尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

詩「深い夜に」

2011年06月21日 22時09分10秒 | 詩の習作
暗闇の向こうに様々な人の顔が浮かんでくる
深い夜がある

彼らは目を閉じても消えない
目の前でありながら
この手をのばしても決して届かない場所に
誰が彼らをならべるのであろう
一葉一葉
私の体の周りに輪のように並べられていく

懐かしい人の顔もちらほらいる
忘れてはならない人もいる
忘れたい人まで交ぜられている
しかしほとんどの顔がどこのだれだか
思いだせない顔である

あの喜ばしい日々に
私が避けた人が一葉
結ばれた
とびきり悲しい日々に
ただすれ違っただけで
私の不幸を理解した人が一葉
結ばれた

これから出会う人々よりも
もう会えない人達の方が
圧倒的に多いことは知っている

深い夜に
私は一本の木になる
私は茂っている

わずかに
木漏れ日が
こぼれている

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