ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第33節サンフレッチェ広島vsFC東京@エデスタ20171126

2017-11-29 22:47:38 | FC東京

秋も深まり木々が色づき舞います。サウダージの季節です。

ことし最後の遠征は、来るつもりのなかった広島。徳永の長崎移籍が発表されたので、大事な残り2戦を目撃すべく、急遽行くことにしました。You'll Never Walk Alone♪

残念ながら徳永は欠場。試合も敗戦。遠征の意味を問われる結果になりました。

東京は徳永、嘉人、ヒョンスが不在です。シフトは3-4-2-1。GKは拓生。3CBは右から山田、カズ、まる。WBは室屋と宏介。ボランチは慶悟と拳人。2シャドウは右に洋次郎左に永井。1トップは遼一です。

広島はひさひざに勝利した前節を踏襲します。シフトは4-2-3-1。GKは卓人。CBは千葉と水本。SBは右にむっくん左に壮也。ボランチは青山と稲垣。WGは右にフェリペ・シウバ左に柏。トップ下は晃誠。1トップはアンデルソン・ロペスです。

ヨンソンさんの広島はこれが初見です。話に聞く限り、守備的なリトリートスタイルで、ポイチ広島とは大きく異なると想像していました。でも実際に見る広島は、ポイチサッカーを色濃く残しています。

4+4の2ラインを敷きますから以前よりもオーソドックスな守備スタイルとなっています。守りかたの基本プランもオーソドックスで、高い位置でターンオーバーするチャンスでない限り、基本的にファアチェックはしません。なのでトランジションポイントは主に中盤です。守備そのものの強度は、ポイチ広島の全盛期の5+4の安定感に比べてみれば、まだまだ完成にはいたっていないように感じます。

むしろヨンソンさんの改革は攻撃にあるのではないかと思います。その改革は、ポイチサッカーの延長線上にあります。ポイチサッカーの代名詞はシャドウのつるべの動きです。つまりシャドウを基点としてアタッカー陣を縦横に動かすことでチャンスを生み出していました。ヨンソンさんも二列目を基点とすることは変わりありません。その意味で、ポイチサッカーを踏襲しています。

広島はフェリペと柏にボールを集めます。フェリペもしくは柏に入ると、広島は攻撃モードに移ります。一般に守備的なチームは人数をかけるよりもスピードを重視するイメージがあります。でも広島のアプローチは違います。中盤から青山もしくは稲垣が前線に顔を出し、チャンスメークに加わります。さらに壮也とむっくんも高く位置取りますから、攻撃に人数をかけることができます。

攻撃パターンはサイドアタック基調です。どちらかというと壮也はカットイン、むっくんはクロスをフィニッシュパターンとしているようです。攻撃方法自体はオーソドックスですから、けして守りにくくはないように感じます。アクセントをつけるのはWGのポジションチェンジです。フェリペと柏は頻繁にポジションを入れ替えます。ともにボールを持ててトリッキーな突破もできますからテイストは変わらないように思えます。でもたぶん、現場レベルでは、微妙なリズムの違いがあるのでしょう。それが対峙するDFに脅威を与えているのだと思います。

もうひとつポイチサッカーの残像を感じるのは、卓越したパスワークです。広島は、ひとり一人のテクニックに加えてパスミスも少なく、チームとして安定感のあるボールキープ力を持っています。これがアタッキングサードでの落ち着きをもたらしているのだと思います。あらためて、とても基本的なことですけど、ボール扱いの上手さが強いチームを作る基本なのだと実感しました。これがある限り、ことしはうまくいかなかったけど、広島はかならず復活するなと思いました。

ようするに、東京に欠けることは唯一、個人のボールを扱う技術です。繰り返しますけど、守備的と言われる広島をして、今日は攻撃加重たらしめたのは、東京の技術の低さによるものだと思います。もちろん今日の結果次第でJ1残留を得る広島が、いくぶん攻撃的に望んだのかもしれません。それにしてもその望みが叶うかはサッカーの相対性のバランスに依存します。ようするに広島の技術が高く、東京が低かったのです。

嘉人の個人的なタクティクスとテクニックが安間東京のポゼッションの屋台骨でした。嘉人との相性で他のメンバーの選択と配置を決めたのだと思います。その嘉人が理由はわからないけど不在ですから、いかに洋次郎で補完しようにもとても嘉人のサッカーを再現することは叶いません。

というわけで、ロングボールの応酬による主導権争いの後は、広島にイニシアチブが渡ります。ただし、ていうかむしろ、広島にイニシアチブを渡したあとのほうが今日の東京はリズムが良かったと思います。永井と遼一を走らせる、裏を狙う作戦に徹底することができましたから。結果として洋次郎が消えてしまいますけど、それは、アイロニーを込めて言うと選択の綾というもの。

こうして広島が攻め東京が受ける構図ができあがります。もしこのかたちが東京というチームの血脈にとってナチュラルなのであれば、この二年間の取り組みは大いなる無駄だといえます。もとい、勉強の時間でした。スタッフや選手の編成の選択基準を誤っていたのだとしたら、根底から考えを見直すべきかもしれませんね。

広島の攻撃は往時を彷彿とさせる迫力があります。ただしペナルティエリア前までは。クロスやドリブルなどでゴールの可能性を感じさせることはあってもそこまでです。攻撃にひと手間かけすぎかなと思いました。以前はもっと、シュートに至るまでのリズムが良かったと思いますし、ミドルを含めシュートアテンプトが多かったと思います。

