ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2019J1リーグ第9節FC東京vs松本山雅@味スタ20190428

2019-04-29 21:05:56 | FC東京

ゴールデンウィークでございます。

平成と令和をまたがる10日間。

個人的に11連休は、またたびの予定。さっそく熊本、福岡とめぐったその足で、いったんただいま東京のホーム味スタ。

平成最後のJリーグ、味スタに迎えますは、山雅。You'll Never Walk Alone♪

山雅の作戦にはまりかけましたけど、ハヤブサの一撃で終わってみれば快勝です。

カメラが壊れまして、今節と次節は画像の質がよくないと思います。ご容赦ください。

東京はヒョンスがおやすみ中。さらに成がミッドウィークに怪我をして、大事をとっておやすみです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲと剛。SBは右に諒也左に宏介。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップは謙佑とディエゴです。

山雅は前節を踏襲。シフトは3-4-1-2。GKは村山。3CBは右から今井、飯田、橋内。WBは右にはゆま左に諒。CMはパウリーニョと宮阪。トップ下は中美。2トップはレアンドロ・ペレイラと大然です。

山雅は、山雅らしさをあえて捨てて臨みます。今日の東京は、今シーズンはじめて、昇格チームと対戦します。近年、Jリーグのカテゴリー間の格差が少しずつ開きつつあってとても興味深く思ってます。なんとなくカテゴリーごとにサッカーのポリシーのようなものができあがっている気がします。もともとJ2はその存在から得意なカテゴリーなのですけど、魔の時代から復活したJ1への投資が活発になって、J1の質量が大きく上がっていることが格差の要因ではないかと思います。

ただ、J1でもエレベータークラブはまだ投資の対象になっておらず、J1のなかでも格差ができつつあります。それでも同カテゴリーにいるため、格差ではなく個性として消化できているのですけど、今後、投資の範囲が広がるのか、バブルが収束するのか、あるいは逆に特定クラブに集中するのか、Jリーグの進化を見守りたいと思います。とはいえ、まだまだローカルクラブの寄り集まり感が残っていますから、どこかしら運動会めいたテイストがするのはこの国のプロサッカーの有り様として、継承すべき文化のような気がします。

さて、山雅は投資の先端にいる神戸を撃破した、ジャイアントキリングがたのしみなローカルクラブの象徴のような存在です。山雅の規模においてなおJ1で闘えることは、100年構想の目指す姿のひとつなのではないかと思います。それはサッカースタイルにおいても。

山雅は、松本の街の清廉さとホスピタリティーのあたたかさと反比例したスタイルをもっています。多くのチームは、とくにアルウィンでそのギャップに苦しめられてきたわけですけど、さすがにそろそろ、慣れてきました。東京が今シーズンここまで対戦してきたチームにはJ1の暗黙知のようなものがあるわけですけど、山雅はさりあらず。サッカースタイルというよりか、レゾンデートルそのもののガチのぶつかり合いを今シーズンはじめて経験します。伝統的にこのような対戦に苦労してきましたから、今後を占ううえで、最重要な試合だと思っていました。

ところが。かたすかしのように山雅は引きます。山雅といえば言わずもがなのガテン系スタイルです。いまさらなので詳細は省きますけど、フォアチェック基調という意味では同調する同士のどつきあいを期待していただけに、ちょっと、あれ?という感じでした。反町さんがリトリートを選んだ理由は、コートを変えたこともふくめよくわかりません。過去のどつきあいは案外東京に分があるので、どつきあい巧者同士の真っ向勝負は不利とふんだのかもしれません。

あるいは、山雅のサッカー自体が変質しているのかもしれません。山雅はどちらかというとソリッドなチームカラーでした。個のクオリティで勝負できる選手がいなかったからですけど、今年の山雅はそこが例年とちょっと違います。もちろんペレイラと大然。これまでの山雅は、それほど高さやスピードにこだわっていなかったと思います。そういう選手を得られなかったのかもしれないけど、それを補う工夫のエネルギーが強かったので、フィジカルの優位性を求める必要がないのかと思ってました。ところが、今年は圧倒的な高さをもつペレイラとスピードマンである大然がいます。それだけでも前回の昇格時よりJ1クオリティへのアジャストは整ったといっていいでしょう。

山雅のリトリートの理由が2トップだとすると、合理的ではあるけれど、まだ足りないものがあることは、同じくフィジカルをストロングポイントにしている東京を見続けてきたからこそいえることだと思います。強力2トップは一日にしてならず。ただ速い高い強い上手いを組み合わせただけでは脅威にはならない。そこには相性と運と作戦のハーモニーがかならず必要なのです。

東京が、スピードと高さに対し不安要素があるとしたら、ヒョンスがいないこと。でもその不安はまったくの杞憂でした。今日は激称すべき若者が二人います。いうまでもなく一人は建英なのですけど、もはやエースに対し称賛は失礼になるので控えます。もう一人は剛。東京のCBデビューでこれほど安定していた選手は史上初かもしれません。すでに経験があった加賀や丹羽はともかく、ヒョンスもカズもまるもヨングンも、それのみならずモリゲすらも、どこかしら荒削りな危なっかしさがありました。剛は高さとパワーでペレイラ、スピードでも売り出し中の大然を向こうに回し、まったく引けをとらないばかりか、むしろ凌駕してさえいました。個人的にスピード系のDFが大好きなことは、以前からご覧いただいているかたはご存知の通りですけど、剛のしなやかでスタイリッシュなスプリントは、ひさしぶりにぞくっとさせられました。局面のフィジカルのみならず、チャレンジングなインターセプトも東京の伝統芸を受け継いでいます。ぼくらは、ポストヒョンス、モリゲの担い手として非常に魅力的な選手を得ました。

山雅のリトリートは、結果的に裏目に出ます。あくまでも結果論として。理由はいざしらず、いずれ後半勝負の作戦だろうと思います。その意味で、前半でビハインドを追ったことは誤算だったでしょう。東京は攻撃権を持つ状況に手を焼きます。積極的に縦に仕掛けますし、サイドチェンジを多用してゆさぶります。それでも最終局面で山雅山脈を越えることができません。

そこで東京は、山雅を引っ張り出す作戦に変更します。きっかけは30分あたりの、山雅の三人のアタッカーが絡んだカウンターが決まったこと。東京は、これを好機と利用します。山雅に攻撃権をわたします。

山雅の印象が変わった理由のひとつはCMコンビのチョイスでしょう。質の高いコントローラーを二枚並べています。とくにパウリーニョは、山雅のほとんどの攻撃に絡んでいて、攻撃ルートの設定役です。中盤でボールをさばけるので、両WBが積極的に高く位置取ることができます。山雅の重心が上がります。

ところが、山雅が重心を上げることは東京の術中です。山雅の守備網にスペースができることを意味しますから。ややオープン気味になってきたところで、東京がカウンターを仕掛けるようになります。おそらく仕留める時間は長くはかけられなかったでしょう。山雅がふたたびリトリートすることが予想されましたから。そして、この難しいミッションをコンプリートします。

