ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015J1リーグ2ndステージ第9節清水エスパルスvsFC東京@アイスタ20150829

2015-08-30 12:15:22 | サッカー

夏の終わり。

8月とは思えない気温が続く、夏休み最後の週末です。

ここのところ週2くらいで乗ってる気がする東海道新幹線に乗ってやってまいりましたのは、清水でございます。

パルちゃんとピカルちゃんのパフォーマンス

8月の終わりは台風の影響で低気圧が停滞してるらしく、雨が続きます。週末も雨予報で覚悟してたら、雨は午前中に上がったようです。毎年のように静岡に来てるのに観光してなくて、今年はどっか行こうかと思ってたのですけど、天気予報を見てやめました。ホントは飲みすぎですけど。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

おかえりなさい。相太のチャント♪宏介のチャント♪

リアリスティックに臨む清水の、縦に急ぐ圧力に一度だけ屈しましたけど、復帰した宏介のFKでからくも勝ち点1を獲得しました。

東京は宏介がスタートスコッドに復帰。相太も1年ぶりに名を連ねます。シフトは今日も4-3-1-2。GKは達也。CBはモリゲとまる。SBは徳永と宏介のコンビが復活です。3CHは右からヨネ、秀人、羽生。トップ下は河野。2トップは遼一とバーンズです。

今月から田坂さんが指揮をとっている清水は、いよいよ残留に向け楽観的なことは言えない状況だと思います。どんなサッカーで臨むのか、楽しみにしていました。シフトはスクエアな4-4-2。布陣を少し工夫しています。大エース元紀が外れました。GKは杉山。CBは今日は平岡が戻って角田と組みます。SBは右に今日は六平左にヨン・ア・ピンが回ります。ボランチは不動の本拓と枝村。メイヤは右に白崎左にミッチェル・デューク。2トップは同じく新加入のチョン・テセと今日はピーター・ウタカが入ります。

田坂清水の特長を確認します。一番の特長はカウンタースタイルの攻撃にあると思いますけど、現状を考えると、やはり田坂さんは守備の構築を意識していると思います。

2013年のプレーオフ決勝を観ただけですので、田坂さんのサッカーはほぼ初見です。もっとフォアチェックをかける昇格モデルのサッカーをするかと思っていたのですけど、そうではありませんでした。むしろ守備の仕組みは、攻撃面での特長を活かす選択をしているような気がします。清水の守備シフトは4+4+2の3ラインです。中盤はボックスですので、ラインというより網という印象です。守備シフトがオーソドックスですから、守備のシステムもオーソドックスです。

まず2トップが中央のボールフォルダーを追い、ボールを外に出します。もともと東京はSBに入れて基点を作りますから、攻防のポイントは自然にサイドに移ります。SBに入ると初めてプレスをかけます。これはメイヤが担います。トランジションを積極的に狙うプレスというよりも、攻撃リズムを作らせない意図のような気がします。縦コースを消された東京はサイドを変えて再チャレンジします。清水の対応は、縦に向けてはコンパクトですけど横はワイドにという考えかたのようです。サイドチェンジに対しては、そのまま守備網をスライドさせます。ファーストディフェンスとなるメイヤのカバー力が求められます。その役として、白崎とデュークは良く走っていました。

サイドで基点を作らせない意図は、東京の縦へのスピードアップを抑止することにあります。遼一+バーンズ+河野のセットの東京は、まず遼一もしくはバーンズに納めることで重心を持ち上げることを目指します。トップへの起点は基本的にはCBか秀人ですけど、パスコースを作る過程で重要な役割を果たすのがサイドの基点です。名古屋も清水と同じような守りかたでした。いまの東京対策の基本その1は、基点を作りたい東京に対し、それを作らせないポジションセットの素早さ、つまり運動量にあるのだと思います。白崎とデュークは忠実に実行します。

それでも東京は、遼一とバーンズが今日の変わらず個の力の差を見せて、ポストをしっかりと受けます。時間を作るだけでなく前を向いてチャンスメークまで一人でこなします。清水の、というか比較材料として名古屋も同様でしたけど、東京対策その2は最終ラインです。遼一とバーンズに対し、ダブル、ときにはトリプルチームで対処します。これは遼一とバーンズに対する意図はそれぞれ異なると思います。遼一は、遼一を囲むことで周囲との連携を断つこと。遼一は囲まれると前を向いてボールを保持しようとします。この時に独特のリズムとボールタッチを使います。時々見られるのですけど、遼一のキープのリズムに周囲が合わせきれないことがあります。

バーンズは、より高い位置で仕掛けを狙います。なのでバーンズを囲む意図は、シュートの予防です。バーンズも遼一同様にボールを持てますけど、基本的にフィニッシャーであるバーンズが基点となる流れでは、ゴール前がタイトになっていることが多く、結果、攻撃権を繋げたとしても外に出さざるを得ない状況が頻繁に見られます。

今日に限っては、なので遼一とバーンズを活かす効果的なフォローアップの動きが十分にできなかったことが、攻撃の停滞感を生みます。むしろ清水がそれをさせなかったと言ったほうが良いと思います。そこで東京対策その3。これも名古屋で見られたことですけど、最終局面での最終ライン、とくに角田の集中力です。遼一もバーンズも、どんなに囲んでもビッグチャンスを作り出す力量を持っています。そこで最後の一足を伸ばせるのが、清水では角田であり名古屋の闘莉王なのでしょう。川崎での角田も同様に、フレキシブルな攻撃面が強調されるなか異質なパワーを期待されたのだと思いますけど、やはり角田は清水のような状況が合っていると思います。

さて、清水の攻撃について。前線の布陣をいろいろ試している田坂さんです。今日もある意味テストでしょう。これまでのテストで見えてきたのが、テセと白崎とデュークの確定。そうすると元紀かウタカかとなります。選択基準はおそらく明確で、時間かスピードか、です。今日はスピードをチョイスしました。

清水は攻撃もサイド加重です。元紀がいないので、余計強調されていたと思います。元紀の複雑で細やかなポジション移動が無いので、攻撃が非常にシンプルです。まずメイヤに預けます。白崎を基点する比重が高かったと思います。これはデュークのほうがよりスピードを活かせ、シュートがあるからだと思います。つまり右で作って左で仕掛けるパターン。時折白崎とデュークがポジションを入れ替えますけど、オリジナルポジションのほうが機能していると思います。白崎のポジションの狙いは、もちろん常套の宏介と羽生の間。白崎には技術があってボールを持てます。仕掛けを六平のオーバーラップに託すことができます。左は、攻撃時に縦関係となってバイタルエリアをスウィープする枝村から出たパスで抜け出したデュークから、中央にシンプルなクロスが送られます。もしくは上がり目のヨン・ア・ピンからのアーリークロス。飛び込むのはニアにウタカ、ファアにテセ。

ただ、清水が最も期待していたのは、サイドというよりもロングカウンターだと思います。後方の3人、角田、平岡、本拓は、常に縦に入れられる機会を伺います。前線では、ウタカとテセが前後左右にポジションを変えながら良い形で受けられる体勢を作ります。フリーで受けられるチャンスが来たら、出し手は足元に渡します。ポスト役はダイレクトで前方にはたき、そこにアタッカーが抜け出すパターンを何度か狙っていました。

なので、プランの成否で言うと、清水がやりたい形を実現できていたと思います。次第に試合は、清水の縦攻撃に粘り強く耐える東京という図式になります。前半はスコアレスのまま終了。

後半も試合の流れは変わりません。ウタカにしろテセにしろ、あるいはデュークにしろ、スピードだけでなくパワフルでもあるのでやっかりだと思っていたのですけど、如何せん攻撃パターンがシンプル過ぎるので、東京の守備網であれば経過とともに慣れるなと思っていました。真夏とは思えない涼しさではあったのですけど、白崎とデュークのエネルギーも長くは持たないだろうとも思っていました。

そろそろ安心できるかなと思っていたら、突然ゴールが生まれました。

50分。清水のカウンター。左サイドでボールを持ったデュークがその外を回ってオーバーラップするウタカに預けます。清水は一気にスピードに乗ります。ウタカには徳永が付きます。デュークもそのままフォローで上がり、ヨネが見ています。中央にはこの時枝村がいます。両CBは落ち着いて状況を見ています。ただこの時、右ワイドにテセがフリーでいました。ドリブルしながらパスコースを見ていたウタカは、前方に枝村が入ったのを見てパス。枝村はスピードを殺さず、そのまま上がってきたデュークが裏に抜け出すパスを出しますけど、これはモリゲがカット。ところがデュークの縦への圧力が勝ります。モリゲのカットはデュークに当たり、こぼれたボールがウタカに渡ります。この試合の清水の想いを象徴するようなシーンでした。このプレーが試合の趨勢を決めたと思います。ウタカは右足トラップで整え、丁寧に右足でゴール右隅を狙います。このシュートは達也が弾きますけど、ボールが転がったのは宏介ではなくテセの前でした。テセは丁寧に左足で流し込みました。テセは清水加入後初ゴールです。清水1-0東京。

これを受け、ミステルが動きます。河野に代えて翔哉を投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。メイヤは羽生が右翔哉が左です。遼一とバーンズを分断されていたので、トップ下が機能していませんでした。それからサイドの守備の数的不利を解消する意図だと思います。

続けてミステルが動きます。羽生に代えて拳人を同じ右メイヤに投入します。これ自体は羽生のコンディションの考慮と拳人の犬ポジに期待したのだと思いますけど、機能します。攻撃時に左右に明確に人数をはれるようになったので、アタッキングサード手前で基点が作れるようになりました。前への推進力ができるので、ヨネと秀人も中央でつるべの動きができる、人数をかけた攻撃ができるようになります。