そこで、東京守備陣ががんばっていたかというと、もちろんそうなのでしょう。球際でしのぎを削るモチベーションがおこるシリアスな状況ではないので、通常の守備プランをこなすことで十分広島をいなせていたといったほうが実際に近いだろうと思います。前半はスコアレスで折り返すかなとやんわり思っていた矢先、先制を許します。

45分。アタッキングサードにかかったあたりの右ライン際。青山からパスを受けたむっくんが寄ってきたフェリペに渡します。フェリペはターンしてルックアップ。ペナルティエリア外であり、東京守備網が中央に絞っていましたけど、フェリペにはコースが見えたのでしょう。思い切り左足を振り抜きます。このシュートが偶然前方にいた晃誠にあたりコースが変わりました。広島1-0東京。

アンラッキーなゴールでしたけど、前半は時間がなく。このままビハインドで終了。

後半は、前半と180度変わって東京が攻勢に出ます。東京がアグレッシブな作戦に切り替えたともとれますけど、たぶん広島がリトリートしたのでしょう。リードしたことで試合を落ち着かせようとしたのだと思います。このモードのほうが攻撃においても合理性がありそうな気がします。ロペスはロングフィードのターゲットマンになれますし、うしろにはカウンターの申し子パトリックが控えていますから。

ところが、広島の意に反し、東京が追いつきます。セットプレーなるも、アタッキングサードに入れていたからこそのゴールだと思います。このあたりの締めのゆるさが今年の広島を象徴しているのかもしれませんね。

59分。東京はニアに永井とカズを置いて、遼一、拳人、山田、まるの主力をファアにかためます。広島はゾーンとマンマークのハイブリッド。永井にむっくん、カズに青山、遼一に千葉、拳人に壮也。山田に水本、まるに稲垣です。宏介のモーションと同時に永井とカズがニアに飛び込み、広島の守備を分散させます。そのうえでファアでは、遼一をスクリーンに、内側から拳人、外側から山田がゴール前に飛び込みます。このトリックに広島が後手を踏み、かつ局面が1on1になります。宏介はど真ん中めがけてクロスを送ります。そこにいたのは水本を従えた山田でした。山田はJ1初ゴール。広島1-1東京。

ひと息つけた東京ですけど、このことで広島がふたたび攻撃モードに移ります。試合がにわかにオープンファイトの様相を呈するようになります。どつきあいでどちらに部があるかは、序盤の主導権争いで検証済みです。そしてさっそく突き放されます。

66分。カズのクリアボールを千葉が自陣で拾ったところから。千葉からパスを受けた青山が長めの縦パスを中央に通します。フリーの晃誠に渡り、アタッキングサードに入ります。このパスで、晃誠に山田、慶悟、拳人がつられます。このため東京の右サイドにスペースができます。ここに稲垣が上がり、左ワイドにはるフェリペと組み、室屋にとって1on2の数的不利。晃誠は稲垣に渡します。一瞬ためて時間を作った稲垣は、上がってきたフェリペにスルーを送ります。フェリペはルックアップ。ペナルティエリアにロペス、晃誠、柏がいますけど、東京も5枚戻っていてスペースがありません。そこでフェリペはフリーの稲垣に戻します。トラップした稲垣は最初からシュートを選択していたのでしょう。思い切りよく右足を振り抜きました。ゴラッソ。広島2-1東京。

ただ、なんとなくうれしかったです。2017東京の息の根を止めたのが稲垣でしたから。昨年も東京戦でゴールしてますから相性がいいのかもしれません。2017シーズンの締めくくりに試合にからんで活躍できるようになったようです。むっくんや廣長とともに頑張ってほしいと思います。

リードされたことをうけ、安間さんが動きます。永井に代えて建英を同じく左シャドウに投入します。建英J1デビューです。ドリブルインからのシュートなど、かたちを見せていました。なにより、客観的に見ていても建英のすがたが目につきましたから、ポジショニングがいいのだと思います。初ゴールはU-18でもJ3でも鮮烈だったようなので、近い将来J1でもかっこいいゴールを決めてくれるでしょう。

さらに安間さんが動きます。カズに代えてインスを投入します。同時にシフトを4-1-4-1に変更します。室屋と宏介がSBに下がります。アンカーは拳人。慶悟がシャドウに上がります。インスは左WG。右には建英が入ります。インスも建英も中央に絞っていましたからWGというよりか3トップに近かったかもしれません。今年はもうシステムに興味がないので意図を探る気もありません。願わくば来年は安定した闘いかたをみせてくれますように。

ヨンソンさんがようやく動きます。晃誠に代えてカズをボランチに投入します。稲垣がトップ下に回ります。ヨンソン広島のクローザーとなっていたカズが1ヶ月あまりぶりに復帰です。

最終盤に安間さんが動きます。慶悟に代えて梶山を同じくシャドウに投入します。意図はよくわからないけど、チャンスメークに比重を置いたのかもしれません。

同時にヨンソンさんが動きます。〆にかかります。柏に代えて茶島を右WGに投入します。フェリペが左に回ります。柏のコンディションを考慮するとともに、攻守に活力をもたらしたかったのだと思います。

