お酒の置(な)い食堂、今も昔もそんな店があろう筈もないが、めし屋の棚に並ぶ惣菜を眺め、まさか、隣の赤い国の食材使こうてないよな?と疑心が湧く。
主婦仮免中の酔狂老人、神経質になってたら食べるもんがのうなると思いつつも、この国のだけは絶対に嫌!
産地説明、鼻眼鏡にしても読み取るには余りにも小さな字で、そのうち天眼鏡が買い物の必需品になるかも。
ところで、相も変わらずTVが下らんので、かつて世間を騒がせたらしき韓流映画、TVドラマじゃない。とやら、旧作らしいが暇に飽かせて視たらこれが存外におもろい。
視たのが、「猟奇的な彼女」と「彼とわたしの漂流日記」。
どちらもコメディだが、今回は食にちなんで「――漂流日記」をひとくさり。
人生に絶望しソウル市内を流れる漢江(ハンガン)に飛び込んださえない彼。
無人島、といってもそこは土砂の堆積でできた野鳥保護区に漂着。
泳げない彼は自力で脱出もできず、大都会の真ん中にいながら孤立無援の状況に陥り、サバイバル生活を余儀なくされる。
一方、対岸のマンション、顔の小さなあざのせいで高校を退学して以来引き籠り、毎晩、超望遠カメラで月を観察して過ごすわたし。
ある晩、レンズ越しに彼の姿を見つけ好奇心を持つ。
自殺を図ったものの、高層ビルが並ぶ街が目の前に見える無人島で生きるためにもがく彼、それを見守るわたし。
ふたりの間に奇妙な交流・・・・・が。
サルビアの花の蜜を吸い、汚れた川で魚を捕り、貧乏?キノコを喰らう彼。
ある日、流れ着いたゴミの中から、粉末スープだけが残っているジャージャー麺の袋を発見、かつては邪険?にしたジャージャー麺が無性に食べたくなる。
そして、彼はなんとこの野鳥の島で、麺作りを始めるのである。
あれ喰いたい、これ食べたいの尽きぬ欲望に付け入り、汚染まみれの食材を作らせ売る業者。
この映画を視て、食に限らず騙してでも儲けたい浅はかな世相に溜息が出た。ところで今晩、何食べようか?
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.846