ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2019J1リーグ第17節FC東京vs横浜F・マリノス@味スタ20190629

2019-06-30 15:47:31 | FC東京

後れ馳せながら、ようやく西日本が梅雨入りしたと思ったら、沖縄は梅雨明けとか。東京も、六月が終わろうという時期に梅雨本番の模様。

本日は、毎年楽しみな恒例のテディベアデー。最初から続いてるイベントって、もしかして三菱電機デーとこれだけかな。

ホーム2試合続けてレイニーデイになってしまいました。なんとなくマリノス戦はいつも天気に恵まれないですね。

マリノス戦といえば、玄人好みの地味なロースコアの印象が強いのですけど、ここ二年はすっかり雰囲気が変わりました。リーグ前半戦最後の試合はくしくも首位攻防の、前半戦のハイライトとなる楽しみな対戦です。You'll Never Walk Alone♪

試合後に、建英の壮行会がありました。偶然だけど、プロに関わった2チームで送り出すことができてよかったですね。スピーチ胴上げチャント

攻守ともにマリノスらしさがあふれた、マリノスの独り相撲になりました。ひさしぶりにゴレアーダ。

東京はベストメンバーです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは今日は右に慶悟左にサンホ。これが効きます。2トップはディエゴと謙佑です。

マリノスもベストメンバーです。シフトは4-2-3-1。GKはパク・イルギュ。CBはチアゴ・マルチンスと慎之輔。SBは右に和田左にティーラトン。CMはあまじゅんときー坊。WGは右に仲川左に渓太。トップ下はマルコス・ジュニオール。1トップはエジガル・ジュニオです。

対戦時点で最小失点と最多得点という、首位攻防よりも楽しみの理由はむしろそっちですね。最も守備力の高いチームと最も攻撃力の高いチームとは、イデオロギーの対決ともいえます。ただし、試合の結果を分けるのは、光が当たる数字ではなく、その裏側の数字だと思います。東京の得失点差11に対しマリノスは7。リーグ全般で得点数が極端に少ない今年ですから、東京の数字は特筆すべきものでもないのですけど、マリノスは格別。得点数はACL参加ラインに匹敵するのに、得失点差だと中位クラス。それでも昨年の得失点差ゼロに比べれば格段の進歩です。いっぱい取っていっぱい取られるポリシーの成長の行く末が楽しみな2019年。おそらく、いつの時代劇でもそれなりのポジションを確保できる、東京のような堅実なポリシーと当たってみて、その真価が測れると思います。

ポステコグルーマリノスの闘いかたはいまさらなので省略します。昨年からの上積みだけをみてみます。編成上の変化は明白。ポステコグルーサッカーの象徴といえるSBにティーラトン。そして前線にエジガルとマルコス。チーム得点数は昨年と同程度だけど、アタッカーの得点比率が上がっています。まして二枚看板は目下リーグ一位と二位。チーム得点王のウーゴはかならずしもレギュラーだったわけではないのですけど、今年は明確にエースで取る方針であり、それが実現できているのでしょう。

作戦上の違いはそれほど顕著な差を感じません。無駄がなくなって、洗練された印象です。まずサイドアタックに特化していること。マリノスのフィニッシュパターンはほぼクロス。ビルドアップが変態なわりには、攻撃そのものはオーソドックスです。クロスに特化することで、クロスのバリエーションを増やそうという意図だと思います。二枚看板に取らせるポリシーだといいましたけど、クロスに合わせる役は二枚看板だけでなく、SBがほぼかならずゴール前に顔を出しています。このポジションギャップが、マリノスのテーマなのです。

もうひとつはスピード。おそらく攻撃開始からシュートまでの時間が昨年よりも速くなっていると思います。これもサイドアタックに特化した産物でしょう。ポゼッションスタイルですと、東京のようにリトリートする相手にスピードダウンせざるを得ないのですけど、マリノスはなんら迷うことなくサイドスペースにどんどんボールを運びます。

最後の差は、昨年より守備がタイトになっています。試合を通じて、二枚看板を含めボールホルダーへのチェックがはやく、運動量が高い。とくにマルコスは攻守に行動範囲が広く、かつスピードもあるので、得点力やチャンスメーク力だけでなく、献身性もなにしろ目立ちます。実際の身長よりも大きくみえるのが不思議ではないくらい。ルックスといいキャラクターといい、マリノスはエポックメイキングな外国人選手を得たと思います。

序盤は、その守備のギアをトップに入れ、前線から執拗に東京のボールホルダーを追います。いわゆるかましなのでしょうけど、マリノスのように取るけど取られるお祭りチームにとっては、お祭り状態を能動的に作る意味は他のチームよりもあり、効果が高いと思います。東京の試合では後半に見られるオープンなどつきあいを、マリノスの場合はオープニングから仕掛け、意図的にカオスを作るのです。

東京は、マリノスの、とくに最終ラインを狙ったフォアチェックを焦らずいなします。マリノスの狙いはたぶんもうひとつ。東京のカウンターの起点を予防する意図もあったと思います。とくに洋次郎、モリゲ、諒也がターゲットだったのでしょう。ともあれ、マリノスのオープニングラッシュを受け止めることができました。いつものように攻撃権を渡しつつ、中盤の支配力を徐々に高めようとした矢先、カウンター一閃をくらいます。

