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 風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

修復された「芸術作品」を観る。映画『ゴジラ』(昭和29)4Kデジタルリマスター版※2Kダウンコンバート版

2021-03-08 10:46:54 | ゴジラ

 

 

 

 

 

 

BS日本映画専門チャンネルでは、ゴジラ・シリーズの8作品の4Kデジタルリマスター版※2Kダウンコンバート版を、毎月1本ずつ放送する特別企画を、現在展開しております。

 

その第1弾としての『ゴジラ』(昭和29)。もうね、冒頭の「賛助 海上保安庁」のテロップのカットが、一切のキズもなくハッキリクッキリ写っているところから感動してしまった。

ハッキリクッキリしたことで、今まで見えていなかったものが見えたりしてまたまた感動!大戸島の長老(高堂国典)が新吉少年(鈴木豊明)と海を眺めているシーンで、今回初めて、長老の左手の指にタバコが挟まれているのを発見!今まで何十回と観てきたのに、気づいたのは今回が初めてでした。クッキリハッキリのお蔭。

 

スゲエぜ4K!

 

嬉しいと思うのは、こうした怪獣映画をリマスターしようという発想です。日本映画の歴史の中で、怪獣映画というもの、ゴジラシリーズというものが重要な位置を占めていると認識されていることの、一つの証明だと言っていい。

リマスター作業は決して簡単なものではないようです。特に今回のような古い作品の場合、映画会社のフィルム倉庫から、出来るだけ原版に近いフィルムを「発掘」する作業から始めなければなりません。そうして一コマ一コマキズを補正し、歪みを補正し、色を補正し音を補正し、その他様々な作業を加えて1本の作品に仕上げていく。

なにせ古い映画ですから、それだけ大変な労力をかけて仕上げているわけで、それを8本もやってくれてる。

こんなありがたいことはないです。

 

何かね、高松塚古墳壁画の修復とか、ダ・ヴィンチの絵画「最後の晩餐」の修復とか、意味的にはそれと同じですね。芸術作品の修復。つまり怪獣映画は

立派な「芸術作品」です。

 

なーんてね(笑)

 

まあ、「芸術」なんて冠をわざわざ付ける必要はないにしても、最近では「平成ガメラ三部作」のリマスター版が順次公開されていますし、なにより『シン・ゴジラ』の日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞は大きい。個人的にも溜飲が下がる出来事だったし、私が若いころに比べて、怪獣映画の「地位」は確実に上がってきている。

より正当な評価がなされるようになった。

 

よいことです。

ありがたいことです。

 

BS日本映画専門チャンネル、今後の放送予定。

3月 『ゴジラ』昭和29年。

4月 『キングコング対ゴジラ』昭和37年。

5月 『モスラ対ゴジラ』昭和39年。

6月 『三大怪獣 地球最大の決戦』昭和39年。

7月 『怪獣大戦争』昭和40年。

8月 『怪獣総進撃』昭和43年。

9月 『ゴジラ対ヘドラ』昭和46年。

10月 『ゴジラvsビオランテ』平成元年。

 

見逃すな!


映画『ゴジラvsコング』日本版予告編

2021-02-09 10:01:18 | ゴジラ

 

 

 

 

 

 

ゴジラが人類の敵に!?このシリーズの今までの流れから言って、単純に敵、悪役になるとは思い難い。何かもう一ひねりあることを期待したいが

どうかな?

 

小栗旬さん、なんか若いね(笑)

 

それにしても、全米公開が3月で、本場であるはずの日本が5月公開って

 

どういうこと?


メカゴジラも登場!?映画『ゴジラVSコング』最新予告編

2021-01-26 05:05:53 | ゴジラ

 

 

 

 

 

 

『ゴジラ VS コング』初予告に「メカゴジラ」「スーパーX」らしき姿が! - フロントロウ -海外セレブ情報を発信

『ゴジラ VS コング(Godzilla vs. Kong)』の予告編がついに公開となった。ファンの間では、メカゴジラとスーパーXの存在が話...

