ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第1節FC東京vs浦和レッズ@味スタ20180224

2018-02-25 15:24:02 | FC東京

開幕ましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

Jリーグの2018シーズン開幕です。東京はクラブ設立20周年を迎える節目の年です。気分一新。新しい時代の門出にふさわしいシーズンを過ごしてほしいと思います。

大杉漣さんが開幕を間近にした2月21日に急逝されました。ぼくら一般のサッカーファンと同じ目線、同じスタンスでサッカー、そしてJリーグを愛されていたお姿は、ぼくら日本のサッカーファンの誇りです。どうか、天国から、いついつまでもJリーグを見守り続けてください。やすらかに。

今シーズンはモリゲとともに闘います。

開幕戦の相手は因縁多し浦和。でも開幕を祝い、漣さんを追悼する想いのほうが強く、例年のように浦和を意識することはありませんでした。You'll Never Walk Alone♪東京スカパラダイスオーケストラのミニコンサート

先制するも直後に同点にされる悔しいドローです。

東京のシーズンスタートオーダーはPSMと同じです。シフトは中盤スクエアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎とヨネ。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと遼一です。

浦和はブランニューオーダーです。シフトは4-1-4-1。GKは周作。CBは槙野とマウリシオ。SBは右に航左に宇賀神。アンカーはカピ。IHは右に陽介左に長澤。WGは右にマルティノス左にムトゥ。1トップは慎三です。

開幕に先んじて、PSMで健太サッカーをお披露目した東京でしたけど、案の定、三味線とまではいいませんけど、練習試合モードだったようです。今日の開幕戦で、隠していた本領を披露します。

PSMとの相違点は主に二つ。まずコンタクトがタイトです。それも、フィッカデンティ体制のような守備に特化する意図的なダーティーさはなく、全体の作戦のなかの一機能のように見えます。チームとしてのコンセンサスが合っていて、ディシプリンが整っていることが伺えます。

攻撃面でも、PSMでは見せなかった作戦があります。トップ同士、メイヤ同士のポジション変更を頻繁に行います。トップについては、ディエゴは右遼一は左とポジションを分担していたのですけど、今日は左右入れ替わるシーンも多かったと思います。相手CBとの関係もあるのかもしれません。

メイヤについては、ポジションの交換というよりか、同サイドに偏るシーンがあります。サイドに数的優位を作る意図です。メイヤにはポジションレスというか、ある程度自由が与えられているのかもしれません。メイヤがバイタルエリアでビルドアップに絡めるとビッグチャンスを演出できていたので、攻撃を機能させるために鍵になるポジションかもしれません。

ディエゴはPSMの好印象を確信に変えさせるプレーをみせてくれました。マウリシオや槙野を背負ってもボールをロストしない、体とボール扱いの巧みさがあります。ディエゴと遼一は出し手と受け手としての関係性ができてきているようです。またメイヤやSBとの距離が遠い場面もあるので、このあたりが課題のひとつだと思います。

PSMとの違いを一番感じたのはメイヤです。とくに晃太郎。慶悟は宏介との攻守のコンビネーションに加えて、トップとも縦のポジションチェンジを行っていて、裏を狙う動きをみせます。そして晃太郎。PSMでは、質量ともらしさを感じられませんでした。でも今日は違います。右サイドの守備は当面の重点課題だと思っていました。先週のマリノスと同等かそれ以上の威力と実績を持ったムトゥ+宇賀神のコンビを向こうにまわしても、十分な安定感でした。ムトゥと宇賀神がペナルティエリアに入ってアタックするシーンはほとんどありません。何度も対戦している経験値があるからかもしれません。でも、晃太郎+室屋のセットは国内公式戦では初ですから、ディスアドバンテージがあっても不思議ではありません。今日は室屋が、頻繁にポジションを変えるムトゥと宇賀神に振り回されるようなシーンはありませんでした。これはやっぱり、晃太郎が厳しくパスの出し手にコンタクトしていたからだと思います。晃太郎はインターセプトも何度か見せていて、トランジションの起点にもなれることを印象付けました。攻撃面でも、バイタルエリアで基点になり、ワンタッチスルーでビッグチャンスを演出するプレーもありました。足元の技術も高く、かつ安定しています。ガンバユースのクオリティの高さを目の当たりにした想いです。

