風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

映画『すくってごらん』令和3年(2021)

2021-03-24 11:45:16 | 映画

 

 

 

 

 

 

映画を理屈で観る人は、この映画にはハマれないかもしれません。

 

突然歌いだしたり、夢ともつかぬ幻想的な世界に入り込んだり、これらすべては、言ってみれば登場人物たちの「心象風景」。言葉では伝わり難いことも、歌や音楽、映像ならばダイレクトに心に届く、ということもあるだろう。

映画とは言ってみれば「総合芸術」、こういう表現も有りだと思う。

 

なんてえのも「理屈」だね(笑)。

 

要は、「こういう」映画なんだなと受け入れてしまえばいいだけの話。素直に入り込んでしまえば、結構楽しめます。劇中歌はよくできた曲ばかりで感心するし、カラフルでありながらも派手すぎない、絶妙に抑制された色彩感覚といい、現実にありそうでなさそうなセット、ありそうでなさそうな車といい、

この不思議な世界に入り込んでしまえば

結構楽しい。

 

金魚すくいに人生の極意を見る。物語そのものは小ぶりなもので、さほどに大きな展開があるわけではない。主人公とヒロインがそれぞれに抱える問題点も、他人から見ればさほどに大きなことには思えなかったりするわけですが、本人にとっては大問題だったりするわけです。

そこから「すくわれる」、壁を乗り越えるには、他人からの助けが必要な部分もあるけれども、最終的には自分で気付いて、自分で乗り越えていくしかないんだということが、理屈ではなく、まるで金魚すくいで「すくわれた」金魚のようにポンと心に飛び込んでくる心地よさ。

 

だからホント、理屈抜きでこの映画世界にハマりこんでしまえば、

楽しい映画です。

 

 

百田夏菜子さんのピアノ演奏、完璧でした!

吹き替え一切なし。全編夏菜子さん本人がピアノを弾いており、まるで子供の頃からピアノに慣れ親しんでいるかのような、実に堂に入ったものでした。

実際はこの映画のために猛特訓したのですけれど、とてもそうは思えない見事な演奏でした。

凄いね、この女優根性。

 

この4月からはテレ朝系のドラマに、なんと弁護士(!)役で出演するとか。女優・百田夏菜子の快進撃

始まったね。

 

 

それにしても、笑福亭鶴光師匠、出てたの!?

どこに!?

 

 

 

 

『すくってごらん』

原作 大谷紀子

脚本 土城温美

撮影 柴崎幸三

照明 谷本幸治 

美術 AKI

音楽 鈴木大輔

監督 真壁幸紀

 

出演

 

尾上松也

 

百田夏菜子

 

柿澤勇人

石田ニコル

矢崎広

大窪人衛

辻本みず希

北山雅康

鴨鈴女

 

笑福亭鶴光

令和3年 東宝配給

 

 


映画『私をくいとめて』令和2年(2020)

2021-01-14 15:01:11 | 映画

 

 

 

 

 

これを観て、のんちゃんのファンにならない人はどうかしてます(笑)

それほどに、のんちゃんの魅力が溢れまくってる。

 

大九明子監督の演出は、人間の中にある、とてもドロドロしたネガティブな部分を真っ正面から描きながらも、その視点は優しい。ユーモラスで、そのネガティブさも寧ろ「愛おしく」感じられる演出であり、のんちゃんはその大九演出に乗っかって、実に生き生きと飛び回っている印象。

一言で言って、可愛いのです(笑)

この可愛いらしさは、女性にも共感できるんじゃないかと思う。

 

温泉場で見かけた「セクハラ」行為に、激しい怒りを爆発させるシーン。それは単にセクハラというだけではなく、自分が好きなもの、大事にしていたものを「穢された」という激しい嫌悪感を伴っているんですね。

この「穢された」という嫌悪感。これは男の私にもよく分かる。私もこういう時は激しく爆発してしまう。

でもその怒りは、最終的には自分自身に向けられていく。自分がかつて行った「穢い」行為、「穢い」思考を思い出し、自分自身を攻撃し、傷つける方向に向かってしまう。

 

大九監督はそんな人間のどうしようもないネガティブな側面を、とても「愛おしく」見せてくれる。そうした面も全部ひっくるめて、

 

それでいいじゃないか。

 

それが「人間」じゃないか、と。

 

 

「親友」橋本愛との微妙な距離感が縮まっていくほっこり感もいいし、「おひとりさま」といっていますが、親友もいるし、良い先輩もいて、人間関係にはそれなりに恵まれている。支えてくれている人たちは確実にいる。そういう意味では、

