。

今年の神戸は積極的にイニシアチブを取りにきます。というわけで、このようなサッカーを志向するチームに相似する守備と攻撃のプランを基本とします。守備は守備網の維持を優先するゾーンです。トランジションポイントは低め。攻撃はポゼッションスタイルです。

このため、攻守の鍵になるのが三人の中盤です。IHの役割は3センターを敷くガンバ、鳥栖と同じですけど、少しテイストが異なるのは、フィジカルに優位性があるニウトンを据えているからでしょう。フォアチェックによるタイミングの優位性確保ではなく、パワーを前提としたコンタクトベース。

そして、アンカーです。藤田の負傷離脱により神戸でスターターの地位を得た秀人は、やっぱり秀人らしいな思います。困った時の秀人。不器用ゆえ、なんとなくもっと良い選択があるんじゃないかと監督とサポに感じさせつつ、実際に使ってみるとチームとしての結果は歴然。入ったばかりの四月こそ波がありましたけど、今月に入ってからは3勝1分。必然の安定感です。

でも、神戸のポゼッションスタイルはまだ道なかばのようです。今年の神戸はこれが初見ですから成熟度はわかりません。それから藤田が入った場合の完成度も知るよしもありません。今日を見る限りでは、ポゼッションスタイルに移行するチームにありがちな、攻撃の停滞を見せていました。

さて、東京は例によって冷静な様子見から試合に入ります。長いフィードを前線に送って、試合のリズムを作りにかかります。永井を入れたのは、幾分かロングフィードの効果を高める意図なのかもしれません。いずれにしろ、およそ是が非でものゴールハントを目的とする作戦ではありません。ところが、あにはからんや、先制してしまいます。

14分。スンギュのGKを嘉人が落として、草民、まると渡ってモリゲに。モリゲは中盤に降りてきた嘉人に渡します。ターンした嘉人は最前線の中央の遼一ににパス。岩波と伊野波はこの時、遼一をどフリーにするミス。余裕の遼一はダイレクトで伊野波の背後にスルー。そこに走り込んでいたのは永井でした。永井はスンギュがつめてきたのを見て、ロブシュートを選択します。これがポストに当たって入ります。お洒落ハヤブサゴラッソ。神戸0-1東京。

リズムを作るだけでなく、物理的な優位性を確保できたのですから、まさに理想的。ただ、今年ははやい時間帯に先制した試合はあまり結果に良いイメージがなく、少しばかり不安でした。

それでも神戸の停滞する攻撃を見るにつれ、その不安はいつの間にか吹き飛んでいました。神戸は千真を頂点に、秀人を底辺に据えたセンターラインの出し入れで守備網を揺さぶり、ギャップに高アジリティの中坂と松下を入れて崩していくプランです。試合を90分の尺で捉え、ジャブを打ち続けることで生まれる隙を能動的に作ります。これは、観る側に忍耐を強います。たしかにボールを持ちますから守備面で考えるとそれ自体がセーフティネットになるのですけど、攻撃面では消極的に映ります。実際、シュートを打てるシーンでパスを選択することも多く、プレーしてる側はともかくサポにはフラストレーションがたまる闘いかたです。案の定、リトリートしてゾーンをかためる東京の守備網に、無為にただボールを回すだけの時間が延々続きました。

そこでネルシーニョさんが動きます。20分を過ぎたあたりに、シフトを4-2-3-1に変更します。ボランチは秀人とニウトン。晃太朗が右松下が左のWG。トップ下に中坂が入ります。晃太朗をライン際の下がり気味に置いて基点を作ります。作戦を峻希の突破力を活かしたサイドアタック基調に変更します。ネルシーニョさんは、今日は広角の攻撃が機能しないとみるや、あっさりとオリジナルプランを捨てました。

というわけで神戸は、右で攻撃のかたちを作れるようになります。それでも有効なフィニッシュには至りません。攻撃の重心をサイドに移したからと言ってポゼッションベースのビルドアップであることには変わりませんから、今日の東京のゾーンを崩すほどの威力はありません。

理想的にリードしたことで東京はゆうゆうとリトリートモードに移ります。これでさらに永井が活きます。ただ、ロングカウンターに、神戸に追加失点の脅威を感じさせるほどのゴールの香りが漂わないのは、まだまだ課題です。ゴール直後は、相手が点を取りにくることがあるので一気にたたみかけるチャンスでもありますから、より試合を優位に進める工夫をしてほしいと思います。前半はリードして終了。

後半の開始は、ネルシーニョさんは手を打ってきません。東京の出方を含め様子を見たのでしょう。そしてやっぱり状況は変わりません。

そこでネルシーニョさんが動きます。松下に変えてウエスクレイを投入します。中坂が右晃太朗が左のWGにそれぞれ戻ります。ウエスクレイはトップ下。作戦をガラッと変えます。おらおら系のドリブラーアタッカーであるウエスクレイを攻撃の軸に据えて、強引にリズムを作りにかかります。そしてこれが機能します。ネルシーニョサッカーの抽斗の多さは、チームを作る過程でチームが学習した作戦をチームがしっかり記憶していることです。ドリブラーでグイグイ押してくるサッカーは一昨年の前半で見せていました。当時ウエスクレイはいなかったけど、闘いかたを記憶しているチームに、強力なウエスクレイをはめることでおらおら感を高めました。

さらに神戸は、攻撃パターンをドラスティックに変えるだけでなく、ギアも一段シフトアップします。展開が縦にはやくなります。そしてこの作戦変更が成功します。

63分。スンギュのGKを中坂が宏介と競って落としたボールが右サイドにいたウエスクレイに渡ります。宏介がGKに対応していたためウエスクレイはフリー。アタッキングサードでウエスクレイは、ゴールに向かってドリブルを開始します。寄せてきた草民をかわしてウエスクレイはペナルティエリアに入ります。PKを回避するために、草民もまるもウエスクレイのコンタクトを躊躇します。ウエスクレイは中央に折り返します。ゴール正面にいたのは千真でした。千真はダイレクトで合わせます。神戸1-1東京。

