みちびきの放送暦は,通常15分に一回と,GPSに比べて頻繁に更新されます.
ひとつの放送暦が有効である時間も2時間と,GPSより短くなっています.
OSQZSS受信機での複合測位精度劣化の原因が,ファームウェアの中身を調べても,どうしても
判らなかったので,放送暦の更新状況をチェックしてみました.
横軸に新しい放送暦が受信された時間,縦軸にその放送暦のIODEをプロットしてみます.
18時から20時に掛けてのギャップは,みちびきが地平線以下で観測できなかった時間帯ですが,
10時から15時に掛けて,IODEが連続であるに,放送暦の更新がストップしています.
当然,この時間帯は,有効な放送暦がありませんので,みちびきを測位に使うことができません.
しかし,更新がストップする直前の放送暦の中身を確認してみると,放送暦の有効時間を示す
FTI(fit interval)が1となっています.これは,その放送暦が2時間以上有効であることを意味しています.
2時間未満ということであれば,FTIは0であるべきです.
受信機側はFTIを正しく理解し,本来は有効であるべきでない放送暦を約5時間,次の新しい放送暦に
更新されるまで使い続けてしまいます.FTIが0であれば,2時間後には有効時間を超過するため,
みちびきの観測値を測位に利用することストップするはずです.
そんなわけで,複合測位精度の劣化は,受信機側のバグではなく,試験信号側の問題のようです.
原因が判明して一安心.