44分。宮阪が自陣でトランジション。カットしたボールを一気にペレイラにつけようとします。カウンターの発動です。追いついたペレイラは、脇を抜け出そうとする大然に渡そうとしますけど、これに剛がチャレンジ。カットに成功します。次にこのイーブンボールにチャレンジしたのは洋次郎とパウリーニョ。もつれながらかき出したのは洋次郎でした。これを拾ったのが建英です。建英は宮阪の寄せをあっさり振り切り、ドリブル。クロスカウンターが発動します。この時前線は、右から慶悟、ディエゴ、謙佑に山雅は3CBが揃ってますので3on3。ただ、建英がボールをもったのを見た謙佑がスワーブしながら抜け出そうとしているのを、マーカーの今井が見逃す大ミスをおかします。謙佑はあっさりフリーでゴールに向かいます。これをみた建英は謙佑にスルー。完全に抜け出した謙佑は左足で流し込むだけでした。東京1-0山雅。

建英は、おやすみが良かったですね。リフレッシュして、さらにキレと判断がパワーアップしています。どうか、日本中のサッカーファンに旬の建英を観にきてほしいと思います。神戸なんぞより格段にフレッシュで、驚きに満ちたエンターテイメントがここにはありますから。それでもちょっと不安なのは、リーグ戦の初ゴールまでまだ届かないこと。あと一歩が続きますから、一本出たら一気に量産しそうな雰囲気はあります。ゴールハンターとしての結果が残れば、名実ともにエース、大先生の呼称を得られるでしょう。

正直、勝ちに等しい先制ゴールを得て、前半はリードのまま終了。

後半に入り、さすがに山雅はリトリートを選択せず、攻撃姿勢で臨みます。先制点の状況とおなじく、オープンな様相を維持します。それでも肝心の2トップの個性が封じられていますから、なかなか有効な攻撃を打ち出せません。

そこで反町さんが動きます。二枚同時代えです。大然に代えて龍を同じくトップに投入します。

中美に代えて杉本を同じくトップ下に投入します。前線のテイストを変える意図だと思います。ここにきてようやく、山雅らしいアグレッシブを全面に押し出します。

これを受け、健太さんが動きます。謙佑に代えてジャエルを同じくトップに投入します。もはや説明不要。そしてさっそく奏効します。

77分。建英が橋内に倒されて得たPKを、ディエゴが落ち着いて決めました。東京2-0山雅。

今年は作戦変更が当たってる気がしますね。PKを取ったのは建英ですけど、直前のジャエルとディエゴのタベーラが効いていました。

PK直前に反町さんが動いてました。宮阪に代えてセルジーニョをトップ下に投入します。杉本がCMに回ります。アグレッシブ度合いをさらに高める意図でしょう。ビハインドが広がったけど、攻めないといけない状況は変わらないので。

それにしても今日の東京は、山雅の遮二無二な攻撃をあっさりいなす度量の深さがありました。ヒョンス、成不在のスクランブルながら、守備陣はまったくそれを感じさせません。守備のバックアップも整ってきているということだと思います。

ここからは逃げ切りの時間。健太さんが動きます。洋次郎に代えてサンホを左メイヤに投入します。慶悟がCMに回ります。中盤をリフレッシュする意図です。

そして健太さんが〆ます。今日のクローザーは、ディエゴに代えてお誕生日の晃太郎を同じくトップに投入します。

このまま試合終了。東京2-0山雅。

なんとなくソワソワしてきました。当面の山場を終えていまだに無敗。しかもフロック感は皆無。まったくもって強いとしか言いようがありません。充実の前半戦を送っています。眠らない街♪

平成最後、令和最初の首位にまあ意味はないけど、首位は首位。無敗もどこまで延びるか、楽しみです。不安は開幕当初から変わらず、レギュラーの離脱です。カップ戦もグループステージでいい位置につけたので、ステージクリアのために全力で臨むでしょう。連戦が続きますから、コンディションが心配でなりません。杞憂でありますように。謙佑のシュワッチ剛のシュワッチWE ARE TOKYO♪

令和最初の次節はガンバ。調子が上がらないのが逆に不気味です。変わらない安定でゴールデンウィークを締めくくってほしいと思います。


2019J2リーグ第11節アビスパ福岡vsモンテディオ山形@レベスタ20190427 -成長のかげに-

2019-04-28 21:09:05 | 加賀さん

いやあの。福岡での加賀さんが在籍するチームの試合は毎年観ることにしているので。

とはいえ、感動のスコッド復帰から順調に試合を重ねてきたので、遠い地とはいえ不在は念頭にすらなく。

加賀さんファンならではの、ご本人無意識あるいは不可抗力の洗礼を今年も福岡の地でまた。

というわけで、加賀さんが不在であれば基本的に加賀さんブログは書かないのですけど、博多の森の爽やかな空気感になんとなく加賀さんの存在を感じたので、特別につづることにしました。まぁ、ずいぶん空いちゃったし、今年はもう加賀さんに会いに来られそうにないということもあり。

福岡は篠原が戻ってほぼベストメンバーです。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKはセランデス。CBは篠原と三國。SBは右に實藤左に輪湖。CMは惇と城後。メイヤは右に力左に草民。2トップはヤン・ドンヒョンと木戸です。

モンテは今日もターンオーバー。シフトは3-4-2-1。GKは櫛引。3CBは右から熊本、栗山、松本。WBは右に三鬼左にチト。CMは本拓と駿。シャドウは右に坂元左に井出。1トップはジェフェルソン・バイアーノです。

木山さん三年目のモンテはある意味集大成。初年度とは比較できないほど、攻守のバランスが良い洗練された完成度の高いチームになりました。前節で途切れたけど八戦不敗の6勝は分かりやすい部分なのですけど、それより驚かされるのが、好調のなかにあってターンオーバーを続けてきたことでしょう。要となるCB、CM、それにプレースキッカーである三鬼は固定して、残るポジションは競争です。これは、とりもなおさずチームプレーにおいて選手間に差がないことを現しています。ターンオーバーしても成績が安定しているのが証拠。だれにでも成功のチャンスが得られるチーム作りは木山さんのコンセプトなのでしょう。名監督といって間違いないと思います。残るはタイトルとJ1のステイタスです。

木山さんが試合を能動的にコントロールするサッカーを志向していたのは初年度から伺えました。でも昨年までは、パスを回すこと自体が目的になる、よくあるポゼッションスタイルの落とし穴から抜けられない状態が続いていたと思います。今年のブレイクスルーの要因分析は、点ではなく線で成長を見届けるモンテサポさんだけにその権利があることですので控えます。少なくとも今日観戦してわかる顕著な違いは、攻撃のスピードです。

