風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

金田龍之介

2017-07-31 07:21:19 | 名バイプレーヤー










萬屋錦之介主演によるテレビ時代劇『子連れ狼』。昭和48年に第一部が放送され、昭和49年に第二部、昭和51年に第三部が製作され、その壮大な物語は、テレビ時代劇としては破格のものがありました。


幕府のCIAともいうべき「裏柳生」と、元公儀介錯人・拝一刀、大五郎親子との壮絶な死闘。まさに時代劇の歴史に残る名作だと断言しておきましょう。



裏柳生総帥・柳生烈堂(第一部高橋幸治、第二部西村晃、第三部佐藤慶)との対決も見どころですが、子連れ狼第三部には、テレビ時代劇市場最大の悪役が登場します。


その名は阿部頼母。通称を阿部怪異(かいい)といいます。



将軍の日々の食事の毒見をする御役、「将軍家御口唇(おくち)役」を代々務める旗本、阿部家の当主です。

その母親は頼母を出産する前から発狂しており、座敷牢の閉じ込められておりましたが、ある日牢を脱走し、連れ戻されたときに何者か分からぬ者の子を身ごもっていました。

頼母の父阿部監物(高品格)は世間体を思い、頼母を実子として育てますがそこに愛情はなく、頼母は幼少時より虐待を受け続けます。

その父からあらゆる毒の調合法を教え込まれた頼母は、その技を生かして両親を毒殺、阿部家の家督を継いだのです。



この阿部頼母を演じた方こそ、名脇役中の名脇役、金田龍之介さんでした。


原作に近づけるため、出っ歯の入れ歯をはめ、その恰幅の良い身体を生かしつつ、坊主頭に三白眼と、まさに「怪異」ぶりを熱演されており、金田さんの役者生涯で、最大の当たり役だったといっていいでしょう。


毒を調合するときに、なんか変な歌を歌うんですよね。♪こおろりこうろ~毒とろろ~♪とかなんとか(笑)、これが妙に可笑しかった。


侍としての誇りもなにもなく、ただ己の欲望のままに生きる。このエネルギッシュでどこか憎めない、ある種の哀れさすら感じされる、史上最高の悪役でした。




金田さんを見るたびに、阿部怪異を思い出したものです。あれほどの名悪役は、今後も出てくることはないんじゃないかな。




平成21年、満80歳で逝去。時代劇史上最大の悪役を演じられた、その役者人生に惜しみない拍手を送ります。



楽しませていただきました。ありがとうございました。





時代劇史上最大の悪役、阿部頼母。通称阿部怪異。

忘れないよ。

地主の話

2017-07-30 10:49:00 | 歴史・民俗





「地主」という地名を見かけたことはありませんか?あるいは「地主町」なんて名前の商店街があったりします。


大概の人は、「偉い地主さんが住んでいたのか?」といったようなことを連想します。しかしこの「地主」とは人ではありません。



地主とは「地主神」つまり「土地神」のことを云っているんです。





地主と書いて「とこぬし」、「じぬし」、「じしゅ」などと読みます。上に挙げた地主町は、私の知っているところでは、「じしゅまち」と読みます。年配の方などは「じしゅうまち」と伸ばして呼んでいますね。







古来より日本人は、大自然ありとあらゆるところに神が宿ると信じていました。ですからそれぞれの土地には、それぞれの土地神様がおられる。


ですから、例えば町場を整理するための大規模な開発工事などを行う際に、その土地の神を祀って許しを得ようとした。あるいは、

祟りを成さないように「封じ込めた」という意味もあったかもしれません。



私の知る地主町の由来も、おそらくは城下町整備を恙なく行うために地主神を祀った場所があったからだったでしょう。土地の神「地主神」を祀った祠か社が、かつてはこの地主町の一画に建てられていたのだと思われます。

ただ古地図などを見る限り、そのようなものは見当たらない。ただ寺院が数軒建っていたようなので、おそらくはその寺院のどこかに祀られていたのだと思われますね。


その地主町も現在では、人通りもまばらな閑散たる商店街となってしまいました。江戸の頃にあった寺院は一軒も残っておらず、もはやどこに地主神様が祀られていたのか分からない。


