ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

(52)「硝子の葦」桜木紫乃著(新潮社)・・12/19読了

2010年12月24日 | 本の事
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この本と、後一冊で、今年のブックレビューは終わります。
読んだ端から忘れてしまうという、悲しい現実に打ちひしがれながら書いています。

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 面白かった。
どれくらい面白かったかといえば、昔、松本清張が次々とベストセラーを発表していた時、ちょっとこの作品は書きすぎて疲れが出ているかな といった時のような感じです。

<あらすじ>
愛と憎しみは、相殺できるの?母の愛人だった男が、私の夫。愛なんて、最初からなかったはずなのに。意識を失ったままの男。漆黒の骨にしかなれなかった女。狂い出した日常-怪物たちが覚醒する。「BOOKデータベース」より・・・

というわけなのですが、
飲み屋にいた厚岸署の刑事は、店を震わせた大きな衝撃に驚いて表に飛び出した。彼は、一軒のスナックがすさまじい勢いで燃えている光景と、中に人がいると叫ぶ男を目撃する。
そして幸田節子という厚岸出身の三十歳の女性の遺体が見つかる。そこから物語は、この女性の過去へさかのぼってゆくのだ。

釧路湿原を見下ろす丘の上に建つそこそこのラブホテルのオーナーの夫人だった。夫とは親子ほど年齢が離れている。
しかもこの夫は以前は厚岸で飲み屋を開いている節子の母親と関係があった。釧路の高校を出た節子はやがて母親の愛人を奪う形で結婚することになった。
異常な人間関係だが不思議とどろどろとした生臭さは感じさせない。節子が醒めていて、夫も実に寛大なのだ。
節子は結婚しているのに、会社の顧問会計士と関係しているのだもの。

その節子は歌を詠む。最近歌集も出版している。その短歌の会で佐野倫子という主婦と知り合う。彼女には小学校二年の娘がいる。節子の歌は性愛が主題になっているのに対し倫子は家族の幸福を詠む。お金もちの旦那、幸せな家族。羨ましいと思っていたら・・・
ある時、節子はまゆみという倫子の娘の身体のあちこちに傷があるのに気がつく。家庭内暴力か。
幸福そのものに見えた倫子の家庭にひびが入っているのに気づく。そして他人に関わるまいとしていた節子が倫子と幼いまゆみを助ける破目になり犯罪に手を貸してしまうのだ。

義理の娘との関係、趣味でつながった倫子とはその後どうなるのか、その虐待の娘とは…
彼女らとの関わりのところは意外性もあってこの先どうなるんだろ?
この話にこの展開は必要なのか?その意図は?と次々とテンポが良く退屈しない。

でもこの後はネタばれになりますので詳しくは書けませんが、きちんと計算された物語で、くどくどと倫理観を説くようなのもなく読みやすさも手伝って ぐいぐいとひっぱられるような感じで読み終えました。
サスペンスとしては面白かったと思います。

さぁ 後一冊、早く読み終えなくちゃ・・・

蜘蛛り時々晴れ 11℃

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
陰を描くのが得意な作家さんですね (ゆっき)
2011-09-15 00:33:41
面白い作品を作る作家さんですよね。
ただ、あまり評価が追いついてこないんです。

もう数年、修行というか、待つ必要があるんですって。
http://www.birthday-energy.co.jp/

来年とさ来年が試金石で、体調とかをクリアすれば
評価も上がる・・・とか。

そして56歳からは苦悩はつきまとうけど、乗り越えていけば
評価されるそうですよ。

新作もでたし、また読んでみようかな。
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