<居酒屋プランで泊る(2)>
夕食は六時からである。あとすこしだ。
居酒屋で提供される夕食とはいったいどんなものだろうか。まさか厚揚げとか揚げだし豆腐がメインだったりして。あるいは焼き鳥とか・・・まあ、それでもいいが、酒には魚介系がいいなあ。
長門といえば、詩人の「金子みすず」が生まれた仙崎の港をはじめとして良港が多く、沿岸漁業も盛んである。水揚げされる主なものはイカやアジなどだ。また蒲鉾などの練り製品の製造でも知られている。また養鶏業も盛んで、長門市内には焼き鳥店も多いそうだ。
六時になって、温泉棟にある居酒屋に向かった。

店にはいると、四人掛けよりすこし大きめなテーブルが五つ、とカウンターが六、七席くらいの店だ。まだ客は誰もいない。
フロントから連絡が通っていて、口あけの客であるわたしは案内された二つ目のテーブルに座った。
なにか呑みものでも頼もうかと思っていると、夕食には生ビールが一杯付くという。なんと気のきいたプランだろう、嬉しくなってしまう。

運ばれてきた夕食をみてびっくりした。

東京の居酒屋では、なかなかお目にかかれない新鮮なイカの刺身。それに刺身三点盛り、小鉢がふたつに茶碗蒸しである。イカは残ったら揚げものにしますので、という言葉が泣かせてくれる。
さっそくイカの刺身で生ビールをいただく。
旨い。
(うーむ、このプランをあちこちで真似してほしい)
笑みを浮かべながら(不気味である)呑んでいると、さらに「アラ煮」の皿がとどいて、トドメを刺されてしまう。

あらら、これだけあれば、閉店まで呑めるぞ。
ビールをあけて、芋焼酎の水割りを注文する。
客が何組かはいってきて、見ているとわたしと同じ料理もあれば、鍋が運ばれていくテーブルもあった。もしかしたら同じプランで連泊でもしているのだろうか。
何杯か呑んでいるうちにテーブル席がすべて埋まり、その後の二人連れからカウンターに座るようになる。
二人連れからチラリと視線を投げかけられて、ちょっと居づらい雰囲気になってくる。
ひとりでテーブル席を占領している客が三人だが、次々とご飯と椀ものを頼み始めたので、わたしも心残りだが、注文する。
イカを揚げましょうかというのを断り、残しておいたアラ煮でご飯をいただく。
朝一番で宿の大浴場で髭を剃ると、部屋に戻り着替えて外湯に向かう。長門湯本温泉の締めに、外湯の新鮮な温泉をたっぷり浴びてから出発したいのだ。
千キロ運転による徹夜疲れも、たっぷりの睡眠で解消したようだ。
恩湯の脇の道をすこしいくと礼湯という外湯がある。


行ったことのない礼湯にいこうかと少し迷うが、やはり恩湯を選ぶ。


切符を買い、服を手早く脱ぐと引き戸を開けた。

深めの浴槽には、新鮮で柔らかめの温泉がたっぷり湛えられていた。入念に掛け湯をして、湯舟に身体を沈めていく。
あの居酒屋プラン、実に気に入った。
もしまた来ることがあったら、同じプランで宿泊することにしよう。ただし、存分に呑めるカウンター席がいい。昨夜あと二、三杯呑みたりなかったわたしはそう思うのだった。
→「長門湯本温泉(1)」の記事はこちら
→「錦帯橋温泉」の記事はこちら
夕食は六時からである。あとすこしだ。
居酒屋で提供される夕食とはいったいどんなものだろうか。まさか厚揚げとか揚げだし豆腐がメインだったりして。あるいは焼き鳥とか・・・まあ、それでもいいが、酒には魚介系がいいなあ。
長門といえば、詩人の「金子みすず」が生まれた仙崎の港をはじめとして良港が多く、沿岸漁業も盛んである。水揚げされる主なものはイカやアジなどだ。また蒲鉾などの練り製品の製造でも知られている。また養鶏業も盛んで、長門市内には焼き鳥店も多いそうだ。
六時になって、温泉棟にある居酒屋に向かった。

店にはいると、四人掛けよりすこし大きめなテーブルが五つ、とカウンターが六、七席くらいの店だ。まだ客は誰もいない。
フロントから連絡が通っていて、口あけの客であるわたしは案内された二つ目のテーブルに座った。
なにか呑みものでも頼もうかと思っていると、夕食には生ビールが一杯付くという。なんと気のきいたプランだろう、嬉しくなってしまう。

運ばれてきた夕食をみてびっくりした。

東京の居酒屋では、なかなかお目にかかれない新鮮なイカの刺身。それに刺身三点盛り、小鉢がふたつに茶碗蒸しである。イカは残ったら揚げものにしますので、という言葉が泣かせてくれる。
さっそくイカの刺身で生ビールをいただく。
旨い。
(うーむ、このプランをあちこちで真似してほしい)
笑みを浮かべながら(不気味である)呑んでいると、さらに「アラ煮」の皿がとどいて、トドメを刺されてしまう。

あらら、これだけあれば、閉店まで呑めるぞ。
ビールをあけて、芋焼酎の水割りを注文する。
客が何組かはいってきて、見ているとわたしと同じ料理もあれば、鍋が運ばれていくテーブルもあった。もしかしたら同じプランで連泊でもしているのだろうか。
何杯か呑んでいるうちにテーブル席がすべて埋まり、その後の二人連れからカウンターに座るようになる。
二人連れからチラリと視線を投げかけられて、ちょっと居づらい雰囲気になってくる。
ひとりでテーブル席を占領している客が三人だが、次々とご飯と椀ものを頼み始めたので、わたしも心残りだが、注文する。
イカを揚げましょうかというのを断り、残しておいたアラ煮でご飯をいただく。
朝一番で宿の大浴場で髭を剃ると、部屋に戻り着替えて外湯に向かう。長門湯本温泉の締めに、外湯の新鮮な温泉をたっぷり浴びてから出発したいのだ。
千キロ運転による徹夜疲れも、たっぷりの睡眠で解消したようだ。
恩湯の脇の道をすこしいくと礼湯という外湯がある。


行ったことのない礼湯にいこうかと少し迷うが、やはり恩湯を選ぶ。


切符を買い、服を手早く脱ぐと引き戸を開けた。

深めの浴槽には、新鮮で柔らかめの温泉がたっぷり湛えられていた。入念に掛け湯をして、湯舟に身体を沈めていく。
あの居酒屋プラン、実に気に入った。
もしまた来ることがあったら、同じプランで宿泊することにしよう。ただし、存分に呑めるカウンター席がいい。昨夜あと二、三杯呑みたりなかったわたしはそう思うのだった。
→「長門湯本温泉(1)」の記事はこちら
→「錦帯橋温泉」の記事はこちら
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