本当に「孤独」な人間など、実はいないのかもね。

 

 

相手役の林遣都もいいですね。こちらもまたひと言で言って

可愛い(笑)

 

このお二方をキャスティング出来た時点で、この映画は半分以上成功してます。

 

 

「おひとりさま」を続けるもよし、「おひとりさま」でなくなるもよし。どんな生き方であれ、

堂々と生きて行けばいい。

 

ポジティブ、ネガティブ。綺麗な面、穢い面。その全てをひっくるめて一人の人間。

 

それでいいのだ。

 

 

人間というものを「愛おしく」感じさせてくれる

そんな映画です。

 

 

 

なるべくネタバレなしで書いたつもりですが、いかがでしょう?(笑)

 

 

 

 

『私をくいとめて』

原作  綿矢りさ

挿入歌「君は天然色」大滝詠一

脚本・監督  大九明子

出演

のん

林遣都

臼田あさ美

若林拓也

前野朋哉

山田真歩

後藤ユウミ

岡野陽一

吉住

片桐はいり

橋本愛

 

中村倫也

令和2年 日活配給

 

 

 

 

 


映画『サイレント・トーキョー』令和2年(2020)

2020-12-09 05:31:02 | 映画

 

 

 

 

 

 

 

一言で言って、大した映画じゃありません。(笑)

※以下ネタバレあり。

 

 

 

大体宣伝がヘタなんですよ。佐藤浩市さんが舞台挨拶で、「犯人は佐藤浩市とは限らない」みたいなこと言ってましたけど、それって「犯人は佐藤浩市じゃないよ」と言ってるのと同じなんですよ。

だから観客は、浩市さん以外で犯人になりそうなのは誰かを探せばいいし、多分この人が犯人だろうという当たりが付けられる。

 

で、やっぱりその人が犯人でした(笑)

 

浩市さんは最後まで、自分が犯人みたいな顔をして、舞台に立たなきゃだめです。

 

 

肝心のCGシーン。爆破が起きる「前」までのシーンは凄いです。

 

栃木県足利市に作ったという、渋谷ハチ公前、スクランブル交差点のオープンセット。背景のビルはすべて、CGによる合成、そこに延べ10000人のエキストラを集めて撮影されたモブ・シーンは、本当に渋谷で撮影されたんじゃないかと見紛うばかりに、よく出来てます。日本のCGもここまできたかと、感慨深いものがありました。

 

しかし、爆破シーンが良くない。凝りすぎなのです。

もっと普通に、リアルに見せた方が良かったのに、かえって嘘くさくなってしまったように思えます。

それにああいう演出は、海外の映画ですでに使われているので、二番煎じの感じは拭えない。

 

日本映画には、肝心なところで「やりすぎる」クセがあるようです。

昔の映画でよくありましたね。カースタント・シーンなどを「無意味」にスローモーションにしてしまう。やりすぎるんです。

 

今回もそれと同じ、やりすぎ。

 

日本映画の悪いクセは、未だに直っていないようです。

 

 

映画全体のテーマとしては、右傾化(?)傾向にある日本社会への警鐘、であるかのように「一見」思えますが、

 

それとは「真逆」の解釈もまた、可能です。

 

 

爆破予告があったにもかかわらず、渋谷に集まってくる人々、これは平和ボケで危機感のまるでない、多くの日本人の縮図だともとれる。

何の根拠もないのに、自分だけは大丈夫、死なないと思い込んでいる人たち。その人たちを激しい爆風が襲い、多くの死傷者を出す。

 

これは、今日本が置かれている状況そのものではないのか。

 

日本人はもっと危機感を持つべき、そう警鐘をならしていると

 

とれなくもない。

 

その辺の曖昧さもまた、日本映画らしさと言えるかもしれない。

 

映画の最後に出るテロップ、「爆弾はまだあります。あなたのすぐ隣に」

あなたはこれを、どう解釈しますか?

