おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「家日和」 奥田英朗

2008年03月18日 | あ行の作家
「家日和」 奥田英朗著 集英社 (08/03/17読了)

 「空中ブランコ」や「マドンナ」を超える傑作とは言い難いものの、まぁ、無難に読める小品集でした。「空中ブランコ」がバッターからは高めに見えて、手元で急にストンと落ちる変化球ならば、「家日和」はストレートのスローボールといったところ。ストライクには違いないけれど、「やられたっ~!」感にはやや欠けます。だからこそ、帰りの電車の中で、弛緩した気分で読むにはちょうどいいのかもしれませんが。
 
作品はいずれも「家」にまつわるストーリー。それにしても、奥田さんは、主婦の気持ちがなんでこんなにわかってしまうのでしょうか?ちょっとリアル過ぎます(といっている私も主婦ではないので、主婦が本当にそう思っているかどうかは定かではありませんが…)。「ガール」を読んだ時にも女の感覚があまりにも「奥田英朗って、実は女?」と思うほどの薄気味悪さがありました。

ところで、最後の「妻と玄米御飯」は奥田家をモチーフにしたのだろうか-と思わせる設定です。もしかしたら、単なる架空の小説家一家の話なのかもしれませんが…ヒット作が出るとそんなにお金持ちになっちゃうのかぁと思った次第です。