この街を通る度、どの辺に祀られていただろうかを夢想します。






伊勢外宮には、「土宮」と呼ばれる別宮があります。

この土宮は、伊勢外宮の鎮座する彼の地の、元々の土地神つまり地主神を祀った社なのだそうです。

日本古来の風習として、神社や寺院を建てる場合、その土地の土地神、地主神を祀ったんです。土地の神の許可を得る、あるいは土地の神を封じ込める。どちらの意味にせよ、土地神を祀る風習があった。


例えば武蔵国一宮・氷川神社には摂社として「門客人神社」があり、アラハバキの神が祀られています。民俗学者の故・谷川健一氏などによれば、このアラハバキの神こそ元々の地主神であったようです。



どの土地にもその土地の神がおわす。神社や寺院でさえ土地神を祀っていたのだから、人がその土地に住もうとするなば、当然土地神の許しを得なければなりません。それは地鎮祭というかたちで、現在でも継承されていますね。

ただこの地鎮祭の意味を、本当に分かっている人はどれだけいるのだろうか。



今や「地主」といえば、土地を金で買った持ち主のことを指すようになってしまい、土地神という本来の意味が忘れ去られてしまっています。かつての日本人は、その土地に住まわせていただいているという意識が強かった。しかし今はどうでしょう?


土地に対する感謝、家に対する感謝を忘れてはいないだろうか?



地主町を通る度、そんなことを思う今日この頃。





今日のリクエスト。NSP『八月の空へ翔べ』

夏らしい名曲。

SCORPIONS [Sails Of Charon] 1977

2017-07-29 08:06:41 | 今日のメタル











西ドイツ出身のバンド、スコーピオンズは、70年代には日本でこそ絶大な人気があったものの、当時は世界的にはほとんど無名のバンドでした。

ギタリストのルドルフ・シェンカーを中心に結成されたバンド、スコーピオンズは、ルドルフが主にリズム・ギターで、ルドルフの弟マイケル・シェンカーがリード・ギターという布陣でしたが、マイケルがイギリスのバンドUFOにスカウトされ脱退、当時はスコーピオンズよりもUFOの方がビッグ・ネームだったこともあり、ルドルフはマイケルの才能を生かすためには移籍した方がいいと考え、気持ちよくマイケルを送り出します。


そのマイケルの後任としてバンドに加入したのが、ウリ・ジョン・ロート(当時ウルリッヒ・ロート)です。ジミ・ヘンドリックスを敬愛し、クラシックにも造詣の深いウリは、ギターにヴァイオリン的な奏法を取り入れた最初の人物といって良く、80年代以降に増殖する数多のテクニカル・ギタリストたちに大いなる影響を与えた人物といってよく、特にクラシカルな奏法という点では、イングヴェイ・マルムスティーンに与えた影響は多大なものがあると云えるでしょう。



この曲はそんなウリのギターを堪能できる、スコーピオンズ初期の名曲中の名曲。このちょっとダークなリフがなんとも気持ちいいですねえ。




ウリは1978年にスコーピオンズを脱退します。その後バンドはマティヤス・ヤプスを新たなギタリストに迎え、そのサウンドをアメリカを意識したハード・ポップ路線に変更。80年代に至って大ブレイクし、世界中にその名を轟かせることになります。


一方のウリは自身のバンドやソロ活動を地道に続けていましたが、商売が下手なせいか、2005年に破産宣告を受けるなど、なかなか波乱万丈な人生を送られているようですが、それでも現在まで精力的な活動を続けています。



ウリの開発したギター、「スカイギター」は普通のギターが22~24フレットなのに対し、なんと27フレットもある。ボディの真ん中あたりまでフレットが付けられており、手を届かせるためにギターの下半分をザックリと切り取った独特な造形をしたギターで、使いこなせる人はウリ以外、ほんの数えるほどしかいないんじゃないかな。




ところでこの曲のタイトル、邦題は「カロンの渡し守」です。

日本風に云えば、「三途の川の渡し守」といったような意味でしょうかね。


「チャロン」ではありませんよ、「カロン」ですからね(笑)

ももクロ新曲『BLAST!』MUSIC VIDEO解禁!