15分。自陣でボールを回すマリノス。和田がサイド低い位置でパス回しに参加していたのでチャンスとみたのでしょう。サンホがチャレンジします。これを見たきー坊がサンホの裏を取ります。和田はきー坊にパス。前方を確認しながらパスを受けたきー坊は、ダイレクトでさらに前方にロングスルーを送ります。これがラインギリギリでかつ遠かったので諒也の足が一瞬止まります。そこに走りこんでいたのは仲川だけ。ここで勝負ありました。一気にゴール前に押し寄せるマリノス攻撃陣は、スピードを保ったままアタック。仲川はドリブルインしながら間合いをはかります。狙いは、やや遅れて入ってくるマルコスでした。彰洋の手をかいくぐった仲川のクロスは、トップスピードで入って成の前に入ったマルコスに合いました。東京0-1マリノス。

数的不利ではなかったのですけど、あっという間だったので勢いまではコントロールできませんでした。結果的に先制パンチをくらったのでマリノスの思うつぼにはまっちゃったかなと心配になった矢先、杞憂にさせてくれる幸運な同点ゴールが生まれます。

17分。彰洋のGKから。彰洋のロングフィードを最前線で洋次郎がフリック。左奥に流します。洋次郎に和田がついていたので、フリックしたボールは広大なスペースに単独で転がります。そこに走りこんだのはサンホ。ドリブルでペナルティエリアに入ったサンホは、コースを確認して右足シュート。これをイルギュが後逸します。東京1-1マリノス。

チャレンジしないとなにも始まらないし結果も生まれないとは、まさにこのゴールなんでしょうね。サンホに求められることはシュートへの積極性。どういう形であれ、シュートすること。東京には2トップ+アルファがあることを印象づけることが、後半戦に向けたなによりのポイントです。今日はもとより明日のためにも、もしかするとターニングポイントになったゴールかもしれません。

このゴールによって、東京は今日の作戦の有効性を確認できました。なので、ここからは東京も能動的に仕掛けはじめます。イニシアチブが東京にわたり、試合のオーガナイザーが決定した瞬間でした。東京は今日、メイヤを左右入れ替えました。左サイドで仕掛ける意図です。和田を狙ったというよりか、サンホの右足のシュート力を重視したのだと思います。そして、サンホにディエゴを絡めます。ディエゴとサンホが入れ替わりでサイドにはり、基点を担います。ここに諒也が加わって、超高速でリズミカルな勢いを生み出します。後方から外連味のないロングフィードが左奥にどんどん送られ、ポゼッションのマリノスに対しカウンターの東京という構図が形成されました。

これが重要でした。マリノスの強みは、実は東京とベースが似ています。最先端のトレンドである、ハイラインからのチェックを根拠とした超高速のカウンターです。先制点が象徴するように、マリノスに、カウンターを仕掛ける形を作られることが東京には最も回避すべき状況でした。マリノスにボールを渡し、マリノスが気持ちよくマリノスのリズムで闘えば、マリノスらしくSBがポジションを開けてくれます。そして、またも左ロングカウンターが炸裂します。

38分。マルコスの左CKをセーブした彰洋のロングスローから。これを洋次郎がセンターライン付近で受けます。マリノスはいちおう四人いますけど、ラインもマネジメントもなく、カオス。そこに、オフサイドから戻るサンホと入れ替わるように、謙佑が逆サイドを長駆かけ上がっていました。洋次郎は謙佑にロブスルー。謙佑はこれをペナルティエリアやや外で受け、そのままロブシュート。これがイルギュの手をはじき、ゴールに吸い込まれました。東京2-1マリノス。

雨でハンドリングコントロールがききにくい状況だったのかもしれません。マリノスが圧倒的な強さを身につけるために重要なポジションは、だれがどうみてもGKとCBです。攻撃時のラインにCMを下げるなど、Jリーグのトレンドのセーフティネットを取りいれつつ、徐々に変態要素を薄めているのだと思いますけど、依然守備は個人任せであることには変わりありません。この路線でいくなら、補強の方向性は明確。早々、東京のオーガナイズが成立して、前半は逆転でリードしたまま終了。

こうなってしまうと、今日の結末はおおよその予想の範囲です。後半も流れは変わらず。てかマリノスの変態ポリシーに、今日の状況をアジャストする思想すらそもそもなく。マリノスの変態ビルドアップは、一見すると変態ですけど、目線を人ではなくゾーンに移せば案外オーソドックスです。たしかに数的優位なのだけど、マリノスが使えるゾーンを絞れば数的優位は局面でリセットされます。そうなると、あまじゅんが上がれず和田もティーラトンも中途半端で、さらにはマルコスも下がり、肝心の数的優位すら機能しません。もちろんマリノスは、本来はリトリート上等のチームだと思います。それを許さなかった東京守備網の堅さの勝利です。東京の守備力vsマリノスの攻撃力というテーマは、ここにおいて軍配が決しました。

55分。ティーラトンがタベーラのイメージで渓太に預けたところを成が狙います。イーブンになったボールを洋次郎が拾い、そのまま持ち上がってあまじゅんときー坊を引きつけます。二人とも振り切った洋次郎のパスコースは、右にディエゴ左に謙佑。洋次郎は謙佑を選択します。アタッキングサードに入ります。チアゴを引きつけた謙佑は、ゴールライン際から逆サイドにロブクロスを送ります。クロスが、ファアにいたあまじゅんの図上を越えた先にいたのはディエゴでした。東京3-1マリノス。