同時に清水が攻撃を沈静化します。縦へのダイナミックな動きが無くなります。リードしたので当然のことだと思いますけど、この時間になってようやく東京がイニシアチブを握ります。

そこでミステルが動きます。バーンズに代えて相太をトップに投入します。昨年の第21節浦和戦以来となる、1年ぶりの出場です。ホントにおかえりなさい相太。この狙いは、今日は相太に代わったことになりましたけど、サンダサと同じです。遼一とダブル基点となり、裏へ抜け出す動きを活性化させる意図だと思います。

この作戦の成果と相太の復調を確認する前に、もう一人のおかえりなさいのあの男が、窮地にいつも救世主として舞い降りてくれるあの男が、魅せてくれます。

70分。翔哉が枝村に倒されて得た、ペナルティエリアやや右寄りのFK。絶好のいわゆる左足マジックゾーン。宏介スポットです。宏介は壁の上を超え急激に落ちるシュートをゴール右隅に決めました。ゴラッソ。清水1-1東京。

宏介の不在は、東京の攻撃の選択肢を大きく狭めてしまいます。組み立てもさることながら、やっぱりセットプレー。この神FKだけでなく、今日もバーンズやモリゲの惜しいショットに繋がったピンポイントクロスがありました。かなり無理をした強行出場だったと思いますけど、勝ち点1を持って帰れたのは、今日ばかりは宏介のおかげです。

相太は、離脱する直前の好調期のイメージをそのまま保持して戻ってきてくれました。前線で体をはって基点になれていましたし、つぶれ役というよりもボールを保持して前を向き、チャンスメークできていました。不安が無いはずがないのにコンタクトも辞さず、投入直後から存在感にあふれていました。ようやく戦線に復帰できましたから、次ははやく、相太のためにもゴールを魅せてほしいです。相太のゴールは、ナオとはまた別の、彼らにしか為せない独特の雰囲気をサポーターに作り出してくれます。これもまた、プロの仕事だと思います。

相太が入っていてくれてよかったのは、この時間に遼一が、癒えてない目元の傷が開き、止血のためしばらくピッチを離れていたことです。前線に基点が残っていたので、イニシアチブを明け渡すことはありません。ただ遼一は心配です。縫合していないのかな。

ここで田坂さんがようやく動きます。白崎に代えて元紀を左メイヤに投入します。デュークが右に回ります。スピード感が無くなっていたので、前線に時間を作れる選手を置く意図だと思います。もしかすると、今後の元紀の使い方はこんな形になるかもしれませんね。この作戦の影響かはわかりませんけど、終盤に来て試合がオープンになります。清水のカウンターがよみがえります。今日は勝ち点3をもぎ取りたい意識が強かったでしょうから致し方ないのですけど、ここのところ終盤にオープンファイトになることが多いので、ちょっと気になる部分ではあります。

さらに田坂さんが動きます。枝村に代えて竹内を同じボランチに投入します。枝村は前半から攻守に動きまわっていたので、コンディションを考慮したのでしょう。少なくとも今日ピッチに出た選手からは、大榎体制のときにあった緩さをまったく感じませんでした。角田の加入は大きいと思いますけど、中央にいる本拓と枝村の闘志が、少なくとも試合をきちんと成立させる力をチームに与えていると思います。

その清水に、最終盤にアクシデントが起こります。ヨン・ア・ピンが負傷で下がります。代わって鎌田が左SBに入ります。ヨン・ア・ピンのマルチタレントぶりにはあらためて驚愕しますし、ヨン・ア・ピンが不在となるとヤコヴィッチ以上に難題となると思いますので、軽症であることを祈ります。

互いに勝ち点3を求めあう熱い試合になりました。両チームともこれ以上の成果は得られず、このまま試合終了。清水1-1東京。

そもそも自分は、Jリーグ以前の、サッカーが限られたエリアで発達してきた時代を知らない新参者なので、清水という土地のサッカー感にもの凄く興味があります。サッカーは多様性を持つスポーツなので価値観も多様であるべきです。いっぽうで伝統を大切にすることもまた、伝統を持っている土地にしかできないことなので、大切なことだと思います。田坂さんが持ち込んだサッカーはリアリスティックです。清水のひと達がどう受け止めるのか気になっているのですけど、いまはとにかく、今年の目標を達成しないことにはずっと保持してきたJ1の地位を失ってしまうので、迷うことなく同調していくべきでしょう。

鹿島の勢いが止まらず、2ndの勝ち点が7に開きました。年間勝ち点でも追い上げが急でそろそろ気になります。5戦負け無しでなんとかくらいついていますけど、昨年はこの時期から失速しましたから、ここが踏ん張り処かもしれません。怪我人も戻ってきていて選択肢が増えていますから、もう一度攻撃の組み立てを再整理して臨んでほしいと思います。

いよいよ晩夏から秋に向かいます。実りの秋を期待しましょう。


2015J1リーグ2ndステージ第8節名古屋グランパスvsFC東京@豊田20150822

2015-08-23 13:00:19 | サッカー

お盆の頃から、それまでの異様な暑さが急に過ぎ、過ごしやすくなったねと口々にあがるようになりましたら、人の想いとはうらはらに、確かな足取りで秋はやってきます。

ひさかたぶりに小平に参りましたら、赤とんぼ。

お盆あけは東海アウェイ連戦でございます。まずは名古屋。私ごとですけど、名古屋は唯一遠征感の無い土地です。

とは言え、実ははじめての豊田。奇妙な幾何学模様の豊田大橋の先に。

豊田スタジアムでございます。

コンクリートの上に鉄板を乗せたような形状は、ちょっと違和感がありますね。蛇腹状の屋根はいらないんじゃないでしょうか。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

権田、宏介、梶山、ナオのみならず、モリゲもサスペンションで不在の手負い東京は、現状ベストメンバーに長期離脱者が戻りつつある名古屋にスコアレスドローで、勝ち点1を獲得しました。

東京は前述のとおりモリゲを欠きます。シフトは前節と同じ4-3-1-2。GKは榎本。今日のCBはまるとカズ。SBは陸と徳永。3CHは右から羽生、秀人、ヨネ。トップ下は河野。2トップは遼一とバーンズです。

名古屋は現状でのベストメンバーです。シフトは3-4-1-2。GKは楢崎。3CBは右から竹内、闘莉王、本多。ボランチは磯村と旭。WBは右に貴章左に佳純。トップ下は小屋松。2トップは堅碁と永井です。

今日の試合の象徴は、河野と永井です。

木曜日に小平を見学しました。戦術トレーニングで、トップ下の使い方に繰り返し取り組んでいたのが印象的でした。大まかに言うと2パターン。バイタルエリアで河野を基点に使うパターンと、サイドでSBのフォローに使うパターンです。つまり中央突破かサイドアタックです。

加えてサイドチェンジにも取り組んでいたので、スペースギャップの作りかたとしては、基本はサイドに可能性を見出そうという主旨ではないかと思います。宏介不在の影響は計り知れないですから、技術ギャップでねじ伏せるというよりも、コレクティブではやい攻めに活路を見出そうということだと思います。

序盤の東京は、これが機能します。東京はまるにボールを集めます。徳永を左に持ってきてまでの布陣ですから、陸に攻撃の起点としての期待が集まるのは必定。いきなりのエースの扱いにプレッシャーはあると思いますけど、陸は試合を重ねるごとにフィットしてきました。まだ守備での痛いミスと、意図の無いホスピタルなプレーが散見されますけど、違いを生み出す機会は増えています。

さらに、徳永が左に入ることで、左に基点が出来るのが新布陣のメリットです。一度徳永に預けて守備網を片寄せさせ、まるに戻してから一気に陸を走らせる。

と、ここまではまだ河野は登場しません。前半は、攻撃では河野は居場所を探していた印象です。バイタルエリアを幅いっぱいに浮遊してビルドアップに絡もうとしますけど、後方の意図が縦に早くだったので、河野を経由せず直接トップに届けていました。これは遼一とバーンズにボールが収まるので、河野に基点ではなくセカンドアタッカーを担って欲しいというメッセージだったと思います。

加えて、もしかすると想定以上に名古屋を押し込めていたので、トップ下のポジション自体が無かったことも理由としてあげられると思います。今日のヨネと羽生は、秀人の前で二人とも内に絞っていました。実質ヨネと羽生でバイタルエリアをまかなえていました。なので河野は、あえて消える選択をしたのでしょう。

前半の河野は、むしろ守備で目立ちました。名古屋はとてもシンプルなプリンシパルで臨むチームになっています。名古屋のストロングポイントは、なんと言ってもスピードです。西野さん自身の好みや主題はけしてスピードではないと思います。レアンドロ・ドミンゲスやノヴァコヴィッチを組み込んだことが表現していると思います。

ところが、意に反してか偶然か、名古屋には傑出したスピードマンが揃っています。永井は言わずもがな、堅碁、小屋松、貴章と走らせたら厄介なメンバーがズラリと名を揃えます。レアンドロの離脱とノヴァコヴィッチのフィット不足を受け、西野さんは割り切ったのでしょう。おそらくスピード以外にプランの幅はありませんから、つまりスピードマンと心中する覚悟だと思います。

名古屋のスピードを活かす攻撃パターンは、基本的にはサイドです。左右でやり方が異なります。佳純は基点です。佳純に預けて永井を走らせるパターン。一方貴章は、単独で預かってから独力突破を担います。

前半の名古屋で興味深いのは、小屋松のポジショニングです。序盤の小屋松は右サイドに寄っていました。なので一見すると3トップのように見えます。名古屋は守備時には1トップ2シャドウになりますから、実際に3トップで臨んだのかもしれません。左は佳純が基点になれますから、貴章を走らせるための収め処としての右小屋松かもしれません。20分を過ぎるころ、小屋松は左に寄ります。もともとサイドで数的不利になりやすい東京ですから、陸の裏を狙って基点の人数をかけようとしたのでしょう。