浦和が様子見する入りかたをしてくれたおかげで、PSMのときよりチームプレーを確認する時間をもらえました。4+4の2ラインをベースとしたコンサバティブな志向を基本とすることは間違いないようです。ただ、けして過度にリトリートする、受けのサッカーではありません。中盤のトランジションからすばやく縦につないでゴールに迫る作戦を基調とします。ブロックをより高い位置に保つことで中盤の優位性を確保できるわけですから、考えとしては、ブロックをコンパクトに保ちつつ全体を高く位置取らせようとしています。

言い換えると、中盤の支配力が攻撃権を持てるか持てないかのターニングポイントになります。PSMでは、サイドで優位に立たれたため中盤のプレスが受け身になり、結果的にリトリートさせられていました。結論を言うと、今日も中盤を支配されます。とくに後半、浦和が作戦を変更したことでそれが顕著になります。まず、当面の一番の課題はここだと思います。中盤の支配力は中盤だけに問題があるわけではありません。洋次郎とヨネのコンビは、守備面で中盤を支配するためにベストチョイスだと思います。中盤でより有効にボールを奪えるかたちをチームとして作っていくことが必要です。

PSMでも目についたことですけど、やっぱりボールの基本的な扱いにミスがあります。パスミスやトラップミスが直接的なピンチの原因になっていました。一瞬のミスで相手に流れが渡ってしまいます。今日、中盤を支配された原因のひとつはミスの多さだと思います。基本的なトレーニングの積み重ねだと思いますから、日々取り組んでほしいと思います。

さて浦和です。堀さんの体制になってからの浦和をほとんど観ていません。なのでミシャサッカーからブランニューするプロセスのなかの、今どのあたりにいるのかはわかりません。シフトだけを見ると、ミシャ時代の攻撃モードを基調にしつつ、守備の安定を加える方向を目指しているように思えます。そういう意味では、正常進化なのかなと思います。

ただし、シフトを変えたことはポジションの流動性を失うことにもつながっています。ミシャサッカーの特長として、アタッカーの流動性とWBの攻撃参加による迫力満点の超攻撃スタイルがありましたけど、その長所は失われています。まだ新スタイル確立への途上のことだとは思いますけど、ちょっと御しやすい、言うなればオーソドックスなチームになったなという印象を受けました。とくに前半は、おとなしいプレーが目立ちました。作戦だったのだろうと思います。フォアチェックをせず、守備網を安定させることを優先していました。健太東京が受動的なスタイルということもあって、まずはボールを持たせてみようという意図だったと思います。つまりニュー浦和の主旨は、東京同様、受動的になりつつあるのかもしれません。

今年の新加入の目玉は武富とマルティノスと岩波。武富と岩波は従来の浦和らしいチョイスだと思いましたけど、圧倒的な加速をストロングポイントとする純粋なサイドアタッカーのマルティノスを採用することに違和感を覚えました。サイドに偏った選手を放出し、インサイドでもプレーできるマルチロールな選手を重用していた印象がありますから。でも、今日のニュー浦和を観ると、なんとなく理解できました。受動的なスタイルとともに、サイドに重点を置いた攻撃プランを基調としているようですから、マルティノスを浦和に合わせるというよりか、マルティノスが活きるサッカーをしようとしているように感じました。ただ、肝心のマルティノスはまだフィットできていません。マリノス時代の躍動感や迫力は見られませんでした。もともと宏介はマルティノスとの相性が悪くはないので、そのせいかもしれません。

前半の浦和は、選手間の距離を広めに取っていました。それがチームが目指す作戦に合致しているのかは分かりません。ただ結果的には、攻撃が散発に終わっていた原因になっていたと思います。中央の使いかたがまだ整理できていないように思えます。今日目立ったプレーは、さすがに浦和らしい正確なサイドチェンジで左右にゆさぶり、サイドプレイヤーをフリーにしたうえでその選手に直接付けるフィードを送る作戦です。でも、このときサイドはサイドアタッカーが単独でプレーする状況になっていました。WGにIHやSBを絡めた厚みのあるサイドアタックができればより脅威だろうと思います。

