風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

映画『座頭市千両首』 昭和39年(1964)

2015-08-24 23:00:46 | 時代劇





                         


座頭市シリーズ第6弾。藩に納める上納金を盗んだ悪代官一味と、市との死闘!クライマックスには悪役に抜擢された実の兄、若山富三郎(当時、城健三郎)との凄まじい殺陣が待ってます。


全編これ勝新さんの居合アクションてんこ盛りなんです。座ったままの姿勢から刀を一閃させて、一気に三人を斬り倒す。これを上からカメラで捉えてワンカットで撮ってる。まあ勝新さんの居合の速いこと!

あるいは山の斜面で子供を庇いながら、襲い来る捕方をバッタバッタと斬り倒す。これなんか足場の悪いところで、しかも盲者の設定ですから、目をハッキリ開けてるわけにはいかないわけですよ。大変な撮影だったと思いますね。

あとは、悪代官に捕えられた庄屋を助けるために、庄屋の乗せられた唐丸駕籠の行列に斬りかかり、十数人を一気に斬り倒していく。これもほぼワンカット。


そして最大の見せ場が、勝新さんと若山さんとの一騎打ち!若山さん演じる浪人者は剣の腕前も凄まじいのですが、ムチの使い手でもあるんです。このムチをビュンビュン振って市を翻弄するわけです。



マカロニ・ウエスタン『真昼の用心棒』に、ムチを使う悪役が登場しておりましたが、この映画全体の印象として、当時流行だったマカロニ・ウエスタンっぽさを狙ったのかなと感じさせるところがありますね。

若山さん演じる悪役は、人をいたぶって殺すのが大好きなんですね。うへへへへと笑いながら人を斬るんですから、あんまり普通の時代劇では、出てこないタイプではないですかね。

また若山さんが演じると嵌るから(笑)、怖いんですよねえ。



で、ラストで勝新さんと若山さんが対決するわけですが、若山さんはいきなり馬に乗って現れ、馬上からムチを振って勝新さんを捕え、馬で引き摺って行きます。このカットは吹き替えなし、勝新さん本人が本当に馬に引き摺られてる。身体張ってます。

なんとかムチを振りほどく市、これでバランスを崩した若山さん演じる浪人は、勢い余って落馬してしまう。この時の若山さんは、頭から地面に落ちてるんです。よく首を折らなかったなという勢いで、多分現場も一瞬凍りついたんじゃないかという位、危険な角度で落ちてます。お二人とも本当に身体張って気を張って演じてる。
スゴイシーンです。


落馬した浪人者に向かって市が刀を抜いて駆け寄って行く。身を起こした浪人と2、3度刀を交え、くるりと体を返し、背中合わせになる二人。

刹那の間を置いて市が身を翻し、一瞬早く浪人を斬る!


市が走り寄っていくところから斬るまでが、やはりワンカット。身体能力の高い御兄弟の凄まじい殺陣を、心行くまで堪能させてくれます。



アクション時代劇の逸品ですね。ストーリーは可も無く不可も無くといったところ。国定忠治を演じた重鎮、島田正吾さんは流石の貫録。映画に良い彩りを添えています。

やはり勝新さんの居合アクションこそ、一番の見どころでしょう。



アクション時代劇を堪能されたいなら、これは最適ですよ。

私、強力にプッシュいたします。



できれば一家に一本、『座頭市千両首』を置いておくと良いですね~(笑)




時代劇、面白いですよ。











『座頭市千両首』
企画 浅井昭三郎
原作 子母沢寛
脚本 浅井昭三郎
   太田昭和
撮影 宮川一夫
音楽 斉藤一郎
監督 池広一夫

出演

勝新太郎

城健三郎(若山富三郎)

坪内ミキ子
長谷川待子

上村謙二郎
天王寺虎之助

石黒達也
伊達三郎

丹羽又三郎
林寛


島田正吾

昭和39年 大映映画

結局、『夢の浮世に咲いてみな』なんだよねえ。

2015-08-24 03:35:18 | 雑感




色のない この世界 (Paint it! Change it!)

塗り変えろ ド派手に

絢爛豪華 (Be it! See it! Just Believe it!)

誰だって 一生、夢見人さ

その人生を 彩るのは (Live it! Give it! You can win it!)

愛と 夢だけなんだ

君という 錦の華 咲かせましょう (Paint it! Change it! Rearrange it!)

浮世絵巻

この宇宙(そら)の 我ら ひとカケラ

(ももいろクローバーZ vs KISS 『夢の浮世に咲いてみな』より
作詞、岩里祐穂・Paul Stanley 作曲、Paul Stanley・Greg Collins)


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この世のことを浮世。あの世のことは常世といいますね。



常世、常の世。常に存在する一定の世界。

それに対して浮世とは、フワフワと当て所なく浮遊する、不安定な根無し草。いずれは泡のように弾けて消えて終わる。そんなニュアンスを感じます。


つまり、あの世こそは「本当」の世界で、この世は

「まぼろし」の世界。


この世がまぼろしなら、この世に生きる我々もまた

まぼろし、みたいなものです。



まぼろしの世界で、己という花を思いっきり咲かせて、

散っていけばいい。


それが常世へ持って行ける、唯一の「お土産」だ。



細かいことなど気にするな。

他人のことなど、大したことじゃない。


みんな、「まぼろし」








せいぜい、君という錦の華

咲かせましょう。




みんな、ガンバレ!