アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

給食費未納は大きな問題ではないのか!?

2011年01月19日 | Weblog
 給食費未納問題ですが、まず文科省が公開しているデータを見ていただきたい。

1 未納の子供が存在する学校が55.4%。
2 未納の子供は1.2%。
3 未納額の割合は0.6%。
4 学校の認識としては…
  保護者の意識の問題→53.4%
  日本経済の問題→43.7%

 このデータを見る限り、大した問題ではない…かもしれない。この数字から、「給食費未納問題は、マスコミが大げさに騒ぎ立て、煽っている」とする高名な経済評論家さんがおられる。彼女が書いたものを見ると…
 1 未納額の割合は、たかだか0.6%。2クラスに1人いるかいないかという水準である。
 2 未納の原因は学校の認識が正しいとは限らない。
 3 本当は重大でない問題に大きなリソースが割かれるのは社会的な損失。
 4 日本中の学校が債権回収業務に従事するなんて非効率すぎる。
 ざっとこのような論調。私は怖れています。何を?国民の皆さんが、「なーんだ!給食費未納って大きな問題じゃないんだ。有名な評論家が言うのだから間違いない」と、なりはしないかと。私は、この評論家に全く賛同できません。「変な記事を書いてゴメンナサイ」と、謝罪してほしい気持ちです。

 文科省が公開している数字では、確かに大した問題ではなさそう。しかし、現場では大変な問題となっているのです。
 一番の問題は、殆どの市町村が、学校給食に係わる条例で、「給食費の徴収は、校長が行う」としているのです。つまり、未納の給食費は、校長が支払わなければならないのです。評論家さんは、「未納者は、2クラスに1人」ということですが、6クラスある小学校では、3人いることになります。その小学校長は、3人分の給食費を自腹を切って納入するのです。この状況って、正常でしょうか?
 また、未納に係わり、「学校側が、保護者の意識に問題ありが、53.4%というのも確かかどうか解らないだろう」と、述べられている。
 「保護者の意識の問題です!」と、いうことを如実に物語る例を挙げさせていただくと・・・生活保護世帯の意識が低いです。生活保護費には、給食費も含まれている。つまり、生活保護費を受給して給食費を払わないということは、「無銭飲食して、さらに借金を返さない」という状況。これでも保護者の意識の問題とは言えないかも知れないというのでしょうか?

 生活保護費支給前に、給食費を天引きすることはできない。
 徴収したい学校側としては、生活保護費が支給される日に、当該保護者にくっついて役所へ行き、支給された次の瞬間、奪い取るようにして給食費を徴収するしかない。ここまでしなければ給食費を集められないのです。こんなこと、誰だってしたくない。徴収する側は、正義を行っているのですが、傍目にはどう写っているか?…給食費未納による負の波及、恐るべし!え?正義と言えるかって?大丈夫、マイケル・サンデルの本を3冊読みましたから(大変おもしろかったです。しかし、「これから『正義』の話をしよう」のほうは、活字が小さすぎます)。
 閑話休題。生活保護費支給の窓口へ行って給食費を奪い取る役目は、本来は校長。しかし、「校長にそれはさせられない」と、代役で行ってくださる事務主事の先生もおられる。こういう人には頭が下がります。

 「こども手当てから、給食費を天引きできる」このニュースにもっとも喜んだのは、校長先生でしょう。
 と、いうわけで、「給食費未納問題は、マスコミのでっち上げ、大した問題ではない」との主張を世に出された評論家さん…に言いたい。
 「給食費未納問題は、教育現場の裏面で、もっとも重大な問題なのですぞ!」紙切れを見て、机の上だけで論評するなーっ!