風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

追悼・角替和枝

2018-10-29 04:12:02 | 名バイプレーヤー












最近は追悼記事ばかりで、なんだか寂しい限りです。



特に代表作といったものは思い当たりませんが、でも確実になんらかの印象を残していく。とても優れたバイプレーヤーだったと思います。


サスペンスものによくお出になられていた印象が強いですね、『科捜研の女』『おみやさん』『京都地検の女』等々、レギュラーだったかゲスト出演だったか、どんな役柄だったかもよく憶えていませんが、確かにそこに「いた!」という印象だけは強く残ってる。



ちょっと口うるさいけれど、悪気はなくって気っ風の良い、どこにでもいる近所のおばさんみたいなイメージ。



映画『ガメラ2レギオン襲来』では、当時19歳だった水野美紀ちゃんの母親役で出演。美紀ちゃんが朝ごはんの支度をしていると、突然テレビがつかなくなり、美紀ちゃんはレギオンがきたことを察知するわけですが、そこへ普通にあくびをしながら起きてきた角替さんが、普通にテレビを見ながら普通に、「あら、テレビどうかしたの?」と普通な一言を言うわけです。

なにやら、現実と非現実との絶妙な綱引きを見せてもらったようで、とても面白かったのを憶えています。




実生活では俳優・柄本明さんの奥様で、やはり俳優の柄本佑・時生兄弟の母親でもあられた。バイプレーヤー一家ですね。素晴らしい。


つい最近まで精力的に活動されていたようですが、ここ一年ほどはがん治療のため、自宅で療養していたそうです。


今月27日、64歳にて逝去されました。




楽しい思い出をありがとうございました。お疲れさまでした。どうかごゆっくり、お休みください。


敬意と感謝と哀悼を込めて



合掌。
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追悼・穂積隆信

2018-10-25 04:05:23 | 名バイプレーヤー












穂積さんと云いますと、実の娘さんとの葛藤を描きドラマ化もされた著書、『積木くずし』が有名ですが、私はその『積木くずし』にはまったく興味はなかった。


私は役者さんとしての穂積さん、特に悪役としての穂積さんが好きでした。




現代劇、時代劇を問わず、メチャメチャ厭味ったらしい、本当に嫌なやつをやらせたら、これほど上手い人はいなかった。


だから、ドラマのラストで悪事が暴かれたときの爽快感ったら、それはそれは凄いもんでしたね(笑)



私がこの方を最初に認識したのは、村野武範主演の青春ドラマ『飛び出せ!青春』でした。穂積さんはちょっと嫌味でコミカルな教頭先生役で出演しており、柳生博さんが腰巾着のようにその教頭にくっついている。このコンビが大変面白くてね。後年、悪役の穂積さんを見た時には、あの教頭先生との役柄のギャップに驚かされたものです。



声優としてもご活躍されていた方で、特に洋画や海外ドラマの吹き替えでよく出演されていました。イーライ・ウォラックやクリストファー・ロイド、ピーター・フォークなどの吹き替えが特に多かったようです。


分かりやすいところで云えば、映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』でクリストファー・ロイドが演じていた「ドク」の吹き替えは、3作とも穂積さんでした。




私生活においては、家族関係で大変なご苦労をされたようですが、私はそれについて言及する言葉を持ちません。ただただ


ただただ、ご苦労様でした、とだけ申し上げたい。



私にとって穂積さんは、「素晴らしき悪役俳優」でした。



楽しい思い出をありがとう。忘れません。



87年、その波乱の生涯に敬意を表し




合掌。
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高樹澪

2018-10-03 04:46:40 | 名バイプレーヤー







ウルトラマンティガより、左がイルマメグミ隊長(高樹澪)。右がマドカダイゴ隊員(長野博)、実はウルトラマンティガ。




私はこの方に関しては、一つの作品以外、語る言葉を持ちません。


それは、ウルトラシリーズ屈指の名作『ウルトラマンティガ』のイルマ隊長です。



GUTS隊長としての芯の強さと、母親の母性で、ダイゴ隊員(長野博)はじめ隊員たちを見守っている。ダイゴ隊員が実はウルトラマンティガであることは、物語の中盤以降は確実に気が付いているんです。でも敢えてなにも云わない。

もう一人、ダイゴ隊員の恋人、ヤナセレナ隊員(吉本多香美)もまた、ダイゴがティガであることに気付いている。レナの場合、物語の初期段階から気付いていたように思えます。