 

 

 

 

 

『ゴジラvsコング』最新予告編の冒頭に、メカゴジラらしきものが写っている!?

小栗旬の背後のモニターに、メカゴジラと思われる図面が!?

 

いやあ、楽しくなってきましたねえ~♪

 

小栗旬は前作で亡くなった、渡辺謙演じる芹澤猪四郎博士の息子という設定。さてはメカゴジラの開発者あるいは操縦者か。

 

東宝特撮怪獣映画のノリを、ハリウッドが完全再現している感じ。いやあホント、

楽しいわあ。

 

更には超兵器「スーパーX」まで登場するという噂も。どこまでやってくれんねん!ハリウッド!!

 

 

コングがタンカーで運ばれていると思しきシーンは、昭和37年公開の映画『キングコング対ゴジラ』へのオマージュですね。旧作へのリスペクトも忘れない。

 

良い心掛けです。

 

 

今回のコングはやたらと強いようです。なんかよく分かりませんが、空から降ってくるし(笑)ホントに東宝特撮怪獣映画のノリだわ。

嬉楽し、有り難し。

 

これを観るまでは、絶対絶対、ぜ~たい!

 

死ねないわ(笑)

 

 

 

※「スーパーX」とは、1984年公開『ゴジラ』及び1989年公開『ゴジラvsビオランテ』に登場した、自衛隊の対ゴジラ用超兵器のこと。

 


GODZILLA VS KONG (2021) - Teaser Trailer HD

2021-01-22 04:33:47 | ゴジラ

 

 

 

 

 

 

さあ、「怪獣映画」がやってきますよ!楽しい楽しい怪獣映画!!!

 

映画『髑髏島の巨神』は、従来のキングコングにあったような湿っぽさがなくて、さらっと見ることができる良質なエンタテインメント映画でした。あのコングとゴジラが一騎打ち!

ゴジラのサイズに合わせてか、今回のコングはめちゃめちゃデカい!比較的スリムだし動きも速い。知能も高い。

どんな勝負になりますことやら、お楽しみ!

 

『シン・ゴジラ』素晴らしい映画だけど、それはそれ。ハリウッドが怪獣映画らしい怪獣映画を作ってくれるなら大歓迎です。

 

ゴジラとコング、大自然の神々の激突を、ハリウッドがどう描くのか。

 

こいつを観るまでは、やっぱり死ねないね(笑)

 

5月を待て!

 


ゴジラ映画BEST10発表!

2020-04-05 06:15:59 | ゴジラ

 

 

 

 

久々のベスト10シリーズ。今回はズバリ『ゴジラ』!ゴジラには各人各様のこだわりがありますので、異論反論当あるでしょうが、まあまあ落ち着いて。あくまで私個人の好みという事で、ご了承の程。

 

では、第10位から。

 

 

第10位。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』2019

監督、マイケル・ドハティ。出演、カイル・チャンドラー。ミリー・ボビー・ブラウン。渡辺謙。チャン・ツィー・イー。

 

●ハリウッド版ゴジラには賛否はあるでしょうが、この「平成ゴジラ・シリーズ」のテイストにあふれた本作は、私結構気に入ってます。キングギドラの3本の首それぞれに個性があるところとか、面白かったですよね。渡辺謙さんも良かった。チャン・ツィー・イーが双子という設定は、当然ザ・ピーナッツが演じた「小美人」のオマージュでしょうけど、この辺の中国資本臭さは微妙かな。まあまあ、よく出来た作品だと思います。

 

 

 

第9位。『メカゴジラの逆襲』昭和50年(1975)

監督、本多猪四郎。特殊技術、中野昭慶。音楽、伊福部昭。

出演、佐々木勝彦。藍とも子。平田昭彦。睦五郎。内田勝正。

 

●私がリアルタイムで観た昭和ゴジラは、これが最初でした。大画面で見る迫力に、テレビとは違う映画の力を実感したものでした。特に爆破シーン。「爆破の中野」と異名を取る中野昭慶特技監督の描く爆破シーンには度肝を抜かれたのを憶えています。

メカゴジラ、当時の男の子はみんな好きだったんじゃないかな。 

 

 

 

第8位。『キングコング対ゴジラ』昭和37年(1962)

監督、本多猪四郎。特技監督、円谷英二。音楽、伊福部昭

出演、高島忠夫。藤木悠。佐原健二。浜美枝。有島一郎。田崎潤。平田昭彦。

 

 

●怪獣VSモノの基礎がすべて詰まっている作品。VSモノとはなにかを知りたければ、まずこの作品を観よ!

