「アレグリアとは仕事はできない」 津村記久子著 筑摩書房 (09/01/28読了)![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/mush.gif)
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津村記久子さん、最も新しい、芥川賞作家です。これは受賞作ではありませんが…前から、ちょっと気になっていました。で、結論から言うと、「なんか、イマイチ、私には理解し難いなぁ」「私には、純文学は向かない?」という印象。表題作を含めて2作品が収められているのですが、ひと言に集約すれば、「不機嫌な空気」が支配する小説でした。
まず、表題作の「アレグリアとは仕事はできない」は、コピー、プリンター、スキャナなどの機能があわさった複合機=アレグリアとの相性が悪いという話。男性社員には愛想よく動くくせに、なんで、私がコピーを使うときには、すぐに故障して、サービスマンを呼べというサインを出すのか、その上、サービスマンが来ると、突然、機嫌を直して、普通に動くのはなぜか???と憤懣を募らせる。そして、「お前が人間だったら、絶対に、絞めてやる~」みたいな勢いで複合機を憎み、実際に、ある日、勢いをつけてケリを入れてしまう(そのわりには、自分のクツ跡を丁寧に消しゴムで消したりするのだが…)。そして、彼女にとって、最大の怒りは、アレグリアに対する憎しみを誰も理解してくれない。私だけが、アレグリアと上手くやっていけない…みたいな。そりゃあ、自分がコピーを使っている時に紙詰まりになって、いくら、ガイダンスに従って紙を取り除いてもうまい具合にコピーができないとイライラするという気持ちは理解できるのですが…だからって、これほどまでの憎悪をたぎらせるノリというのが、やっぱり、ようわかりません。ってことに加えて、若干、文章のリズムが私の波長に合いませんでした。句読点の位置が、微妙に、私のイメージするあるべき場所とズレているんです。だから、ちょっと読み辛かった。
もう一つの「地下鉄の叙事詩」という方が、少しは、共感できるかなぁ。朝の通勤電車の不快な気分満載。ある車両に乗り合わせた人々が感じる不快を、それぞれの視点から語らせているのです。「ああ、そうそう、その通り!!!」と思う部分は、確かに、結構、あります。足を開いて座る奴とか、つり革を二つ使う奴とかは、よくある話ですが、ホームではノロノロと緩慢な動きしかできないのに、電車に乗り込んだ瞬間にどこかにレーダーでもついているのかと思うほどの正確さで小さな隙間を発見して、もの凄いスピードで席を確保する地味なオバチャンに対する憎悪とか-ああ、なんか、そういう人って、確かにいるよなぁ。
しかし、「アレグリア…」同様に、不快がエスカレートした挙句の憎悪の度合いが、ちょっと尋常ではないのです。足を広げてスペースをとっている男の股間を叩き潰してやりたいとか、シャカシャカと音漏れしながら音楽を聞いている奴の耳を切り落としたいとか-私には、朝から、そこまで、人を憎悪するエネルギーがないので、せっかく共感しかかっても、最終的には「やっぱり、ちょっと感性が違うのかな?」と思ってしまう。そもそも、日々、通勤電車で十分に不快な思いをしていながら、またまた、本を読んで、それを追体験する必要もないか…と思ったのでした。
結論。とりあえず、「買ってまでは読まない」に分類。誰かが貸してくれたら「カソウスキの行方」は読んでみたいなと思います。
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津村記久子さん、最も新しい、芥川賞作家です。これは受賞作ではありませんが…前から、ちょっと気になっていました。で、結論から言うと、「なんか、イマイチ、私には理解し難いなぁ」「私には、純文学は向かない?」という印象。表題作を含めて2作品が収められているのですが、ひと言に集約すれば、「不機嫌な空気」が支配する小説でした。
まず、表題作の「アレグリアとは仕事はできない」は、コピー、プリンター、スキャナなどの機能があわさった複合機=アレグリアとの相性が悪いという話。男性社員には愛想よく動くくせに、なんで、私がコピーを使うときには、すぐに故障して、サービスマンを呼べというサインを出すのか、その上、サービスマンが来ると、突然、機嫌を直して、普通に動くのはなぜか???と憤懣を募らせる。そして、「お前が人間だったら、絶対に、絞めてやる~」みたいな勢いで複合機を憎み、実際に、ある日、勢いをつけてケリを入れてしまう(そのわりには、自分のクツ跡を丁寧に消しゴムで消したりするのだが…)。そして、彼女にとって、最大の怒りは、アレグリアに対する憎しみを誰も理解してくれない。私だけが、アレグリアと上手くやっていけない…みたいな。そりゃあ、自分がコピーを使っている時に紙詰まりになって、いくら、ガイダンスに従って紙を取り除いてもうまい具合にコピーができないとイライラするという気持ちは理解できるのですが…だからって、これほどまでの憎悪をたぎらせるノリというのが、やっぱり、ようわかりません。ってことに加えて、若干、文章のリズムが私の波長に合いませんでした。句読点の位置が、微妙に、私のイメージするあるべき場所とズレているんです。だから、ちょっと読み辛かった。
もう一つの「地下鉄の叙事詩」という方が、少しは、共感できるかなぁ。朝の通勤電車の不快な気分満載。ある車両に乗り合わせた人々が感じる不快を、それぞれの視点から語らせているのです。「ああ、そうそう、その通り!!!」と思う部分は、確かに、結構、あります。足を開いて座る奴とか、つり革を二つ使う奴とかは、よくある話ですが、ホームではノロノロと緩慢な動きしかできないのに、電車に乗り込んだ瞬間にどこかにレーダーでもついているのかと思うほどの正確さで小さな隙間を発見して、もの凄いスピードで席を確保する地味なオバチャンに対する憎悪とか-ああ、なんか、そういう人って、確かにいるよなぁ。
しかし、「アレグリア…」同様に、不快がエスカレートした挙句の憎悪の度合いが、ちょっと尋常ではないのです。足を広げてスペースをとっている男の股間を叩き潰してやりたいとか、シャカシャカと音漏れしながら音楽を聞いている奴の耳を切り落としたいとか-私には、朝から、そこまで、人を憎悪するエネルギーがないので、せっかく共感しかかっても、最終的には「やっぱり、ちょっと感性が違うのかな?」と思ってしまう。そもそも、日々、通勤電車で十分に不快な思いをしていながら、またまた、本を読んで、それを追体験する必要もないか…と思ったのでした。
結論。とりあえず、「買ってまでは読まない」に分類。誰かが貸してくれたら「カソウスキの行方」は読んでみたいなと思います。