勝機と見たのでしょう。ネルシーニョさんがたたみかけます。晃太朗に代えて成豪を左WGに投入します。これまたおらおら系アタッカーを入れて、さらにシフトアップをはかります。

このネルシーニョさんの作戦変更は、オープンファイトを誘引します。攻守の切り替えがはやく、ダイナミックな試合展開になります。今日はサッカー初心者の友だちがテレビで東京を応援してくれたのですけど、後半はドキドキして楽しかったと言ってくれました。ノエスタでも、今日は招待マッチだったらしく、ヴィッセル神戸のプレゼンの意味もあったのでしょう。混戦のリーグを考えると双方とも落ち着いて闘っても良い状況です。それでもプロはエンターテイメントが存在価値であることを示したかったのでしょう。

篠田さんはこのオープンな状況をどう捉えるかなと思っていたら、すかさず動きます。永井に代えて翔哉を左メイヤに投入します。慶悟が右に回ります。篠田さんには珍しく、売られた喧嘩を買います。ドリブラーアタッカーにはドリブラーアタッカーを。エンターテイメント上等とばかり、どつきあいを挑みます。ただ、最近の翔哉のプレーで気になることがあります。シュートアテンプトが減っています。それだけでなくドリブルや裏への飛び出しも少ない気がします。ミッションなのか不調なのか成長の過程なのかはわかりません。今日も翔哉が基点になりこそすれ、翔哉自身を起点にした仕掛けはほとんどなかったと思います。なので、神戸が縦にはやくアグレッシブになっていくのと反比例して、今度は東京の攻撃が停滞します。

むしろ右サイドが活性化します。室屋の打開力が機能します。わたるとのマッチングだと思いますけど、室屋から有効なクロスが供給されるようになります。

そこで篠田さんが動きます。慶悟に代えて徳永を右SBに投入します。室屋が一枚上がります。室屋の攻撃力を補完する目的だと思います。

さらに篠田さんが動きます。遼一に代えてウタカを同じくトップに投入します。ネルシーニョさんの臨機応変な作戦対応に比べると、どうしても篠田さんの作戦は毎度おなじみコンサバティブに映りますね。けして良し悪しではないし、今日の結果もそれを説明しているけど、最近は打ち手に可能性を感じないのはたしか。翔哉にしろウタカにしろ、コンディションが整ってないので、作戦というよりかは選手の表現力が課題なのかもしれませんね。

そしてネルシーニョさんがさらにスパイスを加えます。中坂に代えてTJを左WGに投入します。成豪が右に回ります。ドリブルができるだけでなくボールを持って基点にもなれるマルチロールのTJに攻撃のコンダクターを担わせる意図でしょう。そしてそれ以上に、セットプレーが彼我を生むと見たのだと思います。

この作戦変更は試合展開をさらに変えます。神戸が攻撃権を持つ時間が長くなります。2万5千のノエスタのボルテージが最高潮に達します。ネルシーニョさんにとっては、やることはやったのであとは選手の表現を待つのみだったと思います。

こういう状況になると東京の守備の堅固さがレベルアップします。彰洋を含め、タイトなコンタクトをベースに密度の高い守備ができるようになります。これが90分続くと良いのですけど。

結局、トップギア全開の神戸よりも東京の集中が勝りました。痛み分けのまま試合終了。神戸1-1東京。

秀人は秀人でした。安心しました。東京相手にどうかなと思ったけど、クラッシャーでいてくれました。前半に千真に出したロブ気味のパスには腰が抜けそうになりました。秀人のパスからビッグチャンスになることも何度もありました。やっぱりアンカーが似合うし、総合的のクオリティ上がっているのかもしれません。稀代の作戦家のネルシーニョさんのもとでどんなことを吸収しているのでしょうね。

東京も完成度の高いチームとの連戦を経てどんなことを吸収できたのでしょう。目に見えるのは攻め込まれた時の守備の安定感と攻撃のオプションの少なさ。攻撃の構築には時間がかかりますから、しばらくは今日みたいに地味に勝ち点を拾っていくことになりそうです。

勝ち点3を逃したけど、終わってみればポジティブです。やっぱり負けの少ないガンバ、川崎、セレッソが上位に上がってきました。東京は踏ん張り処にさしかかってます。苦手の五月をなんとか食らいついて乗り切ってほしいです。


2017J1リーグ第11節FC東京vs柏レイソル@味スタ20170514

2017-05-16 23:17:14 | FC東京

街が華やぐ季節がやってきました。

本日は以上です。

嘘です失礼しました(^_^;)。

母の日の本日の相手は好調柏。ここのところ下位に沈むチームとの対戦のなかで順位を上げてきましたから、ホントの調子のいかんを問う、興味深い対戦です。本日のYou'll Never Walk Alone♪

絶好調の柏に当たる不運で、完敗です。

東京は三戦連続同じオーダーです。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは徳永と宏介。ボランチは梶山と洋次郎。メイヤは右に広貴左に慶悟。2トップは遼一と嘉人です。

柏は代表招集の雄太がお休みです。シフトは4-2-3-1。GKは航輔。CBは今日は進之介と次郎。SBは右に小池左に輪湖。ボランチは大谷と手塚。WGは右にIJ左に武富。トップ下は中川。1トップはクリスティアーノです。

試合は歯切れの良い展開ではじまります。これは、互いにやりたいことができていたからだと思います。ちゃんとフィニッシュを見せて終えられていて、ミスからのボールロストがほとんどありませんでした。

東京の攻撃パターンはふたつ。ひとつはバイタルエリアのスペースメイクで重層的な基点を作り、パスをつないでフリーの選手を作るかたちです。もうひとつは左サイドアタックからクロスをゴール前に供給するかたち。序盤は両方とも機能していました。

