ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ルノワール / カイユボット ‐ オルセー美術館(11)

2012年05月09日 |  ∟フランスの美術館

 印象派の中でも特に名が知られた巨匠ピエール・オーギュスト・ルノワール(1841-1919/フランス)。
 時に女性的と直喩される流動的な筆勢、明瞭で多様な色彩、豊潤で官能的な裸婦の表現、揺らめく木漏れ日による人物や風景など、数多くの作品を描いたルノワール、二回目の登場である。

 肉感に溢れた女性を官能的に描く画家というイメージがあって、「<陽光の中の裸婦>を見るまでは余り好きになれなかった。
 そのルノワール、まずは、前稿モネの 「ひなげし」との関連性が指摘される 「草原の坂道‐夏の田舎道」から。

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  ルノワールの 「草原の坂道」(左)
 圧倒的に人物画が多い彼の制作活動の中で数少ない風景画のひとつとしても知られている

 ひなげしの赤が空の青と鮮明な対比をみせるモネの 「ひなげし」(右)とは対照的に、日傘とともに用いられた赤が、黄色味を帯びた画面の中で効果を発揮している。

 そして、彼の印象主義時代に描かれた作品の中で、最も世に知られる傑作のひとつ 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」。

 この作品(左)に描かれるのはパリのモンマルトルの丘の、かつて粉挽き小屋であった庶民的な酒場・ギャレットでダンスなどに興じる人々(集団)を対象に、喧騒なカフェや木漏れ日の庭で愉快に踊り会話する情景を活写している。

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  傑作 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」(左)
 そして彼の 「舟遊びをする人々の昼食」(右/ワシントンDC・フィリップスコレクション蔵)

 セーヌ河畔、<ラ・グルヌイエール>のレストランのテラスを舞台に、舟遊びに興 じる人々(集団)を描いた 「舟遊びをする人々の昼食」は、彼が印象主義時代との決別を告げた作品としても知られている。

 また、「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」とほぼ同時期に 「ぶらんこ」を描いている。
 これらの絵は、
絵の収集家としても知られる印象派の画家ギュスターヴ・カイユボット(1848-1894 / フランス)が所有していたとされている。

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  ルノワールの 「ぶらんこ」(左)
 当時彼が借りていたコルトー街の家の大きな庭園で過ごす人々の一場面を切り取っている
 
カイユボットの 「床の鉋かけ」(右)
 資産家で収集家だった彼が、画家として高い評価を受けた作品とされている

 ブルジョワ階級出身で生涯裕福であったカイユボットは、収集家としてもよく知られており、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、セザンヌなどの絵を購入、経済的に支えたという。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.465

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