名古屋の中盤は鹿島に似ている役割分担です。磯村と旭は縦に並びます。小屋松がプレーエリアを限定している分、旭が中央を広範囲にカバーします。攻撃では前目の基点として、守備ではフォアチェッカーとして、名古屋の肝臓として働きます。

磯村は扇の要に位置し、攻撃ルートを定めるアンカーです。名古屋はボランチの主力が相次いで離脱する不運に見舞われました。ダニルソンは復帰が近いようですけど、田口はまだ不在。磯村と旭には重責がかかりますけど、チームとして闘い方を割り切れたことで、ボランチのタスクも整理できたのかもしれません。今日見た限りでは、十分にフィットしています。

名古屋の攻撃のもうひとつの特長は、闘莉王の存在です。名古屋はスピードを基軸にするチームですけど、急ぎません。4人のスピードマンを活かすタイミングを作るのが、後方7人の仕事です。この時間をコントロールするコンダクターが闘莉王です。闘莉王は中央を優先します。堅碁に入れられる時は、中盤を飛ばしてトップにつけます。永井と小屋松が裏に抜け出し易い形をクイックに作るためです。それから永井が繰り返し裏を狙う動きを見せますので、長いボールをつけます。このパターンが成立しない状況だと、磯村に預けてビルドアップに入ります。名古屋をチームとして形作るために、今でも闘莉王は不可欠なんだなと実感しました。

東京も名古屋も、互いにコンパクトな陣形を保ちますので、小気味よく展開します。守備の仕組みはかなり異なります。東京がフォアチェックからのアグレッシブな守備を旨とするのに対し、名古屋はリトリートスタイルです。攻撃を急がないことと、起点が闘莉王というのに由来すると思います。名古屋を支えるのは守備だと思います。とくに3CB。スピード系がいるわけではないですけど、1on1のコンタクトの強さと局面の集中力はやはり際立っています。遼一とバーンズが何とか裏を取れても、最後のところで足が出てきます。

次第に東京は、そんなわけで前線で基点を作れなくなります。名古屋にイニシアチブが渡ります。1stの東京は、こうなると自陣に閉じこもるのですけど、今は違います。中盤で踏ん張ります。その原動力になっているのが河野です。河野が前線でスウィープしてくれるので、名古屋の攻撃をディレイさせることができます。佳純や旭に渡ったときには、すでに永井や堅碁が活きるタイミングはありません。

前半の大きなピンチは、カズと陸のミスによる永井の抜け出しでしたけど、達也のビッグセーブで事なきを得ました。ガンバ戦も同様に、達也はとっても安定しています。さすが謙虚な探求の積み重ねの成果。こうなることを予見していたわけでは無いと思いますけど、今年一番の補強は達也なんじゃないかと思います。権田のメンターを含め、チームに大きなプラスをもたらしている気がします。

30分を過ぎると、名古屋は今度はシンプルに永井を走らせるようになります。言い換えると、名古屋も少しずつ手詰まり感があったのかもしれません。前半はほぼイーブンなるも名古屋にイニシアチブを握られて、スコアレスで終了。

後半頭からミステルがアジャストします。河野の使い方をBプランに変更します。河野はバイタルエリアを浮遊して基点になります。サイドを意識させられ続けた影響でしょうか。名古屋はバイタルエリアにスペースが出来ていました。なのでこのアジャストがはまります。河野を経由して前線にパスが供給されます。振り返ると、東京が勝つならこの時間だったと思います。河野が抜け出たビッグチャンスをものにしていれば、内容、結果とも問答無用て河野がヒーローになったのですけど。

そこで西野さんが動きます。二枚同時代えです。小屋松に代えておかえりなさいのレアンドロ・ドミンゲスをトップ下。堅碁に代えてノヴァコヴィッチをトップに投入します。というわけで、名古屋もモードチェンジをはかります。レアンドロを明確な基点にし、ボールを集めます。レアンドロのポジショニングで攻撃ルートとパターンが決まります。加えてセットプレーの威力が増します。

ノヴァコヴィッチには基点としての期待と、もちろんセットプレーでの高さもあるでしょうけど、実際の貢献は潰れ役でした。レアンドロにボールが収まることと、ノヴァコヴィッチがまるとカズを引きつけることで、永井がフリーになりはじめます。

そして、以降はオープンファイトの時間になります。この事は、行って来いのスピードでは東京を圧倒する優位性を持つ名古屋がイニシアチブを取り戻す要因になりますけど、皮肉なことに、名古屋のストロングポイントを弱める効果も裏腹に持ち合わせていました。

つまり名古屋の生命線は、スピードマンの枚数であって、けしてクオリティではないということです。クオリティとはシュートの質。4人のスピードマンのうち二人を一気に失った名古屋は、永井に完全に特化したチームに変容しました。おそらく西野さんはわかっていたと思います。小屋松が消され、堅碁にもまるとカズが慣れてきていたので、打開するために永井をより活かそうとしたのでしょう。それに加えて、クリンチのときの攻め手としてのセットプレー。

実際、永井の再三の抜け出しと闘莉王のCKが決まっていれば、西野さんの選択は大成功となりますから、勝負の綾は紙一重ですね。

さてミステルが動きます。バーンズに代えてサンダサを同じくトップに投入します。バーンズのコンディションを考慮したのだと思います。

続けざまにミステルが動きます。河野に代えて翔哉を同じトップ下に投入します。河野を基点にするモードは10分も持ちませんでした。河野のHPに限界があるのは承知の上なので、後半頭に勝負をかけたのでしょう。河野が消えはじめていたので、この作戦変更は順目だと思います。

この先はオープンファイトをどう捉えるかが分岐点になると思いました。名古屋は自ら仕掛けてオープンファイトに持ち込んだのですから継続するだけ。キャスティングボードを握るのは、なのでミステルです。スペースで活きるたまや拳人の投入があると思いました。あるいは試合を落ち着かせるために4-4-2にするか。

ミステルの選択はそのいずれも該当せず、ステイでした。モリゲ不在の影響を最終盤に感じたのかもしれません。まるとカズが流れに乗れていたので、波風を立てるリスクを回避したのでしょうか。実質この時点で勝ち点1を取りに行ったと思います。

なので、プレッシャーは勝たなければならない名古屋にかかります。西野さんが動きます。佳純に代えて輝希を同じく左WBに投入します。パワーを加えて絶対的なイニシアチブを持とうという意図でしょう。

軍配は、なので地味ですけどミステルに上がります。残したのが永井ではなく堅碁だったらとちょっと思いました。ここまま試合終了。名古屋0-0東京。

河野と永井。今日を象徴する二人の彼我を結局分けなかったのは、文字通り決定力でした。

エンターテイメントとしては地味でしたけど、キャプテン不在という難局を乗り切ることができました。見ていてやっぱりコーチングの数はモリゲがいるといないとでは大きな隔たりがあります。頑張らなきゃいけないときに叱咤できるモリゲの存在はホントにありがたいです。それでも今日は、今日だけはキャプテンをがっかりさせまいとみんなでフォローしようという気持ちが伝わってきました。とくにヨネが積極的に声をかけていたのが印象的でした。

真夏のロードもあとひと試合。戦力的な危うさは付きまといますけど、チーム全員で乗り切ってほしいと思います。


2015J1リーグ2ndステージ第7節FC東京vsガンバ大阪@味スタ20150816

2015-08-17 18:10:42 | サッカー

本エントリーは未成年者のかたは閲覧をご遠慮願います(^^;;。

なぜかと言うと、北陸信越旅の締め括りは、酒どころ新潟。ぽんしゅ館新潟駅店です。

100種以上の蔵元 のブランドが並んでいて壮観です。開店と同時にお客さんがいっぱいでびっくりしました。

新潟でひさびさに素敵なお酒に出会えました。真野鶴大吟生。こういうふくよかなお酒は個性が強いので、お酒だけで楽しんだほうがいいのかも。夏限定ですのでお早めに。

旅のおわりは、ホームに帰ってきました。

味スタはお祭りの様相で、浴衣のかたもいっぱいいらしてて、おまけにお客さんもいっぱいお見えで、楽しかったです。いっぱい過ぎて結局なんにも食べられなかったけどw。

先日秀人にお子さんが産まれたそうです。おめでとうございます。

お祭りに相応しい素敵な試合を一緒に作ってくれるのは、ガンバ大阪。今年初戦以来の対戦です。そういえばあの日も大雨でしたね。

オールスタープロチアリーダーズfeat.ドロンパ&パッチョ

本日のYou’ll Never Walk Alone♪

主力が離脱したエクスキューズがありながら、それを感じさせないチームとしてのクオリティで、今年もガンバに味スタ勝利を許しませんでした。

東京は、守護神権田が長期離脱を余儀なくされます。さらに宏介がついに蓄積した負担に体が悲鳴をあげたようです。復帰した慶悟もふたたび様子を見る状況のようです。なのでシフトは、懐かしの4-3-1-2。GKは榎本。CBはモリゲとまる。SBは右に陸左に徳永。3CHは右から羽生、秀人、ヨネ。トップ下は河野。2トップはバーンズと遼一です。

ガンバは主力がほぼ揃っていますので、今日のスコッドの選択は作戦の幅のうちです。シフトは4-2-3-1。GKは東口。CBは丹羽と岩下。今日のSBは右に米倉左に藤春。ボランチはヤットと今野。WGは右に阿部左に宇佐美。トップ下は秋。1トップはパトリックです。

