○ 若紫やさぶらふ

「このわたりに若紫やさぶらふ」
(この辺りに若紫いる？)

ある殿上人が源氏物語のヒロインの名に託し　

紫式部の所在を問うた。　
千年前(寛弘五年、1007年)の彼女の日記にそうある。　

京都御所の脇の慮山寺が紫式部邸の跡で、執筆の地とされる。　
平安京の歴史に詳しい井上満郎京都産大教授に聞くと、「さきの戦争(応仁の乱)で、紫式部の時代の建物は一つも残っていない」


「当時は死にそうな病人は家の外に出した。　
疫病がはやると路上に死体が放置され鴨川にも　
死体がごろごろしていた。捨て子も多くすでにストリート・チルドレンもいた。994年に疫病の記録があり、下級貴族の紫式部はその惨状見ていただろう。


過去4000年の世界の都市人口を推計したアメリカ
の歴史家ターシャス・チャンドラーによると、　
AD1000年の世界ランキングは　

①　コルドバ(スペイン) 45万人　
②　開封(中国)　40万人　③　コンスタンチノーブル:現在イスタンブール(トルコ)　30万人　
④　アンコール(カンボジア)　20万人　
⑤　平安京(日本)　18万人　
⑥　カイロ(エジプト)　14万人　
⑦　バクダット(イラク)　12万人　　

この辺りが当時の先進国である。　


大半がアジア、イスラム圏で、西欧、キリスト教圏が見当たらない。　

ちなみに、チャンドラーの推計では、パリ(2万人)
ロンドン(1.5万人)の田舎町であった。