ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2019J1リーグ第13節セレッソ大阪vsFC東京@ヤンスタ20190525

2019-05-26 15:16:43 | 連続テレビ小説あさが来た

5月なのに真夏日。

ちょっとはやいのですけど、今年も短パーニに衣替えです。

5月は大阪ではじまって大阪で終わる。大阪ダービーの仲人は東京なのかもしれませんね。You'll Never Walk Alone♪

ついに、今シーズン初敗戦です。

東京はヒョンスがサスペンション。シフトはダイヤモンドの4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲと剛。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

セレッソは曜一朗がお休みです。シフトは4-2-3-1。GKはジンヒョン。CMはヨニッチと木本。SBは右に陸左に丸橋。CMは直之とデサバト。WGは右に宏太左にキヨ。トップ下は奥埜。1トップはメンデスです。

苦手三連戦の中日は、実績としても連敗中のヤンスタです。

ロティーナセレッソ船出となった2019年。ロティーナさんのサッカーは、申し訳ないけど宗旨上の都合で前任チームの試合をみるわけにいかないので初見です。スペイン出身というイメージだけで、積極的に主導権を握ることを狙うスタイルだと思っていました。実際に観ると、たしかにその通りなのですけど、いわゆるバルサスタイルではありませんでした。スペインにもリアリストはいるんだなと、ちょっと新鮮な気分です。

2019年のJ1のトレンドになりかけたスペイン風邪は、現時点では流行することなく、神戸の瓦解をきっかけにもはやマイノリティに下がっています。唯一存続しているロティーナさんは、残っているだけのリスペクトすべき理由があるのだと思います。その理由のひとつはクラブとしての揺るぎないポリシーがあること。つまり一時の流行を追ってのスペインではなく、セレッソイズムの延長線上としてのロティーナさんであること。ふたつ目はサポーターの品格。セレッソサポは都会的で常識的な振る舞いをするイメージがあります。データがあるわけではないけど比較的平均年齢が高めなのと、大阪中心街だけでなく奈良や和歌山を生活圏としているかたが多いためだと思います。三つ目はなんといっても歴史。Jリーグこそ無冠ですけど、かつての第一人者ヤンマーですから。

さて、ロティーナさんのアプローチはとてもリアリスティックです。就任初年度は、ロティーナスタイルを確立することを優先しているようです。まあそれは誰しもそうなのでしょうけど、理念を優先してかたちにこだわるのではなく、結果を優先していることが、他のスペイン人監督と違い、ロティーナさんを好意的に感じる理由かもしれません。2019ロティーナセレッソは、守備を優先したチーム作りを進めているようです。

その核になるのがCMの二人。ロティーナセレッソの布陣の変遷をみると、CMは必ずしも当初想定通りではなかったようです。そういう意味では、今日もベストマッチングではないのかもしれません。でも、今日のデサバトと直之のパフォーマンスをみると、このコンビをしばらく継続すべきなんじゃないかと思います。それほど今日のコンビは強力でした。

セレッソは、謙佑のマークを捨てたと思います。これは東京対策として、ユニークな発想でした。東京の好調は、いうまでもなく攻撃陣が引っ張っています。今年の好調の理由は、とるべきときに点を取れているから。負け試合や引き分けを勝ち点に変えられるようになっているためです。守備陣単体でみると昨年とそれほどクオリティに差はないと思います。

攻撃陣にフィーチャーすると、もちろん建英です。ディエゴと謙佑、それに慶悟は、すべてのピースが揃うと強力なことは昨年証明できました。でもコンディションの問題であったりあるいは相手の対策によって分断されることで攻撃力を減衰したこともまた、体験したことです。そこに建英が加わることで、既存の攻撃陣の負担を分散することができました。ただ、サッカーはあくまでも個人が集合したスポーツである原則は変わりません。つまり建英が加わったとしても、本質的には個人のコンディション不良のリスク分散ができたに過ぎません。

セレッソは、東京攻撃陣の分断をはかります。そのターゲットにしたのがディエゴと建英です。まず建英。建英がボールを持つと、丸橋を中心にキヨと直之が絡み、ダブルチーム、ときにトリプルチームを仕掛けます。これにより、建英がフリーになる状況はほぼ皆無になりました。建英に対する不安は未知数の部分です。トップカテゴリーでフルシーズン闘った経験はもちろんありませんから、体と判断力と視野のキレに波が起こることは不可避でしょう。丸橋、キヨ、直之クラスの守備能力に対し、今日の建英のコンディションはストロングポイントには成り得ませんでした。建英は、逆サイドに流れた場合を除き、ほぼ存在感を消されます。

つぎはディエゴ。建英に増してディエゴのマークはタイトでした。ディエゴは下がり加減でボールを受け、そのまま前を向いて仕掛けるプレーを得意にしています。セレッソはそこからのカウンターを嫌います。ポストを受けるディエゴに対し、デサバトと直之がタイトコンタクトを辞さず、マークします。これが成功し、ディエゴの自由が奪われます。