 

 

 

第7位。『モスラ対ゴジラ』昭和39年(1964)

監督、本多猪四郎。特技監督、円谷英二。音楽、伊福部昭。

出演、宝田明。小泉博。星由里子。ザ・ピーナッツ。佐原健二。田島義文。藤田進。

 

 

●宍戸錠をモデルにしたという、膨らんだ頬に三白眼。完全悪役ゴジラ登場!その登場シーンは、干拓地の土の中から全身が現れる。このシーン、本当にゴジラを土の中に埋めて撮影したといいます。ゴジラスーツの中に入っていた中島春雄氏は、全然平気だったといいますから、とんでもない人です。

 

 

第6位。『三大怪獣地球最大の決戦』昭和39年(1964)

監督、本多猪四郎。特技監督、円谷英二。音楽、伊福部昭。

出演、夏木陽介。星由里子。若林映子。小泉博。ザ・ピーナッツ。伊藤久哉。田崎潤。天本英世。志村喬。

 

●キングギドラ初登場作品。キングギドラの登場シーンは今観ても素晴らしい!怪獣の擬人化など、子ども向けの傾向がこの辺りから強くなってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5位『ゴジラ×メカゴジラ』平成14年(2002)

監督、手塚昌明。特殊技術、菊地雄一。音楽、大島ミチル。

出演。釈由美子。宅麻伸。小野寺華那。友井雄亮。萩尾みどり。白井晃。六平直政。水野久美。中尾彬。

 

 

●とにかく釈ちゃんがカッコイイ!これに尽きる!

 

 

 

第4位『ゴジラVSビオランテ』平成元年(1989)

監督、大森一樹。特技監督、川北紘一。音楽、すぎやまこういち

出演、三田村邦彦。田中好子。小高恵美。高嶋政伸。高橋幸治。峰岸徹。金田龍之介。沢口靖子。

 

 

●ゴジラ細胞をどこの国が手に入れるかで、世界のバランスが変わる。

ゴジラ細胞争奪戦と、ゴジラと自衛隊との激しい攻防。そこに絡んでくる新怪獣ビオランテ。全体の展開はスリリングで面白い。しかしセリフが今一つリアリティに欠け、銃撃戦のシーンは日本映画の宿命というべきか、あまりにショボい。そこがクリアされていれば、もっと上位に食い込んだであろう作品。

惜しい!

 

 

 

第3位。『ゴジラVSメカゴジラ』平成5年(1993)

監督、大河原孝夫。特技監督、川北紘一。音楽、伊福部昭。

出演。高嶋政宏。佐野量子。小高恵美。原田大二郎。宮川一朗太。中山忍。佐原健二。中尾彬。

 

 

●平成ゴジラ・VSシリーズ最高傑作だと、個人的には思っています。テーマはズバリ「命」すべての生きとし生けるものは、命を未来へ繋げるために、戦うのだ。

 

 

 

第2位。『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』平成13年(2001)

監督、金子修介。特殊技術、神谷誠。音楽、大谷幸。

出演。新山千春。宇崎竜童。小林正寛。大和田伸也。南果歩。葛山信吾。佐野史郎。渡辺裕之。中原丈雄。津川雅彦。天本英世。

 

●史上最凶最悪のゴジラ登場!こんな悪いゴジラみたことない。その悪ゴジラを倒すため、日本列島を守護する3体の聖獣と日本国防衛軍が力を併せて戦う。金子監督の「国防」への想いが強く込められた、ある意味「戦争映画」だといっていい。

金子監督らしい多彩な出演陣がまた楽しい。

 

 

 