ヨンソンさんのクロージングがはまり、このまま試合終了。広島2-1東京。

来年を示唆する何かが試合前にあったような、それでいて試合内容には示唆が何もないような、そんな試合でした。とりあえず、他人事なれど広島が残留してけれてよかったです。来年のJ1は総合的にクオリティが下がりそうですから、1チームでもJ1レベルのチームが残って欲しかったので。

ある意味、語るべきものが何もなかったのでスッキリしました。これでなにも迷うことなく最終戦に臨むことができます。

来週末は、あたたかな愛にあふれる日を迎えます。


わろてんかロケ地の旅 ―20171103 京都②―

2017-11-12 22:37:14 | 連続テレビ小説わろてんか

甲賀に続いてやってまいりましたのは、京都。

今日も晴れやかな秋空です。

京都は先月につづく二度目です。

京都市内めぐりは実に自転車が良いです。鴨川の東側は車道が狭く、かつ観光地に人があふれているので自転車は走り辛いので避けたほうがよいけど、それ以外は快適です。京都旅では毎回お世話になってますレンタサイクルの京都ecoトリップさん。

わろてんかの本編は、11月上旬にしてすでに京都編、船場編をかけぬけて、はやばやと千日前編にはいりました。どうも展開が大雑把たなと思っていたのですけど、前置きはこんくらいにして、というところなのでしょう。自分は千日前編に入ってわろてんかのリズムに慣れてきて楽しめるようになりました。

というわけで、わろてんかロケ地巡りの旅、京都編を再開します。「くすり祭り。日本と中国の薬の神様に加え、なんとギリシャのヒポクラテスさんまでお祀りして、薬の神さんみんなに感謝するお祭りです」。

烏丸通から二条通を西に入ったところにある薬祖神です。

わろてんかの冒頭に登場したヒポクラテス。

おなじく神農。

つづいて少し下ります。「ああ、これか。驚いたな。すまない。正直言うと、あまり興味がなかったんだ」「え、え、え、え、え、え?」「仕事が忙しくてね。縁談を考えてる余裕がなくて」「ほう~そやのに寄席通いですか。アイテッ。あっ」。栞さんに助けてもらったてんちゃんが風太と一緒にやってきてた栞さんの事務所。

京都文化博物館です。

烏丸通を上がりきって鴨川に出ます。川沿いに北上します。

鴨川にホントに鴨がいました。

気持ちいい川岸をちゃりちゃり走って、やってまいりましたのは、上賀茂神社。

「伊能様~! 伊能様!」「おやまあ」。

「すんまへん。お礼を…どうしても、もう一度お礼を言いとうて。あ…何か顔についてますやろか?」。

「観察してるんだ」「観察?」。

「縁談の事だけど、ああ言ったが、君に興味がない訳じゃない。あの論文を送ってきた機転には驚かされたし、むしろ興味が沸いた」「ホンマは、何にも分からへんのどす。うちはただ、お父はんの力になれる事がないか、兄さんの夢をかなえられへんか、無我夢中で…」「君の家族は幸せだな。羨ましいよ。論文に添えられていた君の手紙、家族への想いが詰まってた。君となら、僕もそんな家族を作れるかもしれない」。

「それでも、うちではアカンのどすやろか?」「君がほかに想いを寄せる人がいるようだったから」「え?」。

「お祭り、楽しそうだなぁ」「あ、もうすぐ、くすり祭りがおますのや」「じゃあまた」「お気を付けて」。

文化の日の連休の京都は秋の特別公開の最中です。そのせいで人は多いけど、偶然滅多に観られないものを観られました。上賀茂神社の本殿と権殿はともに国宝です。ふだんは非公開ですけど、拝観することができました。

上賀茂神社の社殿の屋根はすべて本殿と同じかたちなのだそうです。

上賀茂神社から大文字沿いを西側に向かいます。

途中、金閣寺、龍安寺、御室仁和寺を通ります。ロケ地巡りだから行かないけど、京都の名所が凝縮されています。

御室からさらに西に向かうと雰囲気が変わります。嵯峨野です。

最後に訪れますは、時代劇のロケの名所、大覚寺です。

京都市街地は紅葉のはじまりです。中心部では枯れていた見ごろがとっても短い桜が、嵯峨野ではまだ綺麗に色づいてました。

それではロケ地に向かいます。大沢池の北側、嵯峨の梅林の沿道です。

「堪忍しておくれやす!」「アカン!」「ええか。これからお前は笑う事、あいならん。金輪際、わろたらアカン!」。藤吉が歩いてた街道。

「大変な事になりました。けれど、この笑い禁止令が、やがて、てんの人生を変え、運命の人と巡り会う鍵と、なるのです」。

「…そうか、リリコから」「お手紙に書かれていた事も、みんなを笑わせたいいう気持ちも嘘。うちを、からかっていただけなんどすか?」「手紙に書いた気持ちに嘘はない。けど…。あれから旅を続けたもんの、日本一の芸人になるどころか、全く受けへん」「しまいに俄諦めて、音曲に手品、いろいろ、挑戦もした」。

梅林からちょっと戻りまして、護摩堂の前の小島にかかる赤い橋です。大覚寺ロケでは印象的なシーンで楽しみにしていたのですけど、残念ながら通行禁止になっていました。

「わっ!」。

「わあっ、びっくりした! 何や」。

「風太がうちに来た時の事、覚えてる?」「あ?」「随分とひねくれて、何かあるとここに来て、石投げてたな」。

「そら7つで知らんとこ放り込まれたらな。親せき筋や、行儀見習いやいうても、ホンマはただの口減らしや。ひねくれん方がおかしいやろ」「お父はんにも刃向こうて、ようたんこぶ作ってたな」「そのたんこぶ見て、「まんじゅうみたいや」って大笑いしたのがお前や。俺は、お前がわろて…」「はい、たんこぶ半分こや」。

