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 風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

ウルトラマンガイア論12 ~最終結論 光と人と~

2016-08-25 09:23:59 | ウルトラマンガイア









久しぶりの、ウルトラマンガイア論。


年月をおいて、ようやく結論めいたものが出来上がりましたもので。










「ウルトラマンは光であり、人である」



光とは、つまりは「神」でしょうか。




ウルトラマンとはつまり、人の意思を介して、神が顕現したもの。つまり、


「ウルトラマンとは神であり、人である」



少なくとも平成ウルトラ3部作においては、そのように解釈してよいのではないかと思われます。



それも、人の「意思」の方が強く作用する。「光」はなにも語らず、「人」にそのパワーを託している。そのように描かれているんですね。


だから、選ばれし者たちは、自身がなすべきことに迷い、悩み、苦しみながら進んでいく。




ウルトラマンガイアには、二人のウルトラマンが登場します。

ガイアとアグル。ガイアは赤を基調としており、これは太陽である、と解釈します。ガイア=地球という名を冠しておりますが、実質は太陽の母性を持った存在です。

一方のアグル。こちらは青を基調としており、これは青い惑星、地球でしょう。アグルとはアグリカルチャーからとったといわれており、つまりは地球の大自然、地球の大地の厳しい父性を持った存在というわけです。


物語は、このガイアとアグルが初めは対立し、やがて和解し共闘して、敵に立ち向かっていく姿を描いていきます。



太陽と大地との対立?ああ、成る程。


これってつまり



「天津神」と「国津神」の対立なんですね。



この両者の対立を利用して、「根源的破滅招来体」が地球の破滅をたくらむという構図になっているわけです。


アグル=藤宮浩也は自分が利用されていることを知って、アグルのパワーをガイア=高山我夢に託し、何処かへと去っていく。つまり「隠棲」するわけです。


こうして我夢=ガイアは一人きりの戦いを余儀なくされる。しかしやがて藤宮が戻ってきます。

藤宮の純粋な思い、我夢を助けたいという純粋で強い想いが、再びアグルの力を呼び寄せ、ウルトラマンアグルが復活します。



ここに両者の和解と共闘が成り、地球の存亡をかけた、「根源的破滅招来体」との最終決戦へと突き進んでいくわけです。





面白いですね、「光」は「人」に、その力の使い道をすべて託しているんですね。もしも人が「滅び」を選択するなら、それも致し方なし、としているようです。


この場合のキーはアグルです。アグルがそのパワーをいかに使おうとするかで、地球の命運は大きく変わる。


だからこそ、アグル=藤宮浩也は大きな苦悩を抱え続け、一度は「隠棲」し、再び帰ってくる。



キーはアグル、つまりは「国津神」の行動こそが鍵なんです。



国津神が天津神と和解し共闘することで、地球は危機を回避できる。『ウルトラマンガイア』とは、そういう物語だったのです。



神話ですね、これは、神話です。



神話の「過去」と「現在」、そして「未来」までをも包含した、壮大な神話物語。



それが、『ウルトラマンガイア』である。






忘れてはいけないのは、ウルトラマンは「光」であり尚且つ、「人」だということです。




つまりは、「人」の行動こそが鍵だということです。



あなたが「天津神」であろうと「国津神」であろうと、あなたの行動が



地球の命運を握っているのです。


「光」は「人」に、「神」は「人」に

すべてを託している。



そのこと努々、




お忘れなく。




















ウルトラマンティガ主人公、マドカ ダイゴ(長野博)





「人は誰でも光になれる。君もなれただろ?」
(ウルトラマンティガ最終話、『輝けるものたちへ』より

ウルトラマンガイア論 11 ~地球はウルトラマンの星(後編)~

2014-01-15 20:15:12 | ウルトラマンガイア


                


                        




ウルトラマンは光であり人である。

光とはなんでしょう。

例えば太陽の光は、誰彼の区別なく、地上のすべてのものたちに、遍く降り注ぐ。

一切の差別なく。一切の見返りなく。

光とは慈愛。光とは勇気。

光とは、希望。




********************************************




ガイアとアグルは、虫の掃討に掛かりますが、掃っても掃っても虫たちは次々と現れる。さらには何千何万という虫たちが合体して怪獣となり、ガイアとアグルに襲いかかります。両ウルトラマンは光線技で対応しますが、倒してもたおしても次から次へと虫たちが現れては合体し現れては合体し、
これではキリがない。

その時突然、目映い光とともに、ウルトラマンが小人に見えるほどの超巨大な「天使」が降臨します。

「天使」は虫たちを打ち払い、ウルトラマンに優しげな笑みを向けます。

ガイアは直感的に警戒を示しますが、根が素直なアグルは引き込まれるようにフラフラと天使に寄って行きます。

と、その天使の指先から光線が発射され、アグルは弾き飛ばされてしまう。これを見たガイアが天使に向かって行きますが、やはり弾き飛ばされてしまいます。

哄笑する天使。天使の姿を借りた破滅招来体に、両ウルトラマンは果敢に立ち向かいますが、まったく歯が立たない。ついにエネルギーが枯渇し、ガイアとアグルはその身の光を失い、倒れ込んでしまいます。

ガイア、アグルはウルトラマンの姿を維持することができず、人間体へ戻ってしまいます。この時、唯一回線が開かれていたテレビ局KCBが、このウルトラマンのウルトラマンの戦いを中継していました。田端ディレクターが指揮をとり、井上“リンブン”カメラマンが必死の撮影を敢行。吉井玲子レポーターがスタジオにいて実況中継しておりました。

