昭和六十二年の秋、茶道の奥ゆかしさ、面白さを分かち合いながら学びましょうと、高槻でグループを結成したのが始まり。
それぞれがお点前に挑戦、緊張感も味わいながらも和気あいあい、週一回の集いが二十五年続いている。
茶会に参加したり野点で遊んだり、美術館で茶道の勉強を重ねたりと、沢山の想い出を皆さんと共有している。
途中で、ご家族の介護、仕事の都合や引越しなどのため、止む無くお別れしなければならない方もあったけれど、お住まいの地で「茶を楽しんでいる」との嬉しいお便りも頂く。
そして今年、嬉しくもこのお仲間からお三方が喜寿を迎えられた。
四月に七十八歳になられたお一人は、「この歳までお点前を楽しめるとは思っていなかった。この調子では八十歳も夢ではない」とおっしゃる。
何れの方も若輩の私を師として立て、育てて下さった人生の大先輩。
其々の来し方は、血腫を取り除く開頭手術をされた方、癌を克服された方、愛する人とお別れをされた方と、心ならずも辛いこと悲しいことを経験しながらもそれを乗り越え、前を見て歩まれている。
共通するのは、出来っこないというマイナス思考ではなく、与えられた五感、体力、知力を自分なりの処し方で活かし、学びに年齢はないことを実践しておられること。
こんな風に美しく年齢を重ねられればと、背中で教えて下さっている素晴らしい女性たちである。
結成から二十五年という節目に、お三方のこれまでのご健勝とこれからのご清栄を願ってお祝いを計画した。
サプライズは、七十七歳の喜寿を、七の数字が連なる七夕(しちせき)の節供、七夕(たなばた)様の日にお祝いしょうと思いついたこと。
その日、粗餐だが昼餉をご一緒にした後、感謝の心を添えて薄茶一服差し上げたいと今から楽しみで仕方ない。
奈良のSさん、ご自宅の「石垣に昇って採ったの」と、茎や葉裏に小さな棘(とげ)のある「薔薇苺」を稽古にお持ち下さった。
小さな可愛い実がふたつ成っていたが、持ち帰り瓶に生ける時にひとつ落としてしまった。勿体ないので口に入れたら、甘い香りが広がった。 ()
権太の頃、田植え時に近くの野山で採っておやつ代わりにしたが、アバウトに「野苺」と呼んでいた。
金の糸のような雄蕊が梅に似た花弁に影を写している「金糸梅」、この時期、陽にも雨にも鮮やかに映える。
六日からは、稲の籾殻にある棘のような突起をさす芒(のぎ)のある種を蒔く頃とされる “ 芒種 ”、それが過ぎれば “ 夏至 ”、いよいよ夏である。 ()
Peter & Catherine’s Travel Tour No.478
お三方は勿論、皆さん素晴らしい方ばかり、七夕様のこの日ひと時、お茶を心ゆくまで。[E:libra]