とても興味深かったのは宇佐美のポジションですね。もともと宇佐美は左サイドを好みますけど、ガンバでの宇佐美は制約が無いなかで活きるアクセントですから、サイドプレイヤー独特の役割のなかでコレクティブに機能するのか、注目でした。

昨年のガンバは、前線からのハードチェックを基調とした、カウンターも含めた幅の広い守備から入る攻撃が特長でした。最終的な戴冠はもちろんそれだけではないチームとしての総合的なクオリティの高さ故でしょうけど、ガンバに足りなかったピースとして、守備の仕組みがはまったことは間違いないでしょう。

ひさしぶりに観たガンバは、ずいぶん様相が変わっていました。中盤から後ろのタイトコンタクトは相変わらずキビしいですけど、前線のチェックがまったく無く、守備網を維持することを優先する守りかたになっているようです。理由はよくわかりませんけど、観た印象ではずいぶん迫力が無くなったなと思いました。

それに伴って攻撃パターンもカウンターが無くなっています。パトリックのスピードを活かしたはやい流れのなかで、トップスピードの状態からでもコントロールショットを打てるテクニシャン揃いのタレント豊富なアタッカー陣は、それまでのガンバのイメージとは違いましたけど、むしろカウンターほうが特長が活きるのかなと思っていましたし、実際結果を残しましたし。

今のガンバは、極端なビルドアップスタイルですね。ロングボール、とくにフィード系のパスは一切と言っていいほど見られません。ということは、前線のスペースメイクとアイデア、出し手の選択の意外性がポイントになります。ようするに、心身のコンディションとコンビネーション次第です。

さて今日のセットの役割は、パトリックは最前線の基点。宇佐美は左サイドの上下動でアクセント。阿部はパトリックのフォロー。なので、この三人は攻撃のダイナミズムのなかでは比較的固定されています。なので、間を埋める役、つまり横幅をカバーする役は秋だけになります。

今日は4-2-3-1ですけど、通常ガンバは4-4-2のシフトの印象が強いです。いずれにしろガンバのサイドハーフは内に絞り、バイタルエリアで基点、あるいはアクセントを担います。同時にSBの攻撃参加を促すことを意図します。今日も阿部、宇佐美ともなかに入ります。秋を含めバイタルエリアの選択肢が多いですから、ここまではボールを運べます。ここまでは。ただ、その先がパトリックひとりとなるため、ペナルティエリアへの有効な進入ができません。このためガンバの攻撃はサイドアタックに偏ります。

もともとガンバは、藤春、米倉、オ・ジェソクと有能なサイドアタッカーを揃えていますからサイド基調なチームですけど、好調時のそれは、中央での2トップとメイヤ、プラス1の流動的なスペースメイクがあって、サイドがより脅威となります。

プラス1とは、言わずもがなヤットです。今日のヤットのポジショニングは、ガンバの攻撃の有効性を体現していてとても興味深かったです。ヤットははじめ、中央付近の上下動で何度か前線に顔を出していました。この間は、ヤット独特のエロいパスあるいはキープを起点として、ガンバが東京ゴールに迫ります。ところが10分を過ぎるとヤットは、中盤の底に淀みます。このことが、ガンバのパス回しの重心を下げる主因となっていました。なぜヤットは下がったのか。

ヤットのことですから、この動きはヤット自身の感覚による能動的な選択だろうとは思います。だから自分はヤットが大好きで、リスペクトします。ヤットの感覚を共感できるほどのサッカー読解力は自分にはありませんけど、目視した限りのいくつかの理由をあげてみます。攻撃面では、パトリックにボールが収まらないので有効なパス回しができていなかったこと。宇佐美の役割がシューターなのかチャンスメーカーなのかはっきりしていなかったので、攻撃ルートが限定されていたこと。守備網が想定以上に強固で、有効なスペースメイクが望めそうになかったこと。守備面では、遼一とバーンズのポストが想定以上に強力で、岩下+丹羽+今野だけでは不安に感じたこと。おそらくこの守備面の危機感が一番の理由なのではないかと思います。

遼一とバーンズのセットをスタートから見たのは、甲府戦に参戦していないのではじめてです。どうやら今日は、遼一が真ん中で基点となってバーンズを活かす、バーンズで勝負するイメージだったような気がします。今日の東京は、極端に言うとこの二人だけでチャンスメークできていました。まず遼一は、ますますポストが安定しています。中途半端な高さのボールもいとも簡単にふところに収めます。体を使ったDFとボールの距離の置き方が絶妙で、無理矢理でもない限り遼一からボールを奪えません。

そしてバーンズ。ちょっと見ない間に劇的にフィットしましたね。東京のサッカーに馴染んだというよりかは、本来の体のキレがここに来て戻ってきたのでしょう。バーンズに預ければ、二、三人に囲まれていてもゴリゴリと抜け出てくれることがわかってきたので、仲間も信頼してバーンズにパスを預けられます。バーンズのほうも、味方のパスのタイミング、強度などの癖を体に染み込ませる作業が整ってきたのだと思います。

なので、東京のアタックに、中断前にはか弱かったワクワク感がはっきりと感じられるようになりました。ガンバの停滞に相反するように、東京の攻撃は預け先が明快ですから、縦への推進力があります。まだまだ遼一を軸にした連携パターンは不十分です。もっと多様化できると様々な相手や状況への対応力も増すと思います。今日は不在でしたけど、左サイドのエリアを使える慶悟が入れば、もっともっと可能性は広がるように感じました。

ガンバ戦とは思えないほど明確にイニシアチブを握った時間帯に、理想的な先制ゴールが生まれます。

15分。河野からの縦パスをアタッキングサード右寄りにいた羽生が受けます。羽生はダイレクトでライン際を上がるバーンズに落とします。ガンバ陣深くで受けたバーンズがゴールに向きます。マッチアップは藤春。ガンバゴール前は岩下、丹羽、米倉が揃っています。今野とヤットがフォローで戻ってます。その二人よりも早く、アグレッシブに走る選手が二人。羽生と三列目からヨネです。バーンズは右足の跨ぎフェイント2発で藤春を止め、右に持ち出しルックアップ。この時ゴール前は、ガンバは5枚いますけど全員がボールを見ています。なのでスルスルっと上がるヨネと羽生に気付いていません。バーンズはマイナスのクロスをヨネに送ります。ヨネは右足ダイレクトで合わせました。東京1-0ガンバ。

3CHの攻撃面での効用は、二列目三列目からの攻撃参加です。これまでヨネは、バイタルエリアでの基点となるところまでは参加できていましたけど、ゴール前の絡みはあまり出来ていませんでした。バーンズのフィットでついに完成の目処がついてきたのかもしれません。

大変申し訳ございません。バーンズを過小評価していたかもしれません。ルーカスの安定感とネマニャンのワクワク感を足して2で割ったような雰囲気がバーンズにはあります。ロートルのビッグネームの獲得ニュースが冬の風物詩のようになってきましたけど、錆び付いたフィジカルとテクニックより、旬のピチピチしたパフォーマンスのほうが100倍価値があることをバーンズは教えてくれるかもしれませんね。ルックスもかっこいいし。

先制されたヤットはポジションをアジャストします。今度は右後方に入ります。おそらくサイドアタックとくに米倉の突破力が機能していると見たのでしょう。米倉をバックアップする意図だと思います。ただこのサイドには徳永がいますから期待通りにはならず、結局ヤットは中央に戻ります。

今度は前線で動きがあります。それまでまるを狙い続けていたパトリックが左サイドに移動します。まるは粘り強いコンタクトでパトリックを自由にしません。パトリックは陸とのマッチアップに活路を見出そうとしたのでしょう。

ただこれも結局、重心が低い今日のガンバですから、有効なパスが供給されず、意図の効果を確認できないままに終わります。前半は東京リードのまま終了。

とても意外なことに、後半頭からミステルが動きます。徳永に代えてカズを左CBに投入します。まるを左SBに出します。前半は、少なくとも守備はまったく問題を感じませんでしたから、びっくりしました。徳永にアクシデントがあったのかしら。おそらくスクランブルな面もあったのでしょう。東京守備陣にはフィッティングする時間が必要だったと思います。つまり東京は受けに回ります。

これを予期してか否か、一方のガンバはいきなり攻めに出ます。この時ヤットは、ふたたび前線に顔を出すようになります。健太さんはさらに工夫を加えます。秋を左サイドに出し、代わって宇佐美をインサイドに置きます。これでそれまで停滞していたガンバの攻撃が一気に活性化します。

宇佐美は基本的に中央下り目やや左寄りを動きません。ここを軸として、ヤットと秋がスペースメイクします。狙いはおなじみ、WHの背後のスペース。左右どちらでも良いのですけど、ガンバの場合は当然ながら宇佐美を優先します。左で基点ができますから、パトリックはふたたび右に仕事場を移します。さらにその周囲で、ようやく阿部が存在を感じさせるようになります。

東京側の事情とガンバの意図がある意味で同調します。サッカーとは時のマジックですね。互いの変調は、東京にとってネガティヴな結果を導きます。

47分。アタッキングサード左深くに上がったヤットが、ライン際後方の秋に戻します。秋は近づいてきた宇佐美にパス。宇佐美はルックアップ。ゴール前は、ニアのパトリックにモリゲ、ファアの阿部にカズがついています。宇佐美の前方、攻撃参加残りの藤春は陸が見てます。ヤットは羽生がケア。宇佐美自身には秀人がプレスします。この時大外を米倉が上がっていました。宇佐美は米倉にロングスルー。このパスに先に反応したのはガンバアタッカー陣でした。米倉が頭で折り返したクロスに合わせたのは、モリゲより先に顔を出したパトリックでした。東京1-1ガンバ。