一方謙佑に対しては、セレッソはある程度の仕掛けを許容したのではないかと思います。もちろん東京が重心をあげるきっかけを作るリスクが伴うのですけど、実験的な意味も含め、東京攻撃陣の組織的な連携の鍵は、謙佑ではなくディエゴと建英とみたのでしょう。そして、結局試合を通じ、この割りきりが奏功しました。

セレッソの攻撃は、守備を優先するためまだまだ発展途上です。基本スタイルはポゼッション。この点はさすかにスペイン的な発想です。攻撃ルートはほぼサイド。時間をかけてビルドアップしながら、高く上がったサイドで基点を作ります。攻撃のリズムは二列目の三人が作ります。奥埜、宏太、キヨは頻繁にポジションを変えます。これにより生じる混乱から、スペースのギャップを作ることが狙いです。ポジションを入れ替えますけど、二列目三人の役割は明確に別れています。キヨがゲームを作ります。奥埜は豊富な運動量からフィニッシュにも絡む仕事。宏太は左サイドに固定され、陸との絡みで数的優位を狙います。今日のセットは、このためバランスがとても良かったと思います。これに主戦である曜一朗と都倉が加わるとどんな化学反応を起こすのか見てみたかったけど、ちょっと心残りです。

バランスが良いとはいえ、セレッソは東京守備網を突破するまでには至りません。かたちを作ることはできますけど、ペナルティエリアに効果的に入ることができません。やはりもう一枚、セレッソも中央でごりごり状況を作ることができる選手が必要でしょう。

その意味では、東京もセレッソも、攻撃に一味足りないと感じました。東京はディエゴのマークを分散させられる基点です。セレッソはようするにメンデス。前半はスコアレスのまま終了。

後半は前半の流れを踏襲します。東京は、必ずしも良いとは言えなかったけど、試合が動いたわけではないので、とりあえずコンサバティブに様子みる選択でしょう。はやめに建英を真ん中にもってくるかなと思っていたのですけど、建英もコンディションがいいわけではなかったですから。この辺りは現場と傍観者の立場の違いによる見方の差でしょう。

東京はカウンターの機会が訪れず、セレッソもチャレンジングな仕掛けがなくジリジリする展開が続くなか、先に動いたのは健太さんでした。洋次郎に代えてアルを同じくCMに投入します。直前に剛が負傷したのでどうするのかと思いましたけど、プラン通りでした。まずアルが構想のなかにあること。アルのフィットが遅れていたのでしょうけど、おそらくミッドウィークのカップ戦のパフォーマンスが良かったこともあるのでしょう。編成の変更の可能性が否定できないなか、布陣のテストを兼ねたと思います。

作戦面では、リーグ戦デビューですから実戦でのアルは初見です。アルはコンダクタータイプですね。思ったよりも広範囲に動き、攻守両面で局面に積極的に絡みます。見た目通りパワーもあるので中盤の起点としてがんばりも効かせられます。この点で、トランジションの軸に成り得る存在だと思います。カウンターの起点でもいいし、ポゼッションの根拠としても貢献できそうです。作戦としては、パワーにはパワーを。中盤の支配力を高めることを狙ったのでしょう。アルの課題は、主役に成りたがりの選手にありがちですけど、志向と結果がまだ合ってないことです。コンディションと選手との距離感が改善されるともっと組織のなかでも機能できると思います。

健太さんが続けます。謙佑に代えてサンホを投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。はからずも、魔界ヤンスタの魔の時間帯に入ったので、リスクマネジメントを兼ねて主導権を握りにいったのだと思います。

ところが今日はトップ下建英が機能しません。中央はデサバトと直之の防御圏が建英に対しても機能しました。逆に、魔界の扉が開きます。

78分。例によって後方でポゼッションするセレッソ。東京がセットしたのを見た直之は、大きく右にフィードし、上がっていた陸につけます。フリーの陸はステイで受け、ルックアップ。このときゴール前は、セレッソがニアに宏太、中央にメンデス、ファアに奥埜を配置しているのに対し、当然東京はラインが整っていて、4on3の数的優位です。この状態で、陸は果敢にアーリーを上げます。おそらく陸とメンデスの間のコンビネーションなのでしょう。陸はメンデスの動きを予測してクロスを上げたのだ思います。メンデスは最初剛とマッチアップしていたのでモリゲの視界には入っていません。モリゲも剛に任せるつもりだったでしょう。でもメンデスは、ここから急にモリゲの前に出てきます。よくあるFWの駆け引きですけど、シンプルなるがゆえにはまったのでしょう。向かってくるクロスに対応しようとしていたモリゲの前にでたメンデスが陸のクロスに合わせ、逆サイドのゴール隅に決めました。ちょっと止めようがないゴールでした。セレッソ1-0東京。

これを受け、健太さんが動きます。剛に代えて輝一をトップに投入します。同時にシフトを4-4-2に戻します。拳人がCB、慶悟がCMに回ります。剛の負傷による不可抗力だと思いますけど、建英に前節のような圧倒的な存在感がなかったのもまた事実。