中盤では、長澤が高めの位置をキープしつつ左右に動くことでチャンスメークをします。陽介は中盤のバランスを保ちます。ビルドアップがうまく機能しないと陽介が下がってパス回しに加わりますけど、それが攻撃の厚みを失う原因になっているようです。陽介とカピが縦にポジション変更するシーンもありますから、中盤の流動性を確立できれば、中央の攻撃ももっと活発に行えるようになると思います。

浦和の攻撃はこれまで、ペナルティエリアに複数のアタッカーがうろつくことで相手に脅威を与えていました。サイド貴重のスタイルに変わることで、マルティノスのみならずムトゥもサイドにはりつくシーンが目立ちます。変わりに航と宇賀神がなかでプレーする符丁なのですけど、基点となるサイドの位置が全体的に低くかったので、航も宇賀神もペナルティエリアに入れません。結果、中央で慎三が孤立します。目下のところ、慎三のスペースメイクが浦和唯一の得点パターンのように思えますけど、慎三を上手く隠すようなチームプレーがまだできていないようです。全体的に概観すると、個々の選手のプレーはシンプルに整理されたため安定感が増しましたけど、反面、迫力が失われているように感じました。

前半は東京も、浦和のリトリート作戦を焦ることなく受け入れます。スコアレスのまま終了。

後半に入り、浦和がギアを上げます。アタッカー三人が積極的にフォアチェックをしかけます。このことで中盤の支配力が上がります。さらにマルティノスとムトゥのポジションを左右入れ替えます。前半は左右フラットにバランスよく闘う意図だったと思います。このポジションの入れ替えは、右で作って左で仕掛ける作戦変更です。どちらかというと室屋のほうが1on1を仕掛け易いということでしょう。それから航の攻撃力を、ボールを持てるムトゥを前に置くことで、より積極的に引き出そうという意図だと思います。

この作戦変更の効果を確認する前に、先制ゴールが生まれます。

48分。宏介の戻しパスを、モリゲがダイレクトで、自陣から最前線の遼一につけるフィードを送ります。これはマウリシオが背後から弾きます。このボールがフリーの洋次郎に渡ります。洋次郎はそのまま遼一にポストを付けます。マウリシオがいったん離れていたので遼一はなんなくポストを納めます。これを見た慶悟が、一気にマウリシオの背後を狙って加速します。遼一からふたたび戻しを受けた洋次郎は慶悟にスルー。槙野と航の間にぽっかりスペースができた浦和の最終ラインの間を通るパスは慶悟に渡ります。独走の慶悟は、迫る槙野を背中でガードしながらペナルティエリアに入り、周作の位置を見てゴール左隅を狙ったコロコロシュートを放ちます。これがコロコロコロコロコロコロコロコロとゴールに転がりました。コロッソ(^^)。東京1-0浦和。

健太東京の理想形のゴールでした。浦和が前に出てくることで背後を狙う可能性が広がります。縦のワンタッチパスの連携で相手の最終ラインにギャップを作り、そこを狙っていく能動的な攻撃が、この局面で実現できました。それに、背景には、シュートへの積極性もあります。単独で抜け出したので当然とは言え、このシーンで慶悟が迷うことなく良いタイミングでシュートしたことは、おおげさに言えば覚醒の感を覚えます。慶悟初の二桁得点を、もしかすると期待できたりするかもしれませんね。

よろこびもつかの間。直後のことです。

50分。陽介の左CK。浦和はゴールエリアのニアに慎三ファアにムトゥ。ペナルティエリア内中央に槙野、マウリシオ、航を固め、その両脇にマルティノスと長澤を置きます。東京はマンマークとゾーンのハイブリッド。ストーンは四枚。マークは槙野にヒョンス、マウリシオに遼一、航にモリゲです。陽介のモーションと同時に、航がファアからニア、マウリシオがニアからファアへとダイアゴナルに流れます。槙野は中央を前進。陽介は高く上がって落とすロブクロスを上げます。もしかすると狙いは航だったのかもしれません。モリゲは完全にタイミングをずらされて航に後れをとりますけど、陽介のクロスは航の頭上を越えます。このボールが中央にいた槙野の足元にピンポイントで落ちます。槙野は反応するどく右足を伸ばします。ヒョンスは成す術もありません。槙野の足に当たったボールはゴールに吸い込まれました。たぶん偶然ですけど、狙ったサインプレーだったらスーペルゴラッソです。東京1-1浦和。