これを受け、すぐにミステルが手を施します。河野に代えてたまを左メイヤに投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。サイドの危険なスペースを消す意図です。パトリックが執拗にカズとまるを責めますけど、二人の頑張りに加え、シフト変更の効果も相まって次第に落ち着きを取り戻します。

ここでガンバが不思議な選択をします。ふたたび宇佐美と秋を入れ替えます。さらにヤットは中盤の底に戻ります。ヤットの移動は試合を安定化する意図でしょうけど、宇佐美を軸にして光明が見えていたように思えたのでびっくりしました。案の定、またもガンバの攻撃が停滞します。良く言えば後方のパス回しで主導権を引き寄せようとしたと見ることもできますけど、攻撃の糸口が見えませんでしたから、やっぱり自発的停滞と言ったほうがしっくりします。

反して東京は、シフト変更が攻撃面でも効果を見せます。羽生とたまの役割が整理されました。相変わらず遼一とバーンズの信頼感は絶大ですから、羽生とたまは前線との距離感を意識し、シンプルに受け持ちサイドを上下動します。

さらには中盤にも効果が見えます。秀人とヨネが縦のつるべの動きを見せるようになります。これができれば攻撃の厚みを増すことができますし、いたずらにリトリートすることなく試合をオーガナイズできるようになります。

糸で繋がったような攻守の意図の交錯は、今度は東京にポジティブに傾きました。

58分。自陣ペナルティエリア前でパスカットしたモリゲが前方のバーンズにパス。バーンズは寄ってきたヨネにダイレクトで落とします。ヨネは、自陣から中央を長駆ドリブル突破。そのままアタッキングサードに入ります。東京は中央に遼一。右を羽生が上がります。左でもバーンズが上がってます。対するガンバは藤春、岩下、丹羽。4on3の数的優位です。岩下と藤春を十分に引きつけたヨネは、藤春の裏にスルーを送ります。そこに走り込んだのは羽生でした。羽生に藤春と岩下が反応します。なので、ゴール前は中央に遼一、ファアにバーンズがいて、ガンバは丹羽ひとりだけ。遼一がニアに入り丹羽を引きつけます。ルックアップしてこれを見た羽生は、丹羽の頭を超える芸術的なロブクロスをバーンズに送ります。バーンズは美しいダイビングヘッドを決めました。東京2-1ガンバ。

引き過ぎない安定感のあるオーガナイズからの鮮やかなカウンター一閃。守備の混乱をつかれた直後だけに、チームに勇気をもたらすゴールになったと思います。味スタ37,978人のお客さんもワクワクしていたことでしょう。

今日のガンバには、引き出しに余分がありませんでした。後半スタートで見せたドラスティックなモードチェンジがふたたび訪れることはありませんでした。もしかしたら、ヤットと宇佐美の状態が万全ではなかったのかもしれませんね。二人が動ける状態であれば、もっと重心を高く保てたかもしれません。それよりも気になるのは、冒頭で述べましたガンバのハードチェック不足です。チームには常に変化が必要だと思いますけど、今日のガンバの守備では迫力不足は否めません。その意味でもコンディション不良が感じられました。

そこで健太さんが動きます。一気に二枚代えです。パトリックに代えて赤嶺。阿部に代えて大森を投入します。パトリックはエネルギー切れでしょう。

大森はもっとはやく入れてくると思いました。今日のスタートセットでは純粋なドリブラーがいません。アタッキングサードでの停滞を払拭するためにも、ドリブラーは必要だと思いました。ただ、いささか時すでに遅し感がありました。大森に有効なパスを渡せません。

健太さんがさらに動きます。秋に代えてリンスを右WGに投入します。大森を左に持ってきます。左右ともドリブラーを揃えて、多少強引にでも仕掛けようという意図だと思います。

同時にミステルが動きます。バーンズに代えてサンダサを同じくトップに投入します。この仕上げ采配はミステルに軍配が上がります。サンダサが入ったことで東京のポゼッションが一段上がります。そもそもガンバは攻撃権を持てませんし、トランジションしても自陣深くなので到底リンスと大森を活かせません。仕上げのサンダサは、顔に似合わず良い香りがします。

とうとう最終的には東京の完璧なオーガナイズになりました。ベストメンバーのガンバからこれほどまでに完全に主導権を奪える時代が来るとは思いもしませんでした。感無量です。そして試合は幸せな余韻を残してこのまま終了。東京2-1ガンバ。

バーンズのシュワッチ

後半の入りに反省がありますけど、試合をドラマチックにした演出だと思えばむしろ良かったと思います。ガンバの強さを感じられましたから、いっそう勝利が沁みます。

あえて言えば、攻撃パターンの可能性を増やすために、前線の組み合わせを工夫できればいいなと思います。

言っちゃいます。これ、優勝できます。せっかくなんで、2ndステージを獲って、そのままチャンピオンシップも優勝しちゃいましょう。ひと月前は想像もしてませんでしたけど、ここからの5ヶ月が、実は2015東京の旬です。ぜひ味スタに足をお運びください。一緒に優勝までのステップを味わいましょう。


まれロケ地の旅 ―20150811 能登②輪島市・珠洲市―

2015-08-16 14:57:22 | 連続テレビ小説まれ

いよいよまれロケ地巡りの能登編ファイナルです。まれ能登編の主舞台、大沢町宝来町を離れまして、物語のターニングポイントの舞台を巡ります。

県道38号線を南に向います。

「あ~こりゃ駄目やな」「駄目?」「動かないんですか?」「うん」。外浦村に向かうバスがエンストして立ち往生してた海岸沿いの道。

「参ったな。次のバス、いつですか?」「えっ? ああ…3時間、あとやね」「3時間? 3時間来ないんですか? タクシー呼ぼうか」「そんなお金ないよ」「ないか…」「よし! 歩こう!」「はっ? 歩く? 何言ってんだよ、希。こんな荷物持って歩ける訳ないだろ。やめようよ! 歩くの?」「行くよ!」「ちょっと…。うそだろ~」。石川県輪島市大沢町のアタケ岬東側の道です。

「あの作文から数か月後」。大きな荷物をかかえた津村家がとぼとぼ歩いてた海岸沿いの道。アタケ岬の先端です。

「希たち一家は、東京から遠く離れた、能登半島に引っ越してきました」。ここは先ほどのバスが止まってた道のすぐ北側です。

「その理由は…もう少し、お待ち下さいませ」。

アタケ岬を巡った南側。

「ちょ…もう無理! 休憩、休憩」「また?」。徹がへばってた道端。

「ちゃんと帽子かぶって」「はあ~。しかし何もねえ所だな。店でも出したら儲かんじゃねえのか?」「客がいないから店がないんでしょ」。石川県輪島市上大沢町の県道38号線。大沢町との堺の辺りです。

「お父さん、行こうよ。1歩ずつ、コツコツ歩いていけば、絶対着くから!」「いや、無理だよ、希」「行こう、お父さん!」「お父さんの荷物重たいんだよ!」。

「あっ! 車!」「車?」「乗せて下さ~い! 乗せて下さ~い!」。文さんの車がやってきた道。

「どこ行くが?」「外浦村です!」「東京から引っ越してきたんですけど、バスがエンストしてしまって」「乗れ」「ありがとうございます!」。

「助かった~。えっ? ちょっと、エンスト? マジかよ。使えねえな」「行け! 動かんさけ!」「押します!」「押そう、押そう。押そう」「いいさか、行け!」「いいって、いいって。どうすんのよ、こんなとこで」「ほっといてくだし」「せ~の、よいしょ!」「いいって言うとるがいね」「よいしょ!」「一歩、一歩、コツコツと~!」。

「かかった!」「行け行け! よし! 行け行け!」「止まったらまたエンストしちゃう! そのまま行って~!」「やった~!」「俺ら、どうすんのよ!」。

「自分よりもまずは人の事。希は、そういう子なのでございます」。

「昨日、出てけって言われてんろ?」「もう知ってるの?」「ほんで、出てくんけ?」「もう少しだけ、置いてもらえる事になったけど」。圭太たちが釣りをしていた岸壁。

石川県輪島市上大沢町上大沢の海岸です。海側にこの駐車場があります。

「にせもん」「すみません」「一子ちゃんちゃ、東京に、ま~んで憧れとるさか。東京の事になったら、ちょっとおかしなるげん」。

「みんな5年生?」「うん! 右におるがや洋ちゃんで、うちは、漁師さん。去年の子供相撲で、準優勝やってんよ。隣が高志。いぃつも、影が薄いねん。あっちの圭太は、釣りや得意ねんよ。今は、メバルやイシダイ。秋になったら、アブラメやね? 圭太!」「あん? うん」「仲いいんだね」「生まれた時から一緒やし、幼稚園からず~っと同じクラスねんよ。みんなで泊まりっこしたり、家族みたいやわいね」。

「みのり~! こっちの方や釣れそうやわ!」「分かった! じゃあね」。

「そんなところに、今さら入っていけるんだろうか。希は、心細くなっていました」。

大沢町から県道38号線を東に進みまして、輪島市小池町に入り、こちらを左折します。ここにもまれ幟がありますね。この道は非常に狭いです。軽自動車ならすれ違えますけど、普通車はたぶん無理。注意してください。

ここを左に上がります。公共施設ではない一般の田んぼですので、ご迷惑にならないようくれぐれもご注意ください。

「どうしたんだろう? あの子」。はじめて希ちゃんが能登の日本海のでっかい風景を見た岬の田んぼ。

石川県輪島市小池町元大屋村鵜入の三ツ岩岬です。三ツ岩岬の風景その①その②

「希の目の前に、これまで見た事のないような光景が、広がっていました」。

希ちゃんが見ていた日本海。

「わあ~! わあ~!」。

「やっぱり俺、自信ない。俺には、地道にやるっていう才能がない。やっぱりダメだ、俺」「だけど私、お父さんの事、好きだよ。助けるよ。お父さん、ダメでも。助け合おうよ、みんなで!」。津村一家がケーキを食べていた田んぼ。