モンテの攻撃はモダンです。トランジションからシュートまでの所要時間が短く、スピーディです。その原動力は、もちろん前線のポジションメイクなのですけど、フリーマンに積極的に縦パスをつける後方のチャレンジスピリットこそ、成長の真髄があるように感じます。なぜかというと、ぼくがDFの加賀さんファンだから。

流動的な前線だけでなく、やや縦関係に配置した駿と本拓のポジショニングも、後方からのパス引き出しに貢献していると思います。そうしてできたパスコースをCBは見逃しません。常に攻撃チャンスを伺う構えをしていて、スタンドから見ていても意欲が伝わってきます。そうした攻撃姿勢が、今年のモンテの闘いかたにワクワク感を生んでいるのではないかと思います。

松本と熊本は、対人防御力もかなり高くなっていると思います。加賀さん不在の期間に試合に出続けたことで経験値が増えたのでしょう。クラブの意図かわからないけど、ベテランに技術や知識を落としこんでもらい、延び盛りな選手がそれを吸収して成長するという好循環な組織モデルがモンテにはできあがっていると思います。

実際に加賀さんがなにをフィードバックしたのかはチーム内にいないとわからないけど、もはや信頼の高い不動のレギュラーとなった3CBをみると、昨年まで加賀さんが出ると出ないとでは安定感に大きな差があったことを思えば、そこにプレイヤーとしての目標があったことは間違いないように思えます。

矛盾するようだけど、反面、復帰してなお、加賀さんの出場機会がまだないことは、純なファン心理として残念です。木山さんはオプションもターンオーバーの対象にしているようですから、今日は遠征ということもあり、加賀さんはおやすみだったのでしょう。ファンのわがままを許していただいてあえて言うと、プロは比類のない個性が必用です。もちろんルックスは、年齢を重ねるたびに熟成してさらに色気が増しているのだけど、プレーに関しても、走る姿の際立ったかっこよさは加賀さんだけのもので、それこそぼくらを魅了してやまない普遍的なカガニズムです。それは復帰した今も変わらないと思います。ファンはそれをいつも再確認したくてスタジアムに通います。願わくば、チームが目標の尊さを再認識するためにも、加賀さんが出場機会が与えられますように。

さて試合は、モンテのコントロール下に入ります。福岡も、本来はイニシアチブを握りたいのでしょうけど、ガチでクオリティ勝負をしたら現時点ではモンテには勝てません。ドンヒョンにおさまれば重心をあげることができ、自慢の両ウイングと惇の技術が活かせるのでしょうけど、リトリートさせられると、せいぜい左右に長いボールを散らすことくらいしかできません。ただ、さすがに力と草民がスペースを得てボールを持つと、ゴリゴリした福岡らしい武骨なアタックを見せられます。現状では、イニシアチブを握られると個の能力に頼らざるを得ないのは致しかたないでしょう。伝統的なパワーサッカーにしても、昨年までと違いパワーを攻撃に向ける方向性を花ひらかせるには、木山モンテのように時間をかけるべきでしょう。前半はスコアレスのまま終了。

後半はペッキアさんのアジャストが奏効して福岡がリズムをつかみます。輪湖に代えて石原を投入することで、左サイドがアグレッシブになります。さらに城後に代えて前川を投入し、同時にシフトを3-4-1-2に変更します。惇を一枚あげてトップ下に置くことで、高い位置で基点を作られるようになりました。両チームとも守備が堅調なので試合の風味自体は変わらないのですけど、攻撃の掛け合いができるので試合が活性化します。

対する木山さんは、ターンオーバーを前提としているので、作戦変更はいつも通りアタッカーのリフレッシュを基調としているのでしょう。両シャドウの変更で、井出に代えて秀仁、坂元に代えて大槻を投入します。これでリズムはいくぶん福岡に傾きます。モンテの攻撃を機能させていた坂元と井出のポストがアジャストによってなくなったためです。このあたりがまたまだ伸び代なのでしょう。

ただ福岡にアクシデントが起こります。ドンヒョンが、櫛引が蹴ったGKを頭部に当ててしまい、大事をとって下がります。ペッキアさんはミコルタを入れてシフトを4-4-2に戻します。コンサバティブな選択も視野にしたと思います。

一方、モンテにもアクシデントです。チトが負傷で下がります。拓巳が同じく左WBに投入します。スクランブルではありますけど、左ウイングは競争ポジションですから、交代自体は想定内だったでしょう。とはいえドンヒョンもチトも大事ないことを祈ります。

試合はこのまま終わるのかなと思っていたら、最後の最後にドラマが待っていました。

90分。石原のゴール前へのクロスを本拓がカット。このボールを右ライン際でジェフェルソンが拾います。ターンしたジェフェルソンはルックアップ。この時、本拓と秀仁がスプリントしてました。ジェフェルソンは前線をさらに走らせるフィードを送ります。一気にアタッキングサードに入ります。受けた本拓は秀仁にスルー。秀仁はそのままドリブル。ペナルティエリアに入ります。対峙する篠原との間合いをはかった秀仁は、流れのままに左足を振り抜きました。福岡0-1モンテ。

このまま試合終了。福岡0-1モンテ。

三年間のチームの成長に加賀さんが大きく影響していることが感じられた春の一日でした。でもやっぱり、躍動する姿を目の当たりにして、復活の印象を実感したいです。いつかまた、会える日を夢見て。


2019J1リーグ第8節サンフレッチェ広島vsFC東京@エデスタ20190419

2019-04-20 22:28:54 | FC東京

ゴールデンウィークを間近に控えてすっかりあたたかくなってきました。

東京はことし初のフライデーJリーグ。大連休前の平日に遠征にいけるはずもなく。よりによって、広島。なんとも恨ましいフライデーJリーグになりました。無敗の首位攻防戦。ヒロシダービーはもはや薄まったとしても、序盤戦最高のカードに参戦できないことが無念でなりません。

というわけで、テレビ観戦記で失礼します。絵に描いたようにイメージ通りの展開でスミ1快勝。無敗をキープしました。

東京は、建英が負傷でお休みです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

広島は前線だけのアジャストです。シフトは伝統の3-4-2-1。GKは大迫。3CBは右から野上、吉野、翔。WBは右にサロモンソン左に柏。CMは川辺と松本。2シャドウは右に晃誠左に野津田。1トップは渡です。

アウェイ広島は、勝敗はともかくだいたいいつも同じような内容の試合になる印象があります。それもおおむね東京の思惑通りになり、珍しくイニシアチブを取りやすい対戦です。この相性のよさはいったいなんなんでしょう。

広島と対戦すると、成績のよさを実感できないほど、強さを感じられません。これは広島の選手の技術の高さ、プレーのクリーンさ、コレクティブで洗練された作戦に由来していると思っています。東京は、このようなチームが大好きなんだと思います。

