尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

生きている理由

2010年03月03日 23時24分39秒 | 詩の習作
仕事の帰り
焼肉をご馳走になった

準急行に座って
文庫本を読んでいた

遅かったので
立っている人は
ほとんどいなかった

顔をあげると
あたりまえのことだけれど
みんな服を着ておとなしく腰掛けていた
それがひどく滑稽なことと思われたり
痛ましくも感じられた

自分の右手と左手を結んでいる人もいたが
どこへ運ばれていくか
その果てのことを知る人はいない

揺れるとだいたいおなじように
みな揺れた
その先頭で
運転手さんだけが身体を硬くして
闇を開く光線を睨み続けているのだろう

小さな地球のことを思った
その上を走るおもちゃのような
鉄道のことを思った

この近鉄南大阪線こそ
僕らの銀河鉄道なんだと
気がついた
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