立て続けに。

62分。自陣ペナルティエリ付近で、仲川からトランジションした拳人がフリーのサンホにパス。サンホはドリブルで一気に加速します。カウンター発動です。アタッキングサードに入ったサンホは一度ディエゴに預けます。チアゴと和田を引きつけたディエゴはサンホをさらに走らせるスルー。ゴールライン際で拾ったサンホは、チャンス無しとみて諒也に戻します。ここから、珍しく華麗なショートパス回しで崩します。諒也、謙佑、サンホ、慶悟が絡むパス回しから、諒也が中央にスライド。この時、和田の背後から謙佑が抜けだそうとしていました。これを見た諒也がスルー。フリーになった謙佑のシュートはイルギュが弾きますけど、そこにつめたのはディエゴでした。東京4-1マリノス。

エースが戻ってきました。ディエゴを元気にするのは+アルファ役の活躍次第。ディエゴを、チャンスメーカーではなくゴール前で消せるようにしないといけない。あらためて実感できましたね。優勝の鍵は+アルファ。

セーフティリードに入ったので健太さんが動きます。洋次郎に代えてアルを同じくCMに投入します。現時点ではセカンドアタッカーがポイントだけど、健太さんは新たなパターンを作ろうとしています。アルは、これまでのパターンに比べて明らかに異質です。結果が伴えば加速しそうな予感がします。

状況を踏まえ、ポステコグルーさんも動きます。あまじゅんに代えて三好を同じくCMに投入します。マルコスが動き勝ちになったので、中央にアタッカーとして据える意図だと思います。ここは、三好のテクニックよりアルの存在感が勝りました。むしろリードしている東京の勢いが加速します。

そこで健太さんが動きます。謙佑に代えて晃太郎を左メイヤに投入します。サンホがトップに回ります。謙佑のコンディションを考慮しつつ、守備力の強化を狙いました。加えて、今日の勢いに晃太郎を乗っけることで、晃太郎の積極性を引き出そうという意図もあったと思います。

直後にポステコグルーさんも動きます。マルコスに代えて山谷を投入します。当時にシフトを4-4-2に変更します。山谷はトップに入ります。直進的な推進力を得たいという意図だと思います。直接的ではないけど、なお攻めよというメッセージが奏効します。

83分。マリノスのビルドアップから。きー坊のパスを受けた慎之輔がティーラトンにパス。ティーラトンはさらに前方ライン際の渓太に渡します。アタッキングサードに入ります。三好とのタベーラで抜け出した渓太は、アーリー気味にファアにロングクロス。彰洋の手を越えたところにいたのは仲川でした。仲川は右足ダイレクトで合わせます。これはポールに当たりますけど、跳ね返ったボールは彰洋に当たってゴールに吸い込まれました。東京4-2マリノス。

なんだかカオスになる恐れもあったので、健太さんが〆ます。ディエゴに代えて輝一を同じくトップに投入します。前線をフレッシュにしてマリノスに脅威を植え付ける意図でしょう。

結局カオスにはならずに済みました。このまま試合終了。東京4-2マリノス。You'll Never Walk Alone♪

シーズン折り返しを首位で通過することができました。いろいろあったので実感なく、後半戦のイメージが確たるものではないので不安いっぱいの折り返しです。ディエゴのいうとおりまだ何も成し遂げていません。でもまあ、落ちつかなさがありつつも、首位ターンの嬉し恥ずかしを満喫してます。WE ARE TOKYO♪

まずは、前半戦の闘いかたを踏襲できる目処が立ちました。当面の+アルファは、サンホで引っ張って晃太郎で〆る継投策でいくでしょう。新たにアルモードのチャレンジもしていますし、どうやら中断期間の積み上げはしっかりとできているようです。今年は小さな中断がいくつかある変則日程ですから、まだまだ積み上げるチャンスがありますし、そこをどう過ごすかが優勝への道程の鍵のような気がします。ディエゴのシュワッチサンホのシュワッチ

次は七夕。ユニ配布もあるし、いっぱい集まってほしいですね。


2019J1リーグ第15節FC東京vsヴィッセル神戸@味スタ20190615

2019-06-16 15:39:31 | FC東京

梅雨まっただなか。

今年の梅雨は、晴れと雨が周期的にめぐっているようで、直前まで快晴だったのに恨めしい雨模様です。

よりによって、大雨に当たってしまった今日は、ソールドアウトが伝えられた神戸。前節までイニエスタ不在で、おまけに雨で、客足がちょっと鈍っていたようですね。You'll Never Walk Alone♪

チャンスを作るも、イニエスタの一発に沈みました。今シーズン二敗目は、ホーム初敗戦でした。

東京はヒョンスがサスペンションから復帰。建英がコパ・アメリカ出張中。謙佑も代表帰りのお休みです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと輝一です。

トルステン・フィンクさん新体制の神戸は、今日が船出。注目の編成です。シフトは4-2-3-1。GKはスンギュ。CBは大崎と宮。SBは右に大伍左に初瀬。CMはイニエスタと蛍。WGは右にたま左に慶治朗。トップ下はウェリントン。1トップはビジャです。