試合が動いたのをみたロティーナさんがようやく動きます。キヨに代えて亜土夢を同じく左WGに投入します。ロティーナさんは状況をじっくり観察するタイプのようですね。今日は作戦通りに進んでいたし、先制もできたので作戦変更を急ぐ必要無しと踏んだのだと思います。

ロティーナさんがたて続けに仕掛けます。メンデスに代えてトシを同じくトップに投入します。亜土夢もトシも、前線をフレッシュにすることで東京守備網をかき回し、東京が攻撃に専念することを予防する意図だと思います。

そして、アディショナルタイムにはいってロティーナさんが〆ます。宏太に代えて片山を同じく右WGに投入します。作戦変更がすべてアタッカーのコンディション維持だったのは、守備陣の安定に満足したためでしょう。

東京の猛攻はむなしく。ディエゴのシュートが残念だったけど、今日はサッカーの神様もセレッソのパフォーマンスを認めたのでしょう。このまま試合終了。セレッソ1-0東京。

今シーズン初敗戦の状況はイメージできなかったけど、らしい負けかただったと思います。本質である守備網を攻略されたわけではないので、許容範囲の波ととらえて良いと思います。切り替えというよりも、見つかった課題に前向きに対応することで、また新しい流れをつかみたいですね。ヤンスタは魔界だけど、バイオリズムを狂わせた実績はなく、むしろさらにパフォーマンスが上がるきっかけになることが多いですから、過剰な心配は不要でしょう。

とはいえ、今年はじめて自慢の攻撃陣が止められました。やっぱりディエゴが気持ちよくプレーできないとカウンターの威力を出せません。そして鍵を握るのは、建英。まだシフトチェンジの判断ははやいと思います。まずは建英自身のコンディションと、建英を活かす周囲の絡みかたが課題だと思います。とはいえしばらく建英不在になりますけど。

さあ、つぎはいよいよ、楽しみなニューカマー。おかえりなさいの大分です。片野坂大分を観ることは今年の楽しみのひとつ。どんなサッカーをするのでしょうね。


2019J1リーグ第12節FC東京vs北海道コンサドーレ札幌@味スタ20190518

2019-05-18 23:05:18 | FC東京

風のなかに湿気を感じるようになりました。そろそろ春もおわりですね。

長かった長かった連戦も、好調のままに過ごしていると、気づいたらあと三戦。ただラスト3ハロンは苦手が続きます。

最初の対戦は札幌。苦手ミシャサッカーの現在地です。北海道にはなつぞらでシンパシーを感じる2019年ですけど、今日ばかりはさにあらず。You'll Never Walk Alone♪

前後半でまったく違うチームになり、最後は横綱相撲で快勝です。

東京はベストメンバーが戻ります。シフトはダイヤモンドの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

前線に怪我人がたてこんでいる札幌は、チャナが戻りました。シフトは3-4-2-1。GKはソンユン。3CBは右から進藤、ミンテ、福森。WBは右にルーカス・フェルナンデス左に菅。CMは宮澤と深井。2シャドウは右に荒野左にチャナ。1トップは武蔵です。

前半と後半でまったく異なるチームになることは時々目にすることですけど、それがその場の想いつきではなく、ぼくらファンが分かるほどに監督の明確な意志によるものであることはめったにないことです。それも、シーズンイン、いや編成時点からの意志であればなおさら。今日は、健太さんが描いた2019年東京の理想形を示すことができた、エポックメイキングな試合だったのではないかと思います。

というわけで、今日は前半と後半の対比をしてみたいと思います。いつもは相手チームから観ていくのですけど、今日は札幌。もはや見慣れたミシャサッカーですからあえて省きます。とはいえサッカーはいうまでもなく相対的なスポーツ。今日の東京の成果は、相手がミシャ札幌なればこそです。そういう意味でも、まずはミシャと札幌に敬意を払いたいと思います。

前半と後半をあえて特長付けすると、前半は受動的なサッカー、後半は能動的なサッカーです。受動的という表現はなんとなくネガティブな響きがしますけど、サッカーにおいてはけしてそんなことはありません。まだまだ能動的なサッカーを良しとする傾向がありますけど、サッカーが本質的に相対的であればこそ、実は受動的なサッカーのほうがおもしろさの密度が高いと見ることもできます。受動的サッカーの国内第一人者の東京サポであれば、いわずもがな既知の通り。

東京は通常通りの闘いかたで臨みます。ディエゴと謙佑を走らせるロングカウンターモードです。ミシャサッカーが本来はポゼッションスタイルであることもあり、札幌に攻撃権を渡しつつ、そうして作られたスペースを狙う作戦です。ところが札幌は、これは札幌のオリジナルでもあるのですけど、二つの点でミシャらしくありません。ひとつ目はハイラインです。ふたつ目は縦に急ぐ攻撃。そう札幌は、ミシャなのにハイプレスからのショートカウンターを主武器とするスタイルなのです。