「覚えてるか? お前、俺を家中引っ張り回して、「風太はうちの弟え。この家の家族や」いうてまわって…。俺、3つも年上やぞ。何で弟やねん」「目…目に虫入って…。くそ」。

「堪忍な。怒ったりして。うちにとっては、風太も、大切な宝物や」「しゃあないな。今日は、これぐらいで勘弁しといたるわ」「おおきに」。

「見んな」。

ほとんど風がなかったのでよかったのですけど、なにげにアップダウンのある京都市内を4時間近く自転車で回るとへとへとになりました。

知恩院のライトアップがあったのでお参りしてきました。

まんまるなお月さまが京都の夜を照らしていました。

例年通り、10月はロケシーンが多めだったけど、今月に入るとスタジオオンリーになっています。次にロケシーンが出てくるのは年明けかな。千日前編のロケ地が楽しみです。


わろてんかロケ地の旅 ―20171102 甲賀―

2017-11-11 23:21:41 | 連続テレビ小説わろてんか

ちょっとキリリと寒さもあるけど、まだあったかい秋の盛り。

今年も滋賀県にやってまいりました。

今回のわろてんかロケ地巡りの旅3daysは、京都編をたどります。

本日は甲賀です。甲賀はあさか来た以来ですね。本日の相棒。

それではわろてんかロケ地巡り甲賀編スタートです。「くすり祭り。日本と中国の薬の神様に加え、なんとギリシャのヒポクラテスさんまでお祀りして、薬の神さんみんなに感謝するお祭りです」。

「そして、このお祭りに…てんの運命を大きく変える男が、やって来たのです」。

「舞台や!」「舞台やで!」。

油日神社です。

「てん、はよ! 始まってるで!」「待って、草履が」。

「よいしょ」。

「もう間に合わへん。横から行くで」「えっ!?」。


 
「おうおうおう、来たで来たで!」。

「やっば~!」。灯篭が並ぶ参道です。

「よっ!」「よっ!」「何やお前ら!」。

「お~っ、痛っ!」「このやたらと派手な青年の名は… 北村藤吉」。

「大丈夫どすか?」「あ~もう大丈夫大丈夫。大丈夫。はよ立ちぃや。何してんねん」。

「どこ行ったんや!」「あの盗っ人どもめが!」「捜せ捜せ!」「どけどけ! 邪魔や!」。

「少年の名は… キースこと、山村喜助」「おお…キース!? 置いてかんといてくれ!」。

「またな!」「ああ…来よった」。

「おい、今、変な恰好の奴ら来えへんかったけ?」。

「あっち」「おい、向こうや!」「ふざけやがって!」「行け!」。

「はぁ~おおきに。助かったわ」「何や? お前」「ん? ああ、俺は…」。

「あ~っ、見つけたで、お前ら! 待てこら!」「てん、逃げろ!」「おお…」「こらっ!」「こっちや!」「か~っ、腹立つな~!」「おお…何や何や」「こら~っ!」「おい、おらんかったぞ!」「来よった!」。

「へ?」「こっちや!」「へ? へ?」「ホイホイホイホイ…」。

「てん! どこにおるんや! てん!」「帰らんと!」。てんちゃんと藤吉が隠れたです。

「おおっ! 」「どないしたんや?」「心配したで! 何してんにゃ、お前!」。

「ああ、俺は、そこの…」。

「名前は?」「北村…」「どっから来た?」「それは大阪の…」「何で追われとったんや?」「そんな矢継ぎ早に聞かれても…なあ?」。

「てんに近づくな!」「風太」。

「何してんねん?」「キース…」。

「あいつらもう諦めよったわ。京の都は悪者も品がええもんやな」。

「お前も誰や?」「え?」「ええさかい、お父はんに怒られるよって。帰ろう!」「何やねん? お前ら。てん、待って」。

「ちょっと待って! チョコ…」「チョコって何や?」「このすごいんだか頼りないんだか、よく分からない男との出会いが、てんと、日本の笑いの歴史を変える事になるとは…」「おお…」「一体誰が、想像できたでしょうか」。

「今日で、くすり祭りもしまいや。ご苦労さんどした」。

「ほな、みんなそろって、お参り行きまっせ!」。

「へえ!」。

「とざい、と~ざい!」「全国津々浦々を大笑いさせる、日本一の芸人や」「風太! りんの事少~しお願い!」「へ? てん! りんちゃん」。楼門の前です。

「とろける? とろける…とろける…。あっ、そや! 分かった!」「チョコ、チョコ!」「どないしたんや?」「泣いてはったんや。あのお人」。

「てん…」。お百度詣りのです。

「新一はああ見えてしぶと~い子ぉやしな。気張ってくれはる」。

「うちも、一緒にさして下さい」。

「え?」。

「あっ、すいません。大丈夫?」。

「…あ!」。

「あっ…。まさか…」「藤吉さん?」。

「おてんちゃん?」。

「いよいよ、二人の恋と怒涛の人生の、始まりでございま~す!」。

「藤吉さん?」「おてんちゃん?」「藤吉さん…どすか?」「あ…ああ。え…ホンマに、おてんちゃん?」「はい!」「お…いや、びっくりした~。大きなったなぁ。ホンマにおてんちゃんか。あ、いや…べっぴんさんになったなぁ」。

