私はこの作品が嫌いでした。
いや、シリーズの中の一作品ということであれば、こういう毛色の違った作品もたまにはありかな。で終わったでしょう。
しかしこの作品は「ファイナル」と銘打っている。最終話、いわばシリーズすべての総括ということになる。
これのどこが総括なんだ?
基本的なストーリーは、宇宙人の侵略ものに怪獣映画を掛け合わせた、昭和40年代から50年代にかけてのゴジラ映画を現代風に焼き直し、かんとくお得意のアクションを派手に投入して作り上げた“だけ”のもの。
長い長い、広い広い、深い深いゴジラシリーズの、ほんの一片を切り取ったに過ぎない。
もう一度言う、これのどこが総括なんだ?
おそらくは、監督自身の怪獣映画のイメージが、この時代に作られ、この時代で止まったままなのでしょう。この監督は怪獣映画に対して、ゴジラに対して、なんの愛着も関心も持ってはいないのだ。「怪獣映画ってこんなんでしょ?」とばかりに、ちょちょいと作ってしまった。私にはそうとしか思えなかった。
なんでこんな奴(北村龍平さんには大変失礼ですが)に撮らせたんだ!いくら営業的に知名度が高いからって、それだけで選んでんじゃねーよ!プロデューサー!(富山さんゴメンナサイ)。金さえ稼げりゃ、ゴジラがどうなってもいいってのかよ!トチ狂ってんじゃねーよ、バーカ!(スタッフ、関係者の方々、ホンットに申し訳ない)。
もう、荒れましたねえ。大体なんで昭和の怪獣しかでてこねーんだよ!ビオランテとかデストロイアとか、メガギラスとかも出せよ!
原水爆の恐怖はどこいった!?人類の誤った科学信仰への警鐘はどこいったんだよ!?それ無くしてゴジラの総括などと言えるか?いーや言えねえ!
認めねえぞ!俺はぜってー認めねー!
これがファイナル?ふざけんなー!!!!!
……とまあ、こんな感じで荒れた荒れた(笑)。
まあ、今となっては笑い話です。
なぜ笑い話に出来たのか。それは、この作品がもう、「ファイナル」ではないからです。
今年、ハリウッド制作の新作映画「GODZILLA」が全世界で公開されました。
日本でも、7月に愈々公開の運びとなります。
すでにご覧になられた「ゴジラ識者」の方々によれば、日本のゴジラシリーズが持つすべての要素を抽出して、一つの作品の中に綺麗に纏め上げているとか。
日本のゴジラの魂を、キッチリと継承してくれる映画が、ハリウッド製とはいえ出来たのです。
もはや、「ファイナルウォーズ」は「ファイナル」ではなくなりました。
シリーズ中の一編にすぎなくなりましたので、ならばこういう毛色の変わった作品も、ゴジラシリーズの奥深かさの一つという事で、
認めてあげます。
さて、あとは実際に「GODZILLA」を鑑賞して確かめる必要がありますね。
日本のゴジラの精神を、ゴジラの魂をキチンと受け継いでいるのかどうかをね。
それまでは、絶対死ねません(笑)
北村一輝演ずる「X星人」
この“悪代官”みたいな演技だけは、この作品唯一のお気に入りでした(笑)
『ゴジラ ファイナルウォーズ』
制作 富山省吾
脚本 三村渉
桐山勲
音楽 キース・エマーソン
ゴジラテーマ 伊福部昭
特殊技術 浅田英一
監督 北村龍平
出演
松岡昌宏
菊川玲
ドン・フライ
水野真紀
ケイン・コスギ
舟木誠勝
國村隼
高杉亘
上田耕一
泉谷しげる
須賀健太
長澤まさみ
大塚ちひろ
四方堂亘
佐野史郎
篠原ともえ
松尾貴史
中尾彬
水野久美
佐原健二
宝田明
北村一輝
平成16年 東宝映画