第1位。『シン・ゴジラ』平成28年(2016)

総監督、庵野秀明。監督・特技監督、樋口真嗣。准監督・特技統括、尾上克郎。音楽、鷺巣詩郎、伊福部昭。

出演。長谷川博己。竹野内豊。石原さとみ。大杉漣。柄本明。余貴美子。平泉成。矢島健一。手塚とおる。嶋田久作。松尾諭。高良健吾。津田寛治。市川実日子。塚本晋也。高橋一生。國村隼。鶴見辰吾。ピエール瀧。小林隆。斎藤工。前田敦子。光石研。藤木孝。三浦貴大。古田新太。松尾スズキ。以下総勢328名。

 

 

●現代日本にゴジラが現れたらどうなるか。現在の世界情勢等を踏まえつつ、そうしたリアリズムと、「ヤシオリ作戦」にみられるような怪獣映画らしい荒唐無稽さとのバランスが絶妙にとれた、今現在におけるすべての「怪獣映画」の頂点といっても過言ではない、傑作中の傑作。ヤシオリ作戦はどう考えても、東宝怪獣映画に登場するあらゆる「超兵器」へのオマージュである。庵野秀明氏は本当に怪獣映画が好き。

いいね!

 

 

そうしてそうして、1位よりもさらに上、別格のチャンピオンがこれ!

 

 

👑CHAМPION。『ゴジラ』昭和29年(1954)

監督、本多猪四郎。特技監督、円谷英二。音楽、伊福部昭。

出演。宝田明。河内桃子。平田昭彦。堺佐千夫。村上冬樹。志村喬。

 

 

●言わずと知れた記念すべき第1作。誰にも文句はあるまいよ。これは神作といってよく、なにものも超えることは出来ないのである。

 

 

 

 

いかがでしたか?我が個人的ゴジラ映画BEST10。次回はいかなるベスト10となりますことやら。

 

もっとも、次回があるかどうか、わかりませんがね(笑)

 

それでは、機会があれば、また。

 

fin.

 


もう一度『シン・ゴジラ』の素晴らしさについて語ってみる

2019-10-28 12:08:38 | ゴジラ

 

 

 

 

やっぱりね、ゴジラの「質感」ですよ。

 

 

 

CGで描きながら生物感というものを出さず、むしろ着ぐるみっぽさを強調した表現。普通CGを使うなら、リアルな筋肉の動きまで付けたがりそうなものですが、庵野監督はそうした表現を一切拒否。どこまでも着ぐるみっぽさにこだわった。

 

それはそうです。なんだかんだ言っても、ゴジラはやっぱり着ぐるみなんですよ。そうでなきゃゴジラじゃない!

 

技術は最新、動きもCGならではのもの。でも、見た目は着ぐるみ。このバランス感覚というか、なんというか。

 

現代の潮流に合わせながら、往年の怪獣ファンをも納得させるという、ある意味離れ業をやってのけた。

 

庵野監督は正しく、怪獣ファン、特撮ファンです。

 

 

それと「音響効果」の素晴らしさね。特に爆破音。あの爆破音についての言及がほとんどないのが、私的には不思議ですね。

あれは昭和の怪獣映画、東宝特撮モノや円谷プロ作品で使われていた爆破音で、平成以降あまり使われなくなってしまった音なんです。

 

庵野監督はその爆破音も復活させてしまった。あとはゴジラが倒れ込むときの音、ダダーンという音ね。あれも往年の特撮怪獣映画でよく使われていた音です。

 

それから、数々の怪獣映画へのオマージュが満載であることなども、特筆すべき点ですね。

 

こうした往年の怪獣モノ、特撮モノへの細かい気配りとこだわりを示しつつ、しっかりと現代的な感覚ともマッチさせている。「昔の事なんか知らねーよ!全部新しくすればいいんだよ!」ではなく、往年の特撮怪獣映画へのリスペクトをしっかりと示しながら、ちゃんと「現代」のゴジラ映画に仕上げたところに、

 

庵野監督の卓越した腕前を、観るわけです。

 

庵野監督は正しく、怪獣ファン、特撮ファンであり

 