ちょっとしたスクリーンによってマッチアップのすべての局面で一瞬の優位性を与えてしまったことは悔やまれます。ただ、ミスがあったわけではなく、スカウティングがまだ薄い開幕戦ならではできごとしれません。この後、慶悟の先制点のようなカウンターを再現できなくなりましたから、今、攻守にスミイチの実力にとどまっている状況では、もっと守備のディテールにこだわる必要があると思います。

浦和の作戦変更がはまります。ムトゥを基点に右サイドで人数をかけることで、航、長澤、陽介が高い位置で流動性を見せるようになります。これで右サイドが活性化します。ペナルティエリアにも人数を入れられるようになります。と同時に、マルティノスと室屋を1on1にする局面を作れるようになります。東京はリトリートを強いられ、我慢の展開に持ち込まれます。

そこで堀さんが動きます。長澤に代えて武富を同じく左IHに投入します。中盤をフレッシュにする意図だと思います。武富は東京と相性が良いという考慮もあると思います。武富は、いくぶん左サイドよりでプレーしていました。マルティノスをフォローする役割を置いたのだろうと思います。

これを見て、健太さんが動きます。ディエゴに代えて永井を同じくトップに投入します。今日の健太さんは、試合の流れをみてアジャストするというよりかは、よりチーム作りに重点を置いていたような気がします。以降の交代はルーティーンだと思います。ただ、流れとも一致していたので違和感はありません。永井の投入は、浦和の作戦変更によりロングカウンター主体のプレーになることが予測されましたから、永井をカウンターの主役とする意味で有効だと思いました。

さらに健太さんが続けます。遼一に代えて建英を同じくトップに投入します。建英にはやく結果を出す機会を与える意図だと思います。ロングカウンターの状況のほうがプレーエリアが広がりますから、建英のプレーの選択肢もより広がります。ただ、今日に関しては、カウンターの起点があまり有効でなかったので効果的な攻撃を仕掛けられませんでした。もうひとつには、カウンターの基点として、永井とのちに敬真が優先されたので、建英に良いかたちでボールが渡らなかったこともカウンターが決まらなかった原因だと思います。セカンドセットの組み合わせと連携も、試合終盤の得点力を上げるために整理が必要だと思います。

東京のカウンターに威力がなく、以降は浦和のワンサイドマッチのような展開になります。最終盤に堀さんが動きます。ムトゥに代えてズィライオを同じく右WGに投入します。活性化し続ける右サイドをリフレッシュして、さらにスピードを加えてギアを上げようという意図だと思います。

結果的に東京は、浦和らしい圧力を取り戻した浦和の攻撃に対しても、流れのなかでは有効打すら打たせませんでした。浦和アタッカーのペナルティエリア内の流動性に対しても最終ラインはしっかりと相手の動きを視野に入れていました。なので最も脅威となる慎三が一瞬の判断でフリーになるリスクは、試合を通じてほとんど無かったと思います。

健太さんが動きます。晃太郎に代えて敬真をトップに投入します。永井が右メイヤに回ります。前線に運動量を加えて、カウンターの筋道を作ろうという意図だと思います。残念ながら活路をひらくことはできませんでしたけど、これが試合終盤のチャンスメークのパターンになると思います。今日は出番がなかったけど、このルーティーンに加えて、拳人をどう使うのかも今後も注目です。拳人の得点力とパワーはこのチームでは稀有な魅力です。18番を背負う意欲があると思いますので、これからの出場機会に期待です。

浦和に攻め込まれながらもひやっとするシーンもなく、終始安定していました。このまま試合終了。東京1-1浦和。

概観すると、PSMの印象のとおりオーソドックスなスタイルです。なので、どこかしら選手はやり易そうです。素人目に観ても、やろうとしていることが分かり易く、今日出来ていたことと出来なかったことも明確でした。これはプレーする側にとって課題を見つけ易く、だからディテールをつめることができるし、進歩も確実ではやいのではないかと思います。ぼくら観る側にとっても、チームの成長を意識し易いですから、少なくとも戸惑うようなことは無いと思います。東京のリスタートにとって、最適なアプローチではないかと思います。