ヒロシのサッカーは、広島の伝統的なサッカーと方向性が合っていて、幸せなエンゲージを実現できていると思います。ミシャともポイチさんとも、アレンジのレベルでテイストが異なりますけど、高い技術を前提とした、サイド基点のパスサッカーであることには変わりありません。でもヒロシが広島にきてちょっと驚くのは、とてもリアリスティックなサッカーをするようになったことです。今日はその象徴のような試合になりました。

広島は、試合開始こそ攻撃の姿勢をみせますけど、徐々に今日の本来の作戦に移行していきます。おそらく広島は、東京と手合わせしてみて、攻撃の比重を変える、ハイブリッドな構えを備えていたのだと思います。広島の攻撃の特長は、バックラインでカオスを生み出す数的優位志向です。前線は基本的にシンプルな上下動です。これはビルドアップの際の、攻撃の方向性をつくるためです。前線がつくる時間を利用してWBが積極的な攻撃参加をしますけど、これはある意味ブラフ。ホントの脅威は、前線が作ったスペースを利用する両サイドCBの動きです。これでサイドに数的優位をつくり、カオスを生み出すことを目指しています。

ヒロシ広島がこの伝統をひきついでいるかは、今日の作戦をみるかぎりはわかりません。もしかすると今日は、スペシャルプランだったのかもしれません。それほど極端な作戦に出ます。今日の広島の特長はふたつ。ひとつは左に偏重したサイドアタック。もうひとつは非常に低いWBのポジショニングです。

広島のストロングポイントはいわずもがな柏です。柏ゾーンの強度がチーム全体を引っ張っているといっても過言ではないと思います。それゆえ広島は、柏を柏ゾーンで活かすことから逆算した攻撃プランを編み出していると思います。ところが今日は、柏を下げます。リトリートする前から、すでに柏の位置は低めでした。これは柏を下げたというよりか、翔を上げなかったといった方がいいと思います。その上さらに、本来両サイドCBを上げるためのセーフティネットとして下がる松本をやはり下げますから、必然的に柏を攻撃で使う以前のチャンスメークの段階で、すでにその本来の主旨を変えているといっていいでしょう。広島の攻撃は必然的に散発になります。渡に集めて基点にしようとしますけど、全体の重心が上がりませんから渡は孤立します。

一方の東京も、攻撃の強度をいくぶん下げたコンサバティブなモードで入ります。通常モードに移行したのは20分を経過したくらい。まず広島の攻撃力をはかって対応できることを確認してから。それからスペース、とくに左奥が狙えることが分かってから。このあたりのさじ加減は、手合わせをしている現場でしかわからないのでしょうけど、それがスタンドから感じられるようになったら、さらにサッカーがおもしろく観られるのだろうにと常々思います。

東京が左サイドに加重したカウンターをみせるようになると、広島は今日の本来の作戦に移行します。WBを本格的に下げた5バックになり、リトリートします。フォアチェックも控えて、5+4のゾーンをしっかり堅めます。

広島の上手さが際立つのはここから。守備が上手いチームは安心して観戦できますね。東京も同じくなのですけど、ターゲットに寄せるタイミングと強度が絶妙で、余計な力がかかっていません。なので意図しないかぎり、危険なコンタクトになることがなく、試合に変なエクスキューズが混ざりません。たぶんこれはレフリングにも影響していて、試合進行がスムーズになりますから、ストレスを感じることなく観られます。J1クオリティに基準はありませんけど、守備の技術が底上げされればいいなと思います。

もうひとつは、単純なパス回しです。広島のパス回しはノッキングがほとんどありません。必用以上がない視野と動きの連鎖がもたらすもので、これこそヒロシが目指していたムービングフットボールなのでしょう。

そしてこの広島の上手さこそが、東京との相性の良さを生み出す原動力だと思っています。東京は、ようするに上手いチームに共鳴する特質があるのでしょう。近年は、そういうチームと互角かときに優位性を持てるようになりました。シーズンの成績を安定させる残る課題は、つまりそうではない相手の対処なのではないかと思います。東京と広島が、まるでダンスを踊るかのように高クオリティに噛み合ったため、ボールデッドが極端に少ない試合になりました。

前半は、両者の相四つな思惑通りに東京が攻撃権を持つかたちにおさまり、大波なくスコアレスのまま終了。

広島の前半の闘いかたでは、あわよくばすら願えない超コンサバモードでしたので、さすがに後半はモードを変えます。どこで変えるかなというのが注目でしたけど、後半開始からモードチェンジします。まず右を使うようになります。左右に大きく揺さぶることができるので、主武器の柏がフリーになる状況を作れるようになります。

広島の両ウイングが高い位置で仕掛けられるということは、中央の三人が自由にスペースメイクでき、さらにCMのコントロールが効くようになるということですので、広島本来の攻撃が機能しはじめることを意味します。それでもなお、東京の堅陣は広島の侵入を許しません。ここにおいて、守備巧者対決となった無敗決戦は、東京優位が決定的となります。

東京もまた、前半は左サイド加重でしたけど、後半は成も積極的に攻撃に絡むようになります。今日の注目点のひとつは右、つまり晃太郎であることは不可避です。もはやメイヤが好調東京を引っ張る原動力であることは明らか。もっとも昨年との比較をされがちなポジションですから、晃太郎の気持ちを想うと胸がいっぱいです。晃太郎と建英の違いは、ミスに対する対応のような気がします。晃太郎は、多彩なタスクを求められる健太東京のメイヤにあって、ミスをおそれるあまり消極的になっていったのではないかと思います。そのため、ポジション取りが一歩遅れるので、パスを呼び込めないことが多いような気がします。それでも、いつの間にかゴール前にいる嗅覚は、建英にはない晃太郎独特の感性です。シャドウのように気の効いたプレーで、晃太郎独自のメイヤ像をつくっていってほしいと思います。

広島が攻めはじめたため、ややオープンになってきた流れを受け、健太さんが動きます。謙佑に代えてジャエルを同じくトップに投入します。攻撃のテイストを変える作戦であることは周知のとおり。

ヒロシも動きます。晃誠に代えて皆川をトップに投入します。野津田が右、渡が左シャドウに回ります。本職のCFを入れることで、アタッカー三人の役割を明確にする意図でしょう。これによって渡が活きるようになります。渡は、やや下がり目の位置で、スペースがあるなかで仕掛けるほうが合っているのだと思います。

このガチな仕掛け合いの軍配はすぐに結果をみます。

71分。東京の、広島陣に入ったあたりのFKから。拳人は左サイドにチェンジ。洋次郎を経て受けたモリゲが上がって重心を上げます。モリゲは諒也にパス。キープした諒也は、洋次郎の上がりを待って戻します。洋次郎は前線にジャエルとディエゴが揃っているのを見て、ジャエルに合わせます。このちょっと無理目なフィードが効きました。広島はボールに合わせ基調で選手に対応できません。さらにジャエルが前方にフリックすることでカオスが助長されます。ペナルティエリアに入ります。ジャエルのフリックは翔がカットしますけど、そのボールがもうひとり前線に並んでいた晃太郎に渡ります。フリーの晃太郎は中央でこれまたフリーのディエゴに丁寧に落とします。ディエゴはダイレクトで合わせました。広島0-1東京。