2017-07-27 00:10:31 | ももクロ










映像がつくことによって、より曲の印象が良くなりましたね。これは良いヴィデオですねえ。


それぞれの競技に向かっていくアスリートの姿が非常にリアルに描かれ、冒頭の緊張から高揚感、そして開放感への展開が半端なく気持ちよい。スポーツってのはこうなんだよな、ということを見事に感じさせてくれます。



それぞれの競技シーンも実にリアル。夏菜子の柔道には嘘が感じられず、余りにもハマりすぎていて感動するほど。杏果・れにの卓球ペアに至っては、あんなに「上手」み見えるなんて、実情を知ってるだけに正直ビックリ(笑)スローモーションのカットはカッコよすぎ。

しおりんは手足が長いせいか、サーベルを持った姿が実に似合ってる。あーりんはバーベルを上げるまでは割とリアルだったのに、挙げた途端にアイドルに逆戻り(笑)。まっ、あーりんだから許されるってことで(笑)



出演者も豪華です。夏菜子の対戦相手はリオ五輪の女子柔道78キロ超級銅メダリストの山部佳苗選手。山部選手は熱心なモノノフとしても有名ですね。

あーりんのコーチ役は、ロンドン五輪ウエイトリフティング48キロ級銀メダル、リオ五輪では同じく48キロ級で銅メダルをとった三宅宏美選手。豪華!

しおりんの対戦相手はジュニアワールドカップ個人部門優勝の宮脇花輪選手。宮脇選手の登場シーンは、結構な迫力。


杏果・れにペアのコーチ役には、なぜか(笑)プロフィギアスケーターの織田信成さん。めっちゃ熱い!ちなみに対戦相手も背中しか映っていませんが、工藤双葉選手に中村真優美選手と、本物の卓球選手に出演していただいています。ほんの一瞬移るだけでも、本物と偽物とでは映ったときの印象が全然違いますからね。



よくぞこれほどの方々が出演してくださいました。ありがたいことです。改めて思う。ももクロって、


スゴイね!


微妙にとがっているようで、それでいてポップ。考えてみればももクロの曲というのは、いつもこうだった気がする。

今回の曲も、この「とんがりポップ」具合が実に心地いい。このMVと合わせて観ることで、その心地よさは何十倍にも増幅されますね。


いやこれは、なかなか良いものですよ。



8月2日の発売、楽しみだあ!

「よろしい、攻撃を中止しましょう。ただし、ミステリアンの即時地球外退去を要求します」

2017-07-26 09:06:23 | 名ゼリフ










火星と木星の間の広大な空間には、数万とも数十万とも云われる数の、大小さまざまな岩砕が漂っており、これを小惑星帯、アステロイド・ベルトと呼んでいます。



この小惑星帯、実は遥かなる太古の昔には一つの惑星であり、文明の発達した人々が住んでいました。しかし核戦争が起き、人々は自らの住む惑星を破壊してしまった……。




昭和32年(1957)公開の東宝特撮映画『地球防衛軍』は、ミステロイドと名付けられたこの元惑星の住人「ミステリアン」が地球侵略にやってくるというお話。富士の裾野で展開する、防衛軍とミステリアンとの一大攻防戦は、今見てもワクワクしますね。


彼らミステリアンはかってに富士の裾野に住み着いて、勝手に地下を掘削し地上の村々に大被害を与えておきながら、「地球人と平和な共存をしたい」とぬかし、「半径2キロの土地を我々によこせ」と要求してくる厚顔無恥ぶり。



まあ、そんなこんなで、このミステリアンに対抗するため、世界各国が協力して「地球防衛軍」が結成され、科学技術の粋を集めた新兵器を次々と開発、初めは劣勢だった人類側も防衛軍の活躍により徐々にミステリアンを追い詰めていきます。


ミステリアン統領(土屋嘉男)は攻撃を中止しないと、もっとひどい目にあわすぞ!と脅しをかけてきます。これに対し、地球防衛軍渉外局長(大川平八郎)が放った言葉がコチラ。




【よろしい、攻撃を中止しましょう。ただし、ミステリアンの即時地球外退去を要求します】



相手が戦いを放棄するなら、こちらもこれ以上深追いはしない。仕掛けたのは相手側、我々は防衛のために当然の戦いをしたまで。


この毅然たる態度。本当に良い刀は鞘に収まっているわけですが、やむを得ず刀を抜かねばならない状況になったとしたら……。

そうなったときの心構えを、上記のセリフは表していると云えるでしょう。


刀は抜かないに越したことはない。しかし

安易にこちらから延いてはならない。



いくさとはそういうもの、いくさはすでに


始まっている、かも……。

有安杏果 FULL アルバム発売決定!

