「膠着」 今野敏著 中央公論新社
老舗の糊メーカーが外資系化学企業に買収されるかも-という、いかにもイマドキありそうなテーマを、二流大学卒の新入社員クンの視点で語るストーリー。ま、それなりのスピード感もあるし、今野敏が書いたのでなければ…もうちょっと素直に「面白かった!」と言えたかもしれません。しかし、今野敏作品としては、緻密さに欠けるというか…。いかにも、大雑把に書き下ろしましたという印象を受けてしまいました。
ヒミツが漏洩しないように社内会議をわざわざ本社から遠く離れた御殿場工場で開催したり、それは却って目立つから、やっぱり東京本社に戻ってやろうということになったり-と社内のドタバタは妙にクドクドと書いてあったり、開発中の接着剤の化学的な特徴は思わず読み飛ばしたくなるぐらいに詳細なのですが…でも、物語のヤマバって、そこじゃないよね?? って突っ込みを入れたくなります。
肝心の買収回避の記述は信じられないぐらいあっさりしているし、社内のスパイがどうしてその人だとわかったのかというところも1-2行でおしまいって感じで、読み応えなし。せっかく、今野敏が企業買収モノを手がけるのであれば、買収対抗策やスパイのあぶり出しの部分で、もっと、読ませてほしかったのです。しかも、最終盤の、ものすごく単純に、古き良きニッポンを大切にしようね-というぬるーい空気感が、陳腐すぎます。「隠蔽捜査」の冴えまくり筆致と比べると、かなり、格落ちですね。
でも、もしかして、このナンパ路線、あえて、狙ったものなのでしょうか? とすれぱ、硬派で、尖った企業小説、是非是非、書いてもらいたいです!
老舗の糊メーカーが外資系化学企業に買収されるかも-という、いかにもイマドキありそうなテーマを、二流大学卒の新入社員クンの視点で語るストーリー。ま、それなりのスピード感もあるし、今野敏が書いたのでなければ…もうちょっと素直に「面白かった!」と言えたかもしれません。しかし、今野敏作品としては、緻密さに欠けるというか…。いかにも、大雑把に書き下ろしましたという印象を受けてしまいました。
ヒミツが漏洩しないように社内会議をわざわざ本社から遠く離れた御殿場工場で開催したり、それは却って目立つから、やっぱり東京本社に戻ってやろうということになったり-と社内のドタバタは妙にクドクドと書いてあったり、開発中の接着剤の化学的な特徴は思わず読み飛ばしたくなるぐらいに詳細なのですが…でも、物語のヤマバって、そこじゃないよね?? って突っ込みを入れたくなります。
肝心の買収回避の記述は信じられないぐらいあっさりしているし、社内のスパイがどうしてその人だとわかったのかというところも1-2行でおしまいって感じで、読み応えなし。せっかく、今野敏が企業買収モノを手がけるのであれば、買収対抗策やスパイのあぶり出しの部分で、もっと、読ませてほしかったのです。しかも、最終盤の、ものすごく単純に、古き良きニッポンを大切にしようね-というぬるーい空気感が、陳腐すぎます。「隠蔽捜査」の冴えまくり筆致と比べると、かなり、格落ちですね。
でも、もしかして、このナンパ路線、あえて、狙ったものなのでしょうか? とすれぱ、硬派で、尖った企業小説、是非是非、書いてもらいたいです!