札幌がコンパクトな5+4の守備陣形を敷きつつフォアチェックは控えるため、自ずと東京も攻撃権を持たざるを得ません。互いにカウンターを伺いながらポゼッションを強いられるジレンマに入っていきます。でもこの展開を望んだ札幌にとっては思うつぼだったでしょう。ポゼッションの相四つとなるとそもそもポゼッションスタイルも作戦として持ち合わせる札幌のほうに分があります。CMを一枚下げることでサイドCBを上げ、そのままWBを最前線まで押し上げるミシャ独特の攻撃陣形が機能し、攻撃方向を左右に散らすことで東京のプレッシングを避け、ボールを保持し続けます。これで試合のイニシアチブは札幌に渡ります。

札幌の調子のバロメーターはサイドCBです。ともに超攻撃的な進藤と福森が基点ではなく最終局面でシュートに絡む仕事ができているときは完全に札幌のリズムです。とくに福森のタスクはさらに進化しています。ときにゴール前でトップ下のような役割を担います。どうやら東京は、札幌に上手くふるまわれ、ネガティブな意味で引かされることになります。受動性があだとなります。

この時間帯に失点しなくて良かったと思います。失点しなかったのは、ミシャサッカーの負の癖が働いていたこともひと役かいました。札幌は攻めこむ割にシュートを打ちません。もちろん例によって東京の守備陣形に隙がなく、ペナルティエリアに効果的に入れないことも起因しているのですけど、ペナルティエリアに入ることを目的とするあまり、シュートへの積極性を見失ったような攻撃が繰り返されます。なまじプラン通りに進められたもので確実性を優先したのか分かりませんけど、多少遠目からでもフリーで狙われたほうがよほど怖かったと思います。

一方東京は、ディエゴと謙佑のコンビ、あるいは建英と成のコンビでなんとか高い位置に進入し、攻撃のアプローチを試みます。このチャレンジのおかげで、札幌にイニシアチブを渡しつつも、いつでも一矢報いられる態勢を作ります。前半は、緊張感あふれるつばぜり合いのなか、それでも札幌が望むサッカーを見せながらもスコアレスのまま終了。

後半も、スタート時点は互いに前半を踏襲します。東京もとくに押し込まれ続けたわけでもなく、有効な攻撃を見せていましたから。まずは無敗の流れを尊重したというところでしょう。

きっかけは謙佑が負傷したことです。健太さんが動きます。謙佑に代えてサンホを、いつもよりちょっとはやめに投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。サンホは右WG。建英がトップ下に入ります。謙佑に深刻な影響があるようには見えませんでしたので、直接的には大事をとって交代させたのだと思います。連戦も終盤ですし。

ところが、この交代で試合展開はガラッと劇的に変わります。あれほど堅調を保っていた札幌守備陣が、まるで別チームのように不安定になります。理由はもちろん東京の作戦変更です。まずサンホ。建英と違って、アグレッシブに縦に仕掛けるスピアタイプのサンホが狙ったのは菅の背後のスペース。これによって、菅をフォローすべく福森が本業のDFの仕事に専念することを強いられます。たったこれひとつで、札幌得意の包囲網型攻撃陣形の一画が崩れます。同様にディエゴがルーカスの背後にダイアゴナルに入ることを繰り返すことで進藤の位置を下げます。さらにディエゴとサンホは撹乱だけでなく、ポスト役もこなします。こうして東京は、左右のサイドの高い位置で基点を作ることができるようになりました。

このことは副産物を生みます。いやむしろ、健太さんのホントの狙いはこちらだったのでしょう。札幌の堅陣の中央にスペースができるようになります。もちろんミンテと両CMがいるのですけど、東京の攻撃が左右にワイドになることで、三人のポジショニングにもズレが生じ易くなります。そしてそこには建英がいます。建英はまさに水を得た魚の如しでした。次々とフリースペースでパスを受け、仕掛けます。建英が中央で時間を作れるようになることで、ディエゴとサンホも仕掛けられるようになるポジティブスパイラルが生まれました。

こうして東京は、前半とは真逆で自ら能動的にペースを握りにいき、成功します。この影には、ディエゴを引き留め、建英を呼び戻し、サンホにラブコールした、編成時点からの今シーズンの長い積み上げがあります。きっと健太さんは、受動から能動に切り替えられる、二枚腰を持つチームを作りたかったのだと思います。どちらがメインというわけではなく、相手や状況によってスタンスを変えられる、そんな懐の深いチームの姿を垣間見ることができました。そしてすぐに結果として結実します。

59分。アタッキングサードに入った辺りの成のスローインから。これを受けたサンホの落としからの建英の仕掛けはミンテに防がれます。ミンテは宮澤に渡してクリアを願いますけど、コントロールミス。宮澤のトゥに当たってイーブンになったボールにディエゴが仕掛けます。あわてた宮澤は荒野にホスピタル。これが、荒野の前に入った諒也へのパスになりました。諒也はソンユンを見て、丁寧に左足で流し込みました。東京1-0札幌。

かたちは札幌のミスによる自滅ですけど、チーム全体が縦に仕掛ける意欲がパワーアップしたことにより、札幌のミスを誘引したのでしょう。そして、勢いのまま一気に突き放します。