「何でここに?」「え? あ…いや。新京極の寄席に出てるから」「寄席?」「おお、南北亭でトリ務めてからもう引っ張りだこで」「南北亭ならこないだ行きました」「え?」「そやけど… 出てはらへん言われて…」「あ~あ…あん時はあれや、あ~八卦、八卦。八卦で…う~方角が悪いて占い出てな、寄席出るんやめたんや。ちょうど、風邪気味やったし。「ハッケション」いうて、くしゃみも」「ハッケション。そやったんどすか」「変わらへんな」「へ?」「いや、おてんちゃんの笑顔」。

「てん! てん! 何してんねや」「ああ、どうも」。

「われ~! あん時の泥棒芸人やないか、お前!」「は? おお~っ」「あ? 何や!」「あん時のイガイガ坊主か! お前も大きなったなぁ」。

「おい、こら、やめろ! おいてん。こんなどこの馬の骨とも分からん、泥棒芸人とつきあうな! もう。おい、行くぞ。おい行くぞ!」。

「ほな…失礼します」。

「あ…おてんちゃん、鈴」。

「リリコ様!」「リリコ様!」。

「姉さん、娘義太夫さんみたいどすえ」「ひゃ~きれいやなぁ」。梵鐘の前です。

「娘義太夫は、今で言うアイドル。親衛隊もいたほど人気がありました」。

「あれまぁ、お久しぶりやなぁ。てんてんてんごの、おてんちゃん」。

「へ?」。

「さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。ここにあるは、丹波の山で獲れたばかりの1間の、大イタチ!」「お代はたったの10銭や。見ないと損やで、大イタチ! どや? どや?」。オオイタチの場所は、梵鐘の前です。

「大イタチやて、おもろそうやな。入ってくか」「行こ、行こ」「どないなっとんのや」「アカンで。見たらアカンで」。

「何や? これ」「大きな板に、血ぃがついて、オオ イタ チ。嘘やないやろ?」「やられた」。

「一方てんは、心の傷が癒えず…」。

「これでええお婿はんに出会えますね」「へ? あっ…ああ」「薬屋の次男坊さんですよ、きっと」「え?」。

「キース! キースどこ行ったんや? 出番や! おてんちゃん!」。

「えっ、おてん様?」。

「ちょっ…待ってぇや! もういっぺん話させてくれ!」。

「おてん様、まさかこのお人が?」「あ~…」。

「え! え!」「おてんちゃん!」。

「待て、このガキが!」「おわ~っ、アカンアカン!」。

「おわ~っ!」「危ない!」「キース!」「小遣い稼ぎ、ばれてもた」「は?」。

「痛い痛い、痛い」「よう許しもなく商売してくれたの」「何が大イタチや」「ええやないか、ちょっとくらい!」「何? 腕へし折ったろか、おら!」「それは堪忍してぇや」。

「何や、お前らもグルか! あ?」「へ?」。

「逃げろ!」「おてん様!」「この2人は関係ない! 逃げろ! キースもはよ!」「お前らまとめて鴨川に沈めたる!」。

「藤吉さん!」「危ない!」。

「藤吉さん!」。

「おお…びっくりした! 何や、何や!」。

「起きんかい!」「お前…」。

「いよいよ、男と男の対決。いえ、果たし合いでしょうか?」。

「何で戻ってきた?」「俺はただ、やらなアカン事が…」「てんは、婿さんもろて、藤岡屋を継ぐ身ぃなんや。お前なんかの出る幕やない!」「離してくれ! 離せ!」。

「お前、船場の米問屋の長男いうてたが、店はどうする気ぃや」「俺は、商人としては、役立たずや。そやからなんとか、芸で身を立てるしか…」「やかましいわ! 半端もんのくせに、てんを奪う気か? 甲斐性もない、根性もない、ろくに芸もできんカス芸人のお前に、そんなあいつを守れると思うてんのか! 話はそれだけや。はよう大阪帰れ」。