 

卓越した「職人」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうした方がウルトラマンに関わるという。

 

ご本人は脚本のみで、監督は樋口真嗣氏が務めるようですが、出来ればね、シン・ゴジラのように、実質庵野秀明作品というかたちにして欲しいなあ。

 

まあ、現代的テーマとか、当然取り入れられるでしょうが、基本的には「素直」に撮りたいウルトラマンを撮ってくれれば、それでいいかなと、思いますね。

 

個人的には「着ぐるみ」でやって欲しいですね。現代という時代の中で、着ぐるみのウルトラマンと着ぐるみの怪獣が戦う。樋口監督は着ぐるみとミニチュア特撮表現の上手い方ですから、やり様によっては、面白いものが出来上がるかもしれません。

 

何はともあれ、静観しつつ楽しみに待ちましょう。

 

 

これを観るまでは死ねないわ…って、結局いつまで経っても死ねないわ(笑)

 

 

 

 


映画『ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ』(2019)

2019-06-04 20:38:00 | ゴジラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※多少のネタバレあり!自己責任でお願いします(笑)

 

 

 

 

取りあえず言っておくべきことは、あの『シン・ゴジラ』と比べてはいけないという事。

 

ゴジラとは無数のパラレルワールドから成り立っている一連の作品群なわけで、必ずしもすべての作品に関連性があるわけではありません。中でも『シン・ゴジラ』は別格の独立した宇宙のゴジラであり、他のゴジラ・シリーズどの作品とも繋がってはいない。

 

唯一繋がりがあるとすれば、それは昭和29年制作、第1作『ゴジラ』であると云えましょう。

 

 

ゴジラこそは日本の、世界の、人類の脅威であるというスタンスはまさに第1作のものだし、ラストシーンでゴジラのシッポから、「第5形態」とも言うべき羽根の生えた生物が今にも飛び立とうという姿勢のまま固まっている姿は、脅威は去っていない、取りあえず今は止まっているだけだということを表しているので、これなどは、「人類の行き過ぎた文明への警鐘」という第1作のテーマを、現代的に踏襲した表現だといえましょう。

 

しかし一方で昭和の時代には、ゴジラが人類の「味方」であった時代も確実にあったわけだし、それだって間違いなく「ゴジラ」であった。少なくとも私の世代はそのゴジラを見て育ったわけだし、第1作のテーマ性などは所詮、後付けの知識でしかない。

心にあるゴジラは、人間のために死力を尽くして戦う、そんなゴジラなのです。分かったふりして第1作のテーマ性を振りかざして、ゴジラシリーズ全てを語ろうなどとは

 

愚かなことです。

 

 

また、平成以降のゴジラは必ずしも人類の敵ではないが、さりとて味方とも言えない。ある種自然災害的な存在、人類にはなすすべもない脅威として描かれていました。

怪獣同士のバトルを主眼としながら、第1作のテーマ性も随所に散りばめる。平成以降のゴジラはそうしたスタンスであったように思います。

 

 

 

さて、今回の『ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ』ですが、そうした昭和テイストのゴジラと平成テイストのゴジラをうまく絡めつつ、またゴジラが「大自然の守護者」であるという位置づけは、金子修介監督による「平成ガメラ三部作」を彷彿とさせ、そうした日本の怪獣映画のテイストをハリウッド方式で包み込んだ、日本の怪獣映画すべてに対するリスペクトに満ち満ちた作品に仕上がっている。

 

私にはそう、感じられました。

 

マイケル・ドハティ監督は、ホントにホントに、ホント~っに!