イニエスタとビジャ、フィンクさんとポルディ、楽天のマネジメントなどなど、色眼鏡でみる要素がいっぱいある、脇のゆるい神戸。メディア的な価値はともかく、サッカーの内容が相手として闘うに足るものであれば、リスペクトの対象として十分だと思います。編成だけみれば、ちょっと前のワールドカップチャンピオンを足しただけの安易な模倣チームなのだけど、いろいろとめんどくさそうな条件がそろうなか、フィンクさんがどんなサッカーをするのか、最初に観られる幸運は嬉しいです。

さて、フィンクさんの初Jリーグのチャレンジは、極めて日本的なサッカーでスタートしました。ぼくらが子どものころから見慣れたサッカーですからとても馴染みやすく、プレーする側も見る側にとっても親和性が高いのではないかと思います。とても好意的に感じました。神戸のキーマンはやはりイニエスタとビジャ。誰がどうみてもこの本質はゆるぎない。問題はスタイルに準じるのか編成に準じるのか、です。フィンクさんはスタイル信奉者だと聞いていたのですけど、実見してみると編成に準じる、合理的なサッカーをされるようです。

日本的サッカーといえば、代名詞となるのはキャプテン翼。つまり司令塔とストライカー。試合を作れてチャンスも生み出し仕舞いにはゴールも決めちゃう大ヒーローと、個性的で存在感あるエース。この二人が際立つようなサッカーが、ぼくらの心のなかに典型的なスタイルとして根付いています。フィンクさんの最初のアプローチは、まさにそんなサッカーです。言い換えると、イニエスタの感性で試合を作り、最終的にビジャに点を取らせることから逆算したサッカーです。なので対極となるコレクティブなスタイルとは違って、とにかくイニエスタとビジャが目立ちます。イニエスタとビジャを見ていれば神戸の試合が分かる。とてもテレビ的、漫画的ですから、子どもたちにもあるいは普段サッカーをみない人にも分かり易い。バルサやスペイン代表のスタイルは、完成するまでの長い過程は複雑でストレスフルですから、ときとして見る側に忍耐を強います。その点、いまの神戸は、直感的に捉えることができるので、チーム作りの第一歩として、オーソドックスな良いアプローチだと思います。

初イニエスタの印象は、今日のイニエスタが、ベストを10イニエスタとして何イニエスタくらいなのかわからないけど、それほどの凄みは感じませんでした。たしかにプレーはエレガントなのだけど、既視感がある。なにしろ日本的な司令塔ですから、俊輔、ヤットあるいは憲剛とかぶります。イニエスタがやっているのでバイアスがかかるけど、本質的にはようするに翼くん。それでも一見して違いがあるのは、ミスがほとんどないこと。とくにパスするときのポジショニングとタイミングとアプローチのミスが皆無と言っていいほどのクオリティです。この差はたぶん、ぼくらにはほとんどわからないでしょうけど、確実に試合観戦に影響します。イニエスタのコントロール下にある試合は、イニエスタがつくる快適なリズムのおかげで小気味良いものになります。これもテレビ的に重要な要素のひとつ。イニエスタは、ぼくらにサッカーの分かりやすさを届けてくれる天使なのでしょう。

さて、試合。試合はそんなイニエスタ率いる神戸が最初だけ優勢をみせます。神戸のWGの処理は、二人ともなかに絞ります。ウェリントンをはさんで三人が中央に並びます。そのラインに大伍と初瀬も上がりますから、五本の攻撃ルートができます。これがイニエスタとビジャのハブの役を担います。リンクマンとして重要なのはアクセント。ビジャにラブリーな状況を作りだす能力です。そのためにはビジャとの調和が必要だと思います。これには時間がかかるでしょう。イニエスタのパスを引き出すプレーは機械的ですから、トレーニングを重ねれば割りと簡単に作れると思います。ビジャとのコンビネーションは、ビジャが細かい動き直しを信条としているようなので、つきつめると感性の共有ですから、難しいと思います。現時点では、たまとのラインはできつつあるけど、ウェリントンと慶治朗はまだまだ分断されてるようです。でもここにポルディが入ると、ちょっと脅威ですね。有り体に言えば、難しいサッカーをしなくても、質の高い選手たちがやり易いシンプルなサッカーをすれば、十分強いチームを作れるのです。

とはいえ発展未遂の神戸ですから、5分もすると東京のリズムになります。例によって堅陣で神戸の攻撃ルートを遮断した東京は、神戸にボールを持たせることに成功します。イニエスタの視野をしてパスコースがないのですから、逆説的に東京の守備力を証明したといえるでしょう。あっという間にリズムを引き寄せた東京は、今度は圧をかけはじめます。ターゲットはハブ。中盤のプレス強度で東京は神戸を圧倒します。

短いながらも、シーズンのターニングポイントとして注目していた中断期間は、とくにキャンプをはった様子もないので、上乗せのために特別なメニューを消化したわけではなさそうです。主力が出張という機会をポジティブに捉え、穴埋めのテストを重ねたのでしょう。まずはチームのベースである堅陣とプレッシングが後半も維持されていることに安心しました。前半はスコアレスのまま終了。

