ニョニョのひとりごと

バイリンガルで詩とコラムを綴っています

コラム⑨  「素晴らしい学芸会」 (2012.2.19)

2012-02-19 21:59:09 | 日記
コラム⑨
     「素晴らしい学芸会」
                          
 午後2時から福駅近くの西淀川区民会館エルモで行われた大阪福島朝鮮初級学校の学芸会を見に行った。ひとことで「素晴らしい学芸会」だった。

 まず最初から驚かされた。初級部全員での器楽合奏から幕をあけたのだが、それもクラシックニューイヤコンサートのアンコール曲として良く使われるヨハン・シュトラウス1世の「ラデッキー行進曲」を演奏したのだ。指揮を担当した男子生徒の合図に合わせ観客も一緒に手拍子しながら楽しい学芸会が始まった。

 演奏後、初級部1年生4人が色とりどりの民族衣装を身に着け、とてもしっかりと開幕の挨拶をした。ウリマルの発音がとてもきれいで、どの子もしっかり挨拶ができた。

 3番目は幼稚班5人による料理対決をテーマにした歌とお話なのだが、子供達があまりにもしっかりしているので幼稚班とはとても思えなかった。初級部に発音も負けていないし、歌も演技も上手なのだ。5人が5人とも上手なのには驚かされた。BGMもとてもタイミングよく、観客の喜びそうな料理番組のテーマ曲をちゃっかり拝借して私たちを楽しませてくれた。

 次に、2年生全員による歌とお話「ノブコ」が又おもしろい、発想がおもしろいのだ。「ノブコ?」何それ?と思えばしめたもの、ノレ(歌)の「ノ」、プルダ(歌う)の「プ」、コマ(チビッコ)の「コ」、三つ合わせて「ノブコ」-なぁるほど!

 うわさではちょっと寒いお話と聞いていたが、何のその、まず出演している子供達が楽しんでいる。これが一番大事なのだ。テーマである歌の重要性を充分アピールできたし、それもいろんな工夫を凝らしていて、私は上出来だと思った。

 次の男声重唱は堂々たるものだった。何しろ発音がきれい。一言一言がはっきり聞こえる。2曲目の歌は全員のソロを入れ父兄を喜ばせてくれたと思う。

 次の1年生の紙芝居がまた素晴らしい!バイリンガル紙芝居なのだ。4人の子供達が、可愛い衣装を着て、ウリマルも日本語もどれほど流暢だか知れない。日本学校の子供さん達にも見せてあげたかった。(バイリンガル紙芝居は、全国で取り入れるべきだ。)
 
 幼稚班の可愛い合唱に続き、1部最後の群舞「楽しいキャンプ」もとてもよかった。大道具のキャンプフアィヤーがとても引き立ちキャンプの楽しさを満喫させてくれた。

 2部もまったく退屈させなかった。幼稚班の児童達がおもちゃの妖精に扮し、おもちゃ箱の中から飛び出していろんな楽器で、いろんな曲を弾きこなすのには本当に感心した。たった5人とはとても思えない。こんな素晴らしい幼稚班に何故生徒が5人だけなのか、理解できなかった。勿体無い、宝の持ち腐れとはこのことだ。

 息のぴったり合った打楽器演奏、拍手喝さいを浴びた大道芸、かしまし娘たちの漫才と、2部も、どの演目も水準が高く、飽きさせなかった。特に11番低学年全員の「15年後の私たち」には感動させられた。ダンスもとても上手で一緒に踊りたいほどだったが何よりも、この子供達が15年後、この世の中はどう変わっているだろうかと、考えずにはいられなかった。

 嵐のような差別と蔑視が吹き荒れ、花のように美しく愛らしいこの子供たちを傷つけているが、15年後、20年後、50年後もウリハッキョがウリハッキョらしく存在して欲しいとすべての人々が思ったに違いない、すべての人々が、子供たちを、民族教育を守らねばと思ったに違いない。

 最後の合唱は選曲も良く、振り付けや、民族打楽器も取り入れて、とても斬新な合唱になった。全校生の歌声がとても美しい!校服に少しだけリボンを添えてあげるだけで、子供達がどんなに愛らしく見えることか、先生方の心遣いが嬉しかった。

 生徒数は少ないが、大阪福島の子供達は、全国どこに出しても恥ずかしくない、素晴らしい芸術性と民族性を備えていた。そればかりか時代の流れにしっかり対応し、すべての演目が新鮮で、決め細やかな配慮がなされていると思った。1部の学生だけではなく、全校生が主人公になった素晴らしい学芸会だった。
コメント (3)
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