ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ゴヤとマネ ‐ ナショナル・ギャラリー(33)

2014年08月23日 |  ∟イギリスの美術館

 18世紀末から19世紀にかけヨーロッパの各地で生まれたスタイルのロマン主義、抒情性や抽象性を感じさせる描写が特徴とされている。

 その先駆的役割をなし、近代絵画の創始者のひとりとして知られているのが、スペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828)。

 彼A_2は宮廷画家としての華やかさと、戦争の恐怖と不正に対する情熱的な告発者として、その両義を持ち表現した画家とされる。

 今回の絵はその彼の、「イザベル・デ・ポルセール」。

 本作のモデルは、彼の親しい友人ドン・アントニオの夫人ドーニャ・イザベル。
 フラメンコで馴染のある左手を腰に当て、肘を張り、身体と顔が逆方向を向くポーズで描かれている。
 実はこのポーズ、淑女としては余りにも卑俗で、受け容れ難いものともされる。

 しかし、着衣がマハ(小粋な女)の衣服としても知られる黒い薄絹のマンティーリャ(ショール)。
 そのマンティーリャが持つ特有の質感と透過感が絶妙に描き込まれ、マハを暗示させることによって、開放されたポーズとして受け止めることができる、とも評されている。
 ちなみに、彼については、プラド美術館の旅の<ゴヤ>のほか、スペイン編で投稿している。

 そのゴヤから少なからず影響を受けたとされるのが、印象派の先駆的画家にして写実派のエドゥアール・マネ(1832-1883/フランス)。

 そPhoto_5の彼が描いた絵とは、「テュイルリー公園の音楽祭」。

 同時代の批評家たちは、資産家で華やかな社交界の一員であった彼の超然とした態度と無関心さとを非難、ルーヴルだけで絵を描いている、と思われた時期もあったらしい。

 群集肖像画とも呼べる本作では、その当時に現代的な生活を営むことの優位性を賞賛したとされている。

 本作から5年ほど後、ゴヤの「バルコニーのマハたち」(個人蔵)との関連性が指摘される、「バルコニー」(オルセー美術館蔵)を描いている。
 本作はマネの転換期における重要な作品のひとつと位置付けられてい、そのことは、オルセーの旅の<マネ>でも投稿した。

 公園で華やかに音楽祭に興じる人の中で、こちらをみているあの淑女、ドーニャ・イザベル夫人じゃない? そんな気がしないでもない。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.853

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(32)へは(コチラ)から入れます。

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