彼らはウルトラマンの戦いを見せることで、人々に勇気を与えようとしたのです。しかしウルトラマンは負けてしまった。そして人間体へと…。

玲子は撮影をやめるように進言しますが、リンブンは撮影を続行、ついにウルトラマンの正体が人間であったことが、全世界に知られてしまう。

人類の間に動揺が走ります。「ウルトラマンはただの人間だった…」「神様じゃなかった…」「ただの人間が、破滅招来体に勝てるわけない…」

そう、これこそが破滅招来体の狙いだったのです。ウルトラマンの負けを人類に見せつけることで、人類を絶望の淵に叩き込む。そのために、テレビ回線だけを開けていたのです。

この中継を、我夢の両親も見ていました。「そんな馬鹿な…」と父親は目を背けようとします。しかし母が「ちゃんと見て!あれは私たちの我夢よ!あの子、私たちにも黙って…」その後は声にならない。我夢の覚悟と苦衷を察したのでしょう。この母にして、この子あり。

我夢の親友、マコト、サトウ、ナカジは、我夢を救い出すためにアパートを飛び出します。このままでは我夢が暴徒に襲われる。

親友三人の機転とKCBトリオの協力によって我夢は難を逃れますが、藤宮が行方不明でした。しかし我夢には心当たりがありました。

自分の原点を見つめなおすために藤宮が向かうところ。それは藤宮が、初めてアグルになった場所。

プロノーン・カラモス。



その頃、世界中に地球怪獣たちが出現し、“虫”に攻撃を仕掛けます。彼らもまた、地球を守るために立ち上がりました。

G.U.A.R.D.環太平洋部隊の柊准将は、かつて憎んだ怪獣たちが地球のために立ち上がったのをみて、怪獣援護のために全部隊を出撃させます。ここで人間がなにもしないわけにはいかない。
上層部に反逆した人間が、ここにもいました。

怪獣たちは体内の核融合炉のエネルギーを虫たちに発射していました。これを見たアルケミー・スターズのキャサリンが、もう一度ウルトラマンを復活させる方法を思いつきます。

怪獣たちの発するエネルギーを習合させて、我夢と藤宮に与えることができたなら…。




藤宮はプロノーン・カラモスにいました。

プロノーン・カラモスは、ニュートリノなどの素粒子研究のため、地下に巨大な水槽を湛えた施設です。藤宮は水槽の前に佇み思案していました。と、水槽の中にキラリと光るものが。

「チェレンコフ光よ」

どこからともなく、女性の声が聞こえてきました。ふと目をやると、そこには亡くなったはずの稲森京子博士の姿が。

稲森博士は、藤宮がアグルになる以前の研究の相棒であり、恋人でした。しかし藤宮の危険な思想を諭すためにある行動を起こし、命を落としてしまったのです。

「こんな時でも、ニュートリノは地球に降り注いでいるわ」

謎の言葉を残し、稲森博士は幻影のように消えていきました。

ニュートリノは地球の地殻をも貫通する素粒子です。稲森博士の言葉に、藤宮はニュートリノを使った通信システムを開き、XIGやアルケミー・スターズと連絡を取ることを思いつきます。

そこへ駆けつける我夢とKCBトリオ。

「我夢、俺たちにはまだやることがあったぜ!」

どういうことか尋ねる我夢に

「稲森博士が教えてくれた」

不敵な笑みを浮かべる藤宮。

XIGとの通信が繋がり、アルケミー・スターズのキャサリンのアイデアを聞く我夢と藤宮。

やるしかない。我夢と藤宮はKCBの車に乗って、再び東京へ向かいます。



キャサリンのアイデア。それはXIGの戦闘機XIGファイターの推進システムであるリパルサー・リフトを利用して、リパルサー・フィールドを発生させ、怪獣たちの発射する核融合エネルギーつまり太陽エネルギーをリパルサー・フィールドにぶつけ、鏡のように反射させて地球のある一点、我夢と藤宮がいる場所にすべてのエネルギーを集束させるというものでした。

怪獣は動き回る。したがってフィールドの角度の計算はとても難しく、コンピューターではとても追いつかない。あとはアルケミー・スターズお得意の頭脳と勘で計算するしかない。とても無茶で無謀な計画でした。

しかしやるしかないのです。

XIGファイターチーム。「チーム・ライトニング」「チーム・ファルコン」「チーム・クロウ」の各メンバーと「チーム・シーガル」の神山リーダーがファイター機に乗り込み、世界各国の怪獣たちの元へ飛び、地上部隊「チーム・ハーキュリーズ」が我夢と藤宮の援護に回ることになりました。
全メンバーを前に、これがXIG最後の戦いであることを告げる石室コマンダー。

「Get A Grory! ミッションネームは【ガイア】」

石室コマンダーの檄とともに各持場へと散ってゆくXIGメンバーたち。

「我夢、みんな自分ができることをがんばっているよ」

敦子がつぶやきます。




瓦礫と化した東京の一角に立つ我夢と藤宮。

一瞬の静寂の後、怪獣たちの放ったエネルギーが、我夢と藤宮の元へと降り注ぎます。

新たなエネルギーを得て復活するガイアとアグル。二人のウルトラマンは新たな力であっという間に虫たちをすべて駆除してしまう。

そこへ再び現れる天使。

しかし今度のガイアとアグルは強い。天使は苦戦を強いられ、天使の姿を脱ぎ捨て、超巨大怪獣ゾグとなって、ウルトラマンに襲いかかります。

ガイアとアグルは何度も弾き飛ばされながらも必死に喰らいつき、二人の光線技を合わせてゾグに撃ち込み、ついにゾグを倒します!

