<さすが、の牛バラご飯>
有楽町駅の日比谷口を出たら、ガード沿いに帝国ホテルに向かって歩く。


晴海通りの信号を渡ればもうすぐで、駅から五分とかからない。

純広東料理「慶楽」。
昭和二十五年創業であるから、六十年を超えている老舗である。
入ったのが書き入れ時を過ぎた午後一時前であったが、ほぼ満員である。ただ、ほとんどの客が食べ終えるようだ。
一階奥の、四人掛けテーブル席に案内された。ひとりだから恐縮して座るが、なあに実は嬉しい。
運ばれたお茶で喉を潤しながら、メニューを一応は見るふりをする。わたしの注文は鼻から決まっているので迷いはない。ただの格好つけである。
メニューの品数は非常に豊富で、古代の神の名前のような長く難しい漢字がずらりとならぶページが多い。
この店の人気メニューは「上湯炒飯(スープ入ヤキメシ)」、「肉絲炒麺(豚肉とモヤシやきそば)」、「蝦仁湯麺(エビつゆそば)」、それに「燒賣(シュウマイ)」などである。
手をあげて店のひとを呼び、
「牛バラご飯を」
正式名称はわからぬが、これで注文はオッケーだ。週に二度いく店を別にして、一村一品ならぬ「一店一品」がわたしの基本である。行く店で頼むものはひとつなのだ。
牛バラご飯・・・ああ、懐かしい。
丸の内で働いているころの昼飯といえば、「鳳鳴春」が支店長課長クラスの行きつけの店のひとつであり、「慶楽」は部長クラス以上のお偉いさんの行きつけであった。
勤めていた外資系会社の、日本人経営者のトップであったYさんがこの店の「牛バラご飯」が大好物であったのだ。
怖いものなしの若造のわたしも給料日とか賞与がでたときに、Yさんの真似をして同じものを食べていたのだった。
連れのいない常連客が次々と入ってきては、「エビチャーハン」とか聞き取れない名前の麺類を頼んだ。
わたしの「牛バラ」だけでなく、人気メニュー以外の好みの品が常連にはそれぞれあるようである。
あまり待たされることもなく、料理が運ばれてきた。

量は男にはすこし足らないぐらい、普通のカレーライスを思ってもらえればいい。女性だったら「ご飯を少なめに」と注文の際に言えばいい。
まず、スプーンで牛バラ肉を口に入れる。
(うーん、これこれ、間違いない、この味だ)
さすが、慶楽、味はぜんぜん落ちてはいない。
口のなかでほろほろと溶け崩れる、味わい深い牛肉がたまらない。
とびっきりのビーフシチュー、オン サ・ライスを想像したらその味わいをわかりやすい。。ビーフの煮込みがドミグラスソース味ではなく、極上の中華丼に使用するような奥深い中華スープ味になっている。とろみはごく薄い。
たっぷりの牛肉のほかには、青菜がはいっていた。
牛バラご飯・・・この店の隠れた逸品である。こいつを食べ終わると、お代の千百五十円は決して高くはない。
伊勢廣とともに、お薦めのランチである。
→「焼鳥屋の絶品ランチ」の記事はこちら
→「鳳鳴春の坦々麺」の記事はこちら
有楽町駅の日比谷口を出たら、ガード沿いに帝国ホテルに向かって歩く。


晴海通りの信号を渡ればもうすぐで、駅から五分とかからない。

純広東料理「慶楽」。
昭和二十五年創業であるから、六十年を超えている老舗である。
入ったのが書き入れ時を過ぎた午後一時前であったが、ほぼ満員である。ただ、ほとんどの客が食べ終えるようだ。
一階奥の、四人掛けテーブル席に案内された。ひとりだから恐縮して座るが、なあに実は嬉しい。
運ばれたお茶で喉を潤しながら、メニューを一応は見るふりをする。わたしの注文は鼻から決まっているので迷いはない。ただの格好つけである。
メニューの品数は非常に豊富で、古代の神の名前のような長く難しい漢字がずらりとならぶページが多い。
この店の人気メニューは「上湯炒飯(スープ入ヤキメシ)」、「肉絲炒麺(豚肉とモヤシやきそば)」、「蝦仁湯麺(エビつゆそば)」、それに「燒賣(シュウマイ)」などである。
手をあげて店のひとを呼び、
「牛バラご飯を」
正式名称はわからぬが、これで注文はオッケーだ。週に二度いく店を別にして、一村一品ならぬ「一店一品」がわたしの基本である。行く店で頼むものはひとつなのだ。
牛バラご飯・・・ああ、懐かしい。
丸の内で働いているころの昼飯といえば、「鳳鳴春」が支店長課長クラスの行きつけの店のひとつであり、「慶楽」は部長クラス以上のお偉いさんの行きつけであった。
勤めていた外資系会社の、日本人経営者のトップであったYさんがこの店の「牛バラご飯」が大好物であったのだ。
怖いものなしの若造のわたしも給料日とか賞与がでたときに、Yさんの真似をして同じものを食べていたのだった。
連れのいない常連客が次々と入ってきては、「エビチャーハン」とか聞き取れない名前の麺類を頼んだ。
わたしの「牛バラ」だけでなく、人気メニュー以外の好みの品が常連にはそれぞれあるようである。
あまり待たされることもなく、料理が運ばれてきた。

量は男にはすこし足らないぐらい、普通のカレーライスを思ってもらえればいい。女性だったら「ご飯を少なめに」と注文の際に言えばいい。
まず、スプーンで牛バラ肉を口に入れる。
(うーん、これこれ、間違いない、この味だ)
さすが、慶楽、味はぜんぜん落ちてはいない。
口のなかでほろほろと溶け崩れる、味わい深い牛肉がたまらない。
とびっきりのビーフシチュー、オン サ・ライスを想像したらその味わいをわかりやすい。。ビーフの煮込みがドミグラスソース味ではなく、極上の中華丼に使用するような奥深い中華スープ味になっている。とろみはごく薄い。
たっぷりの牛肉のほかには、青菜がはいっていた。
牛バラご飯・・・この店の隠れた逸品である。こいつを食べ終わると、お代の千百五十円は決して高くはない。
伊勢廣とともに、お薦めのランチである。
→「焼鳥屋の絶品ランチ」の記事はこちら
→「鳳鳴春の坦々麺」の記事はこちら
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