今日の試合展開から、これで勝ったと思いました。

ビハインドを負ったヒロシが動きます。サロモンソンに代えて航平を同じく右WBに投入します。負担の大きいWBをリフレッシュするのは広島の伝統ですね。クロスだけでなく単独で仕掛けもできる航平が入り、両ウイングが同じテイストでおらおら攻めします。

攻撃の流れができたヒロシがさらに動きます。柏に代えて東を同じく左WBに投入します。テクニシャンを入れることで左サイドに基点を作る意図でしょう。

今日の広島にもうひとつこわさを感じない理由は、セットプレーだと思います。CBが以前よりひとまわり小粒になったことが原因だと思います。キッカーを代えても同じ。オンプレーでも、流れを変えるほどの違いは生み出せず、東京の堅陣が際立つばかりになります。

とはいえ、渡のシュートなど、攻撃権を渡してばかりではアクシデントが起きるリスクがあります。健太さんが〆ます。晃太郎に代えてサンホを同じく右メイヤに投入します。自力で運べるサンホを入れることで、リトリートし過ぎないようにする意図でしょう。

広島が攻めるも、常に東京のコントロール下にありました。このまま試合終了。広島0-1東京。

実に、守備の堅い無敗対決らしい素晴らしい試合でした。かえすがえすも、リアルで観られなかったことが残念でなりません。

次節こそ、キーポイントだと思ってます。開幕以来一定ペースで試合を重ねてきました。今日がある意味その流れの集大成。次節は、今年はじめてのテイストが異次元のチームです。粘り強く泥くさく闘ってほしいと思います。


2019J1リーグ第7節FC東京vs鹿島アントラーズ@味スタ20190414

2019-04-15 17:38:21 | FC東京

ちょっと肌寒い日がつづき冬のなごりを感じさせた今週。でも日が長くなって、確実に新しい季節の到来が実感できます。

ぼくらは、建英がやがて日本を背負うようになる日に、胸をはって建英は東京もとで大きく成長したって誇れると思います。ミッドウィークは、昨年の苦闘を超えてたどり着いたスペシャルなゴールでした。You‘ll Never Walk Alone♪

ミッドウィークに秩父宮でカップ戦がありました。実はラガーマンだった自分には馴染み深い秩父宮ですけど、サッカーでの使用は新鮮。仕事で行けなかったのが悔やまれます。

難敵続きの今月の第2戦は、鹿島。

鹿島の蛮勇をいなした、理想的な大逃げでした。

東京はベストメンバー。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

鹿島はサイドの編成に苦労しているようです。怪我人がいるうえACLも並行運用ですから大変でしょう。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは曽ヶ端。CBは犬飼と町田。SBは右に小田左に安西。CMはレオと永木。メイヤは右にレアンドロ左に土居。2トップは翔とセルジーニョです。

試合はいきなり動きます。

5分。左スローインからはじまった東京の左右に揺さぶる連続攻撃から。モリゲのスーペルなピンポイントサイドチェンジを受けた成が、アーリー気味にゴール前に上げます。これに慶悟が合わせますけど、シュートは左方向に流れます。ゴールラインを割る前に洋次郎が追いつき、上がってきた諒也に戻します。まるでショートコーナーのような形になります。諒也はルックアップ。この時ゴール前は、ニアの慶悟に犬飼、ファアのディエゴに町田と安西がついています。でも真ん中の謙佑はどフリーでした。これを見た諒也はダイレクトでシンプルにゴール前に送ります。謙佑は合わせるだけ。東京1-0鹿島。

大岩さんは、とてもピュアです。先週のソリッドなヨンソンさんを体験したばかりなので、Jリーグのサッカーが多様性をもつようになったことを実感します。鹿島のイメージは、とかくロマンチックなコンテクストがもてはやされ勝ちな日本の風土のなかでは得意な進化をたどっていて、リアリズムの象徴のようです。けして試合を通じてリアリスティックなわけではないけど、たしかに状況によっては勝利だけを追及する場合もあります。それはどのチームも選択することだけど、鹿島の場合は方法が極端で、そのメソッドが原理化していることもイメージを助長しているのでしょう。

そのなかにあって大岩さんは、きわめて異質だと思います。鹿島史上はじめての、ピュアな思想をもった監督でしょう。ただし大岩さんのピュアを理解するには鹿島のサッカースタイルの理解が必要です。思想としての原理てはなく、サッカースタイル自体の鹿島イズム。その意味では、大岩さんは自身のサッカーに対してピュアなだけでなく、鹿島スタイルと一体となったピュアさなのだと思います。

鹿島は全方位的に支配するサッカーを志向します。だから本来の鹿島は、一般的にはリトリートするイメージが強いけど、非常に攻撃的だと思います。オリジナルプランはオーソドックスで、サイド基調で、アタッカーのスペースメイクに重点を置いたスタイルです。大岩さんのピュアさは、この鹿島らしい攻撃スタイルに偏重していることです。これは大岩さん個人の志向というよりかは、鹿島という世界観全体の変質がもたらした傾向なのかなと思います。

というわけで、鹿島は過剰に攻撃にこだわります。鹿島の攻撃は全方位的であることが信条ですから、ボールサイドで常に数的優位が必要です。これを実現するために、CMのタスクがポイントになります。鹿島は事実上2バックシステムを採用します。サイド基調ですからSBが高く位置取るのは当然のこととして、CMが二人とも攻撃に加わることが特長です。なのでリスクマネジメントはCBに委ねられます。最近は、ゲームコントロールとリスクヘッジを兼ねて、セーフティネットとしてCMのひとりを最終ラインに入れる傾向にあります。鹿島はそのトレンドにあえて逆らう、超攻撃的スタイルだと言えるでしょう。

これはもちろん、攻撃が最大の防御という発想に起点しています。ですから、鹿島の攻撃が凌駕できる相手であれば十分に機能するでしょう。一方でもしかすると鹿島は、鹿島スタイルを捨てるプランを余儀なくされるチームには苦労するのではないかと思います。

その代表が東京。

鹿島の2バックシステムは、東京のロングカウンターをさばききれるだけのスピードもパワーもありません。CBは、要となる代表クラスの選手があいついで抜けた編成上の事情はあるにしても、今のチョイスこそ攻撃志向を象徴していると思います。犬飼も町田もトータルのクオリティの高い選手です。たとえば後半に犬飼が見せた攻撃参加は、数的優位とカオスメイクに貢献するプレーです。フィードの精度も高く、ゲームコントロールの能力も高いのでしょう。ただ如何せん、東京のアタッカーを御すには肝心の守備の基本的な属性が足りませんでした。