夕陽の中に立つガイアとアグル。駆け寄る人々。

KCB吉井玲子レポーターが実況を続けます。

「これが地球の光です。地球にはウルトラマンがいます。こんな素晴らしい星が、破滅なんか絶対にしません。私たちがさせない努力をしていく限り」

ウルトラマンは光。そしてその光は人がなったもの。

玲子はきっと、こう言いたかったのでしょう。地球の光、ウルトラマンは人なのだ、だから。

私たちはみんな、ウルトラマンになれるんだと。

地球は、ウルトラマンの星なんだよ、と。





地球に再び平和が戻り、我夢は学生生活に戻りました。

藤宮は一人、旅へと出ます。

路上のコンクリートの隙間から一生懸命芽を出している草を見つけた我夢は、愛おしげに草を見つめると、手にしたペットボトルの水をそっとかけてあげます。

一陣の風が吹き渡ります。我夢には周囲の風景がみなキラキラ輝いているように見えました。

「そうか、これが地球なんだ」

周囲のものすべてに、愛おしそうな目を向ける我夢。なんともいえず、歓喜の想いが我夢を包み込みました。

「おーい!」

まるで地球のすべての存在に呼びかけるかのような、我夢の声が響き渡ります。

〈終わり〉






【地球には怪獣がいて、ウルトラマンがいる。
この美しい星を、私たちはもっと愛していきたい】




             








ウルトラマンガイア論 10 ~地球はウルトラマンの星(前編)~

2014-01-14 22:23:39 | ウルトラマンガイア


                    


さて、長々と書き連ねてまいりました「ウルトラマンガイア論」ですが、そろそろ終盤のようです。




私は小さなころから、ウルトラマンに対してある疑問を持っていました。

「他の星の人が、どうしてわざわざ地球を守るの?」



もっともらしい理屈は、つけようと思えばいくらでもつけられるでしょう。しかしどんな理由をつけても、やっぱり私は釈然としない。

それは、「地球を守るのは、地球人がするべきじゃないの?」という思いがあったから

かも知れない。

いや、はっきりとは分からんのですよ、分からんのだけど、やっぱり釈然としない。どうしても疑問は残る。

それでも特撮そのものは大好きでしたから、疑問はあっても観ることを止めることはなかった。



そんな屈折した思いを抱きながらウルトラファンであり続けた私が、30過ぎて出会ったのが、平成ウルトラ三部作

ティガ、ダイナ、そしてガイアでした。

平成三部作の「人間ウルトラマン」というテーマは、私にとってまさに、

【我が意を得たり】

だったのです。





「ウルトラマンは“光”であり“人”である」

「人は誰でも、自分自身で“光”になれる」

上記のセリフはいずれも「ウルトラマンティガ」の中のセリフです。

ああ、これだ!と思いました。私が求めていたウルトラマンはこれだったのだ!

どこかの星からやってきた宇宙人などではない。ウルトラマンは宇宙に遍く存在する光であり、そして人なのだ。



初代ウルトラマンとハヤタ隊員は、その意識が完全に分離した、別々の存在として描かれていました。初代ウルトラマンは確実に人間ではない。

ウルトラセブンとモロボシダンは同一の意識を有していましたが、あれは元々、セブンが人間の姿を借りてダンに成りすましていたわけですから、「人間ウルトラマン」とは到底言い難い。

私にとっては、平成三部作こそが“本当”のウルトラマンなんです、昭和シリーズのファンの方々には申し訳ないですが。

抑々昭和シリーズがなければ、平成三部作の誕生は有り得なかった。そういう意味では感謝しています。

しかしやはり、平成三部作こそ真のウルトラマンであり、ガイアはその頂点である。

私はそう確信しています。





*********************************************




最終話。根源的破滅招来体は、人間の子供位の大きさをもつ、イナゴのような不気味な“虫”で、地球の空を覆い隠します。

太陽の光は届かず、テレビ以外の通信手段はすべて途絶。地上には、まるでH.P.ラブクラフトの怪奇小説『インスマウスの影』に登場した魚人間のような生物が徘徊し、人々は絶望に打ちひしがれます。

地球防衛機構G.U.A.R.D.は“虫”排除のため世界中で出撃しますが悉く壊滅。主要各国は次々と戦意を喪失し、G.U.A.R.D.の存立基盤そのものが揺らいでしまう。
ついにG.U.A.R.D.首脳陣は破滅招来体への降伏を決定。XIGにも武装解除が通達されます。

しかし千葉参謀以下XIGはこれを拒否します。

「我々はG.U.A.R.D.という組織の為に戦っているのではありません。人類の為に戦っているのです」

かくしてXIGはG.U.A.R.D.の指揮下より離脱し、独立愚連隊となって破滅招来体に立ち向かうのです。



藤宮が石室コマンダーに尋ねます。

「何故我々(我夢と藤宮)を“兵器”として有効に活用しようとしないのですか?ウルトラマンを兵器として使用するよう、作戦を練るべきです」

これに対し、石室コマンダーは静かに答えます。

「君たちは“兵器”ではない。我々の“仲間”だ」

藤宮は黙ってその場を立ち去ります。藤宮はきっと、うれしかったと思う。

自分みたいなものを、“仲間”と呼んでくれたことに。




我夢と藤宮は“虫”排除のためにウルトラマンに変身します。二人を暖かな光が包み、その光の中から飛び立つガイアとアグル。

愈々、根源的破滅招来体との最終決戦の時が来たのです。

〈続く〉


                 






ウルトラマンガイア論 9 ~地球の怪獣たち~

2014-01-11 19:01:53 | ウルトラマンガイア


初代ウルトラマンの主題歌の歌詞に

「怪獣退治の専門家~♪」

とあるように、ウルトラマンは怪獣退治が仕事であるかのように思われますが、そんなウルトラマンも時に悩むことがある。

怪獣を倒すことが、本当に正義なのだろうか?




