風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

秋のお彼岸

2018-09-21 05:58:34 | ここで一句




こちら東北では、朝夕めっきりと冷え込むようになってきました。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもの。この間までの異常な暑さは噓のように過ぎ去り、あっという間に秋も過ぎて、もうすぐ冬がやってくる。



今年もあと3ヶ月、早いなあ。




ここで一句



【行く夏を名残惜しみて秋彼岸】



寒くなってくると、あんなに暑くて辟易した夏でも、妙に懐かしく感じたりします。おかしなものです。










春はぼたもち、秋はおはぎ。間違えませんように。


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風は秋色?

2018-08-19 08:50:49 | ここで一句





お盆が明けてからというもの、朝夕などはすっかり秋めいてきましたね。


日中などはまだ、夏日に近い気温まで上昇しますが、それでも陽射しの強さや色あい、風の冷たさなどはもう秋のものに移っています。



今年もあと4か月ちょっとですよ、早いですねえ。





秋と云えばこちらの句。


【秋深き隣はなにをする人ぞ】


という句が思い浮かびます。これは松尾芭蕉が亡くなる2週間前に詠んだ句だそうです。病床にあって静かに伏していると、隣の家からなにやら物音が聴こえる。何をしているのだろう?

病気故に身動きができない己の身の寂しさを、秋の寂しさに乗せて詠んだ、というところでしょうか。


こちらの句は、一般に「秋深し……」だと思われていますが、正しくは「秋深き……」なんです。「き」と「し」では大違い。


憶えましょう。





芭蕉翁の最後の句は

【旅に病んで夢は枯野を駆け巡る】



旅に生きた芭蕉翁の夢はやはり、旅に出ること。きっと翁の魂は、自由に天地を駆け巡ったことでしょう。



せめて魂だけでも、自由でありたいものですねえ。



ここで1句


【盆が明け彼岸待てずと秋の風】


御先祖様方、お彼岸にまた、どうぞ。
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なゐの神

2018-08-05 19:19:28 | ここで一句





ただいま午後7時現在、岩手県南部では雨が激しく降っており、時々雷鳴も轟いております。


東北地方においては明日午前中にかけて、山形県と宮城県を中心に大雨、土砂災害等に警戒が必要とのこと。


折しも午後6時前頃、青森県沖を震源とする小規模の地震も発生しております。大雨に地震と、東北も容赦はされないようです。



日本書紀によると推古天皇治世、倭地方に大地震(おおなゐ)が発生し、これを沈めるため全国になゐの神を祀らせた、という記事があるそうな。この「なゐの神」の正式な御神名はわかりません。古事記などをみても、地震専門(?)の神というのは登場しません。


ただ、なゐには「地震」という意味の他に「大地」という意味もあるとする説もあるようです。つまりは大地の神が地震を引き起こすなゐの神でもあるという、至極当然のお話。


正式な御神名がいずれであるにせよ、この日本列島の上に生かされている身としては、なゐの神への感謝を忘れては、



いけませんねえ。




ここで一句



【大雨に鎮めらりしやなゐの神】




大雨は災害を齎しますが、一方で大地を冷やし、地震を押さえてもくれているらしい。


「塞翁が馬」とはこのことか。
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梅雨晴れの日

2018-06-15 05:03:15 | ここで一句





昨日は梅雨の合間の晴天日。陽射しは年々その光の強さを増しているように思え、しかしとても柔らかで気持ちがいい。夏場ではないので湿気が少ないせいだろうか。


日の光の明るさは、まるで何ものをも隠すことの出来ぬ「無量光」といった趣。お天道様はすべてお見通しでえ!という声が天から聴こえてきそうです(笑)



この柔らかな陽射しに、なんだか心引き締まる思いがしました。



浮世はなにかと騒がしいようです。抑々何故、この世のことを「浮世」というのでしょう?