でもやはり、なにも云わない。



どこにでもいる普通の青年に過ぎなかったダイゴが、ウルトラマンティガとしての役目を全うすることができたのは、この二人の女性、時に母のように、時に姉のように見守る二人の女性がいたからこそ


なのかも知れない。


ウルトラマンティガとは、そんな「母性」の物語、だったのですねえ。






高樹澪さんは2003年、顔面の片側が痙攣する病気を発症します。よほどのショックだったのか高城さんは事務所に辞めるという電話をしたきり、音信不通になってしまいます。

清掃のアルバイドをしながらひっそりと暮らしていましたが、その清掃会社の社長に「あなたはここにいるような方ではない」と言われ、また所属事務所側も辞職ではなく休暇扱いにして、復帰を待っていたなど、周囲の暖かい励まし、気遣いに、難しい手術を受けることを決意。手術は見事成功します。


2009年に芸能界復帰。現在も元気に活動されています。


よかったね、隊長!
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堀田眞三

2018-09-20 04:25:37 | 名バイプレーヤー












時代劇専門チャンネルを観ておりますと、同じ悪役俳優さんを連続して見かけることがよくあります。


昨夜『子連れ狼』に出ていたと思ったら、翌日の朝の『江戸の旋風(かぜ)』で見かけ、午後には『大岡越前』、そのまた翌日の朝には『仕掛人藤枝梅安』にも出ている、なんてことがよくあるんです。時代劇がたくさん放送されていた時代には、「売れっ子」の悪役俳優さんというのも大勢いらしたんですね。


この堀田眞三さんもそのお一人です。





身体能力の高い方だったようで、結構危険なアクションなども、ご自分でなされることが多かった。現代劇時代劇問わずたくさん出ておりますが、時代劇ではやはり凄腕の剣客の役が圧倒的に多く、余り「偉い」役は演じられなかったようですね。その腕前は萬屋錦之介さんなどにも認められていたそうです。



特撮モノにもよくお出になられていました。『仮面ライダー』で、怪人トカゲロンに改造されるプロレスラー役で出ておられたのを憶えています。子供心に、「この人、なんか、いい」と感じたことが印象に残っています。


『アイアンキング』では、かつて大和朝廷に滅ぼされた日本原住民の末裔「不知火族」の首領という、悪役と云っても単純な悪役ではない役を演じておりましたね。これも面白い役でした。



1945年生まれの御年73歳。まだまだ御壮健であられる。どうか末永いご活躍を、期待しております。
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追悼・樹木希林

2018-09-16 21:06:54 | 名バイプレーヤー






お化けのロック (1977)






主役とか脇役とか、分けることすら意味を持たない。ただただ、優れた「役者」でありました。



長い間、お疲れさまでした。どうかごゆっくりお休みください。


ありがとうございました。




合掌。





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田中明夫

2018-09-12 18:31:26 | 名バイプレーヤー












この独特の風貌。時代劇現代劇問わず、悪役として大活躍されておられました。


この顔だちを生かした「顔芸」とでも申しましょうか、ちょっと気持ちの悪い表情を作るのが上手い方で、思わず身震いしてしまうほどです。



声優さんとしても活躍されておられ、洋画や海外ドラマなどで、クセのある役の吹き替えがお得意でした。



特にはまり役だったのが、灰色の脳細胞を持つ名探偵、エルキュール・ポアロの吹き替えでした。田中さんはアルバート・フィニーとピーター・ユスチノフが演じたポアロの吹き替えを担当しておられ、これはポアロといえば田中明夫というくらい、評価が高かったからこその起用でしょう。俳優に合わせて声優を選ぶのではなく、役柄を優先して声優が選ばれたという、珍しくも面白い例ですね。


『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』の帝国皇帝パルパティーンなどは、声だけではなく顔だちもハマっておりました(笑)



2003年、肝不全のため76歳で逝去。そのしっかりした演技力は勿論の事、その風貌で楽しませていただきました。ありがとうございました。
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橋本功

2018-08-31 05:16:53 | 名バイプレーヤー












「橋爪」じゃないですよ、「橋本」ですからね。



この方の演技の特徴はなんといっても、その「顔」の動きです。大げさといって良いような表情にセリフ回し、でもこれがこの方の「味」となっていて、全然臭さを感じない。むしろ面白いんですね。