怪獣は何故暴れるのか?

実はその理由が明確に示されることは、あまりなかったんですね。怪獣は怪獣であるというだけで暴れ、怪獣であるが故に殺されねばならない。

その存在が人類の生存に支障を来すなら、それも止むを得ないことなのかもしれない。

しかし、それでいいのだろうか?

ウルトラマンガイア=高山我夢はその点に疑問を持ち、悩みます。

始めは地球怪獣と宇宙怪獣の区別なく、容赦なく怪獣を倒していたガイアでしたが、やがて止むを得ない場合を除き、なるべく怪獣を殺さずに、もといた場所に戻すようにし始めます。

特に地球産の怪獣は同じ地球に住む生物ですから、よほどの理由がない限り、殺すことを避けるようになるのです。




地球怪獣たちの行動を見ていますと、基本的には己のテリトリーを守るための行動を採っているように思え、意図的に人類に危害を加えるつもりはないようです。

太古より東京の地下に棲み、人類のいとなみを見続けてきた、ミズノエノリュウ(壬龍)。

カナダの森林地帯の守り神、シャザック。

地底貫通弾によって住処を破壊され、ボロボロになった身体で復讐するため地上へ這い出てきた、ティグリス。

彼らに人類と敵対する意図はない。彼らは故郷を守りたいだけなのです。

彼らがその活動を活発化させたのは、故郷である母なる大地、地球に危機が迫っているのを察知したから。

彼ら地球怪獣たちもまた、根源的破滅招来体に立ち向かおうとしていたのです。




実は地球怪獣たちの体内には、核融合炉があるのです。

核融合、といえば太陽ですね。

つまり地球怪獣は、太陽をその身に抱いていることになる。

地球の大地に生まれ、太陽をその身に抱く。

これはウルトラマンガイアも同じです。地球の光が生んだウルトラマンは、大地の力と、太陽の慈愛を合わせ持つ。

ウルトラマンガイアが太陽の「光」を宿すなら、地球怪獣たちは物理的な太陽をその身に宿しているのです。

太陽と大地あるところに生命は育つ。地球怪獣たちは、そんな地球に生きる者達の代表なのかもしれない。

太陽と大地と、それともう一つ、海もまた、生命の満ちる場所です。

海はスサノオの統べるところ。そのスサノオの魂を持つのが、ウルトラマンアグル。

ガイアとアグル、そして怪獣達は、地球の森羅万象を代表するもの。

そして彼らの間を繋ぐのが、人類という存在。




ウルトラマンと、怪獣と、人類による三位一体。

それのみが、根源的破滅招来体に対抗しうる、唯一の手段。


〈続く〉






ウルトラマンガイア論 8 ~群像劇としてのガイア~

2014-01-08 19:24:49 | ウルトラマンガイア


ということで、久々の「ウルトラマンガイア論」です。


「ガイア」には、レギュラー、セミレギュラー含めて登場人物がやたらと多い。

地球防衛機構としてG.U.A.R.D.があって、その日本支部に所属する戦闘部隊XIGは、陸海空及びレスキュー部隊に分かれている。それぞれの部隊は三人編成の小チームなんです。

「空」を担当する戦闘機部隊はさらに三つの小チームに分かれていて、熱血男、梶尾リーダー(中上雅巳)率いる「チーム・ライトニング」、なにか重いものを引きずっている米田リーダー(香川黒之助)率いる「チーム・ファルコン」、男前、稲城リーダー(川嶋朋子)率いる女性チーム「チーム・クロウ」。

「陸」を担当する、吉田リーダー(松田優)率いる「チーム・ハーキュリーズ」は質実剛健な、いつも汗をかいているマッチョなチーム。

「海」を担当する、横谷リーダー(庄司哲郎)率いる「チーム・マーリン」は、一回しか登場しなかった影の薄い方々。

レスキューを担当する、常に冷静沈着な神山リーダー(権藤俊輔)率いる「チーム・シーガル」。

このXIGを現場で直接指揮するのが、堤チーフ(宇梶剛士)。

全体の作戦を統括指示するのが、石室コマンダー(渡辺裕之)。

G.U.A.R.D.とXIGの橋渡し役、千葉参謀(平泉成)。

オペレーター、佐々木敦子(橋本愛←ユイちゃんではないよ)。ジョジ―・リーランド(マリア・テレサ・ガウ)。

XIGの基地は空中に浮かぶエリアル・ベースですが、地上にもジオ・ベースという基地があって、多くの隊員がいます。

さらには警察活動を行う「リザード」。瀬沼龍一(石井浩)という人がチーフですが、詳細は不明。

さらにさらに、ダニエル議長(ジョン・オコーナー)やキャサリン・ライアン(デビー・リギアー)といった、アルケミー・スターズの面々。

怪獣に憎しみを持つ、G.U.A.R.D.環太平洋部隊の柊准将(大和武士)。

民間サイドでは、テレビ局KCBの田端ディレクター(円谷浩)、“リンブン”こと井上カメラマン(角田英介)、レポーター吉井玲子(石田由加里)のトリオ。中でもレポーターの吉井玲子は、ウルトラマンアグル・藤宮博也と深い関わりを持つようになります。