具現化できていた理由もふたつ。ひとつは、前線のフォアチェックを前提にした中盤のトランジションが機能したこと。もうひとつは、バイタルエリアのスペースメイクとパスの連携が機能しはじめていること。GWをはさんでスターターを固定した効果があらわれてきています。

フィニッシュのかたちも、ミドルレンジの積極的なシュートやアーリークロスにアタッカーが飛び込むかたちなど、これまで見られなかったまとめかたもできていて、少しづつだけど攻撃プランが成り立ちはじめている兆しが感じられます。

柏は四連勝中。完封も三試合連続と、こちらも堅守を根拠に順位を上げています。でも実際に対戦してみると成績から得る超守備的な印象が感じられませんでした。むしろ攻撃を整理しチームとしてのコンセンサスを確立することが試合のイニシアチブを握ることにつながり、それが安定した試合運びと失点の少なさを演出しているのだと思いました。

柏はとても完成度の高いチームです。三連敗でスタートした今シーズンですけど、立て直しが成功したどころか、もしかすると優勝を争うレベルまで上昇するかもという可能性も感じます。柏の攻撃パターンは基本的にサイドに偏っています。サイドの高い位置で基点を作り、ダイレクトのショートパスで、タベーラを多用して守備網をくぐり抜けます。フィニッシュパターンは、ほぼクロス。

柏の伝統的な特長は、なんと言っても高い個人技術です。どのポジションの選手であっても質の高い足元の技術を持っています。柏の攻撃が淀みなく安定して見えるのはこのため。育成段階で共通の価値観のもとに、あるべき選手像をスタッフも選手も家族も認識していることが伺えます。今日のスコッドのうち育成出身は9人。スターターは7人におよびます。

今年のシーズンインは、茨田、TJ、増嶋、秋野、山中、徹郎など、主力級が大量に移籍して編成を心配していたのですけど、杞憂でした。柏には柏のDNAを継ぐ素材が粛々と絶え間なく生まれ続けているようです。東京は今年、基本的には育成型の維持を標榜しながらも結果を残す編成に改革しました。もちろん尊重するし受け入れてますけど、どこか柏をリスペクトする気持ちも正直あります。

というわけで、柏のサイドアタックにおける役割は、サイドにマルチロールの選手が揃っているだけに流動的に変化します。加えて、アタッカーの組み合わせの妙味も柏の攻撃を安定させる理由のひとつだと思います。柏のアタッカーは、それぞれがキャラクターに合ったプレーをします。言い換えると、個々の選手は周りに合わせる意識があまりないと思います。ケミカルの最大効果を狙える現時点でのベストミックスを見つけられているということでしょう。これまた羨ましい限りです。

中央でリズムメイカーを担うクリスティアーノ、サイドの基点でありアタッカーでもあるIJと武富は、それぞれタレントが立った存在です。でもチームとしての特長を際立たせているのは中川でしょう。中川の攻撃面の役割は、フィニッシャーだと思います。クロスに飛び込む頻度は中川が一番多かったと思います。中川は消えます。運動量とサイズを活かして、最終局面まで忍者のように消えます。中川のような個性をトップレベルで活かすことができる土壌も、柏の長所だと思います。

このようにクラブとチームのマネジメントを絶賛しつつも、今日の柏の出来をもたらした要素はおそらくそれだけではありません。東京にとって運悪く、もしくは運良く、柏のコンディションも今がベストかもしれません。もしかすると今年のベストマッチになるかもしれません。運悪くとはもちろん勝ち点のロストのことを言います。運良くとは、ベストパフォーマンスの柏とぶつかったことによって東京が課題を見つける機会を与たことです。

互いにプランを出し合う展開は、やがて柏にイニシアチブが渡ります。要因はふたつ。ひとつは前述の通り、柏のボールホールドの安定感です。もうひとつは航輔。宏介や慶悟や遼一の決定打は、真正面に飛んだ不運もありながら、すべて航輔に阻まれました。

そして、今年のベストGK対決の構図でもあったこの試合を動かしたのは、GKの高い技術を上回るシューターのクオリティでした。

33分。武富のスローインは輪湖を経由して次郎から縦に。この時東京は、柏が例によってパスを繋いでくると想定して、守備の準備として4+4のラインを敷きます。パスを受けた手塚はフリーでターン。シュートコースが見えたのでしょう。まだミッドサードでしたけど左足を振り抜きます。このシュートはドライブがかかって高津のシンカーのように曲がって落ちました。彰洋は手を伸ばしたけど届かず。ゴラッソ。東京0-1柏。

この段階では、まだ東京は闘いかたを変える必要はありません。先制された場合の今年の成績は1分2敗。たしかに分が良いものではありません。それでも宏介のキックのフィーリングが良さそうでしたので、ワンチャンスはどこかで来ると思ってました。前半はビハインドのまま終了。

後半開始早々に試合が動きます。

46分。徳永のスローインを、遼一と競った次郎がフリック。前方に落とします。これを武富が拾います。武富はそのまま手塚に戻します。手塚は縦に仕掛けます。攻撃スイッチが押されます。パスを受けた中川はダイレクトでクリスティアーノへ。クリスティアーノは裏を狙ってスルーを流します。このワンタッチの連鎖に東京の対応はついていけません。クリスティアーノのスルーにIJが反応して飛び出します。宏介が競りますけど、一瞬はやくIJの右足が触りました。シュートはスライディングで防ぐ彰洋の体の上を越え、コロコロとゴールに吸い込まれました。まさに柏が目指すサッカーの象徴のようなゴールです。東京0-2柏。