試合が終わって、そういえば相性の悪い浦和が相手だったのだとふと思い出しました。悔しいドローだったけど、難敵に対し勝ち点1をゲットです。浦和がチーム構築途上だったことが試合観戦として良いのか残念なのかわからないけど、純粋に勝ち点を積み上げる意味では、まずは良いスタートを切れたと思います。東京もチーム作りの最中ですから、地道に一試合ずつを大事に闘い、一歩ずつ成長していってほしいと思います。2018シーズンが楽しみになりました。

ホーム連戦です。次節は仙台。主力が抜けたとはいえ基礎ができているチームを相手にして、また新たな課題を見つけてほしいと思います。


2018Jリーグプレシーズンマッチ presented by 東京ガス FC東京vs横浜F・マリノス@味スタ20180217

2018-02-18 17:13:41 | FC東京

年明けから毎週のように列島のどこかに寒波がやってきていて、まだまだ冬真っ只中な日本です。

でもほろほろと梅が咲きはじめていて、ほのかに春の予感が漂いはじめています。

Jリーグの2018年シーズン開幕は、ワールドカップイヤーのため例年より少しはやく、もう来週に近づきました。昨年はシーズン終戦がはやかったのでちょっと長いウインターブレイクになりました。ようやく、サッカーが生活に戻ってきます。

本日は、開幕を翌週に控えたプレシーズンマッチです。いわば最終テスト工程。2018年の東京はひさかたぶりに体制を大きく変えて挑みます。史上はじめて実績のある監督を迎えますから期待が大きい反面、東京にフィットするのか不安もいっぱいあって、オフ期間はちょっとモヤモヤしていました。今日、2018健太東京のお披露目です。どんな風に仕上がっているのか、興味津々です。試合前のトークショー健太さんのスピーチヒョンス新キャプテンのスピーチ

スパーリングパートナーは、東京と同様に最後のチェックに臨む横浜F・マリノスです。マリノスも体制をがらりと変えましたから、やっぱり期待と不安が交錯していることでしょう。

2018健太東京のシーズンスタートオーダーが明らかになりました。シフトはオーソドックスで、中盤スクエアな4-4-2。注目の布陣。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは右に室屋左に宏介。ボランチは洋次郎とヨネ。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップは遼一とディエゴ・オリヴェイラです。

マリノスも陣容が改まりました。シフトは4-2-3-1。GKは飯倉。CBはボンバーとデゲネク。SBは右にマツケン左に山中。ボランチは中町とキー坊。WGは右にイッペイ・シノヅカ左にユン・イルロク。トップ下はあまじゅん。1トップは翔です。

今日確認できた限りですけど、健太東京を観ていきます。まず概観としては、健太東京はコンサバティブなスタイルでスタートしました。

既視感というか、とても東京らしく、かつ健太さんらしいスタイルです。健太さんは東京の特長としてディフェンスに優れている点を真っ先に上げていました。なのでチーム作りのアプローチもディフェンスに重心を置いているのだと思います。ずっと東京を応援する身として東京のなかにいると東京の特長を案外わからないものなのかもしれません。東京がディフェンシブなチームだということを自覚したのは2016~17年の迷走の、ある意味おかげかなと思います。2014~15年の守備偏重は意図的に作られた特長、あるいは前代の反動だと思っていました。でも、思い返してみれば東京は、プロとしてはカウンタースタイルでスタートしてそのまま初タイトルを獲得するまで駆け上がりましたから、チームの根っこの部分に守備重視が沁み込んでいるのかもしれませんね。モリゲをはじめとする守備力の高い選手が揃っているからという理由だけではないような気がします。

健太さんは清水とガンバを率いていたので、攻撃的で技術を重視するようなイメージがあります。でも、過去の対戦を振り返ると、コレクティブネスがお好みなんじゃないかなと思っていました。健太ガンバの全盛期も、もちろんヤット、宇佐美、秋、パトリックと攻撃面で優れたタレントがいて点が取れたことが主要因ですけど、ベースに守備のディシプリンが備わっていたからだと思っています。以降、井手口、三浦、キム・ジョンヤ、初瀬と守備のタレントでは全盛期を越えるようになりましたけど、チームとしては、どこか守備ゾーンにホールができていたような印象があります。外様がいうのは不相応ですけど、ガンバは個性的なタレントを輩出し続けることがクラブとしての信条であり、本質的にはディシプリンの対極に自らを位置付けていると思います。それがガンバの面白さであり継続的な強さでもあるのですけど、長年チームを率いていると、違和感のようなものが積みあがってくるのではないかと思います。