 

 

いずれにしろ、大した映画じゃありません。大体あんな簡単に真犯人がわかっちゃ、ダメでしょーに。

 

ホント浩市さん、宣伝ヘタだわァ。

 

 

 

 

『サイレント・トーキョー』

原作  秦建日子

脚本  山浦雅大

監督  波多野貴文

出演

佐藤浩市

石田ゆり子

西島秀俊

中村倫也

広瀬アリス

井之脇海

勝地涼

野間口徹

財前直見

鶴見辰吾

令和2年  東映映画


『スター・ウォーズ』より、「帝国のマーチ」作曲&指揮ジョン・ウイリアムス。演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2020-12-07 16:57:42 | 映画

 

 

 

 

 

 

 

ウィーン・フィルが、ジョン・ウイリアムス作曲による映画音楽を演奏するという企画。

 

指揮をするのは、作曲者であるジョン・ウイリアムスご本人。この「帝国のマーチ」は演奏予定になかったのですが、楽団のホルン奏者から、「どうしてもやりたい!」との熱烈なリクエストを受け、急遽演奏することになったのだそうな。

プログラムにも記載されていなかったため、演奏が始まった途端、観客席から歓喜のどよめきが湧き上がっていますね。そりゃあそうだ。

 

ジョン・ウイリアムスのファンはもちろん、ファンならずとも、この曲なら

聴いてみたいよねえ。

 

 

さすがウィーン・フィル、素晴らしい演奏です。ジョン・ウイリアムス氏も「今まで聴いたなかで最高の演奏だった!」と絶賛しております。

 

スター・ウォーズが好きかそうでないかは関係ない。純粋に音楽として、オーケストラの奥深さ、素晴らしさを堪能していただきたい。

 

 

ウィーン・フィル、スゲえや!


映画『サイレント・トーキョー』予告編

2020-12-04 03:55:27 | 映画

 

 

 

 

 

 

 

映画の内容よりも、特撮マニアとしては純粋にCGがどれほどの出来なのか、確かめてみたい。

 

栃木県足利市に、渋谷スクランブル交差点のオープンセットを作り、周囲をグリーンの壁で取り囲み、そこへCGを合成する。

1000人のエキストラを動員し撮影したという、爆破テロのシーンがどれほどのものか、

 

見てみたいですねえ。

 

CGはこのての映画にこそ有用なもの。怪獣映画はまた別物。

適材適所で使っていこう。

 

 

佐藤浩市いいですねえ。佇まいだけで見せてしまう。

なんか、色々言われたけどね、犯罪を犯したわけでも、倫理的過ちをおかしたわけでもないのだから、

 

私には見限る理由などない。

 

役者は役者として優れているか否かが第一、佐藤浩市は間違いなく優れた役者。

 

私は全面的に、佐藤浩市の

 

味方だ。

 

 

 

映画『サイレント・トーキョー』2020年12月4日(金)全国公開

 


映画『犬鳴村』令和2年(2020)

2020-11-17 06:45:37 | 映画

 

 

 

 

 

 

 

 

ホラー映画はもう観ない、とか言っておきながら、最近また、観る機会が増えてきた気がする。

 

1週廻って、元に戻ったという感じかな。でも以前とはちょっと違う。

以前はもっと刺激を求めていた気がするけど、今は違う。何というか、普通の映画ではあまり描かれないような事が描かれており、そこから何かが読み取れたら、面白いかな、なんてことを思っています。

まあ、そんなに真剣なものでもないですけどね。要は映画として面白ければ、それでいいので。

 

 

さて、ここから先はネタバレ三昧です。自己責任でお願いします。

泣いてもしらんどー。

 

 

 

福岡県某所にある「旧犬鳴トンネル」。

心霊スポットとして全国的に有名な場所ですが、現在は入口に石積みの塀が築かれ、中には入れないようになっている、

 

はずなのですが…。

 

どういうわけか、塀の上の部分に隙間があって、石づたいに塀を上っていけば、この隙間から中に入れちゃう。

この辺がなんとも、やらしい(笑)

 

このトンネルの向こうには、かつて「犬鳴村」という、日本国の法が及ばない村があった。

 

現在はダムの底に沈んでいるその村の住人達は、地元の人々から激しい差別と迫害を受けていたらしい。

彼ら村人たちは山犬を殺してこれを吊るすという独特の風俗を持ち、「いぬごろし」と呼ばれ忌避されていたという。

 

ダム建設に際し、その村人たちは何処へ行ってしまったのか?

そこに隠された陰惨な秘密とは?