鹿島を象徴するポジションは、いわずもがなSBです。SBこそ、編成上の打撃をもっとも受けていると思います。とくに、左はともかく右。きびしいようだけど、小田は現時点では、鹿島の攻撃スタイルの表現者としてのクオリティが足りないと思います。鹿島のサイドは、伝統的にメイヤとSBの役割分担が明確です。いずれかが基点になり、一方がアタッカーを担います。どちらかというとこれまでの鹿島は、メイヤが下がって基点になることでSBがゴール前で仕事することが多かったと思います。今日の鹿島は、これまた左はともかく右はバラバラでした。これは小田の問題が大きいのですけど、レアンドロも一因です。

レアンドロはフリーランスなスペースメイクが特長の選手ですから、鹿島ではメイヤではなくトップやトップ下のほうがフィットするのでしょう。もしくはうっちーのように基点にもなれるSBにコントロールしてもらえば活きるのかもしれません。鹿島の右が連携を失うことで攻撃力を減衰させたことが、この試合の趨勢を決定付けることになります。鹿島はペナルティエリアに入ることすらできません。

最近の東京は、やや相手に合わせる傾向にありました。前節はそれゆえに消極的にうつりさえしました。今日は一転、とてもアグレッシブでした。鹿島のバイタルエリアが非常にルーズだったため、中央のポストがおもしろいようにおさまります。ワンタッチ基調のポストで一気にゴールに向かって加速する、超ハイスピードカウンターが気持ちよくサクサク決まりました。東京は、鹿島の問題を巧みに利用して、自分たちのリズムを作り出していました。そのベースは、もちろん出し惜しみのないフォアチェックです。

そして、失点してなお攻撃偏重を変えない鹿島に現実をつきつける追加点が生まれます。

16分。鹿島の連続攻撃から。レオのチャレンジパスを拳人がカット。これを建英が拾って、スキルフルなさばきでキープ。前線でスプリントを開始した謙佑に送ります。カウンターの発動です。謙佑と並走するディエゴの前は両CBだけ。犬飼を引きつけた謙佑は、ダイアゴナルに走るディエゴにスルー。アタッキングサードに入ります。ここからはディエゴの独り舞台。トラップで町田を振り切ったディエゴは、冷静に右足で流しこみました。東京2-0鹿島。

さすがに東京は、セーフティリードに入ったのでリトリートします。といっても基本的に攻守の切り替えがはやい東京ですから、モードが極端に変わるわけではありません。むしろ東京のリトリートモードに過剰に反応したのは鹿島でした。鹿島はなおプランをあらためてません。ここまでくるともはや蛮勇としかいいようがありません。大岩さんにしたら、連動性がなかろうが、個人のゴリ押しでもなんでも東京の堅城を突破できればいいとふんだのかもしれません。がら空きになったバイタルエリアは、東京アタッカーのごちそうにほかなりません。

29分。またまた鹿島の連続攻撃から。セルジーニョから華麗にボールを奪った建英が、スキルフルなボールコントロールで前線にフィードを送ります。これがディエゴへのロングスルーとなります。ふたたびカウンター発動。町田をトラップで振り切って抜け出したディエゴは、曽ヶ端の様子を確認しながら右足で丁寧に流しこみました。東京3-0鹿島。

建英に対する残る不確定要素はただひとつ。一年間を通じて、コンディションの上下があるなか今のようなパフォーマンスを見せられるか。願わくば、今年東京で確認させてほしいです。今日の2ゴールに絡む活躍は、もちろん作戦上のギブンが建英の判断に影響しているにしろ、それを実現できる技術は建英のまごうことなきオリジナルです。建英がすごいのは、ただ実現するだけでなく、さらっとエンターテイメントにしてしまうこと。もはやぼくらは、建英のプレーを楽しみにスタジアムに通っているといっても過言ではありません。ホントに願わくば、よっちのときに叶わなかった戴冠を共有する喜びを建英とは味わいたいです。

前半終了前に大岩さんが動きます。小田に代えて三竿をCMに投入します。永木が右SBに回ります。耐えきれませんでしたね。ハーフタイムを迎える小田のことを思ったのか、三竿が流れに慣れるためか。いずれ、片翼だった鹿島のアジャストを予感させる作戦変更です。

もともと相性が悪くない味スタでの対戦ながらも、予想外のセーフティゾーンでの折り返しです。

後半頭から大岩さんが重ねます。レアンドロに代えて安部を左メイヤに投入します。土居が右に回ります。レアンドロは、3点目が入ってからあからさまにモチベーションを落としていましたから、チームをリフレッシュする意図です。

これで鹿島が少し息を吹きかえします。パスの循環がスムーズになります。鹿島が攻撃権を持ち東京が受ける構図は変わらないのですけど、鹿島のポゼッションが安定してきたので、少なくとも東京が簡単にカウンターを発動するシーンは見られなくなります。

加えて、翔を左右に走らせるようになります。前半はセルジーニョが前線での受け役を担っていましたけど、重心が上がらなかったので、翔につけることでよりゴールとの距離を近付けようという意図だと思います。そしてこれが奏効します。

55分。左奥に大きく走りこむ翔をみた安西がフィード。翔が追いついて、高い位置で基点ができます。東京は下がり基調でマークが万全ではありません。翔はフォローの安部に戻します。安部はさらに後方のレオに戻します。ルックアップしたレオにはシュートコースが見えたのでしょう。アタッキングサードにかかる辺りから右足を振り抜きます。これがゴール右隅に決まりました。ゴラッソ。東京3-1鹿島。

ただし、あくまでも単なるゴラッソに過ぎません。ペナルティエリア外からのチャレンジでしたので、試合の流れに影響するようなゴールではありませんでした。東京は相変わらず鹿島をゴールエリアにすら寄せ付けません。今日の鹿島は守備はルーズでしたけど、攻撃のタレントはACLチャンピオンの名に恥じない布陣でしたから、結果的に封じきったのは東京守備陣の働きの成果に他なりません。

そこで健太さんが動きます。謙佑に代えてジャエルを同じくトップに投入します。コンディションを考慮したのと、攻撃のモードを変えるためだと思います。超高速カウンターが効かなくなったので、ジャエルを軸にしたオープンワイドカウンターに移行する意図です。

さらに健太さんが重ねます。建英に代えて晃太郎を同じく右メイヤに投入します。直前に建英が足を痛めていたので、大事を取って少しはやめに交代したのだと思います。

この辺りから、試合展開が少しずつオープンファイトになってきます。東京がオープンアタックに変わったためですけど、鹿島も縦に急ぐようになり、攻防が激しく揺れるようになります。以前の鹿島では考えられなかった展開です。ビハインドとはいえ、東京の大好物でえるハイスピードな展開に自らはまる選択をしたわけですから、鹿島の若さの露呈にほかなりません。