後半開始早々、試合が動きます。

49分。神戸の左サイドのアタックから。イニエスタのクロスはゴールを越えて右サイドに流れます。これをウェリントンが拾ってリセット。ウェリントンは上がっていた大伍に渡します。ペナルティエリア角で受けた大伍はルックアップ。大伍には慶悟がマーク。ペナルティエリア内は、ニアからたま、ビジャ、慶治朗。東京は最終ラインが揃っていて、両CMと晃太郎も戻っています。7on3の完全な数的優位です。ところがサイドチェンジがあったばかりなので、守備陣はボールとマークの確認中。この時大外では、フラフラとイニエスタがゴールラインから戻っていました。守備陣はチェックできなく完全にフリーです。成のミスといばそうだけど慶治朗を見ていたので難しいでしょう。これを見た大伍は、細かいステップで守備陣の注意を引きつけイニエスタを空けたままにした状態から大きくサイドチェンジのクロスを送ります。このプレーがスーパーでした。左45度の位置で受けたイニエスタは、トラップから右足シュートまで無駄なく流れるようでした。東京0-1神戸。

ちょうど角度的にイニエスタの真後ろから見ていたので、イニエスタと同じ視界でシュートコースが見えました。脳ではシュートすることはわかったのだけど、ほんの一瞬でカメラを向けようと反応する寸暇もなかったので、やっぱりサッカー選手の反射力ってすごいなと思いました。

いきなり先制しちゃったけど、神戸のアジャストは後半のプラン通りに実行されたと思います。これまたスパニッシュなスタイルとは真逆で、近年のJリーグのトレンドに沿った作戦です。フィンク神戸は、ますます日本的濃度を増していきます。まだ一試合だけど、もしかしたらフィンクさんはJリーグに合っているのかもしれませんね。神戸は中盤の強度を高めます。驚くべきことにイニエスタも含め、ウェリントン、たま、慶治朗、蛍、そしてイニエスタ(^_^)が、東京のプレッシングにガチ勝負を挑んできました。これで前半の東京のイニシアチブは、ふたたびイーブンに戻ります。

ここで健太さんが動きます。二枚同時代えです。輝一に代えてインスを同じくトップに投入します。

晃太郎に代えてサンホを同じく右メイヤに投入します。

おそらくプラン通りだと思います。スターターは試合を作るためにある程度コンサバティブなチョイスで、仕掛けところでギアアップのためにカードを投じる、継投策だと思います。これが主力の穴埋めの現時点の答えだと思います。インスとサンホの投入で、がぜん縦の推進力を得ます。

興味深いことに、神戸がこれに付き合います。試合のスピードは、とくにバルサメソッドにとっては違和感の塊だと思います。バルサメソッドに固執するとスピードに苦しむことは、ぼくらは体験済み。だからスピードアップすればするほど神戸は受け身になっていくだろうと思っていました。ところが、驚くべきことに、イニエスタ すらもハイスピードに身を投じていきます。サッカーの多様性の本質をみた想いです。メソッドに準じる象徴のようなバルサで育った選手も、サッカーの多様性を表現できる。ここにこそ、日本が学ぶべきことがあるような気がします。

神戸が東京のどつきあいに真っ向から挑んできたので、試合はオープンファイトに移行します。正直、これで東京にゴールがくると思いました。ガチ勝負になったら、カウンターのスピードと精度、それを裏付ける守備の安定で数段上回る東京が優位ですから。案の定、サンホとインスが生み出す超高速の躍動感が、ジワジワと神戸を圧倒していきます。終わってみれば、何度かあったスンギュとの1on 1のシチュエーションをすべて止められてしまったことが、もちろん拳人のバーに嫌われたヘッドやインスに合わなかったクロスなどもありながら、直接的な敗因だと思います。

東京は、東京の攻撃のかたちは作れていました。ようするに最後の仕事だけ足りなかった。常々思うようにサッカーは相対性のスポーツです。ゴールを決められなかったアタッカーの問題かスンギュがすごかったのかわからないけど、ぜんぶ止められちゃったのだから、今日ばかりはスンギュの軍門に下ったことを認めざるを得ないでしょう。東京は、編成に動きがあるとしても、まずはかたちを作ることが大切です。ゴールはもはや相性と運の問題。

オープンになった状況をフィンクさんがどう捉えるかなと思っていたら、乗っかるほうを選びます。たまに代えて古橋を同じく右WGに投入します。カウンターの威力を高める意図です。

これを受け、健太さんも真っ向勝負します。今日はベンチスタッフもアグレッシブでした。勝ちにこだわるという、再開初戦の重要性を表していると思います。洋次郎に代えて柊斗を同じくCMに投入します。柊斗は、洋次郎よりもプレーエリアは広くないですけど、その分中盤でのCMの存在感が増し、ハイスピード下のビルドアップに頻繁に絡みます。柊斗がチームにアグレッシブな流れを呼び寄せました。

対するフィンクさんも動きます。ビジャに代えて郷家を同じくトップに投入します。逃げ切りを視野にリフレッシュする意図でしょう。

最終盤にきて、健太さんがギャンブルです。どうしても負けず嫌いになっちゃうときに出るパワープレーです。モリゲを最前線に上げた、ダイヤモンド型の4-4-2です。インスがトップ下に回ります。ところがこれが裏目に出ます。中盤のハイプレスからカウンターというかたちで流れができていたのに、ターゲットに当てるという異なるやりかたを持ち込んだため、リズムが狂います。後方からモリゲめがけてフィードを送りますけど、これがことごとくミスになります。逆に神戸に拾われてカウンターを浴びるようになります。