その意味では、東京は本質的にディフェンシブなチームですから、より健太さんがやりたいサッカーのイメージに近いのかもしれません。まだなにもはじまっていない段階だけども、なんとなく、東京と健太さんはベストカップルになれるんじゃないかなと、今日の内容を観て感じました。

健太東京の守備は、近代サッカーのトレンドを踏襲するものです。ベースシステムは4+4の2ラインの維持するゾーンディフェンスです。ラインの上げ下げによってシチュエーションをコントロールします。今日は早々と先制したこともあって、健太東京のすべてを確認できたとは思えません。印象として今日一番の懸念は、誰しもが感じたことだと思いますけど、マリノスに押し込まれる時間が長かったことです。なので、ラインを下げたリトリートスタイル基調のように感じますけど、趣意は違うと思います。先制するまでの5分間の闘いかたにこそ、健太東京が目指す姿があったような気がします。その意味では、今日の確認にかけられる時間はわずか5分間だけだったかもしれません。

守備的といいつつ、守ることに主眼を置いているのではありません。攻撃のための守備です。このあたりが現代的と評する由縁です。守備の重点は中盤のトランジションです。理想的なのは、ボランチでコンタクトを競ってトランジションするのではなく、ボランチでインターセプトすることなのでしょう。そのためにアタッカー二人の献身性が重要です。ディエゴも遼一も、マリノスの起点に対するファーストチョイスを怠りませんでした。交代した敬真と建英も執拗にボールを追っていましたから、FWとしての責務のひとつになっているのだと思います。

ボランチのチョイスが豊富なのも東京の特長です。選手の怪我の影響もあって、昨年までは拳人がファーストチョイスでしたけど、健太東京は原点に戻った感がします。洋次郎とヨネ。とくにヨネのチョイスは健太さんらしいなと思いますし、東京らしいなとも思います。運動量が豊富でボール奪取力を備えていることが健太さんの中盤の優先条件なのだと思います。東京のなかでぼくらが最初に思い描く選手といえば、もちろんヨネ。怪我に苦しみましたけど、その時期と東京の迷走期はシンクロします。ヨネの復活が、東京が東京の歩むべき道を取り戻す鍵になるかもしれません。

洋次郎も、帰国した昨年からイメージが変わりました。コンタクトが強いハンターの印象が強くなっています。もしかすると今日の中盤の選択はボール奪取力が基準になっているのかもしれません。とはいえ、梶山、拳人、草民、慶悟と選択肢は豊富ですから、いろんな組み合わせを試してみてほしいと思います。健太ガンバと比較をして一番懸念されるのは、ヤットに相当するキャラクターが東京にはいないことです。持っていないことを嘆いても仕方がないことですから、ヤットがいなくても点を取れるサッカーを作るしかないでしょう。残念ながら、件の展開のとおり、今日は攻撃権をほとんど持たなかったのでポストヤットの攻撃方法を確認するに資する試合ではありませんでした。シーズンがはじまってからの観戦の大きなテーマにしたいと思います。

守備面での心配ごとは、両サイドの守備強度です。マリノスがサイドアタック偏重であり、かつそこにストロングポイントを置こうとしているようなので、今日の局面はサイドに偏りました。その意味でサイドの守備を確認するには絶好の試合だったと思います。どちらかというと右サイドが苦労していました。イルロクのフィットがはやいのか、山中とのコンビネーションができあがっていて、晃太郎と室屋は手を焼いていました。原因は晃太郎にあると思います。室屋とイルロクのマッチアップは、残念ながらイルロクのアタックに分がありました。マリノスの攻撃のゴール前中央の処理に威力と精度がなかったので事なきを得ましたけど、失点してもおかしくないクオリティのプレーをイルロクに許していました。室屋の背後のスペースを意図的に狙われていたこともあるのでしょうけど、室屋がイルロクに対し優位にアプローチできるシーンを作るべきだったと思います。その点で、イルロクにボールを出す、あるいはイルロクとポジションを入れ替えて攻撃参加する山中に対し、晃太郎がもっと強くコンタクトしてもよかったと思います。公式戦になると激しさや厳しさが変わってくるかもしれないので、ここも来週の注目点にしたいです。

