ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018FIFAワールドカップロシアラウンド16ベルギーvs日本@ロストフアリーナ20180702

2018-07-03 22:23:20 | サッカー

台風7号が西日本にきました。被害がないことを願います。

ワールドカップはノックアウトステージに入りました。サムライブルーにとっては3度目の決勝トーナメントです。ベスト16の相手はベルギー。

戦前のドタバタや一部メディアのネガティヴキャンペーンを考えたら、ここまできただけで奇跡だと思います。国民的には大満足なのですけど、当のサムライブルーはまだまだ貪欲でした。ヨーロッパでプレーする選手が代表の主流になったので、彼我の差異の少なさを肌身で感じているからなのでしょう。

日本はお休みしていたレギュラーが戻ります。シフトは4-2-3-1。GKは川島。CBは麻也と昌子。SBは右に宏樹左に長友。CMは長谷部と岳。WGは右に元気左に乾。トップ下は真司。1トップは大迫です。

ベルギーもレギュラーが戻ります。シフトは3-4-2-1。GKはクロトワ。3CBは右からアルデルウェイレルト、コンパニー、ウェルトンゲン。WBは右にムニェ左にカラスコ。CMはデブルイネとウィツェル。2シャドウは右にメルテンス左にアザール。1トップはルカクです。

今大会のベルギーはこれが初見なのですけど、とてもユニークなチームですね。現代サッカーにもまだこんな闘いかたをするチームが存在できて、かつ評価も高いのかと、たまげました。極端に攻撃に特化した非常に楽しいチームです。

ベルギーの3バックは、攻撃過重のための選択です。WBはともに攻撃力が高く、シャドウと絡んでサイドの数的優位作りに寄与します。ただ、さすがにいくぶんかセーフティネットを用意していると思います。ベルギーの3バックは個性的です。攻撃時には必ず左側に片寄ります。その分ムニェが下がってバランスを見るので、攻撃時は4-2-3-1のようなかたちに見えます。ベルギーは左右バランスよく使うチームですけど、いくぶん左を多目に使っているように見えるのはこのためだと思います。もちろん、アザールとカラスコのコンビネーションを活かす意図だと思います。そしてベルギーの攻撃が多彩なのは、もちろん真ん中にルカクがいるから。ルカクにボールが入るだけでヒヤヒヤさせてくれました。なにしろ脅威。

攻撃こそすべてなベルギーを、日本は65分まで止め続けます。日本の守備が機能した理由は三つ。ひとつは中盤でボールホルダーに対するリスクヘッジが、非常に献身的で的確だったこと。今大会のサムライブルーが爽やかで国民が感情移入できた一番の理由は、選手の走量にほかなりません。二つ目は、トランジションが安定していたこと。ベルギーの攻撃ルートのパターンを読めていたのか、インターセプトの成功率がいつになく高かったように感じました。それからフィジカルで圧倒するベルギーに対し、中盤のコンタクトではむしろ優位に立っていました。この四年間にワールドカップで闘える体力を、スペシャルチームを作ることなく日本全体で鍛えてきた成果だと思います。三つ目は、キーマンのケアです。ルカクには麻也、アザールには長谷部がマンマーク気味について自由を奪っていました。これにより、ベルギーのアタッキングサードでの攻撃を散発にとどめることに成功しました。

一方、ベルギーの守備はコレクティブではなく、古式ゆかしい個の守備力を基軸にしたやりかたです。プレスはあまりなく、基本的に個々の選手が受け持つゾーンをケアしています。日本はこれを狙います。まず特筆したいのは大迫です。日本はバイタルエリアのスペースメイクを有効にできるのですけど、それを実行せしめたのは、大迫があえて最前線でコンタクトを挑んでポストを受けたことです。これにより攻撃の重心を高く保つことが可能になりました。大迫が開けたスペースを真司が活用します。真司は試合を重ねるごとにプレーの精度が向上しました。ていうか、復活しました。西野日本は、真司システムと圭佑システムのツープラトンで臨んだのですけど、西野さんが主戦として採用したのは真司。真司の復活なくしてこの成果はあり得ません。スタッフが復活を予測できていたのだったらすごいことだと思います。

とはいえ、試合の入りかたはさすがに慎重でした。長友がオーバーラップを自重してましたから。バイタルエリアを支配できることがわかって、長友も少しずつペースアップしていきます。前半20分ころにベルギーの猛攻を受け続ける時間がありました。いわゆる喉元。ここを耐えきったこと。それから攻撃権を取り戻したときに確実にチャンスまで持ち込めたことが、以降のシーソーゲームの流れを作りました。前半はスコアレスのまま終了。

さて、後半開始早々試合が動きます。48分。自陣で乾からのパスを受けた岳がウェルトンゲンの脇を抜く、絶妙なロングスルーを送ります。これを元気が受け、そのままゴールに流し込みました。ゴラッソ。ベルギー0-1日本。守備での貢献度は非常に高かった元気ですけど、ついに覚醒です。今日は宏樹も積極的に攻撃に絡んでいましたから、眠れる右が目覚めました。今日は過去四戦のなかでもっとも左右のバランスが良かったです。