この状況をみてフィンクさんが〆ます。イニエスタに代えて博文を投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。博文は右CB。郷家がCMに下がります。分かりやすく逃げ切りの意図です。

神戸に渡した流れを戻せず。このまま試合終了。東京0-1神戸。

昨年の反省を踏まえると大事な大事な再開初戦を落としました。内容は悪くはなかったとはいえ、これからは結果のプライオリティが高くなってくるので、気にならないわけではありません。まずは攻撃。ゴールに結びつけたかった狙いの通りのシーンを振り替えって、しっかり課題をみつけてほしいと思います。

やっぱり連戦の代償というか、怪我人が増えてきました。日替わりヒーローに期待するにはまだシーズンは長いので、これから本格的な夏場を迎えることもありますから、コンディションは十分にケアしてほしいですね。

ずいぶん濃いシーズンを送っていて贅沢な想いをしていますけど、まだ折り返しを迎えていません。次節は前半戦最後のアウェイ。日曜ナイターなので参戦はまだ決めてないけど、苦手シリーズのひとつユアスタの克服を期待したいと思います。


2019J1リーグ第14節FC東京vs大分トリニータ@味スタ20190601

2019-06-02 14:13:55 | FC東京

今年もそろそろ梅雨時をむかえます。

長かった連戦も今日でひと区切りです。選手、スタッフはもとよりですけど、応援するぼくらもひと息いれたいですね。

そしてシーズン前半戦のデーゲームも今日で最後。前節は暑気に悩まされたけど、炎天下からは離れることができます。

連戦最後は、注目の大分。上位を伺う好成績のみならず、昇格チームでありながら特異なサッカーが気になり、今年の観戦の目玉のひとつです。You'll Never Walk Alone♪

噂通りの、好感がもてる良いチームでしたけど、横綱相撲でねじ伏せました。

東京はヒョンスが依然サスペンションです。シフトはダイヤモンドの4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲと剛。SBは成と諒也。CMは拳人と洋次郎。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

大分もほぼ前節と同じ布陣です。シフトは3-4-2-1。GKは高木。3CBは右から岩田、鈴木、庄司。WBは右に今日は星左に松本。CMは島川と長谷川。2シャドウは右に小塚左にオナイウ。1トップは藤本です。

監督と選手でしたら師弟対決なのでしょうけど、監督とコーチの場合はなんていうんでしょうね。年齢と業績からみて、やっぱり師弟対決でしょうか。

いまさら大分のリーグカップ優勝イヤーからの歴史を振り替える気はありませんけど、長く苦難の時間を過ごしてきました。J3まで経験したのが逆によかったのか、片野坂さんとの出会いからシンデレラストーリーをたどり、今年J1に復活しました。片野坂さんとの出会いは、単なるシンデレラストーリーではなく、一個の非常に個性的なサッカースタイルの確立を果たしました。監督とともに急浮上するチームは数多あれど、スタイルを確立しえた幸福なエンゲージは、おそらく片野坂大分だけだと思います。

地方クラブのJ1昇格は、それ自体が美化されてしまっていて、アプローチが問われることはほとんどありません。でも正直いって、J1クラスとエレベーターチームのサッカーの質のギャップが、ここ数年開いてきているのが気になります。昇格クラブにはそれぞれの有り様がありますからこのことを深ぼるつもりはないのですけど、少なくとも大分は、低予算でも地方でも、ハンデを越えて質のよいサッカーができることを証明してくれています。願わくば、大分発のムーブメントが全国に広がってくれるますように。

片野坂さんのメソッドを聞いてみたいほど興味がありますけど、ここはあくまでも素人の観戦記ですから、目撃の範囲で片野坂大分をみていきたいと思います。片野坂さんは現役時代も多くの監督を経験してますけど、やはりコーチとしての経験をみると、ミシャと健太さんがもっとも影響を受けたのだろうと思います。ミシャイズムはシフトに現れていますし、健太イズムも個の能力を重視していることで伺えます。でも監督としての片野坂さんは、そのどちらとも違う、独自の世界観を作りあげています。

近年は、攻撃にかける時間を短くする、ショートカウンターが主流です。そのためのアプローチとしてフォアチェックがトレンドになっていて、パワーとスピードが技術に優る傾向にあります。片野坂さんもセグメントするとカウンタースタイルですけど、アプローチは必ずしもフォアチェックに頼りません。むしろ、リトリートを前提とします。藤本をはじめとする華やかな攻撃力に着目されますけど、実は守備がとても堅調で、この試合の前の総失点は一桁台でした。それを実現しているのがリトリートスタイルです。あえてフォアチェックのリスクを回避することで、ゾーンに対するケアを充実させます。興味深いのは、3バックシステムに有りがちな守備時の5バック化はなく、守備陣形は3+6です。フォアチェックではないですけど、サイドの守備の仕掛けは積極的です。おそらく東京のロングフィードを警戒するとともに、SBの位置を下げる意図でしょう。

ゾーンがコンパクトですから、東京はなかなかペナルティエリアに入ることができません。さすがディエゴ、建英、慶悟のポスト力でバイタルエリアを使うところまでは行けるのですけど、その先はなかなか形を作れません。前半は、何度か謙佑がCBの間を取れていました。でもそれをチームとして活用するには至りませんでした。東京の積極的なシュートアテンプトはペナルティエリア外からのチャレンジのため、大分守備網に脅威を与えるに足るものではありません。3ゴール入りましたけど、すべてセットプレーがきっかけですので、大分を流れのなかでは結局崩せなかったといえます。