あの世のことは「常世(とこよ)」と云いますね。常の世とはつまり、状態は常に一定しており、変化がない世界、ということでしょう。



それと反対に「浮世」とは、あっちふらふら、こっちふらふら、まるで波間漂うクラゲのように、どこへ進むかもわからず浮遊している、「くらげなすただよえる」状態の世。これがこの世ということでしょう。


クラゲのようにフワフワと、なんとも危うい世界ですが、一方でこんな言葉をご存知でしょうか。



【北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで雨が降る】



ちょっとした空気の流れの変化が、地球全体の気象に影響を及ぼす。これもこの世の実相のひとつ。



ならばくらげなすただよえる浮世の行く先にも、ちょっとした力でなんらかの強力な影響を与えることも



可能ではないだろうか。



例えば、人の「想い」



我々の抱く小さな想いが、世界の動向に強い影響を与えているとしたなら、ちょっと楽しいですね(笑)クラゲのごときこの世の動向が良くなるも悪くなるも、



我々の「想い」次第だとしたら、



仇やおろそかには、生きられませんねえ。




ここで一句、いや、今日も一首。



【梅雨晴れの浮世を照らす陽射しかなクラゲ成す世の導(しるべ)示すや】



基本は謙虚に、感謝を持って生きること。しかしこれがなかなか難しい。ついつい怒りを抱いてしまいます。



日々是修行、ですなあ。





有安杏果さんの撮った紫陽花。
https://twitter.com/ariyasu0315
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はやぶさ

2018-06-08 05:16:50 | ここで一句





2014年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」は、今月27日頃、目的地の小惑星「リュウグウ」に到達する予定。リュウグウより土などの資料を採取し、地球に帰還するのは2020年の予定だとか。



2003年に打ち上げられた先代「はやぶさ」は、2005年に目的地の小惑星「イトカワ」に到達、苦労の末になんとか資料を採取したものの、その後通信途絶やエンジン故障などのトラブルが相次ぎ、それらの苦難を乗り越え地球に帰還したのは2010年のことでした。

日本人はこのはやぶさの帰還を、感動の涙をもって迎え入れました。


神羅万象すべてに命が宿るとする日本古来の生命観。それは小惑星探査機だとて同じこと。日本人ははやぶさに、故郷地球を目指して必死に進み続けた一つの意志、一つの魂のようなもの、そこに「命」の輝きを見たのかもしれない。





さて、2代目はやぶさには、何事もなく無事に帰還することを願いたいものです。持ち帰る資料には、地球における生命誕生の秘密を解き明かすカギがあるかもしれないらしい。目的地が「リュウグウ」ですから、持ち帰る資料はさしずめ「玉手箱」というところか(笑)


命の秘密が納められた玉手箱ですか。なにやらロマンの香りがしますねえ(笑)




さて、ではここで一句。いや、


今日は「一首」といきましょう。



【遥かなる波頭を越えて竜宮へ無事持ち帰れその玉手箱】



今度は、日本の皆さんを心配させちゃだめだよ(笑)





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イマドキの「風」

2018-05-25 13:35:57 | ここで一句





このところ、季節がよくわからなくなってきています。夏日を記録したかと思えば冬の終わりごろのような寒さに逆戻りしたり、


おかしなことになってます。






世の中きれいごとばかりでは廻っていかない。表があれば裏もある。政治もスポーツも、エンタテインメントも、みんなそう、そういうものです。


そうしたことのなかで、最終的にことの良し悪しを印象付けるものはなんだろう?それはおそらく



「誠意」なんだろう。



そういえば昔「誠意大将軍」とかいって、誠意って言葉をおもちゃにしていた馬鹿もいたけど、ああいうんじゃなくて、



本物の誠意ね。


「誠意って、なにかね?」(菅原文太風に)




罪を犯してしまったとはいえ、あの学生の潔い態度は立派だったし、それに比べて、「大人」たちのまったく誠意の感じられない対応。


真実が奈辺にあるかは分からない。しかし「誠意」のあるなしだけはなんとなくわかる。世間の風の向きとは、そういうことだよね。



しかし、その世間の風が、必ずしも正しい方向に向いているとは限らない。ただただ風に乗っかっていればいいってもんでもないんだよねえ。



風の「匂い」を読む「鼻」を、鍛える必要があるんだろうね。



やれやれ、めんどくさい……(笑)




