「銭の戦争 第2巻・北浜の悪党たち」 波多野聖 ハルキ文庫
どうしよう。もう、面白すぎる!!!
サブタイトルの通り、明治40年前後の北浜や証券金融市場を賑わした相場師にフィーチャー。改めて、株式市場って、100年以上、同じことを繰り返しているのだなと思う。電話、コンピューター、インターネットと、新しい技術の導入に伴い圧倒的なスピード感の変化を獲得してきたけれど、儲けるためのメソッドは変わらない。と、分かっていても、人間って相場の魔力から逃れられないんだな。というか、カネの魔力が世界を動かし、歴史を変えているし、歴史が相場を動かしているのかもしれない。
物語の中で狂介が語る相場哲学は潔く、美しい。相場に勝つために必要なのは、知恵と機転と度胸と資金力。そして、何よりも孤独に耐える精神力。自分には何ひとつ無いので、相場には不向きと改めて認識する。というか、やっぱり、素人がパソコンみながらクリックしてカネを稼ごうなどという浅はかな考えが通じるほど甘い世界ではないなと思う。
ピンポイントで特に面白かったのは、創業当時の村證券の描写。「野村週報」って、野村徳七が考案したのかぁ。投資情報部やストラテジスト、アナリストを駆使したハウスオピニオンの流布なんて今となっては当たり前のことのようだけど、最初に思いついて、システムを作った人には素直に賞賛の拍手を送りたい。
そして、100年前に財政難にあえいでいた日本も、やっぱり金融緩和で切り抜けようとしていたというのも、なんか、身につまされます。
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