「そやけど俺は…。どうしてもやらなアカン事があるんや!」「まだ言うか、こらっ!」。

「やめぇや!」「リリコ…」。

「藤岡屋の手代が人殴ったん知れたら、さぞかし大騒ぎやろな」。

「ハハハ! 口ほどにもない手代やったなぁ」。

「キースと、大阪帰らへんかったんか」「あんたにはうちが必要やろ?」「へ?」。

「芸も仕事もせんでええ。これからはうちが娘義太夫の稼ぎで養うたげるさかい」。

「悪いけど、一緒には帰られへん」。

「何で? 何でやのん!?」。

「惚れてるからや! そや。さっき、あいつに締め上げられて、初めて分かった。俺はおてんちゃんに、惚れてしもうたんや」。

「うちは絶対あきらめへん!」。

「しつこいやっちゃな!」。

「捜しましたで、ボン」「番頭さん、何でここに?」。

「リリコはんいう人が教えてくれはりましたんや」「え?」。

「それより、ごりょうさんが、倒れはったんでっせ」「お母ちゃんが?」。

「今すぐわしと一緒に、大阪に、戻っとくれなはれ。さ」。

「ちょっ…待ってくれ。必ず、今日中に戻る。戻るから、頼む。もうちょっとだけ、待ってくれ」。

わろてんかロケの痕跡を探して社務所のあたりを見てたら、宮司さんに声をかけていただきました。「なにかご用ですか?」
「あの、わろてんかのポスターがないかなと」
「ああポスターですか。こちらです」
「あるんですか?」
「はい。このポスターは借り物ってことになってるらしくて」
「シリアルナンバー入ってます?」
「シリアルナンバーはないんですけど、管理が厳しいというか、ドラマの放送が終わったら返すか、責任をもって処分してくださいと言われてます。人気のある俳優さんが出てると盗まれてオークションに出たりするらしくって」
「ああ、なるほど」
「それで外にはっちゃダメだと思ってなかに貼ってるんです」
「そうなんですねー」
「わろてんかのロケ地を見に?」
「はい」
「それはわざわざ。みなさんよく仰るのですけど、来てみると意外と狭いって。テレビだと広く見えるんですね。こちらは映画のロケとかもあるんですけど(大河ですと平清盛と功名が辻、映画は信長協奏曲です)、スタッフさんに聞くと、カメラで撮るとサイズ的にちょうどいいんだそうです。京都に神社はいっぱいあるけど、昔の雰囲気をそのまま残しててカメラ映りがいい神社はなかなかないんだそうです」
「なるほど。風情がありますね」
「わろてんかの場所、分かりました?。お百度のところとか?」
「わかりました」
「灯篭のところは?」
「わかりました。一箇所だけわかんないところがあるんです。寄席小屋がわかんなくって」
「ああ、寄席はこっちです。この建物を隠すように天幕をはってました」
「なるほど。じゃあ寄席は外側だけロケなんですね」
「そうみたいです」

「ロケ地を見に来るかた増えました?」
「ご覧の通りw(3時間近くいて、参拝客は5人。まぁ平日ですし)。ちょっとだけって感じですね。わろてんかでは屋台とか提灯とか幕とか賑やかになってましたけど、普段はこんな感じです」
「セット組むのどのくらいの日数かかったんですか?」
「3日くらいですね」
「ほう」
「いまここにないものは全部撮影のために持ち込んでました。灯篭のところはアスファルトなので砂をまいてました」
「NHKが持ち込んだんですね」
「どうですかね。撮影はチームでやってましたよ」
「チーム?」
「はい。NHKとか松竹とか東映とか。あと、例えば撮影美術専門の会社が来てたり」
「へぇー」
「NHKだけで全部をかかえるのは難しいんじゃないですかね。いつも時代劇の撮影があるわけではないから。みんな顔見知りのようで、気心がわかってる雰囲気でしたよ」
「そっかぁ。時代劇だととくにそうですよね。最近民放が時代劇やらなくなったし、関西で時代劇を撮ることも少なくなりましたからね。撮影はいつごろ?」
「5月と7月の二回です。5月は21日、22日、23日の三日間でした」
「撮影自体は短いんですか?」
「いえいえ。一日中撮ってました。お百度詣りのシーンは、撮影が終わったのは23時過ぎてました。ウチは自営業というか、時間に融通がききますので」
「そんなに!。キャストやスタッフはその間どちらに?」
「あの寄席の天幕で隠した建物のなかが広間になってて、そこで休憩してました。宿泊してたのは油日ではなくて、水口のほうのようですね」
「そうですか」
「このあたり廻られるんやったら、資料いります?」
「はい、ぜひ!」
「今日はどちらから?」
「東京です」
「そうですか。それはわざわざ遠いところを。車ですか?」
「いえ、電車とレンタカーです」
「そうですか。私も関東なんです。神奈川です」
「え?」
「そうなんです」
「どおりで言葉が」
「はい。当社は甲賀武士の神社なんです」
「こうか?。こうが、ではなくてこうかなんです?」
「わたしもこうがだと思ってました。本来はこうかなのですけど、伊賀忍者に甲賀忍者ですから、こうがに変格されて全国に伝わったようです」
「そうなんですねー」
「甲賀地域は、いまでも名残があるのですけど、むかしは鹿深とよばれていて、甲賀は鹿深から変じたものだと言われています」
「そうなんですねー。こちらの縁起はどのくらいなんですか?」
「それがよくわからないんです。公文書では878年にはじめて油日の名が出ているようです。建物の創建は、本殿は1493年です。楼門と回廊は1566年と言われています」
「応仁の乱のころ?」
「いえ、もっと後です(恥ずかしい100年もちがってた^^;)。信長がこのあたりを焼き回ってたころですね」
「そか。天正伊賀の乱がありましたね。家紋というのかしら、なんとなく織田の家紋に似てるなぁと思ってたんです」
「いえ。当社の神紋は木瓜に二ッ引ですから、織田の五つ木瓜とはぜんぜん違います」
「失礼しました。そもそも敵ですもんね」
「二ッ引は足利幕府に貢献したということで使われるようになったそうです」
「そうですかー。信長の焼き討ちによく耐えましたね」
「この神社の下が水脈になってるみたいなんですよ。先日の台風のときも、今はわからないけど境内のあちこちから水が湧いてきたんです」
「へぇぇ」
「回廊の下のほうを見てください。床があって下が空いてるでしょ?」

「はい」
「あれは水害対策なんです。床がある回廊は全国でも珍しいんだそうです」
「陸上の厳島神社だ。いろいろありがとうございました!。お話をお聞きできて楽しかったです」
「ごゆっくり」