風水師で地球怪獣の“声”が聴ける、いつもポワ~ンとした雰囲気の女性、黒田恵(大寶智子)。柊准将の憎しみを和らげ、彼が怪獣と“共闘”するきっかけを作ります。

アグルになる前の藤宮を支えた女性科学者、稲森京子(久野真紀子)。彼女の死は、後々まで藤宮を苦しめることになります。

その他、梶尾と恋仲になる佐々木律子(沢村亜津佐)は敦子の姉。我夢の大学の親友、マコト(西崎大明)、サトウ(奥本東五)、ナカジ(加々見正史)。藤宮に救けられた少女(蓮沼藍)。我夢の両親(山本亘・水沢アキ)。

新興宗教団体・根源破滅教団の教祖(今田耕司)…はレギュラーかな?(笑)

その他その他、まあ、たくさんおります。



こうした多くの人々が有機的に絡み合いながら、一年かけて一つの物語を作り上げていく。

テレビドラマならではといいましょうか、キャラ一人一人の性格やら関係性やら、細かく描きながら、壮大な一つの物語へと繋がって行く。まあ、見事な群像劇に仕上がっていると言えるでしょう。

我夢は藤宮との関係を疑われ、一度XIGを追放されてしまいます。これを機に、それまで少し距離があった我夢と梶尾、他のXIGメンバーとの関係性が、逆に絆を深めていく。それを静かに見つめながら、我夢を信じ続けた石室コマンダー。
まるで家族ドラマのような、学園ドラマのような展開ですね。石室コマンダーはさながら父親か校長先生のようです。

いや、校長は千葉参謀かな?じゃあコマンダーは教頭?堤チーフは担任の先生かな?

そんなことはどうでもいいんですが(笑)

この段階でコマンダーはすでに、我夢がガイアであると気が付いているんです。それでも敢えて何も言わない。我夢もなにも訊かない。

お互いがお互いを信頼しあっている。この阿吽の呼吸といいますか、なんか、いいですよね。

最終話で我夢が、「どうして僕を信用してくれたんですか?」と石室コマンダーに尋ねるんです。コマンダーの答えは

「理由などいるか!」

そういうものですよね。



学園ドラマなら恋愛模様も当然あるわけですが、ガイアの場合そんなに深く描かれてはいないものの、一応恋愛模様も描かれています。

敦子は最初、チーム・ライトニングの梶尾リーダーにぞっこんだったのですが、その梶尾と、自身の姉の律子が恋仲になってしまい、敦子は潔く身を引きます。その内今度は我夢のことが気になり始めるのですが、我夢は我夢でアルケミー・スターズのキャサリンといい感じになってきて…まあ、この辺はあまり深刻に描かれず、コミカルな感じに描かれています。

一方、藤宮とテレビレポーターの吉井玲子の関係はなかなか深刻で、玲子は藤宮の考えには否定的でも、傷ついた藤宮の心を放っておくことができず、テロリストとして追われる身となった藤宮とともに逃避行することになってしまう。藤宮の唯一の理解者ではないけれども、本当は繊細で優しい人なのだ、ということだけは理解している。
私がいなければ、この人は本当にダメになる、といったところでしょうか。
実際、玲子がいたからこそ、藤宮は人としての“一線”を越えることもなかったし、復活することも出来たと言えます。
母性、ですねえ。

もう一つ、チーム・クロウの女性パイロット、多田野慧(石橋けい)は、まるで死に場所を求めるかのように危険なミッションを繰り返す、チーム・ファルコンの米田リーダーの身を案じる内、ほのかな恋心を抱くようになります。
あまり感情を表に出さない米田でしたが、XIGが絶体絶命の危機に陥り、飛べる機体が三機しかなく、各リーダーのみが出撃することとなった時、自分の肩のワッペンを剥がし、「ファルコンの魂をお前に預ける」と、慧にワッペンを託します。
祈るような気持ちで米田を見送る慧。
ガイアとXIGの連携により、作戦は成功しますが、米田機は撃墜されてしまいます。バラバラになった米田機の残骸の前で立ちすくむ慧。と、その残骸の陰に横たわる米田を発見!
「米田さん!」
思わず駆け寄り、必死で揺り起こそうとする慧。目を開かない米田。
泣きながら慧は、米田の手を握ります。と、その慧の手に力強い感触が。
ハッとする慧。ゆっくりと目を開けた米田は、開口一番。
「生きてるぜ…」

カッコイイねえ、米田さん(笑)

実はこの米田撃墜編は、我夢の正体がガイアだということが、隊員全員に知られてしまう回でもあったのですが、そのことよりも米田の生死の方が大きな問題として描かれているんです。米田の無事を知り、梶尾や稲城とハイタッチをして喜ぶ我夢の姿に象徴されるように、我夢は仲間たちとともに地球を守るために戦う一人として描かれ、ウルトラマンだからといって特別な扱いを受けていない。

このように、いつも仲間と一緒にいる我夢と、常に一人で行動しようとする藤宮との対比は、協力し合うことの重要性を説いているようで、ガイアが群像劇であることの所以であると思われます。

そんな藤宮も最終話では我夢やXIGと行動を共にします。たとえウルトラマンだろうと、一人では限界がある。
二人のウルトラマンと、XIGと、そして地球の怪獣たちが共闘して、地球最大の危機に立ち向かうことになって行く。



ウルトラマンガイアとは、そんな地球の「命」たちの群像劇なのです。





さて、もうちょっと続きますので、よろしくね。

〈続く〉

ウルトラマンガイア論 7 ~ガイア 太陽の慈愛、大地の力②~

2013-12-20 13:46:57 | ウルトラマンガイア


                 


