ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

⑫『たった独りの引き揚げ隊』・・石村博子著(角川書店)3/12読了 

2010年03月18日 | 本の事
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 次から次へと本が来る。
「なんか本に追っかけられる、夢を見る。もう今年になって12冊だよ。」そう言ったら愚かなトンボが「12冊? まだ少ないよ俺にいわせりゃ、俺なんか、もう読みすぎて知識があふれて時々水戸様から匂い付きであふれ出るよ、多少括約筋も衰えているから勢いはないけどね。」
いやだよね、品がない発言は・・。

とまぁ前置きはそのくらいにして、この本はドキュメンタリータッチの本で それもそのはず実話らしい。

1945年、ソ連が旧満州に侵攻した日、家族と離れ離れになった少年ビクトル。彼はコサックの母、日本人の父を持つわずか10歳の少年だった。
たどり着いたハルピンで父と再会するが、その後独りで日本へ帰還するため入れてもらった引き揚げ隊に、ロシアとの混血であることを理由に追い払われ、広野に独り取り残される。
満州1000キロをコサックの祖父や母から受け継いだ知恵で歩きとおしたビクトルは、成人した後スポーツを通して日本とソ連を結ぶ架け橋となった・・・。

恥ずかしながら私はこの本を読むまで、サンボというスポーツもコサックという民族もしらなかった。

そんなわけで調べてみましたよ。
近代格闘技史を知る上で決して欠かせない格闘家の一人。ビクトル古賀こと古賀正一は柔道、レスリング界に多大な影響を与えただけでなく、旧ソ連で生まれた格闘技、サンボの第一人者としてロシア人からも一目置かれてきた。そんな華々しい経歴を持ちながらも彼の功績や経歴は日本であまりにも知られていない。

とにかくこれまでの引揚者の物語は「悲惨な証言を風化させてはならない」「思い出したくないが、今記録しておかなければ」という、やむにやまれぬ気持からというのが多いから、戦争をいやがうえにも思い出させてくれるものばかり。
でもこの作者は。「俺が人生で輝いていたのは、10歳、11歳くらいまでだったんだよ。それに比べたら、あとの人生なんてとりたてて言うほどのことってないんだよ」と書いてるくらいだから、その独りで引き上げる道中が実に感心するというか、素晴らしいのだ。人がどんな環境に置いても 生きていける根幹をこの時すでに身に着けていたビクトル。
読みながら これから地球がおかしくなってもこのように冷静に 今おかれた立場を判断しさえすれば、何とか生きられるんじゃないかとさえ思わせてくれる。

後書きに寄ると聞き取りを始めてから4年かかったそうで、大半は、背景の歴史を調べ、証言の裏付け調査に費やしたようです。

なーるほど・・
それがこの本が、ただの聞き書きや、独り善がりの思い出でなく、良質のノンフィクションに仕上がっているのかな。

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雨 12℃ 寒い。

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