失点がなかったので中央の守備のコンビネーションは確認できませんでした。それにしても、代表レギュラークラスのCBが並んでいるという安心感はかつてないクオリティです。6年前にも経験しているのだけど、ヒョンスの安定感は格段に上がっていますから、韓国代表レギュラーというブランドを加えて、とても頼もしいです。そして、モリゲが新鮮です。モリゲがいることは当たり前のことだったのですけど、いない期間を経ると、あらためてモリゲがいることへの感謝を感じます。二人とも今年はワールドカップ出場が最大の目標だと思います。その想いとともに、Jリーグ最強の安定感を持つコンビに育ってほしいと思います。

攻撃に関しては、前述のとおり85分間はほぼカウンターに徹していたので、健太東京の目指すスタイルは未確認のままです。ただ、サイドアタック基調であることはなんとなく伺えます。前線の高い位置でのポストでタメを作り、サイドアタッカーを押し上げることが基本的な作戦です。そのため、攻撃の有効性を保つためのポイントは、ポストプレーとサイドでのエリアの優位性、そしてフィニッシュの精度です。これまた近代サッカーのオーソドックスな攻撃スタイルです。

ポストに関しては、ディエゴと遼一の二枚看板を揃えていることが特長です。昨年までは、中盤の構成力を上げるために1トップを選択することが多く、その分ポストプレイヤーの負担は大きかったと思います。2トップにすることでその負担を軽減させるとともに、左右両方の攻撃ルートを確保できるようになると思います。主に右はディエゴ、左は遼一が担当しています。なので、サイドアタッカーとの組み合わせとコンビネーションが、攻撃の有効性を生み出すための課題になるような気がします。純粋なポストプレーについては遼一は既知ですので、とくにディエゴの強度に驚きました。マッチアップはオーストラリア代表のデゲネクでしたけど、当たり負けはありませんでしたし、案外足元も巧みなんだなと思いました。サイズを活かしてゴリゴリ押し切ることもできつつ、ボールを足に吸い付けるようにしてスルスルっと相手を利用したターンもでき、チャンスメーカーとして鍵に成り得る存在なんじゃないかと思いました。柏では歴代のアタッカーの影に隠れてあまり強い印象が無かったのですけど、少なくとも健太東京へのフィットは済ませているようで、活躍が期待できるかもしれません。とにかく移籍後初ゴールをはやく決めてほしいです。

サイドアタックについても、右サイドで印象的なプレーがありました。前半早々、右サイドでいくつか効果的なアタックがありました。そのうちのひとつですけど、ディエゴと室屋のワンタッチコンビネーションで室屋のタベーラからディエゴが抜け出し、ダイレクトで中央に折り返したプレーがありました。最終ラインの背後に送る高速の低空クロスは、一瞬はやく抜けて遼一には合いませんでしたけど、ゴールの香りをふんだんに漂わせる良いプレーでした。健太東京が目指すフィニッシュパターンのひとつを観た想いです。ワンタッチコンビネーションとダイレクトプレー、そして高速クロス。この時は遼一の一枚だったのですけど、超高速プレーながら、ゴール前にフィニッシャーの人数をかけられるとより可能性が高まると思います。

左サイドは長年の蓄積があるコンビですので、より高度な連携を観ることができると思います。左は宏介の攻撃特性をより活かすオーソドックスな作戦です。このためか、慶悟と宏介が縦にポジションを入れ替えることを多用します。慶悟の守備力もあり、左サイドは比較的安定して闘えると思います。

気になったのは、メイヤです。とくに晃太郎。晃太郎のほうはまだ、攻守にフィットし切れていないのかもしれません。器用そうに見えるしチームのスタイルにあまり左右されない選手なので、ちょっと意外です。晃太郎が攻撃に絡めたのは前半で一回くらいだったと思います。後半はカウンターの起点になったりしていくぶん、らしいプレーが見られましたけど、まだまだ、あの躍動感があって直線的にゴール向かうドリブルは繰り出せていません。