「希。誕生日おめでとう!」「お父さんも。おめでとう!」「頂きま~す!」。今日は8月11日。まれロケ地巡り能登編を再開した昨日は、希ちゃんと徹の誕生日でした。

「う~ん!」「美味しい~!」「うん。味はいいわいね」「美味しいよ、希!」「うん!」。

「田舎で暮らそうって思った時ね、いろいろあたってみたけどピンと来なくて。時間はないし、「あ~もう、えい!」って、ダーツを投げたら能登に当たったの。役場に電話してみたら、その時出た人が…」「優しかった?」「すごく感じ悪いの。「都会の人には簡単には住めない。絶対に来るな」って。でもね、ああ、これが能登の人の優しさなのかなあって。頑張ろう! 能登で、みんなで!」。

「うん!」「ねっ!」「うん!」「うん!」「頑張るぞ~!」「お~!」。

「やった~! よし、食べよう!」「食べよう!」。

「希は気付いておりません。本当は不甲斐ない父親に本気で怒っている一徹の心の底も」「ありがとうございました」「藍子の複雑な想いにも」。希ちゃんが背伸びをしていた田んぼ。

「よしっ」。

市役所の就職試験に向かって気合をいれた希ちゃんが自転車で走ってた田んぼ。

希ちゃんが自転車で走っていった田んぼ。

「うち…いいがかね? このままで」。希ちゃんがパティシエか公務員な悩んでいた田んぼ。

「もういっぺんだけ、家族にして下さいって謝るまし。駄目ながはしょうがない。駄目なりに頑張るまし」「許しちゃくれないよ」。徹がしょんぼりしてた田んぼ。

「許すわいね、お母さんは。今までだってずっと、お母さんは、うちらを守ってきてくれてんさけ」。

「ほんで? 話やあるさけ呼んでんろ?」「うん」「言うてみま。言いたい事全部」。希ちゃんが藍子さんにパティシエになりたいと告白した田んぼ。

「うち、ずっと、ケーキっちゃすげえって思うとった。ケーキっちゅうがは、心ねんね。作ってくれた人やら、一緒に食べてくれた人らちの、記憶ねんね。ほれや、ケーキの力ねんね」「お母さん、本当は気づいとったんかもしらん。ほらほうやわいね。あんだけいぃつも楽しそうにケーキ作っとったんやさけ。ほんでも、ケーキ作る人だけは嫌やって思うとったんかも。正直、裏切り者って思うとったわいね。ごめん」。

「お母さんをちゃ、置いていかれんって思うとってん。お母さんのためじゃなくて、うちが、お母さんのそばにおりたかってんよ。お母さんや喜んでくれる顔をちゃ、たくさん見たかったさけ。ほやけどうち… 応援より自分でやりとなってしもた。人の心をっちゃ動かせるような、誰かの記憶に残るような、ほんなケーキをちゃ、作りとなってしもうた」「うれしい」。

「えっ?」「希がそんな風に考えるなんて、お母さんうれしいわいね。お母さんは大丈夫。今までありがとう。もう、お母さんを、捨てなさい。自分のことだけ考えて、思いっきりやりなさい」。

「能登を…出な駄目ねん」「うん」「お給料安いさけ、最初のうちは、仕送りもできんと思う」「うん」「ものにならんかもしれん。一生駄目かもしれん」「うん」「ほんでも…。パティシエになりたい。行かせて下さい」「行っといで」。

徹が立ってる田んぼ。

「ごめんな。呼び出して。悪かった! お父さん、いつまでも落ち込んでて。もう立ち直った。もう二度と、いじけた事は言いません。ごめんな、一徹。役に立たない背中で」。

「お父さんの背中も、役に立っとるげよ」「えっ?」「人間、ああはなるまいと」。

「笑って乗り切ろ」。

「結構いけとったよ、お父さんも」「まだ…まだ何か、傷つく事言う気か?」「3年間、一人で頑張っとった背中、まんでかっこよかったわいね」。

「一徹~! ごめんな!」「やめれま、もう!」。

新オープニングで津村家と桶作家のみんなが手を振ってる田んぼ。

新オープニングでみんなが振り返ってる田んぼ。

新オープニングでみんなが走ってる田んぼ。

いったん輪島市内を通過します。国道249号線を東に向かって輪島市町野町大川に入ってすぐの浜。「はっけよ~い」「何で?」「のこった!」「一子~!」。希ちゃんが相撲をとってる浜。

「夏祭りで、子供相撲やるさけ、練習しとるげんよ。能登っちゃ、相撲がま~んで盛んねん」「東京っちゃ、芸能人だけ集まる村やあるって、本当け?」「えっ?」「東京っちゃ、みんなモデルさんみてえにおしゃれねんろ?」「また、一子ちゃんの東京好き」「ねえねえ、そうねんろ? そうねんろ?」。石川県輪島市町野町大川浜です。

「次、圭太の番やろ?」「今日は、いいわ」「洋服はどこで買うの? 原宿け? 渋谷け? どこに遊びにいくんろ? おしゃれなお店で、お茶け?」「近所のスーパーで、試食?」「あんた、本当に東京の人けね?」「はい!」。

「嘘や! 東京っちゃ、おしゃれな人しかおらん夢の国やがいね!」「いや、そんな…」「嘘や! あんた偽もんやわいね!」「はっけよ~い、 のこった!」「一子~!」「何で?」。

「あんた、本気でやらんかいね!」「実力です。実力ですげんげろ!」。

「げんげろ?」「だらにしとるがけ!」「だら? だら?」。

「あんたらち~! 少し休んまっしね~!」「お母さ~ん!」「えっ? お母さん?」。

「まだひと言もしゃべっていない、影の薄い高志は、家族も影が薄いので、まだ登場しておりません」「そしてもう一人」「何で圭太は、来とらんが?」「分からん。最近圭太、何か変やろ」。

国道249号線をさらに東に進み、珠洲市に入ります。道の駅すず塩田村です。

輪島から行くと、道の駅の駐車場は塩田をちょっと通り過ぎます。こちらを10mほど戻ります。

珠洲市清水町すず塩田村です。

それでは、まれロケ地巡り能登編の最後です。希ちゃんが走ってきた道。

希ちゃんがはじめて塩田を見た場所。

希ちゃんが元治さんを見つけて浜に降りていった梯子。

この梯子が海側にかかっていました。

元治さんが桶で海水をすくっていた浜。

「ここは…」。

「塩田や。塩をっちゃ作る、塩の田んぼ」。元治さんの塩田です。

「塩の田んぼ…。すごい!」。

「地道にコツコツ。これが、まっとうな人間だよ」。

「文と元治」。

「この夫婦との出会いが、希の運命を大きく変えていく事になるのでございます」。

「さあ、皆さま、夢が大嫌いな少女が、夢を見つけて、花開かせるまでの珍道中、どうぞ、おつきあい下さいませ」。

「あげはましき」「能登では、古くから、「揚げ浜式」と呼ばれる方法で、塩を作っています。まず、海から海水をくみ…」。希ちゃんが元治さんに塩作りを教わっていた塩田。

「これ、何ですか?」「オチョケや」「オチョケ」。

「塩田の砂の上にまき、お日様の力で乾かします。乾いたら、砂を集めて海水でこして、塩分濃度の高い、かん水という水を作り…。一昼夜煮詰めて、ようやく、おいしい能登の潮が出来上がります。完成までには、約1週間もかかるのです」。

「すごい…。地道すぎる」。

ここが海水をくむ海

海から上がる部分はコンクリートで舗装してあります。

浜には木の道が作ってあります。

「来るな! 来るな! 危ないぞ! どいてろ、どいてろ! ああ…あ~無理! あ~!」。

「じゃあ、私が!」「無理無理、やめろ。100キロはあるから」「大袈裟な。たかだか80キロやぞいね」「ふん! ん~! あら、意外に」「あれ?」「こう見えて、怪力なんです」「腰、壊すぞ」。

「はい、お客さん。塩田体験は終わり。お一人様100円」「金取んのかよ!」「お二人様ね」「家族割引とか…」「ないです」。

こちらにも、まれロケのセットがまだ保存されています。

日によって違うかもしれないのですけど、今日は実際に作業をされていました。興味深いことに、輪島側にも同じような塩田の道の駅がありまして、そちらは揃いの作務衣を着てらっしゃっていて、規模もいくぶん大きかったです。珠洲のこちらは普通の服で、むしろリアリティがありましたし、実際に作った塩を販売されています。

海水を汲む桶。

海水撒き

「江戸時代!? そんな昔からあるんですか? この塩田」「ほうや。日本で今、揚げ浜式やっとるがは、能登だけねんよ」。

「へえ~」「ほやけど、塩田も人手不足ねん。人や来ても、きつうてなかなか続かんさけ」。

「ふ~ん。なるほどね」。

「ええげぞ。ほんな事せんでも」「でも、ちょっとだけ。あの…昨日は、すみませんでした」「ん?」「お父さんが、変な事言って」。

「「まれ」ちゅうがは…」「「まれ」、です」「「まれ」? 「まれ」ちゅうがはどういう字を書くが?」「希望の、「希」です」「希望と夢か。いい名前やがい」「あんまり、好きじゃないんですけど」「あんたには、夢はないがか?」「ないです」。

「あ~無理! あ~…あ~…。やっぱ無理でしょ。一人で祭りは。この辺りで一番の祭りなんでしょ?」。

「こんな田舎やがい、派手な祭りじゃねえわい」「そうなの?」。

「ほやけど、気持ちはどこより、籠もっとる。船に大漁旗いっぺえ立てて、ほっりゃあ見事なもんや。曳山の上には、子供らっちゃ乗って、ワ~ワ~言うて喜ぶげ。村中が一つになる、ええ祭りねんわい」。

