ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

デルフトの眺望

2010年03月24日 |  ∟ベネルクスの美術館

 フェルメールを訪ねる旅の続き。

 オランダ第三の街、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館にいる。
 回の、現存する彼の絵のなかで、唯一、神話をモチーフにした「<ディアナとニンフたち>」に続き、「デルフトの眺望」のことを書く。

 ェルメPhotoールは、そのほとんど、といっても僅か30数点だが、日常の生活のなかの人物を、いわゆる風俗画として描いている。

 その数少ない絵のなかで、二点だけ風景を描いているが、何れも、故郷デルフトの風景を描いたもので、ひとつが「<デルフトの小道>」(アムステルダム国立博物館所蔵)、もう一点が「デルフトの眺望」(写真上)だ。

 上がりのデルフトの町を描いた「眺望」。 
 「小道」から3年ほど後に描かれたこの絵、「小道」の三倍ほどのキャンバスに、同じ町の風景を切り取っているが、その画趣はかなり異なり、別の表情を見せる。

 Photo_2の「眺望」、子を抱く母と三人の男女、そして、少し離れたところに女性がいる岸辺と舟が舫っているスヒー川。(写真中:部分)

 厚い雲に覆われた空、そして、町を囲う壁の向こうの町、画面を大きく、この四つの帯で構成している。

 中央やや右手、水門の両端に建物があって、左の建物の時計が七時を指している。未明まで降った雨が上って、今は青空が覗いている。

 Photoの切れ間から差し込む光が、教会の尖塔とその奥の赤い甍を明るく輝かせ、水門の辺りの建物や高い樹木の影の部分とを対比、その明暗 効果が景色に奥行きを与えている。(写真下:部分)

 さらに、川面に写る建物や舟の影と画面の半分以上を占める空が、この絵を伸びやかで開放的なものにしている。

 ウリッツハイス美術館のフェルメール。
 次回の「真珠の耳飾りの少女」との出会いを最後にこの街と別れ、ベルギーのブリュッセルへ列車で向かう。

 その道中、思いもよらぬ出来事に出会う羽目になるのだが、それはまた、別の機会に。

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