69分。ミンテのFKから福森が一気にアタッキングサードの菅を狙ってフィードを送ります。菅はサイドを変えようとルーカスに送ります。ルーカスは慶悟と競り合いながら落としますけど、コントロールミス。イーブンボールになります。これを拾ったのはディエゴでした。カウンターが発動します。3on3。ディエゴは素直に前方を走る建英に渡します。ペナルティエリアでパスを受けた建英はもはや完全に時を独占していました。進藤が対峙していたのですけど、建英がボールを持った瞬間、ゴールが予見できました。東京2-0札幌。

なんとなく建英は一本でたら量産態勢に入るんじゃないかと思っています。これまでは、ポジションも影響してちょっと難易度が高いシュートが多かったのですけど、それがポストやバーに当てていた原因だと思います。最前線に入ることが増えると、今日のようなイージーなシチュエーションも増えると思います。

これまでさんざ苦しんできたミシャスタイルですけど、壁を越えてみると案外壁は薄かったですね。ミシャスタイルには能動的なサッカーで立ち向かったほうが良いということなのでしょう。それでもやっぱり、ブレイクスルーを果たしたのは、作戦に選手のクオリティがシンクロしたおかげです。これまで苦しんできた分、逆に得意にして取り返したいですね。

もちろん札幌には、駒井もアンデルソン・ロペスもジェイもいないというエクスキューズがありますし、札幌ドームの魔物という最大の味方もあります。アウェイが楽しみです。さて、ビハインドを追ってミシャが動きます。菅に代えて中野を同じく左WBに投入します。サイドアタッカーのコンディションを考慮するミシャの常套です。

ミシャが続けます。荒野に代えて金子を同じく右シャドウに投入します。これもシャドウのクオリティ維持のため。常套。

さらにミシャが重ねます。ルーカスに代えて白井を同じく右WBに投入します。これもいわずもがな。作戦の幅の狭さは、ミシャの不得手な部分です。極端にポリシーに準じる信条ゆえですから、いたしかたないでしょう。

同時に健太さんが動きます。建英に代えてマコをCMに投入します。同時にシフトを4-4-2に戻します。洋次郎がトップに回ります。ちょっとはやいのですけど、クロージングの意図です。

札幌が縦に急ぐようになります。カウンター偏重になってくると札幌は、チャナにボールを集め、状況打開を託します。チャナのドリブルは十分脅威なのですけど、あまりにもチャナに集め過ぎるとさすがにチャナも困るでしょう。それにしてもチャナに対峙し続けた拳人の粘り強さは、今日の勝利を引き寄せたポイントでした。そもそも札幌がペナルティエリアに入れなかったのは、拳人をはじめとする中盤の守備が強固に安定していたためです。

そして、健太さんが〆ます。ディエゴに代えて輝一を同じくトップに投入します。試合は安定していたのですけど、輝一の気迫を感じたんじゃないかと思います。

輝一の引っ張りもあり、引きすぎることもなく、安定のまま試合終了。東京2-0札幌。眠らない街♪

ミシャを撃破した感慨は、東京の強さ、逞しさのむこうにあまり感じませんでした。好調のなかにあっても、やっぱりレギュラーに頼らざるをえず、去年のことがありますからどこかしら先行きへの不安をそこはかとなく感じていました。でも、どうやらようやく、去年とはちょっと違うんじゃないかと実感できるようになりました。You'll Never Walk Alone♪

無敗であることも忘れるほど、連戦疲れで落ちるどころか、チーム状態は上がっているように思えます。お休みしていた諒也がリフレッシュできたのか、活き活きしていました。諒也に限らず、やりくりのなかチームのコンディションとモチベーションの調整が上手くまわっていることがうかがえます。彰洋と諒也と建英のシュワッチ。

さて、いよいよ因縁のヤンスタです。


まんぷくロケ地の旅 -20190505 神戸-

2019-05-16 19:29:31 | 連続テレビ小説まんぷく

子供の日でございます。

ゴールデンウイークの旅の〆は、ロケ地めぐりの旅。本放送はおわりましたけど、まんぷく最後のロケシーンに向かいます。

元町駅の東口を元町商店街側に出ます。

だーいきゅうのモデルになったのが懐かしい、大丸神戸店です。

大丸の東側、旧居留地38番館と区画続きの素敵な並木道です。

今日は子供の日。スティーラーズの選手をはじめとする皆さんが、ストリートラグビーのイベントに参加されてました。

それでは、最後のまんぷくロケ地めぐりをスタートします。

「そしてついに、その日がやって来ました」。最終回!。まんぷくヌードルを㏚する歩行者天国の会場。

「ついに、歩行者天国の日がやって来ました」。

「しゃ!始まったで!」。

「萬平さん」「よし、いくぞ」「やるぞ!」「はいっ!」。

「吉乃、そっちにヤカンある?」「大丈夫」「絶対売ったるで!」「はいっ!」。

「ああ、ありがとうございます」「お待たせしました」「3分お待ち下さい」。

「世良さん、お湯がなくなる」「そんなこと言われても… はよ沸かんかい!」。

「みんなご苦労さま」。

「ご苦労さまでした!」「みんなが頑張ってくれたおかげで、今日用意したまんぷくヌードルは、全て…完売だ!」。

「今日は我々にとって、記念すべき日だ。本当に、ありがとう」「ありがとうございました!」「みんなようやった!」「よかったな!」「はいっ!」。

「あっ、あっちにも」「あっ、はい」。

「ありがとうございます」。

これにて、まんぷくロケ地めぐりの旅はおしまいです。まんぷくは紆余曲折あったけど、みんなが萬平さんを応援していて、ほのぼのとしてほっこりする作品でしたね。再放送でまた会う日まで。