メイヤはサイドアタックに加わらず、中央に絞っています。セカンドアタッカーの役割を担っているのかもしれません。もう少し、SBとメイヤが縦横にポジションを入れ替えられるようになると、サイドアタックにバリエーションが加わるかもしれません。メイヤも選手の選択肢はボランチ以上に広く、かつ個性がそれぞれ異なっていますから、いろんな組み合わせが試せそうです。今日は途中から永井を入れましたけど、試合のなかでもメイヤを代えることでチームとしてのチェンジ・オブ・ペースができそうです。とくに永井や翼、ジャキのようなスピードスターは威力がありますから、試合序盤のかまし、あるいは終盤の超攻撃モードに有効だと思います。メイヤは、選手選択、役割とも、各ポジションのなかで一番伸びしろがありそうな気がします。

もうひとつ攻撃面の特長は、積極的なスペースへのアタックです。後方にパス供給能力の高い選手が揃っているからこそできることだと思います。まず、ディエゴにしろ遼一にしろ、常に意図的に最終ラインの背後のスペースを伺っているようです。ここに永井や敬真が入っても意識は同じだと思います。その時のモリゲ、ヒョンス、宏介、洋次郎、ヨネの視線も同じ。印象的なのは、裏を狙うフィードの距離です。無理なロングフィードはほとんどありません。これは、チームがとてもコンパクトにシフトを組めている成果だと思います。このため、フィードだけでなく、後方から直接的なスルーパスも可能性としては有り得ます。モリゲから裏に飛び出る遼一にダイレクトスルーなんて、鳥肌が立つようなプレーが見られるかもしれません。

パスにおいて気になるのは、受け手出し手ともイージーミスがあることです。東京が改善すべき長年の課題はここにあります。高い技術を持った選手が揃っているにも関わらず、他の技術系のチームと比べると中途半端さを感じる原因は、イージーミスだと思っています。今日もモリゲ、洋次郎、ヨネ、室屋のパスミス、慶悟やディエゴ、宏介のトラップミスが目につきました。こういう、個人レベルの基礎的なプレーの精度向上が、チームとしてのパスプレーのクオリティを上げていくのだと思います。昨年成果を上げた川崎やセレッソを観ているといっそうそう思います。もう一度、しっかりと徹底的に取り組んでほしいと思います。

東京の内側でも外から観ても、ことし最も注目する選手は建英と怜でしょう。その点でも健太さんは最適かもしれません。井手口や堂安など、ガンバユースから次々と排出される可能性豊かなタレントを積極的に試合で使い、育ててきました。東京ユースが最大限の期待を込める建英と怜を、上手く違和感なく試合で使ってくれると思います。さっそく今日、建英は出場しましたし、対外試合で活躍もしています。怜は怪我を治してからになりますけど、健太東京デビューが楽しみです。建英は強度が増しているような気がします。トップレベルのディフェンダーを体感することで、コンタクトの対処方法を探ることができているのかもしれません。当たり負けしない技術までは得ているようです。そこからさらに優位性を獲得するまでにはまだまだチャレンジが必要だと思いますけど、建英の成長スピードはぼくらの意識のはるか先を進んでいますから、ブレイクスルーの時期はもうすぐそこまで来ているかもしれません。楽しみです。

試合は5分の遼一のゴールを守り切って、1-0で終了しました。

永井と敬真と建英が入ってカウンターの威力が増しましたけど、追加点を取るところには至りませんでした。スピード系の選手を中心に少ない人数でロングカウンターを仕留めることができれば、ディフェンシブな闘いかたに説得力を付けることができます。遼一のゴールをとってみても、今年は例年にないシュートの積極性を感じます。自分が仕留めるんだという意識をアタッカーには常に持っていてほしいと思います。

総括すると、なんとなくリフレッシュができていて、昨年までの鬱屈したモヤモヤ感はすっかり晴れていることを感じました。一番心配していたことですので、安心しました。いろんなことを思うサポもいるでしょうけど、ぼくらも昨年までのことを忘れて、まずはサポ魂をリフレッシュするべきだろうなと思います。チームがまず、リフレッシュした姿を見せてくれましたから、ぼくらも気持ちあらたに、新しい東京を見守っていければと思います。

いい雰囲気で2018年のJリーグ開幕を迎えることができそうです。とにかく、成果。チームも選手も、良い結果をはやくつかんでくれればと思います。長いシーズンがはじまります。気負わず、ゆっくりとチームとともに過ごせればと思います。今シーズンもぽちごやをよろしくお願いします。