大岩さんもこの流れを助長します。セルジーニョに代えて山口を左メイヤに投入します。土居がトップに上がります。安西と絡めて、左サイドを主戦上にしたゴリ押しを挑もうという意図でしょう。

オープンファイトはさすがに東京に一日の長があります。コンビネーションが合わなかったシーンもあってゴールには結びつかなかったけど、ジャエルを軸に据えたワイドカウンターはやはりど迫力ですね。いっとき鹿島がイニシアチブを握りかけましたけど、最終的にはイーブンな状況を取り戻していました。

そして健太が〆ます。ディエゴに代えてまこをクローザーとして投入します。洋次郎がトップに上がります。クローザーを重視する証しか、健太さん自らかまこを呼びにいきました。

思惑通りにこのまま試合終了。東京3-1鹿島。

ホーム全勝で、開幕以来の無敗を継続しています。そろそろ開幕からの疲れが出るころかなと心配してました。連戦の途中でもありますし、ミッドウィークが冬のように寒い雨中の試合でしたし。でも今日は、むしろコンディションが上がっているとすら思える素晴らしい動きを見せてくれました。その辺りの準備も、スタッフを含め今年は万全なのかもしれませんね。眠らない街♪

とはいえ、まだまだシーズン序盤ですからコンディションは心配です。クローザーも決まり、オプションを含めたメンバーはそろそろ固まってきましたから、いっそうコンディションの心配がつのります。U-23も初勝利を上げて、今シーズン初のアベック勝利ウィークでした。チームに厚みをもたらすためにも、バックアップにますますがんばってもらいたいと思います。ディエゴのシュワッチWE ARE TOKYO♪

さぁ、いよいよ無敗同士の激突です。こんな好カードが、廻り合わせとはいえアウェーのしかもフライデーJリーグとは。広島に連れてって。


2019J1リーグ第6節FC東京vs清水エスパルス@味スタ20190406

2019-04-06 23:02:15 | FC東京

最高の誕生日プレゼントをありがとう!

ちょうど満開の東京。桜の時期が誕生日っていいなぁと毎年思います(^^)。

RHYMEBERRYさん。素敵なライブでした。MC MIRIさんのためにも今日は良い試合になるといいなと思いました。

alomさん。

本日の相手は、ここ数年着実に復活の歩みを進める清水。You‘ll Never Walk Alone♪

清水ペースに巻き込まれるも、作戦変更が見事にはまって逆転勝ちです。

東京はベストメンバーが戻ります。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

清水も前節と同じ布陣です。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは六反。CBはソッコと立田。SBは右にエウソン左に松原。CMはヘナト・アウグストと竹内。メイヤは右に金子左に石毛。2トップはテセと北川です。

快調東京の強さがそろそろ気になりだす他チーム。あの手この手の封じ手を繰り出してくると思います。

ヨンソンさんのサッカーは、広島時代からソリッドなイメージがあり、その点は東京と同調し、同じ方向を進んでいるような気がします。もっとも、東京と清水では現実的な目標に違いがあり、今日の試合結果はその差を如実に表していたと思います。

東京は序盤は快調は滑り出しを見せます。バイタルエリアを自由に使えて、縦にはやいワンタッチのつなぎから、謙佑、ディエゴが積極的にスペースを狙うことができていました。

でもこれは束の間。次第に清水ペースに巻き込まれていきます。清水のサッカーはヨンソンさんのイメージ通り、非常にソリッドです。清水はかつて、編成の不利を粗暴なコンタクトで補おうとして本質的な清水らしさを見失い、崩落しました。そこから時間はかかったけど、若いタレントを根気強く育てて、高アジリティでハイスピードな新しい清水像を作りあげてきました。ヨンソンさんのソリッドなサッカーは、その清水像の延長線上で、さらなる高みを目指すために最適だろうと思います。

清水は4+4の2ラインを固持します。これにより東京は、攻撃の基点となるスペースを失います。清水の守備の特長は、中央の堅さです。そこにはヘナトが君臨します。対人防御能力が高いヘナトが真ん中にいることで、清水の中盤の守備がしまります。これに呼応するように周囲の選手も対人防御の集中を高めます。

さらに清水は、超スローペースな展開に持ち込みます。攻撃権を持っても無理をせず、ゆっくり時間をかけて東京が焦れるのを待ちます。攻撃陣も過剰なスペースメイクはせず、一見すると省エネ作戦なのかと疑えるほど、必要最小限のムービングに留めます。

いっぽうで、清水ペースに陥った理由は東京にもあります。どちらかというと東京が清水の超スローペースにつきあってしまったといったほうが良いかもしれません。東京は、やみくもに攻めるリスクテイクを控え、清水同様にソリッドな闘いかたを選択します。東京もまた、4+4のゾーンを優先します。同時にあえて、ディエゴと謙佑のスペースランを自ら封印する選択をします。これは超スローペースにあってもなお、そこはかとない脅威を匂わせる清水のアタッカー陣を警戒した選択です。

清水の攻撃は、サイドアタックを基調とするオーソドックスなスタイルです。ただし、東京にソリッドスタイルを選択させるだけの潜在的な威力が清水には内在しています。その基盤となるのは清水が誇るタレントです。北川を筆頭に、金子、石毛、テセ、あるいはこれにドウグラスを加えて、まったく個の特長、ストロングネスが異なるタレントを長い時間をかけて融合させました。北川のテクニックとシュート技術、金子のドリブルのキレ、石毛のテクニック、そしてテセのなんだかわからない存在感。そのひとつ一つが清水の攻撃を魅力的にしています。ひとたびアタッカーに渡ると、いつかビッグチャンスを作るんじゃないかという雰囲気に満ちています。実際、テセと北川にスペースを取られるシーンがありましたけど、すっかりやられたと思いました。

ただしそれだけだとオーソドックスに過ぎ、脅威とまではいえません。今年の清水は、エウソンを加えました。SBでありながらチャンスメーカーにもフィニッシャーにもなれるエウソンがアタッキングサードでボールを持つことは、それだけで警戒するに値する存在です。

両チームとも相手の脅威をケアすることを重視してリトリートしますから、今日は互いにある程度ポゼッションできます。このため、試合のコントロール権を持ちながら、リスクヘッジを優先する後半勝負の選択をします。このことが前半をたいくつにしますけど、それはある意味で、後半の緊張感あふれる一発勝負の予兆を含むたいくつさであって、嵐の前の静寂のような不穏を漂わせていました。

東京は、メインの攻撃方法をあえて自ら封印しますから、シュートすら打てず、低調に推移します。一方の清水は、北川とテセのポストが比較的安定していて、縦に急ぐ有効な攻撃を繰り出します。

どうやら清水のプラン通りに進行した前半は、スコアレスのまま終了。

東京はソリッドなだけでなく、攻守にマイナーなミスが目立っていて、どうもうまくリズムに乗れていませんでしたから、健太さんは後半からなにか手をうってくるかなと思っていました。という矢先、後半開始早々失点します。