 

 

霊が見えるという臨床心理士・森田奏(三吉彩花)の周辺で次々と起こる怪異。彼女の父(高嶋政伸)は、なにかを知っている様子だが、怯えて何も話そうとしない。

奏は母方の祖父(石橋蓮司)から、亡くなった祖母が実は捨て子だったことを聞かされます。どうやら水没前の犬鳴村から運ばれてきた赤ん坊だったらしい。

 

 

奏は幼い頃に、祖母とテレパシーで会話したことを覚えていました。祖母や自分にある不思議な力の源泉は、犬鳴村からの「血」なのだろうか。

度重なる怪異と事件、そんな中今度は奏の母(高島礼子)が、まるで犬のような四つん這いの姿勢で、生肉を貪り始めます。父は只々狼狽するばかり。

 

祖母、母、そして自分へと連なる犬鳴村の「血」。そんな折、今度は兄と弟が、トンネルの入口の隙間から、中へ入ってしまう。

 

二人を救出すべく、奏もトンネルの中へと入っていく。そのトンネルの向こうには、水没したはずの犬鳴村が存在していた!?

 

奏が至った犬鳴村は、時空を越えた過去の犬鳴村、水没前の犬鳴村でした。奏は村の若者から、赤ん坊を託されます。

「俺たちの血筋を絶やさないでくれ!」

 

兄と弟を救出し、村から脱出する奏。しかし赤ん坊を奪われたと思った母親が、犬のような牙を生やしながら追ってくる!その後に続く、無数の村人の亡霊。

 

奏の兄は自らを犠牲にして、奏と弟をトンネルの外へと逃がします。

 

後に祖父となる少年の家の庭先に、赤ん坊を置いていく奏。後に祖母となる赤ん坊は、時空を超えた奏自身によって運ばれてきたのでした。

 

以後、母親は回復し、それを甲斐甲斐しく世話する父。普通の日常が戻った、

少なくとも、表面上は…。

 

臨床心理士の仕事を続ける奏。その口からチラリと覗く

 

犬のような牙!

 

犬鳴村の血筋は、絶えることなく続いています…。

 

 

 

 

犬鳴村の血筋とは、何だったのでしょう。

 

それはおそらく、本来は犬ではなく、「狼の血族」だったのではあるまいか。

 

大自然の精霊。神の使いである狼の血を引くものたち。かつて太古においては敬われ、祀られ、そして畏れられた人々。

 

しかし時代が下るにつれて人々の意識は変わり、かつて神だった者たちは妖怪変化の類へと零落していく。そうして恐怖の対象となり、差別と迫害を受けるに至った。

それが、犬鳴村の人々

だったのではあるまいか。

 

その零落した神の末裔たちを、ダム建設に事寄せて、滅ぼそうとした者たちがいた?

 

それが、犬鳴村の悲劇の秘密

 

なのかも知れない。

 

この辺りのことは、映画の中ではほとんど触れられておらず、ほぼ全ては私個人の妄想であります。おそらく清水崇監督は、そんな細かいところまで考えてなかったんじゃないか、という気がしますけどね(笑)

 

ともかくも、滅びようとしていた一族の血は守られた。そうして市井の中に埋もれながら、

細々と、しかし確実に

伝えられていくのでしょう。

 

生き物の悲願、それは「血筋」を絶やさず伝えて行くこと。

 

狼の血族もまた、生き物のなすべきことをしようとしたまでのこと。

 

何者からも、邪魔される謂れはない。

 

 

そうか、つまりこの映画は、アニメ『おおかみこどもの雨と雪』のホラー版なのだな。

 

確かにホラーだけど、そこには生きようとする命の悲願があったのだ。

 

そういう視点から見れば、結構面白いかもしれない。

 

 

何事も視点ですよ、

視点。

 

 

 

 

 

『犬鳴村』

監督・脚本 清水崇

出演

三吉彩花

坂東龍汰

古川毅

宮野陽名

大谷凛香

奥菜恵

須賀貴匡

田中健

寺田農

高嶋政伸

高島礼子

 

石橋蓮司

令和2年 東映映画

 

 

 

 

 

 

 

 

 


須賀川に「須賀川特撮アーカイブセンター」開設

2020-11-04 08:51:14 | 映画

 

 

 

 

 

 

『シン・ウルトラマン』立像初お披露目 円谷英二さん出身地・須賀川に特撮センター開館

ニュース| 俳優の斎藤工が主演を務める映画『シン・ウルトラマン』(2021年初夏公開)のスタチュー(立像)が、円谷英二さんの出身地・福島県須...

