風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

追悼・若松武史

2021-04-17 04:29:34 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

俳優・若松武史さんが、甲状腺がんのため亡くなられました。70歳でした。

 

とても印象的な「目」をした俳優さんだったように思います。

静かで優し気な笑みを浮かべる方なのですが、その目、その瞳の奥底に、なにか他人を不安にさせるような、善きものとも悪しきものとも付かない、なにか得体の知れないものが横たわっているかのような、そんな印象の瞳を持った方でした。

 

表現者とはその内側に「狂気」ともいうべきものを抱えているそうです。その「狂気」が目に出るタイプの人がいるようです。

例えば仲代達矢さん。あの方は表現者としての狂気が、目に出るタイプの典型です。でも普段はとても「普通」の方なのだそうです。

 

若松さんも同じだったのでしょう。表現者の狂気を瞳に湛えながら、普段は普通の、優しいお父さんであったに違いない。

 

どんな小さな役でも、必ず何かしらの強い印象を残していく。

そんな役者さんでした。

 

また一人、よい役者さんが逝かれた…。

 

お疲れ様でした。どうぞごゆっくり、お休みください。

 

若松武史さんへ、敬意と感謝と哀悼を込めて

 

合掌。


追悼、瑳川哲朗

2021-02-27 05:46:09 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

訃報ばかりが続きます……。

 

2月17日、俳優の瑳川哲朗さんが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)のため、高齢者施設で亡くなられました。84歳でした。

瑳川哲朗さんといえば、我々の世代ではやはり、『ウルトラマンA(エース)』の対怪獣(超獣)攻撃隊「TAC」の竜隊長でしょうね。

それと時代劇ファンなら、何と言っても『大江戸捜査網』の隠密同心、井坂十三ですね。

 

井坂十三役は15年間に渡って演じ続け、大江戸捜査網の顔といっていい存在でした。2000年代に制作されたスペシャル版には、偉い人の役で出てましたね。

 

声優としても活躍された方で、バート・ランカスターやカーク・ダグラス、ヘンリー・フォンダ等々の吹替えを担当、山田康雄氏の後を継いでクリント・イーストウッドの声も吹替えていました。

私が個人的に印象に残っている声の吹替えは、『スタートレック』シリーズでレナード・ニモイが演じたMr.スポックの声です。知的で渋い声が見事にハマってた。

 

80年代に制作されたアニメ映画版『ゴルゴ13』で、主役のゴルゴ13の声を演じていました。映画はロクなもんじゃなかったですが(笑)、瑳川さんの声は結構ハマってたと思ったなあ。

 

ここ最近は舞台中心に活動されていて、余りお見かけする機会がなく、少々残念に思っていたのですが、まさかALSに罹患されていたなんて……。

 

言葉がありません。

 

 

今はただただ、安らかであらんことを。

 

お疲れ様でした、ありがとうございました。

 

敬意と感謝と哀悼を込めて

合掌。

 

 

 

『ウルトラマンA(エース)』より、「Terrible Monster Attacking Crue」略して「TAC」の竜五郎隊長(瑳川哲朗)。


追悼・小峰隆司

2021-02-19 04:54:10 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

「1万回死んだ男」の異名を持った名脇役、小峰隆司(こみねりゅうじ)さんが亡くなられました。87歳でした。

先月亡くなられた福本清三さんより10歳年上、福本さんと同様、伝説の「東映剣会(とうえいつるぎかい)」に属し、数え切れないほどの時代劇で斬られに斬られた、名斬られ役でした。

 

東映剣会とは、主に時代劇の殺陣技能を取得、修練する技能集団。最盛期には100人を超える人達が所属しており、スターを映えさせる様式的な殺陣から、集団抗争時代劇のリアルな殺陣に至るまで、バラエティに富んだ東映時代劇を根底から支えた方々です。また時代劇に限らず、ヤクザ映画や、千葉真一主演のアクション映画などでも、その鍛えられた身体能力を遺憾なく発揮しております。

この方たち無しに、東映映画は成り立たなかった、東映映画を支えた功労者だと言っていい。

 

その東映剣会も、時代劇の衰退と共に規模が縮小されたようです。会長を務めていた福本清三さんが先月亡くなられ、カリスマをなくした東映剣会の今後が、少々心配ではあります…。

 

 

福本清三さんや、小峰隆司さんのような方々が、日本のエンターテインメントを支えていたのです。ほとんどその名を知られることのない方々ですが、一大功労者です。

私は拍手を惜しまない。

 

小峰隆司さんの知られざる一大功績を讃え、感謝と哀悼を込めて

 

