メイキングを見るのって、結構好きなんですよね。
ものを作る現場をのぞき見するのは楽しいものです。
特にその現場に携わっている人達のスタンスだとか、想いだとか、そうしたものがよく見えるメイキング映像は、めちゃめちゃ楽しい。
そういう意味ではこのメイキング、実に良いです。
映画『幕が上がる』は、弱小演劇部が全国大会出場を目指して頑張って行くことで、成長していく姿を描いた、どストレートな青春映画です。
主演のももクロは、演技経験はないわけではないけれど、ほとんど素人に近い。
そんな彼女たちが、この映画を通してどんどんうまくなっていく。映画の中の登場人物たちの成長と、ももクロ自身の成長とが見事にシンクロしているのが、この映画の最大の面白さでしょう。
人が成長して行く姿を見ることが、こんなに楽しくて面白くて、
感動するものだとは、
青春って、いいね。なんて気恥ずかしいことをポロっと口に出せちゃうような、
そんな映画なんです。
一言で言えば、「熱い」映画。その熱さの秘密の一端が、このメイキングを観ているとよくわかる。
その秘密とは、映画本編では使用されていない、膨大なカットの中にあったんですねえ。
本編ではほんのちょっとしか使われていない「肖像画」のシーンや、「銀河鉄道の夜」のシーンも、実は最初から最後まで全シーンを撮ってる。
撮ってるのに、ほんのちょっとしか使わない。
「肖像画」なんて、テストなしの一発本番。しかも最初から最後まで長回しの一発撮り。
そんな物凄いプレッシャーを掛けられながらも、ももクロはそこをしっかりとクリアしていく。
でも、映画本編では、ほんのちょっとしか使わないんだなあ。
その使われなかったシーンの積み重ねがあったからこその、「成長」だったのだな、ということが、よくわかるんですよね。
もうね、最初の方と最後の方とでは、ももクロたちの顔つきが違いますからね。平田オリザ氏の演劇ワーク・ショップに参加して、演劇の基礎から学んでいた頃のももクロは、ホントに素人そのままだった。
それが映画の最後の方では、自身に満ち溢れた、実にいい顔をしているんです。
それはもちろん、ももクロ自体のポテンシャルの高さもありますが、やはり丁寧に撮影してくれた本広監督を初めとするスタッフの皆さんの苦労と努力の賜物でしょう。
ももクロをホントに大事に思ってくれて、大事にしっかり丁寧に撮影してくれました。
ももクロはいつも、よいスタッフに恵まれてますよね。人徳、ですかね(笑)
有難いことです。
なんだか色々な想いが胸の中を渦巻いていて、うまくまとめられない感じです。
ある意味、映画本編より面白い…なんてことは言っちゃイカンかな(笑)。
でもホント、終わってしまうのが寂しくて、いつまでもいつまでも見続けていたい、そんな感傷に苛まれてしまったメイキングでした。
人が成長していく様を見るのって、なんて素敵なことなんだろう。
こんな感慨に浸れるメイキング映像なんて、そうはないですよ。
ももクロって、いいね。