この2点目が試合を決定付けました。柏は、クリスティアーノを持つストロングポイントを極大化する、ロングカウンターモードに移行します。つまり、リトリートします。柏には三試合連続完封の根拠をイメージできるような、素人がわかる守備の工夫は確認できません。フォアチェックとゾーンを組み合わせたオーソドックスな守りかたです。コンタクトも過剰にハードではありません。たぶんボールコントロールの技術だけでなく個人の守備技術も柏の選手はおそろしく高いのだと思います。つまり守備技術を発揮するコレクティブネスを作りさえすればチームの守備が安定するということでしょう。ここでも個々の役割を明確に整理されていることがわかります。

さて、ここからが東京の課題です。いうまでもなく、点を取りに行かないといけません。東京の三連勝は、周知の通り、守備を優先するコンセンサスのなかで生まれたある種の偶然です。必然にするためには攻撃プランが成立する必要がありますけど、目下のところは構築中。今日はその糸口になるような有効な攻撃パターンをいくつか成功させていましたから、それを確実にかつ90分通して実行できるかたちにまで昇華させる必要があります。残念ながら、今日は、偶然を引き寄せる環境を作ることができませんでした。

あるいは、場合によっては、強引にでも点を取るために、好調宏介の力に期待して、直接FK、あるいはCKを得る闘いかたも、粘り強くかつしたたかにシーズンを闘うためには必要な作戦だと思います。スタッツを確認したわけではありませんけど、とくに後半はボールを持てたにも拘わらずFKの機会は少なかったように感じました。

篠田さんの手の打ち処だなと思っていたら、動きます。遼一に代えてウタカを同じくトップに投入します。この同タイプの入れ替えは、遼一にコンディションの問題があるならともかく、結果的に攻撃のテイストを変える打ち手を、自ら一枚失うことになりました。

篠田さんが続けます。広貴に代えて翔哉を左メイヤに投入します。慶悟が右に回ります。柏をベンチマークに今のスターターセットを見ると、柏にあってそこに無いものは、独力で局面を変えられる、クリスティアーノやIJのようなドリブラーです。東京の攻撃が停滞するように見えるのはこのため。なので翔哉投入は妥当だと思いました。でも残念ながら、翔哉はほとんど独力突破を見せられません。翔哉のチャレンジを削ぐほど、現場感覚の柏の守備網には穴が無かったのかもしれません。

篠田さんが一気に重ねます。梶山に代えて草民を同じくボランチに投入します。柏のリトリートよって中盤でパスミスが増え、それがカウンターの機会を与える原因になっていたので、そのケアでしょう。それからボランチが最終局面でシューターとして加わることも期待していたと思います。

東京が左右から攻め、柏が受けカウンターを狙うシーンが延々と続きます。リトリートした相手を崩し切れない東京の攻撃に課題が見えた一方、改善も確認できました。結局エースクリスティアーノは完封しました。さらには柏がロングカウンターモードに入ってからの再三の大ピンチにも、守備陣は体をはることかできていました。点を取りにいってカウンター一閃に失点してしまうこともウィークポイントのひとつでしたから、敗戦のなか地味ですけど、明るい話題だと思います。

下平さんはずいぶん長く動きませんでした。それほど今日は思い通りの試合運びができ、満足していたのでしょう。ようやく下平さんが動いたのは最終盤。クリスティアーノが疲れを見せていたのをきっかけに、代わりにディエゴ・オリヴェイラを同じくトップに投入します。

続けて、武富が足をつり、代わりに細貝を同じく左WGに投入します。

案の定、下平さんが動くことで試合が呼応します。けしてディエゴと細貝に落ち度があったわけではないのですけど、サッカーの不思議な処です。攻め続けた東京が一矢報います。

後半アディショナルタイム+3。慶悟のアタッキングサードのスローインから。東京は右サイドを崩そうとしますけどペナルティエリアに入るルートがなく、右サイドに参加していた翔哉からまるに戻ります。まるは栗澤のプレスを1フェイクでかわし、ルックアップ。この時ゴール前は、ペナルティエリアの中央に嘉人、ファアにウタカ、慶悟、草民が固まってます。少し下がり気味に洋次郎と翔哉。柏は嘉人を小池と進之介がケア。ウタカは次郎、慶悟は細貝、洋次郎は大谷がケアしています。つまり6on4の数的優位で、草民と翔哉がフリー。両ボランチがゴール前に出る超攻撃モードに対し、柏は今日唯一組織的守備でミスをおかしました。これをまるは見逃しません。狙いはセオリー通り。細貝の背後から飛び込む大外の草民にクロスを送ります。草民はきっちり合わせました。東京1-2柏。

なんとなく、最後に1点取るなと思っていました。これを受け、下平さんが動きます。中川に代えて栗澤を同じくトップ下に投入します。試合が動いてしまったので最善策を取ったのだと思います。

東京にとっては時すでに遅し。このまま試合終了。東京1-2柏。

終わってみれば、双方とも連続完封が途絶えることになりました。ただ試合後の状況は、当然のことながら明暗が分かれました。それでも、今節も首位が負けたので、勝ち点差はターゲット圏内のまま。そんななかちょっと不気味なのは、勝ち点が伸びないけど敗戦数が少ないガンバ、セレッソ、川崎です。地味に勝ち点を積み重ねることが後々効いてくるような気がします。

東京は、戦前からわかっていた攻撃の課題を再認識することができました。残念ながらすぐに成果が出ることではないけど、いろいろトライしてみてほしいです。後半の守備陣の頑張りは、攻撃のかたちのリビルドへの取り組みを後押ししてくれると思います。方向性も見えていると思うので、迷いなくチャレンジしてほしいと思います。