藤宮博也が開発した光量子コンピューター「クリシス」が、根源的破滅招来体に汚染されていたという事実。

我夢は、この“汚染”を内部から画策人間がいたことに気付きます。

つまり、アルケミー・スターズの中に、裏切り者がいたのです。

ドイツ人メンバー・クラウス。彼はある日、自宅の庭で、家族の目の前で忽然と姿を消したという。

我夢はドイツに飛び、クラウスの身辺を探り、クラウスが破滅招来体の放った精神寄生体の憑依を受けたことを知ります。

我夢の前に現れたクラウス。彼は我夢とまったく同じ顔、同じ姿で我夢に迫ります。

「僕は君だ」

クラウスは語ります。

「アルケミー・スターズが集まったのは何故だ?それは人間達が我々を気味悪がり、遠ざけたからじゃないか!」

我々は人類より優れている。だから人類の上に立つ権利がある。とクラウスは続け、我夢の中にも、同じ思いが潜んでいると指摘します。だから、僕は君なのだと。

もはや破滅招来体と同化したクラウスは怪獣と化して我夢に襲いかかります。我夢はガイアに変身、クラウスを倒します。

「あれは僕だった…。僕は人間と戦いたくなんてなかった。でも今は、戦うしかないじゃないか!」

戦うことの哀しみ、勝利の苦しみを知る我夢。一歩間違えば、自分もクラウスと同様の道を歩んでいたかもしれない。

戦いはいつも、心の中…。




地球を守り、人類を守る。その為に戦う。

それがウルトラマン。

しかし戦いを続ける内に我夢は悩み始めます。怪獣をただ倒すことが根本的な解決になるのだろうかと。

やがて我夢=ガイアは、なるべく怪獣を殺さないように努め始めます。特に地球の怪獣達には、そのテリトリーに返し、人類との棲み分けを模索するのです。

では問答無用で襲ってくる宇宙怪獣はどうするのか?地球の生物ではないから、かまわないというのか?

しかし、その宇宙怪獣達もまた、破滅招来体によって故郷の星から無理矢理地球に連れてこられ、環境が変わった恐怖心から暴れているだけなのかもしれない…。

悩む我夢に、スサノオの魂を持つ藤宮=アグルが諭します。

「例えそうであったとしても、今は戦うしかないんじゃないか、我夢」

地球を守り、人類を守る。その為に戦う。それがウルトラマン。

ならば、今は戦うしかない。




我夢と藤宮=ガイアとアグルは、過去の確執を越えて手を取り合い、真に守るべきものの為に戦います。

太陽の慈愛と大地の力を持つガイア、海の厳しさと優しさを持つアグル。

地球生まれのウルトラマンと、根源的破滅招来体との最終決戦が迫ろうとしていました。

〈続く〉



現在の吉岡毅志氏

ウルトラマンガイア論 6 ~ガイア 太陽の慈愛、大地の力①~

2013-12-19 17:54:15 | ウルトラマンガイア


                


ウルトラマンガイアなのに、アグルのことばかりでは申し訳ないので(笑)、ガイアのことを書いてみます。



主人公・高山我夢(吉岡毅志)がアルケミー・スターズのメンバーであることはすでに述べました。

ある時期、世界中でほぼ同時発生的に、超天才的頭脳を持った子供たちが生まれた。彼らは独自のネットワークを形成し、自らを「アルケミー・スターズ」と呼んだ。

アルケミー・スターズが何故生まれたか。本当のところはわからない。しかしおそらくは、地球の“意志”が生んだものでしょう。

「地球の自己防衛本能が生んだ鬼子」

アルケミー・スターズのメンバー、キャサリン・ライアン(デビー・リギアー)が自嘲気味に語ったように、彼らアルケミー・スターズはその特異性故に少なからず世間から弾かれ、恐れられた。

だから彼らメンバーは皆一様にどこか影がある。浮世離れしている。藤宮博也(高野八誠)があのような過激思想に走ったのも、アルケミー・スターズであることの“影”を背負っていたからかもしれない。



我夢もまた、少年時代にその天才性故に随分虐められたようです。故郷・房総の海岸を歩きながら、そんな子供時代を思い出しているシーンがあります。

しかし他のメンバーに比べて、我夢にはそんな影が少ない。詳しいことは描かれていないので分かりませんが、おそらく我夢を支え続けたのは、我夢の両親でしょう。

父(山本亘)母(水沢アキ)との絆。我夢が曲がることなく、明るく真っ直ぐに育ったのは、この両親あってこそだったのでしょう。

我夢は若い割に芯がしっかりしており、ブレることがない。自分がなにをすべきなのか、なにを守るべきなのかということに揺るぎがない。

明るく、精神的に強く、そして優しい。

そんな我夢だからこそ、地球は我夢の想いに答えた。

ガイアの光を与えた。



我夢はG.U.A.R.D.日本支部の戦闘部隊、XIGのメンバーとなって、根源的破滅招来体との対決に臨みます。その役割は、情報を収集・分析するアナライザー。直接戦闘に参加しないところが、アルケミー・スターズらしいところ。

そんな我夢の前に現れた藤宮。我夢にとって藤宮はどんな存在だったのでしょう。

我夢は藤宮を敵とは認識していませんでした。同じウルトラマンの光を地球に預けられたのだから、協力しあうことはできるはず。我夢は藤宮の間違いを指摘し、正そうとします。