日本の怪獣映画が好きなんですねえ。

 

その点がとても嬉しく、有難かった。

 

 

テロリストが登場するところなどは、平成6年の『ゴジラVSスペースゴジラ』を彷彿とさせるし、ゴジラの身体が赤く発光するのは、平成7年の『ゴジラVSデストロイア』そのものです。

ゴジラが赤い放射熱線を噴出させるところは、平成5年の『ゴジラVSメカゴジラ』をより派手にした演出。

軍とゴジラが共闘するシーンは、平成6年の『ガメラ2レギオン襲来』や、同じ金子修介監督による平成13年の『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』通称GМKを連想させます。

 

ゴジラや他の怪獣たちが超古代、地球に放射能が満ちていた時代から存在しており、放射能が薄くなって後、ムーかアトランティスか、とにかく超古代文明を荷った人々に「神」として崇められていたという設定はハリウッドオリジナル。その超古代にキングギドラが宇宙からやってきて、ゴジラと闘ったというのが、岡田斗司夫氏のいう「クトゥルー神話」的ということなのだろう。

そのキングギドラが氷の中に閉じ込められていたというのは、先ほど紹介した金子修介監督の「GМK」を連想させるし、それが南極だというのは、なにやら『デビルマン』を彷彿とさせますね(笑)

 

それと、エンディングタイトルが終わった後に、さらに物語が展開するところは、平成12年の『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』平成14年の『ゴジラ×メカゴジラ』平成15年の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の3作品、手塚昌明監督作品へのオマージュでしょうか。

ですからエンディングタイトルが初まったからといって席を立つのはもったいないですよ。最後の最後に次作への繋がりを示した展開がありますので、館内の照明が点くまでは、静かに座って鑑賞しましょう。

 

 

 

なにより、ゴジラとキングギドラと、ラドンとモスラが相次いで登場して戦い合うというのは、まさしく昭和39年の『三大怪獣 地球最大の決戦』そのものです。

 

怪獣たちのケレン味溢れる登場シーンやバトルシーンは、平成ゴジラシリーズの特撮を担当した故・川北紘一特技監督の派手派手な演出を、現代のハリウッド風に解釈したという風で、とにかく観ていて、ハリウッド映画なのに往年の日本の怪獣映画を感じさせるという、なんとも不思議で面白い作風に仕上がっています。

 

科学者たちが大活躍するところなどは、昭和の一連の東宝特撮映画を彷彿とさせます。渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士の最後の選択は、第1作ゴジラで平田昭彦が演じた芹沢大助博士の選択と、人類を守るためという点でまったく同じです。またヴェラ・ファーミガ演じるエマ・ラッセル博士の選択などは、昭和31年の東宝特撮映画『地球防衛軍』でやはり平田昭彦が演じた白石博士を連想させ、まあホントに、日本の怪獣映画、特撮映画へのオマージュ、リスペクトだらけといった風情。そして止めは伊福部昭先生作曲のゴジラテーマ曲が実に効果的に使われ、さらには古関裕而先生作曲の「モスラの歌」まで使用されてるとあっては、

 

いやあ、参りましたという他なし(笑)

 

まさに怪獣映画オタクの、怪獣映画オタクによる、怪獣映画オタクのための映画といった風情。勿論怪獣映画に詳しくなくても、十分楽しめる作品に仕上がっています。

 

ゴジラに「理屈」やテーマ性ばかりを求めたがる人、『シン・ゴジラ』と比較したがる人は、今回は御遠慮願いたい。勿論今回の作品にも、ゴジラ映画共通のテーマ性というものはしっかりと内包されています。内包しつつも、あくまで怪獣バトルを主眼とした一大娯楽作品に仕上がった、見事なる怪獣映画、見事なる「ゴジラ映画」だといって良い。

 

 

 

 

さて、『シン・ゴジラ』と比較してはいけないと云っておきながらなんですが、『シン・ゴジラ』の多々ある優れた点の一つを挙げるなら、ゴジラの「質感」というものがあります。

 

今回の『ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ』の難点を一つ挙げるとするなら、それはCGで描かれたゴジラの質感なんです。

 

『シン・ゴジラ』は全編CGで描かれながら、その質感はどこまでも「着ぐるみ感」にこだわったものでした。

 

我々の感覚としては、ゴジラは、怪獣は、なんだかんだ言ってもやはり「着ぐるみだ!」という感覚がある。シン・ゴジラはそうした我々古い怪獣マニアの心情を的確に捉えつつ、なおかつCGでなければ表現し得ない動きを描写して見せた。

 