情に篤く人の好い頑固者、本人はいたって真面目なのだけれど、どこか笑いを誘うコミカルさがある、そういう役をやらせたら抜群にハマる方でしたね。

また目力のある方でしたから、悪役も演じたし、軍人とかの役も多かったんじゃないかな。




1977年公開の映画『八つ墓村』では、八人の落ち武者を騙し討ちにする村の首謀者で、後々落ち武者の祟りで気が狂い、自分で自分の首を斬り飛ばすという怖い役を、お得意の「顔芸」で強烈な狂いっぷりをみせてくれました。

1984年版『ゴジラ』では、自衛隊の超兵器スーパーXのパイロット役で出演。ゴジラを睨みつけるその目が凄かった。



この方が演じた役の中で私が特に好きなのは、テレビ時代劇『同心部屋御用帳 江戸の旋風(かぜ)』で、加山雄三演じる主人公、南町奉行所同心・千秋城乃介に仕える岡っ引、勘八です。


通称「勘弁の勘八」。威勢は良いが慌て者で、すぐに頭に血が上る。本人はいたって真面目だが笑いを誘うコミカルさのある役で、口癖は「勘弁ならねぇ!」。

まさに橋本さんのためにあるような役でした。個人的には橋本さん最大の当たり役だったんじゃないかと思います。



『同心部屋御用帳 江戸の旋風(かぜ)』シリーズは、刑事ドラマのスタイルを時代劇に取り込んだ作品で、難事件に挑む刑事(同心)たちの活躍に重厚な人間ドラマが絡み合う、非常にレベルの高いドラマです。

出演は加山雄三、橋本功他、小林桂樹。近藤洋介。津坂まさあき(現・秋野大作)。露口茂など。

露口さんなんか、『太陽にほえろ!』の山さんがそのままちょんまげをつけたような役柄で、静かに確実に事件の裏側に迫っていく。まさに時代劇版山さん。カッコイイですよ~。


『同心部屋御用帳 江戸の旋風(かぜ)』シリーズは現在、CS時代劇専門チャンネルにて絶賛放送中!





橋本功さんは2000年、食道がんのため58歳の若さで逝去されました。まるで勘八のように猛然と駆け抜けていってしまった。


でも、きっと短くも密度の高い役者人生であっただろうと思います。


本当に希少価値の高い、名バイプレーヤーでした。大好きでした。


沢山の思い出を、ありがとうございました。






『同心部屋御用帳 江戸の旋風(かぜ)』OPテーマ。時代劇というより刑事ドラマのような曲ですね。
 
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桜木健一

2018-08-30 04:47:29 | 名バイプレーヤー










私が子供の頃の「青春スター」といえば、森田健作さんと、こちら桜木健一さんでした。


『柔道一直線』とか見てましたね~。この番組に触発されて柔道を始めたという子供たちも多かった。オリンピック金メダリスト、斎藤仁選手なども、その御一人だそうな。

あと『刑事くん』とかね。30分番組の刑事ドラマという、ちょっと変わった番組でしたね。とにかく一時期は大変人気のあったスターで、ちょっと天狗になっていた時期もあったようですが、その後イメージチェンジが上手くできずに、30代半ばくらいから苦しい時期が続いたといいます。

その後主な活動の場を舞台に転じ、80年代から90年代頃は、時代劇のチンピラ役で度々お見かけするようになってましたね。

『鬼平犯科帳』の「逢い引き」というエピソードで、人の弱みに付け込んで金をせびるこすっからいチンピラ役で出ていて、最後には刺されて殺されてしまう役なのですが、この役を実に楽し気に伸び伸びと演じていて、青春スターの頃より面白みを感じたものです。



バイプレーヤーに転じてからの方がむしろ生き生きしている。そういうことってあるんですよね。



近年でも様々なドラマや映画に出演されていて、御活躍の御様子。御年70歳だそうですが、流石元青春スター。まだまだお若いです。


これからも末永いご活躍を期待します。頑張って!






