尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

人間の顔

2008年01月06日 12時00分57秒 | 詩の習作
顔のなかには
それぞれ固有の
海があり
山脈があり
平原があり
畑があり
集落がある
しかし
人々は
どこにもいない

顔のことを
ある種の記号だと思って
坂上さんとか山田さんとか村山さん
とか呼んでみる
呼んで呼ばれて
その明け暮れが人生というものである
しかし
ふり向くのは
顔の大地でもなく海でもなく
いつも
坂上さんと、山田さんと、村山さんである
住んでいた人々は戻ってこない
畑は二度と耕されはしない
ただ陽と月と星は
愛していると
歌わんばかりに
顔をぐるぐる回り続ける

人間の孤独は
顔、につきる

その歌を聞こう

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