ORICON NEWS

 

 

 

 

特撮の神様・円谷英二監督の故郷、福島県須賀川市に、特撮作品の資料収集、保全、修復と後世への伝承を目的とした、「須賀川特撮アーカイブセンター」が開設されました。

 

開設に尽力したのは『新世紀エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』の監督、庵野秀明氏。庵野氏と自治体とが一体となって、この施設を開設する運びとなった。まあ、裏では色々大変な面もあっただろうけれど、何はともあれ、

 

目出度いことです。

 

 

思えば、私が子供頃は、巷は特撮作品で溢れていた。テレビでは再放送を含め、毎日どこかの局で特撮モノが放送されていた。

 

庵野さんも私も、あの特撮全盛期を知る世代、特撮モノに情熱を傾けた少年時代を送った世代。

 

その世代の、ある意味代表と言って良い庵野氏が、やるべきことをやった。

 

良い事だ。

 

須賀川は円谷関連の作品に限られているようですが、庵野氏はこれに止まらず、その他の特撮作品、マイナーなもの、マニアックなものを集めて2号館、3号館、最終的には博物館までたどり着けたらと、将来の夢を語っております。

いいね!

 

特撮は日本の伝統芸、保全と伝承は必要。庵野氏は良いことをした。

 

いや、目出度い。

 

目出度やの~!

 

 

 

映画『シン・ウルトラマン』2021年夏、公開!

楽しみじゃの~。

 

 

 

 

 

 


映画『ようこそ映画音響の世界へ』2020

2020-10-29 05:04:20 | 映画

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画の「音」というのは凄く重要で、映画の印象の大部分は、映像よりも音で決まる、と言っても過言ではないです。

 

映画『シン・ゴジラ』で、昭和時代に主に使われていた効果音が復活されていたのに、誰もその点について言及していないことに、強い不満を感じた私でありました。そう、あれこそが東宝特撮映画の「音」。そこに着目した庵野秀明監督は流石だなと。

 

なのに何故、誰もその点に触れないのだ?

 

映画の「音」とは、一つのシーンや一人のキャラクターのイメージは勿論、その映画全体のイメージをも決定付けるほどに、重要なもの。

 

 

『地獄の黙示録』や『プライベート・ライアン』の戦闘シーンの「音」は、いかに演出され、構築されたか、『スター・ウォーズ』のR2-D2の声が完成するまでの苦労。そうしたドキュメントを通して、この作品は映画における「音」の魅力、その楽しさを語っていく。

 

音響スタッフというのは、世間的には地味な仕事で、ほとんど注目されることがない。しかしそうした方々の影の苦労、影の努力無しには、面白い映画はできないのだということを、

改めて知っていただきたい。

 

ホント、映画はチームワークだね。いや映画に限らず、世の中のことは何事も

一人では成り立たないのだな、ということを、

 

強く感じましたね。

 

 

 

 

黒澤明監督による映画『椿三十郎』のクライマックス、三船敏郎と仲代達矢との決闘シーンでは、最初、二人が対峙している背景で、鳥の囀りとか、虫の声などが微かになっています。

両名が声を交わしている間、その自然の音はずっと鳴っています。しかし2人が黙り、睨み会いに入った途端、その音がピタリ、と止むんです。

 

しばしの静寂、そしてやにわの抜刀、斬撃音、血が激しく噴き出る音、そしてピアノによる効果音が「ドォーン!」と入る。

 

闘いは終り、再び虫の音が、静かに鳴り始める…。

 

映像も凄いですが、音の演出も見事です。

 

 

 

 

 

事程左様に、優れた映画はほぼ例外なく「音」の演出も優れている。

 

「音」という観点から、映画を観てみるのも

 

面白いですよ。

 

 

 

 


このように映画音響はできている!映画『ようこそ映画音響の世界へ』予告編

2020-10-27 05:00:34 | 映画

 

 

 

 

 

 

 

 

東京辺りでは、今年の8月に公開されましたが、我が町ではちょうど今、公開されています。

映画の音響技術の歴史や秘密、そしてなにより、その楽しさ、面白さを取材した、ドキュメンタリー映画です。

 

これは是非にも観たい!と思っていた映画が我が町に!これは観にいかないわけにはいきますまいよ!

近日中に鑑賞予定。世間が鬼滅で沸き立っている昨今そんな世間の風潮に揺れる事なく、一人静かに、己の観たい映画を観に行く。

 

なんて贅沢なんだ(笑)

 

鬼滅の方は、たぶん来年の春くらいには、我が町でも公開されるんじゃないかな?世間の騒ぎが鎮まったころに、「機会があれば」、

 

観る、かもしれません。

 

 

今の私にとっては、鬼滅よりもこちらの映画の方が、遥かに楽しみなんだな。

 

そんなわけで、鬼滅ファンの皆さん

 

 

ごめんなさいね。