世間の風という奴は気まぐれで、ときに暖かく、ときに冷たい。まるで初夏の風のように。




ここで一句


【カーテンの裾翻し初夏の風】


今、私の部屋に吹き込んでいる風は、暖かいのか冷たいのか。



微妙……。
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藤原まつり微考

2018-05-03 13:46:59 | ここで一句





朝方まで激しく降り続いていた雨も上がり、平泉春の藤原まつり最大のハイライト、「源義経公東下り行列」は滞りなく行われるようです。



「ようです」というのは、私、現場には行きませんので……(笑)



だって、人込み嫌いなんだもん。




兄・源頼朝に追われ、幼少期から青年期にかけて育った奥州平泉に逃れてきた義経公を、平泉藤原氏当主・藤原秀衡は暖かく迎え入れる。その場面を再現したこのイベントにより、悲劇のヒーローとしての(それが事実か否かはともかく)源義経公の御事績は、当地にてずっと語り継がれてきています。

それはある意味、義経公の御霊安かれという、鎮魂の意味もあるのでしょう。




ここで一句


【判官の事績を偲ぶ春の宴】





雨が上がり、観光客の皆さんも濡れずに済みます。まずはよかった。


【雨あがる皐月の空に下りゆく】





さて、平泉中尊寺の境内に白山神社が御鎮座されていることは、いままで何度も紹介してきましたが、藤原まつりにおいては、この白山神社の祭礼も合わせて行われるんです。

主に毎年5月4日に行われる白山神社御祭礼。献饌行列に始まり、白山神社能舞台において、奉納の神楽と能が披露されます。



中尊寺白山神社能舞台は、かの明治天皇も御天覧あそばされた由緒ある舞台です。この舞台において能を披露するのは、中尊寺の僧侶の皆さんなんです。



面白いですね、神社の祭礼に僧侶がしっかりと関わってる。




これは古来よりの神仏習合のなごりでしょうか。いや、なごりなんてものじゃありません。中尊寺と白山神社とは不可分な関係にあるんです。


中尊寺の僧侶の皆さんは、管主以外はほぼ世襲なんです。先祖代々中尊寺の僧侶を務めてきたわけですが、この方々が僧侶になる際、白山神社より託宣を受け、白山神の「許可」を得なければ僧侶にはなれないんです。


白山神社が中尊寺にとっていかに重要な存在か、わかろうというものです。




ですから明治の御代になって神仏分離政策が行われたとき、この白山神社と中尊寺の密接かつ重要な関係性が断たれてしまいかねない危機に見舞われました。


その危機を救ったのは誰か、それはおそらく



明治天皇ご本人であったと思われます。



明治帝は白山神社能舞台を御天覧あそばされ、中尊寺金色堂の重要性に気が付かれ、これを保護するよう指示しています。これにより中尊寺金色堂は国宝指定第1号となりました。



おそらくはその時、中尊寺と白山神社との深い関係を知り、明治帝はこの形を残す許可を下されたのではないかと思う。



白山神社には古来より十一面観音が祀られていましたが、これは流石に移動させざるを得なかった。そういう細かいところの変化はあったものの、白山神社と中尊寺の関係性は守られた。


ですから、廃仏毀釈の嵐が中尊寺に及ぶことはなかったようです。




一部の説では、神仏分離を推進されたのは明治帝ご本人であったといいます。その明治帝がこの白山神社と中尊寺の伝統的なかたちを守ろうとした。


明治帝は一体「何」を見たのでしょう?どのような意図があったのでしょう?