さらに、続けざまに追加点をあげます。52分。コンパニーのクリアをゴール正面で拾った真司が乾に落とします。フリーの乾は、ペナルティエリア外でしたけど迷わず右足を振り抜きます。これがゴール右隅に決まりました。スーペルゴラッソ!。ベルギー0-2日本。ひとが大きなブレイクスルーを果たす瞬間に、ワールドカップ四戦でぼくら国民は立ち会うことができました。ブレイクスルーは大なり小なり誰にでもどこにでも起こることですけど、いつもそのきっかけが不思議でなりません。おそらく乾自身もよくわからないのでしょうけど、突然脳がイメージするアクションを身体が表現できるようになったのでしょう。思えばテストマッチのパラグアイ戦とコロンビア戦の前半は散々でしたから、わずかな期間でスーパーな選手になるとは想像もしませんでした。大会前は一般の知名度がなかった、ニューヒーローの誕生です。

これを受け、マルティネスさんが動きます。二枚同時代えのスクランブルです。カラスコに代えてチャドリを同じく左WBに投入します。メルテンスに代えてフェライニを同じく右シャドウに投入します。ここからが変態攻撃マニアベルギーチームの真骨頂でした。ルカクとフェライニのツインピークスを前線に配置して、日本守備陣を神経質にします。これによりアザールがフリーになり、バイタルエリアを自由に動きまわるようになります。ベルギーの攻撃がにわかに機能し、赤い悪魔がついに魔界の扉を開く呪文を唱えます。69分。フェルトンゲンのロブヘッドが川島の頭上を越えます。ベルギー1-2日本。さらに74分。アザールのクロスをフェライニが頭で合わせます。ベルギー2-2日本。あっという間に同点。

われらが代表が、今大会を通じて闘いのうえでもっとも誇らしいのはここから。西野さんが動きます。二枚同時代えです。岳に代えて蛍を同じくCMに投入します。元気に代えて圭佑を同じく右WGに投入します。これで、完全にベルギーのオーガナイズになりきったかに思われた流れを断ち切り、さらに日本のリズムを取り戻します。ベルギーにしてみれば、以降のスケジュールを考えても良い流れのうちに一気に追い越したいところだったでしょう。日本はその期待をあっさり砕きます。圭佑を中央に固定してボールの預けところとして、真司を前線のリベロとします。二枚ポストでふたたびパス回しを活性化し、イニシアチブを握り直します。

アディショナルタイムに入って日本がイニシアチブを握るなか、最後に左CKの機会を得ます。日本は延長も視野に、ストーン二枚アタッカー三枚のセーフティサイズで臨みます。ショートにして時間を使いタイミングをずらしてもよかったのですけど、圭佑のCKはまともにチャンスメークでした。そして悪魔の雄叫びが一閃の稲光を呼びます。アディショナルタイム+4分。圭佑の左CKをキャッチしたクロトワがデブルイネにパス。デブルイネは自陣ペナルティエリアからまっすぐに長駆ドリブルを開始し、一気に日本陣へ。ロングカウンターの発動です。デブルイネは並走するムニェにパス。ムニェは、ルカクの前を抜けダイアゴナルに逆サイドに渡るスルーをチャドリに渡します。フリーのチャドリは合わせるだけでした。ベルギー3-2日本。直後に試合終了。ベルギー3-2日本。

今大会のサムライブルーの冒険はおわりました。新体制結成以降はホントにどうなることかと思っていましたけど、終わってみれば三回目のベスト16進出でした。1勝1分2敗。6得点7失点。議論を呼んだときもあったし、最後までアンチがつきまとっていたけど、大会のなかでこれほど成長する代表は、ワールドカップ初出場以来、はじめてのような気がします。試合内容も、今大会のトレンドとして目立った極端なリトリートによる超リアリズムではなく、今回のチームの良さを真っ向からぶつける、潔くてオープンだったと思います。

ただ、短期的な最大限の結果を得るために犠牲をはらったのもまた、事実。バイッドさんが積み上げようとした世代交代の機会を確実に断絶しました。この四年間の最大の問題である、いつまでも圭佑や真司や長友だけが一般に認知される状態は、日本のサッカーの停滞を意味するのかもしれません。今回のチームで、若手として数少ない出場機会を得たよっちや宇佐美は、結果を残せなかった悔しさを糧に次ぎの四年間を過ごしてほしいです。そしてその間には東京オリンピックがひかえています。オリンピック世代の突き上げにも期待したいと思います。

なにはともあれ、西野日本2018、ありがとうございました。おつかれさまでした。


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1 コメント

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Unknown ()
2018-07-04 06:57:15
ほへー。私がワアワアいいながら観てた試合を解説するとこうなるのか。

本田さんのシュートが決まらなかったとき、なんとなく、ああ、時代が終わったんだなあと思いました。
長友さんがアホみたいに走るのを見つけたときは本当にすがすがしかった。本田さんのまっすぐな眼差しが好きです。
次世代に誰がいるかわからない、ほぼW杯限定ニワカ応援隊ですが、また四年後ハラハラドキドキするのが楽しみ!
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