さぁ、待ちに待った、秀人とマックスとの再会が楽しみです。


2017J1リーグ第10節ベガルタ仙台vsFC東京@ユアスタ20170507

2017-05-09 23:16:51 | FC東京

ゴールデンウィーク最終日は、晩春の仙台。ツツジやハナミズキが咲き出して、東京より一週間ほど時間差があるようです。

日帰りも普通に可能なスケジュールなんですけど、ごはんを食べに(^_^;)。はじめてホヤを食べました。

zero zero zさんのミニライブがありました。ユアスタの上に見えた東北の春の爽やかな青空にぴったりでした。

たまとの二年ぶりの再会です。昨年は契約で東京戦に出場できませんでしたから、たまの想いの強さを感じます。

嘉人の2ゴールを守りきっての快勝です。

東京は前節の同じオーダーです。シフトは4-4-2。GKはお誕生日の彰洋。CBはモリゲとまる。SBは徳永と宏介。ボランチは梶山と洋次郎。メイヤは右に広貴左に慶悟。2トップは遼一と嘉人です。

仙台はひさしぶりに勝利した前節のオーダーを踏襲します。シフトは3-4-2-1。GKはシュミット・ダニエル。3CBは右から大岩、平岡、増嶋。ボランチは富田とたま。WBは右に菅井左に永戸。2シャドウは右に梁左に石原。1トップはクリスランです。

晋仙台は今年、よりイニシアチブを積極的に取るポジティブなモデルチェンジに挑んでいるようです。その影響でまだチームは発展途上なのか、成績が安定しません。粘り強く闘えたかと思うとゴレアーダを食らったり、上下動の激しいシーズンを送っています。その分ハラハラドキドキで、チャレンジの苦しさともどかしさと楽しさをチームもサポも感じていることでしょう。その意味では、ぼくら東京と同じでシンパシーを感じます。

仙台が開幕してからここまでの間でどのようなアジャストを加えたのかはわかりません。でも、あるいははまれば威力あると想像される武器を確実に持っています。

仙台の守備は、かつての荒々しさを全面に出すやりかたは影をひそめていますけど、たしかにその名残を感じさせます。東京はこのようなどつきあいに対してファイティングポーズを崩しませんから、今日の印象は、とてもハードなものになりました。YLCで過度にクリーンで滑らかな試合を観たばかりなので、ギャップを感じました。コンタクトが多いので、カーレース用語を使うとストップ&ゴーな試合でした。

これは、アプローチこそ違えど、互いの志向しているサッカーが似ているからこそのことなのだと思います。それは、中盤を守備で制し、はやく攻めること。というわけで、序盤は攻守の切り替えがはやいダイナミックな展開になります。

東京の攻撃プランは二つ。主に主導権を取るための作戦として序盤から頻繁に見せたのは、ロングフィードでアタッカーを走らせるパターンです。もうひとつは、遼一をポストに使って縦と横のタベーラでスペースを奪う作戦です。

試合を通じての比重は前者のほうが多かった印象です。出し手は両CBと両ボランチ。この四人のキャスティングを、事情とはいえパサーで揃えられたことは、このような長短のバラエティがある攻撃の実現を後押しするものです。配した選手によって作戦の選択を微妙にアジャストしていることがわかります。

主武器はおそらく後者でしょう。遼一と絡むポジションは、ボランチだったりメイヤだったり、あるいは嘉人だったりします。いずれにしろ、ポストの落としを受けたポイントが攻撃の成否の分岐点でした。つまり仙台のバイタルエリアの壁を突破できると、有効なアタックができていました。

対する仙台も2パターンの攻撃プランを用意しています。ひとつ目は、クリスランのポストを軸にした縦に急ぐ高速アタックです。裏に抜ける役を担うのは主に石原です。たまと富田が前を向いてプレーでき、かつクリスランがフリーのときは威力のあるアタックができていました。

もうひとつは永戸です。速攻が叶わなかったときのオプションではありますけど、威力は十分です。最終ラインでゆったりパスを回しているうちに守備網を左サイド、つまり菅井側に片寄せさせます。その間に永戸がライン際を最前線まで上がります。そこに富田もしくは大岩からポジティブなロングサイドチェンジが送られます。当然この時点で永戸は、すでにアタッキングサードでフリー。永戸からのアーリークロスはスピードがあって精度も高く、ゴール前のフィニッシャーがタイミングを信じて飛び込めます。仙台の左サイドは、パク・チュソンの退団以来長年苦労したポジションですけど、ようやく新しい武器が加わりました。

東京も仙台も、なので攻撃を有効たらしめる鍵は、中盤の壁を越えることです。東京はコンビネーションで崩し、仙台は中盤そのものを飛ばすことでこの壁を越えようとします。でも、どちらの守備もディフェンシブサードに入ってから堅固でした。

中盤のコンタクトについては前述の通りです。今日の東京は中盤のパスミスが目立ちました。それほど仙台の圧力が高かったことをあらわします。ただ、リスクマネジメントの意識が今日の東京は徹底していました。ミスがあっても周りのフォローがしっかりしていてリスクを未然に防ぐことができていました。

それから仙台の速攻に対しても、試合が進むにつれ、抑えるべきポイントである出し手と受け手の自由を奪えていました。序盤機能していたクリスランのポストが徐々に消えていったのはこのためです。こうして、はやい展開ながらも泥試合の様相を呈しはじめたころ、先制ゴールが生まれます。

21分。宏介の左CK。仙台はフルゾーンでゴールエリアのホリゾンタルラインを挟んで6+4の2ラインを敷きます。東京はファアに5人固めます。ゴールに近い側にニアから遼一、慶悟、まる。遠い側はニアにモリゲ、ファアに嘉人。なので宏介は、シンプルにモリゲの最高到達点と仙台の相対的守備力とのギャップを狙うクロスを送ります。これにモリゲと菅井が競ります。モリゲのシュートは菅井にあたって跳ね返ります。そこにいたのは嘉人でした。嘉人はダイレクトに右足を合わせます。仙台0-1東京。