私には詳しいことは分かりません。でもこれは私一人の妄想ではありますまい。



中尊寺の伝統を守られたのは他ならぬ明治天皇ご本人であられた。私はそう信じます。




ただただ、ただただ有難いことです。



最後に一句



【新緑に古へ香る能舞台】
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2018-04-19 12:25:41 | ここで一句





深夜、深い霧の中を、車を走らせていました。


夜の霧の中を車で走るのは実に怖い。こういう時は下手にヘッドライトをビームにすると却って視野が悪くなります。ヘッドライトは下げたまま、フォグランプがある場合はこれを利用しながら、ゆっくりと走りましょう。



霧(きり)といい靄(もや)といいますが、これはいずれも現象的には変わりありません。地上に近い大気中の水蒸気が、なんらかの原因で冷やされ水滴となったもので、これが高い上空で発生すれば雲になるわけです。




霧というのはどこか神秘的ですね。霧と不可思議な現象とを結びつける物語も多い。霧の向こう側には異空間が広がっていて、ベル星人が待ち構えていたりする(笑)。特に夜霧というのはどこか不気味で、アメリカン・ホラー小説の帝王スティーヴン・キング原作の映画『ミスト』では、霧のなかに異次元の怪物たちが大挙して現れ人々を襲う。

カルト的ホラー映画監督、ジョン・カーペンターの作品『ザ・フォッグ』では、夜霧のなかに大昔の亡霊たちがあらわれ、小さな港町に復讐をしにやってくる。

この『ザ・フォッグ』私結構好きなんですよね(笑)



霧というもの、特に夜霧というものはそういう意味では「不安」の象徴なのかも知れない。


それでも、朝は必ずやってくる。



ここで一句


【日の本の夜明け前かな夜と霧】






映画『ザ・フォッグ』(1980)より。霧の中の亡霊たち。

夜が明ければいなくなる。

それまで辛抱。
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本当のこと

2018-03-27 20:25:00 | ここで一句





本当のことを言えという。


あの人は嘘をついているという。



でもあなたの云う本当って、何?



彼方の云う本当って、本当に本当のことなの。




それはあなたにとって都合のよい本当じゃないの?



そう言ってくれないと困ることなんじゃないの。




そういうのって、一言で云うと


「嘘」っていうんだよ。




「嘘」をついているのは


どっち!?






ここで一句




【嘘つきと責めるあなたの口に嘘】



あっ!季語がない!






中条きよし『うそ』
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氷雨

2018-03-22 13:02:32 | ここで一句





春雨とは言い難い、冷たい雨が降り続いております。関東では大雪となったところもあるようですが、こちらは雨ばかり。暑さ寒さも彼岸までなどと申しますが、それにしても寒すぎる。


とりあえず、雪はもう勘弁、まだ氷雨の方がまし?




なにはともあれ、春はどうやら近づいている、らしい。










「月様、雨が……」

「春雨じゃ、濡れて参ろう」




イマドキ月形半平太なんて知っている人はどれくらいいるのだろう?



『月形半平太』は新国劇の舞台で上演された演目で、幕末維新を題材としており、戦前から戦後にかけて特に人気の高かった演目のようです。主人公の月形半平太とは、福岡藩士の月形洗蔵と土佐勤王党のリーダー武市半平太を合わせた名前で、つまりは架空の人物。当時は大変人気の演目だったようで、特に戦前においては何度も映画化されたようです。

上記のセリフ、

「春雨じゃ、濡れて参ろう」

は当時のいわゆる流行語だったようです。


戦後は昭和40年代頃まではドラマ化もされていたようですが、その後はパタリとなくなってしまった。私などもこれに関しては後付けの知識で、実際の映像当を見たことはありません。


どんな内容なのかもよく知らず、上記のセリフだけが残った。



しかしこのセリフも、いずれは忘れさられ、消えていくことでしょう。



流行りモノの理、ということか。









それはそれとして、春の雨に濡れていくことは、本当に風流なのか?カッコイイのか?


雨の量にもよるでしょうが、なるべく濡れないほうが健康のためにも良いと思うけどなあ。




ここで一句



【春雨じゃと濡れて帰って風邪をひき】




皆さまくれぐれも御自愛の程。










佳山明生『氷雨』、
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