2019J1リーグ第11節FC東京vsジュビロ磐田@味スタ20190512

2019-05-13 22:42:56 | FC東京

梅雨のまえの初夏は、街がいちばん華やぐ季節。

母の日です。青赤のお母さんにとって幸せな一日になりますように。

休み明けのせいか、ひさびさの長期出張のせいか、つかれが抜けない週末。でも、週末にたのしみが待ってるっていいですね。

五月のホーム初戦は、磐田。You'll Never Walk Alone♪

建英の建英による建英のための試合!

東京は洋次郎がサスペンション。ヒョンスがふたたびお休みです。さらに諒也もお休み。連戦の影響がそろそろ心配になってきました。シフトはダイヤモンドの4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲと剛。SBは成と宏介。CMは慶悟と拳人。メイヤは右に建英左に晃太郎。2トップはディエゴと謙佑です。

磐田は前節と同じオーダーです。シフトは3-4-2-1。GKはカミンスキー。3CBは右から祥平、健太郎、新里。WBは右に松本左に大記。CMは田口と上原。2シャドウは右にアダイウトン左に大貴。1トップは中山です。

時として、サッカーをことばで表すことはナンセンスになります。そんな試合が数年に一度くらいあるのですけど、今日はそんな試合でした。それも嬉しいことに。

いちおう、サッカーをことばにすることが主旨のブログなので、レゾンデートルのために建英がゴールするまでのお膳立てを振り返ります(^_^;)

現状の磐田にはイメージがありません。あまり過去を引きずっても意味がないのだけど、王者であったころの闘いかたは今は微塵も感じられません。もともと当時も選手ありきのスタイルでしたから、型があるようで無いのが、いまとなっては磐田のスタイルだったのでしょう。現実問題としてJ1に留まることが目標でしょうから、持てる編成と状況に合わせてアジャストしていくことがマネジメントの仕事になると思います。

そういう事情もあり、名波さんはリアリストなイメージがあります。今シーズンもなかなか編成が揃わず、調子が上向かなかったけど、前節満員のアウェイでドラマチックに勝ったことを受け、ようやく2019年の本来のスタイルで闘うことができるようになったと思います。

磐田の基本は、サイド基調のポゼッションスタイルですけど、2ndオプションとしてカウンターも持つ、ハイブリッドスタイルです。1stオプションの特長は、CMの使いかたです。田口と上原は役割分担します。しかもダイナミックにポジション変更をするので、運動量が豊富です。基本的には上原が最終ラインに入ってオーガナイズするのに対し、田口は前に出て積極的に攻撃に絡みます。でも上原も頻繁に攻撃参加するので、必ずしも攻守で役割分担しているわけではないのでしょう。

本来の磐田は、超攻撃的な志向にあると思います。象徴的なポジションがCBです。祥平も新里も攻撃時には中盤までポジションを上げてポゼッションの基点になるとともに、最終局面に顔を出しことも度々あります。このあたりはミシャスタイルを彷彿とさせます。サイドCBを上げる意図は、もちろんサイドでスモールゾーンの数的優位をつくることと、WBの可動域を広げるためです。松本と大記はインサイドに絞って位置取ることがあります。攻撃参加するCMを絡めて中央で数的優位を作って、ポゼッションの効率を上げようという意図です。

磐田がよくある勇敢さのないポゼッションサッカーであれば、今日はいくぶんかくみし易かったでしょう。磐田が東京を苦しめた理由はむしろ、磐田のオリジナルスタイルにはないかもしれません。磐田が繰り出した東京対策はふたつ。ひとつは、密集度の高い囲い込みを基調とした守備です。ディエゴ、謙佑、建英は完全なるフリーを得にくくなっています。ディエゴと謙佑はスペース、建英はドリブルコースを消され、チームは縦への推進力を失いつつあります。むしろ磐田の矜持はここにあるでしょう。東京が誇るトリデンテが揃っていても各個に封じられる守備技術が備わっているわけですから。

もうひとつはカウンターです。磐田は攻撃にダブルスタンダードを持つチームです。おそらくアダイウトンがいて、かつ嘉人を使わなければ十分武器になる作戦だと思います。東京は、引けばポゼッション上げればカウンターという、多少機械的ではあっても判じ物のように繰り返す磐田のダブルスタンダードに苦しみ、流れを掴んではまた放すという、あまり見かけない展開に陥っていきます。前半はスコアレスのまま終了。