リードした東京は、例によって守備加重のモードに入ります。仙台に攻撃権を渡します。ここからしばらく、仙台の速攻と永戸を軸にした左サイドアタックが機能します。とくに永戸に威力のあるクロスを供給され、ゴールに迫られます。左サイドアタックのときの仙台は右から大岩と菅井が攻撃参加し、人数をかけた重層的な攻撃を見せますから迫力があります。

東京は重心が下がりますから、必然的に攻撃の基点が下がります。試合をコントロールする意図からか、長めのボールが減ってコンビネーションやドリブルでの攻撃が増えます。でもミスが目立ってきました。このあたりが課題でしょう。リードしている状況のコントロールの仕方をもう少し安定させたいですね。

中盤のコンタクトがさらに激しさを増してきます。東京はリスクを予防するため、仙台は高い位置でボールを奪うため。中盤の攻防が流れを決める展開になります。それでも決定打を打たれることなく、前半はリードのまま終了。

後半も仙台に攻撃権が渡ったままはじまります。東京は先制してから20分強を守りきりましたから守備のリズムができていたのだと思います。仙台のパスミスを誘うプレッシングを含め、守備が機能します。

ここで篠田さんが動きます。広貴に代えて永井を同じく右メイヤに投入します。攻守両面での永戸のケアだと思います。とくに守備面で、永戸に対するマークをタイトにすることができました。以降、永戸のクロスを封じます。

そして直後、ふたたびセットプレーで試合が動きます。

57分。宏介のFKは、アタッキングサードにかかる手前あたりの中央やや右寄り。宏介はシュミットの頭を越えるロブ気味のシュートを放ちます。これをシュミットがファンブル。これに反応しつめていたのは嘉人だけでした。嘉人は右足で流し込みます。仙台0-2東京。

このときも仙台はフルゾーンでした。その影響かボールウォッチャーになっていて、シュミットがこぼす可能性を嘉人のように感じられていた選手は皆無。東京にきてはじめて、嘉人のサッカー脳の凄みを感じられた気がします。

これを受け、晋さんが動きます。菅井に代えて蜂須賀を同じく右WBに投入します。仙台の左右のWBはテイストが異なります。菅井はゴール前に進出してフィニッシュに加わる、攻撃参加のタイミングが信条です。菅井を活かすために右シャドウに梁を置いているのでしょう。蜂須賀に代えることで、左右ともクロッサーが揃います。

直後に篠田さんが動きます。遼一に代えてウタカを投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。ウタカは1トップ。トップ下は嘉人。遼一のコンディションを考慮したのと、カウンターを狙って一枚でも攻撃のかたちを作ることを意図したのだと思います。

リードが広がった東京は、さらに試合のコントロールを重視します。永戸を封じられた仙台は、攻めては東京の壁に跳ね返される、同じような展開が続きます。そこで晋さんが動きます。梁に代えて奥埜を同じく右シャドウに投入します。ドリブラーアタッカーでシューターでもある奥埜にシュートアテンプトを期待したのだと思います。

それでも東京を攻略できないので、さらに晋さんが動きます。増嶋に代えて直樹を投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。直樹は左CB。富田がリベロに下がります。奥埜はボランチに回ります。そして平岡が最前線に上がるパワープレーです。

終盤の東京の守備はホントに安定していました。晋さんの作戦変更にも落ち着いて対応します。篠田さんが〆にかかります。嘉人に代えて拓馬を同じくトップ下に投入します。

結局仙台は、これ以上の打開策もなく、このまま試合終了。仙台0-2東京。眠らない街♪We Are TOKYO♪嘉人のシュワッチHAPPY BIRTH DAY彰洋♪。

ひさしぶりにたまの元気な様子を観られました。ファイターで躍動感あふれるプレーは変わらずで、仙台の攻撃をかたち作るうえでかかせないキーマンになっているようです。いくぶん、かつての軽さのようなものが無くなって、落ち着いた雰囲気も感じました。

守備は相当良くなってきていますね。守備網を整えてからの守備だけでなく、攻守が切り替わる局面のコンセントレーションもチーム全体でできていました。このようなマネジメントができれば、攻撃時にリスクを取る積極性が生まれる素地になってくれると思います。まだまだ攻撃のコンビネーションが整っていませんけど、嘉人がいよいよ本領を発揮するきっかけを見せてくれたことですし、もう一段上にチームを上げる示唆なのかもしれません。

次は金町ダービー。好調柏ですから楽しみです。


2017JリーグYBCルヴァンカップグループステージ第4節FC東京vs北海道コンサドーレ札幌@味スタ20170503

2017-05-04 22:18:10 | FC東京

ゴールデンウィークでございます。天候にも恵まれそうですね。

今年は、ゴールデンウィークの端っこに試合日程が組まれているので、サッカーしばりにならないで済みます。できれば仙台戦と札幌戦の日程が反対だったらもっと良かったのですけど(^^;。

本日はYLCのグループステージです。遠征されているコンササポさんは東京のゴールデンウィークを楽しんでらっしゃるかしら。You'll Never Walk Alone♪

今年最高のオーガナイズを見せ、完勝です。

東京はターンオーバーです。と言っても選手層が厚いので豪華メンバー。シフトは4-2-3-1。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは右に室屋左に諒也。ボランチは洋次郎と草民。WGは右に永井左に翔哉。トップ下は拓馬。1トップはウタカです。

札幌もターンオーバー。シフトは5-2-1-2。GKは金山。3CBは右から進藤、菊地、永坂。WBは右に石井左に菅。ボランチは横山と前。トップ下は伸二。2トップは上原と藤村です。

