北部ドイツ、ハンザ同盟の中核都市ハンブルクから、白雪姫などを編集したグリム兄弟が暮らした町カッセルに向かう車中、車窓からの景色がどんどんと白く変わっていく。
カッセルに着いて駅前のホテルに投宿。
山手ではかなりの積雪になっていると思いフロントで、「ヴィルヘルムスヘーエ城までタクシーでどのくらいかかるの」と聞いた。
件のフロントマン、「この程度の雪で何を言っている!1番の市電に乗ればOKだよ」と簡単に言ってくれた。
雪が舞うカッセル・ヴィルヘルムスヘーエ駅の停留所からその1番の市電に乗車、ヴィルヘルムスヘーエ公園へと続く真っ直ぐな坂道をどんどんと上って行く。
10分も走っただろうか、雑木林の中の折り返しのループをゆっくりと左回りに弧を描き停車したところが、終点、ヴィルヘルムスヘーエだった。
ホームの前に雑木林の丘が開け一面の銀世界、子供たちが橇を使って楽しそうに遊んでいるのが幾組も見えた。
山道を10分ほど登ると、町を見下ろす高台に国立の美術館がある。
正式には 「ヴィルヘルムスヘーエ城・古典絵画館」といい、オランダ絵画黄金期の画家レンブラントの傑作 「横顔のサスキア」「ヨセフの息子たちを祝福するヤコブ」「自画像」、ドイツ・ルネッサンスの巨匠デューラーの 「エルスベート・トゥッヒャー」などの所蔵を誇る。 (この稿、続く)