なお、セットプレーといえば、大分のフルゾーンディフェンスも特異ですね。たしか他には仙台でしたか。オンプレー、セットプレーともにフルゾーンなのは大分だけでしょう。メディアには、奇策の意図を聞いてみていただきたいです。

このように守備で、形はミシャスタイルを彷彿とさせつつもリトリートは健太スタイルと、ここでも両師匠のおもかげを残しつつ、独自進化させた個性を発揮しています。でもそれ以上に個性的なのは攻撃です。注目はやはり藤本。藤本は寿人とプレースタイルが似ているようですね。てっきり高アジリティ系のアタッカーだろうと思いこんでいたのですけど、実際は、ゴール前一撃必殺の純然たるストライカーなのだろうと思います。

大分は、藤本が最終局面で勝負するシーンから逆算して攻撃を組み立てます。このために藤本を消すのですけど、お膳立てに個性があります。いわば3シャドウ。ポステコグルーマリノスを彷彿とさせる、高く位置取る高木を加えたビルドアップのなか、オナイウと小塚に加えて、右WBの星も絞ってポジショニングします。ミシャスタイルのシャドウはポスト役でもリズム作りと、セカンドアタッカーの役割が特長でしたけど、片野坂スタイルでは、もっと個の能力を全面に出した、チャンスメーカーを担います。オナイウはスペースメイクとドリブル。小塚は広範囲なカバー力。星は右エリアのスペースメイクにたけていて、三人の動き出しのタイミングが後方からのフィードを引き出し、一気にアタッキングサードを目指すというのが、片野坂大分のカウンターアイデンティティです。

大分の躍進を引っ張っているのは、ここからだと思います。アタッキングサードに入る時点まではシャドウの仕事ですけど、オナイウ、小塚、星は、きっちりチャンスに繋げるクオリティを持っています。おそらく、迷わず大胆に仕掛けることを意識付けされているからだろうと思います。なかでももっとも可能性を感じるのはオナイウ。もっと線の細い選手だった記憶があるのですけど、大分でのオナイウは、ゴールに向かう貪欲な圧力を感じさせる好選手に進化しています。

ただ今日の大分は、仕掛けは見せ場を作るのですけど、最終局面の勝負にまで持ち込めません。結果的に藤本がほとんど目立たなかったのは大分自身の藤本を消す作戦に由来していることですけど、東京守備陣が、藤本が仕事をすべき場面で藤本を消えたままにしていたのもまた要因です。大分のアタッカーは静から動の変態を基軸とするようで、あまり運動量は高くはなく、藤本はとくに動きません。そのなかでも一瞬のスペースギャップを作る能力は、まだまだ藤本は寿人の領域にはいたってないようです。

ちょっと横路にそれますけど、おもしろい試合になる条件があると思っています。それは守備が上手いことと、プレーが過度に途切れないことです。もしかすると本質は同じことを意味しているのかもしれません。この二つは、観戦の安心感とリズムを生み出します。もとより東京はこの条件を満たしているのですけど、試合がおもしろくなるためには相手も同質でないと成立しない。上位との対戦が高クオリティになるのはこのためだと思っています。大分は、昇格チームながらこのカテゴリーに入るチームです。無駄なハードコンタクトがなく、かつインプレー時間が長いので、時間があっという間に感じます。

互いに見せ場を作りつつ、なかなか有効な攻撃ができないなと思っていたら、試合はセットプレーから動きます。

30分。大分陣深くの成のスローインから。成、ディエゴ、建英に対し、庄司、島川、松本の3on3がはじまります。仕掛けは建英でした。ボールをゴールライン際に運んでペナルティエリアを狙います。松本がマッチアップしますけど、チームルールで建英にはダブルチームをかけることになっていたのでしょう。島川がフォローにいきます。ディエゴがゴール前に入ったので庄司もラインに戻ります。これで成がフリーになっていました。大分のミスです。建英は成に渡します。この時ゴール前は、慶悟に鈴木、謙佑に岩田、ファアの諒也に星がついています。でも中央やや下がり気味にいた拳人がフリーでした。ルックアップした成はこれを確認して、拳人にクロス。小塚がニアでカットしようとしますけど時すでに遅し。成のクロスは安全圏を飛びます。拳人は少しファアに流れ、なんなく合わせました。東京1-0大分。

今日の東京のハイライトはここから。東京は、おそらく意図的に、フルコートでハイプレスを仕掛けます。通常先制するとリトリートするのですけど、今日はあえて、大分の逆襲機会を削ぐために、ハイプレスをかけたのだと思います。これが見事に奏功して、先制後もリズムを維持することに成功しました。そして、またまたセットプレーから追加点が生まれます。

39分。諒也の左CKから。星がクリアしたボールを建英が拾います。建英はまだカオス状態のゴール前にパス。これはオナイウにカットされます。オナイウは前方を右サイドに流れる岩田にパスしますけど、これを慶悟がカット。イーブンボールを建英が拾い、寄せてきた小塚を振り切ってドリブルスタート。一気にカウンターが発動します。建英はそのままペナルティエリアに入り、落ち着いてルックアップ。複数の選択肢のなか、選んだのはシュートでした。左足を振り抜きます。鈴木の股抜きを狙ったシュートは、鈴木の足に当たり、コースが変わります。高木のグラブの先をかすめて、ゴール左隅に突き刺さりました。ゴラッソ。東京2-0大分。

