俳優・若松武史さんが、甲状腺がんのため亡くなられました。70歳でした。
とても印象的な「目」をした俳優さんだったように思います。
静かで優し気な笑みを浮かべる方なのですが、その目、その瞳の奥底に、なにか他人を不安にさせるような、善きものとも悪しきものとも付かない、なにか得体の知れないものが横たわっているかのような、そんな印象の瞳を持った方でした。
表現者とはその内側に「狂気」ともいうべきものを抱えているそうです。その「狂気」が目に出るタイプの人がいるようです。
例えば仲代達矢さん。あの方は表現者としての狂気が、目に出るタイプの典型です。でも普段はとても「普通」の方なのだそうです。
若松さんも同じだったのでしょう。表現者の狂気を瞳に湛えながら、普段は普通の、優しいお父さんであったに違いない。
どんな小さな役でも、必ず何かしらの強い印象を残していく。
そんな役者さんでした。
また一人、よい役者さんが逝かれた…。
お疲れ様でした。どうぞごゆっくり、お休みください。
若松武史さんへ、敬意と感謝と哀悼を込めて
合掌。