47分。清水の攻撃をモリゲがクリアしたボールがエウソンに渡ります。エウソンはそのまま中央に持ち上がり、アタッキングサードに入ります。エウソンは前方の北川に預けます。余裕があった北川は攻撃ルートをチェック。このあたりにプレッシングの甘さがありました。北川は右サイドでフリーの金子にパス。金子はドリブルインを試み、諒也にプレッシャーをかけますけど、慶悟も加わってきたのでチャンスがありません。でも金子のワンプッシュのおかげで、後方のヘナトがフリーでした。金子はヘナトに預けます。ヘナトはルックアップ。ペナルティエリアは、北川、石毛、エウソン、テセに対し拳人、モリゲ、ヒョンス、成の4on4。でも東京は、清水が攻撃をリセットしたことで次のアタックに備えるべく、全員がヘナトを見てました。ヘナトは、間髪いれず、ゴール前にロブで入れるアイデアパスを送ります。ターゲットは北川。頭で合わせた北川はループ気味にシュート。これがゴールに吸い込まれます。東京0-1清水。

これで清水のプランは完璧に成就すると思いました。東京をからめとった蜘蛛の糸のような超スローペースをそのまま維持すればいいわけですから。ところが試合は、ここから予想外な展開に進みます。

清水が逆に、攻撃加重の姿勢を示しはじめます。いや正しくはむしろリトリートして試合を安定下でコントロールしようとしたのだと思います。でもその意に反して、攻撃の強度が高まっていきます。おそらくチームとしての若さを露呈したのでしょう。

加えて東京は、フォアチェックの圧を高めます。このことがさらに、清水の落ち着きを奪っていきます。物理的に優位に立つことで試合のイニシアチブを失うという、サッカーで頻繁に起こる不条理が清水を襲います。試合はオープンファイトの展開に入っていきます。

そこで健太さんが動きます。二枚同時代えです。謙佑に代えてジャエルを同じくトップに投入します。

洋次郎に代えてサンホを左メイヤに投入します。慶悟がCMに回ります。

健太さんは、あえてオープンファイトに乗る選択をします。ジャエルを中央に据えることで、ディエゴに自由にスペースメイクさせます。これにより、後方からパスが出はじめていた攻撃の発芽を受け止める基点ができます。

さらに、サンホの配置が活きます。今日はサンホを左サイドに固定して、ドリブラーアタッカーの役割を担わせます。これにより明確なアタックルートを開削します。このルート設定が、チーム全体に攻撃プロセスを意識させることにつながります。

ディエゴとサンホで左サイドを活性化させる分、右は広いスペースができるようになります。東京はこのスペースを使います。建英をやや中央よりに置き、プレーの選択肢を増やします。これで右サイドも左同様に活性化し、清水を自陣に押し込めるワンサイドマッチの様相に持ち込みます。

危機を感じたのでしょう。ヨンソンさんが動きます。テセに代えてドウグラスを同じくトップに投入します。カウンターモードに専念して、独力で攻撃のかたちを作れる布陣にする意図だと思います。

作戦がはまった東京に対し、ヨンソンさんのこの選択は裏目に出ます。北川とのコンビネーションで攻撃を引っ張ったテセに対し、ドウグラスは試合にうまく入れなかったようです。清水の攻撃が一時的に停滞します。この彼我の作戦成果のギャップを証明するように、東京がついにゴールをこじ開けます。

75分。六反のGKから。金子のドウグラスへのパスがミスになり、慶悟が拾います。慶悟は前方の建英に渡します。松原のプレスを引いていなした建英は、中央の拳人にパス。このときバイタルエリアでは、拳人を見るヘナトの背後をジャエルが取ります。拳人はジャエルにパス。ターンしたジャエルは前方のディエゴにパス。これがディエゴ、拳人、諒也と渡り、アタッキングサードに入ります。基点となった諒也は、その前方、諒也を見るエウソンの背後のスペースに入るディエゴにスルー。フリーとなったディエゴは、ボールを追いながらルックアップ。このときゴール前は、ニアにサンホファアにジャエルに対しソッコと立田がついています。ここでサンホがテクニックを見せます。一度ソッコの背後を狙う動きを見せてソッコを誘ってからニアに飛び込むフェイク。これを見たディエゴはソッコを振り切ったサンホにピンポイントで合わせます。サンホは左足を伸ばし、クロスに触れました。東京1-1清水。

懸案のバックアッパーにゴールが生まれました。しかも新加入のサンホのゴールですから、今後のシーズンを考えても価値の高いゴールだと思います。さらにサンホの活かしかたが見えたことも好材料でしょう。どちらかというとコンサバティブな健太さんにとって、勝利の方程式を確立できることは歓迎すべきことですから。

この流れは、一気にいくなぁと思っていたら、ラブリーなブラジリアンマジックゴールが生まれます。

86分。立田のクリア流れを、自陣でモリゲが拾います。諒也を経由して、中央フリーの慶悟に渡ります。ターンした慶悟の前方に、バイタルエリア中央を取ったディエゴがいます。慶悟はセンターサークル付近から長いグラウンダーをディエゴにつけます。ディエゴはダイレクトで、右アウトトラップをジャエルに落とし、タベーラ。一気にゴールを目指しスプリントに入ります。これを見たジャエルは、ディエゴのスピードを落とさないよう、反転しながらの左足ダイレクトロブスルー。抜け出したディエゴは、バウンドを合わせて丁寧にループで流し込みました。ゴラッソ。東京2-1清水。

プラン通りから一点、ビハインドを負ったヨンソンさんが動きます。石毛に代えて滝を同じく左メイヤに投入します。攻撃をリフレッシュする意図だと思います。

終わってみれば、逆転ゴールの時間帯がよかったです。清水に、イニシアチブを取り戻す時間はもうありませんでしたから。東京にとってもペースのコントロールを迷う必要がなく、リズムを変えずにそのまま進行します。

そして健太さんが〆ます。ディエゴに代えて田川を同じくトップに投入します。前線をリフレッシュすることで闘いかたを維持し、試合を安定させたのだと思います。でもホントは、サポからディエゴに賛辞を贈る機会を作る意図でしょう。

流れが変わることなく、このまま試合終了。東京2-1清水。

とっても素敵な誕生日になりました。ありがとうございます。眠らない街♪

バースデーマッチは何度かあったのですけど、勝った記憶がなく、いつもの勝利の何倍か嬉しいものですね。しかも清水の堅い守備を崩した見事な逆転勝利でしたから。WE ARE TOKYO♪ディエゴのシュワッチサンホのシュワッチ

今月は、カップ戦を挟んで、鹿島、広島、山雅と、テイストが違う難敵が続きます。次節は調子が上がってきた鹿島。気負うことなくスタイルを貫いて、そして勝ってほしいです。