しかし藤宮はますます過激化していき、ついには地球怪獣を強引に目覚めさせ、力ずくで人類を掃討しようとします。この行為に我夢はキレてしまう。

憎しみや怒りで戦ってはいけない。そんなことは分かっているはずでした。しかし我夢と藤宮=ガイアとアグルは憎しみと怒りを抱いたまま戦ってしまう。

負と負のエネルギーがぶつかり合い、飛び散ったエネルギーは宇宙へ達し、折しも宇宙空間に発生しつつあったワームホール(次元と次元を繋ぐ穴)に届いてしまう。

この負のエネルギーを受けて、ワームホールから超巨大怪獣が出現しようとします。

「これを待っていたのか」

XIGの石黒コマンダー(渡辺裕之)は、このウルトラマン同士の戦いが、根源的破滅招来体の仕掛けた罠であったことを悟ります。

我夢もまた、このワームホールからの放電と、光量子コンピューター・クリシスがシンクロしていることに気付き、クリシスが破滅招来体に“汚染”されていたことを知るのです。

この事実を藤宮に告げる我夢。真実を知った藤宮はアグルの光を我夢に預け、何処へともなく去っていく。

「俺にはもう、守るべきものはなにもない」

藤宮のつぶやき、これに反駁するかのように我夢が叫ぶ

「大切なものなんて、いくらでもあるじゃないか!」

アグルの光を預けられ、ヴァージョン・アップしたガイアはXIGと協力し合い、ワームホールに出現した超巨大怪獣を倒します。



新たな力を得たガイア。しかしそれは、新たな戦いの始まりでもありました。

〈続く〉 


ウルトラマンガイア論 5 ~アグル、青きスサノオの魂②~

2013-12-10 16:20:54 | ウルトラマンガイア


               


私はアグルに対する思い入れが強いようです。

「地球を救う為なら、人類滅亡も止むを得ない」 私も若い頃、これに近い考えを持ったことがある。

人類なんて最低だ!地球を蝕むウィルスだ!滅びちまってもしょうがないんだ!

しかし、これはある意味、傲慢な考えです。

滅びる滅びないは人類の選択次第です。ならば滅びないように努力するのが、命あるものの当然の務め。

それを放棄してしまうのは、正しくない。

そのような考えを持つ人の心の底には、大きな悲しみがあるように思う。藤宮の心の底に、どのような悲しみがあったのかはわからない。おそらく私は、その悲しみに共感したのだと思う。

「人類が滅びていいなんて、そんなこと誰が決めるのよ!」

吉井玲子に鋭く指摘されて心を揺らす藤宮。深い悲しみとガラスのような繊細さ故に、激しい戦いへと突き進む藤宮が知った真実。

クリシスの解答が、破滅招来体の仕掛けた罠であったこと。

藤宮は激しく絶望し、戦いを放棄して去ってゆく。




しばらく消息を絶っていた藤宮でしたが、再び過激な行動に出ようとします。

地球の地下には多くの怪獣達が生息していました。近年、破滅招来体の襲来に合わせるかのように、この地球怪獣達が活動を活発かさせてきたのです。

そこでG.U.A.R.D.は、「地底貫通弾」を使用して、怪獣の絶滅を図ったのです。

しかしこの行為は、地球の環境に大きなダメージを与えます。それに怪獣達は必ずしも人類と敵対しているわけではない。うまく棲み分けできれば、なにも無理矢理攻撃を仕掛ける必要はないのです。

やはり藤宮は、どこまでも地球のことを気遣っていた。藤宮はG.U.A.R.D.の基地に潜入、地底貫通弾発射を阻止しようとしますが、G.U.A.R.D環太平洋部隊の柊准将(大和武士)に阻まれてしまいます。

貫通弾は発射され、大地に怪獣達の悲鳴が響き渡ります…。




アグルの光を失い、俺にはもうなにも出来ないのか。藤宮は日夜悪夢に苛まれ、髪の毛に白髪が混じるまでに憔悴してしまいます。ある日、誘われるように海の中へと入ってゆく藤宮。このまま命の故郷、海へと帰りたい…。

と、そんな藤宮を抱きかかえ、海から引きずり戻した者がいました。

高山我夢です。

藤宮はずっと悔いていました。俺があんなことをしたのは、俺自身の中に、人類なんか滅びればいいという思いがあったからだと。

それは違う、と我夢は言います。君はたくさんの人を助けた。それは君が、本当は人間が好きだからだと。君は戦う誇りを失っただけだ。その誇りを取り戻せばいい。

我夢の言う、誇りとは…。




そんな折、破滅招来体が放ったロボット怪獣「Σズイグル」の罠によって我夢は捕えられ、宇宙へ連れて行かれそうになります。ヘタに攻撃を加えると、我夢を巻き添えにしてしまう。

絶対絶命の我夢。これを見た藤宮は、我夢を救い出したい一心から、地球に呼びかけます。

「地球よ、俺にもう一度光を!」

藤宮に答えるかのように、巨大な波が藤宮を飲み込みます。やがて海を割って現れる巨大な青い影。

アグル復活の瞬間です。

アグルによって我夢は救い出され、Σズイグルは破壊されます。



再びアグルの光を取り戻した藤宮。藤宮の顔には、それまで見せたことがないような、素直な笑顔が広がっていました。



誰かを助けたいという素直な思い。それは地球を救いたいという思いと一緒なのです。

藤宮はそれに気が付いた。人と地球と、どちらも救いたい。それが自分の本当の想いだということに気付いた。

だから地球は、再び藤宮の呼びかけに答えたのでしょう。

本当に守るべきものを見つけ、戦いの誇りを取り戻した藤宮=アグル。

彼にもう迷いはありません。地球の為人類の為

藤宮=アグルは、自分の道を進み始めるのです。


〈続く〉




現在の高野八誠氏
これで髪を切ったら誰だかわかりませんね(笑)

ウルトラマンガイア論 4 ~アグル、青きスサノオの魂①~

2013-12-07 14:17:41 | ウルトラマンガイア


       