2017-07-25 05:53:28 | ももクロ










我らが有安杏果のソロ・アルバムの発売が決定してます。まあ、ファンはとっくに知っておりますが(笑)


全14曲、杏果自身が作詞、作曲した曲も多数含まれております。今までミニ・アルバムは去年発売されておりますが、フルレンスなアルバムはこれが初となります。



いよいよ満を持してといいますか、なんとも感慨深いことしきりではありますねえ。




何度もいますが、これはももクロあったればこそのこと。杏果自身がなによりそのことを分かっています。このソロ活動がももクロにさらなる「何か」を齎し、杏果自身にも齎すものは大きいでしょう。


まっ、良いことづくめってことで(笑)。




こうした杏果に対し、アイドルかアーティストか?といった論争があるようなないような状況ですが、まあ、アイドルもアーティストの一形態ですから、要は軸足をどこに置くかってことだけです。


どこに置いたっていいんですよ、軸足は、だから。


アイドルだろうがアーティストだろうが、杏果は杏果。我々は「有安杏果」を楽しめればいい。


応援すればいい。


そういうことです。言ってることわかる?(笑)




有安杏果ソロ・アルバム「ココロノオト」。10月11日発売決定!

『BLAST!』TRAILER

2017-07-24 04:16:01 | ももクロ











「嵐にしやがれ!」で公開された映像はこれでしたね。

夏菜子が柔道でしおりんがフェンシング。推され隊が卓球ペアであーりんが重量挙げ。みんなハマってる、カッコイイね。


ダンス・シーンの背景を観ても分かる通り、明らかに明らかに、明らか~にオリンピックを意識してますね(笑)まあ、そっちの方は出れたらいいな、くらいにしか思わないけど、これはなかなか、興味深いMVに仕上がっていそうです。


7月26日、MV全解禁を待て!

「Survival of the Fittest -interlude-」 from 『BLAST!』

2017-07-23 10:32:46 | ももクロ









スポーツをテーマにしたコンセプト形式のももクロの新曲CDは、通常盤CDで5トラック収録されています。その2トラック目に収録されている曲(?)を使用した予告PVが発表されています。


この曲(?)の後にメイン曲の『BLAST!』が繋がっていくわけですね。メンバーがそれぞれ「BLAST!」と呟く中、杏果だけ呟かない。でも『BLAST!』の曲の歌い出しは杏果なんです。つまり次に発表される『BLAST!』のMVに繋がっていくというわけでしょうか。



まるで大作映画の予告編のように、段階を踏んで少しづつ小出しにしていく。凝ってますよね、というより


「遊んで」ますよね(笑)


コンセプト形式のシングルってのも珍しいし、こういう「遊び」が出来ちゃうのが、ももクロの面白さ。




やっぱ良いわ、ももクロ。





男前~。

原ひさ子

2017-07-22 04:15:31 | 名バイプレーヤー










まさしく、「日本のおばあちゃん」女優No.1でした。


明治生まれで亡くなったのは平成17年(2005)ですから、明治、大正、昭和、平成と4つの時代を生き抜かれた。満96歳の大往生。最高齢女優としての記録も未だ破られていません。


この方の場合、代表作と言われても困るんですよね。本当にどこでもいる普通のおばあちゃんという感じで、その辺にちょこんと座っていたりする。余りに普通過ぎて、どの作品に出てたのかよく思い出せない。

唯一印象的だったのは、市川崑監督の映画『悪魔の手毬唄』で、事件の鍵となる手毬唄を歌いながら、トントンと鞠を突いている姿が、妙にこじんまりしていて可愛らしかったのを覚えています。


背中を丸めながらちょこんと座って、眼鏡の奥にある小さな目はいつも静かに笑ってる。そんな日本の典型的なおばあちゃん。




こういうおばあちゃんを演じられる方、いなくなってしまいましたねえ……。