どこかで観た覚えがあるなと思っていましたけど、こちらの油日神社はごちそうさんのロケ地でもありますね。

滋賀県の朝ドラロケ地はどこにいってものどかな雰囲気が心地よくてほっこりします。いつも慌ただしいロケ地巡りですけど、貴重なお話が聴けたし、秋の一日をのんびり過ごせました。


わろてんかロケ地の旅 -20171104 BKワンダーランド② T-2スタジオ-

2017-11-06 23:42:11 | 連続テレビ小説わろてんか

晴天に恵まれました文化の日の三連休でございます。

今年も文化ウィークにBKに戻ってまいりました。

BKワンダーランドでございます。

例年のBKワンダーランドではNHKの技術を紹介するコーナーになっているT-2スタジオは、今年はスタジオセットが再現されたコーナーになっています。

T-1スタジオのセットが撮影NGになってしまったので、T-2にわろてんかのスタジオセットを再現してくれました。さすがBK。伊能栞の事務所です。ただし、一部の小道具は撮影時の実物ではありません。

この応接セットは撮影時のものではありません。それにしても、放送時から気になっていたのですけど、この部屋は不思議な三角形をしてますね。なにか理由があるのでしょうか。

フィルム。

ライトスタンドです。

鳥の置物。

栞さんのデスクです。ドラマでは、デスクの背後の柱には絵が書いてありましたね。

柱の上部の天井。

映写機。

デスクの上です。デスク灯は撮影時のものではありません。

窓側の壁です。映画のポスターは再現してありません。

幾何学的な絵がかけてありますけど、ドラマでは出てこなかったですね。

蓄音機です。ドラマでは応接セットの脇に置いてありました。

応接セットの脇卓。

その奥に妙なレリーフが置いてあります。

窓の裏側はこんな感じ。

柱の奥の窓の裏側。

栞さんのセットイメージの隣に、存在感いっぱいのセットがあります。あくまでもイメージで実際にドラマで使われたわけではないようですけど、作り込みがすごかったです。終戦直後の東京の焼け跡。東京の風景ですけど、なんとなくべっぴんさんの終戦後のシーンを想い出しました。

わろてんかのセットは細かく見なければ違いは分かりませんので、イメージは十分だったと思います。今年もBKワンダーランドでセットの撮影ができてうれしかったです。ありがとうございます。


わろてんかロケ地の旅 -20171104 BKワンダーランド① T-1スタジオ-

2017-11-05 17:18:21 | 連続テレビ小説わろてんか

台風が通り抜けると一気に秋になりました。

秋の文化祭ウィークといえば、BKワンダーランド。今年もやってまいりました。

残念ながら、わろてんかプレミアムトークは落選しました。BKワンダーランドのトークショーは毎年参加していたのですけど、年々ハードルが高くなり、ついにこんな年が来てしまいました。

負け惜しみですけど、BKワンダーランドに参加するメインの目的はプレミアムトークよりもT-1スタジオのセット見学です。今年も公開されたのですけど、予告では栞さんの部屋とのことでしたからちょっとおや?って思ってました。例年は主要なセットが公開されますから。

行ってみると、伊能家セットはT-2に設置されてました。T-2はバラエティ番組の収録スタジオですから、実際の伊能家の収録は別のスタジオで、セット自体はBKワンダーランドのために再説されたものだと思います。

さて、T-1です。今年は、セット改変のタイミングが例年より微妙に先に進行してて、すでにT-1全スペースが新セットになってました。なので、ネタバレNGということで撮影禁止とのことでした。本日二度めの残念。てか、わざわざBKワンダーランドに来た意味がほとんど無いことになってしまいました。

昨年のべっぴんさんも新セットだったのですけど、べっぴんさんは港町商店街のマイナーチェンジだったので一部の看板を隠すだけで済んでました。でも今回は風鳥亭(北村屋の新しい寄席の名前のようです)は全面新装なので、さすがにね。

でもちょっと、今後もワンダーランドのスケジュールが新セット移行後のタイミングと被るようだと、来年以降のワンダーランド参加は考えないといけないですね。観られるだけでもありがたいのだけど、正直価値大幅減です。

撮影できないので、今年は雰囲気で失礼します。

まずT-1の全体構成から。大きく二つに分割されてます。例年はエレベーター降りて右手の入り口側が新セットのため非公開なのですけど、今年は公開されてました。繰り言だけど、いっそ例年どおり非公開にしてほしかったなあ。向かって右手が風鳥亭、左手が今週登場した芸人長屋です。

それでは風鳥亭から。スタッフさんの口が堅く、てかリアルに知らされてないらしく、セット以上の情報はありません。まず風鳥亭の構成です。セットには木戸番はなく、一般的な玄関を入ると廊下。廊下の奥に売店です。表の間はお客さんの待合室です。スロープを上った続きの間が楽屋です。待合室から二階に上がる階段があって、舞台は二階なんじゃないかと思います。廊下に戻って売店の奥にさらに廊下が続きます。廊下つたいの間は風鳥亭の事務室です。その奥の間は応接室。応接室と楽屋の間に中庭があります。