東京に比べて、札幌のほうがはっきりしたターンオーバーをしいてきたのは、札幌の運営の特長である育成の目的もあるのでしょうけど、やはり主力を休ませる意味合いのほうが強いでしょう。なので、今日の札幌は、現在リーグ戦で好調を見せている姿とは少しばかり異なるだろうと思います。とは言え、たしかに勝負強さという面では劣るかもしれませんけど、主力がいない分だけ、そして札幌ユース出身選手を多く配している分だけ、札幌の本質を観られるとも言えます。札幌と言えば、フォアチェックを基調としたアグレッシブなスタイルが今年の特長です。でもそれは、兵藤や荒野、早坂や雄大といった運動量とアジリティの高い選手が味付けをしてこその姿です。今日の札幌は、様相が異なりました。

試合は札幌が主導権を握るかたちで入ります。今日の布陣の札幌は、たしかにフォアチェックを見せはするのですけど、でもそれが本質ではありません。むしろ主力が入ったセットよりもパスワークに主軸が置かれていた気がします。序盤の札幌は、中盤の三人を中心にパスを細かくつなぎ、ゆったりと攻めます。伸二が入っていることも影響しているのか、ボールを失うことがありません。これはもちろん、リスクヘッジのためバックパスを多用するからでもありますけど、言い換えるとボールを保持し続けることが札幌のテーマだということを表わしています。

でも、札幌の攻勢は5分程度で終了します。札幌が主導権を握っていたとは言え、東京の入りはけして悪くはありません。新潟戦のようなふわっとした受け身ではありませんでした。むしろじっくり札幌の闘いかたを観察していた印象です。なので、札幌から攻撃権を奪ったときが今日の東京の出来栄えをはかる機会だろうなと思っていました。そして、5分過ぎくらいにボールを持つと、そこから結局試合終了まで、ほぼワンサイドの展開に持ち込みます。

今日の東京は、奇しくも札幌とテーマを同じくしていました。東京は、いつものカウンタースタイルを封じ、ポゼッションスタイルで臨みます。理由はおそらくスカウティングによるものだろうと思います。それは札幌の中盤のクセにあります。

札幌の中盤はとても流動的です。横山を真ん中に据え、前と伸二は前後左右フレキシブルなポジションを取ります。ときに前と伸二が同サイドにかぶることすらあります。宮澤、兵藤、荒野のセットではこれは見られなかったので、今日のスペシャルプランなのかもしれません。これはもちろん、東京にトランジションポイントを惑わす作戦です。序盤の攻勢はこのプランが奏功したことが理由です。

でもそれが仇となります。札幌の中盤は守備においても積極的です。これは主力のセットと同様。東京が中盤にボールを入れると、伸二と前が積極的にチェックに入ります。中盤のボールに対して過敏です。リスクを未然に防ぐ意図だろうと思います。ただ、ボールをチェイスするスタイルですと、どうしてもバイタルエリアにギャップが生じます。東京はここに付け入ります。ウタカを前線の真ん中に置いて最終ラインの位置を定めます。そうしておいて、拓馬と翔哉がかわる替わるバイタルエリアに入ってきます。その間ボールは、SBを含めた最終ラインとボランチの間を漂います。前、伸二がこの誘いにノリ、前に出てきます。これでバイタルエリアは横山だけが留守番をする状況になります。当然、横山の両脇にはスペースが出来上がります。こうして拓馬と翔哉がバイタルエリアで基点になることができる状況ができあがります。

なので今日の東京は、普段よりも中央を狙う頻度が高かったです。翔哉が内に絞ったポジショニングをしていたのはこのため。一方右サイドは、永井がほぼライン際に張り付いていました。これで左右でテイストの異なるアタックができます。右は長めのボールに永井自身が反応するだけでなく、ライン際で基点になって室屋を引っ張り上げます。左は右よりもコンサバティブです。今日は宏介が入っていないので、仕掛けの頻度は少なく、翔哉の攻撃スペースを広く取る意図だったかもしれません。なので今日の作戦は、左で作って右で仕掛けるプランだったと思います。

東京のスペースメイクが巧みだったことと、札幌のプレッシングが甘かったこともあって、東京はいつになく高ポゼッションで試合を進めます。なので、ワクワクするようなダイナミックな展開はないのだけど、とても安心して観ていられました。家族連れやお子さんもたくさん観に来ていたので、もうちょっとエンターテイメント性のある試合になっても良かったかなと思いますけど、ファンとしては、たまには落ち着いて観ていたいものですから、これはこれで楽しかったです。そして、東京の支配を決定付ける先制ゴールが生まれます。

31分。東京がアタッキングサードにかかる付近。左ライン際で石井がボールを納めようとするところを翔哉が狙います。翔哉はボールをはじき出し、流れのままドリブルで前進します。札幌は最終ラインとボランチの二人が揃っていますけど、翔哉のドリブルインで下がり基調になります。翔哉はそのままプッシュを続け、ペナルティエリアに入ります。これで局面はペナルティエリア内の勝負になります。進藤を引き付けた翔哉は、ゴール正面のウタカにマイナスのパスを送ります。このボールは内に逸れウタカが触れません。でもこれが幸いしました。ボールが流れる先にいたのは永井でした。永井は左足で浮かせて、ボレーのようなかたちで左足を振り抜きました。東京1-0札幌。

ようやく永井の移籍後初ゴールが生まれました。ひと安心だったと思います。永井は右ライン際だけでなく、翔哉のアタックにタイミングを合わせ、ダイアゴナルにゴールに向かうプレーも見せていました。東京は結果を残すことができるようになってきていますけど、ロースコア勝負を守り切るリアリスティックな闘いで凌いでいる状態です。前線のゴール不足が課題ですから、このゴールが良いきっかけになってくれることを願います。

リードされたことを受け、四方田さんが動きます。シフトを5-2-2-1に変更します。伸二がボランチに回ります。藤村は前とともにシャドウに下がります。どちらかと言うと守備の改善を意図していたと思います。中盤の守備網に厚みをもたらすことを狙ったのだと思います。