後半も前半の流れを踏襲します。磐田が繰り出すダブルスタンダードの対応はクリーンシートという結果や見た目以上に大変だったと思います。リーグ戦二回目のモリゲと剛のコンビは、終始安定していました。剛の対人防御技術は、前回のスターターの印象を翻すことなく、むしろ安心感すら覚えました。試合後にディエゴが剛に熱心に話しかけていた理由を、機会があったらぜひどなたか、ディエゴか剛に聞いてほしいと思います。もしもディエゴが自分と同じ気持ちであれば、称賛と感謝と、次は攻撃陣が頑張るぞという宣言を話していたのでしょう。

さて、先に動いたのは健太さんです。謙佑に代えて輝一を同じくトップに投入します。そろそろレギュラーアタッカーのコンディションを考慮しないといけませんし、これから暑くなってくると、バックアップからもヒーローを期待したいですから。

さらに健太さんが続けます。晃太郎に代えてサンホを同じく左メイヤに投入します。一段高い位置にメイヤを置く、攻撃的布陣で点を取りにいったのだと思います。それでも磐田の守備は崩れず、試合が動く気配が起こりません。

そこで名波さんが動きます。上原に代えて荒木を左シャドウに投入します。大貴がCM、アダイウトンが右シャドウにそれぞれ回ります。攻撃陣をリフレッシュする意図だと思います。

直後にアクシデントが起こり、名波さんが対応します。松本に代えて嘉人を左シャドウに投入します。荒木が右WBに回ります。嘉人投入は予定通りだったと思います。でもホントは最前線に嘉人を置いて、アダイウトンを走らせた後のセカンドアタッカーを期待したのでしょうし、そうであれば怖かったですね。中盤に下がる嘉人が空回りするシーンは、我々はさんざ見てきましたから。

さらに名波さんが重ねます。中山に代えて航基を同じくトップに投入します。磐田の攻撃は、アダイウトンもしくは中山におさまったときに機能していました。中山は泥臭く体をはってポストに徹し続け、十分に機能していたと思います。航基への交代はリフレッシュのためでしょう。

と、ここまでは、いちおうサッカーは22人+最大6人、90分間でやるスポーツとレギュレーションで決まっていることですから、形式上必要なレトリックに過ぎません。アクターたちもマネージャーも、懸命かつ真摯に長い長いプロローグを演じました。玄人好みの味わい深いアペリティフは、それはそれで十分美味だったのですけど、ゴールデンウィーク明けの日曜日という微妙なタイミングで、かつ話題性が少ない磐田相手にもかかわらず、多くのお客さん、とくに子どもたちやニューカマーのかたがいらしたのは、ただただ東京の新エースをみたいため。サッカーはひとりでやるスポーツではないけど、試合を決めるのはたったひとりのエースの仕事。

84分。宏介のCKからモリゲのシュートをカミンスキーに止められた直後の、もう一度宏介の左CK。ファアに上げた宏介のクロスを今度は剛がシュート。これは航基にクリアされますけど、ロブになります。最初に落下点についた大記がヘッドでクリア。このボールがフリーの建英の前に落ちます。建英はバウンドを合わせ、左足ダイレクトボレー。これがゴール右隅につきささります。ゴラッソ。東京1-0磐田。

歓喜。

健太さんが粋に〆ます。建英に代えて怜を同じく右メイヤに投入します。建英に喝采を贈る時間をつくるとともに、もうひとりの秘蔵っ子、怜を披露しつつ、怜に刺激を送る意図でしょう。建英がブレイクスルーを果たしましたから、次は怜の番。

もはやエンドロールが流れるなか、ただただ喜びの時間が流れます。このまま試合終了。東京1-0磐田。眠らない街♪

ついに建英が東京でJ1リーグ戦初ゴールです。建英をみんなで祝福する様子を見ても、チーム状態のよさという表現を越えたあたたかさすら感じさせられました。東京にもファミリーができた瞬間だったかもしれませんね。建英のシュワッチ

磐田には申し訳ないけど、首位攻防から続く難敵、さらに札幌、セレッソと苦手を迎える谷間のような節は、それはそれで難しい試合になるかなと思っていました。東京は伝統的に五月の下位相手に苦労しますから。まして前節ドローの後で連続スコアレスは、さすがにバイオリズムの低下を言われても抗えない状況になりかねませんでした。建英のひとふりが、いろんな意味でチームを救ってくれました。

以前無敗ですけど、案外勝ち点差は開かず。さらに名古屋と川崎という実力者が追撃態勢を整えて狙ってきてます。記録なんか意識してられない緊張感はもちろんはじめての経験。ドキドキの週末がまたきます。


