OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

GPS受信機の輸出規制

2016-08-01 15:51:58 | 小型衛星
firefly GNSS受信機を搭載した小型衛星を海外のロケットで
打ち上げるために,fireflyの輸出が出来ないかという相談が
増えている.

輸出許可申請が面倒で,基本的に対応する予定はないけれど,
日本におけるGPS受信機の輸出管理について復習しておく.

GPS受信機の規制というと,すぐにITARが話題に上るが,
ITARはあくまでも米国における輸出入の規則でしかない.
とはいえ,ITARは「輸入」規制でもあることから,
米国に輸出しようとなると,自国の輸出規制だけではなく,
ITARの輸入規制にも注意する必要はある.

しかし,GPS受信機に関していえば,それまで規制対象と
なっていた高度・速度に関する制限が削除されたため,
宇宙機用GPS受信機の輸出入はITARの規制外となっている.

現在,日本を含めた多くの国で,GPS受信機の性能に関する規制の
唯一の基本合意となっているのが,ミサイル技術管理レジーム
(MTCR: Missile Technology Control Regime)である.

この中で,カテゴリーIIの規制品として,11.A.3に速度600m/sを
超えて測位情報を提供するGNSS受信機がリストアップされている.

MTCR: EQUIPMENT, SOFTWARE AND TECHNOLOGY ANNEX

日本でも,このMTCRの規制に基づき,このようなGNSS受信機を
リスト規制の対象としている.

具体的には,輸出貿易管理令第4項(18)における貨物等省令第3条
第十九号のアビオニクス装置として規制されている.

経済産業省: 輸出令別表第1のマトリクス表

また,人工衛星の場合,打ち上げが日本国内からであっても,その後,
主たる運用者が海外に移管される場合も輸出とみなされるので厄介だ.

そんな訳で,海外への輸出はあきらめて,fireflyを搭載した衛星は
国産ロケットでばんばん打ち上げて欲しい.
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