風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

昔観たホラー映画

2015-08-17 10:48:30 | 映画






                       





あれは高校生のころだったか……。

その日は両親ともに法事で出かけており、家には私一人だけ。明日にならなければ両親は帰ってこない

そんな夜……。


その日は月曜日。その頃、月曜夜によく見ていた番組がありました。

それは「月曜ロードショー」。

故・荻昌弘さんの名解説が好きでした。


その日は親もいない。うるさい雑音が無い中、ゆっくりと映画が見られる。

それだけで、ワクワクしたものです。

その日、月曜ロードショーで放送された映画こそ、

ジョン・カーペンター監督の出世作、『ハロウィン』でした。




                          




1978年公開の映画『ハロウィン』は、製作費が当時の金額で7000万円、撮影期間が実質2~3週間だったかな?音楽は監督自身が作曲したもので、とにかくメチャメチャ安い予算と短い期間で製作し、大ヒットを記録。シリーズは6作まで作られ、2000年代に入ってから、ロブ・ゾンビ監督によるリメイク版シリーズが制作されたほどの人気作でした。

物語は、幼少の頃に姉を殺し、ずっと病院に隔離されていた男、マイケル・マイヤーズが病院を脱走、ハロウィンの夜に、昔住んでいた町に舞い戻り、若者ばかりを狙った殺戮を繰り返すというもの。



もうね、2時間の間、テレビ画面に釘付けでした。

間の取り方、音楽の使い方、カメラワーク。どれも素晴らしかった。


盛り上げ方が上手いんですよ。白いゴム製のマスクを被った“ブギーマン”(マイケル・マイヤーズ)の姿を少しずつ小出しにしながら、来るか!と思わせてこない。今度は来るか!まだこない。今度こそ来るか!いや、まだこない。今度はどうだ!えっ?まだこないの?今度は?…きっ、来たあ~っ!

……みたいな(笑)




ホラー映画をこんなに「楽しい」と思ったことはそれまでなかったので、本当に刺激的な体験でした。

ホラーは「技術」だな、ということを痛感した作品でしたね。

主演はジェミー・リー・カーチス。ハリウッドスター、トニー・カーチスの娘さんではありますが、役者としては当時まったくの無名でした。しかしこの作品出演後、「絶叫の女王」としてホラー映画にひっぱりだこになります。


とにかく、物凄くインパクトのある映画で、予算がなかろうと、無名の俳優を主役に使おうと、「見せる」テクニックさえあれば、面白いホラー映画が撮れるのだということを実感させてくれた、そんな作品でした。



思うに、スティーヴン・スピルバーグも、フランシス・F・コッポラも、若い頃は低予算のホラーなどの「コワイ映画」を撮る事で演出力を示し、名を上げていきました。サム・ライミもそうですね。

ホラーはある意味、新人監督の登竜門でもあるのです。





この映画の御蔭で(笑)、80年代以降のホラー映画を観捲りました。『13日の金曜日』シリーズはもちろん『エルム街の悪夢』シリーズやら、ゾンビものやら、ありとあらゆるホラーを見て見て見続けた。

でも、『ハロウィン』を越える作品は無かったな、というのが実感でしたね。


どんなに予算をつぎ込もうが、どんなに派手な特殊メイクを施そうが、1作目の『ハロウィン』を凌げるほどの作品は結局なかった。



何も持たない、失うものがなにもない、一人の若い映画監督の情熱。みんなを怖がらせて、驚かせて

楽しませてやろうという意欲。

それだけで撮った映画、それが

『ハロウィン』なのでしょう。


その若き映画監督の想いが、当時10代だった私の心を打ったのか。

なんて、センチメンタリズムに陥りたがる、今日この頃、ではあります。




映画『ハロウィン』予告編。※怖がりの方は無理しないように。




今ではもう、ホラー映画を観ることはほとんど無くなりました。

私の中で、ホラーを観る「意味」がなくなったのでしょう。



今は昔の事。当時のホラー映画は、私にとって大切な思い出の一つ。

ホラーが好きだった自分、あれも間違いなく自分だった。


そんな自分を、私は愛したい。