いだてんロケ地の旅 ―20190426 玉名―

2019-05-11 22:04:18 | 大河ドラマいだてん

今年のゴールデンウイークはたびから旅へ。

ひと足はやく連休入りして、最初の旅は熊本。

しばらく心が動く大河がなかったのでロケ地めぐりはやめていたのですけど、いだてんに出会い、面白すぎていてもたってもいられず。

今回は、滞在時間がそんなになかったので本格的なロケ地めぐりではなく、まずはスタートということで、大河ドラマ館におじゃまします。

やってまいりましたのは、43の地元、玉名です。

玉名駅についたら、偶然ななつ星がいました。

駅舎に金栗四三のコーナーができるようです。

玉名の町中にあるのぼり。

いだてん大河ドラマ館でございます。玉名駅から徒歩15分くらいです。平地ですけどちょっと距離がありますね。駅にタクシーもいますので、不安なかたは利用されたほうが良いかもしれません。大河ドラマ館にはタクシーはいませんでしたので、帰りは呼んでいただくことになります。

建物はこんな感じ。ひらべったいので小さく見えますけど、中身は濃いです。

チケット売り場にある、四三の巨大パネル。

金栗四三のふるさとマップ。

入場はおとな600円也です。

おなじみ記念撮影パネル。

入り口はこんな感じ。

館内はほぼ撮影NGですので、撮影OKの部分だけで失礼します。大河ドラマ館ではいつも思うのですけど、サインは著作権の都合がありますからともかくも、渋谷や谷四で撮影OKな小道具や衣装がNGなのは残念でなりません。お客さんが多い日ならともかく、今日みたいにそうでもない日はOKにしていただきたいです。

入り口でいきなり出迎えてくれる主演のお二人。

六代目。

六代目のとつけむにゃー^^。

阿部サダヲさん。

入ると反時計回りにコーナーが続きます。作品の紹介パネルに続いて、浅草のバーチャルリアリティ体験ができるコーナーがあります。その隣が寄席のコーナー。

ビートたけしさん。

次に熊本ロケ地を六代目と宮崎美子さんが紹介する動画を4Kで見られるブースがあります。10分くらいです。出るとロケ地マップです。参考になるので助かります。

その向かいが池部家のコーナー。

綾瀬はるかさん。

大竹しのぶさん。

中村獅童さんと宮崎美子さん。

玉名の街を紹介したパネルの次に、池部家周辺の設定上のジオラマです。かなり大きくて精巧なので、見飽きません。

鉄橋の下に河童。

43とスヤさんがいます。探してみてください。

その隣に43の高師の制服とスヤさんの女学校時代の制服があります。六代目は小さく見えるのですけど、けっこう大きいです。その裏側に、43の羽田選考会のときのユニフォーム、痛快男子三島弥彦のスーツ、加納治五郎のフロックコートがあります。当時の生地はフエルトだったんですね。その向かいが三島家とTNGのコーナー。生田斗真さん。

高師のコーナー。役所広司さん。

隣に金栗四三のことばやデジタルフォトフレーム、年表があります。館の中央に360度体感シアターがあって、金栗四三の功績を時間順に見ることができます。このシアターがすごくて、ホントに360度で映像が流れていて、リアルに現地にいるみたいです。最後にキャストのサインと来場者のメッセージが展示してあって、その先がお土産ものの売店でおしまいです。

館の外側は日常の玉名の風景なのに、館のなかはこの国の最先端の商業映像技術が詰まっていて、そのギャップがおもしろいです。フル4K作品はたしかいだてんが初だったと思うのですけど、それゆえか、これまでの大河ドラマ館にないテクノロジーが玉名の地でいっぱい見られて、渋谷や浜松町や谷四にいくならいざしらず、非常に貴重な体験ができると思います。

ちょっとだけロケ地めぐりです。

池部家の船着き場。

防波堤の上の蔵屋敷はCGですね。

米俵を転がしていた坂。実際に俵まつりでも転がすそうです。

上からみたらこんな感じ。

最後に。いだてんは興行的な不調が伝えられます。近年のNHKは改革が進み、べき論だけでなく結果を残す方針に転換されて10年ほどになります。その結果、記録性の高いドキュメンタリーが少なくなった反面、衰退した民報バラエティの受け皿のようになってしまったり、大河への芸人起用など、デメリットも多くあります。一方でドラマでは、時代劇の継承は採算以上の目的があるでしょう、さらに朝ドラや大河の作り手に民報で腕をみがいた方が参加するようになって、かつてのコンサバティブな壁を壊して、チャレンジングで娯楽性がある、クオリティが高い作品が生まれるようになりました。幾分実験がし易い朝ドラで、先行してそのような成功した作品が出てきていて、あまちゃんやひよっこはわかりやすい好例ですね。いだてんはその流れをついに大河に持ち込んだ、ある意味実験的な意欲作です。実験は、最後までプランにしたがって進めないと評価ができない。なんとなく、大河の視聴層というクラスタがいて、朝ドラと似ているようでいて実際はかなり中心がずれているのでしょう。ただ朝ドラと大河を同質に評価できるクラスタが確実にいることもまた見えてきています。NHK自身が変わったように、視聴者の傾向も変わる、かもしれない。いだてんは、そんな時代になってようやく評価される傑作なの、かもしれない。いや、むしろそのほうがかっけーなんて思います。

2019年大河ドラマいだてんを全力疾走で応援します。