『柔道一直線』主人公・一条直也(桜木健一)
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追悼、菅井きん

2018-08-24 05:22:51 | 名バイプレーヤー







必殺仕置人(1973)より。
左から中村主水(藤田まこと)、中村りつ(白木真理)、中村せん(菅井きん)





「ムコ殿!」という声が聴こえてきそうです。


昭和元年(1926)生まれということですから、この必殺仕置人に初登場した時点ではまだ47歳だった!もっと齢がいっているイメージがあったのですが、意外とお若かった。若い頃から老け役を演じることも多く、実年齢よりも老けて見られることは多かったようです。

それがあってこその、この姑役だったのでしょう。



この『必殺仕置人』の頃は中村主水が主役ではなかったということもあり、「せん」と「りつ」(戦慄)のコンビは登場が少なかった。

それに、後の必殺シリーズでみられるようなコミカルな要素は一切なく、せんは本当に意地悪な、怖い怖い姑として描かれていました。


これがコミカルかつホームドラマ的要素をもったキャラクターとして毎回登場するようになるのは、シリーズ第6弾『必殺仕置屋稼業』(1975)からのこと。以来、中村主水とともに必殺シリーズ不動のレギュラーとして、お茶の間の人気を博していくことになるのです。



大変な人気を誇った役であり、菅井さんの役者としての地位やイメージを確立させた役柄といってよいのですが、あまりにこの「怖い姑」というイメージがつきすぎたため、娘さんの縁談に支障をきたすのではないかという危惧が生じ、菅井さんは役の降板を申し出ます。


制作サイドとしてはシリーズの継続を望んでおり、それには菅井さんの存在は不可欠でした。そこで一定の譲歩を示します。

その時丁度放送されていた『必殺からくり人』(中村主水が登場しない「非・主水シリーズ」)の放送を急遽延長することを決定、『必殺からくり人血風編』という「繋ぎ」の作品を制作し、その間に菅井さんの娘さんの縁談は目出度く決定。こうして菅井さんは、りつ役を降板することなく、必殺シリーズ第10弾『新・必殺仕置人』(1977)に出演。シリーズはさらに続くことになるのです。


それほどに、菅井さん演じるせんというキャラクターは、シリーズの命運を決するほどの重要なキャラでした。



必殺シリーズというのは、金ずくで人を殺す「殺し屋」の物語ですから、そのままでは結構暗いドラマになりがちです。そんな中で、明るくほっと出来る要素が、中村家の「ホームドラマ」的要素でした。プロデューサーの山内久司氏は、シリーズを支えているのは中村家の「ホームドラマ」にあり、これを失くしてはシリーズは続かないという信念に近いものをもっていたようです。

実際、それは当たっていた。


闇を走る殺し屋たちのドラマを支えていたのは、「せん・りつ」コンビによるコミカルなホームドラマだった!このコンビを演じた菅井きん、白木真理の両女優がいなければ、必殺シリーズは続いていなかったわけですね。




これぞまさに、名バイプレーヤー。



心よりの称賛と哀悼と感謝を送りたい。



菅井きんさん、長い間本当に、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。


どうかごゆっくり、お休みください。



稀代の名女優、名バイプレーヤーに、



合掌。
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巨星墜つ ~追悼 津川雅彦~

2018-08-09 09:02:42 | 名バイプレーヤー










この方の役者人生は、決して順風満帆なものではありませんでした。



2枚目スターとしてデビューしたものの、会社を移籍したところ、これが当時の映画会社間で結ばれていた「5社協定」に抵触するのではないかとクレームを付けられ、仕事を干されてしまいます。


津川さんは知り合いの監督のつてを頼り、初期の必殺シリーズの悪役など、テレビドラマを中心にアクの強い脇役を多く演じるようになっていきます。



こうして、「性格俳優」津川雅彦が出来上がっていくこtになるのです。



私が学生の頃の津川さんのイメージは「金持ちの嫌なスケベオヤジ」、といったようなもので、あまり良いイメージではなかったように思う。映画などで、若い娘さんを愛人に囲ってる嫌な奴みたいな役ばかりを演じていましたからね。


このイメージが変わってきたのは、故・伊丹十三監督の作品に出演するようになってからですかね。特に『マルサの女』で演じた税務調査官は大きかったように思う。この役あたりから、ただのスケベオヤジじゃないと思えるようになってきましたからね(笑)


嫌な奴とかスケベオヤジとか、散々なことを云ってきましたが(笑)、この方は人間の持つ「業」というものを面白おかしく演じることができる、そんな役者だったのでしょう。それは大河ドラマで2度演じた徳川家康などで遺憾なく発揮され、ドラマの質を何段も上げていたように思う。



主役級の役者さんではありましたが、私の中では稀有な、本当に稀有な


超がつくほどの、「名バイプレーヤー」でした。




【巨星墜つ】なにか本当に、時代が「終わった」感じがします。この喪失感。これほどの役者が、今後出てくることがあるだろうか……。




今はただただ、ご冥福を想うばかり。その稀有なる役者魂に、敬意と感謝を込めて




合掌。
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