伊耶那岐太御神は御自身がお生みになられた三尊子(みはしらのうずのみこ)方に、天照太御神には高天原を、月読命には夜の食す国を、そして須佐之男命には海原を、それぞれ治めるよう命じられたとか。
天照太御神と月読命は従いましたが、須佐之男命は母の住む黄泉の国へ行きたいと泣き叫び、追放されてしまう。

スサノオの性格の起伏の激しさは、時に嵐の海の波のように激しく、時に凪の海のように穏やか。

まさしく、海原を治めるに相応しい。

そんなスサノオのような激しさを、そんなスサノオのような繊細さをもったウルトラマンがいます。

スサノオブルーに身を包んだウルトラマン。その名は

アグル。




藤宮博也(高野八誠)が開発した光量子コンピューター・クリシスは、「根源的破滅招来体」の地球来襲を防ぐ唯一の手段として、人類をこの地球から“排除”すべきと解答します。
苦悩する藤宮。そんな折、藤宮は地球からアグルの光を委ねられます。

クリシスの解答、そして地球から委ねられた光。

それが、地球の望むことなのか…。ならば、やらねばなるまい。

しかしこの決断は、元々繊細な藤宮の心をより苦悩させることになる。

怪獣が破壊したビルの瓦礫の下敷きになりそうになった少女を、藤宮は思わず身を挺して助けてしまう。思考よりも先に身体が動いてしまったんですね。

「ありがとう…」少女はつぶらな瞳で藤宮を見つめ、少女の母親は泣きながら藤宮にお礼を言い続ける。

俺は一体、何をしているんだ…。地球の為に、人類を見限る決断をしたのではなかったのか!?

藤宮は元々優しい青年です。そんな彼に、人類を見限ることなど出来るわけがないんです。それでも藤宮は、頑なに己の使命と信じたことを成そうとし続けます。

藤宮はテロリストとしてG.U.A.R.D.に追われる身となり、身も心もボロボロになっていく。そんな藤宮に寄り添う女性、吉井玲子(石田由加里)。

吉井玲子については、いずれまた書きたいと思います。今回はアグル、藤宮に絞ります。



クリシスの解答は揺るがない。藤宮はそう思い込んでいました。しかし、そこには大きな陥穽が仕掛けられていたのです。

それに気づいたのは藤宮のライバル、ウルトラマンガイア=高山我夢(吉岡毅志)でした。

クリシスに陥穽を仕掛けた者、それは「根源的破滅招来体」でした。

破滅招来体によって、解答が書き換えられていた。我夢にそう告げられ、藤宮は茫然とします。

頭を抱え、絶叫する藤宮。今まで信じていたことがすべてウソだったなんて。

すべての意欲を無くした藤宮は、我夢にアグルの光を預けます。

「俺にはもう、守るべきものはなにもない…」

そう呟き、何処ともなく去って行く藤宮。

「…大切なものなんて、いくらでもあるじゃないか!」

叫ぶ我夢。その叫びは、その言葉は、藤宮に届いただろうか…。


〈続く〉

ウルトラマンガイア論 3 ~根源的破滅招来体~

2013-12-03 17:05:33 | ウルトラマンガイア


地球に破滅をもたらすもの、「根源的破滅招来体」。

その正体は、実はよくわかっていないんです。

最終話に登場した、天使の姿をした者がラスボスなのかどうかもわからない。

ぶっちゃけ、本当に終わったのかどうかわからないのですよ。一応物語は終わってますけどね(笑)

その正体は怪獣なのか、侵略を企む宇宙人なのか。どうやら、そのどちらでもないらしい。

その根っこは、もっと奥深いところにあるようです。



根源的破滅招来体の使者、「死神」を名乗る男(堀内正美)は告げます。

「“あるじ”は怖いのです。宇宙の“がん細胞”である人類がこのまま宇宙に進出したら、宇宙は滅びてしまう。その前に“病原”を切除しようとしているのです」(筆者の意訳)

人類をこの宇宙から排除する。根源的に消してしまおうとしている。

だからこその、「根源的破滅招来体」。



人類も随分と嫌われたものです。

その“あるじ”とやらはどうやって、人類のことを知ったのでしょう?

一説によると、意志とは電磁波なのだそうです。電磁波ならば、宇宙に向けて送信されることもあるかもしれない。

もしも人類の“負”の想念の塊りが電磁波となって宇宙に送信され、それをキャッチしたものがいたとしたら…。

その者は、恐れ慄くかも知れない。

なんとか排除しようとするかも知れない。

いや、と言うよりもむしろ、人類の負の想念そのものが、鏡に反射した如くに帰ってきたものなのかもしれない。



ならば、「根源的破滅招来体」とは、

人類そのものではないか…。



「根源的破滅招来体」が人類の負の想念そのものであるなら、ウルトラマンとはなんなのだろう。

それはおそらく、それでも地球は、人類に賭けたのだと私は思う。

地球をも滅ぼすほどの負の想念を発する一方で、その負の想念をも撃退するほどの正のパワーを発することのできる可能性を持つ。

それが人類なのだ。

だから地球はガイアの光、アグルの光の使い方を、それぞれに任せたのだ。

滅ぶも残るもお前たち人類次第だと。

そういう意味では、ガイアもアグルも

どちらも正しい。

しかし、自ら滅びを選択するのは、正しい道だとは思われない。

最期の瞬間まで生きようとあがき続ける。それが生命を預かったものたちの使命だと、私は思う。

生き残る道を放棄してはならない。

例え人類自身が「根源的破滅招来体」であったとしても。

いや、だからこそ。

人は越えていかねばならない。

諦めるには、まだ早い。

〈続く〉