「古くて」なおかつ「新しい」ゴジラがそこにいたのです。

 

それが全世代に指示され、国民的大ヒット映画となった最大の要因の一つだといって良い。

あくまで「一つ」ですけどね。他にも要因は多々あるかと思われますが、そこは今回は取り上げません。またの機会という事で。

 

あとはミニチュア特撮へのこだわりですね。シン・ゴジラではビル破壊にミニチュアのビルを使い、そこへCGを使った効果を加えるという手法で、ミニチュアを使った表現方法を大事にしてくれました。これもまた、古くて新しいシン・ゴジラの面白さの一つだと云えるでしょう。

 

 

そへいくと、今回のゴジラには、その着ぐるみ感というものがまるで感じられない。リアルといえばリアルなのかもしれないが、少なくとも私が最も親しんだゴジラはそこにはいない。

 

ゴジラとキングギドラがもつれ合ってビルに倒れ込むシーンなどを観ますと、平成3年の『ゴジラVSキングギドラ』での、東京都庁を破壊しまくる両雄の姿の方が、遥かに迫力があるなと思ってしまう私であります。 

 

 

あくまで個人的な感想ですが、今回の難点をあえて挙げるとすればその点でしょうね。

 

まあこればかりは、時代の流れという事で、致し方ないとしか言いようがない。

 

 

それでも、ゴジラシリーズ全作品の中でも極めて優れた作品であることは間違いありません。往年のゴジラファン、新しいゴジラファンはもちろん、ゴジラ初心者の方でも十二分に楽しめる、超一級の娯楽大作であることを保証いたします。

 

 

おススメです。

 

 

 

 

昭和39年作品『三大怪獣 地球最大の決戦』予告編


中島春雄の仕事

2019-06-02 15:01:55 | ゴジラ

 

 

 

 

 

 

 

この地中よりゴジラが登場するシーン。これは本当に土の中に埋められているんです。中島春雄さんはゴジラスーツの中に入ったまま何時間も土中に埋められ、準備が終わり撮影が開始されるのを静かに待ち続ける。

 

これが普通は出来ない。想像してみて下さい。ゴジラのスーツを着たまま何時間も埋められているんですよ。狭くて暑い、密閉された空間に、何時間も放置される。考えただけで息がくるしくなる。

 

でも中島さんは平気でした。中島さん曰く、「海軍の訓練に比べたらなんてことない」だそうで、当たり前のことのように熟していました。

 

歴代のスーツアクターでこんな芸当が出来たのは、中島さん唯一人。ですから初期のウルトラマンなどでも、土中から怪獣が出現するシーンは例外なくすべて中島さんが演じています。

他のスーツアクターさんの場合は、カットを細かく繋いでいかにも土中から現れたように見せているだけで、直接土中から現れるシーンはないんです。

この中島さんの「胆力」とでもいいますか、こればかりは継承のしようがなかった。本当に中島さん無しには、上に貼ったような素晴らしい画は撮れなかった。

 

田中友幸、円谷英二、本多猪四郎、そして中島春雄。必要な時に必要な「人」がいたという不思議。ゴジラ映画にはなにか、作られるべき「使命」のようなものを感じます。

 

 

 

上野映像のナレーションにもありますが、モスラの羽の動きにも細かい工夫が施されています。CGなどなかった時代に、いかに良い画を撮るか、この時代の人々の発想力にはただただ感嘆するばかり。

 

 

こうしたものは継承されて行かないんですよね。時代の流れですから仕方ないと云えば仕方ないのですが

 

なにやら寂しい気もします。

 

 

 

 

映画『ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ』絶賛公開中!

 

ゴジラの表現は時代とともに変わる。しかしゴジラ映画の「芯」の部分は変わらず継承されていくことを

 

願うものです。

 


あと2日!

2019-05-29 09:16:26 | ゴジラ

 

 

 

 

 

『ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ』カーペット・イベント。渡辺謙、チャン・ツィー・イー。吹替を担当した田中圭、木村佳乃、芦田愛菜らが登場。

 

 

 

盛り上がって参りました~(笑)