温泉クンの旅日記

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足利の老舗蕎麦

2016-03-23 | 食べある記
  <足利の老舗蕎麦>

 大正十五年創業の老舗蕎麦屋、「足利一茶庵本店」・・・だ。





 どうみても料亭のような立派な佇まいである。
 左手の引き戸を開けて店の中に入ると、簡易な丸椅子が縦一列に並び、椅子数ぴったりの六名の客がおとなしく座っていた。二名ひと組とすると、四番目か・・・。
 並ぶのが大嫌いなわたしである。すこし悩むが外は雨だし、そうそう来られないので諦めて列の後尾に立つことにした。
 ガラス張りの蕎麦打ち場の横、すぐ眼の前の壁にでかでかと一茶庵の系譜があったので暇潰しに読む。





 系譜のなかにはわたしが良く知っている蕎麦屋も多いのに驚く。
 江戸時代中期に「蕎麦全書」を著した食通「日新舎友蕎子(にっしんしゃゆうきょうし)」の境地を目指した、初代の蕎麦打ち名人「片倉康雄」が確立した<一茶庵流の手打ち蕎麦>を実に数多の職人が師事した蕎麦屋や、直接に修行を受けて独立した弟子たちが全国各地に旨い蕎麦屋を開店している。

 背中の仕切りの向こうが店内になるので、覗くと、空いている卓がいくつかある。ここは、店側が意図的に行列をつくっているのだと腹が立ってしまう。それに短い営業時間のくせに売り切れた時点で閉店などと、なんという殿様商売だろう。水曜定休以外に臨時休みありだと、遠くから来た客怒るぞ、いい加減にしろ。くそっ、帰るか。

「お先にお待ちの六名様、どうぞこちらへ」
(えっ!)
 うひょーラッキー! 順番が思い切り次になってしまった。ならば、前言はすべて撤回しますし、喜んで待ちます。君子は豹変するのだ。



「さらしなと田舎蕎麦を」
 席に座るなり注文する。店内に入る前に入口にあったメニューをぐっと睨み、決めていたのだ。



「どちらも並盛でよろしいですか」
 他のテーブルに視線を素早く走らせる。むむ、量が少ない。
「さらしなは大盛りでお願いします」



 さきほどの六人組は中庭の向こう側にある席に案内されたようだ。
 お茶をちびちびやっているうちに、さらしな蕎麦が運ばれてきた。



 ラグビーで五郎丸が難度の高いキックをする前に「ルーティン」をするが、わたしも料金が高い蕎麦を食べる前にちょっとした「儀式」めいたことを行う。
 まずは蕎麦つゆを少量啜る。うむ、さすが極上の旨さといっていい。血圧が正常であればゴクゴク飲みたいくらいである。
 そして、蕎麦のそのまま数本そのまま味わうのだ。



 蕎麦の刺身といわれる吟醸のさらしな蕎麦・・・の味わいは、ふむ、特上以上か。でも極上とまではいかない。長野の城の近くにある蕎麦屋のほうが上だな。



 僅かな時間差で到着した田舎蕎麦である。
 こちらも特上以上は間違いないが、埼玉のあそこの蕎麦屋の「極上」の境地までは到達していない。



 もっとも、あの店は、なんと一茶庵「初代友蕎子」に師事したというのが系譜をみてわかったのでなんとも微妙な話だが。
 蕎麦は量が少ないので二種類食べて丁度いいくらいである。

(かなわぬことだが初代の打った蕎麦を食べてみたかった)
 つゆと蕎麦、双方極上のやつを。蕎麦猪口に極上の蕎麦つゆを足し、蕎麦湯を注いで飲みながら思うのだった。

 足利一茶庵本店・・・レベルが高い蕎麦を食べさせてくれるのはありがたいが、意図的に行列をつくっての待ち時間はどうにも納得がいかない。ついでがなければ二度目は・・・ないだろうな。

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