これで試合が安定します。自由にバイタルエリアを使えていた東京も、ポストを入れられこそすれ、そこから前を向いて仕掛ける頻度が少なくなってきます。でも今日の闘いかたで秀逸だったのは、むしろここからです。いつもの東京はリードすると極端にリトリートしますけど、今日は真逆で、ポゼッション率をさらに上げることでリスクヘッジする作戦を取ります。これが観ていて安心感を感じた一番の理由です。それもただ漫然と最終ラインでボールを動かすだけではありません。バイタルエリアを使って前後左右の揺さぶりを続けます。なので、仕掛けが失敗してボールロストすることがあるのですけど、チームのかたちを大きく崩すことなく攻撃していますから、そのまま守備に入ることができます。なので札幌の反撃も有効にはなりません。

今日はボールがピッチ外に出る回数がとても少ない試合でした。これは、東京、札幌ともボールを保持することをテーマにしていたためだと思います。目指すのは簡単なのですけど、実現するためには個々の技術力とチームのコンビネーションが必要です。ターンオーバーと言っても豪華布陣の東京はともかく、札幌のパスワークの巧みさには驚きました。ゆったりとした印象になった試合でしたけど、けしてゆるんだ感じがしなかったのは、両チームの選手の技術の高さ故だと思います。

今日の札幌は、ユース出身を9人も揃えました。そのうち試合に出場したのは7人。真ん中のラインに伸二、横山、菊地を据え、チームの軸とすることで、若手の積極的なプレーを支えようとしたのだと思います。リーグ戦でも試合に出ている前や菅はダイナミックな動きで試合に絡めていました。その積極性が仇になった部分はあるけど、プレーそのものは目を引くものがあったので、経験を積むと面白い選手になると思います。今日が公式戦初出場となった藤村は先月二種登録されたばかり。東京の守備陣がほぼ主力を配してきましたから、日本代表クラスの守備の技術と圧力とスピードを体感するとても良い機会になったと思います。チームとして、シュート、CKともにゼロとなったスタッツは残念だったと思いますけど、若手は試合に出ることでつかむことはものが必ずあると思います。

東京がSBを除いて守備陣をターンオーバーしなかった理由は、思い通りの守備がようやくできるようになってきているので、一気にチームディフェンスを作り上げる意図なのだろうと思います。このあたりにも、今の東京が守備を重視しているところが伺えます。今日のように、攻撃と上手く連携した守備ができるようになると、もっと試合が安定しますし、次のステップとしての攻撃の改善にも効果があると思います。前半はリードのまま終了。

後半も東京がオーガナイズする状況は変わりません。ボールを動かしながら札幌を自陣に押し込め、前半よりもいっそうハーフコートマッチのような展開になります。

じっくり構えて耐えていた四方田さんが動きます。一気に二枚代えです。藤村に代えてキム・ミンテを投入します。菅に代えて福森を投入します。同時にシフトを本来の5-1-2-2に変更します。アンカーは横山。IHは右にミンテ左に前。福森は左WB。伸二がトップに上がります。これで中盤にパワーが加わります。前半はクリーン過ぎると感じるほどコンタクトの少ない展開でした。ミンテは、多少強引にでも攻守の基点になることがミッションだったと思います。

それから福森が加わって、セットプレーの可能性が広がります。インプレーでも正確なロングフィードが加わります。札幌は、短いパスは丁寧につむげるけど、例えばサイドチェンジのような長いフィードにミスが目立ちました。風の影響もあったと思います。福森投入でこのあたりの改善をはかったのでしょう。

そして篠田さんが動きます。永井に代えて建英をトップ下に投入します。拓馬が右WGに回ります。建英のJ1デビューとなりました。建英は割合、静かにプレーする印象がありますので、注目度の高いデビュー戦とは言え、落ち着いているように見えました。しっかり技術の高さを表現していましたし、シュートアテンプトもありました。テストとは言えFKも蹴ることができましたから、見せ場を作れたのではないかと思います。J1トップクラスのDFを前にクオリティの高さを見せることができるか、はやく観てみたいと思いました。

篠田さんが続けます。翔哉に代えて慶悟を同じく左WGに投入します。翔哉のコンディションを考慮したのだと思います。それから、翔哉のプレーポジションが建英と少しかぶるので、建英のテストという意味でも周囲の選手の役割を整理したかったのだと思います。

同時に四方田さんが動きます。永坂に代えて荒野を左IHに投入します。左CBには福森が下がります。前が右WB、石井が左WBにそれぞれ回ります。これで中盤は主力に近い布陣になりました。

さらに四方田さんが動きます。ミンテを最前線に上げ、パワープレーに入ります。札幌の中盤は、シフトも布陣もとてもフレキシブルです。そういう選手を集めているのでしょうけど、使いかたもマルチロールをこなせるように配慮しているのだと思います。

最終盤はさすがに東京は逃げ切りモードに入り、リトリートスタイルに移行します。攻撃はほぼ、ウタカと建英に任せます。そして篠田さんが〆にかかります。拓馬に代えてバーンズを同じく右WGに投入します。ロングカウンターに備えた作戦だと思います。

このまま試合終了。東京1-0札幌。眠らない街♪We Are TOKYO♪永井と建英のシュワッチ

カップ戦にはいろいろエクスキューズが付きますので、結構マネジメントが難しいと思います。建英のデビューを演出しつつ、きっちり試合を仕上げて、おまけに勝ち点3まで獲得したのですから、ロースコアでしたけど今日は上々の結果でした。できれば今日のように安心して観ていられる試合を増やしてほしいところです。

これでグループAでは、一試合消化が少ない状況で首位仙台との勝ち点差は3と射程圏になりました。公式戦の連勝は今年三回目。守備陣に主力が入った状況では三試合連続の完封勝利です。安定感が出てきていると思います。五月は試合が立て込みますけど、この安定感を武器に、逆に波に乗っていってほしいと思います。

次はゴールデンウイーク最終日。たまとの再会が楽しみです。