「ふ~ん」。

「藍子さん!」「あっ、マコっちゃん! こんにちは!」「郵便やよ」。真人さんが藍子さんに徹のラブレターを届けにきた塩田。

「えっ? 私け? ほしたらうちの方に…」「なあも。ここで、読んでくれんけ」「ここで?」。

「一人で、今すぐ」

「守りてえげん。元治さんと、文さんが、守ってきた塩田。2人が…必死で守ってきたもん、守りてえげ。なくしとねえ。後につなげてえげ」「本当の孫なら普通に言われるけど、違うさけ、気が引けて言われん。ほやけど、ほれが、一徹が塩田継ぎてえ一番の理由やってんよね」「おらちにも…まんで大事ねん。元治さんも…。文さんも。守らしてくれんけ…俺に」。一徹が元治さんと文さんに想いを繋げたい塩田。

「守ってやるつもりが、守られとったわいね」。

「貸してみれ。弧を描くように」「こうけ?」。

「腰を落として。おし。いいぞ」。

これにて、能登でのまれロケ地巡りはおしまいにします。偶然にも実際のロケの直後に来ることができ、撮影のときの雰囲気をそのまんま残ったロケ地を観ることができました。感激です。今月のロケは、まれ第21週で放送されると思います楽しみです。

能登の清廉な空気に触れることができて、ホントに気持ちの良い幸せな旅でした。次は横浜編。ケーキ屋さん巡りをしてみたいと思います。


まれロケ地の旅 ―20150811 能登②輪島市大沢町宝来町―

2015-08-15 15:30:50 | 連続テレビ小説まれ

まれロケ地巡り能登編の二日目は、輪島市大沢町宝来町。

朝ごはんをいただいて、散歩がてらにさっそくスタートです。こちらは地元で採れた岩のりを熱した石であぶったものだそうです。最近はなかなか採れなくなっていて、しかも危険な場所にあるそうなので、とても貴重なものなんだそうです。

「希たちが、東京から引っ越してきたのは、能登半島の、外浦村。輪島市から車で30分ほどの、小さな村です」。外浦村まで歩いてようやく辿りついた希ちゃんたちが歩いてた道。

「いい所ね。空気もおいしい」「もう死ぬ…吐く」。

希ちゃんが移住した外浦村。宝来町の全景です。

「あった! こっちだよ、村役場」。

「漁業組合からの、お知らせです。港の沖合、北西200m付近に、ロープが浮いておりますので、航行する船舶は、十分注意してく…」。

「お願いします! 住むとこなかったら困るんです。東京に戻っても、行くとこないし、よそに行くお金も、もうないし。地道にコツコツ、家族でここでやり直したいんです。ここが最後なんです。部屋を貸して下さい。お願いします! お願いします! お願いします!」。

先週最終ロケがあったばかりなので、外浦村役場はセットがそのまま残っています。

撮影が無いときは土日祝日だけオープンしていて、グッズや特産品の販売所になってます。

漁船で遊覧もできます。

玄関の出っ張りが、まれの撮影用に付け足された部分です。

「お父さん、お母さん、早く!」「あっ!」「大丈夫か?」「大丈夫」。津村家を押し付けられた文さんがノシノシ歩いてた道。

「まだですかね?」「ここですか?」。民宿桶作です。

「早く!」「一徹、すごいよ!」。

民宿桶作のセットもロケ当時のまま。

ロケ地を巡っても希なことなので、めっちゃ嬉しいです。

「よしっ」。希ちゃんが新しい生活のスタートに元気を出してた港。

塩田に行く文さんが軽トラの用意をしてた道。

「どこ行くんですか? お仕事ですか? お手伝いします!」。

相撲で疲れた希ちゃんがヨタヨタ歩いてた道。

希ちゃんが帰ってきた民宿桶作の入口。

「なにこれ?」。

「わあ! またこんなにー」。野菜が置いてあった玄関。

「希見て。なにこれ?」。

「しばらく、置いてやってもええがんないか? お前も、空いとる部屋もったいねえちゅうとったがい」「はあ…ここは、終わったげ。畑行ってくるわ」。元治さんと文さんが話してた民宿桶作の前庭。

「すごく痛そうだよ」「えっ?いや、飛び降りないよ!?」「よかった~心配しちゃった」。徹がぼーと立ってた堤防の上。

「飛び降りると思った? お前。まあでも、本当は俺みたいな父親、いない方がいいんだよな。家族に迷惑ばっかかけてさ」「え~!」「えっ?」「今、ここで反省してたの?」「いや、俺だって反省ぐらいするよ!」「びっくりした~」。

「何だよ、さっきから」「うん。じゃあ、反省したら次は、これからの事考えよ。家族みんなで」。

灯台です。レトロな赤レンガ作りで可愛いです。

「圭太!これから引き継ぎで金沢に行くげん、遅なるってお母さんに言うといてくれ」。櫓に登ってる圭太に博之さんが声をかけてた港。

「分かった」。

「クラスのみんなには、もう言うたんか? もう、時間ないがいや。お父さんから言うか?」「自分で言うさか、黙っといて」。

「ほうか」。

「早く能登になじもう。ここで、家族としっかり、まっとうに暮らしていくのだ。希は、そう決意しておりました」。

「何を言うとるげ、博之! 長年続いてきた祭りをやめるっちゅうて。ほんなだらな話あるかいえ!」。元治さんたちが怒鳴り込んできた外浦村役場。

「祭り、中止け? つまらんなあ」「子供相撲もなくなるが?」。希ちゃんたちが集まってた神社。静浦神社です。

「私たちも、手伝えないのかな? お祭り」「子供に曳山は曳けんがいや」「あっ、そうか…」。

「あっ、圭太」「圭太、何してん? 相撲の練習にも来んと」「ちょっと、みんなに、話やあって」「何いね?」「俺…2学期から…。ごめんえ! うちのお父さん、祭り中止にするって言うて」「何や、ほんな事気にしとったんけ」。

「水くせえなあ。おらっちゃず~っと4人一緒の仲やがい。あっ! 5人! 5人一緒!」「高志は影が薄いげんね」「わりい、わりい」「ほうや」「高志、怒っとらんけ? ごめんえ」。

「あっ。ねえ! あの…何かあるの? 何か神社で変だったし、この前も、学校で…」。希ちゃんが櫓の上でションボリしてる圭太を見つけた港。

「聞くよ! 私でよかったら…」。

「どうせよそもんには分からんわい!」。

「俺、こっち行くわ」「私、こっち」。家出した希ちゃんを徹と藍子さんが探しに出た道。

「よその地区にも応援を頼んで、外浦村の夏祭りは、行う事ができました」。夏祭りがはじまった神社の境内。

曳山に付ける大きな飾り傘が運ばれた境内。

飾り傘が曳山にのっけられた境内。

子どもたちが太鼓を叩いていた境内。

「希~!」「お母さ~ん!」。曳山が練り歩いていた道。

「これ…」。圭太が希ちゃんの能登ことばノートを渡した港。

「俺、2学期が始まる前に、父ちゃんの転勤で、金沢に引っ越す事になっとるげ」「えっ?」。

「生まれてからここしか知らんさけ、不安で、八つ当たりしとってん。ごめん。ほやけど、ジタバタ頑張っとるお前見とったら、なんか、元気出たわ」。

「頑張ってね!」。

「7年後 2001年(平成13年)」「ほんなら行ってくるわ!」。高校生になった希ちゃんが朝自転車を出していた民宿桶作。

「よし!」。

「外浦村の皆さん、おはようございます。今日の天気は晴れ、一時曇り。日中は、西の風、3メートルから5メートル。波の高さ、0.5メートルです。仕事や学校へ行く皆さん」「今日も、ま~んで楽しい一日を過ごしましょう」。希ちゃんの村内放送が流れていた外浦村役場。実際に朝の町内放送があります。こちらは朝の時報

「一徹! 早よ起きましょや~!」。ここにスピーカーが付けてありましたけど、それは撤去されていますね。

藍子さんがお祈りしていた神社。

「文さんならどうします?」「離婚届偽造して、若え色男と再婚するわ。ハハハハハ!」「さすが魔性の女」。藍子さんと文さんがリアカーを引いてた道。

こっそり外浦に戻ってきてた徹がこっそり藍子さんを見ていた神社の前。

「あ~。あ~!」「…お元気?」。徹を浩一さんが見つけた道。

「代わるわ」「ありがとう。希は就職、やっぱり市役所に決めたんけ?」「うん。明日願書取りに行ってくるわ」「えれえね。子供の頃から、言うとったとおりに」。希ちゃんと藍子さんが話してた神社。

「さい銭泥棒しとるんけ?」「あっ! 落とした…」「あ~!」。

「徹ちゃん」「お~マコっちゃん、シンちゃん!」。隠れてる徹に真人さんと慎一郎さんがおにぎりを差し入れに来た神社の裏。

「おにぎり」「おにぎりか~。まあいいや。シンちゃん、悪いね」。

「徹ちゃん、どうするげ?」「腹くくって、帰らんかいえ。ここでこんしとっても、どうにもならんがいえ」「分かってるよ。分かってるけど。帰ろうにも、タイミングってもんがあんでしょうが」。徹が隠れていたのはここ。実際は真っ暗でかなり怖いです。

「だらやな~! なして、夢アレルギーの希に、わざわざ夢の話をちゃするがいえ」「ほやけど、あいつが言うてんぜ。人生には夢や必要かもしれんちゅうて。祭りん時に」「ほりゃあお前、祭りん時の女の言葉をちゃ鵜呑みにしたら駄目やわ。祭り終わったら、サ~ッと冷めてしもうさけな。そりゃあもう、残酷なほどに人や変わるぞ」。ととらくと高校生が雀並びしていた港。