では玄関から。玄関はいたってシンプルで、壁に大きな名札が三つかかってます。正十、猿子、盛一郎。ドラマに出てくる芸人かも。上がると廊下で、奥に売店があります。売ってるのは飲食物とグッズ。飲食物はあげこんぶ、みそせんべい、しおこんぶ、みかん、いかりまめ、つりかわ饅頭、粟おこし、稲荷寿司、バッテラ、お酒、ラムネです。グッズは扇子や提灯が置いてありました

廊下から待合室に入ります。お茶屋にあるような赤い敷物の長椅子が三脚。煙草盆がのってます。楽屋に入るスロープの左手には菊壇があります。そこには提灯で飾られた高札みたいなのが立ってて出演者の名札がかかってます。階段のところには大きな松の盆があります。階段のある壁には名札がびっしり。たぶん所属芸人だと思います。

のれんをくぐって楽屋に入ります。窓側に三つの化粧台が並びます。化粧道具と鏡が乗ってます。並びに姿見も置いてあります。庭側は大きめの机があります。師匠筋が使うのかな。机の向かいの窓には本がいくつか置いてあります。机の両脇は衣装をかける衣紋掛けがあります。庭側の窓の上と縁側に向かう壁に絵がかかってます。縁側には火鉢があります。

廊下に戻って売店の奥に入ります。ここには用具と事務用紙の束が置かれてます。物置になってます。突き当たると外に出るようです。裏口ですね。外には酒樽が12個積まれてました。裏口の事務室側の柱が不自然に素材の木肌がむき出しでした。たぶん塀が続いているのだと思います。セットの外側に大きな幟がいくつか立ててあります。

廊下に戻って事務室に入ります。手前から左手に会議卓、右手にポスターを作る製作台とお茶セットがあります。中央に向かい合わせで置かれた事務机が四つ。奥側は事務室の内側を向いて机が左右に並んでます。おてんさんと藤吉郎の机かしら。棚は四箇所。手前側にラジオが乗った棚。待合室側に長い棚があって製本された書類が整然と置いてあります。奥側の机の後ろにも左右それぞれ棚があります。会議卓の横には黒板があって、大阪市内の地図がはってあります。たぶん管理している寄席の場所を示す寄席マップだと思います。廊下側の壁にも寄席の写真が並んでて、これも管轄の寄席なのでしょう。待合室側の壁には名札が並んでます。所属芸人だと思います。その上に神棚があります。神棚の左手に大入札。奥側の壁には、あの北村屋の「始末 才覚 算用」の軸がかかってます。その隣に「人財」の軸もあります。応接室に入る入り口の左手に縦長の軸がかかっています。細かい字がびっしり書いてあって遠目にはなにが書いてあるかわかりませんでした。ドラマで出てくるのかもしれません。

応接室には扉がなかったと思います。中央に応接セット。庭側に障子があって、庭自体は小さいのだけどわりと広々して見えます。机の横には螺鈿細工の小棚があってキリコの花瓶が置かれてます。その隣に大きな衣紋掛けがあります。応接室の奥は全面壁で窓はありません。壁には絵がかかってます。

芸人長屋のほうはすでに登場しましたし、来週から中心的な役割を果たしますから簡単に。江戸時代の名残りのような木戸を通ると左手に長屋が三つ続きます。突き当たりが井戸。三つ長屋の向かいが一番大きい戸建てで、北村家の住まいです。木戸の右手に隣合わせの長屋が二つあって、奥側がリリコの部屋です。キースとアサリの部屋は三つ長屋だったと思います。北村家の路地向かいは二軒。大きなたぶん御店と寄席のようなのれんがかかったお家が並んでます。おてんさんと藤吉郎の最初の寄席小屋はここかも。北村家は玄関を入って左手に台所。へっついも調理台もわりあい広いです。調理台の横に大きな甕があります。部屋は二つで、玄関側がおてんさんと藤吉郎の部屋。奥側が啄子さんの部屋。部屋のしつらえは省略します。

芸人長屋の奥の壁板に落語研究会の小さな広告が何枚かはってあります。噺家の名前を見ると風鳥亭の所属芸人ではなかったのでドラマには登場しないのでしょう。ある種のエイジング。でもここにBKの本気ギミックが隠されてます。噺家のなかに、徒然亭、土佐屋、万葉亭の屋号が見えます。そうです!。ちりとてちんオマージュ!!。上方落語三国志の揃い踏みです。噺家の名前は、徒然亭四兄草(たぶん、しにそう)、土佐屋太尊(おおぞん)、万葉亭京柳(きょうりゅう)。四兄草って、草原兄さん、草々兄さん、小草若兄さん、四草兄さんを思い出しますね。いまのところ噺家は設定されてないけど、そのうち出てくるのでしょう。誰がやるのかな。

風鳥亭と芸人長屋は時期がちょっとずれているかもしれません。風鳥亭はずいぶんと立派ですから北村家がまだ長屋住まいとは思えません。例年ですと、現在は12月中旬放送分を収録中だと思いますので、その時分に長屋から引っ越すのかもしれません。長屋のほうは解体されて後半回の新しいセットが組まれるんじゃないかと思います。べっぴんさんのときは坂東家の新居とレリビィを作ってました。

T-1のセットは今回はタイミングが合わず、撮影NGでしたけど、春のセット公開ではたぶん撮影できそうです。でも実際のスタジオでセットを見学できるのは年に一回だけですから、今年はとても残念でした。こころを鎮めて春を待ちます。BKさんには、来年は本来のサービス精神全開でお願いしたいです。