合掌。


追悼、森山周一郎

2021-02-10 09:41:29 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

2月8日、渋い低音が魅力の俳優にして声優、森山周一郎氏が、肺炎のためなくなられました。86歳でした。

 

私らの世代では、なんといっても『刑事コジャック』の主役、テリー・サバラスの吹替えが印象に残っています。あとは『紅の豚』ですかね、「飛べない豚はただの豚だ」という、アレです。

 

俳優としては時代劇と現代劇とを問わず、悪役の多い方でした。頭巾で顔を隠した悪の黒幕とか、あの声を生かした適役でした。

 

昨今の声優業界の現状を憂い、かなり辛辣な言葉を投げかけていた方でもあります。中でも「俺たちが芸術にまで高めたものを台無しにしやがって!」という叫びにも似た言葉が、特に印象に残っています。

声優学校によって技術は高くなったが、演技が画一的になったとする指摘は的を得たもので、私も同感するところ大でした。

現在活躍されている声優さん方、これから活躍されるであろう声優の卵の皆さんには、この口うるさい大先輩の残した言葉を、真摯に受け止めて欲しいものですが、

でもいずれ、忘れ去られていくんだろうなあ、そうして時代は

巡っていくんだね。

 

 

その渋い低音で我々を魅了してくれた名優、森山周一郎さんに、感謝と敬意と哀悼の意を込めて

 

合掌。

 

 

 

 


福本清三さんインタビュー

2021-01-19 08:35:19 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

主に初期の頃のことを語って下さってます。ご本人が語られる言葉は貴重だ。

 

身体能力が元々高かったということもあるけど、やはり人柄だな。

 

見方によっては「損」な生き方かもしれないし、同じことが出来るかと言われたら……ではあるけれど、

 

これはこれで、素敵な生き方だったなと、改めて思います。

 

 

福本清三さん、本当にお疲れ様でした、ありがとうございました。


追悼、綿引勝彦

2021-01-13 17:49:00 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

俳優・綿引勝彦さんがすい臓がんのため、昨年12月30日に亡くなっていたことがわかりました。75歳でした。

 

とうとう五郎蔵さんまで逝ってしまったか…。寂しいなあ…。

 

 

永遠の「大滝の五郎蔵」綿引勝彦さんへ、敬意と感謝と哀悼の意を込めて

合掌。

 

 

 

『鬼平犯科帳』より、密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)。

 

在りし日のこの雄姿、忘れません。ありがとうございました。お疲れ様でした。

 

さようなら…。

 

 


福本清三 映画『ラスト サムライ』より

2021-01-06 05:28:29 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

 

 

トム・クルーズにピッタリとくっついて離れない、無口な侍。役名は「サイレント・サムライ」。福本さんらしい役です。

 

ハリウッド映画でも、ちゃんとエビぞってます。惜しむらくは斬られるんじゃなくて撃たれるってところかな。でも福本さん以外の何者でもない演技。

 

素晴らしいですね。

 

 


追悼、福本清三

2021-01-05 14:21:26 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

 

斬られ役一筋、通称「5万回斬られた男」。俳優、福本清三さんが亡くなられました。77歳でした。

多くのスター俳優に愛された方でした。殺陣の上手さ、斬られ方が上手いのはもちろん、何より人柄が良かった。みんなに「フクちゃん、フクちゃん」と可愛がられた。

 

斬られ役としての人生を見事に全うされました。これはこれでまた、素敵な一生だったねと、心からそう思います。

 

時代劇専門チャンネルで、この方が出てくるのを探すのが好きでした。それはこれからも続くと思います。寂しさと共に…。

 

こういう方によって、時代劇は支えられてきました。とてもとても得難い、有難い方。

 

ショックです、寂しいです、でも受け入れる他はない。

 

 

知る人ぞ知るその偉大なる功績を讃え、感謝と敬意と哀悼を込めて

 

合掌。

 

 

 

本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

ごゆっくり、お休みください。

 

 

 


野沢那智

2020-12-27 16:04:14 | 名バイプレーヤー

 

 

 

 

 

 

 

これは単に声を「アテて」いるのではありませんね。役者として演じています。

ブルース・ウイルスの声を葺き替えているだけではない。野沢さん自信が、ジョン・マクレーン刑事を「役者」として「演じて」いるのです。

 

 

「今は声優は腐るほどいるが、役者がいない」とは、故・納谷悟朗さんの言葉。

単に声をアテるだけ、心から演じていない。ということでしょうか?

 

この野沢さんの演技、今の若い声優さんたちは、どう思うのだろう?