風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

「神輿が勝手に歩けるいうんなら、歩いてみいや!のう!」

2017-01-26 04:39:01 | 名ゼリフ









私はヤクザ映画というものをほとんど観たことがありません。


まあ、単純に興味がないんです、ヤクザというものに。



その存在の歴史的背景には興味あるけれども、ヤクザそのものにはまったく惹かれるものがありません。なにがカッコイイんだか、さっぱりわからない。



若いもんは不良に憧れるとかよくいいますけれども、私にはまったく身に覚えがない。不良のふの字にも憧れなど持ったことがない。



不良もヤクザも、私にはまったく興味の対象外だったし、それは今でも変わりません。



唯一の例外はコチラ、『仁義なき戦い』シリーズ。なかでも一番最初のシリーズ。『仁義なき戦い』、『仁義なき戦い~広島死闘編~』、『仁義なき戦い~代理戦争~』『仁義なき戦い~頂上作戦~』、『仁義なき戦い~完結編~』この5本のみが面白い。他のシリーズは全然面白くない!、同じ深作監督で、文太さんや松方さんが出てるヤクザ映画『県警対組織暴力』という作品が評判良かったので観たんだけど、全然ダメ、全然面白くない!


全然面白くないので、やっぱりヤクザ映画は観ません!キッパリ!



では、初期の仁義シリーズのなにが面白かったのでしょう?正直よくわかりませんが(笑)、まあ、惹かれるものがあることは確かです。なんだろうねえ、バカなことに命をかけた男どもの悲哀であり、カッコ悪さであり無様さであり、卑怯未練の塊で小心者な奴らばかりなのに、なんでこうなっちゃったんだろうという、人生の悲喜劇とでもいったらいいのか。

まあとにかく、人というものの在り様について、色々感じるところはあると思いますよ。



さてそんな『仁義なき戦い』の第1作から、松方弘樹演じる広島ヤクザ坂井鉄也のあまりに有名なセリフを取り上げてみました。


菅原文太演じる広能昌三とは親友という役どころで、このセリフはたしか、金子信雄演じる山守組長になにか気に食わないことを言われて、反論した時のセリフです。


コチラがそのセリフ全文。

********************

「おやっさん、ほなら云いといたるがの、あんたははじめから、わしらが担いどる神輿やないの!組がここまでなるのに、誰が血い流しとるんや!神輿が勝手に歩ける云うんなら、歩いてみいや!のう!」

「わしらの云うとおりにしたってくりゃ、わしらも黙って担ぐが、のうおやっさん、喧嘩は銭がなんぼあっても勝てんのよ!」

********************



若い者たちに血を流させて、自分だけ甘い汁を吸っている山守に対し、堪忍袋の緒が切れたといった感じのセリフを叩きつけるわけですが、これが山守に恨まれ、坂井は暗殺されてしまう。これがラストシーンの広能のセリフ、「山守さん、まだ弾は残っとるがよ」へと繋がっていくわけです。



神輿に乗っている奴は単なるシンボルなんだから担がれてりゃいいんだ。実際に働いているのは俺たちなんだから、俺たちの好きにさせろ!と言っているわけですね。まあ、何と言いますか、一見正論のようでもありますが、所詮は我の強い傲岸不遜な発言です。そのシンボルがいなければ今の自分はないわけでしょ?ならばそのシンボルに対して、もっと深い「感謝」を思ってもいいはず。

もっともこの場合、山守という人はとても感謝などしたくなるような人ではない、ということもあるでしょう。しかしそういう人を組長として選んだのは自分自身。所詮どっちもどっちです。


このセリフは、ヤクザになるような人間の本質。傲岸不遜で感謝を知らない、一言でいえば「我良し」な人間の本質を見事に突いている、と申せましょう。



一見カッコイイ、胸がすくセリフですが、しかしよお~っく考えてください。こんなことを平気で言えちゃうような人は、


本当にカッコイイ人なのでしょうか?



同じ時代、広島の隣の呉では、空襲で右手を失ってしまったすずさんが、それでも日々の日常を懸命に生きて、「この世界の片隅に、私を見つけてくれてありがとう」と旦那に感謝しているというのに、


この男どもは、なにをやっとんじゃ!!



恥を知れ!!!!



こんなセリフに痺れているようでは、人として


まだまだ、だね。




なーんて、偉そうなことを言ってみました(笑)









改めて、松方弘樹さんのご冥福をお祈りいたします。

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6 コメント

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Unknown (玲玲)
2017-01-26 08:13:56
松方さんの好きなところは俳優って言うより、たけしの元気が出るテレビで、泣いちゃうところとか、ですかね?
ヤクザ映画を観ると、男の人の方が弱いんだなぁ、とつくづく思います。沢山根回しして、大見得切ったり、人を裏切ったりして組のトップになっても、安心なんか出来ない。
片手1つのバックだけで生きれる身軽さの方がカッコよく見えますね。
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Unknown (薫風亭奥大道)
2017-01-26 11:43:33
玲さん、『元気が出るテレビ』の松方さんは面白かった~。眉毛をハンカチで押さえながら笑っているところとか、印象に残ってますね。
この方は元々時代劇スターの息子さんで、お坊ちゃん育ちですから、本来ヤクザ役は似合わないんですよね。だからヤクザに見えるように随分苦労されたようです。
念願の時代劇に出演するようになってから、この方の演技はどんどんクサくなっていきました。あれは往年の時代劇スターたち、憧れていたスターさんたちの再現をしたかったのかもしれません。でも上手くいっているとは言い難かった。個人的にはですけど、なんだかとても下手な役者に見えてしまったのが残念でしたねえ。
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Unknown (しゅん)
2021-06-04 05:52:09
うぅ、、、
あなたの意見に反対とは言いませんが
これだけ言えるのは、あなたは社会、仕事で、上に登っていけるような男ではないですね
no2がぴったりです👌
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Unknown (しゅん)
2021-06-04 05:57:13
私はカッコいいと思う。
ただこの言葉やこの役柄の人間が、人としてどうこうではなく、人の上に立って物事、仕事をやりたい人にとってはとても響く、そして教訓にしなきゃいけない言葉って事です
そういう意味で、カッコいいという人間がいます
この役柄の人間がかっこいい訳ではないのです
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Unknown ()
2021-08-28 23:31:44
筆者のコメントがザ・社畜いや、奴隷根性丸出しと言うのか
要するに、ブラック企業に入ってどんなに酷い仕打ちを受けても下っ端は文句を言わずに上司様社長様(シンボル)の言う事をはいはい言って受け入れろって事ですよね。
それこそ最低賃金下回ろうが、どれだけサービス残業させられようとも。
だってシンボルの命令だもの
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Unknown (Unknown)
2022-11-09 22:26:20
いやー、すごいですねあなたは。
よほど権力にこびへつらって生きてきた方なんでしょうね。
実力がないバカでも
立場が上なら敬うのが当たり前、この世の中はすべて序列だとでも言うような考えですね。
きんぎょのふんみたいな、肛門に近いふんのほうが偉いみたいな方ですな。
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