東京の好調は、もちろん技術やフィジカル、あるいは作戦の有効性によるものですけど、試合運びのメリハリも過去にはなかったことですから理由の一翼だろうと思います。この点では大分との違いは顕著です。大分はカウンターを狙ってアタッカー、とくに藤本とオナイウが守備に参加しないことも多いのに対し、東京のディシプリンは、もはやレゾンデートルになっている謙佑のみならず、ディエゴと建英にすら、行き届いています。これは今年に限ったことではありません。選手、スタッフのみならず、ぼくらサポにいたるまで、東京の絶対的な価値観です。前半はリードして終了。

後半の入りかたも今日は万全でした。よく言われる二点リードの怖さは単なる精神論なのですけど、サッカーが勢いに影響されるスポーツであることも事実。それゆえ今日は、慎重なまでに流れのコントロールにチーム全体で気を使ったのでしょう。その顕著が、先制直後と後半のスタートだったと思います。

東京のフォアチェックと、そこからのトランジションの好循環を止められなくなったため、片野坂さんが動きます。二枚同時代えです。星に代えて後藤を同じく右WBに投入します。

島川に代えてティティパンを同じくCMに投入します。とりあえず中盤のパワーを上げて、東京の好循環を止めること。さらには前線で基点になってボールを動かせる選手を増やす意図だと思います。

この作戦が奏功したわけではありませんけど、試合の流れが共鳴します。

59分。高木のパスを受けた鈴木のロングフィードをオナイウが落とします。これを小塚が受け、キープ。この時前線では、一度中央に寄ったオナイウが、拳人が小塚のチェックにいった後にスペースができたのを見て、入ります。小塚はオナイウにつけます。オナイウは右足でボールを置き、たぶんシュートと決めていたのでしょう。ターンしながら左足を振り抜きました。寄せていた剛はノーチャンスでした。ゴラッソ。東京2-1大分。

追い上げられたのですけど、オナイウのシュートが良すぎたので、あまり脅威には感じませんでした。直後に片野坂さんが動きます。シフトを4-2-3-1に変更します。松本が下がって左SBに入ります。トップ下は小塚。これが今日のターニングポイントになりました。直前の時間帯にオナイウにボールを集めることで攻撃のかたちができていました。その意味ではオナイウのゴールは必然で、順目を取るならもっとオナイウを活かしてもよかったと思います。ところがシフト変更によって、オナイウのポジションが下がるとともに、チームの勢いも止まります。結果論ですけど、以降、試合がすっかり落ち着いてしまったので、自滅といってもいいと思います。

健太さんは、流れが逆流しないことを確認して動きます。謙佑に代えてインスを同じくトップに投入します。今日はあくまでも、積極的に守備からイニシアチブを握る作戦で徹底します。インスの変わらない熱量がチームを引っ張ります。

それでも片野坂さんは作戦を戻しませんでした。岩田に代えて三竿を投入しますけど、シフトはそのまま。三竿は左SB、松本が右SBに回ります。本職のSBにチェンジしてサイドアタックの可能性を探る意図だと思います。

当時に健太さんが動きますけど、アクシデントからのコンディションの考慮です。足を痛めたディエゴに代えて輝一を同じくトップに投入します。

すぐ後に、またもやアクシデントです。同じく足を痛めた慶悟に代えてサンホを同じく左メイヤに投入します。連戦最終戦にきて、やっぱり疲労がたまっているのでしょう。二人とも大事がないことを願います。

勝敗は、大分が自ら落ち着いちゃった時点で決まった感がありましたけど、最後の最後におまけのような追加点が入ります。

後半アディショナルタイム+1分。後藤の右CKを東京がクリアした、小塚のスローインから。小塚はバックパスのイメージでティティパンに渡します。これに建英がチャレンジ。あわてたティティパンは高木にホスピタル。これを建英が拾います。建英は飛び出していた高木を振り切り、無人のゴールにコロコロコミック。東京3-1大分。

建英の代表初選出を祝う機会になりましたね。このまま試合終了。東京3-1大分。眠らない街♪

リトリートすることで東京のフォアチェックとカウンターを無力化し、クロスカウンターを狙う大分の作戦を正攻法でねじ伏せました。まさに横綱相撲。なによりも、初敗戦直後の試合だったにもかかわらずベストパフォーマンスを示せたことが良かったと思います。WE ARE TOKYO♪

それを裏付ける心身のリフレッシュが十分だったようですね。先週の大阪よりいくぶん過ごしよかったとはいえ、梅雨にかかりつつある湿気がありました。チームのリカバリー力の高さがうかがえます。拳人のシュワッチ建英のシュワッチ

今シーズンの鍵は6月だと思っています。例年、6月の中断期間を濃密に過ごしたチームが優勝に辿りつくことが多く、昨年の川崎が典型でしょう。後半延びてくるチームに対し、東京はまだ伸び代があるのか。もちろんアドバンテージがありますからまずは現状のチーム状態の維持が優先だと思いますけど、さらなるステップアップのため、チャレンジを続けてほしいと思います。