「これ今日の分やわ。いろいろ入っとるわ」「ありがとね」「ほんならまたね」「またねー」。希ちゃんが野菜を届けにきたお家。

「ほんとにいいがけ?」「あん?」「圭太や。ほう簡単にレッツ・ゴーできんちゅう顔しとるがいね」。

「2002年(平成14年)3月」「翌年の春、卒業が間近に迫っていました」。

希ちゃんが自転車をこいでた道。

「う~ん!」「みんな決まったね」「ほうやね」「希ちゃんももう気持ちは変わらんげよね?」「うん。変わらんよ」。希ちゃんとみのりちゃんが話してた櫓の上。

「おるげ。田舎なら何とかなるちゅうて、逃げてくるやつや」。哲也さん一家が帰ってきた民宿桶作。

「母さん! 母さん!」「あら…何したん?」「おばあちゃん、久しぶり!」「ただいま、母さん」「入るまし。濡れるがいね」。

「文さんは…? もういっぺん、哲也さんと話し合うた方やいいよ。あんなふうに別れてしもたら、悲しいがいね」「ほしたら、元治さん…」「まあ、近いんだし。何かあったらすぐ呼んでよ。年なんだからあんまり無理しないで」「余計なお世話や」「元治さん、雨降ってるからもう、先入って」。津村家が出ていくことになった民宿桶作。

「元治さん。本当に、ありがとう。いぃつも話聞いてくれて、応援してくれて、ありがとう」「行こう」。

宝来町から県道38号線を北に向かって進み、二つ目のヘアピンカーブの山のここを入ります。この向きは反対側から撮ってますのでご注意を。

すぐ右手に椀貸し谷ポケットパークがあります。

「哲也!」「母さん!」。文さんが東京に帰る哲也さん一家を見送りに来たバス停。

「持ってけ。しっかりやるげぞ。嫁さんと子供は自分で守れ」「うん」。

「ほんでも、もし駄目やったら、帰ってこい。ここはお前のうちやさけ。帰ってこい。行かんかね。バスに迷惑や」。

ポケットパークをもう少し上がった辺り。津村一家が歩いてた道。

希ちゃんが走り出してた道。

「やっと着いた」。

希ちゃんが初めて目にした外浦村。

宝来町内に戻ります。「うん。ほんでも洋ちゃんは切ないわいね」「なして?」「だって一子ちゃんの事ずっと好きやってんろ。えっ? 気ぃついとらんかったんけ?」「知らん…ほうやったんけ!?」「あ~もう希ちゃん、本当ほういうが鈍いね」「ほんなん…ほら切ないわ、洋一郎」。希ちゃんとみのりちゃんが恋話をしていた港。

「希ちゃんは?」「ん?」「何ともないがけ? 一子ちゃんと圭太。何となくやけど、もともと圭太が好きやったん希ちゃんやったし」「別にほれは…。ほら、うちはじんましん出てんよ」「ほんでもそのあと悩んどったやろ。もし圭太が夢の話をせんかったらちゅうて」「聞いたら忘れてくれるけ?」「うん、分かった」。

「高校卒業する、ちょっと前、圭太に告白してんよ」「わあっ!」「圭太の気持ちが変わっとらんかったらちゅうて」「うそっ」「ほの時はもう、一子と付きおうとった。ほらほうやわいね。うちは圭太の夢をすぐに応援できんかったけど、一子は圭太と一緒に夢を追いかけとる」「本当にいいがけ? あれ、きっと…まだキスしとらんよ」「うちももう忘れたわいね。今は仕事や楽しいげん」「ほうけ」「うん」。

「まあ、ほうやね。希ちゃんは何かこう、もっと地に足の着いた人や合うとるよ。圭太は、意外に何ちゅうか…」「ふわっふわやね。漆の事になると前も見えんわ」「賢そうに見えて意外と、だらやよね」「だらのふわふわやな」「だらふわ~」。

続いては、この橋のたもとを左折。

山側に向かいます。

70mくらい歩いたこの奥。

「もしもし。希?。なしたん?。圭太?。うん洋一郎のとこおるよ」「ほうなんけ。よかった。圭太どんな感じ?。やっぱり元気ないけ?」。希ちゃんと電話してる一子ちゃんが出てきた路地。このシーンは宝来町に来る前に場所を特定できていなかったので、偶然見つけることができて嬉しかったです。

「ほりゃあねぇ。ほやけど洋一郎もおってくれとるし」「うちももういっぺん弥太郎さんのこと説得してみるわ。ホントにごめんえ。うちが安西さん紹介したさけ」。

「うんうんうん。おかげでーいいこともあったし」「あ?」「ほんならまたね」。

「な。ホントに決まったんか」「は?」。

「ホントに東京行くんがか?。圭太と二人で」「しー。あーもう。声デカいはアンタは。誰にも言わんといてや」。

「意地張っとる場合じゃないがいね」「意地じゃねえわいえ。あん時は、逆切れしてしもうたけど、よう考えたら、破門は当たり前や。俺のせいで、修さんは引き抜かれるし。輪島塗の伝統も壊されるし」。弥太郎さんに破門されて洋一郎の手伝いをしている圭太を希ちゃんがカツ入れに来た港。

「ほんで? 自分のせいで輪島塗の伝統や壊されるがなら、自分で何とかしようって思うぐらいの気概はないがけ? 修さんやおらんがならなおさら、自分が頑張らな駄目やと思わんがかいね? あんたの漆への思いっちゃ、ほの程度やったんけ?」「思いやあるさけ、自分が許せんげわいえ」「あんたが自分を許そうが許すまいが、漆には関係ないがいね! 自分の勝手な思いで、漆をちゃ捨てるんけ? 何やいね! 日本一日本一言うとったくせに! 漆やあればなあもいらんって言うとったくせに! あんたから漆取ったら何や残るがいね! 言い返さんがけ?」。

「荷物は?」「俺、やっぱり行かれんわ。っていうか、行ったら駄目や。ごめん! 東京は、お前の夢やがに、こんなふうに利用して、卑怯やった」「なして変わったん? 気持ち」「喝、入れられてしもた。俺ももういっぺんやるさけ、お前も東京、頑張れ! 一緒に夢、かなえんか?」「うん」。一子ちゃんと圭太が待合せしてた港。

「幸枝さん、また会えましたね。ありがとう」「あなたが持っていなさい。希」「希。さあ、あなたはどうするの?」。希ちゃんが登ってた櫓。

「ほやけど…重い! 風が…」。横浜に行く決心をした希ちゃんが、みのりちゃんと一子ちゃんと洋一郎からもらった山のような餞別を背負って歩いてた道。

「希!」「圭太? 修業じゃないがけ?」「これ! 渡したくて。親方に頼んで、漆塗らしてもろた。俺の輪島塗、第1号やわいえ!」「いいがけ? ほんな大切なもの」。圭太の輪島塗第一号事件の現場。

「うん」「ありがとう。大事にするわ」「ガンガン使えや。輪島塗っちゃ、使うてなんぼねんさけ」。

「ほんなら、フォークにしてくれればよかったがに」「あん?」「うちはこれからケーキをちゃたくさん食べるげさけ」「お前、ほういう事言うけ? 普通」。

「あっ、もう行かな! ほんなら、ありがとね」「お前! 俺の第1号!」。

「やっぱり、横浜まで一緒に行くよ」「大丈夫」。横浜に行く希ちゃんを徹と藍子さんと一徹が見送りに来たバス停。

バス停の標識が置いてあったのはこの辺り。

実際の大沢バス停はここにあります。田中屋旅館さんの目の前です。

もう一つ、大沢橋バス停。民宿桶作の最寄りはこちら。

「じゃあ、このバスだけ乗ってくから」「バス代もったいないげね」「じゃあ、お父さん途中まで自転車で追ってくから」「徹さん、往生際が悪いよ」。

「あっ、バス来た」「横浜に着いたらすぐ連絡してね。人や多いさけ、ひったくりに気を付けて」「うん」「戸締まりもしっかりね」「うん。分かった」。

「早えな…」「ほんなら…行ってきます」「希…」「行ってらっしゃい」。

「ご近所さんにちゃんとご挨拶して、かわいがってもろて」「うん」「夜更かししたら駄目やよ。ご飯もちゃんと食べて」「うん!」「布団はみ出て風邪ひかんように」「分かった!」「希! 希! 頑張るんだぞ!」「うん!」。

「つらいなと思ったら、すぐに休んで無理せんと! お風呂上がり、湯冷めせんように!」「うん!」「野菜食べなさい! 高かったら、野菜ジュース飲んで!」「うん!」。

「夜寒かったら、靴下2枚はいて寝なさい!」「2枚ね! 行ってきま~す! 行ってきま~す!」。

「徹と藍子の離婚騒ぎで、取るものもとりあえず、希は能登に帰ってきました。正確に言えば、大悟の店を不合格になり、横浜での居場所を、失ってしまったのでございますが」。

「何かうち…2回失恋した気やするげんけど」。みのりちゃんと一徹の結婚式で、ケーキへの想いを新たにした希ちゃんが一人歩いてた港。

「何かを得たいなら、何かを捨てる」。

希ちゃんが両手を広げていた港。

宝来町ロケ地巡りはおしまいです。昨年10月、12月、今年5月のロケ地を中心に巡りました。能登編第二部では、6月と8月の宝来町ロケが出てきてて、ロケ地を観てきたばかりなので、なんだか不思議な気持ちがします。次はあの印象的なシーンのロケ地に向かいます。